店舗内装を
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店舗オーナーから「他社にも提案を依頼している」と言われたとき、勝負を分けるのは提案書の質です。同じ見積金額・同じ施工レベルでも、提案書の構成と伝わり方で、比べられたときの選ばれ方が変わります。
本記事は、店舗デザイン・内装会社の経営者・営業・現場担当者向けに、提案書の作り方をまとめたガイドです。提案書の標準構成、業態別の差別化ポイント、デザインの基本原則、プレゼンテーションの進め方、競合との差別化、提案後のフォローまで整理しました。「契約に繋がる提案書」と「ただ送って終わる提案書」の違いを整理し、自社の受注につなげるための実務をまとめました。
この記事の結論
提案書は、ご要望の理解と課題(②③)、プラン(⑤、できれば3案)、前提条件と工事範囲(⑧)、概算と工程の見込み(⑨)、次の連絡日(⑪)の流れでまとめ(比べられる場面は11のページ、小さな工事はA4 1枚)、図面・仕上げ表・見積の内訳は別紙にします。工期や金額は確約せず、前提と変わる条件を書きます。コピーして使えるひな形(11のページと記入例)を用意しています。
あわせて読みたい(受注企業向け)
この記事でわかること
- 提案書の構成(11のページ)とコピーして使えるひな形(記入例)
- 前提条件と工事範囲(B工事・別途工事・施主支給・概算の精度)の書き方
- 表紙・目次の作り方と第一印象の作り方
- コンセプトページで施主の心を動かす書き方
- レイアウト・パース図・3D活用の効果
- 見積書とのリンク・予算ストーリーの設計
- 業態別(飲食/美容/物販/医療)の差別化ポイント
- 競合がいる場面での差別化7戦略
- 提案書のデザインルール(フォント・色・余白)
- プレゼンテーションの進め方と時間配分
- 提案後のフォローと、施主が決めやすくなる手当て
- 確約しない書き方と、図面・パース・写真の権利、提出前の整合チェック
提案書が、比べられる場で受注を左右する理由
※受注率や作成時間は案件・競合状況・提案内容により大きく異なるため、本記事では業界の平均値を示していません。自社の案件で記録して判断してください。
店舗内装の発注者は、複数の会社に相談して比べることが多くあります。提案書は、比べられる場で、自社の考え方と提案の前提を伝える資料です。
提案書を用意する3つの理由
① 価値を視覚化できる
見積書だけでは、「何にいくらかかるか」しか伝わりません。提案書では、「なぜこの仕様が良いのか」「施主にとってどんな価値があるのか」を視覚的に伝えられます。金額の理由が伝わると、比べるときに金額だけで判断されにくくなります。
② 競合との差別化ができる
見積書の比較では、「どの業者も似たような項目で似たような金額」となりがちです。提案書では、自社のコンセプト・実績・対応姿勢を表現でき、施主に「他社とは違う」と認識させられます。
③ 意思決定を後押しできる
店舗内装の発注は、施主にとって大きな投資です。提案書で、その投資で何ができるかと、提案の前提を整理すると、施主が判断しやすくなります。
提案書のレベル別効果
低レベル
標準レベル
高レベル
提案書に時間をかけるかは、自社の記録で決める
提案書作成には時間がかかります。しかし、提案書の有無で受注率がどれだけ変わるかを自社の案件で記録すれば、作成時間に見合うかどうかを判断できます。受注金額が大きい案件ほど、提案書に時間をかける意味は大きくなります。
提案書の構成(11のページ)とひな形
提案書は、施主が「自分の要望をどう理解し、何を、いくらで、どんな前提で提案しているか」を比べられる形にまとめます。次の11のページを定型にしておくと、毎回ゼロから考える手間が省け、品質も安定します。商談の進め方(初動・現地調査・価格の示し方・追客)は内装業の受注率の上げ方にまとめています。
