店舗内装を
業種・地域・工事のご希望を伺い、1社ずつ対応を確認してご紹介します。
その物件で、希望する店をつくれるか。路面店・空中階・地下・ビルイン・ロードサイドの違いと、家賃と工事費を合わせた比べ方を、公表されている募集賃料の調査と公的な資料で整理しました(計算機つき)。
結論|物件は「来店のしかた・設備・家賃+工事費」の3つで比べる
- 来店のしかた:空中階とは、一般に建物の2階以上の区画。ビルインとは、駅ビル・商業施設・オフィスビルなど建物の中の区画です。路面店(1階で通りから直接入れる店)とロードサイド(車道沿いで車で来る店)は、歩いて来るか車で来るかが違います(違いの表)
- 設備(契約の前に確かめる):その業態の厨房・水回り・排気を工事できるか、看板を出せる場所、建物の営業時間と工事の決まりを、内装会社と建物側に確かめます(内覧チェックリスト)
- 家賃+工事費:内装工事費は業態で違い、例えば20坪の居酒屋をスケルトンからつくると約1,100万〜1,500万円(飲食店の内装ガイド)。1階以外(地下と2階以上)の家賃は1階より約15%安く、20坪なら月約7.8万円・36か月で約280万円の差(内装工事費の2割前後)。上の階や地下で増える工事の費用がこの差を超えると、家賃の安い物件の方が高くつきます(計算機。家賃は東京9エリアの募集賃料の中央値・税抜で、名古屋・大阪を含むエリア別の差では約8〜41%、銀座は1階以外の方が高い)
目次
ほかの7章(ビルイン店舗とは・業種・来店方法から絞る・内覧チェックリスト・契約前に確かめる決まり・契約前の相談の流れ・候補物件の相談メモ・よくある質問)
店舗物件の種類|路面店・空中階・地下・ビルイン・ロードサイド
要点:5つは重なります。見分けるのは「建物の中を通らずに外から入れるか(路面店かビルインか)」「何階か(空中階・地下)」「車で来る立地か(ロードサイド)」の3点です。募集の呼び方より、入口・階数・建物の使い方を確かめます。
路面店(1階店舗)
建物の1階で、通りから直接入れる店
空中階・空中店舗
一般に2階以上の区画
地下店舗
地下の階の区画(半地下も条件により法令上の「地階」)
ビルイン
駅ビル・商業施設・オフィスビルなど、建物の中の区画
ロードサイド
幹線道路など車道沿いで、車で来る店
5つは、例えば「ビルの1階にある路面店」「商業施設の地下の店」「ロードサイドの路面店」のように重なります。同じ1階でも、商業施設の中を通って入る店は、ふつう路面店とは呼ばず、建物の中のテナント(ビルイン)の店として扱われます。路面店と対になる言葉としては、空中店舗・地下店舗や、建物の中のテナントの店が使われます。
「居抜き・スケルトン」は、内装や設備の引き渡し状態の違いです
路面店にも空中階にも、居抜き(前の店の内装や設備が残ったまま引き渡される物件)と、スケルトン(内装や設備を取り払った状態で引き渡される物件)があります。居抜きは残る設備を使えるか、スケルトンはどこまで新設するかで費用が変わります。居抜きの設備・譲渡条件とスケルトンの内装計画も合わせて確認してください。
候補が5つのどれに当たるか(外から入れるか・何階か・車で来るか)が見えたら、その物件で希望の店をつくれるかを、契約の前に内装会社に確かめられます。
押すと入力画面が開きます。物件のタイプと広さを書く項目は、2つ目の画面(ご予算・ご希望)の依頼内容に入っています。
店舗物件の費用比較|家賃の差と、追加の内装工事を一緒に見る
要点:家賃の安い上の階・地下でも、増える工事費で36か月の支払いが逆転することがあります(20坪・東京9エリア全体で約280万円が分かれ目)。家賃の差は公表の募集賃料で、工事費の差は見積もりで出し、計算機で比べます。
家賃が低い物件でも、排水や換気の整備、看板、搬入、指定工事などで初期費用が増える場合があります。逆に、使える既存設備が希望する営業に合えば、新設する工事を減らせる可能性があります。同じ席数・サービス・設備条件で、候補ごとの必要工事を見積もることが比較の出発点です。路面店や地下などの分類だけで坪単価を固定せず、図面・現況・工事条件をそろえましょう。
1階と1階以外の家賃の差|公表の募集賃料では約15%
アットホームが公表している「50坪以下の貸店舗の募集動向 2025年度下期」(2026年5月11日発表)では、東京の主要9エリアの1階の募集賃料は1坪25,889円、1階以外(地下と2階以上)は22,001円でした。1階は1階以外より17.7%高く、言い換えると1階以外は1階より約15%(1坪3,888円)安い値です。20坪なら月約7.8万円(税抜)の差になります。エリアで差は大きく、池袋は約8%、なんば・心斎橋は約41%で、銀座は1階以外の方が約7%高い値でした。
