居酒屋 居抜き開業ガイド|排気・客席・造作譲渡の実践チェックと費用削減

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この記事のポイント

  • 居酒屋居抜きはスケルトン比で坪25〜55万円(スケルトン40〜80万円)、20坪で500〜1,100万円に収まるケースが多く、初期投資を4〜6割圧縮できます。
  • 前テナントが居酒屋同士なら排気・給排水・客席什器の流用率は80〜90%。焼肉やラーメンからのコンバートは強力すぎる排気設備が過剰となり、逆に使いづらいことがあります。
  • タバコ臭・油煙汚染のクリーニング費用は20坪で50〜150万円必要。見た目より先に壁・天井・床の汚染度を確認します。
  • 酒類提供は食品衛生法の飲食店営業許可に加え、深夜0時以降の営業なら「深夜酒類提供飲食店営業開始届」(風営法)が別途必要です。
  • 造作譲渡金は相場の3〜5倍請求されるケースが多く、機器中古価格と原状回復義務を盾に交渉すれば実勢の1/3〜1/2まで下がる事例があります。

本記事のご利用について

本記事は2026年4月時点の一般的な参考情報であり、特定の物件・事業に対する法的助言ではありません。各種法令(食品衛生法・旅館業法・消防法・風営法・建築基準法・都道府県条例等)は改正や解釈の変更があり、また自治体ごとに運用が異なる場合があります。実際の開業にあたっては、必ず弁護士・行政書士・建築士・消防設備士・所轄保健所/消防署/警察署等に個別にご相談のうえ、最終判断をお願いいたします。本記事の内容に基づく判断・行動の結果について、当サイトは責任を負いかねます。

なぜ居酒屋で居抜きが有効なのか

居酒屋業態は飲食業種の中でも設備要求が高く、ガス・排気・給排水・電気の4系統を新設すると20坪でも800〜1,600万円の工事費がかかります。居抜き物件を活用すれば、これらの設備を流用できる条件下で500〜1,100万円に圧縮可能です。スケルトンとの差額600〜1,000万円は、運転資金や家賃猶予期間の確保に回せる実務的インパクトがあります。

また、居酒屋は業態寿命が2〜3年と短いとされ、初期投資の早期回収が事業継続の鍵となります。居抜き活用で投下回収を1〜1.5年短縮できれば、競合環境の変化に柔軟に対応しやすくなり、業態変更・撤退判断のリスク耐性も高まります。

さらに、居酒屋は客席什器の依存度が高い業態です。座敷・掘りごたつ・カウンター・個室といった什器を新設すると300〜600万円かかりますが、居抜きなら流用で50〜150万円のリフレッシュ工事で済ませられます。客席什器の再利用は居酒屋居抜きの最大のメリットの一つです。

初期投資削減

40-60%

スケルトン比

開業までの期間

3週-2月

最短ケース

客席什器流用率

70-90%

居酒屋→居酒屋

造作譲渡相場

100-700万

15-40坪

一方で、居酒屋居抜きには固有のリスクがあります。タバコ臭・油煙による内装汚染、老朽化したガス配管、酒類提供に伴う営業許認可の再取得、深夜営業の場合の風営法届出など、飲食業の中でも手続き・点検項目が多い業態です。本記事では居酒屋特有の論点を体系的に解説します。

設備流用判断マップ(排気・ガス・給排水・電気)

居酒屋で最も重要な設備は排気ダクト・ガス容量・給排水・電気容量の4系統です。前テナントの業態によって流用率が大きく変わります。

排気ダクトの流用判定

居酒屋では炭火焼・グリル・フライヤー・中華鍋など強力な排気が必要な調理機器を多用するため、CMH(立方メートル/時)で5,000〜15,000の排気能力が目安です。前テナントが居酒屋・焼肉店なら流用可能性が高く、カフェや軽飲食からのコンバートでは排気能力不足で新設が必要になります。

排気ダクトの新設費用は10〜20坪で50〜300万円、屋上まで引き回す縦ダクトだと100〜300万円に達します。居抜き店舗ABCの排気ダクト費用解説によると、居酒屋業態では排気ダクト単体で100〜200万円規模の工事費が標準とされています。

