店舗内装を
業種・地域・工事のご希望を伺い、1社ずつ対応を確認してご紹介します。
成約時の成果報酬のみで、登録料・月額費は0円。得意業種・エリアをもとに、元請け案件の概要をメールでご案内します(受注義務なし)。1件あたりの紹介社数は中央値3社です(2026年5月18日〜9月15日のご相談のうち、紹介まで進んだ55件)。
※登録は無料/成約時のみ報酬発生(率・条件は登録案内で確認)/審査あり
「見積では粗利30%を見込んでいたのに、決算では10%しか残っていなかった」——原価の予定と実績を突き合わせる仕組みがないと起きやすい、典型的なパターンです。原因は、見積で見込んだ原価と、実際にかかった原価のズレ。これを早く見つけて直す仕組みが、原価管理です。
本記事は、店舗内装会社の経営者・現場担当者向けに、原価管理の実務をまとめたガイドです。実行予算の組み方、予実差(予定と実績の差)の追い方、赤字現場の早期発見、外注費・材料費の管理、月次原価集計の運用、そしてどの数字を毎週見ればいいかまで整理しました。粗利を「結果論」から「設計可能な数字」に変えるための土台作りです。実行予算書は、受注した工事をいくらの原価で行うかを工種・費目ごとに決める社内の予算書、工事台帳は、工事ごとに実際にかかった原価と入金を記録する帳簿です。実行予算書と工事台帳は、記入例と、Excelなどで開けるひな形(CSV・計算式入り)を用意しています(実行予算書・工事台帳)。
この記事でわかること
- 見積と実行予算の違い、予定と実績がずれる典型パターン
- 実行予算の作り方(見積→実行予算→発注の3段階)と、承認する前に確かめること
- 実行予算書のひな形(記入例・CSV)と、発注残を含めた予算残の見方
- 工事台帳の書き方とひな形(材料費・労務費・外注費・経費の分け方、保存期間)
- 予実差分析で見るべき5つの指標
- 赤字現場の早期発見シグナルと3段階の介入
- 材料費・外注費の管理(発注書の活用、相見積もりの運用)
- 月次・週次・日次の原価集計フロー
- 利益率の目安を公的統計で確認する方法
- 原価管理ソフトとExcelの使い分け
- 赤字現場が発生したときの会計処理と次回への学び方
- 立ち上げ期の事業者が最初に整えるべき原価管理の最小セット
なぜ「見積粗利」と「実績粗利」がズレるのか
見積粗利と実績粗利のズレは、原価の予定と実績を突き合わせていないと、案件ごとに起きやすくなります。見積の段階で30%を見込んでいても、決算では20%、10%まで下がることがあります。ズレがなぜ起きるのかを仕組みで理解しておくと、対策が立てやすくなります。
統計の出典:日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2024年度・内装工事業676社(調査結果の一覧)。粗利率は完成工事高総利益率。対象は同公庫の融資先で従業者50人未満の法人企業です。見積で見込んだ粗利が決算でどれだけ残るかは、この差(粗利率と営業利益率の差=販売費及び一般管理費)を含めて考えます。
予実乖離が起きる3つのメカニズム
① 見積時の数量拾い漏れ
図面から数量を拾う段階で、特定の壁面・天井面・付帯工事を計上し忘れるパターンです。施工段階で「あれが入っていなかった」と発覚しても、施主に追加請求できないケースが多く、自社負担になります。小さな拾い漏れでも、積み重なると無視できない額になります。
② 単価の見積後高騰
見積を出してから契約・着工までに時間がかかると、その間に材料の単価が上がっていることがあります。請負契約書には、価格の変動による請負代金の額の変更とその算定方法の定めを書く事項があります(建設業法第19条第1項第8号)。また建設業者は、天災その他不可抗力による主要な資機材の供給の不足・遅延・価格の高騰などが起きるおそれがあると認めるときは、契約を結ぶまでに、その旨と状況の把握に必要な情報を書いた書面を(見積書を作るときはそれに添えて)注文者に交付して知らせなければならないとされています(同法第20条の2第2項、施行規則第13条の16第2項・第13条の17第2項。書面を電子で作ったときは電子の方法で交付することもできます。同条第4項)。通知しておけば、契約後にその事象が起きたとき、契約書の定めに従った代金などの変更の協議を申し出ることができます(同法第20条の2第3項)。定めも通知もないまま値上がりすると、自社で吸収することになりがちです。
③ 工期延長と現場経費の膨張
仮設電力・仮設水道・現場監督人件費・職人手配の調整費は、工期日数に比例して発生します。工期が延びた分だけ、これらの費用も増えます(45日の予定が55日になれば、日数比で約2割の増加です)。
予実乖離のさらに深い原因
原因①
原因②
原因③
「黒字現場が赤字現場を埋める」運用は危険
黒字現場の利益で別の赤字現場を埋め合わせる運用は、短期では成り立ちますが、「なぜ赤字なのか」「なぜ予実がずれるのか」の分析がされないまま続き、資金繰りが急に苦しくなることがあります。原価管理は「赤字現場をゼロにする」より「赤字の構造を可視化する」のが目的です。
