眼鏡店の移転|検眼スペースとフレーム陳列と加工室を作り直す——旧店原状回復+新店内装を一括で進める費用・段取り・業者の選び方

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このガイドは、これから個人で開業する人や移動販売を始める人向けの話ではなく、眼鏡店を運営する事業者が、店舗を別の物件へ移転するときの内装と段取りの話です。眼鏡店の移転は、什器や在庫を新しい場所に運ぶ引っ越しではなく、旧店を原状回復し、新店で検眼スペースとフレーム陳列と加工室を作り直す二重工事です。眼鏡店は、撮影空間を作るフォトスタジオや衣料を売るアパレルとも決定的に違います。核となるのは検眼スペース(検眼機器・検眼レーン)と、フレーム陳列什器加工室(レンズ加工機・玉摺機)、そしてフィッティングカウンターです。眼鏡店は物を売るだけでなく、視力を測り、レンズを加工し、顔に合わせて調整する——物販+検眼+加工が同居する店舗です。このガイドは、眼鏡店移転の総額・検眼スペースと加工室とフレーム陳列・居抜き・行政手続き・検眼スペースと加工室を読める店舗内装系業者の選び方を、旧店の廃業と新店の開業を一つにつないで整理します。

30秒でわかる結論

  • 移転の正体:旧店の原状回復(検眼スペース・陳列什器・加工室の戻し)+新店の内装(検眼・陳列・加工)=二重工事
  • 検眼スペースが物販と別に要る:最新の検眼機器による視力測定のため、検眼機器と最低3名分のスペース。検眼レーンは視力表まで距離が要る。認定眼鏡士(業界団体の検定資格)の有資格者確保は信頼につながる(任意)
  • 加工室と全自動加工機:店内にハイスペックな全自動加工機を配備すれば在庫のある単焦点レンズは最短25分。遠近両用・カラーはメーカー工場で特注品扱い通常1週間。給排水と電源が要る
  • フレーム陳列とフィッティング:1人で数本所持するファッション化で大量展示・防犯。引き取り時にフィッティングで見え心地とフィット感を調整
  • 検眼機器・在庫は別計上:内装は約50〜200万円だが、検眼機器の設備代は約400〜1000万円、眼鏡仕入は約300万円と別。許認可は軽め(特別な営業許可はほぼ不要・中古/買取は古物商)

眼鏡店の移転は「検眼スペースとフレーム陳列と加工室の作り直し」——フォトスタジオ/物販と別の物販+検眼+加工軸

移転は「旧店の原状回復」と「新店の内装」の二つ

眼鏡店の移転は、旧店を契約どおりの状態に戻す原状回復と、新店をゼロまたは居抜きから立ち上げる内装が並行します。世の中の情報は、退店側だけの原状回復・解体の解説か、開店側だけの眼鏡店の内装の解説のどちらか一方に偏りがちですが、それでは移転の半分しか見えません。眼鏡店は検眼スペースと加工室が工事の土台なので、両側を合わせて初めて総額と工事の重さが見えてきます。撮影空間を作るフォトスタジオや衣料を売るアパレルとは違い、眼鏡店は視力を測り、レンズを加工し、顔に合わせて調整する物販+検眼+加工の店舗です。加工室の給排水は給排水工事の費用も参考になります。

検眼スペース(検眼機器・検眼レーン・最低3名分・認定眼鏡士)が物件を縛る

眼鏡店はフォトスタジオやアパレルと決定的に違います。最大の固有は検眼スペースです。眼鏡店は物を売るだけでなく、最新の検眼機器による視力測定を行うため、検眼機器を置くスペースが物販と別に要ります。眼鏡士が1人にお客様が1人、家族連れの場合はもう1人追加になるため、検眼機器と最低3名分のスペースを確保します。検眼にはオートレフや検眼レーン(一定の距離をとって視力表を見る空間)が要り、視力表まで距離が必要なため、奥行きのある区画やミラー方式を設計します。さらに技術面で信頼を支えるのが認定眼鏡士で、業界団体の検定資格として一定の条件を満たす眼鏡制作者に付与され、このような有資格者を確保することが顧客の店舗への信頼獲得につながります(資格は必須ではありませんが推奨されます)。これはフォトスタジオの撮影スペースとは違う、視力測定という固有の場です。移転では、旧店の検眼スペースを撤去し、新店で検眼レーンと検眼機器の区画を作り直します。