提案書の構成(11のページ)
提案書の厚みの目安
工事の大きさと、比べられる場面に合わせる
- A4 1枚の要点書面:②③⑤⑧⑨⑪の要点だけ。初回の提出や、小さな工事で
- 11のページの提案書:ほかの会社と比べられる場面で(項目をまとめてページを減らしてもよい)
- 別紙:図面・仕上げ表・見積の内訳・工程表(提案書の本文に詰め込まない)
決まったページ数はありません。小さな工事では、A4 1枚の要点書面を見積書に添えるところから始めても構いません。
各セクションの優先順位
すべてのページを同じ熱量で作る必要はありません。比べられる場面で差がつきやすいのは、②ご要望の理解・③課題・⑤プラン・⑧前提条件・⑨概算と工程です。表紙・進め方などは定型で運用します。
時間を優先的に使うページ(例)
- ②ご要望の理解・③課題(施主の言葉をそのまま生かす)
- ⑤プラン(3案を費用・工期・効果で比べる)
- ⑧前提条件と工事範囲(比べるときの食い違いを防ぐ)
- ⑨概算と工程の見込み(幅と前提)
- ④コンセプト・⑥図面とパース
- そのほか(表紙・事例・進め方は定型で)
提案書のひな形(記入例・コピーして使える)
11のページそれぞれに書く内容の記入例です。○の部分を案件ごとに書き換えます。金額・工期は「幅」と「前提」で書き、確約しません(下の「提案書に書かないこと」)。
ヒアリングで聞いたことを、どのページに書くか
聞くことの一覧は内装業の受注率の上げ方の「現地調査で聞くこと」、現地で確かめる項目は現場調査チェックリストにあります。
店舗内装ドットコムについて
提案書を整えたら、次は提案の機会(案件との接点)を増やすことが課題になります。マッチングプラットフォームは、その接点を増やすチャネルの1つです。
関連記事
受注率の上げ方は内装業の受注率の上げ方、見積書の書き方は内装工事の見積書の書き方(ひな形・記入例)もあわせてご参照ください。
前提条件と工事範囲(提案書の⑧)
ほかの会社と比べられたとき、見積の金額や工期の差は、前提(図面の版、物件の状態、工事区分、別途工事)の違いから生まれることがあります。前提を1ページにまとめておくと、施主が同じ物差しで比べられ、契約の後の「言った・言わない」も防ぎやすくなります。物件の状態と、物件が決まっているかで、前提は変わります。
前提条件のページに書く7つのこと
- 前提にした図面・資料の版と日付、現地調査の日
- 物件の状態(スケルトン・居抜き・リニューアル)と、既存の設備を再利用する範囲・動作を確かめる範囲
- 工事区分:ビルが指定する業者の工事(B工事)は見積に含めず「別途(B工事)」と書く(A工事・B工事・C工事の解説)
- 別途工事と、それを手配する人(例:看板の許可申請、厨房機器の購入)
- 施主支給品:取付けを含むか、受け取りと保管、支給品そのものの不具合の扱い
- 工事中に分かったら別途になる事項(例:解体の後に分かった下地の傷み)
- 概算の精度、本見積で変わる条件、有効期限
物件の状態:○○(スケルトン/居抜き/リニューアル)。既存の○○(例:空調・給排水)は再利用し、動作の確認は○○まで行います。
工事区分:B工事(ビルが指定する業者の工事:○○)は含みません。別途(B工事)となります。依頼の窓口(ビル側か指定業者か)は、工事区分表と賃貸借契約によります。
別途工事:○○(例:看板の許可申請・厨房機器の購入)は含みません。手配する方:○○。
施主支給品:○○(例:照明器具)。取付けは当社、受け取りと保管は○○、支給品そのものの不具合は○○の扱いとします。
工事中に分かった場合に別途となる事項:○○(例:解体の後に分かった下地の傷み)。見つかったときは、作業の前にご相談します。
