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「お店が古くなってきた」「もっとお客様に喜ばれる空間にしたい」——営業中のカフェを改装するとき、多くのオーナーがまず費用を調べます。ですが、すでに営業しているカフェの改装は、ゼロから作る開業とは別物です。本記事は、営業を止めずに・客離れを最小にしながら・目的に合った改装をするための進め方を、費用相場から営業しながらの工事、設備の流用判断、業者の選び方、法令までまとめた発注者向けガイドです。これから新規に開業する方はカフェ開業ガイド、業種を問わない改装全般は店舗改装ガイドもあわせてご覧ください。
この記事の要点
- カフェ改装は「いくらかかるか」より「何日閉めるか・常連の谷をどう埋めるか」から考える
- カフェは客席が改装の主対象なので、半分ずつ・定休日施工で営業しながら進めやすい
- 居抜き改装の坪単価は20〜40万円が一つの目安。ただし解体・原状回復が乗り坪単価では割り切れない
- コーヒー機器の強化は受電容量の壁に当たりやすく、電気工事が内装より高くつくことがある
- 路面店は業者を選べる。ビル内テナントは設備幹線がビル指定(B工事)のことがある
目次
カフェ改装は「いくら」より「何日閉めるか」から考える
営業中のカフェを改装するとき、最初に置くべき判断軸は工事費ではありません。「工事の間、何日店を閉めるのか」「その間に離れる常連客の谷をどう埋めるのか」です。開業(新規出店)の費用記事はゼロから店を作る前提で書かれているため、すでにお客様がいる店の改装には、そのままは当てはまりません。
カフェは一般に客単価が低く、来店頻度が高く、常連客に支えられる業態です。仮に1か月まるごと休業すると、その間の売上が止まるだけでなく、毎朝・毎週のように通っていた常連の来店習慣が途切れ、近隣の別の店に流れてしまいます。再開しても全員は戻りきらない——この「客離れ損失」は、見えにくいだけで、内装工事費に匹敵する規模になることもあります。
だからカフェ改装では、費用を最適化する前に「営業を止めずに進められないか」「止めるなら最短で、谷を作らずに済むか」を設計することが先になります。そしてそれは、図面と店舗の現況を見なければ決まりません。改装の出発点は見積もりの前の現地調査だと考えてください。
イメージしやすいよう、機会損失を単純計算してみます。たとえば1日あたりの売上が5万円の店が30日間まるごと休業すると、それだけで単純計算150万円の売上が失われます。これに加えて、離れた常連客の一部が戻らなければ、再開後の売上も以前の水準まで戻りきりません。「工事費をいくら下げたか」より「休業による損失をいくら抑えたか」のほうが、最終的な手残りに効く場面は珍しくないのです。だからこそ、改装の計画は費用の前に営業継続の設計から入ります。
カフェ改装の費用相場・坪単価【物件・目的別】
公開されている各社の情報を整理すると、カフェ改装の工事費はおおむね次のレンジが目安として共通して示されています。自店の設備を活かす居抜きベースの改装で坪あたり20〜40万円、レイアウトや設備までやり直す全面・スケルトン化を伴う改装で坪あたり40〜80万円が典型的な範囲です。たとえば15坪の居抜きカフェを改装した場合の総額として350万円前後、その内訳が「解体・廃棄」「塗装・養生や壁・床の張替え」「建具・内装」「看板・その他」に分かれる、という構成が複数の公開情報で共通して見られます。
ただし、ここが開業との決定的な違いです。改装の費用は坪単価で割り切れません。開業はゼロから内装と設備を積み上げますが、改装は既存の解体・撤去・原状回復・養生・営業しながらの段取り替えといった費用が上乗せされ、現況によって大きく振れます。同じ15坪でも、古い設備の入れ替えがどこまで必要かで総額は数百万円単位で変わります。
範囲をどこまで広げるかで費用感は大きく変わります。部分改装と全面改装の目安を比べておきましょう。
内訳を読むときのコツは、項目を「①壊す・戻す費用」「②内装・意匠の費用」「③設備の費用」「④諸経費」に分けて見ることです。開業の見積もりと違い、改装では①の解体・撤去・養生・原状回復が必ず乗り、ここが現況で大きく動きます。逆に、設計・デザイン費は全体の1割前後が目安とされ、相見積もりで比べやすい部分です。見積書を受け取ったら、まず①がどこまで含まれているかを確認すると、各社の金額差の理由が見えてきます。