エリア別の表を開く(東京9エリア・名古屋・大阪の14エリア/20坪・36か月の差つき)
- 「1階以外」は地下と2階以上をまとめた値で、空中階だけ・地下だけの値ではありません。
- 募集の賃料で、成約した額ではありません。半年ごとに大きく動くこともあり、銀座の1階は前の期より28.9%下がった値でした。
- 飲食店を開くなら、階より「飲食店可」かどうかの差の方が大きい点に注意します。同じ調査の東京9エリアでは、飲食店可の物件が1坪30,227円、飲食店不可が20,015円で、51.0%(1坪10,212円)の差でした(階の差の約2.6倍)。この調査は階と飲食店可を掛け合わせた値を出していないので、候補の通り・ビルで、飲食店可の募集どうしを並べて比べます。
自分の候補で比べるときは、同じ通り・同じビルで階の違う募集を3件ほど並べ、1坪あたりの家賃で差を出します。「上の階は家賃がずっと安い」と見込みすぎると、工事費と集客の費用で逆転することがあります。
家賃の差で、工事費の差を取り戻せるか|20坪・36か月の目安と計算機
1階以外の物件を選ぶと36か月で浮く家賃は、20坪で、差の小さい池袋で約111万円、差の大きいなんば・心斎橋で約652万円(上の「エリア別の表」の右の列)と、地域で5倍以上違います。
この額は、内装工事費全体から見ると大きくありません。当サイトの飲食店の内装ガイドの業態別の目安では、20坪の居酒屋をスケルトンからつくる内装工事費は約1,100万〜1,500万円(坪55万〜75万円・厨房機器と設計料は別)です。東京9エリア全体の36か月の家賃の差は、その約19〜25%で、上の階で工事が2割前後増えれば、3年分の家賃の安さとほぼ同じになります。増えやすい工事は、計算機の下の「上の階・地下で増えやすい費目」にまとめました。
工事費の差は、業態と物件の状態で大きく変わり、公的な目安はありません。候補の物件ごとに見積もりを取って、差を出します。来店数・売上の見込み、契約期間、支払いの時期も別に検討してください。候補の物件の家賃と、見積もりで分かった工事費の差を下の計算機に入れると、差を取り戻す月数と、決めた期間で逆転するかが分かります。
候補ごとに分けて並べる4つの金額
- 契約・取得時の支払い:保証金等、仲介手数料、造作譲渡料(前の借り手の内装・設備を引き継ぐ代金)など。返還条件のあるお金と、費用になる支払いを分ける。
- 開業までの工事・購入:設計、撤去、設備、仕上げ、看板、外構、工事外の機器・家具。見積もりに含まれる物の重複を避ける。
- 毎月・定期的な支払い:賃料、共益費、設備利用、駐車場、保守など。集客・運営の計画も候補ごとに整理する。
- 退去時の負担:撤去・原状回復の範囲、解約時の条件(考え方は退去と、次の店への引き継ぎ)。
見積もり待ちの項目は0円とせず「未定」にします。税の表示もそろえ、開業後に残す資金を工事予算と分けてください。上の階・地下の候補では、次の費目が見積もりに入っているかを確かめ、分からないものは「未定」の行として残します。
上の階・地下で増えやすい費目(見積もりに入っているか)
- 設計料、解体・撤去
- 給排水の延長と、排水の勾配をとるための床上げ
- 排気ダクトを屋上などまで延ばす工事
- 電気容量の増設、空調(個別空調の新設・時間外の料金)
- 上下の階への防音・防振
- 地上で店を知らせる看板・案内表示
- 搬入(夜間の作業・養生・エレベーターに入らない機器の分割)
- 消防設備と届出、建物が指定する工事(B工事)と内装監理費(建物側が、テナントの工事が建物の決まりに合うかを確かめる費用)
- 外構(ロードサイド)、予備費
費目の整理には開業費用と運転資金のガイド、退去条件には原状回復のガイドが使えます。
店舗内装を
業種・地域・工事のご希望を伺い、1社ずつ対応を確認してご紹介します。
路面店のメリット・デメリット|通行量より「店に入れるか」を見る
要点:路面店は、通りから見えて直接入れるのが強みです。一方で、家賃が高めで物件が少なく、店頭に看板や商品を出せるのは基本的に敷地の中とされます(下の注意)。
路面店は、通りから店の様子を伝えやすく、通りがかった人の入店も狙える物件です。ただし、人が多くても、自店のお客様になる人が通るか、営業時間と人通りの時間帯が合うかで条件は変わります。
メリット
路面店の候補で、内覧の時に確かめること
- 立ち止まれる場所:店頭の商品やメニューを見られるか。敷地境界と、物を置いてよい範囲を確認する。
