A工事・B工事・C工事とは|工事区分表の見方・B工事が高い理由と3つの対処法【店舗テナントの実務】

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ビルや商業施設に出店するとき、見積もりを見て最初に驚くのが「B工事」の金額です。「同じ工事をうちの内装会社がやれば半分なのに」——その感覚は間違っていません。ただし、B工事が高いのは「ぼったくり」ではなく構造の問題で、構造が分かれば戦い方があります。本ガイドは、A工事・B工事・C工事の違い、工事区分表の見方と受け取るタイミング、B工事が高くなる理由、そして費用を下げる3つの対処法まで、店舗テナントの実務目線で1ページにまとめました。

📋 30秒でわかる結論

  • A工事=ビルの費用・ビルの業者(躯体・共用部)/B工事=あなたの費用・ビルの指定業者(空調幹線・防災など)/C工事=あなたの費用・あなたの業者(専有部の内装)
  • B工事が高い理由=相見積もりが効かない「競争の不在」+指定業者の監理費。値切りではなく構造で戦う
  • 対処は3つ=①B項目をCに落とす交渉 ②仕様・数量の指定 ③C工事側の会社による見積もり査定(セカンドオピニオン)
  • 区分表は内見の段階で請求——契約書に判を押した後の交渉力はほぼゼロ
  • C区分が多いビルは内装費を抑えやすい物件——物件比較の隠れた判定軸

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A工事・B工事・C工事の違い(4観点の比較表)

工事区分は「誰が発注し」「誰が業者を選び」「誰が払い」「誰の資産になるか」の4観点で決まります。

区分 費用負担 業者の選定 主な対象 テナントの自由度
A工事 ビルオーナー オーナー 躯体・外装・共用部 関与なし
B工事 テナント オーナー指定 ビル設備に関わる部分 低い(ここが問題)
C工事 テナント テナント 専有部の内装 高い(相見積もり可)

注目すべきはB工事です。「払うのはあなた、業者を選ぶのはオーナー」というねじれ——この一点が、テナント工事のトラブルと割高感のほぼすべての源泉です。

どの工事がどの区分?具体例

A工事の例——建物の躯体・外壁、エレベーター、共用部のトイレ・廊下、共用部の消防設備。ビルの資産そのものなので、オーナーの費用・オーナーの業者で行われます。

B工事の例——空調の幹線・室外機まわり、防災設備(感知器・スプリンクラーの移設増設)、分電盤と幹線の容量変更、排気ダクトの共用部接続、防火シャッター・自動ドアまわり。「ビル全体の安全・設備系統に触る工事」はB区分になるのが通例です。

C工事の例——専有部の床・壁・天井の仕上げ、造作・什器、照明器具、電話・LAN配線、店舗内のレイアウト変更。あなたの内装会社が、相見積もりで競争しながら施工できる領域です。

⚠ ご注意:区分の線引きは物件ごとに違います。同じ「間仕切り壁」でも、あるビルではC、防火区画に絡むビルではB——「一般論」ではなく、その物件の工事区分表が唯一の正解です。

工事区分表の見方と「もらうタイミング」

工事区分表とは、工事項目ごとにA/B/Cの区分・費用負担・発注者を一覧化した表で、賃貸借契約書の別表や内装監理基準とセットになっています。見るべきは4点——①B区分の項目数と範囲(多いほど総額が膨らむ)②指定業者と監理費の規定 ③C工事の承認フロー(図面提出・承認期間)④原状回復の範囲(退去時に何をどの区分で戻すか)。

そして最重要がタイミングです。区分表は内見の段階で「工事区分表と内装監理基準をください」と請求してください。契約前なら「この項目をCにできないか」「監理費の率はいくらか」が交渉のテーブルに乗ります。判を押した後の交渉力はほぼゼロ——区分表を見ずに契約することは、金額の書いていない請求書にサインするのと同じです。

B工事が高い本当の理由

B工事の見積もりがC工事の感覚より大きく見えるのには、3つの構造的な理由があります。①競争の不在——業者がオーナー指定なので相見積もりが効かず、価格に競争原理が働きません。②監理費・経費の上乗せ——指定業者やビル管理会社の監理費・諸経費が見積もりに乗ります(工事費の1〜2割程度が乗る例が多く、率は物件の規定次第)。③ねじれによる調整コスト——発注・調整が管理会社経由になり、打ち合わせも変更も一手間ずつ重くなります。

つまりB工事の高さは「業者が悪い」のではなく「競争がない市場の正常な価格」です。だから対処も、値切り交渉ではなく——次章の3つの構造的な戦法になります。

B工事の費用を下げる3つの対処法

戦法①:B項目をC工事に落とす交渉——区分表を見て「ビルの系統に触らない項目」をC化できないか、契約前にオーナー側へ打診します。言い方はシンプルに「この項目は専有部内で完結するので、C工事として弊社手配の業者で施工させていただけませんか。図面は事前承認に出します」。間仕切り・照明・内装仕上げあたりは通る余地が大きい項目です(次章のマトリクス参照)。

戦法②:仕様と数量を指定する——B区分のまま動かせない項目でも、仕様(機器のグレード・型番)と数量はテナントが指定できます。「お任せ」で出てきた見積もりには、過剰グレード・予備的な数量が入りがちです。感知器の移設は「何個」必要か、空調は「何馬力」必要か——根拠を出してもらうだけで金額は動きます。

戦法③:C工事側の会社に査定させる(セカンドオピニオン)——B工事は相見積もりこそできませんが、見積もりを第三者がチェックすることは自由です。あなたのC工事を請ける内装会社に「このB工事見積もり、項目と単価は妥当ですか」と査定してもらう。プロが見れば、重複項目・過剰数量・相場外の単価は一目で分かり、それを根拠に「この項目の数量の根拠を教えてください」と差し戻せます。