原状回復への影響は、加工室の給排水や検眼レーンの造作の戻しでこれだけ変わります(公開相場の目安。加工室・検眼レーンを作り込むと戻しが重く、什器のみは軽い)。

什器撤去中心
坪2〜3万円
検眼・配線の戻しあり
坪3〜5万円
加工室給排水・検眼レーン造作の戻し
坪4〜6万円

眼鏡店を”アパレルのように什器を移す”で見ると外す

アパレルは照明とVMDと試着室、フォトスタジオはホリゾントと照明が核ですが、眼鏡店は検眼スペース(検眼機器・検眼レーン・最低3名分)と加工室(レンズ加工機・全自動加工機)、フレーム陳列、フィッティングカウンターが核です。検眼レーンは視力表まで距離が要り、加工室は給排水と電源が要ります。アパレルの感覚で見積もると合いません。

眼鏡店移転の費用相場——旧店の原状回復・新店の内装を1つの予算表で見る(検眼機器・在庫は別)

眼鏡店移転の総額は「旧店をいくらで畳むか」と「新店の内装をいくらでつくるか」の合算です。ここで重要なのが、検眼機器・レンズ加工機・眼鏡在庫は内装と別に大きな設備投資になることです。まず3つの要素を押さえます。

坪2〜6万円
旧店の原状回復(加工室の戻しで重い)
坪10〜30万円
新店の内装(店舗グレードで変わる)
別調達
検眼機器・レンズ加工機・眼鏡在庫

費用構造の目安として、内装費は約50〜200万円、検眼機器などの設備代は約400〜1000万円、眼鏡の仕入れ代は約300万円と、検眼機器の設備投資が内装より大きいのが眼鏡店の特徴です。シミュレーターでは内装工事分のみを扱い、検眼機器・在庫は別計上とします。

旧店の原状回復費用

内訳は、什器・備品の撤去(搬出)/検眼スペース・検眼レーンの撤去/加工室の解体(給排水・電源の撤去)/陳列什器の撤去/フィッティングカウンター・受付の撤去/内装(床・壁・天井)の撤去や修繕/原状確認の立会いです。原状回復の範囲はスケルトン戻しか居抜き退去かで変わりますが、加工室の給排水・検眼レーンの造作を作り込んでいた場合は、その戻しで原状回復が坪4〜6万円程度まで重くなりやすいです。什器のみなら軽く済みます。

新店の内装費用

新店の主役は検眼スペースと加工室です。検眼スペース(検眼レーン)フレーム陳列什器加工室(給排水・電源・換気)フィッティングカウンターが必要です。坪単価は内装工事で店舗グレードにより変わり、検眼充実や複数検眼で上振れします。検眼機器(約400〜1000万円)・レンズ加工機・眼鏡在庫(約300万円)は内装と別調達です(誇張を避けるため、ここでは内装工事分のみを扱います)。加工室の給排水は給排水工事の費用ガイドが参考になります。

移転総額の考え方とシミュレーション

総額=旧店の原状回復+新店の内装+検眼機器・レンズ加工機・眼鏡在庫(別調達)+付帯(引越・機器移設・造作譲渡)です。下のシミュレーターは内装工事分の概算で、旧店の規模と原状回復の区分、新店の規模と店舗グレード、検眼ブース数、加工室の有無を入れるとレンジが出ます(検眼機器・在庫は別調達)。店舗グレード・検眼ブース数・加工室の有無で上がるのが分かります。

旧店の坪数:坪 / 新店の坪数:

新店の店舗グレード: / 検眼ブース数:

加工室:

旧店の原状回復:

旧店の原状回復
新店の内装(検眼機器・在庫は別)
概算の移転総額(機器・付帯は別途)

規模別の目安は次のとおりです(フルサービス・検眼ブース数2台・加工室あり・公開されている坪単価の目安で機械的に計算した内装工事の概算。検眼機器・レンズ加工機・眼鏡在庫・付帯費用は含みません。標準ならこれより安くなります)。

