📋 この記事でわかること
居抜き改装は、前テナントの内装・設備を引き継いで店舗を開く「時間とコストを抑える有力な選択肢」ですが、現地調査・造作譲渡契約・設備の見極めを誤ると想定外コストで膨らみます。本ガイドでは、居抜き改装の費用相場・工期・造作譲渡料の交渉・前テナント設備の再利用判断・業態変更時の許認可・失敗パターンまでを、物件調査から開業までの実務ステップで体系化しました。これから居抜き物件で出店する方、すでに契約済みで改装計画を詰めている方が、見積もり依頼や業者選定の前に押さえるべき論点を網羅しています。
1. 居抜き改装とは|スケルトン工事との違い
居抜き改装とは、前テナントの内装・設備・什器が残された物件を賃借し、必要な箇所にのみ手を入れて開業する方式の工事を指します。床・壁・天井・厨房設備・空調・給排水を再構築するスケルトン工事と比べると、工事範囲が限定され、工期・費用・廃材ともに削減しやすいのが最大の特徴です。
一方で、前テナントの設備が現行の消防・衛生・電気基準に適合しているとは限らず、業態を変更するなら許認可の取り直しや追加工事が必要になります。「安い・早い」の印象だけで契約すると、想定外の工事が発生して結局スケルトンと同等の総コストになるケースもあるため、契約前の現地調査と見積もり精査が居抜き改装の成否を分けます。
- 工期:2週間〜2か月程度が目安
- 坪単価:10〜40万円/坪が中心帯
- 造作譲渡料が別途かかる場合あり
- 前テナント設備の状態で費用が大きくブレる
- 業態が近いほど改装費を圧縮できる
- 工期:2〜4か月が標準
- 坪単価:30〜80万円/坪が中心帯
- 造作費・設備費をフルで計上
- 業態に最適化した設計が可能
- 什器・厨房も新規で調達する前提
① 同業態・近い業態で開業(例:カフェ→カフェ、居酒屋→バル)/② 物件の状態が良く設備の残存価値が高い/③ 開業までの時間を短縮したい/④ 初期投資を抑えて回収期間を短くしたい。逆に、業態が大きく異なる場合や、設備の老朽化・故障が進んでいる物件は、居抜きのメリットが薄れます。
なお、これから物件を探す段階で「そもそも居抜きにするかどうか」自体を迷っている場合は、スケルトン・セットアップ物件も含めて費用・自由度・退去時義務を比較できる居抜き・スケルトン・セットアップの違いと選び方(30秒診断チャート付き)を先にご覧ください。3タイプの向き不向きを整理してから本ガイドに戻ると、改装計画の判断がしやすくなります。
2. 居抜き物件の現地調査チェックリスト|契約前に確認すべき11項目
居抜き改装の費用は、現地調査の精度で決まります。契約してから「この設備は使えない」「容量が足りない」と判明すると、撤去費・更新費が上乗せになり、予算計画が崩れます。契約前(内見時)に、施工会社や設備業者に同行してもらい、以下の11項目を確認しましょう。
- □ 給排気ダクトの経路・ファン容量・排気規制
- □ 給排水管の位置と能力(詰まり・漏水履歴)
- □ 電気容量(契約アンペア・キュービクル)と配電盤の状態
- □ ガス容量(都市ガス/プロパン)と引込位置
- □ 空調機の年式・冷媒・稼働音・能力
- □ 厨房機器の年式・メーカー・メンテ履歴
- □ 床・壁・天井の下地状態(水漏れ・カビ・傾き)
- □ グリストラップの有無と容量
- □ 消防設備(自動火災報知機・消火器・誘導灯・避難経路)
- □ 看板・ファサードの構造と原状回復範囲
- □ 建物全体の用途地域・防火地域・既存不適格の有無
特にダクト・電気・ガスの容量不足は、居抜き改装で費用を跳ね上げる三大要因です。前テナントと同業態でも、提供品目が増えれば容量不足になることがあります。例えば前が喫茶店で次がカフェレストランなら、加熱機器が増えるためガスや排気の増強が必要になる可能性があります。
内装施工会社に加えて、可能なら厨房機器業者・電気工事士・消防設備士にも声をかけると、それぞれの視点で見落としを拾えます。費用は発生しますが、契約後に判明する追加工事の金額と比べれば保険になります。物件仲介会社からは建築図面・設備図面・過去のリフォーム履歴の開示を受けましょう。
3. 造作譲渡契約の仕組みと交渉|譲渡料の相場と値引きのコツ
居抜き物件で前テナントの設備・内装を引き継ぐときに発生するのが造作譲渡料です。家主との賃貸借契約とは別に、前テナント(または物件仲介会社)と交わす譲渡契約で金額が決まります。設備の状態・築年数・需要(他に借り手がつくか)によって金額が大きく変わり、数十万円で済む場合から数百万円を超える場合まで幅があります。