ガス容量の流用判定

居酒屋の調理器具は多くが都市ガスまたはプロパンガスを使用します。前テナントのガス栓の口径(13A/20A/25A)と最大使用量(㎥/h)を確認し、新メニューで必要な容量と照合します。ガス栓の増設は1本あたり5〜15万円、メーター増設は20〜50万円です。異業種コンバートではガス容量不足の見落としに注意が必要です。

給排水・グリストラップの流用判定

居酒屋間の居抜きならグリストラップも流用できますが、清掃記録の確認と内部の油汚れ除去を丁寧に行います。長期間放置されたグリストラップは排水詰まり・悪臭の原因となり、交換に30〜80万円が発生します。新規設置時は東京都区部の下水道条例に基づく規格が適用されます。

電気容量の流用判定

居酒屋は冷蔵庫複数台・製氷機・電気フライヤー・電気グリルを同時稼働させるため、動力30〜50kVAが必要な業態です。前テナントが物販やサロン業態だった場合は単相100Vしか引き込まれておらず、電力会社への申請と変圧器設置で50〜150万円の追加投資が発生します。

チェックの優先順位:排気>ガス>給排水>電気の順で影響が大きくなります。特に排気は新設費用と工期の両面でボトルネックとなるため、内見時に最優先で確認してください。既存ダクトのCMH・ダンパー・油垢の3点を必ず目視します。

前テナント別の流用率とリスク評価

前テナントの業態によって居酒屋居抜きの流用率と追加工事費は大きく変動します。以下は25坪居酒屋開業を想定したマトリクスです。

居酒屋→
流用率88% / 追加80-250万
焼鳥→
流用率80% / 追加120-300万
焼肉→
流用率70% / 追加200-450万
ラーメン→
流用率60% / 追加250-500万
カフェ→
流用率40% / 追加400-700万
物販→
流用率20% / 追加700-1300万
美容室→
流用率15% / 追加800-1400万

居酒屋→居酒屋(流用率88%)

最も理想的なパターンです。排気・ガス・給排水・客席什器の多くがそのまま使え、追加工事はクリーニング・塗装・看板付替え・レイアウト微調整で済みます。タバコ臭・油煙による内装汚染の除去が主な追加費目となり、20坪で50〜150万円が目安です。

焼鳥店→居酒屋(流用率80%)

炭火排気ダクトが強力で、一般的な居酒屋メニューには過剰スペックとなります。ダクト容量はそのまま使えますが、電気代が嵩みやすい点に注意が必要です。焼鳥特有のグリス付着が激しいため、ダクト内部の清掃費50〜100万円が追加発生するケースもあります。

焼肉店→居酒屋(流用率70%)

無煙ロースター用の各席個別排気設備は居酒屋用途では不要で、天井・床の大規模改修が必要になることがあります。客席レイアウトも焼肉店特有のテーブル配置(各席ロースター設置可能な広めの間隔)となっており、居酒屋向けに狭める場合は客席什器の入替で100〜300万円が発生します。

カフェ→居酒屋(流用率40%)

排気・ガス容量の不足、電気容量の不足、トイレの追加設置(立ち飲み業態を除く)といった大規模工事が必要です。「居抜き」と呼ばれていても、追加工事費を加算するとスケルトン相当になることが多く、造作譲渡金を支払うメリットが薄いパターンに該当します。

物販・美容室→居酒屋(流用率15-20%)

事実上のスケルトン工事です。排気・ガス・給排水・電気の4系統とも新設が必要で、追加1,000万円超が発生します。居酒屋居抜きの利点はほぼ享受できないため、別物件を探す方が費用対効果で優位です。

広告表記の注意:物件広告の「居抜き」表記は前テナントの業態を問わず使われます。前テナントが異業種の場合、看板表記は「居抜き」でも実質はスケルトンに近いコストがかかります。内見時に事前に前テナント業態を確認を推奨します。

