居抜き改装の費用と進め方|設備再利用・追加工事・引渡しの確認点

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この記事でわかること

居抜き改装では、残る内装・設備を使う・修理して使う・交換する・撤去する・未確認に分け、その判断を図面と見積へ反映します。年式や同業態という理由だけで流用を決めず、所有・点検結果・必要能力と工事の範囲を確かめることが予算づくりの出発点です。

本記事は、候補物件の調査から、契約後の改装計画、着工後の追加工事、引渡し時の確認までを扱います。すでに物件を契約している場合も、未確認の設備や承諾条件を整理し、壊す・発注する前の確認へ戻れます。

1. 居抜き改装とは|残る設備から工事範囲を決める

居抜き改装は、前テナントの内装・設備が残る物件で、新しい営業に必要な工事を行うことです。使える部分を残せれば新設工事を減らせますが、点検・清掃・修理・接続・撤去も必要になる場合があります。残る物がすべて借主の所有物とは限りません。

残して改装する部分

仕上げや機器の状態、必要な能力、所有と使用権限を確認します。流用部分を図面に示し、養生・一時撤去・再設置・試運転の担当を決めます。

撤去・新設する部分

撤去範囲と処分、残る部分への影響、設備の接続点、復旧工事を確認します。スケルトンに近い改装でも、既存幹線や空調を使う場合は能力と使用条件の調査が必要です。

同業態でもメニュー、同時に使う機器、提供量、営業時間が違えば必要な設備は変わります。「居抜きだから短工期」「異業態だから全面更新」と先に決めず、残せる根拠と変更範囲から判断します。

物件の取得前に複数候補を比べる場合は、居抜きとスケルトンの比較ガイドへ。居抜き物件の引継ぎ確認では所有・譲渡対象を整理しています。セットアップも含む選択肢は居抜き・スケルトン・セットアップの違いを参照し、本記事では選んだ物件の改装を具体化します。

2. 居抜き物件の現地調査|工事前に確認する11項目

可能な範囲で契約前に調査し、契約済みなら未確認項目を着工前の課題にします。各項目に「確認した人・日付・図面や写真・残る不明点」を記録してください。営業中で動かせない機器や、壁内・床下など見えない部分は、利用可能と決めず調査方法と時期を決めます。

  • 給排気:ダクト経路、給気、ファン、排出口、清掃口と建物側の使用・工事条件。
  • 給排水・給湯:接続点、供給・排水能力、配管状態、漏水・詰まりの記録。
  • 電気:機器ごとの電源・同時使用、契約容量、幹線・分電盤・回路と増強可否。
  • ガス:都市ガス・LPガス等の種類、機器適合、供給条件、配管と接続の担当。
  • 空調:型番、年式、冷媒、点検・修理履歴、状態と予定利用に必要な能力。
  • 厨房機器:所有、型番、付属品、動作、衛生状態、修理部品・保守の対応可否。
  • 床・壁・天井:漏水、下地、におい等の状態と、改修対象の材料・事前調査。
  • 排水処理:グリストラップ等の必要性、設置状況、能力、清掃・点検できる場所。
  • 消防・避難:既存設備、変更後の用途と区画、避難経路、工事中の設備停止。
  • 看板・外観:残置物、取付部、電源、撤去・変更の承諾と退去時の取扱い。
  • 建物資料:図面、用途と敷地条件、過去工事・確認関係の記録、既存建物の調査が必要な範囲。

調査は施工会社に相談し、対象に応じて設備業者や建築士等の確認を組み込みます。調査の費用、調べる範囲、破壊を伴う調査の承諾、復旧、成果物を先に決めましょう。仲介会社・貸主には、入手できる建築・設備図面や過去工事の記録を依頼します。

例えば喫茶店を調理の多いカフェへ変える場合、残る機器が動くだけでは足りません。新しく使う機器の仕様と同時使用を伝え、排気・給気、給湯、電源やガスが計画に足りるかを照合します。増強が必要でも、その工事が建物側で可能かは別に確認します。

3. 造作譲渡と工事契約|対象物・支払・故障負担を整理する

造作譲渡対価は、残る内装や設備のうち、何を誰から取得するかを決める契約の金額です。売主は前テナントとは限らず、貸主、所有者、代理人等の立場を確認します。仲介した会社と代金の受領権限を持つ相手も同じとは限りません。賃貸借契約、譲渡契約、工事契約は対象と支払先を分けて管理します。