譲渡料は前テナントが「回収したい金額」と「次に借りる人が払える金額」の均衡点で決まるため、交渉余地があります。値引き交渉のコツは次の通りです。
- 設備の残存価値を個別に評価する:厨房機器ごとにメーカー・年式・中古相場をリサーチし、「この冷蔵庫は新品20万円/中古相場5万円」と具体的に提示する。
- 使わない設備の撤去費を相殺する:譲渡された設備のうち自店で使わないものは撤去費・処分費が発生するため、その分を譲渡料から差し引く交渉をする。
- 物件の空き期間を材料にする:前テナントが早く退去したい・家主が早く埋めたい状況なら、相場より低い譲渡料で合意しやすい。
- 造作譲渡契約書を必ず交わす:口約束ではトラブルの元。譲渡対象物のリスト・保証範囲・引渡時の状態を明文化する。
リース品の罠──「譲渡リスト」に混ざっていないか
前テナントの厨房機器・看板・POSレジ・製氷機などがリース契約の場合、所有権はリース会社にあり、そもそも造作譲渡の対象になりません。譲渡リストにリース品が混ざっていないか、リース残債の承継(名義変更)を求められていないかを契約前に確認してください。承継する場合は「月額×残期間」を総額に換算し、譲渡料と合算して物件の実質コストを比較するのが正しい計算です。リース品かどうかは、機器に貼られた管理シールと、前テナントへのリース契約一覧の開示依頼で確認できます。
原状回復義務の帰属──造作と一緒に「戻す義務」も引き継ぐ
見落とされがちですが、造作譲渡を受けると退去時のスケルトン戻し義務まで引き継ぐのが一般的です。前テナント分の内装を解体する費用を将来の自分が負担する構図になるため、「誰が・どこまで戻すか」を賃貸借契約と造作譲渡契約の両方で突き合わせて明文化してください。ここが空白のまま入居すると、退去時に前テナント分の解体費まで請求される典型トラブルにつながります。工事区分と原状回復の考え方はABC工事区分の解説で整理しています。
造作譲渡料の会計処理
造作譲渡料は一括経費にはできず、原則「建物附属設備」「器具備品」などの固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却します。減価償却の方法は国税庁の資産区分に従って判断する必要があるため、顧問税理士に相談するのが確実です。
造作譲渡が成立する理由──貸主に買い取らせる権利は、たいてい封じられている
そもそも、前テナントが設備を貸主に買い取ってもらえるなら、居抜きという市場は必要ありません。借地借家法第33条には「造作買取請求権」が定められており、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作は、賃貸借の終了時に時価で買い取るよう請求できる、とされています。空調設備や据付け戸棚・ダクト一式などが造作と認められた例があります。
ところがこの第33条は任意規定です。強行規定を定める同法第37条に第33条が列挙されていないため、反対解釈として特約で排除できるとされています(旧借家法では強行規定でしたが、平成4年8月1日施行の借地借家法で任意規定に改められました)。そして商業テナントの賃貸借契約書では、「賃借人は造作買取請求権を行使しない」旨の特約が置かれているのが実務上ほとんどです。
貸主に買い取らせられない。だから前テナントは、原状回復(スケルトン戻し)の費用を自分で負担して出ていくか、次のテナントに造作を有償で引き取ってもらうかの二択になります。造作譲渡は、封じられた買取請求権の代わりに生まれた当事者間の売買です。テーブル・椅子・什器類は「建物に付加されたもの」ではないため造作には当たらず、譲渡契約では動産売買として別建てで扱われます。
譲渡価格の考え方──上限は「売主が回避できる費用」、下限は「買主の代替費用」
造作譲渡料には公定の算定式がありません。しかし価格が動く範囲は、次の2つの数字に挟まれます。
- 上限=前テナントがスケルトン戻しに要する原状回復費+明渡しまでの空家賃。これを超える金額を払うくらいなら、買主は「原状回復させてから借りる」ほうが安い
- 下限=買主が同等の設備を新設した場合の費用から、引き継ぐ設備の劣化・不適合分と、撤去・改修が必要になる部分を差し引いた額。これを下回ると売主が売る理由を失う
