なぜ内装会社に多角化が必要なのか
「店舗内装の新装工事だけに頼っていたら、景気が悪くなった瞬間に仕事が消える」──この危機感を持っている内装会社の経営者は少なくありません。内装業は景気や不動産市況の影響を受けやすく、新規出店が減ればそのまま売上に直結します。BtoB案件(店舗・オフィス内装)は特に景気変動の影響が大きく、BtoC案件(住宅リフォーム)は比較的安定していますが、季節波動(繁忙期10〜3月、閑散期7〜8月)の影響を受けます。
| リスク | 具体的な状況 | 多角化による対策 |
|---|---|---|
| 景気変動リスク | 不景気で新規出店が減ると新装工事が激減する | リフォーム・原状回復のような景気に左右されにくい領域を持つ |
| 季節波動リスク | 繁忙期と閑散期で売上が2〜3倍の差がある | 年間を通じて安定する事業を追加(メンテナンス等) |
| 単一クライアント依存リスク | 売上の50%以上を1社から受注している場合、その取引がなくなると経営危機 | 複数の事業領域から収益を上げ、特定クライアントへの依存度を下げる |
| 技術陳腐化リスク | 特定の工法や工種しかできない場合、需要が変化すると対応できない | 新しい技術・サービスを取り入れ、対応領域を広げる |
| 人材リスク | 特定の職人に依存している場合、退職で事業が回らなくなる | 複数の事業を持つことで、人材の流動性と柔軟性を確保 |
ただし「多角化すれば安心」ではなく、本業の内装工事が安定していることが前提です。本業の利益率が20%以下の場合は、まず本業の利益率改善(元請け化、見積もり改善)を優先しましょう。利益率ガイドや下請け脱却ガイドを先に確認してください。
内装会社が参入しやすい5つの事業領域
| 事業領域 | 初期投資 | 利益率目安 | 難易度 | 参入のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 住宅リフォーム | 低(既存の技術で対応可能) | 30〜45% | ★★ | BtoCマーケティング(MEO・チラシ)が必要。口コミが命 |
| 原状回復工事 | 低(解体+クロス+床がメイン) | 35〜50% | ★ | 不動産管理会社との関係構築が鍵。繁忙期は3〜4月 |
| 設計・デザイン | 中(CADソフト・デザイナーの確保) | 40〜60% | ★★★ | 設計料を別途請求できるため利益率が高い |
| 物販店舗の内装コンサルティング | 低(知識と人脈のみ) | 50〜70% | ★★★ | 出店計画からの一括サポート。コンサルフィーで収益 |
| 定額メンテナンスサービス | 低(月額契約の仕組み構築) | 60〜80% | ★★ | 月額1〜5万円×契約数。ストック収益で安定 |
住宅リフォームへの参入
店舗・オフィス内装が主力の会社がBtoC住宅リフォーム市場に参入するケースが増えています。LGSの建て込みやボード貼り、クロス施工の技術はそのまま活かせるため、技術的なハードルは低いです。ただしBtoCマーケティングはBtoBとは全く異なり、MEO対策、Googleの口コミ、チラシのポスティングが集客の主軸になります。MEO対策ガイドで地域密着の集客方法を確認してください。
原状回復工事への参入
テナント退去時の原状回復工事は、内装会社にとって最も参入しやすい領域です。解体+クロス張替え+床張替えが主な工事内容で、既存の技術で対応可能。利益率も35〜50%と高く、繁忙期の3〜4月は案件が集中するため、計画的に受注すれば大きな収益源になります。不動産管理会社や賃貸仲介業者との関係を構築し、「原状回復ならウチに」と第一想起される存在を目指しましょう。
原状回復工事への参入方法
原状回復工事は内装会社の多角化において最も成功率が高い領域の一つです。しかし、単に工事ができるだけでは受注につながりません。不動産管理会社との関係構築と、迅速な対応力が求められます。
| ステップ | 内容 | 所要期間 | 具体的なアクション |
|---|---|---|---|
| ①ターゲットの特定 | 地域の不動産管理会社をリストアップ | 1〜2週間 | 管理物件数が50件以上の管理会社を優先 |
| ②挨拶回りと提案 | ポートフォリオを持参して訪問営業 | 1〜3ヶ月 | 「原状回復のお見積りを無料で対応します」と提案 |
| ③見積もりの即日対応 | 現地調査から当日〜翌日で見積もり提出 | ── | 管理会社は「早く・安く・きれいに」を求めている |
| ④繁忙期(3〜4月)の体制構築 | 職人の事前確保、資材の先行手配 | 1〜2ヶ月前 | 退去集中時期に対応できる体制を整える |
| ⑤リピート受注の仕組み化 | 施工完了後のフォロー、定期訪問 | 継続 | 年間契約の提案。「原状回復は全てウチに」のポジション確立 |
原状回復工事のポイントは「スピード」です。管理会社は退去から次の入居者の入居までの空室期間を最小化したいため、見積もりの即日対応と短工期の実現が受注の決め手になります。営業方法ガイドで不動産会社への営業スクリプトを確認してください。
設計・デザイン機能の内製化
内装工事だけでなく設計・デザインも自社で対応できれば、案件の上流から関われるため利益率が大幅に向上します。施工のみの場合の利益率25〜35%に対し、設計+施工の場合は35〜50%を確保できる傾向があります。