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項目別・交渉余地マトリクス

「どの項目ならCに落とせるか」の一般的な傾向です(最終判断は物件の区分表と管理基準で)。

工事項目 通例の区分 C化の交渉余地 ポイント
内装仕上げ(床・壁・天井) C —(元からC) 相見積もりで競争させる本丸
間仕切り壁 B/C混在 ◎ 大きい 防火区画に絡まなければC化しやすい
照明器具 B/C混在 ◎ 大きい 器具支給+取付Cの形も
空調(室内機・専有部) B寄り ○ 物件次第 ビルマルチか個別空調かで分かれる
空調幹線・室外機 B ✗ ほぼ固定 仕様・容量の根拠を出させる
防災(感知器・スプリンクラー) B ✗ ほぼ固定 数量の精査が効く(移設は何個必要か)
分電盤・幹線増設 B ✗ ほぼ固定 容量計算の根拠を確認
給排水(横引き) B/C混在 ○ 中 縦管接続はB、専有部横引きはC余地
排気ダクト(共用部接続) B △ 小 接続部のみBに絞れないか確認
看板(共用部・壁面) B寄り ○ 中 位置と取付方法で区分が変わる

原則はひとつ——「ビルの系統に触るか触らないか」。触らない工事をBに入れている区分表は、交渉の余地そのものです。

業種で変わるB工事の重さ

B工事の総額は業種で大きく違います。重飲食(焼肉・ラーメン・中華)は排気ダクトの系統接続・給排気バランス・防災の増設が重なり、B工事が最も膨らむ業種です——焼肉ラーメンの各ガイドで設備側の事情を押さえると交渉の解像度が上がります。軽飲食(カフェ・バー)は中程度、物販・アパレルはB項目が少なく済みやすい。クリニック・歯科は電気容量とスプリンクラー対応で中〜重です。出店業種のB工事相場観は、飲食店の内装ガイド商業施設テナントの内装ガイドとあわせてどうぞ。

物件選びの逆算|C区分が多いビルは「安い物件」

同じ家賃の2物件があったら、工事区分表でC区分が広いほうが「実質的に安い物件」です。C工事は相見積もりで競争させられるため、同じ工事内容でも総額をコントロールできるからです。物件比較の段階で両方の区分表を取り寄せ、「B項目の数」を並べてみてください——家賃の差より、B工事の差のほうが大きいことは珍しくありません。居抜き物件では、前テナントが残した設備の扱い(どこまでが造作譲渡で、どこからがB工事のやり直しか)も区分表と突き合わせて確認します。

原状回復との関係|区分表は退去費も決める

工事区分表が決めるのは入居時だけではありません。退去時の原状回復——「何を・どの区分の業者が・誰の費用で戻すか」も区分表が根拠になります。B工事で作ったものはB工事(指定業者)で戻すのが通例のため、入口でB区分が広い物件は、出口の原状回復も指定業者価格になります。つまり区分表は「入口と出口、2回効いてくる書類」。契約前に読む価値は、入居時の工事費だけではないのです。

区分に強い内装会社の選び方

ビルイン・商業施設の出店では、内装のセンスと同じくらい「区分まわりの実務力」が会社選びの軸になります。見極めは3つ——①「工事区分表を見せたら、B工事の妥当性をコメントできるか」②「C化交渉やオーナー側との協議に同行した経験があるか」③「ビル・商業施設での施工実績(管理基準・夜間搬入・養生ルールへの慣れ)」。この3つに即答できる会社は、見積もりの安さ以上の金額を、交渉と査定で取り返してくれます。

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よくある質問

Q1. B工事は拒否できますか?
区分自体の拒否は基本的にできません(ビルの安全・系統管理が目的のため)。ただし「どの項目をBにするか」は契約前なら交渉でき、仕様・数量の指定と見積もり査定はいつでも可能です。

Q2. B工事の相見積もりは本当に取れませんか?
業者がオーナー指定のため相見積もりは取れません。代わりに、C工事を請ける内装会社に見積もりを査定してもらい、数量・単価の根拠を差し戻すのが実務上の対抗策です。

Q3. 監理費とは何ですか?
指定業者やビル管理会社が、工事の調整・監督の対価として見積もりに載せる費用です。率は物件の規定によるため、区分表とあわせて契約前に確認してください。

Q4. 工事区分表をもらえない場合は?
「内装の概算が出せないため」と伝えて重ねて請求してください。それでも出ない物件は、入居後の工事・退去時の原状回復で揉れるリスクが高いサインです。

Q5. C工事の「承認」とは何ですか?
C工事はテナントの自由ですが、図面をオーナー・管理会社に事前提出して承認を得るのが通例です。承認に時間がかかる物件もあるため、工程に織り込んでください。

Q6. 居抜き物件にも工事区分はありますか?
あります。前テナントの造作の扱い(譲渡か撤去か)と、設備の改修がどの区分になるかを、区分表と造作譲渡契約の両方で確認してください。

Q7. オフィスと店舗で区分は違いますか?
考え方は同じですが、店舗(特に飲食)は排気・防災・給排水でB項目が増えやすく、総額に占めるB工事の割合が大きくなりがちです。

Q8. 原状回復もB工事になりますか?
B工事で作った部分はB工事(指定業者)で戻すのが通例です。入口の区分表が出口の費用も決めるため、契約前に退去時の規定まで読んでください。

まとめ

工事区分は、①B工事の高さは「競争の不在」という構造 ②対処は値切りでなく「C化交渉・仕様指定・査定」の3戦法 ③区分表は内見で請求し契約前に確定 ④C区分が多いビルは実質安い物件 ⑤区分表は退去費まで決める——この5点で、ビルイン出店の見えない数百万円をコントロールできます。

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