概算の精度:本提案の金額は概算です。○○(例:設備の容量の確認、仕様の確定)により、本見積で変わることがあります。有効期限:○年○月○日。
施主が工事に使う資材を提供する(施主支給)ときは、その内容と方法の定めを請負契約書に書く事項とされています(建設業法第19条第1項第10号)。提案の段階で扱いを書いておくと、契約書にそのまま移せます。見積書の前提は見積書のガイドの見積条件書、契約書に書く事項は請負契約書のガイドにまとめています。
表紙・目次・第一印象の作り方
提案書の表紙は、最初に目に入り、施主の興味を引く重要なページです。施主名や日付の誤りがあると、後ろまで読まれにくくなることがあります。
表紙に入れる要素(例)
表紙のNGパターン
避けるべき表紙のパターン
- 白黒で文字だけ
- テンプレ感丸出しのデザイン
- ロゴだけ大きく自社主張が強すぎる
- 顧客名のスペル間違い・誤字
- 関係ない業態の写真が背景
- 低解像度のパース・写真
- 古い書式・古い日付
表紙を魅力的にする3要素
① ビジュアル
② 余白
③ パーソナライズ
目次の作り方
目次は、施主が「これから何を見るか」を予告するページです。ページ数の多い提案書では、目次があると、施主が読みたいページに戻りやすくなります(A4 1枚の要点書面には要りません)。
③ 課題と優先順位 ・・・ P3
④ コンセプト ・・・ P4
⑤ プラン ・・・ P5
⑥ 図面・パース ・・・ P6
⑦ 仕様の要点 ・・・ P7
⑧ 前提条件と工事範囲 ・・・ P8
⑨ 概算と工程の見込み ・・・ P9
⑩ 近い業態の事例と体制 ・・・ P10
⑪ 進め方と次の連絡日 ・・・ P11
「ご挨拶」ページの書き方
ご挨拶を入れる場合は、表紙の次に置きます。「このプロジェクトに込める想い」「施主に寄り添う姿勢」を、自社の言葉で書きます。テンプレ感のない、案件ごとに少しずつカスタマイズした文章が望ましいです。
表紙は定型で、誤りなく
表紙は定型を使い、施主名・物件名・日付・版の誤りをなくし、写真やパースは案件に合わせて差し替えます。
コンセプトページの書き方
コンセプトページは、提案書全体のメッセージを集約するページです。施主が「この提案、自分の店のことを本当に考えてくれている」と感じるか、「テンプレで流したな」と感じるかが、ここで決まります。
コンセプトの3層構造
① ターゲット層
② 提供価値
③ 表現手法
コンセプトキーワードの作り方
コンセプトを「キーワード3〜5つ」に凝縮すると、施主にも記憶に残りやすくなります。「くつろぎ・自然・上質」のような3単語、または「都心の中の小さなオアシス」のような短いコピーにします。
コンセプトページの構成例
2段目:キーワードの説明文(2〜3行)
3段目:ターゲット層の整理(箇条書き)
4段目:提供価値の説明(2〜3行)
5段目:表現手法の予告(次ページへの導入)
コンセプトを「施主のもの」にする工夫
パーソナライズの工夫
- 初回ヒアリングで聞いた施主の言葉を引用する
- 施主の理想・憧れを言語化して提示する
- 業態の競合店との差別化軸を明示する
- 地域の特性を反映する
- 施主の経歴・想いをコンセプトに織り込む
「テンプレ感」を残さない
コンセプトページがテンプレに見えると、施主に「ほかの現場でも同じ提案をしているのでは」と受け取られることがあります。同じ業態でも、施主の言葉や条件をコンセプトに反映します。
レイアウト・パース・3D活用
店舗内装の提案書では、ビジュアル(レイアウト・パース・3D・参考写真)が大きな比重を占めます。施主の多くは図面を見慣れていないため、完成後を想像できる資料があると、比べるときの判断材料になります。
ビジュアルの種類と使い分け
パース図のレベル別作成方法
レベル1
レベル2
レベル3
3D・CG制作の選択肢
参考写真集の作り方
