- 保険(受領委任)を扱うなら、開業前に「施術管理者」の要件を確認。柔道整復師は資格取得後の実務経験3年+施術管理者研修(16時間)、はり師・きゅう師は実務経験1年+研修が必要。自費のみなら要件なし(出典:日本政策金融公庫 創業ポイント/地方厚生局)
- 広さは構造設備基準が下限:施術室6.6㎡以上・待合室3.3㎡以上・室面積1/7以上の外気開放または換気装置・消毒設備。ベッド2台以上はカーテン等で区画、柔整+あはきの兼業は施術室2室(壁)。本ページの寸法モデルでは、1人・ベッド2台で約7坪、ベッド4台+物理療法機器で約13坪、6台で約19坪が目安(必要面積シミュレーターで自分の条件で算出)
- 届出は開設後10日以内に保健所へ開設届。保険を扱うならその受理印付き写しを添えて地方厚生(支)局へ受領委任の申出。労災・生活保護・共済・税務署は別途(届出の全体像)
- 整体・リラクゼーション(民間資格)は開設届も構造設備基準も不要で内装の自由度が最も高い。ただし「治療」など医療を連想させる表示は避ける。整体院の開業手順は整体院の開業ガイドへ
- 開業資金は「内装・機器・物件・運転資金」の4本柱で積む(資金の骨格)。坪単価・ベッド数別総額・費用シミュレーターは費用相場(坪単価・ベッド数別総額)と内装工事費の内訳へ
- 30秒診断:資格・届出・保険で分かれる3つの業態
- 開業までの流れ|開業日から逆算する12ヶ月スケジュール
- 開業に必要な届出・申請の全体像(保健所・厚生局・労働局・福祉事務所・税務署)
- 設計を決める「2つの軸」(業態×施術スペース)
- 業態別の違い(整体・リラクゼーション・接骨/整骨・鍼灸)
- 柔整・あはきの施術所構造設備基準(6.6㎡・3.3㎡・換気1/7・消毒)と兼業・広告制限
- 施術ベッドと個室化(オープン・カーテン・個室)
- 物理療法機器と電源(接骨・整骨の電療・ウォーターベッド)
- 必要な広さ|ベッド台数・仕切り・機器から坪数を逆算(必要面積シミュレーター)
- 待合・受付・プライバシー・バリアフリー
- 物件・居抜き・立地(構造設備基準を満たせる物件か)
- 各社公式サイトの施工事例(整骨院・接骨院・整体院・鍼灸マッサージ院/写真18枚)
- 内装の世界観(清潔感・リラックス・照明)
- 業態別の採算モデル(保険・自費・回転)
- 開業資金の骨格|内装・機器・物件・運転資金の4本柱
- 内装業者の選び方(業態・構造設備基準・物理療法機器)
- 工期・許認可の詰め方とよくある失敗
- よくある質問
- 整体・治療院内装の目的別ガイド
30秒診断:資格・届出・保険で分かれる3つの業態
整体院・接骨院・整骨院・鍼灸院は、見た目は似ていても法律上は別の世界です。内装を考える前に、次の3問で自分の院がどの枠に入るかを決めると、届出の要否・満たすべき構造設備基準・必要な設備が一気に定まります。
- Q1. 施術者は国家資格を持っていますか? 持っていない(民間資格・整体・リラクゼーション)→A:整体・リラクゼーション。柔道整復師→B:接骨院・整骨院。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師→C:鍼灸院・マッサージ院。
- Q2. 柔道整復と鍼灸(あはき)を同じ場所で行いますか? 行う→施術室は業務ごとに分けて2室。カーテンやパーテーションだけの区画を認めない保健所が多いので、壁で分ける前提で平面を組みます。
- Q3. 健康保険(受領委任)を扱いますか? 扱う→受付・会計・事務の動線と、症状の会話が待合に聞こえない距離を最初の平面で確保します。自費のみ→受付は小さくし、施術スペースと個室化に面積を回せます。
業態別 早見表(根拠法・届出・基準・広告・設備)
A 整体・リラクゼーション
- 根拠法なし(民間資格)
- 開設届不要
- 構造設備基準法定なし
- 表示の注意「治療」「治す」など医療を連想させる表現は避ける
- 保険不可(自費)
- 主な設備施術ベッド・個室化・空調
B 接骨院・整骨院
- 根拠法柔道整復師法
- 開設届開設後10日以内に保健所へ
- 構造設備基準施術室6.6㎡・待合3.3㎡・換気1/7・消毒設備
- 広告制限あり(施術方法・技能・経歴は広告不可)
- 保険骨折・脱臼・捻挫等は受領委任で可
- 主な設備ベッド・物理療法機器・受付事務
C 鍼灸院・マッサージ院
- 根拠法あはき法
- 開設届開設後10日以内に保健所へ
- 構造設備基準施術室6.6㎡・待合3.3㎡・換気1/7・消毒設備
- 広告制限あり(施術方法・技能・経歴は広告不可)
- 保険医師の同意がある場合に限り療養費
- 主な設備ベッド・個室・消毒/流し台・換気
※構造設備基準の数値は柔道整復師法施行規則・あはき法施行規則の規定。届出書式・指導基準(施術所の独立性、区画の方法など)は自治体で細部が異なるため、図面の段階で管轄保健所に確認してください(確認日:2026年9月1日)。
業態が決まったら、構造設備基準(施術室6.6㎡・待合3.3㎡・区画)に慣れた会社の図面と見積もりを比べるのが最短です。
開業までの流れ|開業日から逆算する12ヶ月スケジュール
整骨院・接骨院・鍼灸院の開業で手戻りが出る箇所は3つに集中します。①保険を扱うのに施術管理者の要件(実務経験+研修)を満たす時期を見ていない、②構造設備基準を図面で固めずに物件契約・着工する、③開設届と受領委任の順番を誤り、開業日に保険を扱えない。以下は開業日から逆算した目安の流れです(期間は目安。居抜きや物件が決まっている場合は短縮できます)。
