温浴施設の
前の業態と残っている設備を伺い、温浴に対応できる会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
- 最初に決まること:営業中の浴場を事業ごと譲り受けるなら承継(前の営業者の許可を引き継ぐ届出)、建物だけを借りる・買うなら新しい許可です。許可
- 物件の探し方:①後継者を探す浴場(事業承継の公的な相談窓口・浴場の組合) ②事業の譲渡の案件 ③物件サイトの居抜き・現況渡し。探し方
- 確かめる6つ:承継か新しい許可か/距離の基準(既設の銭湯から300mなど)/消防の区分(サウナ主体だと基準が厳しい)/ボイラー・配管・排水の記録/温泉の利用許可/改修の範囲。確かめる順
- 費用の例:当サイトの費用ページの例で、銭湯の部位の修繕は121万〜500万円。全面改装は2億〜3億円、設備を残して自分たちで直すと約2,700万円という運営会社1社の話もあります(物件取得は別)。費用
- 写真:銭湯をオフィスとカフェに変えた例、銭湯の全面改装、ビルの上の階の個室サウナなど公開事例7件。写真を見る
- 次の一手:物件の条件と残っている設備を入力すると、事務局が対応できる内装会社を1社ずつ確かめてご紹介します(相談無料)。相談する
更新確認:2026年10月12日(費用は費用ページの2026年10月9日の数字、写真の公式の記載・探し方の窓口・港区の手引は10月12日、そのほかの法令・制度は2026年9月26日に確かめました)|法令・制度は各章に示した法令と自治体の案内の原文で確かめ、費用は費用ページと同じ数字(会社・自治体の公表額、報道、東京都の調査報告と運営会社の話の例)だけを使っています。
銭湯・温浴施設の居抜きは「事業ごと引き継ぐか」で手続きが変わる
居抜きでは内装より先に、前の営業を事業ごと譲り受けるのか、建物だけを借りる・買うのか、同じ業態で続けるのかを決めます。公衆浴場の許可、温泉の利用許可、消防の区分の扱いがここで分かれるためです。
発注前に知らないと損をする順|契約の前に確かめる6つ
物件の契約や工事の後に分かるほど、やり直しが大きくなります。後から変えにくい順に並べました(くわしくは各章)。
開業全体の手順と資金は、温浴施設の開業ガイドにまとめています。
業態の区分と消防の(9)項イ・ロ|銭湯・サウナ・スーパー銭湯・宿泊施設の浴場
銭湯は一般公衆浴場、サウナ・スーパー銭湯・岩盤浴などはその他の公衆浴場で、消防ではサウナなどの蒸気浴場・熱気浴場が(9)項イ、それ以外が(9)項ロです。区分によって、許可と消防の基準、銭湯なら入浴料の上限と距離の基準が変わります。
公衆浴場法は、公衆浴場を「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定め(公衆浴場法第1条)、業態の区分は定めておらず、条例や国の衛生等管理要領が、銭湯を「一般公衆浴場」(東京都の条例では普通公衆浴場)、サウナ・スーパー銭湯・岩盤浴などを「その他の公衆浴場」として分けています。銭湯は入浴料の上限(統制額)と距離の基準の対象です。港区の案内では、普通公衆浴場の例が銭湯、その他の公衆浴場の例がサウナ施設(個室サウナ)・岩盤浴施設などです(港区)。
旅館業の施設で宿泊者だけを入浴させる浴場は、公衆浴場法の対象外になるものがあります(南多摩保健所)。温泉旅館を日帰りの施設に変えるなら、公衆浴場の許可が要るかを確かめます。
蒸気浴場と熱気浴場の違い
消防法施行令の別表第一は、公衆浴場のうち「蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの」を(9)項イ、それ以外を(9)項ロとしています(消防法施行令)。