3Dパースが難しい場合、類似実績の写真集で「テイスト」を伝えるのも有効です。自社で撮影した写真、メーカーが提供する画像、許諾を得た写真、利用規約を確かめた素材から、枚数を絞って並べると、施主と方向性を合わせやすくなります。
参考写真集を使うときの注意
- 著作権・出典を確認する(無断転載NG)
- 「参考画像です」と明示する
- 業態・規模の近い実績を選ぶ
- イメージのバラつきを統一する
- 枚数を絞る(多すぎると印象が散らばる)
「参考写真の引用」には著作権の留意が必要
提案書に他社実績の写真を無断で使うのは、著作権侵害の可能性があります。出典を書くだけでは足りず、引用として認められるには、公正な慣行に合い、目的上正当な範囲であることが必要とされています(著作権法第32条第1項)。「参考イメージ」として他社の写真を並べる使い方はこれに当たりにくいため、自社撮影・許諾を得た写真・利用規約を確かめた素材だけを使います。
見積書との連携と予算ストーリー
提案書の最後の壁が「金額」です。コンセプトもイメージも気に入ってもらえても、「金額が合わない」で見送られることがあります。これを乗り越えるためには、見積書を「数字の羅列」ではなく「予算のストーリー」として伝える設計が必要です。
予算ストーリーの3つの設計法
方法①
方法②
方法③
3案併記(松竹梅)の活用
予算が見えていない施主には、3案併記が効果的です。「松=高機能版」「竹=標準版」「梅=コスト圧縮版」の3案を見せることで、施主は自分の予算と希望のバランスで選べます。
金額の見せ方の工夫
① 大括りの数字から細目へ
最初に「合計金額」を提示し、その内訳を「主要工種別」で示し、最後に「細目別」で細かく見せる、という階層構造で表現します。施主は最初に大きな数字で予算感を確認し、納得した上で詳細を見ます。
② 単価の根拠を見せる
「内装仕上 一式 ○○万円」のような大括り表記は、施主から「内訳が分からない」と疑念を持たれます。「クロス○㎡ × ○円/㎡」「フローリング○㎡ × ○円/㎡」と単価ベースで分解することで、透明性が伝わります。
③ 施主の事業計画の数字を借りて説明する
② ご提示の事業計画:客席○席・客単価○円・営業日○日(○○様の計画より)
③ 内装の選択で変わる点:○○(例:客席の数、厨房から客席への動線、入口からの見え方)
※売上や投資の回収期間は、施主の事業計画の数字を借りて示し、内装会社の見込みとして約束しません。
金額に対する反応への準備
金額交渉の典型反応への準備
- 「高すぎる」→他の案・コスト圧縮版を提示
- 「他社はもっと安い」→自社の品質・実績で差別化
- 「内訳が知りたい」→詳細見積で透明性
- 「予算は○○万まで」→範囲内案を再提案
- 「この項目は不要」→削減によるリスク説明
- 「分割払いできるか」→支払条件の柔軟化
提案書に書かないこと(確約しない書き方)
書かないこと・書き方
- 工期を「○日で完成」と確約しない。「着工から○週間の見込み(前提:○○)」と書く
- 総額を確約しない。概算の幅と、金額が変わる条件(仕様の確定、設備の容量、解体後の状態など)を書く
- 売上や集客の効果を断定しない
- 許認可を断定しない。「管轄の保健所・消防署に事前に相談して確かめます」と書く
- 他社の写真やロゴ、確かめられない実績の数を載せない
天災その他不可抗力による主要な資機材の供給の不足・遅延や価格の高騰、特定の工事の種類の労務の供給の不足や価格の高騰のおそれがあると認めるときは、建設業者は契約を結ぶまでに、その旨と状況の把握に必要な情報を施主に知らせなければならないとされています(建設業法第20条の2第2項、施行規則第13条の16第2項)。知らせ方(書面で、見積書を作るときはそれに添える)は見積書の書き方の「有効期限と、資材価格が変わったときの扱い」にまとめています。
関連記事