「開設届を出した日」と「保険を扱える日」は別
受領委任は、保健所の受理印がある開設届の写しを添えて地方厚生(支)局に届出(個人契約は申出)し、受理されてから取り扱えます。開業初日から保険で受ける計画なら、開設届→受理印→厚生局提出→受理の日数を逆算し、施術管理者の実務経験期間証明書と研修修了証の写しを先に揃えておきます。整体・リラクゼーション(民間資格)はこの一連の届出が不要で、税務署の開業届のみです。
開業に必要な届出・申請の全体像(保健所・厚生局・労働局・福祉事務所・税務署)
柔道整復師・はり師・きゅう師の施術所は、提出先が5系統に分かれます。内装に直結するのは保健所の開設届(平面図に施術室・待合室の寸法と面積、換気、消毒設備の位置を記載)で、ここが構造設備基準と一体です。添付書類は自治体で様式が異なるため、事前相談で確認してください(以下は東京都南多摩保健所「施術所開設の手引き」を引用した日本政策金融公庫の創業ポイント〈2024年11月掲載〉と地方厚生局の案内にもとづく整理。確認日:2026年9月1日)。
① 施術所開設届(保健所)
- 期限開設後10日以内
- 様式柔道整復とあはきは別様式(兼業は各1通)
- 主な添付施術者の免許証の写し(原本確認)/平面図(各室の用途・施術室と待合室の寸法と面積・外気開放の面積と位置・換気装置・消毒設備の位置)/案内図
- 法人の場合定款・登記事項証明書(発行後6ヶ月以内)
- 内装との関係実地確認あり。図面段階の事前相談で指導基準(区画・独立性)を確認
② 受領委任の届出・申出(地方厚生〈支〉局)
- 対象健康保険(療養費)を受領委任で扱う施術所
- 順番開設届の後。受理印のある開設届の写しを添付
- 施術管理者の要件柔整:実務経験3年+施術管理者研修(16時間)/あはき:実務経験1年+研修
- 主な添付確約書・届出(申出)書・免許証の写し・実務経験期間証明書の写し・研修修了証の写し
- 開始日受理された日から取扱い可
- オンライン資格確認受領委任を扱う施術所は「資格確認限定型」の導入が原則義務(2024年12月2日〜)。読取端末の置き場所・電源・回線を受付の図面に入れる
③ そのほかの指定・届出
- 労災保険(都道府県労働局)労災の患者を扱う場合に指定を受ける
- 生活保護法の指定施術機関(福祉事務所)施術者ごとに指定
- 共済組合・防衛省公務員等の保険を扱う場合に各機関へ
- 税務署個人事業の開業届(開業から1ヶ月以内)。青色申告承認申請は2ヶ月以内
- 消防使用開始・工事に関する届出は自治体の火災予防条例による。内装会社と分担を確認
※必要書類・様式・期限の細部は管轄機関で異なります。一次情報:日本政策金融公庫「はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所の創業ポイント」(開設届の提出書類・構造設備基準・受領委任・施術管理者要件)、各地方厚生(支)局の受領委任の案内、厚生労働省「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等向け)」(柔整あはき施術所の原則義務化)。
設計を決める「2つの軸」(業態×施術スペース)
治療院系の内装は「どんなデザインにするか」から考え始めがちですが、平面と設備を本当に動かしているのはその前段です。「業態」と「施術スペース」の2軸で、届出・必要設備・平面の大枠はほぼ決まります。
軸1:業態(整体/接骨・整骨/鍼灸)
整体・リラクゼーションか、接骨院・整骨院か、鍼灸院かで、必要な設備と法令がまったく違います。整体・リラクゼーションは民間資格で施術ベッド中心の軽い構成、接骨院・整骨院は柔道整復師が保険にも対応し物理療法機器と受付事務が要り、鍼灸院はあはき法のもとで衛生(消毒・換気)を重視します。同じ坪数でも、整体と接骨では設備の中身がまるで違います。
軸2:施術スペース(主役)
面積の主役は施術スペースです。施術ベッドを何台並べるか、仕切り方(オープン/カーテン仕切り/個室)をどうするかで、造作と平面が変わります。個室化を進めるほど間仕切り・防音・ドアの造作が増え、プライバシーと客単価は上がります。回転を取るか単価を取るか、目指す収益の形から決めます。ベッド間の通路や受付の位置も、回転と動線に影響します。
治療院系は「業態×施術スペース」
一般の店舗も内装で計画が変わりますが、治療院系は業態と施術スペースのつくり方が主役です。だから平面は「業態 × 施術ベッド数 × 個室化 × 坪数 × 物件」で決まります。まず業態と施術スペースを固めることが、ぶれない計画づくりの出発点です。業態と施術スペースが決まれば、坪数や物件は後から調整できます。
業態別の違い(整体・リラクゼーション・接骨/整骨・鍼灸)
治療院系は業態で資格・保険・必要設備がまったく違います。業態ごとの要点を見ていきましょう。
整体・リラクゼーション
民間資格にもとづく施術所で、施術ベッドを中心とした軽い構成が基本です。公的資格の制約がないぶん自由度が高く、コンセプトに合わせた内装・空間づくりがしやすいのが特徴。物理療法機器は基本的に不要で、施術ベッドと個室化、リラックスできる世界観が設計の中心になります。差別化の幅が広い業態です。ベッドの数と個室化で、回転と単価のバランスを設計します。コンセプトに合わせた内装で、リピートにつなげます。
接骨・整骨院