つまり交渉は「相場より高いか安いか」ではなく、この2つの数字を自分で計算できているかで決まります。前テナントが早期退去を迫られている(=空家賃の負担が重い)ほど上限は下がり、引き継ぐ厨房機器が新しくそのまま使えるほど下限は上がる。相場表を見る前に、まず自分の物件でこの2本の線を引いてください。
なお、譲渡料を値切りきってゼロに近づけると、前テナントは「造作を撤去して原状回復する」ほうが有利になる場面が出てきます。撤去されて困るのは買主のほうという非対称があるため、値引き交渉には自然な底があります。
査定で必ず確認する6項目
- □ リース残債の有無:厨房機器や券売機がリース中なら所有権は前テナントになく、譲渡対象にできない。契約書とリース会社の残債証明で確認
- □ 貸主の承諾:造作譲渡は賃貸借契約とは別の当事者間売買だが、貸主の承諾なしに進めると契約違反を問われうる。書面での承諾を取る
- □ 残存耐用年数:空調・冷凍冷蔵・給湯・グリストラップは年式と稼働時間で残り寿命が決まる。譲渡直後の更新は買主負担になる
- □ 許認可への適合:飲食店営業許可や消防用設備の基準は、前テナントの時点で適法でも、業態変更で不適合になることがある
- □ 原状回復義務の範囲:前テナント分の造作まで含めてスケルトン戻しを負う契約になっていないか。負う場合、将来の解体費は買主の債務
- □ 現状有姿・免責の範囲:譲渡後に発覚した不具合を誰が負担するか。引渡し後○日以内の申告に限る、といった条項の有無
造作譲渡で起きやすい典型パターン
以下は、契約書の記載不足から構造的に起こりうる典型パターンです(特定の事案を指すものではありません)。
- リース物件が譲渡目録に混ざっており、引渡し後にリース会社から引揚げを求められる
- 造作買取請求権の放棄特約を確認しないまま入居し、退去時に「貸主が買い取ってくれる」前提が崩れる
- 貸主の承諾を得ずに譲渡契約を締結し、無断譲渡として契約解除を主張される
- 原状回復の範囲が「入居時の状態」ではなく「スケルトン」と定義されており、前テナント分の解体費まで背負う
- 引渡し後に空調・冷凍機の故障が判明するが、現状有姿条項により買主負担となる
なお、造作買取請求権については、代金が支払われないことを理由に建物の明渡しを拒むことはできないとした判例があり(最高裁昭和29年7月22日判決)、賃借人の債務不履行によって契約が解除された場合には行使できないとされています(最高裁昭和33年3月13日判決)。「最後は買い取らせればいい」という発想は、実務では成立しにくいと考えておくのが安全です。
本節は制度の概要と実務上の着眼点をまとめたものです。契約条項の解釈や個別の適否は、賃貸借契約書の文言と物件ごとの事情に左右されます。判断が必要な場面では、宅地建物取引業者または弁護士にご相談ください。会計・税務の取扱いは顧問税理士にご確認ください。
4. 居抜き改装の費用構造|坪単価と工事別の内訳
居抜き改装の総額は、改装の深さ(ライト/中改装/フル改装)によって坪単価が大きく変わります。以下は20坪の飲食店を想定した概算です。
壁紙・床材の張替え、看板・照明の交換、塗装など。前テナントと業態が近く、設備はそのまま使えるケース。20坪で200〜400万円程度。
内装の部分更新に加え、厨房機器の一部入替・カウンターや客席レイアウトの変更・電気容量の増設など。20坪で400〜800万円が目安。
厨房の大幅改修・給排水経路の変更・空調の入替・ファサードの全面リニューアルなど、内装デザインを全面刷新するケース。スケルトンに近い予算感になる。
工事別の内訳(20坪・中改装の場合)の目安は次の通りです。合計金額は現場条件で上下するため、複数社の見積もりで相場観を掴みましょう。
- 解体・撤去工事:30〜80万円(使わない設備の撤去・処分費を含む)
- 内装仕上げ工事(床・壁・天井・塗装):100〜200万円
- 設備工事(電気・ガス・給排水・空調の更新):100〜200万円
- 厨房機器・什器更新:50〜150万円(ユニット数による)
- 看板・ファサード・外装:30〜100万円
- 設計・監理費:工事費の5〜10%
- 諸経費・申請費:工事費の5〜10%
1社だけの見積もりでは相場感が掴めず、業者側の言い値になりがちです。最低でも3社に同条件で見積もりを依頼し、金額だけでなく「工事範囲の粒度」「工期」「担当者の対応」「施工実績」で比較しましょう。見積書の内訳が「内装工事一式 ◯◯万円」のようにざっくりしている業者は要注意です。
5. 前テナント設備の再利用判断|残す・撤去・更新の見極め方