規模(旧店/新店) 旧店の原状回復 移転総額の目安(新店内装込み)
10坪/10坪 約30〜50万円 約360〜750万円
20坪/20坪 約60〜100万円 約540〜1,050万円
30坪/30坪 約90〜150万円 約720〜1,350万円
40坪/40坪 約120〜200万円 約900〜1,650万円

新店を元眼鏡店の居抜きにできれば総額は下限側、大型(複数検眼+加工)や検眼ブース数の増、加工室の新設で上限側に振れます。これに検眼機器・レンズ加工機・眼鏡在庫(別調達)が加わります。新店の店舗グレード・検眼ブース数・加工室の有無別の内訳は上のシミュレーターで確認できます。

見落としやすい付帯費用と敷金の扱い

総額には工事費以外の付帯も乗ります。旧店からの引越し・機器の移設・新店の検眼機器やレンズ加工機・眼鏡在庫(別調達)・新店の保証金や敷金・顧客への移転告知などです。新店を居抜きにする場合は造作譲渡(前借主や所有者に内装・設備の利用料として支払う費用)も関わります。検眼機器・加工機は中古やリースで初期コストを抑える方法もあります。さらに加工室の給排水・電源の増設、検眼レーンの遮光、防犯設備といった費用が乗ることがあります。旧店の敷金(保証金)は償却として解約時に差し引かれる契約が一般的ですが、加工室の給排水・検眼レーン造作の戻しで原状回復が膨らむこともあるので注意します。新店契約でフリーレント(賃料無料期間)を取れれば、その期間を検眼スペース・加工室の工事に充てることで実質的な二重家賃を圧縮できます。

検眼スペースと加工室とフレーム陳列が施設を決める——居抜きは元眼鏡店か・検眼レーン/加工室給排水/陳列が使えるか

眼鏡店移転で総額と物件選びを最も大きく動かすのが、検眼スペースと加工室とフレーム陳列です。検眼スペースは奥行きを、加工室は給排水と電源を、フレーム陳列は壁面と防犯を縛るため、これらが新物件で成立するかがそのまま物件の可否を決めます。

検眼スペース(検眼レーンの奥行き・最低3名分)+加工室(レンズ加工機・玉摺機・全自動加工機25分・特注1週間・給排水)

検眼スペースは、検眼機器と最低3名分を置き、検眼レーン(一定の距離をとって視力表を見る空間)のため奥行きやミラー方式を確保します。加工室は、レンズ加工機・玉摺機を置き、店舗内にハイスペックな全自動加工機を配備すれば、店舗に在庫がある度数の単焦点レンズは最短25分で加工が完了します(一方で遠近両用レンズやカラーレンズはメーカーの工場で生産する特注品扱いで通常1週間程度)。加工機は水を使うため給排水と電源が要ります。だから移転先選びでは、検眼レーンの奥行きと加工室の給排水・電源が成立するかを、内装より先に確認します。

フレーム陳列什器(大量展示・ファッション化・ディスプレイ照明・防犯)

もう一つの核がフレーム陳列です。低価格化を背景に1人で数本の眼鏡を所持してシチュエーションに応じて取り替える人が増え、眼鏡をファッションの一部として考える顧客に対し、フレームを大量に展示します。ディスプレイ照明でフレームを魅力的に見せ、小型で高額なため防犯を備えた什器が要ります。壁面什器や中央の島什器を組み、ブランドや用途で見やすく並べます。下の比較で新店の作り方を整理します。

スケルトンで作る

坪10〜30万円
検眼レーン奥行きから新設
加工室給排水・電源から新設
陳列什器壁面から新設
向くケース理想の店舗グレード・検眼動線を作りたい

元眼鏡店居抜き

坪8〜20万円
検眼レーン既設を確認・流用
加工室既設の給排水を確認
陳列什器既設を活かす
向くケースコスト抑制・店舗グレードと動線が合えば

検眼レーンの奥行き・加工室の給排水・陳列の壁面を満たさない物件は内装前に判明させる

検眼レーンの奥行き(視力表までの距離)、加工室の給排水と電源、フレーム陳列の壁面と防犯は、内装の設計に入る前に確認すべき物件の前提です。契約してから「検眼レーンが取れない」「加工室の給排水が引けない」「陳列の壁が足りない」と判明すると、計画が根本から狂います。内見・契約の段階で、奥行きと給排水と壁面を業者に確認してください。