柔道整復師(国家資格)が骨折・捻挫・脱臼などのケガに対応する施術所で、ケガによっては医療保険を適用できます。低周波治療器・遠赤外線治療器・ローラーベッド・ウォーターベッドなどの物理療法機器と、その電源計画、保険対応の受付・事務スペースが必要です。施術所として構造基準を満たし、保健所への届出が要ります。保険の受付や事務の動線も、最初の設計で押さえます。
鍼灸院
あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律)のもとで、はり・きゅうを行う施術所です。針の管理・消毒など衛生面が重視され、手指消毒設備や流し台、換気が大切。個室や落ち着いた空間で、施術に集中できる環境づくりが満足度につながります。こちらも施術所の構造基準と保健所への届出が前提です。針の保管や消毒の動線も、衛生を保つうえで重要です。
どの業態でも共通するのは、まず「どの業態か」を固めること、それに合った設備(接骨・整骨なら物理療法機器、鍼灸なら衛生)を決めること、そして施術所の構造基準を満たす設計にすることです。業態を途中で変えると設備も内装も届出もやり直しになるため、初期設計の精度が開業の速さを決めます。迷ったら、目指す業態を絞り、同じ業態の事例を見比べて固めます。
柔整・あはきの施術所構造設備基準(6.6㎡・3.3㎡・換気1/7・消毒)と兼業・広告制限
接骨・整骨院や鍼灸院は、柔道整復師法・あはき法にもとづく施術所の構造基準があります。基準を満たさないと届出が通らないため、設計の前提として押さえましょう。
法的な位置づけは業態で異なります。整体・リラクゼーションは施術所の開設届が不要な業態です(条例等の扱いは自治体窓口の確認を推奨)。一方、柔道整復(接骨・整骨)とあはき(鍼灸・あん摩マッサージ指圧)は、保健所への施術所開設届と構造設備基準(施術室6.6㎡以上・待合室3.3㎡以上・室面積の1/7以上の外気開放またはこれに代わる換気装置・消毒設備)への適合が前提です。保険請求(受領委任契約)を行う整骨院は、受付・事務スペースの計画も内装段階で織り込みます。
主な構造基準
代表的な基準として、施術室は6.6㎡(約2坪)以上、待合室は3.3㎡(約1坪)以上の面積が必要で、施術室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放できること(または同等の換気設備があること)、施術に用いる器具や手指の消毒設備を有することなどが求められます。基準は自治体によって細部が異なるため、管轄の保健所への確認が欠かせません。あはきと柔整の施術所が併設される場合は、待合室と施術室が直接つながっている必要があります。図面の段階で保健所に相談すると、手戻りを防げます。基準を満たす設計を前提にすると、届出も工期も読みやすくなります。換気や消毒の設備は、後から直すと工事が二度手間になります。
施術所の構造基準(抜粋)
- 施術室6.6㎡(約2坪)以上、待合室3.3㎡(約1坪)以上
- 施術室面積の1/7以上を外気開放、または換気設備
- 手指消毒設備・流し台が望ましい
- 自治体で細部が異なる。保健所への届出が必要
📋 構造基準を満たさないと届出が通らない
接骨院・整骨院・鍼灸院は、柔道整復師法やあはき法にもとづく施術所として、保健所への届出が必要です。届出には施術室・待合室の面積や換気、消毒設備などの構造基準を満たす必要があり、これを満たさないと開業できません。施術室6.6㎡(約2坪)以上、待合室3.3㎡(約1坪)以上といった面積の基準は、内装設計の前提になります。基準は自治体によって細部が異なるため、早い段階で管轄の保健所に確認し、設計に反映することが、開業遅延を防ぐコツです。なお、整体・リラクゼーションは民間資格で、こうした施術所としての届出の扱いが異なります。治療院系の内装に慣れた会社なら、これらの基準を前提に設計を進められます。
兼業(柔整+あはき)は施術室2室、区画は壁が原則
柔道整復と鍼灸・あん摩マッサージ指圧を同じ施術所で行う場合、施術室はそれぞれの業務ごとに構造設備基準を満たす部屋を用意するのが原則です。2つの施術室の区画をカーテンやパーテーションで済ませることを認めない保健所が多く、後から壁を立てると平面が崩れます。将来の兼業まで見込むなら、最初の平面で施術室を2室に分けておきます。
住居・店舗との併設は「構造上の独立」
自宅の一室やテナントの一部を施術所にする場合、多くの自治体の指導基準で、施術所が住居・店舗と構造上・機能上独立していること(出入口を分ける、明確に区画する)が求められます。待合室と施術室が直接つながる配置、施術室が通路代わりにならない配置も、図面段階で確認される項目です。
看板・チラシの広告制限(柔整法・あはき法)
接骨院・整骨院・鍼灸院は広告できる事項が法律で限定されています。氏名・住所・業務の種類・施術所の名称・電話番号・所在場所・施術日時のほか、予約制・休日夜間の施術・駐車設備など厚生労働大臣が指定する事項に限られ、施術方法・技能・経歴に関する事項や、適応症をうたう表現は広告できません。看板・サインの文言は内装の一部として設計段階で決めることが多いので、施工前に文案を確認しておくと手戻りを防げます。整体・リラクゼーションにはこの広告制限はありませんが、「治療」「治す」など医療行為を連想させる表示は避けるのが安全です。
施術ベッドと個室化(オープン・カーテン・個室)
治療院系の平面と回転を決めるのが、施術ベッドの数と個室化です。オープン・カーテン仕切り・個室の違いを押さえましょう。

仕切り方で造作と回転が変わる