居抜き改装で費用を左右する最大の論点が、前テナントから引き継いだ設備を「残すか・撤去するか・更新するか」の判断です。判断基準は、①自店の業態で必要か、②年式と消耗度、③ランニングコスト、④保証の有無、の4点で考えます。
自店のメニューとオペレーションから逆算して、「必要な設備・什器」のリストを作成。前テナントから引き継げるものと、引き継げないものを仕分けます。
厨房機器・空調は耐用年数(法定6〜15年)に近いものは故障リスクが高く、突然の買い替えで営業停止に陥ります。メンテ記録がない設備は慎重に判断。
古い冷蔵庫・冷凍庫・エアコンは消費電力が高く、最新機種と比べて月数万円の電気代差になるケースがあります。5年の電気代差で新品代が回収できるなら更新を検討。
譲渡設備は原則「現状有姿」での引渡しで、前テナントや家主の保証はつきません。開業後すぐに故障しても自己責任となるため、点検費用をかけてでも状態を確認するか、更新するかの損益分岐を考えます。
「使わないが撤去するとお金がかかる」設備は、譲渡料の交渉材料になります。産廃処分費・運搬費を含めて撤去の実費を見積もり、必要なら撤去しないまま使わない選択も検討。
再利用されやすい:ダクト・給排水幹線・グリストラップ・大型什器(カウンター・棚)・シンク類。更新されやすい:冷蔵冷凍庫(衛生・電気代)・エアコン(電気代・冷媒規制)・レジ周辺機器・照明(LED化)・客席椅子テーブル(ブランド表現上の理由)。
6. 居抜き改装で必要になりやすい工事7つ
「前テナントが同業態だったから改装はほぼ不要」と考えていても、実務上は以下のような工事が入ることがほとんどです。費用を左右する7つの工事を押さえておきましょう。
- ① 床・壁・天井の部分更新:清掃では落ちない油汚れ・シミ・前業態のにおいは、張替え・塗装で一新するのが基本。客席部分だけで20坪換算50〜150万円。床材の素材別㎡単価と張替え費の内訳は店舗の床材費用ガイドに整理しています。
- ② 看板・ファサード工事:前テナントのイメージを引きずらないために効きます。LED・電飾・素材の選択で30〜100万円の幅。
- ③ 厨房の一部改修:提供メニューに合わせた作業動線の見直し、調理機器の入替、シンクの位置変更などで50〜200万円。
- ④ 電気容量の増設:厨房機器が増える場合は契約アンペアの見直しと配電盤の増設が必要。10〜50万円に加え、電力会社への申請が発生。
- ⑤ 給排水の経路変更:シンクやトイレの位置を動かすと床下配管の組み直しが発生し、解体を伴うため工期と費用がかさむ(50〜200万円)。
- ⑥ 空調の入替:前テナントの空調機が10年超なら、冷媒規制(R22→R32など)への対応も含めて更新したほうが安全。20坪で80〜150万円。
- ⑦ 消防設備の点検・更新:用途変更や内装材の変更で消防法の基準が変わる場合がある。消防署に事前相談し、自動火災報知機・誘導灯・消火器の更新費を見込む。
7. 業態変更を伴う居抜き改装の進め方|許認可と設備追加
前テナントと業態が異なる居抜き改装では、単なる内装工事にとどまらず、許認可の取り直しと用途変更の確認が欠かせません。飲食店→美容室、物販→飲食店、カフェ→居酒屋など、業態の組み合わせによって求められる工事が変わります。
東京で開業・出店をご検討の方は地域特化の業者選びガイドもご覧ください
- 東京都の店舗内装会社の選び方|23区×8業態別の判断フレームと相見積もり実務【2026年最新】(東京全業態の上位ピラー)
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保健所への飲食店営業許可の新規申請、深夜酒類提供を扱うなら警察署への届出が必要。グリストラップの設置・手洗器の増設・床の防水など衛生基準の適合工事が発生することが多い。
保健所への美容所・理容所の開設届、シャンプー台の給排水工事、換気・照度基準への適合。前が飲食店なら厨房部分を撤去してセット面に作り替える大工事になりがち。
厨房新設・給排気ダクトの新規設置・排水経路の確保など、設備工事がフルで発生。用途変更の建築確認申請が必要になるケースもあるため、建築士に事前確認を依頼。
業態変更を伴う居抜き改装では、前テナントの設備をそのまま活かせる部分は限られ、実質的には中〜フル改装になることが多いです。それでも「躯体・下地・幹線設備が残っている」ぶん、スケルトンから作るより数百万円単位で費用を抑えられる場合があります。