見積書の作成・項目構成・単価の積算は内装工事の見積書の書き方(ひな形・記入例)に詳しく整理しています。
業態別の差別化ポイント
提案書の差別化は、業態の特性を理解した上で、その業態で「重要視される論点」を強調する設計が必要です。業態によって、施主が重視するポイントが大きく異なります。
業態別の重視ポイント
飲食業の提案書差別化
飲食業向け提案書の重要要素
- 厨房動線とホール動線の交差最少化
- 業態に合わせた席数の最適化(回転重視 vs ゆったり)
- SNS映えする「フォトポイント」の設計
- 排気・換気の設計説明
- 厨房機器の配置とコンセント・ガス位置
- 客席エアコンの効きと省エネ
- スタッフ動線(裏動線・控室)
美容室・サロンの提案書差別化
美容室向け提案書の重要要素
- シャンプー台の位置と給排水経路
- セット面と鏡の配置・照明
- カラー・パーマ専用エリアの分離
- 個室・半個室の対応(プライベート重視)
- 受付・会計動線
- 商品ディスプレイ(物販コーナー)
- スタッフルーム・控室の設計
クリニック・医療系の提案書差別化
クリニック向け提案書の重要要素
- 感染対策(待合室の分離・換気・動線)
- 診察室の防音性能
- X線室・処置室の遮蔽
- 受付・会計のプライバシー
- バリアフリー対応(車椅子・ベビーカー)
- 医療機器の搬入経路と固定
- スタッフ動線(医師・看護師の効率)
店舗内装ドットコムについて
業態固有の論点を押さえた提案は、施主に専門性が伝わりやすくなります。マッチングプラットフォームは、新規案件接点を増やすチャネルの1つです。
業態理解は「専門性」のシグナル
提案書で業態固有の論点を網羅できると、施主は「この業者は自分の業態を分かっている」と認識します。「どの業態でも対応可能」と幅広さを訴求するより、業態専門性を見せた方が、選ばれやすくなります。
競合がいる場面の差別化7戦略
提案書を作るとき、競合の存在を意識します。施主が複数社から提案を受けることが多いので、自社の提案書が他社と並べられたときに「選ばれる理由」を明確にする必要があります。
差別化の7戦略
提案書を磨いても、その前に「提案する案件」が必要です。マッチングなら、記入した得意エリア・業態をもとに元請案件の概要が案内されるので、磨いた提案力を試す機会を増やせます。登録・月額0円で、固定費をかけずに始められます。
戦略① 業態専門性の表現
「飲食店○○件、美容室○○件の施工実績」のように、業態別の実績を、自社の台帳で確かめられる実数で示します。さらに、業態固有のチェックリスト・配慮事項を網羅することで、専門性を伝えられます。
戦略② 実績の見せ方
方法①
方法②
方法③
戦略③ コンセプトの深掘り
初回ヒアリングで聞いた施主の言葉を、コンセプトページで引用します。「○○様がおっしゃっていた『地域の人が気軽に立ち寄れる場所』を実現するため」のように、施主の言葉を取り入れると、自分の要望が伝わっていることが施主に分かります。
戦略④ ビジュアル品質
パース・素材の見本・照明のイメージなど、完成後を想像できる資料を、比べられる場面ほど丁寧に用意します(上の「ビジュアルの種類と使い分け」)。パースには「イメージです」と添え、色や素材は見本で確かめてもらいます。
戦略⑤ 数値による説得
戦略⑥ アフター体制の見せ方
引渡で終わりではなく、「アフターサービスを含めて選ぶ価値がある」と伝えます。保証の内容と期間(請負契約書で定める担保期間と、それにそろえた保証書)・定期点検の頻度・緊急時の対応などを明示します。詳細はアフターサービス・保証ガイドで整理しています。
戦略⑦ 担当者の人柄
会社のロゴだけでなく、現場担当者の顔写真・経歴・想いを掲載します。担当者の顔が見えると、相談のしやすさが伝わります。
「全部入り」より「強みの絞り込み」
