居酒屋の内装デザイン完全ガイド|8テイスト徹底比較+失敗しない選び方

この記事でわかること
居酒屋の内装デザインは「好きな雰囲気を選ぶ」のではなく、「客単価・客層・立地から逆算する」のが正解です。本記事では代表8テイスト(立ち飲みスタンド/町中華居酒屋/大衆酒場・昭和レトロ/ネオ居酒屋/お洒落ダイニングバー/和モダン個室/炭火・炉端焼き/創作和食・割烹)を7軸で比較し、各テイストの具体的な家具・色・素材・照明・厨房設計スペックまで踏み込みます。5分で絞り込める独自診断フロー、20坪居酒屋の予算別実装例(650万円/1,200万円/2,000万円)、5年後のメンテコスト比較まで、意思決定に必要な情報を1ページで網羅しました。

※本記事の坪単価・工期等は業界平均の目安レンジです。物件条件(築年数・スケルトン/居抜き・RC造/木造等)・エリア・施工業者・厨房仕様により最終金額は変動します。最終判断は必ず複数の施工業者の現地調査・見積もりをもとに行ってください。

本記事の想定読者:15〜30坪前後の居酒屋を、プロの内装業者に本格発注して開業・リニューアルを検討している方。業界データ(2026年最新版)では、居酒屋の内装工事費用は居抜きで坪20〜50万円、スケルトンで坪45〜80万円、個室・炉端・創作など高級仕様で坪80〜130万円が全国相場です。20坪なら居抜きで400〜1,000万円、スケルトンで900〜1,600万円、高級仕様で1,600〜2,600万円が内装工事費の実務レンジ(厨房設備・家具什器・設計監理費は別途)。DIYや極小予算(300万円未満)でのセルフ施工は本記事の想定対象外です。

※本記事の法的・税務上の注意
営業時間・深夜営業・防火管理者・排煙・風営法適用の有無は都道府県条例および物件所在地の管轄行政庁により異なります。「〜が一般的」「〜が目安」として記載しており、最終的には管轄の保健所・消防署・警察署への確認が必要です。税務上の減価償却区分・勘定科目は、顧問税理士へご相談ください。

1. 居酒屋の内装デザインを決める前に押さえる3つの前提

テイストを選ぶ前に、必ず次の3つを紙に書き出してください。ここが曖昧なまま見積もりに進むと、デザイン会社ごとに提案がバラバラになり、比較検討が成立しなくなります。

① 客単価と客層を数値で定義する

居酒屋は業態幅が広く、客単価2,000円の立ち飲みから客単価8,000円の割烹まで10倍以上の差があります。客単価がテイストをほぼ決めるため、ここが最重要です。客単価2,000〜3,500円帯は立ち飲み・町中華・大衆酒場、3,500〜5,500円帯はネオ居酒屋・お洒落ダイニングバー、4,500〜6,500円帯は和モダン個室・炭火炉端、6,000〜12,000円帯は創作和食・割烹が中心になります。

② 席数/坪・回転率を先に決める

居酒屋の内装は「1席あたりの占有面積」で決まります。立ち飲み主体なら2.0〜2.5席/坪、町中華・大衆酒場なら1.5〜2.0席/坪、ネオ居酒屋・ダイニングバーなら1.3〜1.7席/坪、和モダン個室・創作和食なら1.0〜1.3席/坪が目安です。20坪なら立ち飲み40〜50席、個室業態なら20〜26席と、同じ面積でも席数は倍違います。回転率は立ち飲み3.0〜4.0回転、中価格帯1.8〜2.5回転、高単価1.0〜1.5回転が目安で、席数×回転×客単価で売上天井が先に決まります。

③ 予算の全体像を固める(内装費と厨房・什器を分けて考える)

居酒屋の内装工事費は、厨房設備(ガス機器・冷蔵庫・製氷機・炉等)と家具什器(カウンター椅子・テーブル・食器)を含まない「工事費のみ」で語られることが多く、ここを混同すると見積もりが2〜3割ズレます。内装工事費とは別に、厨房設備200〜500万円、家具什器100〜400万円、設計監理50〜250万円を必ず積んでください。さらに物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料)、運転資金(6ヶ月分)は開業資金全体に含まれますが、本記事の坪単価の範囲外です。

