居抜き・
物件の所在地と前の医院の資料を伺い、対応できる会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
- 居抜きか承継か:居抜きは新規の開業で、保険診療は原則、指定申請の翌月1日から。承継は認められれば指定日を遡れます。違いを見る
- 流用の見極め:X線室は遮へいと測定の記録、給排水・電気・空調は位置と容量、機器はリース品かを確かめます。
- 契約と届出:造作譲渡・リース・原状回復を書面に。開設者が替われば承継でも開設届は新規。外来医師過多区域で無床なら開設の6か月前までに届出。
- 内装費:設計事務所の解説で、スケルトンからの内科・外科・整形外科は60〜100万円/坪(X線室あり。税抜・器具家具と設計監理は別)。居抜きの比べ方
- 次の一手:前の医院の資料があれば、契約前の確認から相談できます(相談・紹介は無料)。相談する
目次
居抜きと医院承継(継承)の違い|引き継ぐもの・保険の指定・届出で比べる
医院の居抜きは、閉院や移転で空いた医院の内装・設備を造作譲渡で引き取り、新しい医院として開業する形です。医院承継(医院継承)は、診療中の医院を患者・カルテ・スタッフごと引き継ぐ形です。
造作譲渡で何を受け取り、誰に払うか(対象物・支払先・譲渡価格の決め方)、リース品の確かめ方、引渡し後の故障や原状回復の分け方は、居抜き改装ガイドの「造作譲渡と工事契約」の章にまとめています。
個人の開設者が替わる場合は、どちらも保健所では前の診療所の廃止と新しい診療所の開設として扱われます(千代田区・大田区の案内)。違いは、保険診療を切れ目なく続けられるかと、内装を変える自由度に出ます。
居抜きのメリット・デメリット(内装の視点で見た良い点と注意点)
良い点
- 内装や設備を流用できれば、工事の量を減らせる場合がある(減る割合は一律ではない)
- 給排水・電気・X線室など、医療向けに整えた設備が残っていることがある
- 承継の場合は、条件しだいで保険診療を切らさずに引き継げる
注意点
- 遮へい・配管・電気の容量など、見えない部分の状態は書類と測定でしか分からない
- 機器や造作の所有者と、退去時の原状回復の負担を契約で決める必要がある
- 間取りや診療科を変えるほど、流用できる部分は減る
承継で保険の切れ目をなくす条件(遡及指定)
厚生労働省の通知(2026年9月1日から適用)と関東信越厚生局の案内では、遡及指定は①開設者の死亡等(個人のみ)②至近の距離への移転や、所在地を変えず開設者だけが血族その他勤務する保険医等に替わる場合で、管理者や職員の引継ぎなどの要件を満たすもの ③その他、の3つに分かれます。
その医院に勤めていない医師が引き継ぐ第三者の承継は③にあたることが多く、原則として遡及を希望する日の3か月前までに予定届出書を出し、求めに応じて事前相談をします(引き継ぐ前から勤める保険医が開設者になる形は②に入りうるため、形を決める前に厚生局へ相談します)。
厚生労働省の通知が示す判断基準は次のとおりです。
- カルテを引き継ぎ、前の医院の患者の問い合わせにも対応する
- 外来・在宅の患者の診療を続ける(無床診療所)
- 主な標榜診療科をすべて続ける
- 常勤医師の概ね5割以上(または非常勤を常勤換算して合わせた数の概ね5割以上)が引き続き雇用され診療にあたる
満たさない事項があると原則として認められず、管理者が替わる場合は特に慎重に判断されます。診療科を変える、休診して大きく作り替えるなら、居抜きと同じく新しい指定(申請の翌月1日)で工程を組むのが確実です。締切と書類は管轄の厚生局に確認してください。
物件を決める前の順番|前の医院の書類・外来医師過多区域・契約の時期
居抜きは「今ある内装と設備をどこまで使えるか」で工事の量と日程が決まります。物件は、医療向けの物件情報、医業承継の仲介会社、テナントの仲介会社などで探し、候補が出たら次の順番で確かめると、契約後の追加工事を減らせます。
外来医師過多区域は、国が2026年3月に9つの圏域(東京23区のうち5圏域、京都・乙訓、大阪市、神戸、福岡・糸島)を候補として示し、都道府県が指定します。対象は無床の医科の診療所で、歯科診療所は対象外です。
届出書には開設予定の場所(住所が未定なら市区町村名など。候補が複数ならすべて)と開設の予定年月日(日が未定なら予定年月)を書きます。期限は開設日の6か月前なので、場所の候補と開設の時期はそれより前に固めます。