見えない急所——加工室給排水・防犯・電源・フィッティング動線と、相見積もりのB/C工事

眼鏡店移転で見落とされがちなのが、加工室の給排水と防犯とフィッティング動線です。加工室は給排水と電源を、防犯は小型高額品を、フィッティング動線は調整とアフターを左右します。だから比較すべきは「加工室と防犯とフィッティング動線を読める業者か」です。

加工室の給排水・電源(レンズ加工機・全自動加工機)/防犯/フィッティング動線

加工室は、レンズ加工機・全自動加工機が水と電気を使うため、給排水と電源を確保し、研磨の排水や換気も設計します。防犯は、フレームやレンズが小型で高額なため、防犯設備を備えます。フィッティング動線は、引き取り時にフィッティングが行われ、見え心地とフィット感を調整するため、座って調整できるカウンターと鏡、待合を整えます。さらに気に入っているフレームのレンズだけ交換したい、他店で買ったフレームを持ち込みたいという需要に応える加工とフィッティングの動線も作ります。これらは検眼・加工・調整の質を支えるもので、眼鏡店の施工実績がない業者だと加工室の給排水や検眼レーンの奥行き、防犯で詰まることがあります。

A・B・C工事の基本(眼鏡店での例)

A工事は躯体・共用部・防災設備など建物側(貸主負担)、B工事は専有部でも電気本管容量(加工機)・給排水竪管(加工室)・空調など建物に関わる部分(ビル指定業者)、C工事は専有部の検眼スペース・陳列・加工室・フィッティングカウンター(自由に選定可)です。移転での相見積もりの効きは次のとおりです。

工事区分 業者を選べるか 相見積もりの役割
A工事 選べない(貸主手配) 基本は対象外
B工事 選べない(指定業者) 電気本管・給排水竪管・空調の金額の妥当性を検証して交渉
C工事 選べる(自由選定) 検眼スペース・陳列・加工室込みで店舗内装系業者を競わせる

工事区分の詳細はA工事・B工事・C工事の違いで確認できます。加工機のための電気本管容量や加工室の給排水竪管を増やす工事はB工事に関わることが多いので注意します。

旧店は検眼スペース・加工室撤去の数量検証用、新店は検眼レーン・加工室給排水・陳列設計込みの業者選定用

旧店の原状回復は共用設備のB工事が混じり業者を選べない部分があり、加工室の給排水・検眼レーンの戻しで重くなりやすいため、相見積もりは指定業者の金額が妥当かを検証する用途です。新店の検眼スペース・加工室・陳列はC工事=自由選定なので、複数の店舗内装系業者を競わせ、検眼レーンの奥行き・加工室給排水・陳列まで含めて選ぶ主戦場になります。

一般内装業者に頼むと検眼レーンの奥行き・加工室給排水・動線のノウハウがずれる

眼鏡店は検眼レーンの奥行き、加工室の給排水と電源、フレーム陳列の防犯、フィッティング動線という固有のノウハウが要ります。一般の内装業者に頼むと、検眼レーンが浅くて視力表の距離が取れなかったり、加工室の給排水で詰まることがあります。眼鏡店の施工実績があり、検眼スペースと加工室を踏まえて設計できる業者かを、見積もり段階で確認してください。

営業・顧客を切らさない移転——段取りと二重家賃スケジュール

移転で資金を最も無駄にするのが、旧店と新店の家賃が重なる二重家賃です。眼鏡店は新店の検眼スペース・加工室で工期がかかり、旧店も加工室の給排水・検眼レーンの戻しで時間がかかるうえ、検眼機器・加工機の搬入もあるため、両側を設計しないと重複が膨らみます。あわせて顧客への移転告知と、預かり中の眼鏡や加工待ちの引き継ぎも絡みます。