自分の想定する客単価・席数・予算に合う居酒屋事例を写真で見たい方は、店舗内装ドットコムの居酒屋事例ページをご覧ください。実在する居酒屋の施工写真・デザイン会社・費用感をまとめて確認できます。

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2. 【比較マトリクス】代表8テイストを7軸で徹底比較

居酒屋のテイストを「客単価・席数効率・内装費・厨房負荷・工期・SNS映え・固定客化」の7軸で比較します。数字は業界平均の目安レンジで、物件条件・業者選定・仕様グレードにより変動します。

① 立ち飲みスタンド

客単価:2,000〜3,000円|席数:2.0〜2.5席/坪|内装費:坪20〜35万円|厨房負荷:軽|工期:3〜5週間|SNS映え:中|固定客化:

カウンター中心、椅子は無しまたはスツール少数。高回転率が稼ぎの軸で、客の滞在は30〜60分前提。居抜き活用で最速・最安開業が可能で、副業・2号店・のれん分けにも向きます。

② 町中華居酒屋

客単価:2,500〜3,500円|席数:1.5〜2.0席/坪|内装費:坪25〜45万円|厨房負荷:強|工期:4〜6週間|SNS映え:中|固定客化:非常に強

餃子・焼売・麻婆・青椒肉絲など定番中華と酒を組み合わせた業態。2020年代以降の「町中華×クラフトビール/レモンサワー」の掛け合わせで20代にも広がり、リピート率が高い。強力な排煙設備と耐油仕上げが一般的に求められます。

③ 大衆酒場・昭和レトロ

客単価:2,500〜3,500円|席数:1.5〜2.0席/坪|内装費:坪25〜50万円|厨房負荷:中|工期:4〜7週間|SNS映え:強|固定客化:非常に強

赤提灯・ビールケース椅子・木目カウンター・タイル床など「昭和の空気」を意図的に再構築するテイスト。Z世代のレトロブームで新規層も取り込める。既存の居抜きを活かしやすく、内装費を抑えつつ個性を出せる。

④ ネオ居酒屋

客単価:3,500〜4,500円|席数:1.3〜1.7席/坪|内装費:坪45〜65万円|厨房負荷:中〜強|工期:6〜8週間|SNS映え:非常に強|固定客化:

居酒屋の定番メニューを洋食・エスニック要素でモダン化した業態。ネオン看板・モルタル床・タイル壁・鉄骨フレーム等を組み合わせ、写真映えを軸に若年層を集客。客単価は中価格帯ながら新規流入に強い。

⑤ お洒落ダイニングバー

客単価:4,000〜5,500円|席数:1.3〜1.6席/坪|内装費:坪50〜75万円|厨房負荷:中|工期:7〜10週間|SNS映え:非常に強|固定客化:中〜強

アラカルトの創作料理とワイン・クラフトビール・カクテルを軸にした業態。デート・女子会・接待ニーズに対応し、テーブル主体+カウンター併設の設計が基本。照度300lx前後の落ち着いた空間。

⑥ 和モダン個室

客単価:4,500〜6,000円|席数:1.0〜1.3席/坪|内装費:坪60〜90万円|厨房負荷:中|工期:8〜11週間|SNS映え:中|固定客化:

掘りごたつ・畳・障子建具・和紙照明で構成される個室主体業態。接待・会食・同窓会・家族会に強く、単価と客層の安定性が高い。個室率50〜100%の設計が基本で、坪あたりの席数は少ないが客単価で補う。

⑦ 炭火・炉端焼き

客単価:4,500〜6,500円|席数:1.2〜1.5席/坪|内装費:坪55〜85万円|厨房負荷:非常に強|工期:8〜11週間|SNS映え:非常に強|固定客化:

備長炭の炉を中心に据えたオープンキッチン型。煙・油・熱のマネジメントが設計の中核で、特殊排気ダクト・防火造作が必要。客の前で焼く臨場感が最大の差別化要素。

⑧ 創作和食・割烹

客単価:6,000〜12,000円|席数:1.0〜1.3席/坪|内装費:坪80〜130万円|厨房負荷:中|工期:10〜14週間|SNS映え:中|固定客化:非常に強