公開情報で示される一例として、15坪の居抜きカフェを改装し総額350万円前後になった場合の費用配分を見てみましょう(金額は目安)。
この例では総額に対する坪単価が約23万円ですが、同じ15坪でもスケルトン化を伴えば坪単価は跳ね上がります。配分は現況と目的で変わるため、自店の数字は現地調査を踏まえた見積もりで確かめてください。
部分改装
全面改装
費用の全体像は店舗内装の費用ガイド、新規開業の費用はカフェ開業ガイドでも詳しく扱っています。
なお、部分改装で内装材だけを張り替える場合の単価の目安(公開情報)は、壁紙(クロス)が1,000〜2,000円/㎡、床のクッションフロアが2,000〜5,000円/㎡、床タイルが3,000〜8,000円/㎡、天井クロスが1,500〜3,000円/㎡、壁の塗装が1,000〜3,000円/㎡ほどです。「壁だけ」「床だけ」といった部分的な改装では、この㎡単価から概算できます。
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広さ・立地・改装レベルに加えて、改装する部位や手を入れる設備を選ぶと、あなたの状況に合わせて工事費の概算・内訳・想定休業・注意点までその場で変わります。改装は現況で大きく振れるため、予算の当たりをつけるための目安としてお使いください。
営業しながらカフェを改装する方法
カフェは厨房が比較的小さく、ドリンクと軽食が中心です。つまり改装の主な対象は厨房ではなく客席になります。そして客席は区画に分けられるため、「半分ずつ工事する」「定休日や夜間に意匠だけ進める」といった営業を止めない改装が成立しやすい業態です。寸胴の蒸気や製麺がボトルネックになるラーメン店、各テーブルに無煙ロースターとダクトが要る焼肉店とは、この点で逆になります。
営業を続けながら進める場合の典型的な段取りは次のとおりです。
一方で、すべての改装が営業しながらできるわけではありません。継続しやすい工事と、休業が必要になりやすい工事の線引きを押さえておきましょう。
- 【継続しやすい】客席の内装・床・壁、照明、サイン・看板、塗装、一部の什器入れ替え
- 【継続しやすい】定休日や夜間で完結する範囲の意匠工事
- 【休業が要りやすい】厨房の移設・増設、給排水やグリストラップの移動
- 【休業が要りやすい】排気ダクト・防臭、業務用エアコンの入れ替え
- 【休業が要りやすい】防災設備(誘導灯・自動火災報知・スプリンクラー)に触れる工事
- 【休業が要りやすい】受電・分電盤など電気の幹線工事、全面解体
そして見落とされがちなのが客離れを防ぐ告知設計です。工事期間中の営業時間や使える席数を事前に告知し、SNS・店頭・Googleビジネスプロフィールをこまめに更新します。「リニューアル予告」としてポジティブに発信すれば、休業の谷を期待感に変えられます。
目的別の進め方(老朽更新・売上テコ入れ・業態修整)
改装で失敗する典型は、目的が曖昧なまま「とりあえずきれいにする」ことです。目的を一つに絞ると、予算・範囲・工期・営業継続の可否まで自然に決まります。カフェ改装でよくある3つの目的を比べておきましょう。
① 老朽更新
② 売上テコ入れ
③ 業態修整
注意したいのは、売上が好調なら、無理に全休して改装しない判断もあるということです。タイミングを誤ると、かえって客足が遠のくこともあります。「今の店の何を、なぜ変えるのか」を先に言語化しましょう。改装で起こりがちな後悔とその回避は店舗改装の失敗防止ガイドも参考になります。
既存設備は「残す」か「替える」か
改装費を最も大きく左右するのが、既存設備を残すか替えるかの判断です。カフェ特有の確認ポイントを押さえておきましょう。
- 厨房機器:ガスの種類・容量は合うか。中古活用は使用年数と保証を確認
- 給排水・グリストラップ:位置を動かすと費用が大きく変わる
- 排気・防臭:焙煎やグリルを強化するならダクトの径と経路を確認
- 空調:カフェの居心地の生命線。能力不足や老朽は更新前提で
- 受電容量・分電盤:コーヒー機器の強化で天井に当たりやすい(次項)