居酒屋居抜きの坪単価とスケルトン比較

東京23区の居酒屋内装工事の坪単価相場は、2026年時点で以下のレンジが業界コンセンサスです。地方都市では0.6〜0.8倍に縮小します。

居抜き改装

坪25〜55万円

15坪375-825万

25坪625-1,375万

40坪1,000-2,200万

主要工事クリーニング・改修

スケルトン標準

坪40〜80万円

15坪600-1,200万

25坪1,000-2,000万

40坪1,600-3,200万

主要工事躯体から新設

高級・こだわり仕様

坪80〜120万円

15坪1,200-1,800万

25坪2,000-3,000万

40坪3,200-4,800万

主要工事造作家具・特注建材

坪単価が上下する要因

居抜き改装の坪単価25〜55万円は、下限(25万円付近)が「前店舗が同じ居酒屋・造作譲渡金込み・クリーニングのみ」のケース、上限(55万円付近)が「前店舗が異業種・厨房半新設・客席什器入替」のケースに相当します。造作譲渡金は別途計上されるため、総予算は譲渡金を加えて比較してください。

地方エリアの注意

地方では登録施工会社が都市部に集中するため、15坪未満の小規模案件は施工会社が見つかりづらい傾向があります。相見積もり成立の目安は、居抜きで400万円以上、スケルトンで600万円以上の案件規模です。これを下回る小規模改装は地元の個人工務店への直接発注が現実的な選択肢となります。

タバコ臭・油煙汚染のクリーニング費用

居酒屋居抜き固有の大きな課題が、長期間の営業で蓄積されたタバコ臭・油煙・アルコール臭の除去です。見た目の美観に騙されず、壁・天井・床・ダクト内の汚染度を点検してから契約してください。

汚染の段階別クリーニング費用(20坪想定)

軽度
壁拭き・床磨き 30-60万円
中度
クロス一部張替え 60-120万円
重度
クロス・天井全張替え 120-200万円
最重度
下地から解体・施工 200-400万円

汚染度の見極めポイント

  • 白い布やティッシュで壁・天井を軽く拭き取って黄ばみをチェック
  • 営業停止後の独特の臭い(タバコ臭・アルコール発酵臭)の有無
  • 壁紙の端・継ぎ目の剥がれや変色
  • 天井のシミ(壁紙に浮いた茶色の点)
  • 床のカーペット・クッションフロアの汚れ・べたつき
  • トイレ内の臭い(長年の尿石・カビの有無)
  • 換気扇・エアコンフィルターの油汚れ度合い

特殊クリーニングと費用目安

オゾン脱臭機による業務用脱臭は20坪で10〜30万円、エアコン内部洗浄は1台あたり2〜5万円、ダクト内部クリーニングは10〜20坪で20〜60万円が目安です。これらは造作譲渡とは別に発注するため、契約前に見積もりを取って予算に計上してください。

喫煙者層の再来店を想定する場合:改正健康増進法(2020年4月全面施行)により、客席面積100㎡以下の既存小規模飲食店は「喫煙可能室」設置で分煙運用できます。新規開業は原則禁煙ですが、既存店居抜きで条件適合の場合は引継げるケースがあります。厚生労働省の改正健康増進法ページで詳細を確認してください。

造作譲渡金の相場と交渉術

居酒屋の造作譲渡金は15〜40坪で100〜700万円と幅広く、立地・築年数・設備状態・前テナントの退店理由で大きく変動します。相場より高い請求を見抜いて交渉することが、初期投資圧縮の鍵となります。

居酒屋の造作譲渡金の内訳構造

  • 内装造作(壁・天井・床・建具・間仕切り)の減価償却残存価値
  • 厨房機器(冷蔵・冷凍・ガスコンロ・グリル・フライヤー)の中古市場価格
  • 客席什器(テーブル・椅子・座敷・掘りごたつ・カウンター)の中古市場価格
  • エアコン・排気ダクト・給湯器の残存価値
  • POS・レジ・券売機(リース契約がないか確認)
  • 酒類ストッカー・氷庫・製氷機の残存価値
  • のれん代(原則として査定対象外)