東京消防庁の取扱いでは、蒸気浴場は蒸気浴を行う公衆浴場、熱気浴場は電熱器などを熱源として高温低湿の空気を使う公衆浴場です(東京消防庁)。身近な言い方では、スチームサウナと、高温で湿度の低いサウナです。
札幌市消防局の解説は、サウナ(高温低湿)を室温約90〜110℃・湿度約5〜15%、スチームサウナを約40〜50℃・湿度100%としています(札幌市消防局の解説)。
(9)項イは多数の人が出入りする特定防火対象物で、(9)項ロより設備の基準が厳しくなります。東京消防庁の取扱いでは、銭湯の中の小規模な簡易サウナ室は、管理者・利用者・利用時間が浴場と同じなどの条件を満たせば、利用者の便利のための部分として(9)項ロに含めて扱われます(東京消防庁)。
サウナを併せた銭湯がどちらに当たるかは、所管の消防署で確かめます。個室サウナは個室サウナ開業ガイドへ。
温浴施設の
前の業態と残っている設備を伺い、温浴に対応できる会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
銭湯の居抜き物件の探し方と、募集情報で確かめること
銭湯・温浴施設の居抜き物件は、店舗の物件サイトのほか、後継者を探す浴場の事業承継や、事業の譲渡の案件から探します。見つけたら、営業中か廃止済みかと、設備の記録を先に確かめます。
公衆浴場は、後継者難による廃業や、立地を生かした他の事業への転換で年々減っているとされ、経営者の高齢化や後継者の不在で事業の継承が難しくなっています。いわゆる銭湯(一般公衆浴場)は令和6年3月末で2,847施設です(厚生労働省「公衆浴場業概要」)。
探し方は主に3つです(許可の扱いは→許可の章)。
募集情報と内見で確かめること
- 「現況渡し」(今の内装・設備を残したまま渡す)か「スケルトン渡し」(撤去して渡す)か。残る設備の所有者(貸主・前の営業者・リース会社)と撤去の負担。「内装設備無償貸与」「造作譲渡料 0万円」とあっても、壊れたときに誰が直すか、退去の時に撤去するかは契約で確かめる
- 「業種相談」とあっても、公衆浴場の許可が取れるかは別。図面で保健所に相談する
- 住居と一体の建物か。住居との区画、出入口、ボイラー室の位置
- 土地と建物の所有者が同じか。屋根・煙突・ボイラーの修繕を誰が負担するか
- 用途地域と、検査済証(確認どおりに完成した証明)があるか
造作譲渡で何を受け取り、誰に払うか(対象物・支払先・譲渡価格の決め方)、リース品の確かめ方、引渡し後の故障や原状回復の分け方は、居抜き改装ガイドの「造作譲渡と工事契約」の章にまとめています。
募集図面や設備の写真は、紹介先との打ち合わせで使えるよう手元にそろえておきます。下のリンクを押すと相談の入力画面に進み、物件の状況は「検討中・現在探している」などから選べます。物件の条件から相談する(無料)
前の業態ごとに流用できる設備と確かめること
流用できるかは、前の業態の名前ではなく、防水・配管・電気の容量・設備の所有者・点検記録を調べて決めます。費用ページも、居抜きという理由だけで流用できるとは扱っていません(→費用の考え方)。
銭湯の建物を、浴場ではない店に使うなら(業態の変更)
廃業した銭湯の建物は、オフィスやカフェなどに使われる例もあります(→写真の1件目)。浴場をやめて別の業態にするなら、次の3つを先に確かめます。
浴場以外に使うときに確かめること
- 用途の変更:用途を変えて飲食店や宿などの特殊建築物にする部分が200㎡を超えると、確認申請が要るとされます(建築基準法第87条・第6条)。検査済証の有無と、天井の高い浴室の構造・耐震は建築士と確かめる
- 業種の許可:飲食を出すなら食品衛生法の営業許可、人を泊めるなら旅館業の許可などが要るかを保健所で確かめる。浴場の営業をやめると営業者は10日以内に廃止の届出をすることとされるため(公衆浴場法施行規則第4条)、前の営業者が出したかも確かめる
