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店舗(テナント)の保証金・敷金は家賃の何か月分か。退去のときにいくら戻るのか。契約の前に何を確かめ、どこを交渉できるのか。法令と公的な資料をもとに整理します。
結論|保証金・敷金の相場は、公表例で家賃の6か月〜1年分。資金計画では10か月以上で見ておく
- 目安:家賃の6か月〜1年分(公表例。業種・地域ごとの例は相場の章)。家賃20万円なら、6か月分で120万円・10か月分で200万円・1年分で240万円
- 決め手は4つ:①月数 ②償却の書き方(償却=保証金のうち、契約で決めた分が返らなくなる取り決め。例:解約のときに家賃1か月分、毎年3%)③原状回復の範囲(スケルトン=床・壁・天井の仕上げや設備が無い状態に戻すか)④契約の形(普通の借家か、定期借家=期間が来ると更新されずに終わる契約か)
- 契約のときに払う額:家賃の約15.5か月分。保証金10か月・礼金2か月・前家賃(契約のときに先払いする家賃)2か月に、仲介手数料の上限と、礼金・前家賃の消費税を足した額です(保証料などは別)
- 戻る額:退去のあと、保証金から償却・未払いの賃料・原状回復の費用(保証金から精算する契約のとき)を引いた残り
- 交渉できる所:償却の条件・月数・前家賃・フリーレント(入居のはじめの一定期間、家賃が無料になる取り決め。早く解約したときの扱いとセットで確かめる)
- 名前より中身:保証金も敷金も、未払いの家賃などに充てるために借りる側が預けるお金なら、民法では「敷金」として扱われます(622条の2)
- お金の扱い:原則として契約のときに全額を払い、戻るのは退去のあとです。返さない約束の分(償却・更新料など)は、事業用なら消費税の対象になるとされています(国税庁)
目次
- 1. 保証金と敷金の違い
- 2. 保証金・敷金の相場(月数の目安)
- 3. 物件取得費の内訳と計算
- 4. 償却と、退去のときに戻る額
- 6. 契約の前に確かめること
- 7. 保証金を抑える交渉と資金計画
- 8. 計算の手順とシミュレーター
ほかの2章:5. 消費税と経理の扱い・9. よくある質問(開く)
保証金と敷金の違い|名前が違っても、担保なら民法では「敷金」
要点:名前が「保証金」でも、未払いの家賃などに充てるための担保として預けるお金なら、民法では「敷金」として扱われます(622条の2)。戻るのは明け渡しのあとで、月数・償却・礼金は契約で決まります。
民法は、敷金を「いかなる名目によるかを問わず」、賃料などの債務を担保する目的で借主が貸主に渡すお金と定めています(民法622条の2)。そのため、契約書の名前が「保証金」でも、担保として預けるお金なら、敷金と同じルールで扱われます。
- 戻る時期:賃貸借が終わって物件を明け渡したとき、または貸主の承諾を得て賃借権を譲ったときに、未払いの賃料などを差し引いた残りが戻るとされています(同)
- 借主からは充当を求められない:例えば、保証金を今月の家賃に充てるよう借主から求めることはできません(同2項)
- 月数・償却・礼金は契約で決まる:民法の賃貸借の条文に、「保証金」「償却」「礼金」「更新料」という語は出てきません。民法・借地借家法には、保証金の月数や償却の上限を定めた条文は見当たらず、月数や償却は契約で決まるのが一般的です
- 礼金:返さないことを前提に払うお金です。保証金の一部を「返さない」と決めている契約もあるため、返る額・返る時期・差し引く項目を契約書で確かめます
- 権利金・敷引:権利金は、返還されないことを前提に払うお金です。敷引は、退去のときに保証金・敷金から決まった額を差し引く取り決めです。どちらも契約で決まり、事業用なら返らない分は消費税の対象になるとされています(国税庁 No.6225)
保証金・敷金の相場(月数の目安)|業種・地域の公表例と、立地で確かめること