譲渡対象設備一覧の型番・数量・写真・付属品を現物と照合し、除外品を明示する。
使用の条件所有者、リース・貸主設備等の区分、必要な承諾、修理・撤去の担当を確認する。
対価と支払内訳と税区分、支払先の権限、支払日、引渡条件、不成立時の返金等を確認する。
工事との境界譲渡で取得する機器を、新品購入費として工事見積へ重ねて加えない。点検・修理・接続は含有を確認する。

値引き率や上限・下限の公式で決めない

売主が回避できる撤去費と、買主が代わりに設備を用意する費用は、それぞれの判断材料です。ただし、どちらも譲渡価格が必ず収まる上限・下限ではありません。権限・利用価値・修理と撤去の負担・支払条件を確認し、合意できる条件を個別に交渉します。

買主側では、対象設備を使う案と、同等の営業ができる代替案を比べます。現物の状態、搬入設置、保証、修理、撤去まで含め、使わない設備を高く評価しないことが大切です。提示額の根拠が分からなければ内訳を照会し、撤去費の相殺等は相手の合意と契約変更を確認してから計画へ反映します。

リース品・借用品は所有と支払を分ける

機器の管理シールだけで判定せず、契約書や設備一覧を照合します。リース会社等に承継・継続使用・返却・買取りの可否、必要な承諾、費用を確認し、承諾前の機器を自由に改造・処分しないでください。リース事業協会の参考条項も、所有・使用・保守等を分けています。個別契約へそのまま適用するものではありません。

初期支払と月額・残期間を分けて記録します。月額×支払回数は、その条件での支払総額を確認する補助になりますが、買取り・返却・保守等の別費用は別途確認が必要です。初期工事費へ残期間の月額をすべて足して、開業時に一括で必要な現金と混同しないでください。

「現状有姿」だけで故障責任や原状回復を決めない

引渡し時の状態、説明された不具合、保証・免責、通知期限、実際の故障原因によって確認すべきことが変わります。「現状有姿」の一語だけで引渡し後の故障がすべて買主負担とは決められません。売買、賃貸設備、工事施工のどこに関係する不具合かを切り分け、写真・点検結果・連絡記録を残します。

造作を受け取ることだけで、前テナントの退去義務がそのまま移るとも限りません。自分の賃貸借契約・特約・譲渡契約で、残す物、撤去範囲、指定業者、期限と検収を照合します。ABC工事区分の解説も参照できますが、区分名だけで所有や退去負担は決まりません。

貸主が退去時に造作を買い取ることや、次のテナントへ売却できることを前提に資金計画を組まないでください。買取請求や免責等の権利・特約の解釈は弁護士等へ、会計上の区分は税理士へ、契約書と実際の対象物を示して確認します。

4. 居抜き改装の費用構造|含む工事を揃えて比較する

居抜き改装の費用は、残す部分と変更する部分の量、必要な設備工事で変わります。同じ20坪でも全面の仕上げを更新する案と一部だけを改修する案は比較条件が違います。募集面積とは別に実施工面積を記録し、坪単価を使うときは、何の費用をどの面積で割った値かを確認します。

仕上げ中心

清掃、床・壁・天井の張替えや塗装、看板・照明等。機器を流用する場合も点検・養生・清掃・再接続が本体に含まれるかを確認。

配置や設備を部分変更

カウンター、機器、給排水や電源の位置変更等。移設先だけでなく、撤去元の復旧と残す設備への影響を含めて見積。

広い範囲を更新

厨房・給排気・空調等を含む改修。建物側工事、指定先の費用、撤去と廃棄、設計や管理まで範囲を明確に。

上の分類は工事範囲の整理で、固定の価格帯を示すものではありません。費目ごとに「本体に含む/別途金額/対象外/未定」を付けます。設計・監理・諸経費を一定率で自動的に上乗せせず、本体見積への含有を確かめてください。

同じ機器を修理する案と交換する案の仮定例

以下は比較方法を示す税別の仮定で、市場相場・実績・実際の見積ではありません。同じ営業内容を満たすものと仮定して2案を比べます。共通工事360万円は仕上げ・カウンター・他の設備工事・設計監理を含み、ここで比較する1台の機器の取得・点検・清掃・修理・撤去・専用接続は含まない設定です。