- 浴場の設備:ボイラー・煙突・燃料タンク・浴槽・ろ過器を残すか撤去するか。撤去と、床の段差・防水の直しは見積もりを分ける
写真で見る銭湯・サウナの居抜き・改修と、ビルの一室・屋外の例(公開事例7件)
銭湯をオフィスとカフェに変えた例、機械室などを生かした銭湯の全面改装、入口の改修の3件と、ビルの一室や屋外に新しく作ったサウナの4件です。
内装・設計・施工会社などが公式に公開している事例です。各カードに、写真で見えること・公式の記載・居抜きで見る所と出典を付けました。「新しく作った例」の4件は、居抜きかどうかが公式に書かれていません。出典の会社は、当サイトからの紹介先を示すものではありません。費用は写真からではなく、費用の章の例と見積もりで比べます。
銭湯のころの浴室
浴室にオフィスブース

工事前
工事後


公衆浴場の許可|承継できる場合と、新しい許可が要る場合
承継は、営業中の浴場業を譲渡・相続・合併・分割で引き継ぐときの届出です。廃止の届出の後や建物だけの賃貸・売買は新しい許可になると考えられ、引き継いだ後に大きく直すと、新しい許可と同じ扱いになる場合があります。
公衆浴場を業として営むには、都道府県知事など(保健所設置市・特別区は市長・区長)の許可が必要とされ、構造設備・衛生の基準と距離(配置)の基準は条例で決まります(公衆浴場法第2条・第3条)。
事業ごと譲り受けるなら「承継」
営業者が浴場業を譲渡したときや相続・合併・分割では、引き継いだ人が営業者の地位を承継し、遅滞なく書面を添えて届け出ることとされています(第2条の2)。譲渡による承継は令和5年12月13日施行の改正で加わり、それまでの譲渡は新しい許可の申請でした(改正前の条文・川崎市)。
中野区は、地位承継届の手数料を不要とし、事業の一部の譲渡は新規になることがあり、譲渡後に増設など大幅な変更をするなら新規と同様の扱いと案内しています。承継後は保健所が業務の状況を調べ、衛生管理の責任は譲り受けた人にあります(中野区)。
届出には譲渡契約書の写しなど譲渡を証する書類を添え、承継の前後で許可の内容は原則として変わりません(鹿児島県)。
会社ごと(株式の譲渡)で引き継ぐなら、営業者の法人そのものは変わりません。港区は、法人の名称・代表者などが変わったときは10日以内に変更届としています(港区)。扱いは所在地の保健所で確かめます。
建物だけを借りる・買うなら「新しい許可」
営業をやめると10日以内に廃止の届出をすることとされています(公衆浴場法施行規則第4条)。廃止の後や建物だけの賃貸・売買は浴場業の譲渡に当たらないと考えられ、新しい許可の申請になります。条例の今の基準を満たすことが求められます。
銭湯として許可を取るなら距離の基準が問われます。東京都の条例(都が許可する地域)は既設の銭湯と300m以上で、知事が認める場合の例外があり、23区は区の条例で墨田区は200m以上です(東京都の条例・墨田区の条例)。
距離の対象と例外も条例で違います。徳島県は新たに公衆浴場を開く場合、原則として既設の銭湯から300mの区域外を求め、温泉を使う場合や同じ場所で続ける場合などを例外としています(徳島県)。
川崎市は、一般公衆浴場の新規の許可を原則として既存の一般公衆浴場の相続・改築など事業の継続性が認められる場合としています(川崎市)。営業種別を変える場合や、大規模な増改築で同一性が失われる場合も新たな許可です(港区)。港区の手引(サウナなどその他の公衆浴場向け・令和7年9月)は、構造設備が許可の内容と同一性を失う例を「50%以上の内部改造、100%以上の増改築」としています(港区の手引)。