要点:公表例は家賃の6か月〜1年分です(居酒屋・花屋は約10か月分、エステは6か月〜1年分、飲食店の創業の解説は6〜10か月程度、UR都市機構の店舗と地下鉄の駅の店舗は6か月分)。資金計画は10か月で組み、12か月でも足りるか確かめます。
業種や地域がわかる公表例を並べます。統計ではなく、資料ごとに前提が違う「公表されている例」です。資料は、J-Net21(独立行政法人 中小企業基盤整備機構=中小機構が運営する、中小企業向けの情報サイト)、日本政策金融公庫(日本公庫)の創業の資料、UR都市機構と京都市交通局の募集条件です。
居酒屋(個人事業型・大阪市中央区)
保証金およそ10か月分
花屋(個人・東京都練馬区)
保証金およそ10か月分
エステティックサロン
家賃の6か月から1年分
飲食店の創業の解説(弁護士)
賃料の6〜10か月程度
UR都市機構の店舗(公的な貸主の例)
賃料の6か月分
地下鉄の駅構内の店舗(京都市交通局)
月額賃料の6か月分
日本公庫の創業の手引の記入例:保証金は飲食業で家賃の6か月分、美容業で10か月分(開く)
飲食業の手引の記入例
保証金120万円
美容業の手引の記入例
保証金100万円
この章の出典:J-Net21・日本政策金融公庫・UR都市機構・京都市交通局(開く)
出典:中小機構 J-Net21「居酒屋」「花屋」「エステティックサロン」、日本政策金融公庫「創業の手引+ 飲食業」「創業の手引+ 美容業」「起業家応援マガジン VOL.79」(日本弁護士連合会 ひまわり中小企業センター)、UR都市機構「ご出店について(申込資格・賃貸条件)」、京都市交通局「京都市営地下鉄 今出川駅出店事業者募集要項」(確認日:2026年10月8日)。
業種別・エリア別の月数を示す公的な統計は見当たらないため、上の例は幅の目安として使い、候補の物件ごとに募集条件の数字で計算します(計算の手順とシミュレーター)。契約のときに払う額の合計(礼金・前家賃・仲介手数料・消費税を含む)は「物件取得費の内訳と計算」の章にあります。月数のほかに、次の点を確かめます。
業種で確かめること
担保として預ける保証金・敷金は、未払いの賃料や原状回復の費用などの支払いに充てられるお金です(民法622条の2)。厨房・ダクト・給排水の工事が多い業態は、退去のときの原状回復の工事も大きくなりやすいため、月数だけでなく、償却の条件と原状回復の範囲を合わせて確かめる意味が大きくなります。原状回復の費用の考え方は「原状回復の費用と坪単価」で扱っています。入居のときの内装を、退去のときに戻しやすい作りにしておく考え方もあるため、物件を決める前に内装会社と相談しておくと比べやすくなります。
押すと入力の画面に進みます(相談無料・会員登録不要)。物件が決まる前でも、入力の画面の「物件の取得状況」で「検討中・現在探している」を選べます。
立地・物件で確かめること
同じ地域でも、駅前か住宅地か、路面(1階)か2階以上か、スケルトン貸しか居抜きかで、募集条件は物件ごとに違います。UR都市機構の店舗のように、スケルトン貸しで退去時は原状回復、契約は定期建物賃貸借を標準とする貸主もあります(UR の公表条件)。月数だけで比べず、償却・原状回復・契約の形をそろえて比べます。
住宅の敷金との違い
住宅の敷金の決まり(月数・原状回復のガイドライン・消費者契約法・仲介手数料の上限)は、店舗の契約にはそのまま当てはまりません。店舗の家賃は消費税の対象です。
住宅の敷金との違い5つ:月数・原状回復・消費者の保護・消費税・仲介手数料(開く)
- 月数:UR の公表条件では、店舗は6か月分、住宅付店舗の住宅部分は2か月分です
- 原状回復:国土交通省の原状回復のガイドラインは「民間賃貸住宅を想定」したもので(国交省)、店舗の契約にそのまま当てはまるものではないとされています。店舗では、退去時にスケルトンに戻す条件が多いとする解説があります(日本公庫の資料)