値切り交渉の具体的アプローチ

居酒屋の造作譲渡金は「新品購入時の金額」を基準に提示されることが多く、中古市場の実勢価格と2〜5倍乖離していることが一般的です。交渉の切り札は次の3点です。

論点1:原状回復義務の相互利益構造。前テナントが退店する際、契約上はスケルトン戻しの原状回復義務があり、25坪なら150〜400万円かかります。譲渡交渉は「新借主が原状回復費用を肩代わりする代わりに造作を譲り受ける」という双方利益の構造であることを前提に話を進めます。

論点2:厨房機器の中古市場価格。テンポスバスターズなど中古厨房機器店では、新品の1/5〜1/10の価格で同等品が入手できます。機器リストと中古市場価格表を提示して、項目ごとに減額交渉します。

論点3:修繕必要箇所の減額。内見時に故障・老朽化した機器をリスト化し、買替・修理見積もりを根拠に減額を要請します。「製氷機故障による買替30万円」「座敷畳総張替40万円」のように具体化して積み上げます。

交渉の注意:造作譲渡契約は「現状渡し」が基本のため、引渡し後の故障・不具合は新借主負担になります。契約前に全機器の動作確認(冷却・加熱・点火・給湯等)を済ませ、引渡し後3〜6か月の瑕疵担保期間を契約書に明記させてください。

酒類提供に関わる許認可・届出

居酒屋業態は酒類提供を伴うため、一般的な飲食店営業許可に加えて営業時間と提供形態に応じた追加届出が必要になります。居抜きで前店舗から引き継げるものと新規取得が必要なものを整理します。

飲食店営業許可(保健所)

食品衛生法(e-Gov法令検索)に基づく飲食店営業許可は、事業者(法人または個人)に付与されるため、居抜き物件を取得しても新規取得が原則です。2021年6月の食品衛生法改正で喫茶店営業許可が飲食店営業許可に統合され、HACCPに沿った衛生管理が全業種で対象として定められています。

深夜酒類提供飲食店営業開始届(警察署)

深夜0時以降に酒類を提供する居酒屋・バーは、風営法の深夜酒類提供飲食店営業開始届を管轄警察署に提出が求められる場合があります。根拠法である風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)と、実務手続きについては警視庁の届出案内ページで必要書類(別記様式第47号・第48号・平面図・住民票・法人登記事項証明書等)が確認できます。届出は営業開始の10日前までの提出が原則で、居抜きで前店舗が届出済みでも事業者が変われば再届出となります。

風俗営業許可(接待を伴う場合)

女性店員が客の隣に座って接待する「キャバクラ」「スナック」業態は、風営法1号許可(社交飲食店)を取得が求められる場合があります。一般的な居酒屋は対象外ですが、「小料理店でホステスが酌をする」等の運用は風営法に抵触する場合があるため、接客スタイルを契約前に明確にしてください。

防火管理者選任届(消防署)

延床面積30㎡以上の飲食店は防火管理者の選任と届出が義務です。甲種防火管理者(延床300㎡以上)または乙種防火管理者(300㎡未満)の資格を取得する必要があり、講習費用は5,000〜8,000円、所要日数は1〜2日です。

許認可のタイムライン:保健所の飲食店営業許可は申請〜交付まで2〜4週間、深夜酒類提供届は提出〜10日後から営業可、防火管理者選任は講習後即日届出可能です。これらは物件契約から開業まで1.5〜2か月の余裕を見て逆算してください。

保健所・消防の再検査ポイント

居抜き物件であっても営業許可は新規取得となるため、設備の現状が現行基準に適合しているかの再検査を受けます。居酒屋で特に落としやすい検査項目を挙げます。

保健所検査の要点

  • 2槽シンク(または1槽+食器洗浄機)の寸法適合(東京都基準:幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上)
  • 手洗い器の独立設置(ハンドソープ・ペーパータオル常備)
  • 厨房区画の扉・跳ね上げカウンターの設置
  • 食品庫の独立設置(厨房と兼用不可)
  • トイレと厨房の手洗い器の分離
  • 冷蔵庫の温度管理(10℃以下)・冷凍庫(-15℃以下)
  • ネズミ・害虫の侵入防止措置
  • 給湯設備(60℃以上のお湯が出ること)
  • 酒類保管庫の独立設置(食品庫と区別)