- 入口と間口:歩道から入口が見えるか、段差や重い扉が来店の負担にならないか。
- 外装・看板:既存の看板を使えるか、窓面や外壁をどこまで変更できるか。
- 店内の使い方:道路からの視線、日射、音を踏まえて、客席や商品を置けるか。
店頭の看板は「敷地の中」に。道路の上に出す看板は許可が要る
置き看板・立て看板は歩道(道路)には置けないとされ、建物から道路の上に突き出す看板は、道路占用の許可と屋外広告物の手続きが要ることがあります。基準は自治体ごとに違うため、店頭で使える範囲(敷地の境界)と看板の位置・大きさを、契約の前に貸主・管理会社と自治体の窓口に確かめます。
国土交通省・横浜市・目黒区の案内(道路と屋外広告物の決まりの例)
国土交通省の横浜国道事務所は、置き看板・立て看板・のぼり旗などを「道路に置いてはいけないもの」に挙げています(道路法第43条)。横浜市も「置き看板については、道路を占用することはできません」としています。建物から道路の上に突き出す看板は道路占用の許可が要るとされ、横浜市では看板の下端を歩道で2.5m以上にするなどの基準があります。
看板は屋外広告物の条例の対象にもなり、例えば東京都目黒区では、店名などを出す自家用の看板の合計が、商業地域などの許可区域で10㎡を超えると許可の申請が要るとしています(目黒区)。
周辺の募集条件を見ながら、店頭からの来店をどの程度見込む計画かと、そのために必要な外装費を合わせて検討します。人通りの数え方や商圏の調べ方は出店戦略・立地分析ガイドにまとめています。
ロードサイド店舗と路面店の違い|道路沿いか、通りに面した入口か
要点:いちばんの違いは、お客様が歩いて来るか(路面店)、車で来るか(ロードサイド)です。ロードサイドは幹線道路などの沿道立地、路面店は道路に面した店の形を指し、「ロードサイドの路面店」のように重なることもあります。
車での来店が中心になるロードサイドでは、看板が見えるだけでなく、目的地として入りやすく出やすいかを見ます。
ロードサイドの店には、単独の建物と専用駐車場を持つ形、複数の店が同じ敷地で駐車場を共用する形、大型の商業施設の敷地の中に建つ形などがあります。共用の駐車場は、ほかの店の混む時間と重なると満車になりやすく、看板や工事のルールも敷地の管理者が決めます。
ロードサイドの候補で確かめること
- 進入・退出:走行方向、交差点、中央分離帯などを踏まえ、どこから入れるか。右折で入れない場合、反対車線から来る車はどこで回るか。交差点に近いと、出るときに渋滞で詰まりやすい。
- 駐車場:専用・共用の別、利用時間、スタッフ分、車いす利用者等の乗降、混雑時の運用。
- 看板:視認できる位置と設置できる位置が一致するか。夜の見え方も確かめる。設置条件と工事費を確認。
- 外構:舗装、排水、照明、植栽など、どこまで借主が工事・維持管理するか。
- 搬入:お客様の車と納品車の経路や時間帯が重ならないか。
必要な駐車台数は、席数や業種名だけでは決まりません。同時に来る組数、1台当たりの人数、滞在時間、公共交通の利用、スタッフ・納品の車をもとに検討します。駐車場が広くても、利用できる区画や時間に制限があれば計画は変わります。
土地を借りて建物から建てる場合は、内装とは別に建築・舗装などの費用がかかり、借地の契約の形(事業用定期借地など)も確かめます(契約の形)。郊外の幹線道路沿いでも、用途地域によって建てられる店の種類や広さが決まります(用途地域で出店できる店)。
ロードサイドの候補では、駐車場・看板・外構のどこまでを借主が工事するかで、内装のほかにかかる費用も変わります。進入・駐車・看板の条件を伝えて、契約の前に相談できます。
押すと入力画面が開きます。場所と看板・外構を書く項目は、2つ目の画面(ご予算・ご希望)の依頼内容に入っています。
空中階・2階店舗の選び方|見つけてもらってから、入口まで迷わせない
要点:空中階は、予約や紹介、検索などで目的を持って来るお客様が中心の店なら候補になります。看板・案内を出せる場所と、給排水・空調・排気・搬入の条件を、契約前に建物ごとに確かめます。
住所が分かっても入口にたどり着きにくい物件では、初めての来店に負担がかかります。日本政策金融公庫の飲食業の創業の手引も、エレベーター付きのビルの場合は「目立つ看板を設置できれば集客力は高まります」としています。
2階の飲食店で、集客の計画に入れたいこと
「2階だから繁盛しない」とは決められず、条件がそろえば2階でも集客できます。差が出るのは、地上で「何の店か・価格帯」が伝わるか、入口まで迷わないか、地図や予約ページで見つけてもらえるかです。例えばランチの通りがかり客を想定する店と、予約して訪れるレストランでは必要な案内が違います。どの経路で店を知り、何を見て入店を決めるかを具体化しましょう。