修理して再利用する案

共通工事360万円+対象機器の点検・修理18万円+清掃・専用接続12万円=390万円(税別)。対象機器の購入費・撤去費は加えない条件。

新品へ交換する案

共通工事360万円+新品機器70万円+旧機器の撤去処分8万円+専用接続12万円=450万円(税別)。撤去や接続が購入見積に含まれる場合は重ねて足さない。

この条件での差額は450−390=60万円です。修理案が将来も安いという結論ではありません。使える能力、修理・保証範囲、納期、故障時の対応、使用中の費用を照合します。どちらかが未確認なら金額差だけで決めません。

390万円・450万円は、対象の工事等を比べるための小計です。消費税の支払、造作譲渡対価、物件取得時の支出、その他の機器・開業準備、運転資金、将来の退去費は未計算です。すでに契約した譲渡対価は、機器を交換する案でも自動的に返金されるとは考えません。

見積で重なりやすいところ

  • 機器販売会社の搬入・据付・接続費と、内装会社の設備工事費。
  • 撤去見積の運搬・処分費と、工事本体の解体処分費。
  • 空調や厨房の専用配管・配線と、共通幹線や本体設備工事。
  • 設計・申請補助・現場管理・諸経費と、別紙の同じ業務。

同じ対象は一度だけ計上し、どの会社のどの行に含まれるかを記録します。見積書が「一式」でも数量・仕様・含有が別紙で分かることがあります。表記だけで会社を排除せず、不明な対象と除外項目に回答を求めましょう。

5. 前テナント設備の再利用判断|残す・修理・交換・撤去

再利用する設備は、工事後も予定した条件で使えるかを確認します。年式は保守や部品供給を調べる入口であり、法定耐用年数から残り寿命や次の故障時期を決めることはできません。未確認の設備を、工事費0円・使用可能として見積から落とさないでください。

1

必要性と権限

使う目的、必要量、所有者、使用・改造の承諾を確認。不要物も勝手に処分しない。

2

現物と保守

型番・付属品・点検修理履歴、動作、能力、部品供給と修理窓口を照合。

3

工事の影響

一時撤去、養生、配管配線の切離し・再接続、既存部の復旧と試運転を見積へ。

4

2案の支払条件

修理・流用と交換の範囲、保証、納期、初期支払、月額等を揃えて比較。

5

引渡し後の管理

取扱説明書、点検記録、修理連絡先と保守担当を引き継ぎ、試運転結果を保管。

機器は電圧だけでも判断できません。例えばFMIのM26-DT/1B(100V)の仕様には、単相100V・13Aに加えて給排水が必要と示されています。これはその型式の条件です。予定する機器の仕様書を集め、専用回路・給排水・据付条件と建物側設備を業者に照合してもらいます。

冷凍冷蔵庫・空調の記録を受け取る

フロンを使用する業務用機器は、対象機器かを確認し、点検整備記録も引き継ぎます。環境省のフロン排出抑制法FAQは、第一種特定製品の中古売却・譲渡時の記録引継ぎや、使用していない機器の扱いを示しています。単に電源を切って残すことを、管理不要と扱わないでください。

冷媒名や年式だけで一律に交換を決めず、状態、修理部品・冷媒対応、予定運転条件を専門業者へ確認します。撤去する場合はフロン類の扱い、運搬・処分、必要書類と担当を見積に入れます。冷媒の取扱いは対応する専門業者へ依頼してください。

電気代を比べる場合は、同じ使用時間・負荷・料金条件で比較します。カタログ消費電力に時間を掛けるだけでは実際の消費量を再現できない機器もあります。「古いから月数万円高い」「数年で必ず元が取れる」と決めず、機種ごとの資料と使用条件を確認しましょう。

6. 居抜き改装で検討する工事7つ|範囲と接続を確認する

7つすべてを施工する前提ではありません。現況と営業計画を照合し、必要な項目だけを図面と見積へ反映します。複数の工種にまたがる変更は、一つの変更範囲として費用と担当を揃えます。

  • 床・壁・天井:清掃で残せる部分と補修・張替えが必要な部分を分け、下地や漏水原因も確認。店舗の床材費用ガイドも参照できます。
  • 看板・ファサード:既存物の所有、撤去、取付下地、電源、貸主や管理者の承諾を確認。意匠変更の費用と安全上必要な補修を分ける。
  • 厨房・什器:機器取得と、搬入・固定・給排水・配線等の工事を照合。調理と洗浄、食材・廃棄物の経路、清掃保守の空間を確認。
  • 電気:機器の電源、同時使用、契約・幹線・分電盤・回路を調査。回路の変更で足りるか、建物側増強や申込みが必要かを切り分ける。
  • 給排水・給湯:位置変更に伴う配管、排水条件、防水、貫通部、元の場所の復旧まで対象にする。水を止める範囲と周辺店舗への影響も確認。
  • 空調・給排気:冷房能力と換気を混同せず、室内条件・発熱・給気と排気経路・保守場所を照合。残す既存機器と新設設備の担当境界を決める。
  • 消防・避難:変更する用途・区画・設備と、既存の消防設備・避難経路への影響を確認。必要な相談、移設増設、工事中の停止対応を工程へ組み込む。

