中華料理 居抜き開業ガイド|中華レンジ・油煙排気・四大中華の業態分岐と費用

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この記事のポイント

  • 中華料理は重飲食(油煙・高火力)に該当する業種のため、物件探しが最初の関門。「重飲食可」「前テナント中華」物件が限られる市場で、居抜きでの開業が有利に働く珍しい業態です。
  • 中華レンジ(ウォック専用コンロ)は1口19,500kcal/hの星華バーナーが標準。家庭用ガスコンロ(4,000kcal/h)の5倍火力で、ガスメーター16号以上・排気大量処理が前提条件です。
  • 業態4分岐(町中華 / 四大中華 / 高級中華 / 中華バル)で設備・客席・単価が変わります。前テナントと新店の業態マッチングが流用率を決めます。
  • 油煙による壁・天井・ダクトの油脂付着は他業種の比ではありません。居抜き物件では清掃・フィルター交換・ダクト内洗浄に50〜150万円の初期費用を見込みます。
  • 開業総額は町中華で1,000〜2,000万円、高級中華で4,000万円超。居抜き活用で30〜50%の圧縮が見込め、スケルトン(坪40〜70万円)と比べても優位です。

本記事のご利用について

本記事は2026年4月時点の一般的な参考情報であり、特定の物件・事業に対する法的助言ではありません。各種法令(食品衛生法・旅館業法・消防法・風営法・建築基準法・都道府県条例等)は改正や解釈の変更があり、また自治体ごとに運用が異なる場合があります。実際の開業にあたっては、必ず弁護士・行政書士・建築士・消防設備士・所轄保健所/消防署/警察署等に個別にご相談のうえ、最終判断をお願いいたします。本記事の内容に基づく判断・行動の結果について、当サイトは責任を負いかねます。

中華料理居抜きは「重飲食物件の希少性」が強み

中華料理は、飲食業の中でも重飲食に分類される業態です。大量の油煙、高火力調理、強い匂いが発生するため、テナントビルや商業施設で「業種制限」の対象になりやすく、開業できる物件が限られます。

重飲食可物件の希少性

都心部のビルや複合商業施設では、上階の住居やオフィスへの影響を避けるため、契約書の特約で中華料理業種を排除しているケースが多くあります。排気ダクトを屋上まで引き上げる大規模工事が必要で、物件オーナーが難色を示す傾向もあります。

居抜き物件の流通特性

このため、中華料理を開業できる物件は「前テナントが中華料理」または「重飲食可として明示された物件」に集中します。結果として、中華料理の居抜き物件は「中華撤退→中華新規出店」の循環が形成されやすく、同業態居抜きの流通量が比較的多いのが特徴です。

  • 物件探しの難易度:中華可物件は全飲食可物件の20〜30%程度
  • 居抜き流通:中華→中華の循環が形成されやすい
  • 排気の既存工事:前テナントで完成済みなら流用大
  • ガス・電気容量:中華用に増設済みのケース多い
  • 坪単価有利性:前テナント中華なら追加工事が最小限

開業総額(町中華)

1,000-2,000万

15-25坪想定

中華レンジ

200-350万

2口標準

排気ダクト

150-400万

油煙対応

ガス容量

16-25号

強火力業態

中華レンジの種類と流用判定

中華料理の厨房設備の心臓部は、中華レンジ(ウォック専用コンロ)です。家庭用ガスコンロとは構造・火力・価格のいずれもが別次元で、居抜きで流用できるかどうかがコスト差を決めます。

中華レンジの主な種類

  • 外管式中華レンジ(標準型):星華バーナー2〜4口、フジマック・マルゼン・タニコー等が主流
  • IH中華レンジ:電磁誘導、温度管理安定、ランニングコスト高
  • ジョイントタイプ:ホテル・専門レストラン向けの大型連結型
  • 卓上型中華レンジ:小規模店・サブ厨房向け

バーナーの火力と用途

標準的な中華レンジには以下のバーナーが組み合わされます。家庭用ガスコンロ(約4,000kcal/h)と比較すると、中華レンジのメインバーナーは約5倍の火力になります。

家庭用コンロ
4,000kcal/h
標準ガスコンロ
7,500kcal/h
餃子用バーナー
14,500kcal/h
星華(炒め用)
19,500kcal/h
ゆで麺バーナー
19,500kcal/h
トリプルバーナー
30,000kcal/h以上