実行予算の作り方(見積→実行予算→発注)
原価管理の出発点は、「実行予算」の作成です。実行予算は、見積の金額構成を、実際の発注・支払いの単位に組み直した管理用の数字です。見積をそのまま現場管理に使うと、発注先や支払時期との対応が取れず、進捗も追えません。
見積・実行予算・発注の3段階
① 見積
② 実行予算
③ 発注
似た言葉を整理しておきます。
(実施予算)
実行予算作成の標準フロー
実行予算書を承認する前に確かめること
承認の前のチェック
- 契約内訳の合計が、契約金額(税抜)と一致している(値引きは値引きの行で)
- B工事・施主支給・別途工事の行を分け、金額を入れる行と入れない行がはっきりしている
- 主要な協力会社の見積の単価と条件(一式か単価で精算か、材料の支給、発生材の処分や仮設の負担)を確かめた
- 計画粗利率が、自社で決めた基準以上になっている
- 着手金・中間金・残金の入金の時期と、協力会社への支払いの時期のずれを確かめた
- 予備費の行を置いた(見積書には出さない)
計画粗利率が基準に届かないときは、承認の前に、①仕様や工法を見直す(施主との契約の内容を変えるときは、変更の内容を書面にして交わします。建設業法第19条第2項)、②協力会社と作業の範囲や工程の条件を調整する(取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならないとされています。同法第19条の3第1項)、③基準に届かないまま進める理由を記録して、経営者が承認する、のどれかを決めます。見積の段階で原価割れが見込まれるときは、受注するかどうかから見直します(建設業者は、正当な理由がある場合を除き、通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を結んではならないとされています。同条第2項)。
承認した実行予算は、現場の責任者と共有します。実行予算書は原価と利益が分かる社内の資料なので、施主や協力会社には出しません。
実行予算書のひな形(記入例)
店舗内装の実行予算書の記入例です。見積書と同じ工種の並びで、1行に1つの費目を書きます。金額はすべて「○○」にしています。B工事(ビルが指定する業者の工事)や施主支給品など、店舗内装で抜けやすい行も入れています。
表は横にスクロールできます。
CSVには上の21行と計算式(計画粗利・粗利率・予算残・着地見込みとの差・費目別の集計・契約金額との照合)が入っています。Excelなどの表計算ソフトで開けます。Excelで開いたら、ブック形式(.xlsx)で保存し直してください(CSVのまま保存すると計算式が消えます)。見積書の内訳明細のひな形は、見積書の書き方とひな形のガイドにあります。
Excelでブック形式(.xlsx)に保存し直したら、次の3つを設定しておくと、入力の間違いに気づきやすくなります。①費目の列に入力規則(リスト:材料費・労務費・外注費・経費)、②予算残がマイナスになったセルを赤くする条件付き書式、③入力する列のロックを外してから(セルの書式設定の[保護])、シートを保護して計算式の列を書き換えられないようにする。費目別の集計は、費目の列の言葉が一致した行だけを足すSUMIF関数で作っているので、費目は4つの言葉のどれかでそろえます。
実行予算と発注金額の整合性
実行予算が確定したら、各発注書の合計が予算と一致するように発注を進めます。発注時に予算超過が見えた段階で、別の協力会社へ相見積もりを取る、仕様を見直す、などの調整を行います。
② 予備費は実行予算の中に別の行で持ち、使ったら理由と費目を記録する(率は、自社の過去の工事の実績から決める)
③ 注文書は実行予算の行にひも付けて出す(注文書番号を記録)
④ 追加・変更は当初の予算を上書きせず、変更合意書ごとに行を足す
⑤ 週次・月次で、予算残と着地見込みを確かめる
予算残は「発注残」まで含めて見る
支払った金額だけを実行予算と比べると、注文書を出したがまだ請求が来ていない金額(発注残)が、使える予算のように見えてしまいます。注文書を出した金額は、すでに使い道が決まった原価です。予算残は「実行予算−(注文書を出した金額+注文書のない費用)」で見ます。注文書を出さずに発生した費用(追加の材料の直送、立替など)は、発生した時点で「注文書のない費用」の列に書き、支払ったかどうかにかかわらず予算から引きます。
当初の予算と、変更後の予算を分けて持つ
追加工事や仕様の変更が出たら、当初の実行予算を上書きせず、変更合意書(番号)ごとに「契約の増減」と「原価の増減」の行を足します。上書きすると、当初の見込みとの差が消え、何を読み違えたのかが後から分からなくなります。変更合意書の書き方は、追加工事・変更工事のガイドにまとめています。
店舗内装ドットコムについて
原価管理体制が整い、案件ごとの粗利を安定的に確保できるようになると、案件接点の数を増やすキャパシティが拡大します。マッチングプラットフォームは、その接点を作るチャネルの1つです。
関連記事
見積書の作成・項目構成は見積書作成・積算実務ガイド、契約書との連携は請負契約書ガイドもあわせてご参照ください。