予期しない廃止(親の急逝で子が急に引き継ぐなど)は猶予の対象になりえますが、承継の後に届出を求められます。東京都の案内(2026年4月24日更新)は区域の指定を検討中としています。詳しい締切はクリニック開業の流れと内装(外来医師過多区域)で扱っています。
居抜き・
物件の所在地と前の医院の資料を伺い、対応できる会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
流用できるか確かめる設備|X線室・給排水・電気・空調・消防の確認表
前の医院の設備は「動くか」だけでなく、「新しい診療の条件に合うか」「誰の物か」「書類がそろうか」で判断します。見た目がきれいでも、条件に合わなければ流用には向きません。
診療科が変わるときに増えやすい部屋と動線はクリニックの内装設計(診療科別の動線と物件の確認点)、流用せずスケルトンに戻す場合はスケルトン開業ガイドで扱っています。
前の医院の資料がそろえば、紹介先の内装会社と流用できるかを確かめられます
診療科、置く機器、物件の所在地と広さ、手元の図面や記録を伺い、対応できる会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます。
物件の条件で無料相談するX線室(レントゲン室)を引き継ぐときの手順|遮へいの確認・測定・届出
X線室は、壁の中の遮へい材が見えないため、見た目では流用できるか分かりません。次の3つを順に確かめます。
前の医院は、X線装置の廃止届を出します(千代田区・大田区)。人を雇ってX線装置を設置する事業者は、工事の開始の30日前までに労働基準監督署へ計画届を出す決まりがあり、既存の装置を引き継ぐ場合の扱いは管轄の労働基準監督署で確かめます。
医療機器とリースの残り|所有者を確かめ、引き継ぐか返すかを決める
医院に残る機器には、前の開設者が買った物、リース会社の物、レンタル品が混ざります。ファイナンス・リースは所有権がリース会社にあり、期間中の解約は原則できず、解約するなら残りのリース料またはそれに相当する違約金を払う契約です。
見分け方の手がかりとして、リース契約書の例ではリース会社が所有権を示す標識を物件に貼るとしています。機器の一覧と契約書の写しで照らし合わせてから、造作譲渡の対象を決めます。
中古の医療機器は、高度管理医療機器等の販売業者などが売るとき、あらかじめ製造販売業者に知らせ、品質の確保などの指示を守る決まりです。保守点検やオーバーホールを勧められる例もあるため、直接譲り受ける場合もメーカーの保守を受けられるかを確かめます。
造作譲渡と原状回復の契約|何を・誰の物として・どこまで戻すか
居抜きの契約は、貸主との賃貸借と、前の借主との造作譲渡の2本立てが基本です(承継なら事業の譲渡の契約も)。3者の話がそろわないと、残すはずの物が撤去されたり、退去時の負担が想定と変わったりします。
契約前に書面で確かめること
- 貸主の承諾:造作を残して引き継ぐこと、診療所として使うこと。賃借権の譲渡・転貸には貸主の承諾が要ります(民法612条)。
- 造作譲渡の対象の一覧:内装・設備・家具・機器ごとに、所有者・状態・引き渡す日。
- 状態の扱い:「現状のまま」とする条項の有無。民法では、種類や品質が契約の内容に合わない物は、知ってから1年以内に売主へ通知しないと原則として請求できなくなるとされています(562条・566条。売主が引渡しの時に知っていた場合などを除く)。
- リースの機器:対象から外すか、残りの支払いと承諾の扱い。
- 原状回復:退去時にどこまで戻すか。前の借主が付けた造作の分を含むかを、契約の特約で決めておきます(民法621条)。
- 造作の買取請求:借地借家法33条の請求を契約で外しているか(33条は、特約で不利にできない規定を定めた37条に含まれていません)。
- 契約の期間:更新のない定期建物賃貸借か(借地借家法38条)。工事期間の賃料の扱い。
公開事例では、前の借主が原状回復で内装を撤去する前に、新しい間取り案をもとに天井の下地と空調を残すよう頼み、前の借主と貸主の了解を得て、撤去と新設の費用の重なりを減らしています(次の章)。
承継の対価(営業権など)の考え方や税の扱いは、この記事の範囲外です。税理士や仲介会社に確認します。業態を問わない契約の注意点は居抜き物件の造作譲渡契約と店舗の原状回復ガイドにまとめています。
公開事例|前の内装の一部を残して作り直したクリニック(写真)