消防署検査の要点

居酒屋は火気使用設備が多く、消防署の検査項目も多岐にわたります。自動火災報知設備、消火器の設置(床面積150㎡未満は任意・150㎡以上は義務)、防炎カーテン・暖簾の使用、避難経路の確保、厨房の排気ダクトの防火ダンパーが主な検査項目です。

自治体固有の規制

東京都区部では受動喫煙防止条例(原則屋内禁煙、客席面積100㎡以下の既存店は例外あり)、廃棄物処理条例(グリストラップ清掃記録の保管義務)、騒音規制条例(深夜営業の騒音制限)の3本柱を確認してください。商店街内立地では景観条例の看板規制も加わります。

客席レイアウト活用の判断(座敷・個室・掘りごたつ)

居酒屋居抜きの大きな魅力の一つが、客席什器の流用です。新設すると高額になる座敷・掘りごたつ・個室仕切りを引き継げれば、客席工事費を150〜400万円圧縮できます。

客席什器の新設費用(新規投資時)

座敷新設

30-80万

10席想定

掘りごたつ新設

50-150万

4-6席×2卓

個室仕切り

20-60万

1個室あたり

カウンター新設

40-100万

6-8席想定

流用判定の3つの軸

軸1:構造健全性。座敷の床の沈み、掘りごたつの底板の損傷、個室仕切りの揺れ、カウンター天板の傷を確認します。軽微な傷は張替え・塗装で対応できますが、構造の沈みは解体再施工となり大規模工事が必要です。

軸2:客単価・業態適合。前店舗の座敷配置が新業態の客単価・客層に合うかを判定します。ファミリー層狙いなら掘りごたつ付個室、サラリーマン層ならカウンター+テーブル席の比率が重要です。不適合な什器は撤去コストがかかる点に注意してください。

軸3:消防・衛生基準の適合。個室仕切りは避難経路を塞がない構造である必要があり、消防署の検査で指摘される場合があります。座敷の畳は衛生的な素材(樹脂畳等)への張替えが推奨されます。

客席レイアウトの更新判断:流用できても「古臭い」「業態イメージに合わない」什器は、新規客の獲得機会を損なう可能性があります。什器流用で浮いた予算を照明・内装デザインの刷新に振り向ける戦略も有効です。

居酒屋居抜きで失敗する6パターン

実務の失敗事例を6パターンに類型化します。契約前にこの6つが自店に当てはまらないか事前に点検を推奨します。

失敗1:造作譲渡金を相場の3〜5倍支払う

前テナントの言い値300〜700万円を支払ったが、中古市場価格での査定では100〜200万円が適正だった事例。対策は内訳明細の請求、中古機器店の価格参照、原状回復義務の相互交渉の3点です。

失敗2:タバコ臭・油煙汚染の見落とし

「見た目きれい」で契約したものの、開業後に客から苦情が相次ぎ、営業中の追加クリーニングに100〜200万円かかった事例。対策は内見時の臭い確認、壁拭きテスト、業務用脱臭機のレンタル検討です。

失敗3:深夜営業に風営法届出を忘れる

深夜0時以降の酒類提供に必要な届出を怠り、営業開始後に警察の指導を受ける事例。対策は物件契約前に営業時間・業態を確定させ、許認可のタイムラインを保健所・警察・消防に事前相談することです。

失敗4:ガス容量・電気容量の不足

前テナントのメニューとの差異で、実際の営業で容量不足が発覚。ガスメーター増設20〜50万円、電気の動力増設50〜150万円が追加発生。対策は新メニューの機器リストを作成し、合計容量を設備業者と事前照合することです。