| 内製化の方法 | 初期投資 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| デザイナーを正社員で採用 | 月給25〜40万円 | 常に社内でデザイン対応可能。ブランド統一が容易 | 固定費の増加。案件がない時も給与が発生 |
| フリーランスデザイナーと業務委託 | 案件ごとに10〜30万円 | 必要な時だけ依頼できる。固定費が増えない | デザイナーの確保が不安定。自社のノウハウが蓄積されにくい |
| 3D CADソフトの導入 | 10〜50万円(ソフト代)+学習コスト | パースやCGを自社で作成可能。提案の質が向上 | 学習に3〜6ヶ月。操作スキルの習得が必要 |
| 社長自身がデザインスキルを習得 | 通信講座5〜20万円 | 外注コストゼロ。施工知識とデザインの両方を活かせる | 学習時間の確保が難しい |
まずはフリーランスデザイナーとの業務委託から始め、案件数が増えてきたら正社員採用を検討するのが段階的なアプローチです。BtoB案件(店舗・オフィス)ではパースやCGが提案の成否を左右するため、設計機能の内製化は受注率の向上にも直結します。Instagram活用で施工事例+デザイン提案の見せ方を確認してください。
BtoB店舗内装からBtoC住宅リフォームへの展開戦略
店舗・オフィス内装(BtoB)と住宅リフォーム(BtoC)は、必要な技術は共通していても、マーケティング・営業・価格設定が全く異なります。BtoBの実績をそのままBtoCに展開しても、集客は成功しません。
| 項目 | BtoB(店舗・オフィス) | BtoC(住宅リフォーム) |
|---|---|---|
| 集客方法 | マッチングサイト、不動産会社紹介、設計事務所連携 | MEO、チラシ、Googleの口コミ、Instagramの施工事例 |
| 意思決定プロセス | 提案書→相見積もり→プレゼン→発注 | HP・口コミ確認→問い合わせ→現地調査→即決 |
| 単価帯 | 300〜3,000万円 | 30〜300万円 |
| 重視されるポイント | 実績、提案力、工期管理 | 価格、口コミ、近所の評判、人柄 |
| 営業スタイル | 提案型(企画書・プレゼン) | 反響型(問い合わせ対応) |
| リピート率 | 高(多店舗展開・定期改装) | 低(10〜20年に1回) |
BtoC展開のポイントは、HPとGoogleビジネスプロフィールを住宅リフォーム向けに最適化することです。BtoBの施工事例だけでは住宅オーナーには響きません。「6畳の壁紙張替え:5〜8万円」「トイレリフォーム:20〜40万円」のように、住宅オーナーが検索するキーワードと価格帯に合わせた情報発信が必要です。HP集客ガイドやMEO対策ガイドで具体的な方法を確認してください。
多角化で失敗する3つのパターン
| 失敗パターン | 具体例 | 対策 |
|---|---|---|
| ①本業がおろそかになる | 新事業に注力するあまり、主力の店舗内装の品質が低下。既存顧客からのクレーム増加 | 新事業に投入する人員とコストの上限を決める。本業の利益率が低下したら新事業を見直す |
| ②人材の分散 | 少ない人員を複数事業に分散し、どの事業も中途半端になる | 新事業は既存社員の兼務ではなく、専任担当を1名決める。または外注で対応 |
| ③中途半端な投資 | 設計事務所を開設したが、CADソフトだけ買ってデザイナーを雇わなかった | 新事業に参入する前に、必要なリソース(人材・設備・資金)を全て洗い出し、確保してから開始する |
多角化の鉄則:まず1つの新事業を軌道に乗せてから、次の事業に展開する。同時に2つ以上の新事業を始めると、どちらも中途半端になるリスクが高まります。内装会社に最もおすすめなのは「原状回復工事」からの参入です。技術的ハードルが低く、利益率も高く、既存の営業ネットワーク(不動産会社)を活用できるためです。
多角化の成功事例2選
事例①:原状回復工事で閑散期の売上を確保、年商1.5倍に(東京都・G社 従業員6名)
G社は店舗内装が主力で年商5,000万円。閑散期(7〜8月)の売上が繁忙期の3分の1まで落ち込むのが課題でした。不動産管理会社5社に営業し、原状回復工事の受注を開始。初年度は年間15件(平均単価80万円)を受注し、約1,200万円の売上を追加。原状回復の利益率は40%と、店舗内装(30%)より高く、利益面でも大きく貢献。年商は5,000万円から7,500万円に成長しました。「閑散期にも安定した仕事があるという安心感は、精神的にも大きい」と社長は語ります。
事例②:設計機能の内製化で客単価40%アップ(大阪府・H社 従業員8名)
H社は飲食店の内装施工を得意とする年商8,000万円の会社。設計は外部のデザイナーに依頼していましたが、フリーランスデザイナーを業務委託で確保し、パース作成を自社で行う体制に移行。「デザイン+施工」のワンストップサービスを打ち出したところ、設計料(案件の5〜8%)が追加収益になるだけでなく、施工案件の受注率も向上。客単価は平均400万円から560万円に40%アップし、年商は8,000万円から1億2,000万円に成長しました。マッチングサイト比較や集客方法ガイドも合わせてご活用ください。
よくある質問(FAQ)
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