カウンター割烹または個室主体で、銘木・左官・作家建具・作家食器など「素材で魅せる」空間。客の視線が板前の所作に集まるため、カウンターと照明設計の精度が最大のポイント。

マトリクスの読み方
「内装費が高い=売上が高い」ではありません。立ち飲みは坪20〜35万円と最安ですが、席数効率2.0〜2.5席/坪×回転3.0〜4.0×客単価2,500円で坪売上は中価格帯を上回るケースもあります。一方、創作和食は内装費が3〜5倍ですが、客単価も2〜4倍。回転率0.8〜1.2のため席数効率の低さを単価で補う構造です。7軸を総合的に見て、自店の立地・資金力・調達ルートに合うテイストを選ぶのが鉄則です。

3. 【独自】自店に合うテイストを5分で絞り込む診断フロー

上の8テイストを前に「どれも良さそうで絞れない」と感じた方は、以下の5ステップを順番に埋めてください。約5分で2〜3候補まで絞り込めます。紙に書き出しながら進めるのが最も確実です。

想定客単価を数値で決める例「夜のピークで3,500円」
主要客層・来店シーンを1文で書く例「平日20時、30代男性2〜3人の仕事帰り」
立地を「駅前/住宅街/オフィス街/繁華街/郊外」から選ぶ駅前/繁華街=回転型、オフィス/住宅街=接待・常連型
内装工事予算の上限を数値で決める例「厨房什器込みで1,600万円まで」
個室比率の想定(0%/30%/50%/100%)を決める接待・家族用途が2割超なら個室30%以上

この5項目の組合せで自動的に2〜3候補に絞れます。客単価2,000〜3,500円×駅前×予算1,000万円以下×個室0%なら「立ち飲み/町中華/大衆酒場」の3択。客単価5,000円×住宅街×予算2,000万円×個室50%超なら「和モダン個室/炭火炉端焼き」の2択。絞り込んだテイストを以下のH2-4〜H2-7で詳細確認してください。

4. 立ち飲みスタンド・町中華居酒屋|小資本&高回転の2テイスト

この2テイストは「初期投資を抑えて、回転率と常連率で勝つ」業態です。居抜き前提で設計すれば、15〜20坪で内装費500〜900万円台での開業が可能です。

立ち飲みスタンドの具体スペック

色パレット:ステンレスのシルバー、木目のナチュラル、黒板塗料の黒、赤提灯の赤の4色で構成。彩度を抑え素材感で押す。

素材:壁=モルタル/木板/タイル、床=長尺シート(水掃除対応)、カウンター=集成材/ステンレス、什器=スチール+木。

照明:電球色2700K+一部3000K、照度300〜400lxで顔色と料理を美しく見せる。ペンダントライト+ブラケットで陰影を作る。

向いている業態:駅前1分以内・5〜15坪・客単価2,000〜3,000円。サラリーマン2次会・1人飲み・会社帰り層。ハイボール・レモンサワー・日本酒を軸に回転3.0〜4.0回/日。

町中華居酒屋の具体スペック

色パレット:朱赤・黒・金の中華3色+木目のベージュ。看板やメニュー板の赤が視認性を担う。

素材:壁=油汚れ対応の塗装壁+メラミン化粧板(厨房背面)、床=防滑タイル/長尺シート、カウンター=耐熱メラミン/ステンレス。

照明:全体3000K+調理カウンター4000K。照度400〜500lxで明るめに。赤い中華提灯でアクセント。

向いている業態:15〜25坪・客単価2,500〜3,500円。商店街・駅前・大学近辺。餃子・麻婆豆腐・青椒肉絲・焼売と酒の組合せで夜は居酒屋、昼はラーメン・定食で二毛作も可能。強力排気ダクトと耐油仕上げが必須のため、厨房設備に300〜500万円は別途必要。

立ち飲み・町中華タイプの居酒屋の事例を確認したい方は、下記カテゴリから閲覧できます。複数のデザイン会社の施工事例を横並びで比較できます。

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5. 大衆酒場・昭和レトロ/ネオ居酒屋|中価格帯の王道2テイスト