解体・改修に伴う石綿の事前調査は、厚生労働省の施工業者向け案内を参照し、対象部分と調査担当、結果の説明、必要な報告等を工事前に確認します。報告の対象額に届かないことを、調査不要の理由にはしません。

7. 業態変更を伴う居抜き改装|営業手続と設備工事を分ける

前店が営業していたことだけで、新しい営業が始められるとは限りません。一方で、営業者が変わるたびに必ず新規申請になるとも限りません。所在地、営業者・開設主体、提供内容、現況と変更後の図面を示し、新規・変更・事業譲渡等による承継のどれに当たるかを所管へ確認します。設備だけを買うことと営業の承継は別です。

飲食店へ変更する場合

メニュー、調理・洗浄、衛生区画、機器配置を保健所へ相談。手洗い、洗浄設備、排水処理、防水等は営業内容と施設条件から確認し、全国一律のシンク数を当てはめない。深夜の酒類提供や接待等は警察への手続も別に確認。

理容所・美容所へ変更する場合

新規・変更・承継の区分と、検査・確認が必要な時期を相談。施術内容、洗髪設備、給排水・給湯、区画、換気・照明などを図面へ反映。前店の設備をすべて使えるとは扱わない。

物販・医療・その他の営業へ変更する場合

予定用途と営業内容、機器と動線、建築・消防上の影響を確認。診療所等は開設主体や有床・無床などで手続が異なるため、一般店舗の届出と一括しない。

新宿区の食品営業の手続案内では、工事前の図面相談、構造設備の変更、事業譲渡による地位承継が分けられています。理容所・美容所の案内も、構造設備の変更は事前相談とし、規模によって新規開設扱いとなる場合を示しています。自治体の例なので、物件所在地の窓口で確認してください。

建築・消防の確認を工事後まで残さない

用途変更の確認申請は、変更後の用途、用途を変える部分の面積、類似用途間の扱い等を建築士に照会します。「店舗全体が200㎡を超えたから必ず申請」「200㎡以下だから適合確認不要」とは判断できません。用途変更以外の工事に伴う手続も別に確認します。

既存建物の扱いは、国土交通省の既存建築物活用の案内に現況調査と緩和措置の情報があります。建物の履歴、現況、今回の工事範囲から適用を確認し、築年だけで全面更新の要否を決めないでください。国の情報入口は国土交通省消防庁でも案内されています。

消防は、建物全体とテナントの用途・規模・収容人員、設備の変更や停止を確認します。東京消防庁のテナント入居案内のように、工事に関する手続と使用開始の手続を分けて工程に入れます。消防の確認が食品営業許可の代わりになるわけではありません。

事前相談、申請・届出、審査・検査、営業開始できる条件は区別します。相談しただけで営業可とは扱わず、担当窓口・図面の版・回答・残る条件を記録してください。

8. 居抜き改装の工期と段取り|着工から引渡しまで

工程は工事範囲、機器納期、建物側の作業、承諾・手続によって組みます。次の5段階の順序と並行できる作業を、担当者・予定日・完了条件で整理してください。賃料は契約上の起算日から計画し、契約日や工事開始日と同じだと決めないことが大切です。

1

調査と条件整理

残す設備、未確認部分、営業内容、契約・建物条件を整理。契約済みでも不足資料はここで補う。

2

図面・見積・承諾

同じ図面の版で工事範囲と含有を照合。貸主等の承諾、必要手続、調査・工事発注の条件を確認。

3

調達と着工準備

機器の納期、搬入、停止設備、養生、仮設、現場連絡先を確定。未承認の追加発注を先行させない。

4

施工中の確認

残す設備の保護、解体後の状態、隠蔽前の配管等を確認。追加変更は写真・見積・工程への影響を記録。

5

試運転と引渡し

契約上の検収と是正、設備の試運転、必要な行政手続を確認。書類と操作説明を受け、営業開始条件を満たして開業。

工事中に見つかった不具合は、隠す前に判断する

解体後の漏水跡、腐食、配管の不具合等が見つかったら、影響部分の作業をいったん止めて担当者へ共有します。危険がある場合は安全確保を優先し、緊急対応の連絡先を使います。危険箇所には立ち入らず、担当者の指示に従ってください。