中華レンジの価格帯

  • 2口スタンダード:新品200〜350万円、中古80〜150万円
  • 3〜4口大型:新品350〜700万円、中古150〜300万円
  • トリプルバーナー搭載:新品400〜800万円、中古200〜400万円
  • IH中華レンジ:新品300〜600万円(電源容量要確認)
  • スープ釜付き一体型:新品500〜1,000万円

流用判定のポイント

居抜きで前テナントの中華レンジを引き継ぐ場合、以下の点を内見時に実測・確認します。

  • バーナー頭の変形・焼損(高火力で消耗が早い)
  • 点火装置の動作(連続スパーク方式か種火式か)
  • ガス配管の接続部(劣化・錆)
  • 湯沸ポット(スープ湯・洗い物用)の動作
  • 排水管の詰まり(油脂堆積)
  • 製造年式(10年超は更新検討)
  • メーカー部品供給の継続性
中華レンジの消耗特性:高火力で稼働時間が長いため、一般のガスコンロより摩耗が早く進みます。築5年超の中華レンジはバーナー周辺の消耗度を実測し、引渡し後の修理費を譲渡金から減額交渉してください。部品供給が10年程度で終わる機種もあるため、メーカーに製造終了時期を確認することが欠かせません。

業態4分岐(町中華/四大中華/高級中華/中華バル)

中華料理の居抜き物件評価は、新店の業態を先に決めることから始まります。業態ごとに必要設備・面積・客単価が違うため、物件の価値判断が変わります。

町中華・大衆中華

客単価1,000-2,500円

規模10-25坪

中華レンジ2口

メニュー定番70-120品

個室なし

四大中華(専門)

客単価3,500-7,000円

規模25-50坪

中華レンジ3-4口

メニュー地方料理40-80品

個室あり

高級中華

客単価8,000-20,000円

規模40-80坪

中華レンジ4-6口

メニューコース+アラカルト

個室複数

町中華(大衆中華・ファミリー中華)

回転率重視のベーシック業態。坪数少・客単価低・メニュー数多で運営。中華レンジ2口、標準的な厨房でまかなえる。前テナントが同業なら流用率最大となる、開業障壁が最も低い業態です。

四大中華(広東・上海・北京・四川)

地方料理に特化した専門業態。四大中華は以下の特徴で設備要件が変わります。

  • 広東料理:点心・蒸し物重視、蒸籠台・蒸し器が充実
  • 上海料理:煮込み料理が核、スープ釜・深胴が必要
  • 北京料理:北京ダックの専用釜、焼き物設備
  • 四川料理:強火力炒め、スパイス保管庫・排気強化

高級中華(フカヒレ・アワビ等)

高級食材を扱い、個室・コース対応の重装備業態。客単価は最も高く、10,000〜20,000円クラス。個室複数・ウェイター動線・ワインセラー・高級中華レンジ4-6口など、設備投資が重い業態です。

中華バル・創作中華

中華×バル、中華×ワインの融合業態。町中華より客単価を上げつつ、高級中華より参入障壁を下げる近年のトレンド業態。酒類メニュー充実のため、ワイン冷蔵庫・クラフトビールタップ等の酒類関連設備が加わります。

業態分岐の決定順:居抜き物件を評価する前に、新店の業態を確定させるのが鉄則。町中華→高級中華のように業態を跨ぐと、中華レンジの口数追加・個室新設・客席レイアウト変更で300〜800万円の追加工事が発生します。業態と物件規模はセットで判断してください。

油煙の排気ダクトとフィルター

中華料理の排気は、他の飲食業態と比較しても油煙の濃度と総量が群を抜いて多いのが特徴です。強火力での炒め調理と大量の油使用が油煙を発生させ、適切な排気設備なしでは店内外へのトラブルに直結します。

排気能力の目安

中華レンジ1口あたり必要な排気風量は、以下が業界の目安です。他の飲食業態より大幅に高い値になります。

  • 中華レンジ1口:排気風量1,500〜2,500CMH
  • 中華レンジ2口:排気風量3,000〜5,000CMH
  • 中華レンジ4口:排気風量5,000〜8,000CMH
  • 蒸し器・スープ釜:追加500〜1,000CMH
  • 補給空気量(給気):排気の80〜90%相当