- 地上で「何の店か」を伝える:公庫の手引は、看板は店の名前より「何のお店なのか」を出す方が効果的で、メニュー看板は「一目見て頭に入る日本語」の方が伝わるとしています。地上の看板に、料理のジャンルと価格帯を出せる場所があるかを確かめます。
- 立て看板を敷地の中に置けるか:置き看板は歩道(道路)に置けないとされるため(路面店の注意)、建物の敷地や共用部に置けるか、置ける時間と大きさを貸主・管理会社に確かめます。
- 階段・エレベーターの入口が見つけやすいか:建物の入口で、店の階と営業中かが分かる案内と照明を出せるか。3階は、公庫の手引で「エレベーターがなければ避けたい」とされる階です。
- 地図・予約ページで迷わせない:Googleマップなどの店舗情報に、階数・入口と外観の写真・営業時間を開業前に載せ、建物の入口から店までの道順を案内できるか。
- 建物の営業時間:営業時間にエレベーター・共用入口を使えるか。J-Net21 は、ビルのメンテナンス日があると休業になるため必ず確かめるよう案内しています。
- 階段の利用が難しいお客様の経路:エレベーターや段差の少ない入口があるか。
空中階でよくある失敗の典型パターン
- 店名だけの看板で、料理のジャンルと価格帯が地上から分からない
- 1階と同じ前提で、通りがかりの来店を見込んで売上を立てる
- 看板を出せる場所と大きさを、契約の後に知る
看板を出せると聞いていても、サイズ・照明・取付場所が希望と合うかは別の確認です。看板の設置と費用を、店内工事と分けて見積もりへ入れましょう。
空中階で確かめたい設備|給排水・水圧・空調・音・搬入
上の階は、1階より工事の条件が増えることが多くあります。どれも建物ごとに違うので、内覧のときに管理会社・建物の設備担当に確かめ、内装会社に見てもらいます。
- 給排水:給水・排水を増やしたり位置を変えたりできるか。排水の勾配をとるために床を上げる必要があるか(天井が低くなる)。下の階へ漏水したときの責任の範囲。
- 水の出方:建物の給水は、水道の水圧で直接送る「直結直圧式」、ポンプで圧を足す「直結増圧式」、いったん水槽にためる「受水槽式」に分かれ、受水槽式は停電やポンプの故障のときに水が使えないことがあります(横浜市水道局の説明)。食器洗浄機やシャンプー台など、水を多く使う機器の条件を伝えます。
- 空調:区画ごとの個別空調か、建物全体の空調か。建物全体の空調なら、使える時間と、時間外の料金・計算のしかた。
- 排気:飲食の排気ダクトをどこへ出せるか(屋上まで延ばすか)。設備の重い業態ほど、坪単価より先に「その物件で営業できるか」が決まります(飲食店の内装ガイド)。
- 音・振動:上下の階の使われ方と、防音・防振の工事が要るか(防音工事の費用)。
- 搬入:厨房機器・家具がエレベーターや階段を通るか、荷物用のエレベーターと使える時間。
- 用途の変更:事務所などとして使われていた区画を飲食店・物販店にするときの手続き(建築の決まり)。
2階・地下で飲食やサロンを考えている方へ。排気・給排水・搬入ができるかを、物件の契約前に内装会社に確かめる相談ができます。
押すと入力画面が開き、物件の状況は「検討中・現在探している」が入った状態で始まります。送ったあとは、対応できる内装会社をご紹介します(相談無料)。
地下店舗の選び方|地下街と、地上から下りる店は分けて考える
要点:地下は、地下街の通路に面する店か、地上の専用階段から下りる店かで、人通りも入口の見つけやすさも変わります。排気の行き先、排水の方法、湿気や漏水の状況、浸水への備えは内覧写真だけでは分からないので、管理者と内装会社に確かめます。
地下という理由だけで、集客しにくい・家賃が安いと判断しないことが大切です。外からの視線を抑えた空間や照明演出をつくりやすい場合もありますが、飲食・美容などの業種を入れられるかは、建物の条件と必要な工事で確認します。
地下の候補で確かめる4つ
- 入口・案内:地上と店内の両方から見て、階段、照明、扉、案内表示を確認。
- 設備:必要な換気と排水ができるか(排水をそのまま流せるか、ポンプでくみ上げるか)、既存設備の点検記録や保守の担当を確認。
- 避難・防火:予定する用途と区画で、経路や設備の条件を内装会社・所管窓口に確認(消防の決まり)。
- 浸水への備え:地域のハザード情報、過去の浸水、入口や排水設備の対策を管理者に確認。