- 消費者の保護:消費者契約法の「消費者」から、事業として又は事業のために契約の当事者となる個人は除かれています(消費者契約法2条1項)。開業のために店舗を借りる契約は、一般に「事業のため」の契約に当たるとされ、原則としてこの保護の外と考えられます(最終的には個別の事情で判断されます)
- 消費税:住宅の家賃は原則非課税ですが、事務所・店舗などの家賃は課税の対象です(国税庁 No.6225)
- 仲介手数料:居住用の建物だけに、借主・貸主の一方から受け取れる額の上限(賃料の0.55か月分・税込。依頼者の承諾がある場合を除く)があります(国交省)。店舗には、この一方からの上限は当てはまりません
店舗内装を
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物件取得費の内訳と計算|保証金・礼金・仲介手数料・前家賃
要点:契約時に払うのは、J-Net21 の居酒屋・花屋の例で家賃の14か月分(保証金10・礼金2・前家賃2)。仲介手数料の上限(家賃1か月分×1.1)と礼金・前家賃の消費税を足すと約15.5か月分(保証料・火災保険料・造作譲渡料は別)。
物件取得費は、主に契約のときに払うお金です。月数は物件ごとに違うため、募集条件で確かめて足します。
物件取得費の式
物件取得費 = 保証金・敷金(家賃×月数)+礼金(家賃×月数)+前家賃(家賃と共益費・管理費の月数分)+仲介手数料+保証会社の保証料・火災保険料など+(居抜きなら)造作譲渡料
保証金の月数が家賃だけにかかるのか、共益費・管理費も含めるのか、税抜か税込かは、募集条件と契約書で確かめます。保証金・敷金のうち返還される分は預け金なので消費税の対象外、返さない礼金と事業用の家賃(前家賃)は課税の対象とされています(国税庁 No.6225。償却など返さない分は消費税と経理の扱いへ)。
- 保証金・敷金:家賃×月数。戻る予定のお金でも、原則として契約のときに全額を払うので(分割できるかは物件しだい)、開業資金に全額を入れます
- 礼金:返さないお金。事業用なら消費税の対象になるとされています(国税庁 No.6225)
- 仲介手数料:国交省は、原則として、不動産会社が貸主・借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計を「1ヶ月分の賃料×1.1倍の金額」以内と案内しています(国交省)。この賃料は消費税を含まない額で、店舗では借主がこの上限まで払う取り決めもあり得ます。店舗など住宅以外の賃貸借で返されない権利金(名前は問わない)を払う場合は、その額を売買の代金とみなして計算できる特例があります。長く使われていない物件(長期の空家等)の特例は貸主から受け取る分を増やせるもので、借主から受け取る額は賃料1か月分×1.1以内のままとされています(国交省の報酬の告示)。額と計算のしかたは不動産会社に確かめます
- 前家賃:契約のときに先払いする家賃。J-Net21 の居酒屋のガイドは「前家賃(契約月と翌月分)」と書いています(J-Net21)。契約月が日割りなら、2か月分より少なくなります。工事の期間の家賃を無料にするフリーレントの有無も見ておきます
- 保証会社の保証料・火災保険料:募集条件で確かめて足します
- 造作譲渡料:居抜きで前の店の内装・設備を買い取る費用です。買い取っても、退去のときのスケルトン費用は借主が負担するとする解説があります(日本公庫の資料)
店舗内装ドットコムに届いたご相談では、物件の状態が「検討中・現在探している」か「申し込み中」の相談が6割を超え、多くが物件の契約前でした(2026年10月7日時点の集計)。契約の前なら、保証金の条件と一緒に、内装の工事の範囲や退去のときの原状回復を内装会社と確かめられます。内装会社に相談する(無料)
開業費用の全体(内装・設備・運転資金)の積み上げ方は「店舗開業費用はいくら?」で扱っています。
償却と、退去のときに戻る額|差し引かれるもの・戻る時期