  • 位置・状況・写真を残し、既存部分と今回施工した部分を区別する。
  • 原因調査、対応案、変更が必要な図面と、既契約に含むかを確認する。
  • 追加・減額・削除する費用、工期や他工事への影響を同じ変更書類にまとめる。
  • 承認権限のある相手と合意し、図面・見積の版を更新してから該当作業を進める。緊急措置は実施内容も記録する。

引渡しで受け取るもの

仕上げや数量を契約と照合し、施工会社・設備業者の立会いで、漏水・排水、必要な機器の同時運転、給排気や空調等の確認方法を決めます。残る不具合には対応者・期限・再確認日を付けます。点検・試運転記録、完成図、取扱説明書、保証・保守窓口、鍵と付属品も受領してください。

営業を続けながら改装する場合は、工事区域・客やスタッフの経路・避難・衛生管理、給排水・給湯・電気・換気の停止、騒音・粉じん・臭気、清掃復旧後の確認を工程ごとに整理します。日数だけで継続可とせず、安全な営業条件が確保できない工程は休業を含めて計画します。

9. 追加工事と故障への備え|費用を決める前の確認

下記は不具合が起きた場合の確認方法で、発生件数や追加金額の順位を示すものではありません。「未確認」を固定の追加費へ置き換えず、原因と工事範囲から見積を取ります。

漏水・配管詰まり原因・影響範囲を調べ、清掃・修理・更新・仕上げ復旧を分ける。貸主側との責任境界も確認。
電源や供給能力不足機器一覧と同時使用を確認し、回路・幹線・建物側供給のどこが不足するかを切り分ける。
流用機器の故障売買・賃貸設備・施工・保守の担当を確認。状態と連絡を記録し、修理・代替と営業への影響を相談。
区画・消防設備の変更変更図面を施工会社と所管へ示し、設備の追加・移設と必要手続を確認。
退去条件の不明点現在の工事から残るものを写真・図面へ記録し、契約上の復旧範囲を照合。将来費用は初期小計と分ける。

口頭の説明も、その日付・相手・内容を記録し、重要な範囲や負担は書面で確認します。「使える」の一言を、能力・残り寿命・保証のすべてが確認できた意味で扱わないでください。

故障や不具合の負担に争いがあるときは、契約書・点検や工事の記録を保全し、必要に応じて弁護士等へ相談します。設備を交換・処分する前に、原因調査や相手方の確認が必要かも整理してください。緊急の安全確保を遅らせる趣旨ではありません。

10. 会計処理と資金計画|工事小計・初期支払・運転資金を分ける

見積項目を、そのまま一律に経費または固定資産と決めないでください。取得した対象物、補修・変更の内容、契約と請求の内訳を保存し、会計・税務の区分は税理士へ確認します。国税庁の個別案内を参照するときも、対象となる支出を確かめることが必要です。

  • 工事等の見積:含有・別途・未定を揃えた範囲と、税込・税別・税未確認を記録する。
  • 初期の支払予定:工事・機器・譲渡・物件支出等について、支払先、期日、確認した支払額を並べる。支払済みとこれから必要な額を分ける。
  • 預ける資金:敷金・保証金は契約で定めた支払時に資金が必要。償却・精算・返還の条件を記録し、将来の返還予定を初期支払から差し引かない。
  • 開業前後の継続支払:賃料、給与、リース・保守等を月別に整理。工事の遅れで収入が後ろへずれる場合も検討する。
  • 未確定への備え:調査できない部分、代替機器、追加工事の候補を整理。根拠なく一律の予備費率を置くだけで不足が解消したとは扱わない。

日本政策金融公庫の現行制度名は新規開業・スタートアップ支援資金で、設備資金と運転資金が使途に含まれます。制度の対象と審査、必要書類、希望時期を確認し、借入を主軸にすれば十分、希望額が必ず調達できるとは考えないでください。

工事が遅れた場合の現金支出と、得られなかった売上・利益の予測は別です。利益予測に含めた経費を、同じ損失として重ねて加算しないようにします。資金が必要な時点と、融資等が入金される予定日も照合してください。