この2テイストは「客単価2,500〜4,500円・席数効率と単価のバランス」を重視する最もボリュームゾーンです。新規出店の半数以上がこの帯に入ります。

大衆酒場・昭和レトロの具体スペック

色パレット:ベージュ・くすみ黄・渋いグリーン・黒の「昭和4色」。新品より経年感のある色合い。

素材:壁=エイジング塗装+貼りポスター/タイル、床=古材風フロアタイル/テラゾー、カウンター=無垢一枚板または集成材+漆塗り。ビールケースを椅子に転用する「レディメイド什器活用」でコスト圧縮が可能。

照明:電球色2700K、照度250〜350lxと抑えめ。吊り下げ裸電球+提灯+ブラケットで陰影をつくり、写真映えと居心地を両立。

向いている業態:15〜25坪・客単価2,500〜3,500円。駅前・商店街・再開発エリア。若年層と中高年が同居する貴重なテイストで、リピーター化率が非常に高い。居抜き物件の活用度が最も高く、坪25〜50万円で個性的な空間を作れるのが強み。

ネオ居酒屋の具体スペック

色パレット:モルタルグレー・黒鉄・差し色のネオンピンクまたはイエロー。モノトーンベースに1〜2色のアクセント。

素材:壁=モルタル/タイル/波板、床=モルタル/長尺シート/モルタル調タイル、カウンター=モルタル/ステンレス/鉄板。ネオン看板・タイル文字・フライヤー風メニュー等「編集的デザイン」で差別化。

照明:全体2700K+ネオン(ピンク/青/緑)、照度200〜300lx。ネオンは1本5〜20万円、複数設置で20〜80万円の加算。

向いている業態:20〜35坪・客単価3,500〜4,500円。繁華街・駅前。20代女性・カップル・SNS発信層がターゲット。写真拡散での新規流入が強いが、リピーター化には料理力・接客力が試される。内装費は坪45〜65万円で、大衆酒場の約1.3〜1.5倍にあたります。

6. お洒落ダイニングバー・和モダン個室|中高単価のデート&接待需要

この2テイストは「客単価4,000〜6,000円・ゆったり空間・体験価値」で単価を取りにいく業態です。席数効率は落ちるが、客単価と満足度で収益を確保します。

お洒落ダイニングバーの具体スペック

色パレット:ウォルナットブラウン・真鍮ゴールド・オフブラック・ワインレッド。深い色で大人の空間を演出。

素材:壁=木板+モールディング/レンガ/塗装、床=無垢フローリング/モルタル、カウンター=無垢一枚板/大理石/メラミン化粧板(木目)、什器=革張りチェア+真鍮脚テーブル。

照明:電球色2700K+スポットライト、照度200〜300lx。ペンダント+間接照明+スポットの3層構成。調光機能で時間帯別に雰囲気を変える。

向いている業態:20〜30坪・客単価4,000〜5,500円。オフィス街・駅近高架下・住宅街。30〜40代カップル・接待・女子会層。アラカルト+コース+ワインペアリングで単価を積み上げる。テーブル席主体で1.3〜1.6席/坪。

和モダン個室の具体スペック

色パレット:生成り・墨黒・藍・朱。白壁と濃色の床材で和の余韻を残しつつモダン化。

素材:壁=漆喰/聚楽/和紙クロス、床=無垢フローリング/畳(市松)、建具=格子障子/格子引戸、什器=低座イス/座椅子/掘りごたつ。個室化に伴う壁・建具造作が坪単価を押し上げる。

照明:全体2700K+和紙ペンダント、照度150〜250lxと抑えめ。間接照明で障子を面光源化、床行灯で足元を照らす3層設計。

向いている業態:25〜40坪・客単価4,500〜6,000円。駅前・オフィス街。接待・会食・記念日・家族会。個室比率50〜100%で設計し、席数効率は1.0〜1.3席/坪と最も低い代わりに単価で稼ぐ。個室造作に坪あたり15〜30万円の加算が必要で、内装費は坪60〜90万円。

ダイニングバー・和モダン個室の事例を見ると、同じ予算帯でも設計者による完成度の差が大きいことがわかります。複数のデザイン会社に相見積もりを取るのが最適解です。

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7. 炭火・炉端焼き/創作和食・割烹|高単価業態の2テイスト