施術ベッドを多く並べてオープンにすれば、造作を抑えて回転を上げられます。ただし施術所(接骨・整骨・鍼灸)でベッドを2台以上置く場合は、患者のプライバシーに配慮してカーテン等で仕切るよう求める指導基準が一般的です。カーテン仕切りなら軽い造作で一定のプライバシーを確保でき、レイアウト変更も柔軟。個室は間仕切り・防音・ドアの造作が増えますが、プライバシーが高く客単価を上げやすくなります。坪数とコンセプト(回転重視か単価重視か)に合わせて、ベッド数と仕切り方を設計するのがポイントです。坪数が小さいうちは、カーテン仕切りで柔軟に始める手もあります。ベッド間の間隔にゆとりを持たせると、施術もしやすくなります。ベッドの配置は、施術者が動きやすい間隔も考えて決めます。将来ベッドを増やす可能性も、最初の設計で見込んでおきます。施術台周りの収納や手洗いの位置も、使いやすさに直結します。
施術ベッドと個室化のポイント
- オープン:仕切りが少なく回転重視(施術所は2台以上でカーテン区画が一般的)
- カーテン仕切り:手軽なプライバシー・レイアウト柔軟
- 個室:間仕切り・防音・ドアの造作増・単価/満足度UP
- 坪数とコンセプトに合わせてベッド数と仕切り方を設計
🛏️ 「回転重視か、単価重視か」で個室化を決める
治療院系の収益は、施術ベッドの数と回転、そして客単価で決まります。だから、施術スペースのつくり方が事業設計に直結します。ベッドを多く並べたオープンな構成は、造作を抑えつつ多くの患者を回せるため、保険中心の接骨・整骨院などに向きます。一方、個室化を進めると間仕切り・防音・ドアの造作は増えますが、プライバシーが高く、自費メニューや高単価のリラクゼーションで選ばれやすくなります。カーテン仕切りは、その中間として軽い造作で一定のプライバシーを確保できる現実的な選択肢です。坪数と目指す単価・回転から、ベッド数と仕切り方を決めることが、無駄のない設計につながります。
物理療法機器と電源(接骨・整骨の電療・ウォーターベッド)
接骨院・整骨院の設計で最初に決めるのが物理療法機器です。整体・リラクゼーションや鍼灸は基本的に不要なため、ここが業態による設備差と電源計画の差を生みます。
物理療法機器とは
接骨院・整骨院では、低周波治療器・遠赤外線治療器・ローラーベッド・ウォーターベッドといった物理療法機器を用います。機器ごとに設置面積・電源・給排水(ウォーターベッド)の条件が違い、台数とグレードで平面と電気容量が変わります。整体・リラクゼーションは施術ベッドが中心でこうした機器が不要、鍼灸は針と衛生が中心です。だから、同じ治療院系でも接骨・整骨は機器のぶん設備と電源の計画が重くなります。導入する機器は、施術方針と採算から決めましょう。機器の台数は、想定する患者数と回転から無理なく決めます。機器は更新やメンテナンスも、長期で見込んでおきます。施術メニューに合った機器だけを選ぶのが、ムダのない投資です。
物理療法機器で押さえる点
- 低周波治療器・遠赤外線治療器(電療)
- ローラーベッド・ウォーターベッド
- 機器の合計容量から契約アンペア・専用回路を計画(メーカー仕様で確認)
- 整体・リラクゼーションや鍼灸は基本的に不要
見落としやすいのが電源です。電療機器やウォーターベッドを複数台同時に使うと、物件の契約アンペアや分電盤の空き回路が足りないことがあります。内見時に分電盤を確認し、導入予定の機器一覧をもとに専用回路と空調の同時使用を含めた容量計画を内装会社と共有してください。ウォーターベッドは給排水と重量(床の補強)も併せて確認します。
必要な広さ|ベッド台数・仕切り・機器から坪数を逆算(必要面積シミュレーター)
整骨院・接骨院・鍼灸院の内見でまず答えを出すべき問いは「この広さに、法定の施術室・待合室を確保したうえでベッドを何台置けるか」です。法定の下限は施術室6.6㎡(約2坪)+待合室3.3㎡(約1坪)=約3坪ですが、これは「届出が通る最小」であって、受付・トイレ・収納・機器・通路を含めた実務の広さは別です。施術ベッド1台には、ベッド本体(約190×65cm)に加えて、施術者が頭側・側方で立ち回る余白、患者の着替えや荷物の置き場、カーテンや壁で仕切る場合の区画しろが要ります。台数を欲張ると、施術者同士がすれ違えない・カーテン越しの会話が筒抜け・ワゴンの置き場がない、という日々のストレスに直結します。
寸法モデル:ベッド1台あたりの占有面積
オープン(仕切りなし)
- 寸法の目安約2.2m×1.8m
- 向く院保険中心で回転を取る。ただし2台以上はカーテン等の区画が求められるのが一般的
カーテン区画
- 寸法の目安約2.4m×2.0m
- 向く院接骨院・整骨院の標準。軽い造作で区画でき、台数の増減に強い
個室
- 寸法の目安約2.7m×2.4m+壁厚
- 向く院鍼灸・自費メニュー中心。間仕切り・ドア・防音の造作が増える
※上の㎡は当サイトが設計初期の目安として置いた寸法モデル(ベッド約190×65cm+施術者の余白60〜70cm+着替え・区画しろ)で、統計値ではありません。実際の寸法・物件形状・保健所の指導基準で変わります。
坪数の早見(寸法モデルで試算)
1人開業・最小構成
- 構成ベッド2台(カーテン)・電療器1・待合3席・受付・トイレ共用・収納
- 施術室/待合約10.2㎡/3.3㎡(法定最小に切上げ)
標準(スタッフ1〜2名)
- 構成ベッド4台(カーテン)・大型機器1・電療器2・待合5席・受付・専用トイレ・収納
- 施術室/待合約23.9㎡/5.0㎡
回転重視・複数施術者
- 構成ベッド6台(カーテン)・大型機器2・電療器3・待合6席・受付・専用トイレ・更衣室