要点:戻るのは明け渡しのあとで、保証金から償却(例:年3%・解約時1か月)・未払いの賃料・原状回復の費用(保証金から精算する契約のとき)を差し引いた残りです。
保証金から差し引くべき借主の債務が無ければ、全額が借主に返還されるべきものですが、「保証金の償却」がある物件もあります(日本公庫の資料)。同じ資料は、償却の条件の例として「保証金の償却:年3%」「解約時償却1か月」を挙げ、こうした条件があると借主の債務が無くても保証金が目減りするとしています。
戻る見込み額の考え方
戻る見込み額 = 保証金 − 償却の額 − 未払いの賃料など − 原状回復の費用(貸主側が工事をして保証金から差し引く契約のとき)
原状回復を自分で工事会社に頼んで払う契約なら、その費用は保証金から引かれず、工事代金を別に用意します。償却の額は契約の書き方で決まります。「解約時償却1か月」なら家賃の1か月分、「年3%」なら何に対して3%かと、何年分かを契約書で確かめて計算します。
- 戻る時期:物件を明け渡したあとです(民法622条の2)。返還の時期・方法(明け渡しの何か月後か、振込か)を契約書で確かめます
- 原状回復:民法は、通常の使用で生じた損耗と経年変化を原状回復の対象から除いています(民法621条)。ただし店舗の契約では、退去時にスケルトンに戻す条件など、契約の特別な取り決め(特約)で借主の負担を広げていることが多いとする解説があります(日本公庫の資料)。保証金から精算する原状回復の費用が保証金を上回ると、足りない分を請求されることがあります
- 工事の会社の指定:ビルの設備にかかわる工事(B工事)や原状回復を、ビル側が指定する会社が行う決まり(指定業者)があると、相見積もりが効きにくくなることがあります。工事の区分は「工事区分(A・B・C工事)」で確かめます
- 開業後の資金に当てにしない:戻るのは退去のあとで、額も差し引きで変わります
原状回復の範囲と精算の流れ(自分で工事を頼む形と、保証金から差し引く形)は「原状回復の費用と坪単価」と「テナント契約の注意点」で詳しく扱っています。入居の工事と退去の工事の区分は、内装の見積もりの段階で確かめておけます。
消費税と経理の扱い|返さない分は課税、繰延資産になることも
要点:返さない分(償却・礼金・更新料)は事業用なら消費税の対象、返る保証金・敷金は対象外とされています(国税庁 No.6225)。権利金などは、法人税では原則5年に分けて経費にする繰延資産とされます(税でいう償却で、保証金の償却とは別)。
国税庁は、事業用の建物の賃貸借の契約や更新に伴う保証金・権利金・敷金・更新料などのうち、返還しないものは課税の対象、契約の終了で返還される保証金や敷金は課税の対象にならないとしています(国税庁 No.6225)。つまり、償却で差し引かれる分や礼金・更新料は、事業用なら消費税の対象になると考えられます。見積もりや契約書の金額が税込か税抜かも確かめます。
建物を借りるために払う権利金などは、法人税では繰延資産(払った額を何年かに分けて経費にするもの)とされ、償却の期間は原則5年とされています(法人税基本通達8-1-5・8-2-3)。返さない保証金がこれに当たるかは契約の中身によるため、消費税も含めて、個別の扱いは税理士に確かめてください。
契約の前に確かめること|定期借家・物件の売買・居抜きの譲渡・更新
要点:契約書で、月数と返還の時期・償却の書き方・原状回復の範囲と払い方・契約の形(定期借家は途中でやめるときの条件)の4つを先に確かめます。フリーレント・更新料・物件が売られたときなどは下の箱に。
契約書で確かめること
- 月数と、返還の時期・方法:明け渡しのあと、いつ・どうやって戻るか
- 償却の書き方:年○%か、解約時○か月か、何に対してか
- 原状回復の範囲と払い方:スケルトンに戻すか、通常の損耗も借主の負担か、工事をする会社の指定(指定業者・B工事)があるか、自分で工事を頼むか保証金から差し引くか