新しい許可の申請に、大阪市は建築基準法の検査済証の写しと消防法令適合通知書(消防署が基準に合うかを確かめて出す書類)を、徳島県はサウナなどの浴場でその写しを求めます(大阪市・徳島県)。
許可の申請手数料は川崎市・大阪市・徳島県などで22,000円です。承継の届出は、川崎市が無料、中野区が手数料不要としています。
港区は、設計の段階での事前相談と、施設の完成後の検査を経て、書類に不備が無ければ2週間程度で営業許可書を出すとし、申請には周辺の見取図(半径300メートル)も添えます。工事が終わってから営業を始めるまでの期間も、家賃と資金の計画に入れます。
承継か新しい許可かを確かめる前に、図面と設備の状態を整理する
押すと相談の入力画面に進みます(相談無料・会員登録不要)。入力は一度だけで、事務局が候補の会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接、改修の範囲や設備の状態を相談して見積もりを取り、提案を比べて自由に選べます。
ご紹介までの費用はかかりません。紹介先の現地調査・見積作成・設計・工事の費用や条件は、依頼の前に紹介先へご確認ください。
温泉法の利用許可・温泉成分の掲示と10年以内ごとの分析
事業譲渡や建物の購入・賃借で温泉を使うなら、利用の許可は新しく申請する前提で工程を組み、前回の成分分析の日(10年以内ごと)と湯の供給の契約を確かめます。
温泉を公共の浴用や飲用に使うには、都道府県知事の利用の許可が必要とされます(保健所設置市・特別区では市長・区長。温泉法施行令第2条)。この許可を引き継げるのは合併・分割・相続で、いずれも知事などの承認が要ります(温泉法第15〜17条)。
譲渡で引き継ぐ規定は無いため、事業譲渡や建物の購入・賃借で温泉を使う人は、新たに利用の許可を申請することになると考えられます。公衆浴場の許可の承継とは扱いが違うので、所管の窓口に確かめてから工程を組みます。
温泉の成分・禁忌症・入浴上の注意は施設内に掲示し、前回の温泉成分分析から10年以内ごとに分析を受けて、結果の通知から30日以内に掲示を改めます。掲示や変更の前には届出が要ります(第18条、温泉法施行令第1条)。前回の分析日を確かめます。
源泉が別の所有者のものなら、湯の供給の契約(量・温度・期間・費用・名義の変え方)を物件の契約とは別に確かめます。
自前の源泉から採取する場合(採取の許可と確認)を見る
自前の源泉から採取するなら、温泉の採取の許可か、可燃性天然ガスの濃度が基準以下である確認のどちらかが必要とされます(第14条の2・第14条の5)。確認は事業の全部の譲渡でも引き継げますが、採取の許可に譲渡の規定は無いため、前の営業者がどちらを受けているかを確かめます(第14条の3・第14条の4・第14条の6)。
消防法施行令別表第一(9)項イ・ロと、銭湯をサウナ主体に変えるとき
(9)項イ(サウナが主の浴場など)は(9)項ロより設備の基準が厳しく、銭湯をサウナ主体に変えると、今の基準に合わせる設備が増えることがあります。建物全体の用途と面積で決まるため、図面の段階で消防署へ相談します。
消防用設備の要否は、建物全体の用途・延べ面積・階・収容人員で決まります。ビルの一部なら複合用途の建物として扱われるため、借りる部分だけで判断しません。主な数値は次のとおりです(消防法施行令)。
銭湯((9)項ロ)をサウナ主体((9)項イ)に変えると
基準が改正されても既存の消防用設備は原則として従前の基準で扱われますが、特定防火対象物は例外で、今の基準に合わせます。用途を変えて特定防火対象物になる場合も同じです(消防法第17条の2の5・第17条の3)。
東京消防庁は、工事をしなくても建物を使い始める7日前までに使用開始の届出が要り、工事をするなら着手の7日前までに工事等の計画の届出も要ると案内しています(使用開始の届出・テナントの届出)。期限は所在地の火災予防条例で確かめます。