- 施術室/待合約37.6㎡/6.0㎡
必要面積シミュレーター(構造設備基準チェック付き)
業態・ベッド台数・仕切り方・機器・待合席数を入れると、寸法モデルで必要面積(㎡・坪)を出し、施術室6.6㎡・待合室3.3㎡・換気1/7・兼業2室の条件を同時にチェックします。ベッド1台の区画㎡は自分の寸法に書き換えられます。
あわせて決めたいのが受付と待合の視線設計です。施術スペースが待合から直接見えない配置(袖壁・パーテーション・入り口の向き)にすると、施術中の患者の安心感と、待合の落ち着きが両立します。保険診療を併用する院では、受付まわりの事務動線とプライバシー(会計・症状の会話が聞こえない距離)も、後から直しにくい項目として最初の平面で織り込んでください。ベッド台数・受付・動線の三点が固まれば、図面も見積もりも一度で通ります。施術室の法定面積(6.6㎡以上)と待合(3.3㎡以上)を先に引き、残りでベッド数と個室化を決めるのが順番です。
内見で確認する広さの項目
- 施術室として使う区画が6.6㎡以上、待合室が3.3㎡以上取れるか(柱・梁・給排水の位置で実面積が減る)
- 施術室面積の1/7以上を外気に開放できる窓等があるか。無ければ換気装置の設置と天井・ダクト経路
- 住居・他店舗と出入口を分けて構造上独立できるか(自宅開業・併設の場合)
- 兼業なら施術室を壁で2室に分けた後もそれぞれ6.6㎡以上か
- ベッド台数分の区画に加えて、受付・待合・トイレ・収納・機器・通路を足した坪数が物件面積に収まるか(上のシミュレーターの合計)
算出した坪数と区画の条件をそのまま伝えると、図面つきの見積もりを複数社から同条件で比べられます。
待合・受付・プライバシー・バリアフリー
治療院系は施術スペースだけでなく、待合・受付の居心地とバリアフリーが、患者の満足度と再来を左右します。明るい待合と落ち着いた施術室の使い分けがコツです。

居心地とプライバシー
待合室はある程度の明るさを確保し、清潔感のある空間に。施術室は温かみのある落ち着いた照明にすると、リラックスして施術を受けられます。受付・会計の動線をスムーズにし、施術内容が周囲に聞こえにくいプライバシーへの配慮も大切です。高齢の患者も多いため、段差のないバリアフリーや分かりやすい案内が、通いやすさと信頼につながります。受付からベッドまでの距離が短いと、スタッフの動きも楽になります。ベビーカーや車椅子でも通れる通路幅も、配慮しておきます。ベンチや観葉植物で、待ち時間を心地よくする工夫も効きます。予約制にすると、待合の混雑をやわらげられます。
待合・受付で押さえる点
- 待合は明るめ・清潔感、施術室は温かみのある落ち着いた照明
- 受付・会計の動線をスムーズに
- 施術内容が聞こえにくいプライバシーへの配慮
- 段差のないバリアフリー・分かりやすい案内
🪑 「明るい待合・落ち着く施術室」が満足度を生む
治療院系では、空間の照明と動線が患者の印象を大きく左右します。待合室は明るく清潔感のある空間にして、初めての患者にも安心感を与えます。一方、施術室は温かみのある暗めの照明にすると、患者がリラックスして施術を受けられます。間接照明を上手に使うと、おしゃれで落ち着いた雰囲気になります。あわせて、受付から施術室、会計までの動線をスムーズにし、施術中の会話や内容が周囲に聞こえにくいプライバシーへの配慮も欠かせません。高齢の患者が多い治療院では、段差のないバリアフリー設計や、分かりやすい案内サインが、通いやすさと信頼につながります。
物件・居抜き・立地(構造設備基準を満たせる物件か)
治療院系の計画は物件で大きく変わります。とくに「構造設備基準を満たせる物件か」「治療院の居抜きか」「業態に合った立地か」が効きます。


居抜きか、スケルトンか
前テナントが治療院(整体・接骨・鍼灸)だった居抜きなら、施術スペースの内装・受付・水回りを流用できる場合があります。ただし設備の状態や自分の業態に合うかは現地で確認が必要です。スケルトンはゼロから理想を作れる反面、内装・受付・水回りをすべて一から整える必要があります。接骨・整骨・鍼灸は施術所の構造基準を満たせる物件かも、契約前に確認しましょう。
物件・契約前に確認すること
- 治療院の居抜きなら内装・受付・水回りを流用できるか
- 施術所の構造基準(施術室6.6㎡・待合3.3㎡・換気)を満たせるか
- 業態に合った立地か(駅近・住宅地・商業地・駐車場)
- 2階以上ならバリアフリー・看板の見え方、退去時の原状回復
立地と商圏
整体・リラクゼーションは駅近や商業地、接骨・整骨院は住宅地や駅前で日常的に通える立地、鍼灸院は落ち着いた立地、と業態で向く場所が違います。高齢者が多い治療院では、駐車場やバリアフリーも商圏づくりの条件です。業態と商圏に合った立地を選びましょう。高齢者が多い業態ほど、1階や駐車場の有無が来院を左右します。図面と現地の差異も、契約前に必ず照合しておきます。給排水や換気の設備が現状で使えるかも、早めに確かめます。近隣に同業がどれくらいあるかも、商圏を見るうえで参考になります。
🏠 「治療院の居抜き」と「通いやすい立地」が鍵
治療院系の物件選びでは、前テナントが治療院だった居抜き物件が狙い目です。施術スペースの内装や受付、水回りを流用できる可能性があります。ただし前業態が整体(届出不要)だった居抜きを施術所にする場合は、構造設備基準を満たしていない可能性があるため、面積・換気・消毒設備を図面と現地で確認します。ただし、設備の状態や自分の業態(整体か接骨か鍼灸か)に合うか、接骨・整骨・鍼灸なら施術所の構造基準を満たせるかは、契約前に現地でよく確認しましょう。立地は、業態に合った通いやすさが重要です。接骨・整骨院は日常的に通うリハビリ的な利用が多いため、住宅地や駅前など通いやすい場所が向きます。高齢の患者が多い治療院では、駐車場の有無やバリアフリー、1階かどうかも、来院のしやすさを左右する大切なポイントです。