残すか替えるかを決めるとき、居抜きの既存設備は動作確認・使用年数・保証の有無・想定される修理コストをセットで点検します。特に厨房機器は、見た目が問題なくても内部が劣化していることがあり、改装直後に故障すると営業と売上に直結します。「使えるはずだから残す」ではなく、「あと何年もつか」「壊れたらいくらか」まで見て判断すると、改装後のトラブルを防げます。
特にカフェ改装で見落とされやすいのが受電容量の壁です。リーンに小さく始めた店が「コーヒーをレベルアップしたい」と、エスプレッソマシンの増設や高出力グラインダー、焙煎機の導入を計画すると、既存の電気容量や分電盤の上限に当たることがあります。すると3相200Vへの切り替えや受電(契約容量)の増設が必要になり、これが「見える内装」よりも高くつくケースが出てきます。開業時にゼロから設計するなら起きにくく、既存店が改装で初めてぶつかるのがこの問題です。さらに焙煎機は、排気・防臭・火気の観点で消防の確認を再びトリガーすることがあります。
あなたのカフェは業者を選べる?(発注自由度と原状回復)
意外に知られていませんが、改装で「業者を自由に選べるか」は店舗の立地条件で変わります。路面店や戸建ては設備の幹線まで自由に選べるため、複数社で相見積もりを取って価格と提案を比較できます。一方、商業ビルやショッピングセンター、駅ビル内のテナントは、意匠造作は自由でも、電気増設・防災・給排水の幹線はビル指定の業者(いわゆるB工事)になりがちで、両者が混在します。
路面店・戸建て
ビル・SC内テナント
もう一つ、改装ならではの落とし穴が原状回復義務の境界です。営業中ということは賃貸借契約の途中です。改装で造作を足すと、退去時に「もともと借りたときの状態」に戻す義務に加えて、自分が新たに足した造作の分まで原状回復を負うことがあります。特に前テナントの居抜き造作の上に重ねた場合、責任範囲が複雑になります。改装の契約段階で、どこまでを誰が戻すのかを切り分けておきましょう。
自店がビル内テナントで設備がB工事縛りでも、意匠・客席まわりは相見積もりで最適化できます。路面店なら全体を比較できます。どちらの場合も、複数社の見積もりを取って比べることが、改装費を適正にする近道です。
カフェ改装の流れと工期
カフェ改装は、おおむね次の流れで進みます。改装は現況勝負のため、見積もりの前の現地調査がとりわけ重要です。
工期の目安は、客席・意匠中心の部分改装で2〜6週間、レイアウトや設備まで及ぶ全面改装で1.5〜3ヶ月、スケルトン化を伴う場合は3〜6ヶ月程度です。再開時は、プレオープンや予約受付、告知をセットで計画すると立ち上がりがスムーズです。改装全体の進め方は店舗改装の流れガイドでも整理しています。
失敗しない業者の選び方(カフェ改装版)
カフェ改装で業者を選ぶときは、開業の内装業者選びとは少し見るべき点が違います。改装は現況に左右されるため、次のような観点で確認しましょう。
- カフェ・飲食店の改装実績があるか(新装だけでなく改装の経験)
- 現地調査が丁寧か(改装は現況勝負。見ずに概算だけ出す会社は要注意)
- 居抜き造作の扱いや、退去時の原状回復について説明してくれるか
- 営業を続けながらの改装(ゾーニング・夜間施工)の経験があるか
- 見積もりの内訳が明確か(解体・養生・原状回復まで含むか)
そして相見積もりは必須です。改装は現況依存で各社の見方が割れやすく、1社だけでは金額や提案が妥当かを判断できません。複数社を比べることで、適正価格と相性の良い会社が見えてきます。見積もりの読み方や比較のコツは店舗の見積もり比較ガイドを参考にしてください。
カフェ改装の法令チェック
改装では、開業時に済ませたはずの法令確認が再び必要になることがあります。見落としやすい3点を押さえておきましょう。
いずれも物件や自治体によって判断が分かれます。早い段階で、所管の特定行政庁・消防署や、専門家・施工会社に確認してください。
よくある質問(FAQ)
まとめ|まずは現地調査と相見積もりから
カフェ改装は、費用の早見表よりも「何日閉めるか・常連の谷をどう埋めるか」から考えるのが成功の近道です。カフェは客席が改装の主対象なので、半分ずつ・定休日施工で営業を止めずに進めやすいのが強み。一方で、コーヒー機器の強化は受電容量の壁に当たりやすく、ビル内テナントは設備がビル指定になることもあります。これらは現況を見なければ判断できません。まずは現地調査を受け、複数社の見積もりを比較することから始めましょう。