この2テイストは「客単価5,000円以上・体験価値と技術で勝負する」最高単価帯です。内装費は高いが、リピーター化率と1人当たり売上で回収します。

炭火・炉端焼きの具体スペック

色パレット:墨黒・無垢材ブラウン・鉄の黒・炭のグレー。火と素材の色で構成される「炎の劇場」。

素材:壁=漆喰/耐火ボード+左官/鉄板、床=耐熱タイル/モルタル、カウンター=無垢厚板(耐熱処理)。備長炭炉設備一式100〜200万円、特殊排気ダクト・防火造作で100〜200万円の加算が必要。

照明:電球色2700K+スポットライト、照度150〜250lx。炉の炎を主役にするため全体を暗めにし、食材にスポットを当てる。

向いている業態:20〜30坪・客単価4,500〜6,500円。駅近・繁華街・観光地。カウンター席中心+一部個室で「焼く所作を見せる」体験を売る。煙・油・熱のマネジメントが設計の中核で、内装費は坪55〜85万円。

創作和食・割烹の具体スペック

色パレット:生成り・苔緑・墨黒・白木の4色。素材本来の色で構成し、装飾を徹底的に引く。

素材:壁=漆喰/聚楽/和紙/板張り、床=無垢フローリング/大谷石、カウンター=無垢一枚板(ヒノキ/ケヤキ/クリ等、1枚20〜100万円)、什器=作家もの椅子・作家食器。銘木・作家建具・左官の「素材力」で坪単価が一気に跳ね上がる。

照明:電球色2700K+調光式、照度150〜200lx。カウンター越しの板前の手元だけ300〜400lxで局所的に照らす。調光システム導入で時間帯別に雰囲気を切り替える。

向いている業態:15〜25坪・客単価6,000〜12,000円。オフィス街・駅前・高級住宅街。カウンター割烹10〜15席+個室2〜3室の構成が定石。コース中心で回転0.8〜1.2回転と低いが、単価と固定客化で高い坪売上を実現。内装費は坪80〜130万円と最高帯。

8. 【独自】予算別の実装例|20坪居酒屋で650万/1,200万/2,000万円でできること

「20坪で○○万円ならどこまでできるか」を具体的に提示します。数字は内装工事費(解体・造作・仕上げ・設備工事の合計)であり、厨房設備・家具什器・設計監理費は別途必要です。

小予算シナリオ:20坪居抜き+大衆酒場・昭和レトロ=内装工事費650万円

物件条件:前業態が居酒屋・定食屋の居抜き。厨房・ダクト・給排水が流用可能。

坪単価:650万円÷20坪=坪32.5万円(居抜き相場坪20〜50万円の中位)。

内訳イメージ:造作・大工工事250万円+内装仕上げ(床・壁・天井)180万円+電気・照明80万円+給排水・ガス追加50万円+看板・ファサード50万円+解体・諸経費40万円=合計650万円。

できること:カウンター造作の新設、壁タイル貼りの昭和レトロ仕上げ、床タイル張替え、照明全交換、看板新設。既存厨房の大幅な改修はできない。

別途必要:厨房設備追加(製氷機・ビールサーバー等)100〜200万円+家具什器(椅子・テーブル・食器)100〜200万円+設計監理費50〜100万円。内装+準備金の合計は900〜1,150万円。

中予算シナリオ:20坪スケルトン+ネオ居酒屋・ダイニングバー=内装工事費1,200万円

物件条件:新築またはスケルトン戻し物件。ゼロから設計自由。

坪単価:1,200万円÷20坪=坪60万円(スケルトン相場坪45〜80万円の中位)。

内訳イメージ:造作・大工工事(個室造作含む)400万円+内装仕上げ250万円+電気・照明・弱電180万円+給排水・ガス・ダクト180万円+解体・スケルトン整備80万円+看板・ファサード70万円+諸経費40万円=合計1,200万円。

できること:ネオンサイン+モルタル仕上げのネオ居酒屋フルセット、または個室2室+テーブル席のダイニングバー。厨房ダクト新設、セミオープンキッチン、個室造作まで対応可能。