旧店の家賃(明渡しまで)新店の家賃(契約から)二重家賃が発生する期間新店 契約・着工旧店 明渡し

工期の非対称と、新店竣工からの逆算

新店は検眼スペース・加工室で工期がかかり、旧店も加工室の給排水・検眼レーンの戻しで1〜数週間ほどかかります。旧店を先に畳めば二重家賃はほぼ回避できますが営業の空白で顧客が離れやすく、新店を先に作れば営業の空白は最小ですが二重家賃が発生します。理想は、新店の竣工日を起点に検眼機器・加工機の搬入→開店→旧店の原状回復→明渡し、と重ねる形で、賃貸借契約の解約予告(3〜6ヶ月前が一般的)はこの逆算カレンダーの出発点になります。検眼スペース・加工室の工事は規模次第で工期が変わり、検眼機器・加工機の搬入と設置・調整もあるので、見積もりと工程のスケジュールが固まってから予告を出すのが安全です。あわせて顧客への移転告知と、預かり中の眼鏡や加工待ちの引き継ぎも組み込みます。

逆算の流れと、押さえるチェックリストは次のとおりです。

1解約予告予告期限の確認
2新店 契約・着工検眼スペース・加工室
3新店 竣工・開店検眼機器・加工機搬入
4旧店 原状回復加工室・検眼レーンの戻し
5旧店 明渡し立会い
  • 移転先の検眼レーンの奥行き(視力表までの距離)・加工室の給排水と電源が取れるかを確認した
  • 移転先でフレーム陳列の壁面・防犯設備が成立するかを確認した
  • 解約予告の期限を賃貸借契約書で確認した
  • 検眼機器・加工機の搬入と設置・調整を踏まえて開店日を逆算した
  • 旧店家賃と新店家賃の重複期間を最小化できているか試算した

眼鏡店移転の進め方・行政手続きと「検眼スペースと加工室を読める店舗内装系業者」

移転は、旧店の契約確認から新店の開店、旧店の明渡しまでが一本の流れです。全体像を押さえると、相見積もりと工程の重ね方を判断しやすくなります。

1契約確認・解約予告予告期限・検眼レーン
2現地調査・相見積もり旧店と新店の両方
3新店 設計・着工検眼スペース・加工室
4古物商・開廃業届中古/買取・税務署
5新店 竣工・開店検眼機器・加工機搬入
6旧店 原状回復・明渡し加工室・検眼レーンの戻し

届出は「旧店の廃業」+「新店の開業」——特別な許可はほぼ不要・中古/買取は古物商

移転は同じ屋号でも、行政上は「旧店を廃業し、新店を新規に開業する」扱いになります。眼鏡店は特別な営業許可はほぼ不要(眼鏡販売・加工・検眼そのものに許認可はありません。検眼は医療行為ではないため医療許可も不要です。眼科を併設する場合は別途)ですが、中古フレームの売買・買取を行う場合は古物商許可(公安委員会)が要ります。また認定眼鏡士(業界団体の検定資格)の有資格者確保は任意ですが、信頼につながります。手続きは軽い業種ですが、税務署への開廃業届と、退店・開店の段取りをチェックリストで管理します。

旧店の廃業で必要な手続き

  • 税務署へ廃業届(個人)・法人は別途
  • テナントの解約予告(3〜6ヶ月前が一般的)と原状回復(加工室給排水・検眼レーン造作の戻し)
  • 検眼機器・レンズ加工機・眼鏡在庫の移設・処分
  • 電気・水道などライフラインの解約
  • 顧客への移転告知・預かり中の眼鏡や加工待ちの引き継ぎ
  • ホームページ・予約システムの住所変更

新店の開業で必要な手続き

  • 税務署へ開業届/眼鏡店は特別な営業許可はほぼ不要(眼鏡販売・加工・検眼は許認可なし)
  • 中古フレームの売買・買取を行う場合は古物商許可(公安委員会)
  • 認定眼鏡士(業界団体の検定資格)の有資格者確保は任意だが信頼につながる
  • 検眼レーンの奥行き・加工室の給排水・陳列の壁面が計画どおりか確認
  • 防犯設備・換気の整備
  • 検眼機器・加工機の搬入・設置/顧客への開店案内・予約再開

退店側の手続き全般は閉店・撤退の手続きも参考になります。

「検眼スペースと加工室を読める店舗内装系業者」の評価軸

移転では旧店の解体業者と新店の内装業者を別々に頼みがちです。だが旧店の検眼スペース・加工室の撤去と新店の検眼・陳列・加工を1社(店舗内装系)が握ると、検眼レーン・加工室給排水・陳列のズレと、検眼機器・加工機の搬入計画の抜けを一気通貫で防げます。次の観点で複数社を比較します。