法令上の「地階」は、建築基準法施行令で「床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のもの」とされています。半地下(区画の一部が地上に出ている形)や、建物のまわりを掘り下げたドライエリア(からぼり)のある区画でも、この条件に当てはまれば地階として扱われ、建築・消防の基準が変わることがあります(例えば、地階の飲食店に自動火災報知設備が要る条件。消防の決まり)。
国土交通省は、地下街などへの浸水は地上と違い「避難経路が限定される」「外界の状況を把握しにくく状況判断が遅れる」「浸水開始後時間の猶予が少ない」などの特徴があるとしています。洪水・内水(大雨のときに下水道などの排水が追いつかずに起きる浸水)などの地域情報は、国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトから確認できます。地図の情報と、建物の止水板などの対策・管理状況を合わせて判断してください。
ビルイン店舗とは|商業施設だけでなく、ビル内のテナントも含む
要点:ビルインは、建物の一部の区画に店舗が入る形です。営業時間・休館日、共益費や歩合賃料、建物が指定する工事(B工事)の有無で、毎月の費用と工事の総額が変わります。
駅ビル・ショッピングセンターのほか、オフィスや住居と共存するビルの店舗区画もあります。ビルインだから必ず歩合賃料、必ず施設が集客してくれる、というわけではありません。
建物内のお客様を想定する場合は、平日・休日の利用状況、他テナントの営業時間、入口から自店までの通り道を見ます。工事面では、区画内を自由に変更できる範囲と、建物側で決められた工事を分けてください。
- 営業条件:営業可能な業種、営業時間・休館日、共用入口や空調を使える時間。
- 費用:賃料・共益費(管理費)に加え、販促・看板・設備利用などの費用の有無と対象。商業施設では、固定の賃料に加えて売上に応じた歩合賃料を求められることもあります(J-Net21)。
- 工事:内装監理の有無、指定業者(建物側が決めた施工会社)、工事区分(どの工事を誰の業者が行い、誰が払うか。A工事・B工事・C工事)、搬入・作業時間、申請と承認に必要な期間。
- 退去:残せる設備と撤去する範囲、共用設備との接続部分の扱い。
何が共益費(管理費)に入り、何が別に請求されるかを契約前にそろえます。
管理費に含まれる主な項目(J-Net21)
J-Net21 は、管理費に含まれる主な項目として、共用設備(空調設備・照明・エレベーターなど)の点検費・営繕費、建物全体の警備費、植栽や駐車場の管理費などを挙げています。
指定工事がある場合は、自分で依頼する内装会社の見積もりだけでは全体費用を把握できません。工事区分の見方はA工事・B工事・C工事の違い、商業施設(館)の内装監理費は商業施設・ビルインの内装費用で確認できます。
業種別の選び方|「この階なら成功」ではなく来店方法と必要設備で絞る
要点:階だけで成功は決まりません。公的な資料も1階を有利としつつ、階の評価は目安として扱っています。通りがかりの来店か、予約・目的来店か、車で来るかで候補を絞ります。
物件タイプから業種を決める前に、自店のサービスとお客様の動きを整理します。
中小機構の J-Net21「店舗物件の選び方」も、立地のチェックポイントに「階数(1階は2階や地下に比べて有利)」を挙げる一方で、店の前をターゲットの客層が多く通る場合や、商圏が広い店、安さを追求する店なら、二等立地(一等地から少し外れた立地)でも賃料が安い分適していると考えられる、としています。以下は当サイトで整理した確認項目です。
カフェ・日常使いの飲食店
予約中心の飲食店・バー
美容室・サロン
物販店
教室・ジムなど
車で来てもらう店
候補物件で、希望の店をつくれるか相談したい方へ。業種・広さ・物件の状態と、実現したいことをお伝えください。
押すと入力画面が開きます。送ったあとは、対応できる内装会社をご紹介します(相談無料)。
内覧チェックリスト|その場で見ること・資料で確かめること
要点:内覧では、看板・面積・残る設備・必要な工事・水と空調と電気・営業と工事の条件・建物の安全・契約と日程の8つを、その場と資料で確かめます。
内覧は、店内だけで終わらせず、想定するお客様と同じルートで入口まで歩いてみます。昼と夜、平日と休日など、営業に関わる時間帯を変えて見ると、人通りや共用部の利用状況を比べやすくなります。
J-Net21 は、賃貸借契約の前の重要事項説明にアスベスト調査と耐震診断の項目があり、1981年6月1日以前に新築された建物で耐震診断がある場合はその説明を受けられる、としています。物件を選ぶ際の確認項目は、中小機構の J-Net21「店舗物件の選び方」も参考になります。