別途必要:厨房設備一式300〜500万円+家具什器200〜400万円+設計監理費100〜150万円。内装+準備金の合計は1,800〜2,250万円。

大予算シナリオ:20坪高級スケルトン+創作和食・割烹=内装工事費2,000万円

物件条件:新築スケルトンまたは条件の良い居抜きをフルリフォーム。

坪単価:2,000万円÷20坪=坪100万円(高級仕様相場坪80〜130万円の中位)。

内訳イメージ:造作・大工(銘木・作家建具・個室造作)750万円+内装仕上げ(漆喰・聚楽・高級タイル)400万円+給排水・ガス・特殊排気ダクト260万円+電気・照明・調光システム250万円+看板・ファサード150万円+解体・スケルトン整備120万円+諸経費・監理70万円=合計2,000万円。

できること:ヒノキ一枚板カウンター、個室3室、作家建具、調光システム、創作和食にふさわしい素材選定。炉端焼きの備長炭炉設備・特殊排気、漆喰・聚楽の全面左官仕上げも対応可能。

別途必要:厨房設備一式400〜600万円+家具什器・作家食器300〜500万円+設計監理費150〜250万円。内装+準備金の合計は2,850〜3,350万円。

予算シナリオの注意点
上記は「内装工事費」単体のモデル試算です。実際の開業総額は、物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料で家賃の10〜15ヶ月分)、運転資金(家賃・人件費・仕入れの3〜6ヶ月分)を加算した金額になります。20坪の居酒屋開業全体では、上記の内装+準備金に加えて400〜1,000万円程度の物件・運転資金を計上するのが一般的です。

9. テイスト別 坪単価・工期・5年メンテコスト

「デザイン性」だけでなく、工期と5年後のメンテコストまで織り込んで比較すると、実際の総コストは大きく変わります。以下はスケルトン/居抜き物件・業者一括発注時の坪単価(2026年業界相場基準)レンジです。

立ち飲みスタンド

20〜35万円/坪・工期3〜5週間
町中華居酒屋

25〜45万円/坪・工期4〜6週間
大衆酒場

25〜50万円/坪・工期4〜7週間
ネオ居酒屋

45〜65万円/坪・工期6〜8週間
ダイニングバー

50〜75万円/坪・工期7〜10週間
和モダン個室

60〜90万円/坪・工期8〜11週間
炭火・炉端焼き

55〜85万円/坪・工期8〜11週間
創作和食・割烹

80〜130万円/坪・工期10〜14週間

5年メンテコスト(20坪換算の目安)を見ると、経年美化する素材(無垢木・左官壁・真鍮金物)を使う大衆酒場50〜150万円・創作和食150〜300万円・和モダン個室120〜250万円は「味」に変わる一方、ペイント壁・モルタル・タイル・合板中心のネオ居酒屋150〜300万円・炭火炉端200〜400万円は5年以内に再塗装・張替・ダクト清掃が頻発しやすい傾向があります。特に炭火業態は煤・油の付着で年次メンテの優先度が高くなります。初期コストが低い=トータルコストも低い、とは限りません。

メンテコストを見積もるコツ
施工業者への見積り依頼時に「5年後の想定メンテ項目とその概算費用」も一緒に依頼すると、初期費用だけで判断する落とし穴を避けられます。居酒屋特有の「油・煙・匂い」によるダクト・壁・床の劣化は一般飲食より進行が早く、特に炭火・炉端・町中華は排気ダクトの年間清掃費(5〜15万円/年)も織り込む必要があります。

10. 居酒屋内装デザインでよくある失敗5パターン

居酒屋の内装設計で、開業後に「やり直したい」と頭を抱える失敗パターンを5つに集約しました。発注前に必ずチェックしてください。

❌ 失敗1:厨房面積を削って客席を増やした結果、料理提供が間に合わない

20坪の居酒屋で厨房を3坪(15%)に抑え、客席を17坪に広げたが、料理提供遅延で客の不満が爆発──よくある失敗です。居酒屋の厨房面積は業態により異なりますが、一般的な目安として、立ち飲み15〜20%、定番居酒屋25〜30%、創作和食・炭火30〜35%が一つの基準とされます。席数を最大化しても、厨房が回らなければ売上は立ちません。

❌ 失敗2:排煙ダクト容量を設計段階でケチり、煙・匂いが客席に滞留

炭火・焼き物・中華など強排煙業態で、ダクト径・ファン容量が不足していると、営業中に煙が客席に流れ込んで客離れの原因になります。排気量の計算は、厨房機器のガス消費量とフードの種類から算定するのが原則で、施工前に業態の排気要件を必ず設計者と確認してください。特に既存居抜きを流用する場合は、既存ダクトが新業態の排気量に足りるかの検証が必要です。