  • 眼鏡店の内装実績があるか
  • 検眼レーンの奥行き・検眼機器の区画を扱えるか
  • 加工室の給排水・電源・全自動加工機の納まりを読めるか
  • 旧店の原状回復と新店の内装の工程を重ねて管理できるか
  • 旧店の原状回復から新店の内装までを一括で見積もれるか

複数の店舗内装系業者に「旧店の原状回復から新店の内装まで」をまとめて見積依頼すると、各社の総額・工程・検眼スペースや加工室・陳列の提案・責任分界点の考え方が横並びで比較でき、価格の安さでなく「検眼スペースと加工室を読んで作り込む能力」で選べます。新店の設計は眼鏡店の内装ガイドも参考になります。

検眼スペース・加工室と内装を分けると検眼レーンと加工室給排水がずれる

検眼スペース・加工室を担う業者と内装の業者を別に動かすと、検眼レーンの奥行きや加工室の給排水・電源が噛み合わないことがあります。さらに旧店の検眼スペース・加工室の図面が新店の業者に渡らず、検眼レーンや給排水を一から検討し直すロスも起きやすくなります。

よくある質問

眼鏡店は原状回復が高いですか?

加工室と検眼レーン次第です。什器撤去中心なら軽いですが、加工室の給排水・検眼レーンの造作を作り込んでいた場合は、その戻しで坪4〜6万円程度まで上がります。加工室の給排水・検眼レーン造作の戻しで敷金を超えることもあるので注意してください。

検眼スペースはどれくらい要りますか?

検眼機器と最低3名分(眼鏡士1人+お客様1人、家族連れはもう1人追加)のスペースが要ります。検眼レーンは一定の距離をとって視力表を見るため、奥行きのある区画やミラー方式を設計します。視力表までの距離が取れる物件かを確認します。

加工室は店内に要りますか?

店内に全自動加工機を配備すれば、店舗に在庫がある度数の単焦点レンズは最短25分で加工が完了します。一方で遠近両用やカラーレンズはメーカーの工場で生産する特注品扱いで通常1週間程度かかります。加工機は水と電気を使うため、加工室には給排水と電源が要ります。外注中心にする選択肢もあります。

認定眼鏡士は必要ですか?

必須ではありませんが推奨されます。認定眼鏡士は業界団体の検定資格で、一定の条件を満たす眼鏡制作者に付与され、有資格者を確保することが顧客の店舗への信頼獲得につながります。

フレーム陳列で気をつけることは?

1人で数本所持しファッションの一部として選ぶ顧客が増えているため、フレームを大量に展示し、ディスプレイ照明で魅力的に見せます。フレームやレンズは小型で高額なため、防犯設備を備えた什器にします。

検眼機器は移転先で使えますか?

使えます。検眼機器・レンズ加工機は内装と別調達で、移設できます。ただし設備代は約400〜1000万円と大きく、加工機は加工室の給排水・電源を確認します。機器は中古やリースで初期コストを抑える方法もあります。

居抜きは使えますか?

前店が元眼鏡店なら、検眼レーンや加工室の給排水、陳列什器がそのまま使えることがあり、必要最低限の改修で開店でき安くなります(坪8〜20万円)。ただし前店の店舗グレード・検眼レーン・加工室が自店に合うかを確認します。異業種の居抜きだと検眼レーンや加工室を一から作ることになり利点が薄れます。

眼鏡店の移転は、検眼スペースとフレーム陳列と加工室を新店で作り直すことで総額が決まります。フォトスタジオやアパレルと違い、検眼レーンの奥行き、加工室の給排水と電源、フレーム陳列の防犯、フィッティング動線が要なので、旧店の原状回復と新店の内装を別々に頼まず、まず移転先が検眼レーンの奥行きと加工室の給排水と陳列の壁面を成立させられるかを確認したうえで、検眼スペースと加工室を読める店舗内装系の業者にまとめて相見積もりを出すところから始めるのが、最も無駄の少ない進め方です。検眼機器・在庫は内装と別に大きな設備投資になる点も忘れずに見積もります。

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