差別化7戦略を全部実践しようとすると、提案書が分散して印象が薄れます。自社の強みに合った2〜3戦略を選び、深く掘り下げる方が、施主の記憶に残ります。「業態専門×実績×担当者」のような組み合わせで一貫したメッセージを作ります。
デザインルール(フォント・色・余白)
提案書のデザインは、文字情報の伝わり方を大きく左右します。プロのデザイナーでなくても、いくつかの基本ルールを守ることで、洗練された印象を作れます。
フォント選びの3原則
① 読みやすさ
② 統一感
③ 施主のブランドに合わせる
色使いの基本原則
② アクセントカラー:1色(目を引かせたい部分)
③ ベースカラー:白 or 薄いグレー(背景)
④ テキストカラー:濃いグレー(黒は重すぎる)
※使う色の数を絞ると、伝えたい部分が目立ちます。
業態と色
業態ごとの「決まった色」はありません。施主のロゴやブランドの色、立地や客層を基準にし、色の案は見本で施主と確かめながら決めます。
余白の使い方
「情報を詰め込む」と「読みやすい」は両立しません。1ページに情報を詰め込みすぎると、施主は読む気を失います。1ページで伝える主題を1つに絞り、余白を残します。
レイアウトの基本
洗練されたレイアウトの作り方
- グリッドに沿って配置(縦横の整列)
- 同じ役割の要素は同じデザインで統一
- 強調したい部分のみフォント大・色変
- 余白を統一する(上下左右のマージン)
- 図と文字のバランスを意識
- 1ページに伝える主題は1つ
- 文字よりビジュアル優先
デザインに自信がない場合
自社にデザイナーがいない場合、テンプレートサービス(Canva・Adobe Express)・PowerPointの建築用テンプレ・外部デザイナーへの依頼が選択肢です。テンプレートや素材は、利用規約(社外に配る資料に使えるか)を確かめてから使います。デザインの基本を守れば、テンプレートからでも見やすい提案書が作れます。
プレゼンテーションの進め方
施主の前で提案書を説明する「プレゼンテーション」の進め方でも、伝わり方が変わります。
プレゼンテーションの3形式
① 対面プレゼン
② オンラインプレゼン
③ 提案書送付のみ
対面プレゼンの時間配分(例)
プレゼンテーションの3つのコツ
① 提案書を「読まない」
提案書をそのまま読み上げるのは避けます。施主は文字も読める大人なので、口頭で読まれると「自分でも読めるのに」と感じます。提案書を見せながら、補足の説明・背景・想いを語る形式が効果的です。
② 施主の反応を見る
プレゼン中、施主の表情・うなずき・質問のタイミングを観察します。興味のあるページでは時間をかけ、関心が低いページは早めに進める、という柔軟性が必要です。
③ 質疑応答に備える
典型的な質問への準備
- 「他の選択肢はあるか」→3案併記の用意
- 「もっと安くできないか」→コスト圧縮版の準備
- 「工期はもっと短くできないか」→工程短縮の根拠
- 「保証はどうなっているか」→アフター体制の説明
- 「他社と比べてどう違うのか」→差別化ポイントの整理
- 「決められない、検討する」→決められない理由を聞き、次の連絡日を決める
決める人が同席しないとき
持ち帰って読まれる前提で作る
- 1ページ目に、ご要望の理解・おすすめの案・概算の幅・前提・次の連絡日の要約を置く
- 専門用語(B工事・施主支給・一式など)に、一言の注を付ける
- 映して説明する資料と、説明なしで読める持ち帰り用を分ける
- 決める人(共同経営者・本部・家族など)が誰か、いつ決めるかを聞いておく
クロージングの作法
② 「ご質問・ご不明な点はありますか」
③ 「次は○月○日ごろ、こちらからご連絡してもよろしいでしょうか」
④ 「ご決定にあたっての追加情報があれば、いつでもご連絡ください」
⑤ 「お忙しい中、お時間いただきありがとうございました」
店舗内装ドットコムについて