各社公式サイトの施工事例(整骨院・接骨院・整体院・鍼灸マッサージ院/写真18枚)
各社が公式サイトで公開している施工写真で、前章までの「構造設備基準を先に引き、残りでベッド数と個室化を決める」考え方が平面にどう現れるかを見ます。前飲食店からの整骨院(カーテン区画+個室の併用)、スケルトンからの接骨院(細長い区画・キッズスペース)、整体院(届出不要の自由な構成)、鍼灸マッサージ院(ベッド3台のカーテン区画)の4例です。
整骨院の新装(前飲食店からの改装・大阪府大阪市住之江区)
前飲食店の木目や下がり天井が残るテナントを整骨院に新装した例。受付・待合と施術ブースを色と動線で分け、カーテン区画のブースと壁で仕切った個室を併用しています。







接骨院の新装(スケルトンからの新装・兵庫県西宮市)
元現場事務所のスケルトンから接骨院へ。細長い区画に壁沿いのベッド列と天井カーテンレール、受付、キッズスペースを一直線に配置した例です。




整体院の改装(飲食店からの改装・大阪府寝屋川市)
飲食店だったテナントを整体院に改装した例。整体院(民間資格)は施術所の構造設備基準・開設届の対象外のため、受付と施術ベッドをひと続きにした自由な構成が取れます。


写真:ユウリフォーム(大阪府大阪市淀川区)施工実績「大阪府 松本整骨院」「兵庫県 とくなが接骨院」「大阪府 寝屋川あおば腰痛整体院」より。いずれも同社が公式サイトで公開している施工実績で、出典と公式ページへのリンクを明記して掲載しています。
鍼灸マッサージ院の新装(北海道)
タカハシアートプランニング株式会社(北海道)による鍼灸マッサージ院の施工事例(マッサージ鍼灸院 てごころ・札幌市中央区・2014年8月新装工事、出典:同社公式サイトの事例ページ)です。受付・待合と施術スペースの視線の切り方、ベッド3台をカーテンで区画した施術室、入口まわりの収納と動線が確認できます。





写真:北海道のマッサージ鍼灸院の内装デザイン事例(タカハシアートプランニング株式会社)より(同社公式サイトの公開事例。出典:タカハシアートプランニング株式会社 事例ページ)。ほかの治療院の写真は整体院・接骨院・鍼灸院・治療院の施工事例一覧からご覧ください。
内装の世界観(清潔感・リラックス・照明)
治療院系の内装は、清潔感とリラックスできる雰囲気が基本です。色・照明の使い方が、患者の安心と再来を左右します。
清潔感とリラックス
治療院は身体に触れる施術を行う場所のため、清潔感が第一です。白やグレーを基調に、安心感を出すなら緑、親近感ならオレンジなど、コンセプトに合わせて色を2〜3色に抑えると、統一感と落ち着きが生まれます。色を使いすぎると「リラックスできない」「安っぽい」印象になりがち。照明は、待合は明るめ、施術室は温かみのある暗めにして、リラックスして施術を受けられる空間にするのがコツです。
治療院系の内装の世界観
- 清潔感が第一(身体に触れる施術)
- 白/グレー基調+差し色、色は2〜3色に抑える
- 待合は明るめ、施術室は温かみのある落ち着いた照明
- 間接照明でおしゃれ・落ち着いた雰囲気に
立ち上げ時は、全面を作り込むより、清潔感・施術室のリラックス感・プライバシーなど、患者の安心と再来に直結する場所に造作を集中させるのが効率のよいやり方です。施術の機能性を確保しつつ、待合や照明で治療院の世界観を表現する設計が、選ばれる治療院をつくります。手入れのしやすい床材や什器も、清潔感を保つうえで効きます。外観や看板は、地域で見つけてもらいやすい分かりやすさも意識します。落ち着いた音環境も、リラックスできる空間づくりの一部です。香りや室温も、居心地を左右する大切な細部です。細部の積み重ねが、選ばれる治療院の印象をつくります。
業態別の採算モデル(保険・自費・回転)
内装の平面(ベッド数・個室化)は、業態ごとの採算モデルから逆算します。保険中心で回転を取るのか、自費中心で単価を取るのかで、同じ坪数でも正解の平面が変わります。
整体・リラク
- 収益自費・単価重視
- 平面個室化に面積
接骨・整骨
- 収益保険・回転重視
- 平面機器と受付事務に面積
鍼灸
- 収益自費・衛生重視
- 平面個室・消毒動線に面積
業態別の考え方
接骨・整骨は物理療法機器を置き、保険中心で回転を重視。整体・鍼灸は機器が軽く、自費メニューと単価で採算をつくります。ランニングでは、家賃・人件費・機器のメンテナンス・消耗品がかかります。施術ベッドの稼働率(回転)と客単価から、ベッド数と個室化を決めましょう。立地と集客が成否を分けます。人件費は固定費として重いため、無理のない人員計画を立てます。開業直後は来院が安定しないため、運転資金に余裕を持たせます。リピートと口コミが回り始めるまでの期間も、見込んでおきます。無理のない返済計画で、長く続けられる経営を目指します。
治療院系の採算の考え方
- 保険中心なら受付・事務の面積、自費中心なら個室化に面積を回す
- 接骨・整骨は機器の投資・保険中心で回転重視
- 整体・鍼灸は機器が軽く、自費メニューと単価で採算
- ベッドの稼働率(回転)と客単価からベッド数を決める
開業資金の骨格|内装・機器・物件・運転資金の4本柱(数字は費用相場ページと連動)