排水の規制|下水道法と水質汚濁防止法(旅館業のほう素・ふっ素)
下水道・川や海・浄化槽のどれに流すかで届出と基準が変わり、温泉旅館を日帰りに変えるなら、ほう素・ふっ素の扱いも環境部局で確かめます。
排水の規制は流す先で変わります。公共下水道に流すなら、1日に最も多く流す汚水が50㎥以上のとき使い始める前に届け出て、45℃以上の排水は条例で除害施設(冷ますなどの設備)を求められる対象です(下水道法施行令第8条の2・第9条)。
川や海に直接流す場合の水質汚濁防止法は、政令の一覧にある「特定施設」を持つ事業場が対象です。旅館業の入浴施設は一覧にありますが、公衆浴場そのものは一覧にありません(水質汚濁防止法施行令別表第一)。
日帰りの浴場でも、宿泊を併せる場合や、大きな厨房・浄化槽がある場合は対象になりえます。都道府県は条例で排水基準を厳しくでき(水質汚濁防止法第3条第3項)、特定施設の無い事業場の排水も条例で規制できる(第29条)ため、環境部局で確かめます。
温泉にはほう素・ふっ素を含むものがあり、一般の排水基準は海域以外でほう素10mg/L・ふっ素8mg/Lです(環境省)。温泉を使う旅館業には、これより緩い暫定の排水基準が当分の間適用されています(環境省の2025年5月26日の発表、温泉の区分は大分県の一覧)。温泉旅館を日帰りの施設に変えるなら、排水の扱いも確かめます。
サウナストーブ・ロウリュ・水風呂の安全設計
残ったストーブは型番・届出の控え・点検の記録を、サウナ室は窓・非常用ブザー・扉が国の要領と通知に合うかを確かめます。屋外のバレルサウナや小屋は、建築確認の要否を建築の窓口で確かめます。
サウナ設備の位置・構造・管理は市町村の火災予防条例で決まり、ストーブと可燃物の離隔や、温度が異常に上がったときに熱源を切る装置などが求められます。設置や変更の届出を求める消防本部もあります(札幌市消防局の解説)。残ったストーブを使うなら、型番・届出の控え・点検の記録を確かめます。
国の衛生等管理要領は、サウナ室に室内を見通せる窓と、見やすい場所の非常用ブザー等を設けるとしています(厚生労働省)。令和8年4月21日の通知は、緊急時の連絡・駆けつけの体制と、開閉に支障のない扉について自治体に指導を求めています(通知)。
扉の開き方とブザーの受信場所の決め方はサウナ・温浴の内装ガイド(設計・動線・安全)にまとめています。水風呂のチラー(冷却機)は、設定する水温・浴槽の容量・利用の多さで要否と能力を決めます。
屋外にバレルサウナや小屋を置くなら、建築物として確認申請が要るかを建築の窓口で確かめます。防火地域・準防火地域の外で10㎡以内の増築などは確認申請が要らないとされますが、敷地に建物が無ければ新築の扱いで、建築基準法への適合も別に問われます(建築基準法第6条)。
サウナストーブ・水風呂・扉の条件を伝えて相談する(無料) →
給排水・ボイラー・熱源・空調の老朽化リスク
ボイラー・ろ過器・配管・防水は、型式と製造年、点検と修理の記録、止めていた期間と試運転の可否で残りの寿命を見ます。
居抜きの判断を分けるのは、見た目より裏方の設備の残りの寿命です。税法の耐用年数は浴場業用設備13年、給排水・衛生設備15年で(国税庁)、実際の寿命ではありませんが、更新の時期を事業計画に置く目安になります。
内見と書類で確かめること
- ボイラー:型式・能力・燃料・製造年、点検と修理の記録、煙突と燃料タンクの状態(燃料の種類と量によって、消防への届出や許可が要る場合がある)