❌ 失敗3:個室の防音不足で、隣席の声・カラオケが筒抜け

和モダン個室・創作和食の個室は「プライベート感」が価値ですが、軽量壁+建具のみの施工では隣室の声が漏れます。個室間の壁は遮音等級Dr-30以上を目指し、石膏ボード+グラスウール充填+二重壁構造、建具は隙間止め付きの防音戸が必要です。追加費用は個室1室あたり20〜40万円程度。ここを削ると接待需要を大きく損ないます。

❌ 失敗4:カウンター・椅子・テーブル高の不整合で、長時間の飲食が苦痛

カウンター高は一般に1,000〜1,100mm、スツール座面650〜700mm、テーブル高700〜720mm、椅子座面400〜430mmが人間工学上の目安とされます。立ち飲みカウンターは立位に合わせて1,100〜1,200mmとやや高め。この数値を守らないと、客は「なんか疲れる店」と無意識に感じてリピートしにくくなります。椅子・テーブルを造作する場合、発注前に必ず実寸モックアップで座り心地を確認してください。

❌ 失敗5:搬入動線・バックヤードの欠如で、仕込み・清掃が回らない

客席と厨房の設計を優先するあまり、バックヤード(食材保管・スタッフ更衣・ゴミ置き場・従業員トイレ)を削ると、閉店後の清掃・翌朝の仕込みで業務が回らず、従業員が疲弊します。バックヤードは最低でも店舗面積の10〜15%を確保し、搬入動線は客席を通らない経路を設計時点で確保してください。後からの改修は事実上困難です。

11. 居酒屋開業・費用・事例の関連情報

内装デザインは居酒屋開業プロセスの一部です。物件選び・資金計画・厨房設計・メニュー構成と連動させる必要があるため、以下の関連ガイドも合わせて確認してください。

▶ 開業準備全体の流れ・費用相場を把握したい方は:居酒屋開業ガイド|開業資金・資格・内装費用・成功のコツ
▶ 店舗内装全体の費用相場を業態横断で比較したい方は:店舗内装工事の費用相場【業態別完全ガイド】
▶ 飲食店の改装・リニューアル全般を確認したい方は:飲食店の改装・リニューアル完全ガイド
▶ 居抜き物件で改装する場合の判断基準は:居抜き改装完全ガイド|費用相場・造作譲渡・業態変更の進め方
▶ 他業種のデザインと比較したい方は:カフェの内装デザイン完全ガイド

12. よくある質問(FAQ)

居酒屋の内装の坪単価はいくらですか?

居酒屋の内装工事費の坪単価は、居抜き物件で20〜50万円、スケルトン物件で45〜80万円、個室・炉端・創作などの高級仕様で80〜130万円が全国的な目安とされています。20坪換算で居抜き400〜1,000万円、スケルトン900〜1,600万円、高級仕様1,600〜2,600万円が内装工事費の実務レンジです。これに加えて厨房設備200〜500万円、家具什器100〜400万円、設計監理費50〜250万円が別途必要となります。

立ち飲みスタンドと創作和食・割烹では、坪単価以外でどんな違いがありますか?

坪単価以外の違いが非常に大きい業態です。立ち飲みスタンドは席数効率2.0〜2.5席/坪×回転3.0〜4.0/日×客単価2,000〜3,000円で稼ぐのに対し、創作和食・割烹は席数効率1.0〜1.3席/坪×回転0.8〜1.2/日×客単価6,000〜12,000円で稼ぎます。坪売上は意外にも大きな差がつかない場合もありますが、立地条件(立ち飲みは駅前1分、創作和食は静かな路地でも可)・スタッフ人員(立ち飲みはアルバイト中心、創作和食は板前+接客係)・営業時間(立ち飲みは15〜23時の短時間、創作和食は18〜23時のコース中心)が全く異なります。

個室を作ると坪単価はどのくらい上がりますか?