整骨院・接骨院・鍼灸院の開業資金は「内装工事+機器+物件取得+運転資金」の4本柱で積みます。総額は業態・坪数・居抜きかどうかで大きく変わるため、金額の目安は当サイトの費用相場ページの値を引用し、ここでは「何を、どの順に積むか」を示します。4本柱を先に固めると、内装で削れる場所(個室化・造作・照明)と削れない場所(構造設備基準・機器の電源)が決まります。
① 内装工事
② 機器・備品
③ 物件取得
④ 運転資金
積算式(この順で埋める)
開業資金の総額 = ①内装(坪単価×坪数)+ ②機器・備品 + ③物件取得 + ④運転資金 + 広告・開業備品。①は必要面積シミュレーターで坪数を出してから、費用シミュレーターで総額の帯を出すのが最短です。工事費の内訳(設計・造作・設備・諸経費の比率)は内装工事費の内訳へ。
資金調達の当たり所
自己資金で足りない分は、創業者向け融資(日本政策金融公庫の創業ポイントに施術所向けの整理があります)、自治体の制度融資(信用保証つき)、機器のリースを組み合わせるのが一般的です。融資は申込から実行まで時間がかかるため、12ヶ月スケジュールの「物件契約前」に相談を始めておくと、内装の着工が資金待ちで止まりません。
内装業者の選び方(業態・構造設備基準・物理療法機器)
治療院系の内装は、業態(とくに接骨・整骨の物理療法機器や施術所の構造基準)に精通し、設計から見通せる会社を選ぶのが近道です。一般の店舗中心の会社だと、構造基準や機器配置で提案が弱いことがあります。
会社のタイプで選ぶ
設計事務所
- 強みデザイン・世界観
- 向き差別化
治療院に強い施工
- 強み構造基準・機器配置
- 向き接骨・鍼灸
ワンストップ
- 強み設計〜施工〜届出
- 向き手間を減らす
いずれの場合も、治療院系の実績と、業態(構造基準・物理療法機器)への対応力があるかが第一条件です。
見るべき3つのチェック
業者選びの3チェック
- 治療院系(できれば同じ業態)の施工実績があるか(過去1年の実績)
- 施術所の構造基準・物理療法機器の配置に対応できるか
- 図面で設備内容や機器配置を現場確認しながら見積もりを取れるか。複数社の提案を比べると、本当に必要な設備が見えてきます
施術所の構造基準や機器の配置は経験差が出る領域です。1社で決めず、複数社から相見積もりを取り、実績・対応・金額を比べて選ぶと失敗が減ります。実績写真だけでなく、構造基準への対応経験を確かめ、業態に合うかも見極めます。相見積もりの前に費用の骨格をつかんでおきたいときは整骨院・整体院・鍼灸院の内装費用相場と内装工事費用の内訳、業者の見極め方を深掘りするなら整体院の内装業者の選び方|見極め診断も参考になります。
工期・許認可の詰め方とよくある失敗
開業までの順番と月別の逆算は開業までの流れ|逆算12ヶ月スケジュール、届出先と添付書類は届出・申請の全体像にまとめています。ここでは工期と許認可を「設計段階で詰め切る」ための要点と、典型的な失敗を整理します。
物件決定から開業までは、業態の確定・設計・内装/機器・施術所の届出の順で進みます。業態と構造基準、そして保健所への届出が、治療院系のコツです。
物件を契約したら家賃が発生し始めます。治療院系はまず業態と設備(接骨・整骨なら物理療法機器)を固め、施術所の構造基準を満たす設計・見積もりへ進み、内装・機器を施工します。完成後は消防への対応を行い、開業後10日以内に保健所へ施術所開設届(接骨・整骨は柔道整復師法、鍼灸・マッサージはあはき法)を提出します。届出は「開設後」ですが、構造設備基準は工事の根幹なので、工事に入ってからの変更は工期に響きます。設計・見積もりの段階で詰め切るのがコツです。整体・リラクゼーションは届出の扱いが異なるため、事前に確認しておきましょう。
よくある失敗
このパターンに注意
- 業態・個室化を決めきれず、施術スペースの投資がぶれる
- 物理療法機器の電源・専用回路を見込まず、開業直前に電気工事を追加する
- 施術室6.6㎡・待合3.3㎡・換気1/7などの構造設備基準を満たさず届出でつまずく
- 柔整とあはきの兼業なのに施術室を1室で計画し、壁で分け直す
- 待合・施術室の照明やプライバシーを軽視し、再来につながらない
- 高齢者が多いのにバリアフリー・駐車場を見落とす
- 保健所・消防の確認が遅れ、開業スケジュールが崩れる
- 施術管理者の要件(実務経験・研修)を満たす前に開業日を決め、開業日に保険を扱えない
- 開設届の受理印がある写しをもらい忘れ、地方厚生(支)局への受領委任の申出が遅れる
いずれも、業態と施術スペースを設計初期に固めること、施術所の構造設備基準と届出を図面段階で保健所に確認すること、機器と電源を同時に計画すること、複数社の提案を比べることで防げます。開業日から逆算して、設計・施工・届出の各期間を押さえます。余裕のあるスケジュールが、届出や手直しの時間を生みます。届出の必要書類(開設届・施術者の免許証の写し・平面図・案内図など。様式は自治体で異なる)も、早めに確認して準備します。
よくある質問
整体院を開業するのに保健所への届出は必要ですか?
整体・リラクゼーション(民間資格)は、柔道整復師法やあはき法にもとづく「施術所」ではないため、施術所開設届は不要です。ただし「治療」「治す」など医療行為を連想させる表示は避ける必要があり、条例等の扱いは自治体窓口で確認してください。接骨院・整骨院・鍼灸院は開設後10日以内に保健所へ開設届が必要です。
接骨院・整骨院・鍼灸院の内装に法的な基準はありますか?