- 大気汚染防止法:燃料の燃焼能力が重油換算で1時間50L以上のボイラー(電気・廃熱だけのものを除く)は届出の対象。届出済みの施設を譲り受け・借り受けた人は地位を承継し、30日以内に届け出ることとされる(大気汚染防止法第12条)。届出先は所在地の自治体で確かめる
- ろ過器・循環配管:浴槽ごとの系統、ろ過の能力(国の要領は1時間あたり浴槽の容量以上)、逆洗浄(逆向きに水を流して汚れを出す作業)と消毒の記録
- 配管・防水:漏水の跡、配管の材質と経路。調べられない床下は見積もりの前提に書く
- 電気・ガス・水道:受電の容量と引込み、ガスの容量、給水管の口径、ストーブ・チラー・ポンプを同時に使う容量
- 休業の期間:止めていた期間と、ボイラー・ろ過器・ポンプを試運転で動かせるか。長く止めた設備は状態を確かめにくい
- 水質検査の記録(国の要領は結果を3年間保管)と、空調・換気扇の状態
費用ページも、地下水や既存のボイラーを使えるというだけで安くなるとはしていません。会社の見極め方はサウナ施設の内装業者の選び方へ。設備ごとの費用は温浴の5大設備の設置費用へ。
居抜きの費用の考え方|流用できる範囲と費用ページのモデル
居抜きの費用は、残す設備の状態で桁が変わります。部位の修繕で済む例から、全面改装・建て替えまでを、当サイトの費用ページと同じ数字で下の表に並べました(物件取得・開業準備・運転資金は別)。
居抜きの費用は、流用する設備と更新する設備の分け方で決まります。サウナ・銭湯・岩盤浴の内装費用のページは、既存の銭湯の改修を次の4つに分けて見積もるとしています。
休業している銭湯は設備が傷み、借りられても設備の更新に数千万円かかるという、東京都の調査報告の中の発言もあります(費用ページ)。休業の期間と試運転の可否は→老朽化の章。建て替えるなら解体も別に見込み、木造は1坪あたり32,000円から、鉄筋コンクリート造は40,000円からとする解体会社の公表があります(煙突があると割高になることもあり、地下の機械室・ボイラー・浄化槽・石綿は別に調べて見積もる)。
どれも費用ページ(数字と出典の確認 2026年10月9日)と同じ数字です。造作譲渡料や事業の譲渡の対価、保証金は工事費とは別に見込みます。営業を続けながら直すなら、温浴施設の改装(営業を残す範囲・設備停止・再開まで)も参考になります。
開業後の水道・給湯燃料・電気・保守は、費用ページの記入式で4項目に分けて自分の数字で出します。都府の原価計算表では、標準的な銭湯1軒のこの4項目だけで、東京都の推定で月約65.8万円、大阪府の推定で月約73.8万円です。居抜きなら、前の営業者の光熱水費の実績(検針票や請求書)があると出しやすくなります。ほかの施設の事例は温泉・サウナ・銭湯・スパの施工事例一覧で見られます。
流用できる設備と更新する設備を分けて見積もる
前の業態・物件の状態・残っている設備を一度入力すると、事務局が候補の会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます。
ご紹介までの費用はかかりません。紹介先の現地調査・見積作成・設計・工事の費用や条件は、依頼の前に紹介先へご確認ください。ご紹介後に契約する義務はありません。
前オーナーから引き継ぐもの|設備の所有・回数券・源泉の契約
契約で決めるのは、設備の所有とリースの残り、回数券・会員、湯の供給、人と取引先、屋号・予約の登録の5つです。
許可とは別に、契約で決めるものがあります。造作譲渡(内装や設備を前の借主から買い取る契約)や事業譲渡の契約書に、引き継ぐ物と条件を明細で書きます。
ビルのテナントなら、ビル側が工事業者を指定する範囲(B工事)と退去時の撤去の範囲も確かめます(A工事・B工事・C工事の違い)。
契約前チェックリスト15項目
許可・手続き5つ、設備5つ、契約5つの15項目です。営業中の浴場なら、廃止の届出の前に全部を保健所・消防署・前の営業者と確かめます。