- 契約の形:定期建物賃貸借(定期借家)は、期間が満了すると更新されずに終わる契約です(借地借家法38条)。同条7項で途中の解約の申入れが認められているのは、居住用で床面積200㎡未満の建物で、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情があるときとされています。事業用の店舗はこれに当たらないとされるため、途中でやめるときの条件(中途解約の条項・違約金・保証金からの差し引き)を契約で確かめます
ほかに確かめる6つ:フリーレント・更新料・更新・物件が売られたとき・居抜きで譲るとき・契約の時期(開く)
- フリーレントの条件:UR都市機構の店舗のフリーレント(最大6か月)は、使用開始日から3年が経過する日までに契約を解除すると、フリーレント期間の賃料に相当する額を敷金から差し引くとしています(UR の公表条件)。フリーレントの付く物件は、早く解約したときの扱いを確かめます
- 更新料の有無:返さないお金で、事業用なら消費税の対象になるとされています
- 更新したとき:期間の満了のあとに更新が推定される場合も、敷金は担保として残るとされています(民法619条2項)
- 物件が売られたとき:建物の引渡しを受けていれば、物件が売られても、敷金(担保として預けたお金)を返す義務は新しい貸主に引き継がれるとされています(民法605条の2・借地借家法31条)。担保とは別の性格を持つ保証金(建設協力金のようなもの)は扱いが違う場合があるため、契約書で性格を確かめます
- 居抜きで店を譲るとき:貸主の承諾を得て賃借権を譲ると、未払いの債務を差し引いた敷金の残りが元の借主に戻るとされています(民法622条の2第1項2号・612条)。新しい借主の保証金は、改めて決まります。居抜き物件を引き継ぐときの確かめ方は「居抜き物件の選び方と造作譲渡料」へ
- 契約の時期:原則として、2020年4月1日より前に結んだ契約は改正前の民法が適用され、敷金について新しく設けられた622条の2は適用されないとされています。施行日のあとに合意で更新した契約は、新しい民法が適用されるとされています(法務省)
契約条項の読み方(償却・敷引・定期借家・保証人)は「テナント契約の注意点」で扱っています。契約の前の物件でも、図面と募集条件があれば内装の相談ができます。
保証金を抑える交渉と、資金計画への入れ方
要点:交渉できるのは、償却の条件・月数・前家賃・フリーレント(早く解約したときの扱いとセット)です。資金計画では、保証金を契約のときに全額払う前提で入れ、戻るお金は退去のあとと考えます。
- 償却の条件を外す交渉:日本公庫の資料(弁護士の解説)は、償却の条件を外してもらえないか交渉することを挙げています
- 月数・前家賃・フリーレント:月数の引き下げや、工事の期間の家賃(フリーレント)を相談します。フリーレントは、早く解約したときの扱いとセットで確かめます。家賃の交渉は「店舗の家賃交渉とフリーレント」へ
- 居抜きの造作譲渡料:買い取る設備と、退去のときの原状回復の範囲を分けて確かめます
資金計画では、保証金を契約のときに全額払う前提で開業資金に入れ、戻るお金は退去のあとと考えます。融資を使うなら、融資の実行が物件の契約の支払いに間に合うかも確かめます。
物件の契約の前に、内装の工事の範囲と、退去のときの原状回復を内装会社と確かめておくと、保証金を含めた資金計画が立てやすくなります。店舗内装ドットコムでは、一度の入力で、事務局が候補の会社に1社ずつ対応できるかを確かめ、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。
押すと入力の画面に進みます。
自分の物件で計算する手順とシミュレーター|契約時に払う額と戻る見込み
要点:契約のときに払う額は「保証金+礼金+前家賃+仲介手数料+保証料など」、退去のときに戻る見込みは「保証金−償却−保証金から精算する原状回復の費用」で出します。下のシミュレーターは、家賃と広さを書き換えるだけで両方を出します。