油煙対応フィルターと清掃

中華の排気フードには、通常のグリスフィルターより高密度の二段フィルターが必要です。1段目で粗大な油粒、2段目で微細な油滴を捕捉します。清掃頻度も高く、以下が標準スケジュールです。

1フィルター週1-2回交換
2フード内清掃月1回
3ダクト内洗浄6か月-1年
4排気ファン点検年1回

近隣クレーム対策

中華料理の匂いは環境省の悪臭対策ページで指摘される規制対象となり、住宅街では特にクレームの原因になります。対策は屋上までのダクト引き上げ、脱臭装置、排気口の位置調整で、居抜きなら前テナント時代の対応履歴を確認します。

  • 屋上までの煙突・ダクト引き上げ
  • 脱臭装置(活性炭フィルター・電気集塵)
  • 排気口の風下配置
  • 近隣への事前説明・同意取得
  • 苦情窓口の設置

居抜きで確認すべきダクトの状態

中華居抜き物件のダクトは、前テナント時代の油脂堆積で内部が詰まっている可能性があります。引渡し前に内部洗浄目視検査を実施し、油火災の予防をしてください。総務省消防庁の火災予防情報でも、重飲食店の火災原因として油付着ダクトの重要性が指摘されています。

ダクト清掃業者との契約:中華料理店では、専門業者との定期清掃契約が事実上の運営前提になります。月5,000〜15,000円の維持コストで、油火災と営業停止リスクを回避できます。前テナントの業者契約があれば引継ぎ交渉するのが効率的です。

蒸し器・蒸籠台・点心設備の要件

中華料理では、炒め物以外にも蒸し物・揚げ物・煮込み・点心の多様な調理が行われます。業態で必要設備が変わります。

蒸し器・蒸籠台

広東料理・点心専門店では欠かせない設備。蒸籠を複数段積みで加熱する蒸し器台(業務用)の価格は以下が目安です。

  • 卓上電気蒸し器:新品15〜50万円
  • 業務用ガス蒸し器(2段):新品30〜80万円・中古10〜30万円
  • 大型蒸し台(3-4段):新品60〜150万円・中古25〜60万円
  • スチームオーブン:新品80〜300万円・中古30〜120万円

スープ釜・深胴鍋

四大中華の上海料理では煮込み・スープが中核で、専用のスープ釜(40-80L)が必要です。ラーメン店のスープ寸胴とは違い、中華スープ用に広口・浅型の形状が選ばれます。新品30〜80万円、中古10〜30万円。

揚げ物専用フライヤー

町中華・高級中華ともに、揚げ物メニューは売上の一角を占めます。中華専用フライヤーは容量20-40Lで、温度管理と安全装置が業務用の標準装備。新品40〜100万円、中古15〜40万円。

回転テーブル・円卓

大人数対応の業態(四大中華・高級中華・ファミリー中華)では、回転テーブル付きの円卓が欠かせません。6-10人用で1台15〜40万円。個室配置数と席数計画で必要数を算出します。

床・壁・天井の油脂対策

中華料理店では、油煙が厨房から客席まで広範囲に付着します。居抜き物件では油脂による経年汚染を確認し、清掃または張替の必要性を評価します。

油脂付着しやすい部位

  • 厨房の壁(床から腰高〜天井まで)
  • 天井(特に換気扇周辺)
  • 厨房床(タイル目地に油が侵入)
  • 排気ダクトの内部
  • 厨房設備の背面(見えにくい箇所)
  • 客席の天井と照明器具
  • 窓ガラス内側(視認性低下)

推奨される素材

中華業態に適した内装材は、油脂をはじく不浸透性・耐熱性・清掃性が優先されます。

  • 厨房壁:タイル・FRPパネル・ステンレス板
  • 厨房床:ノンスリップタイル・メラミン系仕上げ
  • 天井:アルミパネル・フッ素コート
  • 客席:撥油性クロス・フッ素加工カーペット
  • 照明:カバー付きLED(油付着予防)