許可・手続き
- 営業中か廃止済みか、承継か新しい許可かを保健所に確かめた
- 銭湯として新しく許可を取るなら、条例の距離の基準と今の構造設備の基準を確かめた
- 温泉を使うなら、利用の許可の申請と前回の成分分析の日を確かめた
- 消防の区分((9)項イかロか)と建物全体の設備・届出、過去の検査で受けた指摘が残っていないかを、消防署と保健所に確かめた
- 排水の行き先(下水道・川・浄化槽)と届出の要否を確かめた
設備
- ボイラー・ろ過器の型式・製造年・点検と修理の記録を受け取った
- 配管と浴室の防水の状態を調べ、調べられない所を見積もりの前提に書いた
- 受電の容量と、ストーブ・チラー・ポンプを同時に使う容量を確かめた
- 煙突・燃料タンク・機械室の状態と、機器の交換の経路を確かめた
- 水質検査の記録と、サウナ室の窓・非常用ブザー・扉の状態を確かめた
契約
- 設備の所有者とリースの残り、撤去の負担を契約書に書いた
- 土地と建物の所有者と、修繕の負担の分け方を確かめた
- 回数券・会員・湯の供給の契約の扱いを決めた
- 直近12か月の光熱水費の実績を受け取った
- 検査済証の有無と、住居との区画を確かめた
確かめた項目と、残っている設備の写真・図面をそろえると、紹介先との最初の打ち合わせで改修の範囲を決めやすくなります。温浴施設の居抜き改修を相談する(無料)
よくある失敗と回避策
確認の漏れで起きやすい典型パターン(想定されるケース)です。
- 廃止の届出の後に引継ぎを決める:承継が使えず、新しい許可と、条例によっては距離の基準の確認からになる。→営業中に保健所へ相談する
- 銭湯をサウナ主体に変えてから消防に相談する:(9)項イの基準で設備が足りない。→図面の段階で消防署へ
- 温泉の利用許可も引き継げると思い込む:許可の申請の期間が工程に入っていない。→譲渡の前に所管へ確かめる
- 設備の所有者を確かめずに契約する:リースの残りや撤去の負担が後から出る。→明細を契約書に書く
- 大きな改修を承継の後に決める:許可の内容と同一性を失うとして、新しい許可の扱いになる場合がある。→改修の範囲は承継の前に図面で保健所へ
- 「無償貸与」の設備の修理を決めずに借りる:壊れたときの修理と退去の時の撤去でもめる。→誰が直し、誰が撤去するかを契約書に書く
よくある質問
銭湯の居抜き物件は、どうやって探せばいいですか?
後継者を探す浴場の事業承継(国が47都道府県に置く事業承継・引継ぎ支援センターや、地域の浴場の組合)、事業の譲渡の案件、物件サイトの居抜き・現況渡しの3つから探します。物件サイトでは浴場の区分が無いことがあるため、「居抜き」「現況渡し」「サウナ」などの語と前の業態の写真で見ます。見つけたら、営業中か廃止済みかを先に確かめます(許可の扱いが変わるため)。
前の営業者の公衆浴場の許可は引き継げますか?
浴場業の譲渡・相続・合併・分割なら、公衆浴場法第2条の2により営業者の地位を承継し、保健所へ届け出ることとされています(譲渡は令和5年12月13日施行の改正から)。建物だけの賃貸・売買や廃止の届出の後は承継に当たらないと考えられ、新しい許可になります。事業の一部の譲渡や大幅な変更も新規の扱いになることがあります。
廃業した銭湯を借りて、銭湯として再開できますか?
新しい許可の申請になり、条例の今の構造設備の基準と距離の基準が問われます。東京都の条例(都が許可する地域)は既設の銭湯と300m以上、23区は区の条例で決まり、例外の定めも条例ごとです。川崎市は一般公衆浴場の新規の許可を原則として事業の継続性が認められる場合としており、所在地で大きく違うため、保健所で確かめます。
銭湯をサウナ中心の施設に変えるとき、何が変わりますか?