「飲食可」「前も美容室だった」だけで、工事と営業ができると決めない。
同じ業種でも、メニュー・施術・機器・人数・間取りが変われば必要条件も変わります。予定する使い方を伝え、貸主の承諾と、必要な工事・手続きを確認します。見られない設備は未確認として残し、追加調査の方法を相談しましょう。
図面と写真がそろえば、内覧の前後でも工事の見立てを相談できます。
→ 候補物件の工事の見立てを相談する(無料・入力画面が開きます)
物件の契約前に確かめる決まり|用途変更・消防・定期借家・歩合賃料
要点:物件のタイプで、①事務所などを店に変えるときの手続き(変える部分が200㎡を超えると確認申請が要るとされる)、②消防の届出(東京都の例では、使い始めと工事の着手の7日前まで)と、地下などで増える設備、③契約の形(更新の無い定期借家、売上に応じて払う歩合賃料など)が変わり、工事費と開業日に響きます。以下は一般的な仕組みで、実際の要否は物件と計画で決まるため、管轄の行政機関・消防署と設計者・内装会社に確認してください。
建築|地階と、用途変更(200㎡)
飲食店や物品販売業の店舗(床面積10㎡以内のものを除く)は、建築基準法の「特殊建築物」に当たり、事務所などから飲食店・物販店に用途を変える部分の床面積の合計が200㎡を超えると、用途変更の確認申請が必要とされています(根拠:建築基準法第87条・第6条第1項第1号、別表第一・施行令第115条の3)。申請が要らない規模でも、建物の基準に合うかは設計者に確かめます。地下の区画は、法令上の「地階」に当たるか(地下店舗の選び方)で基準が変わることがあります。手続きの全体は店舗内装の確認申請・消防法ガイドにまとめています。
消防|届出は7日前(東京都の例)、階と階段で変わる設備
東京消防庁は、店舗の出店・入居で建物を使い始める人は「使用を開始する日の7日前」までに防火対象物使用開始届出書を、修繕・模様替え・間仕切り変更などの工事をする場合は「着手する日の7日前」までに防火対象物工事等計画届出書を出すよう案内しています(東京都火災予防条例第56条・第56条の2)。ほかの地域も、所在地の消防署に確かめます。居抜きで工事を減らせても、使用開始の届出が要らなくなるとは限りません。
消防用設備も、地階・無窓階(避難や消火に使える開口部が少ない階)や、階段が1つしかない建物などで増えることがあります。建物全体の設備に関わるので、入居で条件が変わらないかを貸主・管理会社と消防署に確かめます。
自動火災報知設備が要るとされる主な条件(消防法施行令第21条の要点)
消防法施行令では、地階や無窓階(避難上・消火活動上有効な開口部を有しない階)にある飲食店で床面積が100㎡以上の階や、地上に直接出られる階(ふつうは1階)以外に飲食店などがあり、地上へ直通する階段が1つしかない建物(その階段が屋外にあるなど、避難上有効な構造の場合を除く)などに、自動火災報知設備を設けるとされています(第21条)。
契約の形|普通借家・定期借家・事業用定期借地・歩合賃料
- 普通借家:期間が満了しても、更新して借り続けられるのが基本の契約です。
- 定期借家(定期建物賃貸借):契約の更新がなく、期間の満了で終わる契約です。書面で契約し、貸主は前もって、更新がないことを書面を交付して説明するとされています(借地借家法第38条)。J-Net21 は、特約がない限り途中解約ができず、賃料は安めに設定されることが多いとしています。2つの候補を比べるときは、計算機の「比べる期間」に契約の残りの月数を入れ、工事費の差を契約の期間の中で取り戻せるかを確かめます。内装費の全体を回収できるかは、売上の見込みと合わせて考えます(よくある質問)。
- 事業用定期借地:ロードサイドで土地を借りて建物を建てる場合などの借地の形です。存続期間は10年以上50年未満で、公正証書で契約するとされています(借地借家法第23条)。建物の費用と、期間が終わったときの扱いを先に確かめます。
- 歩合賃料:商業施設などで、固定の賃料に加えて売上に応じて払う賃料です。売上の見込みが上下したときの支払額を、条件(率・最低額)で計算しておきます。
敷金・保証金は、J-Net21 によると賃料の2〜12か月分くらいが多く、短い期間で退店すると返さない・減らすといった特約が入ることもあります。月数の目安と戻る額は店舗の保証金・敷金の相場、契約書の読み方はテナント契約の注意点にまとめています。
退去と、次の店への引き継ぎ