工事台帳の書き方とひな形
工事台帳は、工事ごとに、契約と入金、かかった原価を記録する台帳です。実行予算書が「予定」なら、工事台帳は「実績」です。原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けておくと、工事ごとの粗利がすぐに出せ、実行予算書との差も工種・費目ごとに比べられます。建設業の財務諸表の完成工事原価報告書も、原価をこの4つ(うち労務外注費・うち人件費)に分けて示します。
4つの費目の分け方(国土交通省告示の定義)
出典:国土交通省「建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」(完成工事原価報告書)。例は当サイトで補ったものです。
どの費目に入れるか迷う支払い(一人親方への手間請け、材料持ちの応援、廃材の処分など)は、社内でルールを決めて、全部の工事で同じにします。決算の勘定科目は、顧問税理士と確認します。
複数の現場にまたがる費用(自社の職人の人件費、車両、倉庫の材料など)は、日報の人工に社内の単価を掛ける、使った日数や持ち出した量で割り振る、など按分の基準を先に決め、全部の工事で同じにします。本社の家賃や事務の人件費などの一般管理費は、工事に振らず会社全体の予算で見ます(実行予算書の記入例も同じ扱いです)。
建設業の許可を受けた会社は、毎事業年度が終わってから4か月以内に、工事経歴書や、完成工事原価報告書を含む財務諸表などを、許可を受けた国土交通大臣または都道府県知事に提出しなければならないとされています(建設業法第11条第2項、施行規則第10条)。工事ごとの原価を4つの費目で集計しておくと、これらの書類を作るときの裏付けになります。公共工事を元請で請け負うために経営事項審査(同法第27条の23)を受ける場合も、決算の数字を正しく出せることが前提になります。
工事台帳に書く項目とひな形
店舗内装の工事台帳で漏れやすいこと
- 工事番号を、注文書・請求書・写真のフォルダ名にも書く(転記と照合が速くなる)
- 施主支給品は原価に入れず、取付けの費用だけを記録する
- B工事を自社の契約に含めたときは、指定業者への支払いも記録し、見積との差を確かめる(次の見積の精度に使う)
- 夜間・休日作業の割増や、警備・駐車・館内申請の費用は、発生した日に記録する(後からまとめると漏れやすい)
- 追加・変更工事は、変更合意書の番号で行を分ける
CSVには、工事の情報・契約金額(当初と変更後)・入金・費目別の集計(計算式入り)と、原価の明細の記入欄(記入例4行つき)が入っています。
工事台帳の保存期間
工事台帳の内容は、次の帳簿・書類と重なります。それぞれに保存期間が決まっています。
工事台帳で帳簿を兼ねる場合や、会計の帳簿として使う場合は、長い方の期間に合わせて保存しておくと安全です。建設業法の帳簿は、営業所で必要に応じて画面や紙にはっきり表示できれば、電子の記録で代えることもできます(施行規則第26条第6項)。
予実差分析で見るべき5指標
予算が決まったら、次は実績との差分(予実差)を継続的に追いかけます。予実差を見るための指標は多くありますが、まずは次の5つを押さえると、現場の状況をつかみやすくなります。
5つの主要指標
| 指標 | 計算式 | 見るべき理由 | しきい値の例(自社で決める) |
|---|---|---|---|
| ① 予算消化率 | 実績÷予算×100% | 支出の進捗が見える | 工程進捗と比べる |
| ② 予実乖離率 | (実績-予算)÷予算×100% | 超過・節約の方向 | 例:±5% |
| ③ 予測完了原価 | 実績+残工事の見込原価 | 最終着地が見える | 予算以内 |
| ④ 予測粗利率 | (売上-予測完了原価)÷売上 | 最終粗利の見通し | 例:計画粗利率から−3ポイント |
| ⑤ キャッシュインアウト | 入金累計-支出累計 | 立替期間の確認 | マイナス幅を最小化 |
各指標の使い方
指標① 予算消化率
契約金額を100、実行予算を70とした工事で、中間の時点までに45.5を使ったなら、予算消化率は65%です。これを工程進捗(例:全工程の60%が完了)と比べ、消化率が進捗を大きく上回っていれば、予算超過の兆しです。逆に、消化率が進捗を大きく下回っているときは、注文書の出し忘れや、工事台帳への記入漏れがないかを確かめます。
指標② 予実乖離率
工種ごとに「予算100に対して実績104なら+4%」と表します。どこまでを許容し、どこから原因を調べるかは、自社の粗利率と過去の実績から決めます(例:±5%を超えたら原因を調べる)。
指標③ 予測完了原価
「現時点の実績45.5+残工事の見込み原価26.5=予測完了原価72」と計算し、実行予算70との差(2の超過)を見える形にします。最終の着地を予測しておくと、対応が間に合う段階で手を打てます。
指標④ 予測粗利率
「(契約金額100−予測完了原価72)÷契約金額100=28%」のように、最終の粗利率を予測します。計画粗利率30%からどこまで下がったら警戒し、どこから緊急の対応をするかは、自社で決めておきます。