建物の用途を大きく変更する場合(例:物販店→飲食店)、床面積が200㎡を超えるなら「用途変更の建築確認申請」が必要です。詳細は国土交通省や所轄の建築指導課に確認しましょう(国土交通省トップページ)。消防に関わる工事なら消防庁の指針も参考になります。
8. 居抜き改装の工期と段取り|契約から開業までのスケジュール
居抜き改装の工期は、改装の深さと業態変更の有無で大きく変わります。一般的な中改装(業態が近い)のスケジュール目安は次の通りです。
内見・設備調査・相見積もり取得。並行して造作譲渡契約の交渉を進めます。
契約締結と引渡日確定。ここから実質的に賃料が発生するため、工事開始を最短で組みます。
レイアウト・素材・設備仕様の詰め。保健所・消防署への事前相談もこの段階で実施。
ライト改装なら2週間、中改装で3〜4週間、フル改装で4〜6週間程度。電気・ガス・給排水の申請が絡む工事は工期が延びやすい。
保健所の立入検査・消防検査をクリアしてから営業許可証が交付されます。店舗スタッフの研修・プレオープンを経て本開業。
全体で契約から開業まで2〜3か月が標準。業態変更を伴うフル改装なら4〜5か月かかるケースもあります。賃料発生から売上ゼロ期間をどう短くするかが、居抜き改装の事業計画で最も重要な論点です。
9. ありがちな失敗パターンから学ぶ|居抜き改装でよくある落とし穴
居抜き改装で発生しやすいトラブル・想定外コストの類型を、費用インパクトの大きい順にまとめました。契約前チェックに活用してください。
いずれも、契約前の現地調査と書面確認で相当程度は回避できます。口約束の「使えますよ」「直ってますよ」は証拠にならないため、譲渡契約書・重要事項説明書・設備一覧のリストに状態を明記してもらいましょう。
退去時に「スケルトン戻し」が求められる契約だと、居抜きで入っても退去時に数百万円の解体費が発生します。賃貸借契約書の原状回復条項を確認し、可能なら「次テナントへの居抜き譲渡を認める」条項を交渉しましょう。
10. 居抜き改装の会計処理と資金調達の基本
会計処理では、改装費用を一括で経費化するのではなく、固定資産として計上し耐用年数で減価償却するのが原則です。建物附属設備(内装・配管・空調)、器具備品(什器・厨房機器)で耐用年数が異なるため、税務については国税庁の情報(国税庁トップページ)や顧問税理士に相談しましょう。開業資金の調達では日本政策金融公庫の新規開業資金の活用も選択肢です。
資金計画は工事費だけで組まない
居抜き改装では、現地調査で見えなかった劣化や設備不良により、着工後に追加工事費が発生することが珍しくありません。工事費に予備費5〜10%を上乗せし、開業後の運転資金6〜12ヶ月分まで含めて、金融機関からの融資を主軸に調達枠を設計しておくと、想定外のコストにも耐えられます。
11. 居抜き改装の業者選びと見積もりの取り方
居抜き改装は、スケルトン工事よりも「前テナント設備の見極め」という難しさがあるため、業者の経験値がそのまま仕上がりに反映されます。選定時のポイントを整理します。
- □ 居抜き改装の施工実績が豊富か(同業態の事例を見せてもらう)
- □ 現地調査を丁寧に行うか(初回訪問で設備・容量を具体的に指摘できるか)
- □ 見積書の内訳が詳細か(「一式」表記が多い業者は避ける)
- □ 追加工事の判断基準を明文化してくれるか
- □ 許認可申請のサポート体制があるか(保健所・消防・建築)
- □ アフターサポート期間と補償範囲の提示があるか
- □ 工事中の近隣対応の経験・体制があるか
見積もりは最低3社に同条件で依頼し、金額だけで選ばないことが重要です。「坪単価◯万円」の提示だけで工事内容が不明瞭な業者は、追加工事で膨らむリスクが高くなります。逆に、調査段階で「ここは壊してみないと分からないので別途見積もりで」と正直に言ってくれる業者のほうが、最終的な総額は安定しやすい傾向があります。
12. よくある質問(FAQ)
最後に、居抜き改装は、スケルトン工事より費用・工期を抑えられる有力な選択肢ですが、現地調査の精度・造作譲渡契約の詰め・前テナント設備の見極めが甘いと想定外コストで膨らみます。契約前のチェックリスト、設備の再利用判断、相見積もりの比較を丁寧に進めれば、費用対効果の高い開業が実現できます。特に業態変更を伴う改装では、許認可や設備追加が絡むため、経験豊富な業者と二人三脚で進めることが重要です。まずは複数社から見積もりを取り、具体的な工事内容と金額を比較することから始めましょう。