失敗5:設備故障で開業後すぐに大出費

現状渡しで引き渡された冷蔵庫・製氷機・グリルが営業開始1〜3か月で故障。修理不能なら買替に50〜200万円かかる事例。対策は引渡し前の全機器動作確認(通電・加熱・冷却・点火の実測)と、契約書への3〜6か月の瑕疵担保期間明記です。

失敗6:立地不良を見落として短期撤退

前テナントが撤退した理由を確認せず契約し、商圏・動線・競合の問題で同じく1〜2年で撤退。対策は仲介業者への前店舗の売上推移・客数・退店理由の開示要求、周辺の人流データ確認、夜間帯の実地調査(平日・週末の両方)です。

契約書で確認すべき11項目

居酒屋居抜き契約は「賃貸借契約」と「造作譲渡契約」の二重構造です。以下の11項目を事前に確認を推奨します。

1原状回復範囲スケルトン戻し or 造作残し
2造作譲渡の内訳機器・什器リスト・金額明細
3瑕疵担保期間引渡し後3〜6か月推奨
4リース残債厨房機器・POS・券売機等
5賃料と共益費更新料・保証金も含む
6業種・業態制限酒類提供・深夜営業可否
7営業時間制限近隣住民配慮・騒音規制
8解約予告期間標準6か月前通告
9保健所基準適合現況で許可取得可能か
10設備更新費の負担エアコン・給湯器等
11保険加入の要否店舗総合保険・火災保険

特に見落としやすい条項

リース契約の残債引継ぎは要注意です。居酒屋は厨房機器・POS・券売機をリースで導入しているケースが多く、リース会社の承諾なしに譲渡できません。リース会社名・契約残期間・月額・残債総額を契約前に確認します。

業態制限条項では、建物オーナーが「キャバクラ・スナック等の接待飲食業を禁止」としていることがあります。将来の業態変更可能性を考慮し、契約時に業態変更可否と承諾手続きを明文化しておくと出口戦略に余裕が生まれます。

モデル予算3ケース(15坪/25坪/40坪)

実際の居酒屋居抜き開業を想定したモデル予算を3規模で提示します。地域係数は東京23区(1.0)で計算しています。

ケース1:15坪・カウンター主体の小箱居酒屋

物件取得費

120万円

保証金8か月+礼金

造作譲渡金

120万円

前居酒屋の居抜き

内外装工事

400万円

クリーニング・看板

厨房機器追加

80万円

補助機器のみ

什器・備品

60万円

酒器・食器更新

運転資金

300万円

3か月分

合計予算:約1,080万円。都心2-3等立地、家賃15〜20万円、カウンター8席+テーブル1-2卓の小箱業態。開業直後の夫婦経営や個人開業で最もコスト効率の高いモデルです。

ケース2:25坪・標準サラリーマン居酒屋

物件取得費

250万円

保証金10か月+礼金

造作譲渡金

280万円

交渉後相場

内外装工事

750万円

客席改修・厨房補修

厨房機器追加

150万円

冷蔵・製氷機更新

什器・備品

120万円

食器・座敷畳更新

運転資金

500万円

3-4か月分

合計予算:約2,050万円。都心2等立地、家賃35〜50万円、カウンター+テーブル+座敷4席想定の30〜50席業態。スケルトン同規模開業(2,800〜3,500万円)に比べ750〜1,450万円の節約が見込めます。

ケース3:40坪・掘りごたつ付の宴会対応居酒屋

物件取得費

500万円

保証金10か月+礼金

造作譲渡金

550万円

宴会什器込み

内外装工事

1,500万円

個室・掘りごたつ流用

厨房機器追加

250万円

大容量冷蔵庫等

什器・備品

200万円

食器・リネン類

運転資金

800万円

4か月分

合計予算:約3,800万円。都心1-2等立地、家賃70〜100万円、60〜80席規模の宴会対応業態。スケルトン同規模開業(5,000〜6,500万円)に比べ1,200〜2,700万円の節約が見込めます。

居抜き×スケルトンの判断フロー

居酒屋業態で居抜きとスケルトンのどちらを選ぶかは、以下の5軸で判定します。

1前テナント業態居酒屋/焼鳥/他業態
2設備流用率60%超なら居抜き有利
3造作譲渡金300万超で再考
4業態独自性コンセプト重視ならスケルトン
5開業時期3か月以内なら居抜き