指標⑤ キャッシュインアウト
原価管理は粗利だけでなく、現金の出入りも見る必要があります。協力会社への支払いと施主からの入金のタイミングがずれると、資金繰りが悪化します。立替期間を最小化する運用が重要です。
予実差ダッシュボードの可視化例
契約金額を100、実行予算を70とした工事の例(中間時点)
「実績だけ見る」は遅い
原価管理で最も重要なのは「予測」です。実績だけ追いかけても、過去の数字を確認するだけで対策が打てません。残工事の見込原価を含めた予測完了原価を、毎週更新することで、最終着地の修正が可能になります。
赤字現場の早期発見シグナル
赤字現場は、最後に発覚するのがもっとも痛手です。月次決算で「あれ、利益が出ていない」と気づいても、もう手遅れ。赤字の兆候は工程の早い段階で出ているので、それを早期に拾う仕組みが必要です。
3段階の警戒シグナル(しきい値は例)
第1警戒(緑→黄)
第2警戒(黄→橙)
第3警戒(橙→赤)
早期発見のための8シグナル
赤字現場のシグナル例
- 解体後に躯体劣化が判明し、補修工事が必要になった
- 仕様変更が重なり、そのたびに追加工事の合意が遅れている
- 協力会社からの見積が予算より高い
- 材料の納期遅延で職人の手待ち時間が発生している
- 工程会議で「遅れ」と「挽回策」のセット報告が連続している
- 施主からの追加要望が増えていて、その場で「サービス」と返答している
- 近隣からの苦情対応に想定外の時間が取られている
- 協力会社の支払い予定が、施主からの入金より先に来る案件が並んでいる
シグナル検知時の3段階対応
段階① 原因の切り分け(第1警戒)
+5%の乖離が出た段階で、原因を「数量見積ミス」「単価上昇」「工程遅延」「仕様変更」「現場経費膨張」のどれに該当するかを切り分けます。原因が明確になれば、後続工程での対策が立てやすくなります。
段階② 挽回計画の策定(第2警戒)
+10%の乖離は、計画した粗利が大きく削られる水準です(契約金額100・実行予算70の工事なら、原価77で粗利率は23%に下がります)。残工事の発注先の見直し、協力会社との単価の相談、仕様の見直しなど、具体的な挽回策を組みます。仕様の見直しは施主との合意(変更合意書)が前提です。協力会社との単価の相談でも、取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならないとされています(建設業法第19条の3第1項)。施主への追加見積の依頼も、このタイミングで判断します。
段階③ 経営判断(第3警戒)
+15%の乖離は、計画粗利の3分の1以上が失われる水準です(同じ例で原価80.5、粗利率19.5%)。計画粗利率が低い工事では、赤字になることもあります。原因分析と挽回策だけでは追いつかないことが多く、経営層が入って「損失を最小にする」「将来の予算の精度を上げる」などの判断をします。
「現場の根性論」では赤字は止まらない
赤字現場が見えたとき、現場担当者が「徹夜してでも挽回する」「自社の職人で対応する」と頑張ろうとすることがあります。短期的には乗り切れても、職人の疲弊・品質低下・引渡後のクレーム発生につながります。原価管理は数字で判断し、戦略的に対応する必要があります。
材料費・外注費の管理実務
店舗内装の原価の多くは、材料費と、協力会社への支払い(外注費や、手間請けなどの労務費)です。この2つを管理できれば、原価の大半をコントロールできます。
材料費の管理
① 発注書の活用
発注は、すべて発注書(注文書)で書面化します。「電話で発注」「LINEで指示」だけでは、後で「言った・言わない」のトラブルになるだけでなく、原価管理でも追跡できません。発注書には、品番・数量・単価・納期・支払条件を明記します。
② 相見積もりの運用
主要な材料(クロス・床材・建具・什器)は、契約締結後に2〜3社から相見積もりを取るのが原価圧縮の基本です。見積段階で見積に乗せた単価より、実際の発注で安く調達できることがあります。
③ 材料の発注タイミング
| 材料種別 | 発注タイミング | 確かめること |
|---|---|---|
| 長納期品(厨房機器・什器) | 契約締結直後 | メーカー・機種ごとの納期 |
| 建具・サッシ | 仕様確定後すぐ | 製作図の承認と納期 |
| クロス・塗装材 | 下地工程の前(納期から逆算) | 品番の在庫と取り寄せの日数 |
| 床材(タイル・フローリング) | 仕上げの前(納期から逆算) | 在庫と取り寄せの日数 |
| 軽鉄下地材 | 解体完了後すぐ | 搬入できる時間帯 |
| 細物・副資材 | 必要時に都度発注 | 現場での不足 |
納期は、品番・メーカー・時期で大きく変わります。発注の前に仕入先に確かめ、工程表から逆算して発注日を決めます。
外注費の管理
① 協力会社単価の更新
協力会社の単価は、定期的に(例えば年1回〜半年に1回)見直します。労務費は上がる方向で動くことが多く、古い単価のまま見積を出すと、実際の発注時に予算オーバーになります。
② 単価の根拠を残す