11. 居抜き改装の業者選び|調査と見積の回答を比べる

施工事例だけでなく、今回残す設備をどう調べ、どこまで責任を持つかを確認します。実績や保有資格、申請補助の内容は実際の担当会社へ照会し、紹介や相見積もりだけで価格・品質・許可が保証されるとは扱いません。

  • 似た業態・設備の工事について、写真だけでなく施工範囲や担当を説明できる。
  • 現地で確認する項目と、確認できない項目・追加調査の方法を示す。
  • 図面、数量・仕様、機器の取得と接続、既含・別途・未定を見積で区別する。
  • 解体後の不具合や施主変更について、金額・工期・承認の手順を示す。
  • 申請者と施工会社等の役割、作成する資料、必要な専門家の担当を示す。
  • 流用機器と新設工事それぞれの保証・保守・故障時の連絡先を示す。
  • 残す部分の養生、近隣対応、試運転と引渡し書類を工程へ含める。

相談に渡す資料は、分かる範囲から

  • 所在地、現在の業態と予定する営業、契約前・契約済み・工事中の別。
  • 現況図・写真、残す設備一覧、型番や点検記録、未確認項目。
  • 改修したい範囲と優先順位、実施工面積が分かればその範囲。
  • 貸主・管理者の工事条件、既存見積・図面の版、承諾や手続の状況。
  • 工事に使える予算と税区分、支払済み・未払い、希望開業日。

図面や型番が揃っていなくても、未定のまま相談を始められます。依頼する社数を義務にせず、現地調査の日程と回答可能な範囲を揃えて比較します。専門調査が別料金なら、その対象・費用・成果物も確認しましょう。

東京で会社を探す場合の関連ガイド

所在地と業態に合う確認項目は、次の既存ガイドでも整理しています。各記事の見積条件や金額を、今回の物件へそのまま当てはめないでください。

12. よくある質問(FAQ)

Q1. 居抜き改装とスケルトン工事、結局どちらが安いですか?
必要な工事と機器の取得、点検・修理・接続等を同じ範囲で比較しないと判断できません。使える設備を残せれば新設工事を減らせますが、譲渡対価や必要な更新が別にある場合もあります。既含・別途・未定と税区分を揃え、工事小計と物件支出・運転資金・将来費用を分けてください。
Q2. 造作譲渡料はいつ・誰に支払うのですか?
契約上の売主と代金受領の権限、支払先・方法・期日を確認します。前テナントや仲介会社へ必ず一括で払うとは限りません。賃貸借、譲渡、工事承諾の成立条件、引渡しと支払の順序、不成立時の返金等を各契約で照合してください。
Q3. 居抜きで引き継いだ厨房機器が開業直後に壊れた場合、誰が責任を持ちますか?
現状有姿という語だけで全て買主負担とは決められません。売買・賃貸設備・施工・保守の契約、説明された状態、保証・免責、通知期限と故障原因を確認します。写真、点検・工事・連絡の記録を残し、担当者へ連絡してください。争いがある場合は専門家へ相談します。
Q4. 同業態の居抜きでも保健所の営業許可は取り直しが必要ですか?
新規・変更・事業譲渡等による承継のどれに当たるかで異なります。営業者が変われば必ず新規申請とは限らず、設備だけの売買が営業の承継になるわけでもありません。予定する営業と改修図面、契約内容を所在地の保健所へ示し、必要手続と営業開始条件を確認してください。
Q5. 居抜き改装の費用はどこまで経費にできますか?
金額や居抜きという名称だけでは決められません。取得する対象物、補修・変更の内容、契約や請求の内訳を税理士へ示して確認します。譲渡対価を全てのれん、改装工事を全て固定資産または修繕費と一括せず、資金の支払予定と会計処理も分けて整理してください。
Q6. 退去時の原状回復は居抜きで入っても必要ですか?
自分の賃貸借契約・特約・工事承諾書等で確認します。残す物、撤去・補修の範囲、指定業者、期限と検収を図面や写真と照合し、現状有姿・スケルトン等の一語だけで決めないでください。次のテナントへの譲渡や貸主の買取りが必ず可能とは扱わず、将来支出は初期工事小計と分けます。

工事を進める前に、残す設備の確認結果、追加調査、工事範囲と支払予定を一つの資料にまとめます。着工後に条件が変わったら、図面・見積・工程を更新し、試運転と引渡しまで確認をつなげてください。

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