居抜き物件の清掃コスト

前テナント中華店の居抜きでは、引渡し前のプロ清掃で50〜150万円の予算が目安。築10年超で清掃頻度の低い物件では、壁・天井の張替えが必要になる場合もあり、200〜400万円の追加工事が発生することがあります。

前テナント別の流用率とリスク評価

前テナントの業態によって、中華料理居抜きの流用率と追加工事費は以下のように変動します。20坪の町中華開業を想定したマトリクスです。

中華料理→
流用率90% / 追加200-450万
ラーメン店→
流用率70% / 追加350-700万
焼肉店→
流用率60% / 追加450-850万
韓国料理→
流用率55% / 追加500-950万
居酒屋→
流用率45% / 追加600-1,100万
和食→
流用率35% / 追加700-1,300万
カフェ→
流用率25% / 追加900-1,600万
物販→
流用率15% / 追加1,200-2,000万

中華→中華(流用率90%)

最理想形。中華レンジ・排気ダクト・ガス容量・グリストラップ・動線すべてが流用可能。追加工事はクリーニング・内装リフレッシュ・看板変更のみ。業態を跨ぐ場合(町中華→四大中華等)でも、中華レンジの口数追加・個室新設で追加200〜450万円で対応できます。

ラーメン店→中華(流用率70%)

ラーメン店は重飲食で排気能力・ガス容量が確保されていることが多く、排気・ガス・水道は流用可能。ただし中華レンジ(ウォック専用)への入替えと、蒸し器台・点心設備の追加で350〜700万円の追加工事が発生します。

焼肉店→中華(流用率60%)

焼肉店も重飲食で排気が強力ですが、排気方式が席ごとのダウンドラフト・アップドラフトで厨房集中型の中華とは構造が違います。排気ダクトの再配管と厨房機器の全入替えで追加450〜850万円。

居酒屋・和食→中華(流用率35-45%)

排気能力・ガス容量が中華業態の要件を満たさない場合が多く、排気ダクト強化・ガスメーター増量・厨房機器入替えが発生。追加600〜1,300万円で、居抜きの経済メリットが薄くなります。

カフェ・物販→中華(流用率15-25%)

事実上スケルトン工事。排気ダクトの新設、ガスメーター16号以上への増量、中華レンジの導入、床壁の油対策仕上げのすべてが必要。追加投資900〜2,000万円でスケルトン予算に近くなります。

重飲食不可物件の罠:「現況渡し」と書かれていても、建物オーナーが中華業態を認めないケースがあります。物件契約前に用途制限条項を精読し、中華料理業態が認められているかを書面で確認してください。ダクト工事の追加許可、屋上アクセス権も同時に確認します。

居抜き中華の坪単価とスケルトン比較

東京23区の中華料理内装工事の坪単価相場は、2026年時点で以下のレンジが業界コンセンサスです。

居抜き改装

坪25〜50万円

15坪375-750万

25坪625-1,250万

40坪1,000-2,000万

主要工事部分改修・設備入替

スケルトン標準

坪40〜70万円

15坪600-1,050万

25坪1,000-1,750万

40坪1,600-2,800万

主要工事排気・ガス・油対策

高級中華

坪70〜120万円

15坪1,050-1,800万

25坪1,750-3,000万

40坪2,800-4,800万

主要工事個室・意匠・調度品

中華特有の坪単価上振れ要因

  • 強力排気ダクトと屋上まで引き上げ工事
  • ガスメーター16〜25号の増量工事
  • 油煙対応フィルター(二段式)
  • 壁・天井の耐油仕上げ材
  • 床のノンスリップ・耐油仕上げ
  • 脱臭装置(住宅街立地)
  • 個室仕切り(四大中華・高級中華)
  • 回転テーブル・円卓

中華レンジは別途計上

内装工事費用には中華レンジ本体価格は含まれません。2口で200〜350万円、3〜4口で350〜700万円の別予算が必要。居抜きで前テナントの中華レンジを引き継げる場合、造作譲渡金として加算されます。

地方エリアの注意

地方では中華対応の施工会社が都市部に集中するため、15坪未満の小規模案件は対応業者が限られます。相見積もり成立の目安は、居抜きで400万円以上、スケルトンで700万円以上。中華レンジメーカー経由で施工業者を紹介してもらうルートも有効です。