協力会社からの見積を、発注のたびに記録・蓄積します。工種ごとに「前回の単価」「今回の単価」「変わった理由(材料・手間・条件)」を残しておくと、次の見積で今の単価で積算できます。工事台帳の明細に単価を書いておけば、そのまま履歴になります。
③ 支払条件の整理
支払条件①
支払条件②
支払条件③
建設業法上の支払時期の論点
建設業法第24条の3では、元請負人は、出来形部分や工事完成後の支払いを注文者から受けたときは、その支払いを受けた日から1か月以内で、かつできる限り短い期間内に、下請負人へ下請代金を支払わなければならないとされています。このうち労務費に相当する部分は、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないとされています(同条第2項)。特定建設業者が注文者となる下請契約(下請負人が特定建設業者や、資本金が一定額以上の法人である場合を除く)では、下請負人が引渡しを申し出た日から50日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めなければならないとされています(第24条の6)。下請代金の遅延は法令上の問題に加え、協力会社からの信頼を失う原因です。立ち上げ期の事業者でも、支払サイトは誠実に守ります(個別の扱いは許可行政庁に確認)。
関連記事
建設業法上の下請関連の論点は請負契約書ガイドで整理しています。インボイス制度に絡む経理処理はインボイス対応ガイドもあわせてご参照ください。
月次・週次・日次の原価集計フロー
原価管理は、頻度の異なる3つのサイクルで動かします。日次で集める、週次で確認する、月次で経営判断、というレイヤー構造です。
3階層の原価集計
① 日次
② 週次
③ 月次
日次でやること
日次原価管理の標準項目
- 当日発注した材料・外注の発注書を保管
- 当日の現場経費(駐車場代・消耗品など)を入力
- 翌日の発注予定を確認
- 協力会社から届いた請求書を仕分け
- 気になる支出を別途メモ(予算外と思える支出)
週次でやること
週次原価管理の標準項目
- 各案件の予算消化率を確認
- 予実乖離率を計算(超過・節約の方向)
- 残工事の見込原価を更新
- 予測完了原価・予測粗利率を更新
- 警戒シグナルがあれば原因分析
- 翌週の発注予定を確認
- キャッシュフローを点検
月次でやること
月次原価管理の標準項目
- 完工案件の最終粗利を確定
- 進行中案件の予測粗利を更新
- 協力会社別の発注額・支払額を集計
- 業態別・案件規模別の粗利率を分析
- 予実乖離の傾向を月次トレンドで確認
- キャッシュフローと支払予定を整合
- 翌月の見積・受注パイプラインを確認
- 年間粗利目標との進捗を確認
集計を速くする3つの決まり
利益率の目安を公的統計で確認する
原価管理の物差しとして「業界の標準粗利率」を求めたくなりますが、店舗内装の業態別・規模別の粗利率を公表した公的な統計は確認できていません。確かめられる目安は、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2024年度の内装工事業(676社)の数値です。
出典:日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2024年度(調査結果の一覧)。対象は同公庫の融資先で従業者50人未満の法人企業、平均は各企業の指標の単純平均です。建設業は隔年調査で、次回掲載は2027年8月の予定です。
統計をどう使うか
この統計が示すのは、粗利率が平均で4割前後あっても、販売費及び一般管理費(役員報酬・事務所の人件費・家賃など)を引いた営業利益は、全企業平均ではマイナスになっているということです。案件ごとの原価管理で守るべき粗利額は、業界の「標準」ではなく、自社の年間の販売費及び一般管理費と目標の営業利益から逆算して決めます(計算の考え方は内装会社が単価と粗利を上げる方法)。
元請け・下請け・孫請けで見方が変わる
元請けは、見積の範囲・仕様・諸経費を自社で決められる代わりに、現場管理費と一般管理費を自社の粗利で賄います。下請け・孫請けは、元請けが決めた範囲と単価の中で施工するため、粗利率は工事の種類や階層によって大きく変わり、一つの目安で語れません。自社の受注形態ごとに、過去案件の粗利率のトレンドを追うのが実務的な物差しになります。
関連記事
統計の読み方と粗利30%の見積もり計算は内装工事の利益率の目安、値引きを求められたときの対応と案件の選び方は内装会社が単価と粗利を上げる方法、元請け化の流れは下請けから脱却する方法もあわせてご参照ください。
原価管理ソフトとExcelの使い分け
原価管理は、Excelでも専用ソフトでも回せます。月の処理案件数・チームの規模・既存システムとの連携で選択します。
3つの選択肢の比較
Excel
クラウド原価管理
建設業特化システム
Excelの推奨シート構成
② 実行予算(工種別・発注先別)
③ 発注台帳(発注書ナンバー・金額・納期)
④ 支払予定(支払サイト・銀行振込予定)
⑤ 入金予定(着手金・中間金・最終金)