居抜きを選ぶべき条件

  • 前テナントが居酒屋・焼鳥・焼肉で設備流用率70%超
  • 造作譲渡金が厨房機器・什器の中古価格の1.5倍以内
  • 開業までの期間を3か月以内に抑えたい
  • 初期投資を2,000万円以下に抑えたい
  • タバコ臭・油煙の汚染度が中度以下(壁拭きテストで軽微)

スケルトンを選ぶべき条件

  • 前テナントが異業種(カフェ・物販・サロン)で流用率40%未満
  • 独自コンセプトの店舗デザインを優先する業態(ブランド展開・SNS集客)
  • 厨房配置・客席レイアウトを抜本的に変えたい
  • 造作譲渡金が500万円超で設備老朽化が進んでいる
  • 初期投資3,000万円以上の投下が可能

よくある質問

Q居酒屋居抜きの最低開業費用はいくらですか

A15坪・カウンター主体・前店舗が居酒屋・造作譲渡金込み・運転資金3か月込みで900〜1,100万円が最小ラインです。これ以下に抑えるには、DIY施工の比率を上げるか、家賃10万円以下の地方立地が推奨されます。

Q深夜0時以降に酒類を出す場合の届出手順は

A管轄警察署の生活安全課に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出します。店舗図面・営業内容・法人登記簿謄本等の書類が必要で、届出から10日後に営業可能となります。居抜きで前店舗が届出済みでも、事業者変更により再届出が必要です。

Qタバコ臭がひどい物件は避けるべきですか

A汚染度によります。軽度(壁拭きテストで黄ばみが薄い)なら30〜60万円のクリーニングで対応可能です。重度(壁紙に明らかな黄ばみ・独特の臭い)はクロス全張替えで120〜200万円かかるため、造作譲渡金との総額比較でスケルトンと大差なくなる場合があります。

Q前店舗の飲食店営業許可は引き継げますか

A引き継げません。飲食店営業許可は事業者(法人または個人)に付与されるもので、物件や設備に付与されるものではありません。居抜き物件取得後、新規に許可申請が必要です。ただし法人のM&A(株式譲渡)で同一法人を継続させる場合は許可が継続します。

Q造作譲渡金の値切り交渉の目安は

A前店舗の言い値から30〜60%の減額が狙えるラインです。中古機器市場価格での査定、原状回復義務の相互交渉、修繕必要箇所の減額の3軸で積み上げて交渉してください。300万円提示なら100〜200万円まで下がる事例が多く見られます。

Qガス・電気容量が不足している場合の対応は

Aガスメーター増設は20〜50万円、電気の動力増設は50〜150万円です。ガス会社・電力会社への申請から工事完了まで2〜4週間かかります。物件契約前に新メニューでの必要容量を設備業者と算出し、既存容量と照合してください。

Q居抜きで排気ダクトが不足する場合は新設できますか

A可能ですが費用が嵩みます。店内ダクトの新設は10〜20坪で50〜150万円、屋上まで引き回す縦ダクトは追加100〜300万円です。テナントビルの場合はオーナーの許可と他テナントへの影響確認が不可欠です。費用総額次第でスケルトン物件を選び直す判断も視野に入れてください。

Q地方で居酒屋居抜き開業する場合の注意点は

A施工会社が都市部に集中するため、小規模案件(15坪未満)は引き受け手が限られます。居抜きで400万円以上、スケルトンで600万円以上の案件規模なら相見積もりが成立しやすくなります。小規模案件は地元工務店への直発注も有効な選択肢です。

最終確認のお願い

上記は2026年4月時点の一般情報としてまとめたものです。法令・条例は随時改正され、解釈や運用も自治体ごとに差があります。物件固有の条件によって結論が変わるため、実際の契約・開業判断の前に、所轄自治体の窓口および弁護士・行政書士・建築士・消防設備士等の専門家にご相談いただき、書面で確認を取ることを強く推奨します。

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