営業種別を変えると新しい許可になる例があり(港区)、消防の区分が(9)項イになると特定防火対象物として今の基準に合わせます。自動火災報知設備は延べ面積200㎡以上、防火管理者は収容人員30人以上で必要とされます。区分は所管の消防署で確かめ、浴槽を水風呂に使えるか、サウナ室の電気容量も調べます。
蒸気浴場と熱気浴場の違いは何ですか?
東京消防庁の取扱いでは、蒸気浴場は蒸気浴を行う公衆浴場、熱気浴場は電熱器などを熱源として高温低湿の空気を使う公衆浴場です。札幌市消防局の解説はサウナを室温約90〜110℃・湿度約5〜15%、スチームサウナを約40〜50℃・湿度100%としています。別表第一では、どちらも(9)項イの公衆浴場です。
温泉付きの施設を譲り受けると、温泉の利用許可はどうなりますか?
温泉法で利用の許可を引き継げるのは合併・分割・相続で、知事などの承認が要ります。譲渡の規定は無いため、事業譲渡や購入で温泉を使う人は新たに利用の許可を申請することになると考えられ、所管の窓口で確かめます。前回の成分分析の日(10年以内ごと)と、湯の供給の契約も確かめます。
居抜きなら、どのくらい費用を抑えられますか?
一律の割合は示せません。費用ページの例では、銭湯の部位の修繕・機器の交換が121万〜500万円、全面改装が2億〜3億円で、設備を残して自分たちで直し約2,700万円に収めた運営会社の話(1社・一般化はできない)もあります。抑えられるかは、ボイラー・ろ過器・配管・防水の残りの寿命と点検記録で決まるため、残す設備と更新する設備を分けた同じ条件の見積もりで比べます。
公衆浴場と銭湯は何が違いますか?
公衆浴場は、銭湯もサウナ施設も含む法律の言葉です(公衆浴場法第1条)。銭湯はその中の一般公衆浴場で、入浴料の上限(統制額)と距離の基準があるのがほかとの違いです。公衆浴場の許可施設2万3,673のうち、一般公衆浴場は2,847施設です(令和6年3月末・厚生労働省)。
銭湯の建物を、カフェやオフィスなど浴場以外に使えますか?
使われている例があります。廃業の決まった銭湯の建物を借りて、浴室側をシェアオフィス、脱衣所側をカフェにした公開事例があり、天井の高い浴室は柱と梁を加えて耐震構造にしています(写真の章の1件目)。用途の変更・業種の許可・浴場の設備の撤去は、前の業態ごとの流用の章の「業態の変更」で確かめます。
居抜きの銭湯を大きく改装すると、許可はどうなりますか?
港区の手引(サウナなどその他の公衆浴場向け)では、構造設備を変えたら変更後10日以内に変更届(事前に保健所へ相談)、増改築や改装で施設の同一性が失われるなら変更届ではなく新たな許可で、その例を「50%以上の内部改造、100%以上の増改築」としています。銭湯やほかの市区の扱いは、改修の図面を持って所在地の保健所で確かめます。
相談すると何が進みますか?費用はかかりますか?
相談と会社のご紹介は無料で、会員登録も要りません。入力は一度だけで、事務局が候補の会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接、改修の範囲を相談・見積もりし、提案を比べて自由に選べます。紹介先の現地調査・見積作成・設計・工事の費用や条件は、依頼前に紹介先へご確認ください。
この記事について
運営:株式会社BPBコンサルティング(店舗内装の会社紹介サービス「店舗内装ドットコム」)。
法令・制度は各章に示した法令と自治体の案内の原文で確かめ、所在地の条例や所管の運用で変わる点は確認先を書いています。費用は費用ページと同じ数字(会社・自治体の公表額、報道、東京都の調査報告と運営会社の話の例)だけを使っています。写真は内装・設計・施工会社などの公式サイトの公開事例で、公式の記載とともに2026年10月12日に確かめました。個別の判断は、保健所・消防署・建築や環境の窓口、行政書士などにご確認ください。
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