⑥ 予実差ダッシュボード(主要指標の自動計算)
⑦ 月次サマリー(全案件の集計)
Excelから切り替えを考えるサイン
こんな状態が続いたら検討する
- 同じ金額を、見積・注文書・台帳に何度も転記している
- 月末まで、工事ごとの粗利が分からない
- 担当者ごとにファイルの形が違い、最新のファイルがどれか分からなくなる
- 計算式の誤りや、式の消し忘れが繰り返し起きる
- 現場から原価や写真を入力したい
- 会計ソフトと連携して、二重入力をなくしたい
ソフトを選ぶときの確認点(入力のしやすさ・見積と実績の比較・発注と請求の照合・会計連携・総額)は、内装工事の利益率の目安の原価管理の節にまとめています。
会計ソフトとの連携
原価管理ソフトの多くは、会計ソフトとの連携機能を持っています。発注書から請求書、請求書から仕訳、仕訳から決算書、というフローが半自動で流れる体制を整えると、転記の手間と誤りを減らせます。
導入は段階的に
専用ソフトの導入は、業務フロー全体の見直しを伴います。最初は1案件・1機能から試し、運用が回ることを確認してから全社展開する段階的アプローチが安全です。一気に切り替えると、移行期間中の運用が不安定になります。
赤字現場発生時の対応と学び方
原価管理を整備しても、赤字現場をゼロにはできません。重要なのは、赤字現場が発生したときに「数字を直視する」「原因を分析する」「次回案件に活かす」サイクルを回すことです。
赤字現場の3つの段階別対応
① 進行中で赤字確実
② 引渡後に赤字判明
③ 慢性的な赤字傾向
赤字原因分析の標準フレームワーク
| 原因カテゴリ | 具体的な要因 | 次回への学び |
|---|---|---|
| 見積精度 | 数量拾い漏れ・単価古い・項目漏れ | 見積チェックリスト整備 |
| 仕様変更 | 追加工事の合意なし・サービス化 | 変更合意書の運用徹底 |
| 外注費 | 協力会社単価の上昇・複数社比較不足 | 定期的な単価見直し |
| 材料費 | 納期遅延・廃番・代替品高騰 | 長納期品の早期発注 |
| 工期延長 | 仕様変更・天候・近隣対応 | 工程バッファの設計 |
| 諸経費膨張 | 現場経費延長・近隣対策 | 諸経費率の見直し |
| 支払サイト | 下請けが先・施主が後 | キャッシュ管理強化 |
赤字案件の振り返り会議
引渡しの後、記憶が新しいうちに(最後の請求と支払いが済んだころに)、赤字案件の振り返り会議を行います。営業・現場監督・経理が集まり、何が原因で赤字になったか、何を変えれば再発を防げるかを文書化します。
振り返り会議のアジェンダ
- 当初の見積粗利と最終粗利の差
- 主要な原価超過の項目と金額
- 仕様変更・追加工事の発生履歴
- 協力会社の対応と単価の推移
- 工期と現場経費の関係
- 施主との関係(クレームの有無)
- 次回同業態案件の改善ポイント
- 会社全体のルール変更の必要性
立ち上げ期の最小セット
立ち上げ期の事業者・一人会社・スモールチームでは、原価管理の全機能を一気に整備するのは現実的ではありません。最小限のセットで運用を始め、案件数の増加に応じて機能を拡張するのが現実的なアプローチです。
立ち上げ期に必須の3点セット
① 実行予算シート
② 発注台帳(工事台帳)
③ キャッシュフロー表
最小セットの運用フロー
立ち上げ期の典型的な落とし穴
立ち上げ期で陥りやすいミス
- 「忙しいから後で記録する」と発注書を放置→結局やらない
- 協力会社別ではなく工種別だけで管理→支払予定が見えない
- キャッシュフロー予測なしで案件を取りすぎる
- 赤字案件の原因分析なしで次の案件に進む
- 請求書のファイリングが整理されず、確定申告で混乱
段階的な整備プラン
| 段階 | 整備項目 | タイミング |
|---|---|---|
| はじめ | Excelの最小セット(実行予算書・工事台帳・資金繰り表) | 最初の工事から |
| 帳簿 | 会計ソフトの導入 | 帳簿付けを始めるとき |
| 原価 | 原価管理ソフトの導入 | 上の「切り替えを考えるサイン」が出たとき |
| 人 | 会計・原価・給与の連携 | 従業員を雇うとき |
| 規模 | 建設業向けシステムの導入 | 案件・協力会社・人数が増えたとき |
関連記事
立ち上げ期の事業運営全般は独立ガイドもあわせてご参照ください。
税務・会計との接続論点
原価管理は、税務・会計と密接に連携しています。日次・週次の現場ベースの原価管理と、月次・年次の会計処理が整合していないと、決算で混乱が起きます。
原価管理と会計の連携ポイント
| 論点 | 原価管理側の作業 | 会計側の作業 |
|---|---|---|
| 発注 | 注文書の発行・台帳記録 | まだ仕訳しない(納品・請求で計上) |
| 請求書受領 | 金額・内訳確認 | 工事未払金(買掛金)を計上 |
| 支払 | 支払台帳に記録 | 工事未払金の消込・出金 |
| 引渡 | 引渡日を記録 | 完成工事高と完成工事原価を計上(完成基準の場合) |
| 入金 | 入金確認 | 完成工事未収入金(売掛金)の消込 |