造作譲渡金の相場と交渉実務

中華料理の造作譲渡金は15〜40坪で200〜1,000万円が相場。中華レンジの口数・状態と、排気ダクトの新しさで大きく変動します。

造作譲渡金の主要内訳

  • 中華レンジ(口数・製造年別)
  • 排気ダクトとフィルター一式
  • ガスメーター契約(16号以上)
  • 蒸し器台・蒸籠・スープ釜
  • 業務用冷蔵・冷凍庫
  • 揚げ物フライヤー
  • グリストラップ・排水管
  • 客席テーブル・椅子・回転テーブル
  • 個室仕切り(該当業態)
  • のれん代(理論的には査定対象外)

機器別の中古価格

中華レンジ2口
新品200-350万 / 中古80-150万
中華レンジ4口
新品350-700万 / 中古150-300万
蒸し器台3段
新品60-150万 / 中古25-60万
スープ釜
新品30-80万 / 中古10-30万
業務用冷凍庫
新品50-120万 / 中古20-50万
回転テーブル付円卓
新品15-40万 / 中古5-15万

値切り交渉の3つの論点

論点1:原状回復義務の相互利益。前テナントが退店する場合、中華レンジ・排気ダクト・床油染み除去・壁張替で原状回復費400〜900万円がかかります。新借主が引き継ぐことで大きな相互利益が生まれます。

論点2:中華レンジの経年劣化。高火力で稼働時間が長く、5年超の機器はバーナー周辺の消耗が進んでいます。中古市場価格を基準に減額交渉します。

論点3:ダクト内の油脂堆積。前テナントのダクト清掃が不十分だと、内部洗浄で30〜80万円が発生。清掃履歴の開示を求め、必要に応じて譲渡金から減額します。

現状渡しのリスク:中華料理店では油煙による経年汚染が深刻で、現状渡しで引き継ぐと壁・天井・床の張替えで開業3〜6か月以内に追加支出が発生しやすい業態です。引渡し前に全系統の清掃とダクト内部の洗浄を実施してから判断してください。

中華料理居抜きで失敗する7パターン

実務で発生しやすい失敗を7パターンに類型化します。契約前にこの7つが自店に当てはまらないか点検してください。

失敗1:業態マッチング軽視で中華レンジ不足

町中華居抜きで高級中華業態を開業したが、中華レンジ2口では4口分の調理が回らず。中華レンジ追加と厨房レイアウト変更で500〜900万円の追加工事。対策は物件契約前に業態別の中華レンジ口数を算出し、物件との整合を確認することです。

失敗2:ガスメーター容量不足

カフェ居抜きで中華開業を計画し、10号メーターのまま契約。中華レンジのフル稼働でガス圧が下がり、増量申請で工事費50〜150万円と2〜3か月の遅延。対策は契約前にガス会社への容量照会です。

失敗3:排気ダクトの油脂堆積による火災

築8年超の居抜きダクトを引き継ぎ、清掃履歴なし。開業6か月後にダクト内油火災で店内焼損、保険未適用で再建1,000万円超の負担。対策は引渡し前のダクト内部洗浄と、定期清掃業者との契約締結です。

失敗4:近隣匂いクレームで営業時間制限

住宅街立地で排気口位置を確認せず契約。開業直後から悪臭クレームが続発し、脱臭装置追加で200〜400万円の緊急工事。対策は物件契約前の近隣苦情履歴の開示請求と脱臭装置の有無確認です。

失敗5:中華レンジの経年故障

築10年超の中華レンジを譲渡金満額で引き継ぎ、開業3か月でバーナー焼損・点火装置故障。買替で300〜500万円の想定外支出。対策は引渡し前の通ガス・点火テストと、製造年を加味した減額交渉です。

失敗6:油脂汚染で内装全面張替え

現状渡しで引き継いだ壁・天井の油脂染み。クリーニングで落ちず、全面張替で250〜450万円の追加。対策は内見時の油脂汚染チェックと、張替費用の譲渡金からの減額交渉です。

失敗7:用途制限条項の見落とし

「飲食店営業可」物件だが特約で中華・ラーメン等の重飲食が制限されていた。開業直前に建物オーナーから差止め、物件変更で初期投資の一部(300〜500万円)が損失。対策は契約書の業種制限条項の精読と、中華業態が書面で認められているかの確認です。