設計事務所が公式サイトで公開している事例です。公式ページの記載と写真で見えることを分けて示します。写真の著作権は各社に帰属し、店舗内装ドットコムは掲載した会社の窓口ではありません。
にじいろクリニック新橋(東京都港区)
公式ページの記載:前の業種は整骨院。天井の下が開いた間仕切りは使えず、一部をスケルトンに戻して工事する方針に。一方で天井の下地と板材、天井埋め込みの空調は残して使い、トイレと水回りは建物の配管の位置に合わせて大きく動かさない方針にした、とあります。
段取りのヒント:前の借主の撤去の前に、新しい間取り案があったから残せる部分が分かった、と公式にあります。写真の空調が残した物かは、写真だけでは分かりません。
ほかの公開事例(どちらも歯科):歯科医院から歯科医院への居抜きで、間取りは変えずに天井・壁のクロス、受付カウンターのシート、看板だけを施工した例(株式会社すけみつ、札幌市、施工日数6日間)。代替わりの医院で、仮の診療所に組み立て式のX線の遮へいユニットを置き、改装後の医院へ移した例(株式会社北島建築設計事務所)。
クリニックの公開事例は業種・業態から探す(クリニック)でも探せます。
内装費の考え方|スケルトンから作る場合の帯を目安に、流用案と更新案を比べる
居抜きの内装費に決まった割引率はありません。ここでは費用のページ(クリニック・病院の内装費用)と同じ数字・条件で、比べ方を示します。
居抜きでは、上の仮定の費目(基本工事・設計監理・X線防護)ごとに「流用する案」と「作り直す案」を同じ完成条件で並べて見積もります。流用する費目には残りの寿命や保守の可否、X線室なら測定と補修の費用を足し、撤去する部分があれば撤去・処分の費用も足して比べます。
造作譲渡の対価は相場の数字で決めず、作り直す場合の見積もりと、残す物の年式・保守の記録・状態を並べて話し合います。医療機器は内装費と分けて計上します。数字の出典と税・範囲のそろえ方はクリニック・病院の内装費用(坪単価・設備内訳と見積もり比較)にまとめています。
承継で改装するとき|診療を止めない工程と、届出が要る変更
承継で保険診療を切らさないなら、改装は休診日・夜間の工事、部屋ごとに分けた工事、仮の診療場所の確保で組みます。公開事例には、代替わりの歯科医院で2階に仮の診療所を作り、組み立て式のX線の遮へいユニットを仮の診療所で使ってから改装後の医院へ移した例があります。
- 平面図を変える改装は、千代田区の例では、医療法人などが開設する診療所は事前の変更許可申請、医師個人の開設は変更後10日以内の届出(変更前に相談)です。医療法人ごと引き継ぐ場合は開設者が替わらないため、この変更の手続きになります。
- 遡及指定の判断では、主な標榜診療科をすべて続けることが基準の一つです。標榜科を減らす場合は特に慎重に判断されると通知にあります。
- X線装置を入れ替えるなら、備付届と廃止届、診療前の測定が要ります(X線室の手順)。
開業後の改装の段取りはクリニック改装ガイドも参考になります。
カルテとスタッフの扱い|承継と居抜きで違うこと
つまずきやすい典型パターン(想定されるケース)
実在の案件ではなく、ここまでの制度と契約の仕組みから起こりうる形をまとめたものです。
相談で進むこと|内装会社に伝えることと無料の範囲
店舗内装ドットコムでは、一度の入力のあと、事務局が候補の会社へ1社ずつ対応できるかを確かめ、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。
相談のときに伝えると早いこと
- 診療科と置く予定の機器(X線・内視鏡・リハビリの機器など)
- 居抜きか承継か、譲渡や開院の希望時期
- 物件の所在地(市区町村まで)と広さ
- 前の医院の資料(平面図・設備図・X線室の遮へいと測定の記録・機器の一覧)
- 残したい物と、変えたい物
居抜き・承継の物件で、内装の範囲から相談できます
資料がそろっていなくても、分かる範囲で大丈夫です。対応できる会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
クリニックの居抜きを無料で相談する内装会社を公開事例から探すならクリニック内装ドットコム、歯科医院の居抜き・継承は歯科の居抜き開業、美容クリニックは美容クリニックの居抜き・継承開業ガイドをご覧ください。
よくある質問
クリニックの居抜きと承継(継承)の違いは何ですか?