退去のときにどこまで元に戻すか(スケルトンに戻すか)で、出店時に入れる設備の考え方も変わります。J-Net21 は、敷金は原状回復費などと相殺された後に返還されるのが基本としています。居抜きで次の借り手に設備を譲れる前提で費用を差し引かず、原状回復の範囲と、設備を譲るのに貸主の承諾が要るかを契約書で確かめます。
物件契約前に内装会社へ相談する流れ
要点:物件の契約の前に、内装会社へ「その物件で希望の店をつくれるか」を相談し、営業できるか分からない点を、どの段階で解消するかを決めて進めます。
候補物件が見つかったら、契約の判断材料になる範囲から相談します。申し込み・契約・工事発注は、それぞれの条件と期限を確認して進めましょう。
- つくりたい店と予算を整理する:業種、サービス、席・施術台・売場などの希望、エリア、予算上限、開業希望時期をまとめます。
- 候補資料と建物の条件を集める:募集図面、現況写真、引渡仕様、設備一覧、工事ルールを手元にある範囲で用意します。物件への立ち入りや撮影は管理者の了解を得ます。
- 必要工事と、できない可能性があることを確認する:内装会社に、希望する営業と配置が可能か、調査が必要な箇所、工事範囲、概算と別途費用を相談します。
- 貸主への承諾確認・必要な窓口相談を進める:看板、排気、共用部などの変更条件を確認。営業・建築・消防の手続きは所在地と計画に応じて確認します(契約前に確かめる決まり)。
- 総額・日程・残る条件をそろえて物件を決める:確定した金額、見積もり待ち、承認待ちを分け、引き渡しから工事・開業までの日程と支払いを確認します。
不動産会社には募集・契約条件、内装会社には工事の実現性・範囲・費用を相談すると、話を進めやすくなります。契約内容の判断が難しい場合は、書面をもとに適切な専門家へ確認しましょう。開業までの全体の順番は開業までの流れにまとめています。
店舗内装ドットコムの使い方
店舗内装ドットコムでは、一度の入力で、事務局が候補の内装会社に1社ずつ対応できるかを確かめ、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。1階と2階の候補で迷っている段階でも、同じ席数・同じ設備で工事の違いを相談できる会社を探せます。
当サイトへの相談・会社紹介は無料です。現地調査・設計等の費用と対応範囲は各社に事前確認してください。地域・内容・時期等によってご紹介できない場合があります。物件の仲介や営業許可の取得を保証するサービスではありません。
候補物件の相談メモ|物件が未契約でも始められます
要点:物件が未契約でも相談できます。店舗内装ドットコムに2026年4〜10月に届いた相談(業種の入力があるもの)では、6割以上が、物件を「検討中・現在探している」か「申し込み中」の段階でした。
「1階と2階で迷っている」「居抜き設備を使えるなら候補にしたい」など、迷っている点もそのまま伝えてください。
相談メモ(伝えると話が早いこと)
相談例:「飲食店を開業予定です。路面のスケルトンと2階の居抜きを検討しています。同じメニュー・席数で、残せる設備と必要工事を比較したいです。物件は未契約で、予算に収まるかから相談したいです。」
このメモの主な項目(業種・階数と広さ・引き渡し状態・設備・時期・気になること)を入れた状態で、相談の入力画面が開きます。
項目は、2つ目の画面(ご予算・ご希望)の「依頼内容・希望詳細」の欄に入っています。業種・エリア・物件の状況・予算は入力画面で選びます。決まっていない項目も、希望や候補を書くほど、対応できる会社が見つかりやすくなります。送ったあとは、対応できる内装会社をご紹介します(相談無料)。
店舗物件の種類・選び方に関するよくある質問
Q. 路面店とロードサイド店舗は同じですか?
同じではありません。路面店は建物の1階で通りから直接入れる店の形、ロードサイドは幹線道路など車道沿いで車での来店を前提にした立地を指します。郊外の幹線道路沿いの1階のように両方に当たる物件では、歩いて来るお客様の入口と、車の出入り・駐車場の両方を確かめます(比べる点はロードサイドと路面店の違いの表)。
Q. 空中階・空中店舗とは何ですか?
一般に、建物の2階以上にある店舗の区画を指し、「2階店舗」「空中店舗」とも言います。地下の店舗とは分けて呼び、どちらも1階の路面店と対になる言葉として使われます。
Q. 2階の飲食店でも集客できますか?
業態と建物の条件で変わります。予約や目的来店が中心の業態なら上の階も候補になりますが、通りがかりの来店を見込む業態は、地上に看板と案内を出せる場所を契約前に確保できるかが前提です。3階以上でエレベーターの無い建物は、来店の負担が大きくなります(確かめ方は2階の飲食店で、集客の計画に入れたいこと)。