契約書で確認すべき11項目

中華料理居抜き契約は「賃貸借契約」と「造作譲渡契約」の二重構造です。中華固有の項目を含む11点を確認します。

1業種制限重飲食・中華の可否
2原状回復範囲ダクト・床仕上げ含む
3造作譲渡の内訳中華レンジ別明細
4ガスメーター契約16号以上推奨
5屋上アクセス権ダクト保守用
6ダクト清掃履歴過去1年以内
7近隣苦情履歴匂い・油煙・騒音
8瑕疵担保期間3〜6か月推奨
9リース残債中華レンジ・POS
10壁・天井の油脂張替え責任
11営業時間制限深夜・早朝

中華固有の確認項目

業種制限条項は中華業態で最重要。「飲食店営業」の広い許可があっても、特約で重飲食・中華・ラーメン等が除外されているケースがあります。仲介業者経由で建物オーナーに中華業態の可否を書面確認してください。

屋上アクセス権もダクト保守に欠かせません。中華のダクト清掃は定期的に屋上への立入が必要で、契約書に明記されていないと故障時の復旧作業が滞ります。

飲食店営業許可は事業者ごとの新規取得で、居抜きでも継承できません。食品衛生法(e-Gov法令検索)厚生労働省の営業規制ページで2021年改正後の施設基準を確認してください。

モデル予算3ケース+居抜き×スケルトン判断

実際の中華料理居抜き開業を想定したモデル予算を3規模で提示します。地域係数は東京23区(1.0)で計算しています。

ケース1:15坪・町中華(前中華居抜き)

物件取得費

200万円

保証金8か月+礼金

造作譲渡金

350万円

中華レンジ2口込み

内外装工事

400万円

クリーニング・看板

厨房機器追加

200万円

冷蔵・蒸し器

什器・備品

100万円

食器・調理器具

運転資金

400万円

4か月分

合計予算:約1,650万円。住宅街駅前立地、家賃20〜28万円の物件を想定。カウンター+テーブル12〜18席・客単価1,200〜1,800円の町中華で、スケルトン同規模開業(2,200〜2,800万円)に比べ550〜1,150万円の節約が見込めます。

ケース2:30坪・四大中華専門(前中華居抜き)

物件取得費

400万円

保証金10か月+礼金

造作譲渡金

700万円

中華レンジ3口・蒸し台

内外装工事

800万円

個室・テイスト変更

厨房機器追加

350万円

スープ釜・追加冷蔵

什器・備品

250万円

円卓・回転テーブル

運転資金

700万円

4か月分

合計予算:約3,200万円。都心2等立地、家賃55〜75万円の物件を想定。テーブル25〜40席+個室2・客単価4,000〜6,000円の四大中華で、スケルトン同規模開業(4,200〜5,500万円)に比べ1,000〜2,300万円の節約が見込めます。

ケース3:50坪・高級中華(前中華居抜き)

物件取得費

700万円

保証金10か月+礼金

造作譲渡金

1,200万円

中華レンジ4口・個室込

内外装工事

1,600万円

個室・意匠内装

厨房機器追加

500万円

ワインセラー・冷凍

什器・備品

400万円

高級食器・什器

運転資金

1,200万円

4-5か月分

合計予算:約5,600万円。都心1-2等立地、家賃100〜150万円の物件を想定。テーブル30〜40席+個室4〜6室・客単価10,000〜18,000円の高級中華で、スケルトン同規模開業(8,000万〜1億円)に比べ2,400〜4,400万円の節約が見込めます。

居抜き×スケルトン判断フロー

1業態決定町中華/四大中華/高級
2前テナント整合中華/ラーメン/焼肉
3排気・ガス容量16号・大風量
4ダクト状態清掃履歴・油脂
5用途制限重飲食可否

居抜きを選ぶべき条件

  • 前テナントが中華・ラーメンで流用率70%超
  • 中華レンジが築5年以内で動作良好
  • ガスメーター16号以上・排気ダクト屋上引き上げ済み
  • 近隣苦情履歴が過去2〜3年間で軽微
  • 造作譲渡金が機器中古市場価格の1.5倍以内
  • ダクト内清掃が引渡し前に実施可能