あります。柔道整復師法施行規則・あはき法施行規則にもとづき、施術室6.6㎡(約2坪)以上、待合室3.3㎡(約1坪)以上、施術室面積の7分の1以上を外気に開放できるか同等の換気装置、施術に用いる器具や手指の消毒設備が求められます。細部の指導基準(施術所の独立性、区画の方法など)は自治体で異なるため、図面段階で管轄の保健所へ確認してください。
柔道整復と鍼灸を同じ院で行う場合、施術室は1室でよいですか?
原則として業務ごとに構造設備基準を満たす施術室を2室用意します。2室の区画をカーテンやパーテーションで済ませることを認めない保健所が多いため、壁で分ける前提で平面を組み、将来の兼業も最初の図面で見込んでおくと手戻りがありません。
施術ベッドを複数台置くとき、仕切りは必要ですか?
施術所(接骨・整骨・鍼灸)でベッドを2台以上置く場合、患者のプライバシーに配慮してカーテン等で仕切るよう求める指導基準が一般的です。オープン・カーテン・個室のどれにするかは、回転重視か単価重視かの採算モデルと坪数から決めます。
看板や広告に「肩こり・腰痛に効く」と書けますか?
接骨院・整骨院・鍼灸院は広告できる事項が法律で限定されており、施術方法・技能・経歴や適応症をうたう表現は広告できません。氏名・住所・業務の種類・施術所の名称・電話番号・施術日時・予約制・駐車設備などに限られます。看板の文言は内装の一部として施工前に確認しておくと安全です。
居抜きとスケルトン、どちらが向いていますか?
前テナントが治療院だった居抜きなら、施術スペース・受付・水回りを流用できる場合があります。ただし前業態が整体(届出不要)だった場合は構造設備基準を満たしていない可能性があるため、面積・換気・消毒設備を確認が必要です。スケルトンはゼロから理想を作れる反面、内装・受付・水回りを一から整えます。
整骨院・接骨院の開業に必要な広さは何坪ですか?
法定の下限は施術室6.6㎡+待合室3.3㎡(合計約3坪)ですが、受付・トイレ・収納・機器・通路が加わります。本ページの寸法モデルでは、1人・ベッド2台(カーテン区画)で約7坪、ベッド4台+物理療法機器で約13坪、6台で約19坪が目安です。台数・仕切り方・機器・待合席数を入れて必要面積シミュレーターで算出できます。
柔道整復師の資格を取ってすぐ開業し、健康保険を扱えますか?
施術所の開設自体は免許があれば可能ですが、受領委任(保険)を扱う「施術管理者」になるには、資格取得後の実務経験3年と施術管理者研修(16時間)が必要です(はり師・きゅう師は実務経験1年+研修)。自費のみで始めるなら要件はありません。
開設届と受領委任の申出は、どちらが先ですか?
保健所への開設届(開設後10日以内)が先です。その受理印のある写しを添えて地方厚生(支)局に受領委任を届け出(申出)し、受理されてから保険の取扱いができます。開業初日から保険で受けるなら、この日数を逆算して開設日を決めます。
内装費用の相場はどこで確認できますか?
本ページは業態別の設計と法令に絞っています。坪単価・ベッド数別の総額・費用シミュレーターは整骨院・整体院・鍼灸院の内装費用相場、工事費の内訳と資格別坪単価は内装工事費用の内訳ページでご確認ください。店舗内装ドットコムの相談・見積もりは無料で、47都道府県の治療院に対応する会社が見つかります。
整骨院・接骨院の開業資金はいくら必要ですか?
「内装工事+機器+物件取得+運転資金」の4本柱で積みます。当サイトの費用相場ページの目安では、内装は20坪で居抜き200〜500万円・スケルトン400〜1,000万円、接骨・整骨の物理療法機器は+100〜400万円。これに候補物件の募集条件(保証金・礼金・前家賃・仲介手数料)と、来院が安定するまでの月固定費を別枠で加えた額が開業資金です。積み方は開業資金の骨格へ。
オンライン資格確認は開業時から必要ですか?
受領委任(健康保険)を扱う柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の施術所は、資格確認限定型のオンライン資格確認の導入が2024年12月2日から原則義務化されています。自費のみなら不要です。開業時に扱うなら、マイナンバーカードの読取端末・回線・置き場所を受付の設計に入れておきます(厚生労働省の案内)。
整体・治療院内装の目的別ガイド
本ページは業態別の設計と法令のガイドです。テーマ別の詳細は以下から。
業態と構造設備基準を前提に、治療院系に慣れた会社を複数社から無料で比べられます。
この記事について(運営者情報)
本記事は、店舗内装ドットコム(株式会社BPBコンサルティング運営)が、当サイトに公開されている施工事例と、法令(柔道整復師法および同法施行規則、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)および同法施行規則にもとづく施術所の開設届・構造設備基準〈施術室6.6㎡以上・待合室3.3㎡以上・換気・消毒設備〉・広告制限)を整理して作成・更新しています。最終更新:2026年9月2日。
作成・検証の方法:構造設備基準・届出期限・広告制限は法令の条文にもとづいて記載しています。施術管理者の要件(実務経験・研修)、開設届の提出書類、受領委任の順序は、日本政策金融公庫「はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所の創業ポイント」(2024年11月掲載)と地方厚生(支)局の案内を確認して記載しています(確認日:2026年9月1日)。必要面積の㎡・坪は当サイトの寸法モデルによる設計初期の目安で、統計値ではありません。区画の方法や施術所の独立性など指導基準の運用は自治体で異なるため、図面段階での保健所への事前相談をおすすめします。費用の数値は本ページでは扱わず、費用相場ページに集約しています。
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