Q. 店舗は1階を選んだ方がよいですか?
通りがかりの入店を重視する業態なら、1階の見え方と入りやすさは大きな利点です。一方で、1階の募集は少なく家賃も高めなので、予約中心の業態なら上の階や地下も比べる価値があります。迷うときは、同じ席数・同じ設備で両方の工事費を見積もり、家賃の差と合わせて計算機で比べます。
Q. 地下でカフェや美容室を開けますか?
地下という理由だけでは決まりません。カフェなら排気の行き先と客席の換気、美容室ならシャンプー台の排水をくみ上げられるかと給湯の容量が、確かめる点の中心です。予定する営業が認められるか、避難・防火・衛生の条件とあわせて、管理者・内装会社・所管窓口(保健所・消防署など)に確認してください。
Q. ビルインはショッピングセンターのことですか?
ショッピングセンターに限らず、駅ビル・オフィスビルなど、建物の中の区画に入る形を広く指します。施設(館)ごとに決まりが違うので、申し込みの前に、館の規則(営業時間・休館日・販促費)と工事区分表・内装監理の条件を書面でもらい、内装会社の見積もりに反映させます。
Q. 居抜きとスケルトンなら、どちらが安くなりますか?
同じ業態の設備を残せる居抜きなら安くなりやすく、当サイトの飲食店の内装ガイドでは、居抜きの内装工事費の中心を業態を問わず坪30万〜55万円、スケルトンからの居酒屋を坪55万〜75万円としています(多くは厨房機器と設計料を含まない目安)。ただし譲渡料、修理・交換、撤去が必要な場合もあります。同じ営業条件で、取得する設備と必要工事をそろえて比較してください。
Q. 物件が決まる前でも内装会社へ相談できますか?
相談できます。伝えると話が早いのは、業種・エリア・広さ・予算・開業希望時期と、候補物件の募集図面・現況写真・引渡仕様(残る設備の一覧)です。具体的な工事費や施工可否は、候補物件の状態を確認してからになります(伝え方は候補物件の相談メモ)。
Q. ロードサイドの駐車場は何台あれば足りますか?
一律の台数はありません。同時に止まる台数の目安は「混む時間の1時間に車で来る組数×1組の平均の滞在時間(時間)」で、これにスタッフと納品の車を足します。共用の駐車場なら、ほかの店と混む時間が重なる分を差し引いて考えます。使える台数・区画・時間は、契約書や敷地の規則で書面にしてもらいましょう。
Q. 内装相談で物件の仲介も頼めますか?
このページの無料相談は、店舗の内装工事に対応する会社を探すための窓口です。物件の募集・内覧手配・賃貸契約は不動産会社へ相談し、候補資料を内装会社へ共有して必要工事や予算を具体化すると進めやすくなります。
Q. 半地下の店舗は、地下店舗として扱われますか?
法令上の「地階」に当たるかどうかは、床から地盤面までの高さと、その階の天井の高さで決まります(基準は地下店舗の選び方)。斜面に建つ建物などでは地盤面の取り方で判断が分かれることがあるため、断面図をもとに設計者・管理会社に確かめてください。
Q. 定期借家の物件に、内装の費用をかけても大丈夫ですか?
定期借家は契約の更新がなく、期間の満了で終わる契約で、再契約できるかは貸主しだいです。内装にかける費用は、契約期間の中で回収できる額を上限の目安にし、長く続けたい場合は、再契約の条件や契約期間の長さを契約の前に貸主と話し合います。残す設備を次の借り手に譲れるか(造作譲渡)と原状回復の範囲も確かめておくと、退去の費用を見込みやすくなります(契約の形の違いは契約の形)。
次にすること
- 家賃の差を、地域と候補の募集で確かめる(家賃の差)
- 同じ席数・同じ設備で2つの見積もりを取り(頼む会社が決まっていなければ、すぐ下のボタンから店舗内装ドットコムで相談〔無料〕)、工事費の差を計算機に入れる(計算機)
- 内覧チェックリストと契約前の決まりを確かめてから申し込む(内覧チェックリスト・契約前に確かめる決まり)
押すと入力画面が開きます。送ったあとは、対応できる内装会社をご紹介します(相談無料)。
この記事について(運営者情報)
店舗内装ドットコム編集部(運営:株式会社BPBコンサルティング)が作成・更新しています。数字と制度は、アットホームの貸店舗の募集動向の調査、日本政策金融公庫の創業の手引、中小機構 J-Net21 の起業マニュアル、国土交通省・自治体・東京消防庁の案内、e-Gov 法令検索の法令、当サイトの飲食店の内装ガイドの業態別の目安、当サイトに届いた相談の集計(2026年4〜10月)にもとづきます(確認日:2026年10月9日)。
募集賃料は中央値で、個別の物件の家賃や見積もりではありません。法令の扱いは、管轄の行政機関・消防署・保健所で確かめてください。
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