提案書とプレゼンテーションを整えたら、提案の機会を増やすことも考えます。マッチングプラットフォームは、新規接点の獲得チャネルの1つです。
関連記事
見積提出後の追客や失注の記録は内装業の受注率の上げ方もあわせてご参照ください。
提案後のフォローと意思決定促進
プレゼンテーションのあとも、施主が決めるまでの間の連絡を続けます。連絡の回数より、次の連絡日を施主と決めておくことが大切です。
提案後のフォローの予定(例)
フォローの内容と頻度
連絡の文例は内装業の受注率の上げ方にあります。
施主が決めやすくなる3つの手当て
① 実在する期限を伝える
② 判断材料を足す
③ 不安の解消
失注時の対応も重要
残念ながら他社に決まった場合でも、誠実な対応を続けます。「ぜひまた次回の機会には」と関係維持の姿勢を示すことで、将来の再度提案・紹介につながることがあります。
失注時の標準対応
- 結果連絡へのお礼を伝える
- 失注理由を可能な範囲で聞く
- 「次回の機会には」と関係維持の意思表明
- 定期的な情報提供(メルマガ・実績案内など。送ってよいかを確かめてから)
- 実績ページなどで施主のご活躍をフォロー
提案書のリサイクル
失注した提案書は、次の案件の素材として活用できます。コンセプト・参考画像・テンプレ要素は、別の施主への提案にもカスタマイズして使えます(施主から預かった図面・写真・計画の情報は使いません)。
提案書はライブラリ化する
提案書を案件ごとにバラバラに作っていると、毎回の作業時間が膨大になります。素材ライブラリ(コンセプト案・パース・自社で撮影した写真・事例ページ)と、上の提案書のひな形を整えておくと、1案件あたりの作成時間を短くできます。
提出前の確認と、提案書の権利
提出前の整合チェックリスト
提案書・見積書・図面・工程表がそろっているか
- 図面の版と日付が、提案書・見積書・図面で同じか
- 3案の金額が、見積書の合計と合っているか
- 仕様の品番が、仕上げ表と合っているか
- 前提・別途・B工事・施主支給が、見積条件書と同じ言葉で書かれているか
- 工期の書き方が、工程表と合っているか(「見込み」と前提)
- 確約する表現や、他社の写真がないか。権利の表示があるか
- 施主名の誤字、有効期限、次の連絡日
図面・パース・写真の権利
図面・パース・文章に創作性があれば、手続きをしなくても著作物として保護され得るとされています(著作権法第2条第1項第1号・第10条第1項・第17条第2項)。アイデアそのものは保護されないとされているため、提案が他社に流用されることを完全には防げません。次の取扱いを決めておきます。
権利と取扱いで決めておくこと
- 提案書に権利の表示を入れる(下の文例)
- 外注したパースは、権利の譲渡か利用の範囲を契約で決めておく。譲渡の契約で翻案などの権利を特に挙げていないときは、譲渡した側(外注先)に留保されたものと推定されるとされています(著作権法第61条第2項)
- 会社の発意にもとづいて社員が職務上作り、会社の名義で公表するものは、作成の時の契約や勤務規則などに別段の定めがなければ、会社が著作者になるとされています(同法第15条第1項)
- 無償で出す範囲(初回の提案書まで、パースは○枚まで など)を社内で決めておく
- 生成AIの画像やテンプレート・素材は、利用規約を確かめ、「イメージ」と明記する
FAQ よくある質問
決まったページ数はありません。初回や小さな工事はA4 1枚の要点書面、ほかの会社と比べられる場面は本文の11のページの提案書にし、図面・仕上げ表・見積の内訳は別紙にします。情報を詰め込むより、伝えたいことを絞り込みます。
案件規模により変わります。受注金額が大きい案件ほど、提案書に時間を投下する価値があります。