個室化により壁・建具・空調の追加が発生するため、坪単価は一般的な目安として15〜30万円程度上昇します。個室1室(4人席・約3坪)の造作費は、遮音壁・建具・換気独立化で60〜100万円が目安です。個室比率が50%を超えると全体坪単価が大幅に上がるため、客層ニーズ(接待・会食需要の割合)と内装予算のバランスで個室比率を決める必要があります。

内装工事の工期はどの程度みておけばいいですか?

居抜き物件の軽改装(立ち飲み・町中華・大衆酒場)なら3〜7週間、スケルトン物件の中規模工事(ネオ居酒屋・ダイニングバー)なら6〜10週間、高級仕様の大規模工事(和モダン個室・炭火・創作和食)なら8〜14週間が一般的な目安です。物件契約から開業までは、設計期間2〜4週間と保健所申請・消防検査を加えて、全体で3〜5ヶ月を見込むのが安全です。物件の家賃発生日から逆算して、工期が収まるか必ず確認してください。

居抜き物件で開業する場合、厨房・ダクトはそのまま使えますか?

前業態と同じ飲食系の居抜きであっても、厨房機器・ダクト・グリストラップ・給排水が新業態の要件を満たすかは、必ず事前に検査が必要とされています。特に炭火・中華・焼肉などの強排煙業態に変更する場合、既存ダクト容量不足で全取替になるケースが多く、想定コストを大きく超えることがあります。居抜き契約前に、ダクト径・ファン容量・グリストラップ容量・ガス配管・電気容量・防火区画の6項目を、施工業者と現地調査することを強く推奨します。造作譲渡料が数百万円という物件でも、検査の結果実際に使える設備が少なく、結果的にスケルトンから作るより高くつく事例もあります。

SNS映えする居酒屋を作りたいのですが、何から始めればいいですか?

「SNS映え=派手なデザイン」ではありません。Instagramで拡散される居酒屋は、①看板・ファサードが通りから見て一瞬で覚えられる(ネオンサイン・タイル文字・大型のれん等)、②メニュー表またはドリンク提供時の演出に「撮りたくなるポイント」がある(特製おしぼり、映えるグラス、黒板メニュー等)、③内部に1〜2箇所の「映えスポット」がある(壁画、ネオン、大型のれん等)──この3点が揃っているのが共通点です。設計段階で「店内の映えスポットを2箇所以上作る」と明記して施工業者に依頼してください。

13. まとめ|テイストは「客単価と客層」から逆算する

居酒屋の内装デザインを成功させる最大のコツは、「自分が作りたい空間」ではなく「客が欲しがる空間」から逆算することです。想定客単価・主要客層・立地・予算・個室比率の5項目を先に数値で決めれば、8テイストから2〜3候補に自動的に絞れます。

客単価2,000〜3,500円の回転型業態なら、居抜きを活かした立ち飲み・町中華・大衆酒場で坪20〜50万円の内装費に抑え、早期回収を目指すのが定石。客単価3,500〜5,500円の若年層・デート需要なら、スケルトンで坪45〜75万円のネオ居酒屋・お洒落ダイニングバーで空間価値を高め、客単価4,500円以上の個室・体験型業態なら、坪55〜130万円の和モダン個室・炭火炉端焼き・創作和食で単価を取りにいくのが王道です。

どのテイストを選んでも、複数のデザイン会社・施工業者に相見積もりを取り、設計案と見積内訳を比較するのが最も重要です。本記事で整理した7軸の比較と5分診断フローを使って候補を2〜3に絞ったうえで、実績のある業者を複数社ピックアップして提案を受けてください。同じ予算でも、設計者の力量と経験により完成度は大きく変わります。

居酒屋のテイスト判定と相見積もりを同時に進めたい方は、以下から無料で複数社に一括相談できます。出店予定エリアと業態に合うデザイン会社が自動でマッチングされます。

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免責事項
本記事に記載の坪単価・工期・内訳・席数効率・回転率等の数値は、業界平均の目安として記載したものであり、物件条件・エリア・施工業者・グレード・時期により変動します。深夜営業・風営法・防火管理者・消防・保健所関連の要件は、都道府県条例および物件所在地の管轄行政庁により異なるため、最終判断は必ず複数の施工業者による現地調査・見積もりと、管轄の行政機関への確認をもとに行ってください。本記事は開業・出店の最終意思決定を代替するものではなく、検討のための参考情報としてご活用ください。
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