| 決算 | 未完成の工事の原価と受入金を集計 | 未成工事支出金・未成工事受入金に計上 |
引渡し前の工事の会計処理(未成工事支出金・未成工事受入金)
引渡しを完了していない工事に要した工事費(材料購入や外注のための前渡金・手付金などを含む)は「未成工事支出金」(資産)、引渡しを完了していない工事について受け取った請負代金は「未成工事受入金」(負債)として扱います(国土交通省告示「勘定科目の分類」)。工事台帳で工事ごとに原価を集計しておくと、決算のときに、完成した工事の原価(完成工事原価)と、未完成の工事の原価(未成工事支出金)を分けられます。
完成基準
進行基準
消費税・インボイス対応
2023年10月施行のインボイス制度により、原価管理の仕入先(協力会社・材料業者)が適格請求書発行事業者かどうかを確認する作業が必要になりました。発注時に登録番号を記録することで、後の経理処理がスムーズになります。
② インボイス対応か否かのフラグ
③ インボイス未対応の場合、経過措置の段階別取扱い
④ 仕入税額控除の影響額
税務・会計の専門家との連携
原価管理の精度向上は、税理士との連携で大きく進みます。月次試算表のタイミングで税理士と原価データを共有し、「進行中工事の利益見通し」「キャッシュフロー予測」「決算対策の提案」を受ける運用が、立ち上げ期から効果的です。
関連記事
インボイス制度の詳細対応はインボイス対応ガイドに整理しています。
受注から引渡しまでの書類のひな形
FAQ よくある質問
立ち上げ期の事業者では、見積担当が実行予算も作ることが多いです。その場合も、原価の実績は経理など別の人が確かめる形にすると、見積の精度を検証しやすくなります。人数が増えたら、見積担当(営業)・現場監督・経理が連携して作ります。
原因を先に切り分けます。数量の拾い漏れか、単価の上昇か、工期の延長か、仕様の変更かを分け、原因に応じた対策を立てます。どこまでを許容範囲とするかは自社で決めますが、原因を記録しないまま放置すると、差が広がることがあります。週次の確認で原因を記録し、次の見積の改善に使います。
材料や労務の変化など、見直しの理由と根拠を聞き、妥当なら受け入れて、自社の見積単価も次の工事から見直します。元請として協力会社に発注する立場では、取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならないとされています(建設業法第19条の3第1項)。比べたいときは、同じ条件で別の協力会社の見積も取ります。
協力会社への支払日と、施主からの入金日の差を確認します。支払いが入金より先に来る期間は、自社が立て替えます。支払条件ごとに、立て替える期間と金額を資金繰り表で確かめ、施主との支払条件(着手金・中間金・出来高払い)の相談や、運転資金の借入の検討で手当てします。協力会社への支払いは、建設業法の期限(本文の「建設業法上の支払時期の論点」)を守ることが前提です。
必要です。一人会社こそ、自分の労務費を含めた本当の粗利を見ないと、「忙しいだけで残らない」状態に陥ります。Excelの最小セットで構いませんが、月1回は必ず原価集計を行い、案件ごとの粗利を確認します。
案件が少なく、1〜2人で管理しているうちは、Excelで十分に回せます。同じ金額を何度も転記している、月末まで工事ごとの粗利が分からない、最新のファイルがどれか分からなくなる、といったサインが出たら、クラウドの原価管理サービスなどへの切り替えを検討します。本文の実行予算書・工事台帳のひな形(CSV)は、そのままExcelで使えます。
追加請求の根拠を、変更合意書・追加見積・施主の指示記録で示します。これらが揃っていない口頭ベースの追加工事は、追加請求が困難です。今後の現場では、追加工事は着手の前に変更合意書を交わす運用に切り替えます。詳しくは追加工事・変更工事のガイドをご参照ください。
店舗内装の業態別の粗利率を公表した公的な統計は確認できていません。業種別の目安としては、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2024年度に内装工事業(676社)の完成工事高総利益率(全企業平均43.0%・中央値36.2%)と売上高営業利益率(全企業平均−1.9%・中央値0.5%)があります(内装工事の利益率の目安に読み方をまとめています)。自社の粗利率は、この統計と比べるより、過去案件のトレンドで改善するのが実務的です。
月末で発注・支払いの記録を締め、月初の早い時期に月次の数字を出す日程を決めます。原価管理側で注文書・請求書を工事番号ごとに確定し、会計ソフトに連携します。数字が出るのが遅いほど、対策は後手に回ります。
「原価管理は経営層だけの仕事」と思われていると、現場担当者の協力が得られません。各現場の予実差を週次で全員に共有し、現場監督の評価指標に粗利達成率を含めるなど、原価感覚を組織全体で持つ仕組みが必要です。立ち上げ期から「数字で会話する」文化を作ることが重要です。