スケルトンを選ぶべき条件

  • 前テナントが異業種(カフェ・物販)で流用率30%未満
  • 独自のコンセプト・ブランディングを優先
  • 厨房・客席を抜本的に変更したい
  • 造作譲渡金が1,000万円超で設備老朽化大
  • 初期投資6,000万円以上の投下が可能

よくある質問

Q中華料理居抜きの最低開業費用はいくらですか

A15坪・町中華・前中華居抜き・運転資金4か月込みで1,400〜1,700万円が最小ラインです。中古厨房機器の活用、DIY施工比率の引き上げで更に100〜200万円の圧縮が可能です。地方立地(家賃13万円以下)ならさらに200〜400万円下がります。

Q中華レンジは居抜きで引き継ぐべきですか

A築5年以内で動作良好なら積極的に流用、築7年超は個別判定、築10年超は買替え前提が安全ラインです。星華バーナーのヘッド焼損、点火装置の動作、湯沸ポットの機能、ガス配管の接続部を実測してください。新品2口200〜350万円に対し、流用できれば造作譲渡金で150〜200万円程度で引き継げるケースがあります。

Q町中華と四大中華、どちらで開業すべきですか

A投資抑制と回転率重視なら町中華、単価と差別化重視なら四大中華です。町中華は15〜25坪・投資1,500〜2,000万円・客単価1,200〜1,800円で回転率10〜15回転/日。四大中華は25〜50坪・投資3,000〜5,000万円・客単価4,000〜7,000円で2〜3回転。オペレーション難易度も四大中華の方が高く、料理人の採用・育成がネックになります。

Q排気ダクトの清掃はどのくらいの頻度が要りますか

Aフィルターは週1〜2回の交換・洗浄、フード内清掃は月1回、ダクト内洗浄は6か月〜1年に1回、排気ファン点検は年1回が基本スケジュール。怠ると油火災のリスクが急上昇します。専門業者との年間契約(月5,000〜15,000円)で継続的に保守するのが主流です。

Q住宅街で中華料理店開業は可能ですか

A可能ですが、排気・匂い対策の追加投資を想定が求められる場合があります。脱臭装置・屋上までのダクト引き上げで200〜500万円の追加投資が発生しやすい業態です。物件契約前に近隣苦情履歴の開示請求と、悪臭防止法の基準確認、建物オーナー・近隣への事前説明が欠かせません。商業地・繁華街の方がトータルコストで有利なケースが多くあります。

Q前テナントの営業許可は引き継げますか

A引き継げません。飲食店営業許可は事業者(法人または個人)に付与されるため、物件取得後に新規申請が欠かせません。ただし前テナントが同業種なら施設基準を満たしていることが多く、追加工事なしで許可が下りるケースが大半。保健所の事前相談で現状設備の適合性を確認してから契約判断するのが賢明です。

Q造作譲渡金の値切り交渉の目安は

A前店舗の言い値から30〜50%の減額が狙えます。中華レンジ・蒸し器台・スープ釜の機器別中古市場価格査定、経年劣化減額、ダクト内清掃費の減額、原状回復義務の相互交渉の4軸で積み上げます。700万円提示なら350〜500万円まで下がる事例が多く見られます。

Qガス容量が不足している物件はどうすればよいですか

Aガス会社への増量申請で2〜6週間、工事費30〜150万円が目安です。物件契約前に必ずガス会社へ照会し、現状容量と中華業態の想定消費量(16〜25号)とのギャップを確認してください。供給地域によっては増量不可の物件もあるため、契約前チェックが欠かせません。

Q地方で中華居抜き開業する場合の注意点は

A中華対応の施工業者が都市部に集中するため、15坪未満の小規模案件は対応業者が限られます。居抜きで400万円以上、スケルトンで700万円以上の案件なら相見積もりが成立しやすくなります。中華レンジメーカー(フジマック・マルゼン・タニコー)経由で施工業者を紹介してもらうルートも有効です。

最終確認のお願い

上記は2026年4月時点の一般情報としてまとめたものです。法令・条例は随時改正され、解釈や運用も自治体ごとに差があります。物件固有の条件によって結論が変わるため、実際の契約・開業判断の前に、所轄自治体の窓口および弁護士・行政書士・建築士・消防設備士等の専門家にご相談いただき、書面で確認を取ることを強く推奨します。

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