居抜きは、閉院や移転で空いた医院の内装・設備を造作譲渡で引き取り、新しい医院として開業する形で、患者・カルテ・スタッフは引き継ぎません。承継は、診療中の医院を患者・カルテ・スタッフごと引き継ぐ形です。個人の開設者が替わる場合は、どちらも保健所では廃止と新しい開設として扱われます。
居抜きで開業すると、保険診療はいつから始められますか?
新しく保険医療機関の指定を受けてからで、指定日は原則、指定申請をした翌月1日です(毎月の締切は地方厚生(支)局で確認)。申請には開設届の副本などが要り、開設届は開設後10日以内に出します。承継で条件を満たす場合は、前の医院の廃止日に遡る指定(遡及指定)が認められることがあります。
前の医院のX線室(レントゲン室)はそのまま使えますか?
使える場合がありますが、新しく置く装置の条件で遮へいが足りるかを確かめ、診療を始める前に線量を測ります。X線装置を備えたら10日以内に保健所へ備付届を出し、自治体によっては漏洩検査報告書の添付を求めています。前の医院は装置の廃止届を出します。
リース中の医療機器は引き継げますか?
リースの機器はリース会社の物です。リース契約を引き継ぐにはリース会社の承諾が要り、ほかに、前の開設者が買い取ってから譲る方法と、返して新しく入れる方法があります。機器の一覧と契約書で所有者を確かめてから、造作譲渡の対象を決めます。
造作譲渡の価格はどう決めればよいですか?
相場の数字で決めず、同じ完成条件で作り直す場合の見積もりと、残す物の年式・保守の記録・状態を並べて話し合います。リースの機器や撤去が要る物は対象から分け、「現状のまま」とする条項の有無も確かめます。
前の医院のカルテは引き継げますか?
承継なら、事業の承継に伴う提供として、患者の同意がなくても引き継げると個人情報保護委員会と厚生労働省のQ&Aは説明しています。居抜きではカルテを引き継がず、前の医院の管理者が5年間保存します(医師法24条)。
居抜きの内装費はスケルトンより安くなりますか?
流用できる設備があれば工事を減らせる場合がありますが、決まった割引率はありません。設計事務所の解説では、スケルトンから内科・外科・整形外科60〜100万円/坪(X線室あり)、耳鼻科・眼科・皮膚科・精神科40〜80万円/坪(X線室なし)で、税抜・器具家具と設計監理は別です。この帯を目安に、撤去費も足して比べます。
外来医師過多区域では、居抜きや承継でも届出が要りますか?
都道府県が指定した区域で無床の医科の診療所(歯科診療所は対象外)を開く場合、居抜きと、開設者が替わる承継も新しい開設にあたり、やむを得ない場合を除き開設の6か月前までに届出が要ります(指定の状況は都道府県で確認)。親の急逝で子が急に引き継ぐなど予期しない承継は猶予の対象になりえますが、承継の後に届出を求められます。
目的別の関連ガイド
この記事について
運営:株式会社BPBコンサルティング(店舗内装の会社紹介サービス「店舗内装ドットコム」)。確認日:2026年9月27日。
法令と制度は、e-Gov法令検索、厚生労働省・地方厚生局、個人情報保護委員会、自治体・消防の公表資料で確かめ、自治体の運用は例として示しています。費用は費用のページ(クリニック・病院の内装費用)と同じ数字だけを使っています。
本記事は内装と開業の手続きを扱い、法律上の助言や診療の内容に関する情報は含みません。個別の判断は、管轄の保健所・地方厚生(支)局・都道府県・消防署・労働基準監督署と、契約の専門家にご確認ください。
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