建設業者は、自らが保有する低廉な資材を使えるなどの正当な理由がある場合を除き、その工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を結んではならないとされています(建設業法第19条の3第2項)。原価を下回る金額で受けるのではなく、仕様や範囲を見直して金額を合わせるか、受けない判断をします。受ける場合も、実行予算書で原価と粗利を先に確かめ、原価が膨らんだときに資金が回らなくなる線を試算しておきます。
業界経験が長い同業の経営者・先輩、税理士、原価管理ソフトのサポート窓口、業界団体が現実的な相談先です。本記事は実務の全体像を整理する目的で作成しており、個別の判断は専門家にご相談ください。
実行予算書は、受注した工事を実際にいくらの原価で施工するかを、工種・費目・発注先ごとに決める社内の予算書です。見積書は施主に示す金額(原価と利益を含む)で、実行予算書は社内で使う原価の上限です。契約内訳から実行予算を引いた額が、その工事の計画粗利になります。会社全体の年間の予算(基本予算と呼ぶことがあります)とは別に、工事ごとに作ります。
本文に、実行予算書と工事台帳のひな形をCSV(計算式入り)で用意しています。ボタンで保存してExcelなどで開けば、そのまま使えます。登録は不要です。Excelで開いたら、ブック形式(.xlsx)で保存し直してください(CSVのまま保存すると計算式が消えます)。工種・費目・発注先は、自社の工事に合わせて足し引きしてください。
工事番号・工事名・注文者・工期、当初の契約金額と変更による増減、入金の予定と実績、原価の明細(日付・費目・工種・取引先・金額・支払日・注文書や請求書の番号)を書きます。原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けると、工事ごとの粗利と決算の集計がそろいます。
国土交通省の告示(勘定科目の分類)では、工種・工程ごとの工事の完成を約する契約で、その大部分が労務費であるもの(手間請けなど)は、労務費に含めて記載することができる(労務外注費)とされています。材料と作業をまとめて任せる契約は外注費です。社内でルールを決めて全部の工事で同じにし、決算の科目は顧問税理士と確認します。
工事台帳の内容と重なる帳簿・書類には、保存期間があります。建設業の許可を受けた会社の帳簿は、工事ごとに引渡しから5年(発注者と結んだ住宅の新築工事は10年)、完成図や打合せ記録などの図書は10年です(対象になる図書は元請か下請かで違います)(建設業法施行規則第26条第5項・第28条)。法人税の帳簿・書類は、確定申告書の提出期限の翌日から7年(青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた場合などは10年。国税庁 No.5930)です。会計の帳簿として使う場合は、会社法で会計帳簿の閉鎖の時から10年です(株式会社・持分会社。会社法第432条第2項・第615条第2項)。工事台帳で兼ねる場合は、長い方に合わせて保存すると安全です。
建設業法で作成が義務づけられた書類ではなく、社内で原価を管理するための書類です。ただ、工事ごとに原価の上限と計画粗利を決めておかないと、赤字に気づくのが遅れます。小さな工事でも、工種ごとの原価と粗利だけは先に確かめておきます。
いいえ。実行予算書は原価と利益が分かる社内の資料で、社内の承認と現場の管理に使います。施主に示すのは見積書(内訳明細書)です。協力会社にも、実行予算書そのものではなく、注文書で発注の内容と金額を示します。
建設業法の帳簿は、営業所で必要に応じて画面や紙にはっきり表示できれば、電子の記録で代えることができます(施行規則第26条第6項)。メールの添付などで送ったり受け取ったりした注文書・請求書などは「電子取引」に当たり、所得税・法人税の保存義務者は、一定の要件のもとで電子データのまま保存しなければならないとされています(電子帳簿保存法第7条)。最初からパソコンで作る帳簿や、紙の書類をスキャナで読み取ったデータも、一定の要件のもとで電子のまま保存できるとされています(同法第4条)。保存の要件は国税庁の案内で確かめます。
専門業務へのご相談について
原価管理の運用は、業界の慣行と会社の規模・組織で大きく異なります。会計処理・税務・インボイス対応は税理士、契約・トラブル対応は弁護士・行政書士、労務関連は社労士、建設業法解釈は所管行政庁にご相談ください。本記事は実務の全体像を整理する目的で作成しており、個別の判断について断定的に助言するものではありません。
関連記事
原価を見える化した先の粗利は「どの案件を受けるか」で決まります。利益の出る元請け案件を選べる立場への入口です。
元請け案件の入口を、固定費ゼロで増やす
登録・月額0円/成果報酬3〜10%程度(成約時のみ)/紹介後は発注者と直接/全国のご相談を登録内容をもとに案内
💡 どのマッチングサイトを選べばいい?
成果報酬型・月額型・コンシェルジュ型の違い、手数料、案件の質、登録前の準備まで——運営者の視点で正直に比較しています。
この記事を読んだ受注企業がよく見るページ
読み終えたら、ご自身の
無料で相談する