必須ではありませんが、比べられる場面で、完成後を想像してもらう材料になります。中〜大規模案件では3Dパースの提示を求められることがあります。自社内製が難しい場合、外部CG業者に外注することもできます(費用は業者の見積によります)。費用対効果を計算した上で、案件規模に応じて判断します。
他社の金額を聞き出すことはおすすめしません。施主との信頼関係を損なうおそれがあります。自社の単価と前提で見積を出し、施主から「他社はもっと安い」と言われた場合は、工事の範囲・仕様・数量・別途工事をそろえて比べ、そろえたうえでの違い(工期の確かさ、施工体制、保証)を示します。
ご要望の理解・プラン・前提条件と概算は残し、自社紹介・実績紹介は簡略化します。施主にとっての要点は時間が短くても簡潔に伝え、補足は後日の資料で補います。
PDFで送るのが一般的です。パワポは編集できる形式なので、書き換えや流用の懸念があります。PDFでも転送は防げないので、権利の表示を入れます。提出版はPDFにし、編集元のデータ(パワポなど)は自社で保管します。
本文に、コピーして使える提案書のひな形(11のページと記入例)があります。デザインのテンプレートは、建材メーカーの素材集やCanvaなどのサービスでも手に入りますが、社外に配る資料に使えるかを利用規約で確かめてから使い、自社のブランドに合わせて整えます。
起こり得ることで、完全には防げません。図面・パース・文章に創作性があれば、手続きなしで著作物として保護され得ますが(著作権法第2条第1項第1号・第10条第1項・第17条第2項)、アイデアそのものは保護されないとされています。提案書に権利の表示を入れ、無償で出す範囲を決めておきます。深刻な事案は弁護士にご相談ください。
時期が動いた案件は、月1回程度の近況確認に切り替えます。決められない理由(予算・仕様・社内や家族の了承・他社との比較)を聞き、足せる材料があれば1つずつ出します。物件や時期が決まったら、前提を確かめて再提案します。連絡の文例は、当サイトの「内装業の受注率の上げ方」にあります。
失注理由を可能な範囲で聞き、改善点を記録します。コンセプト・素材・パースなどは、次の案件に合わせて直して再利用できます(施主から預かった図面・写真・計画の情報は使いません)。素材をライブラリにしておくと、提案書を作る時間を短くできます。
① クラウド型テンプレサービス(Canva・Adobe Express・Figma)の活用、② 月額契約のフリーランスデザイナー、③ 単発の外部デザイナー依頼、④ 業界向けの提案書テンプレ販売、の4つが現実的な選択肢です。最初はテンプレ活用から始め、案件規模が拡大したら専門人材の確保を検討します。
業界経験が長い同業の経営者・先輩、業界団体、デザインコンサルタント、建築・内装専門のマーケティング会社が現実的な相談先です。本記事は実務の全体像を整理する目的で作成しており、個別の判断は専門家にご相談ください。
確約はせず、幅と前提で書きます。金額は「○○万〜○○万円(税別)」と、本見積で変わる条件(仕様の確定、設備の容量、解体後の状態など)を、工期は「着工から○週間の見込み」とその前提を書きます。売上や集客の効果、許認可の可否は断定しません。
前提にした図面の版と日付、現地調査の日、物件の状態、既存設備を再利用する範囲、B工事(ビルが指定する業者の工事)を含まないこと、別途工事と手配する人、施主支給品の扱い、工事中に分かったら別途になる事項、概算の精度と有効期限です(本文の「前提条件のページに書く7つのこと」)。本文に記入例があります。
専門業務へのご相談について
提案書作成のデザイン・著作権・法的論点は、デザイン会社・弁護士・行政書士にご相談ください。本記事は実務の全体像を整理する目的で作成しており、個別の判断について断定的に助言するものではありません。
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