シミュレーターは、居酒屋の公表例の数字(家賃月20万円・10坪・保証金10か月・礼金2か月・前家賃2か月・解約時償却1か月・原状回復 坪10万円)で開きます。業種や物件が違うときは、候補の物件の数字に書き換えてください。家賃を空にすると家賃の何か月分になるかを、原状回復の見積もりがあればその額で戻る見込みを出します。数字の出どころは、シミュレーターのすぐ下の箱にまとめています。
シミュレーターの既定値の出どころ(出典と日付)(開く)
- 家賃 月20万円:日本公庫「創業の手引+ 飲食業」(令和7年9月)の記入例の家賃。J-Net21 居酒屋(大阪市中央区・10坪・居抜き)の運転資金例の物件賃貸費 約15〜20万円の上側です
- 広さ 10坪:J-Net21 居酒屋の例の広さ
- 保証金 10か月・礼金 2か月:J-Net21 居酒屋(2024年8月30日)・花屋(2025年1月17日)の「およそ10カ月分」「およそ2カ月分」。公表例の月数は6か月〜1年分で、日本公庫の飲食業の記入例は保証金120万円(同じ記入例の家賃 月20万円の6か月分)です。このシミュレーターは、資金計画用に10か月で開きます
- 前家賃 2か月:J-Net21 の「前家賃(契約月と翌月分)」。契約月が日割りなら、2か月分より少なくなります(2か月は多めの見込み)
- 償却 解約のときに家賃1か月分:日本公庫の資料(起業家応援マガジン VOL.79・2017年1月)が例に挙げる「解約時償却1か月」
- 原状回復 坪10万円:例が居酒屋のため、施工会社が公表している目安「重飲食店舗(設備・配管・ダクトが多い)10万円前後」(貝沼建設株式会社・名古屋エリア・2026年2月27日)。店舗の原状回復全般では坪3万〜8万円とする施工会社の公表(株式会社ゆみき建設・兵庫県高砂市・2026年9月9日。「坪単価は概ね3〜8万円が一般的」)もあり、油を多く使う飲食店の跡は工事が増えるとしています(原状回復の費用と坪単価)
- 仲介手数料:空欄なら原則の上限(消費税を含まない家賃の1か月分×1.1。国交省)で計算します。権利金のある取引などは計算が違うことがあります
- 礼金・前家賃の消費税:事業用の家賃や返さないお金は消費税の対象、返る保証金・敷金は対象外とされています(国税庁 No.6225)
- 募集条件から、家賃・保証金(敷金)の月数・礼金の月数・償却の条件・更新料を書き出す
- 物件取得費を出す:物件取得費の式(上の章)で、保証金・礼金・前家賃・仲介手数料・保証料などを足す。事業用なら、礼金・前家賃は消費税を足して考える
- 退去のときの差し引きを見込む:償却の額(契約の書き方で計算)。原状回復を貸主側が工事して保証金から差し引く契約なら、その費用(スケルトンに戻すなら、その工事の見積もり)も
- 戻る見込み額を出す:保証金 − 償却の額(− 保証金から差し引かれる原状回復の費用)。自分で工事会社に払う契約なら、原状回復の工事代金は別に用意する
- 返さない分(礼金・償却・更新料)に消費税がかかるか、税込・税抜をそろえる
- 複数の物件を、月数ではなく「払う額」と「戻る見込み」で比べる
原状回復の費用は、物件の状態と工事の範囲で大きく変わります。退去の条件を内装の工事と一緒に考えておくと、入居のときの内装の作り方(撤去しやすさ)も決めやすくなります。内装会社に相談する(無料)
物件取得費のあとにかかる費目(公表例)
J-Net21 居酒屋(10坪・居抜き)
合計 約530〜830万円
日本公庫 飲食業の手引の記入例
合計1,000万円
- 設計料:J-Net21 のカフェの例(J-Net21 カフェ・2024年7月10日)は「内装工事費:設計費も含む」と書いています。設計を別に頼むなら、見積書で分けて確かめます(店舗デザイン費用・設計料の相場)
- 見積もりで確かめる費目:予備費(工事中の追加・変更)、許可・届出の手数料と図面、ビル側が指定する工事(B工事)。額は物件と業種で変わるため、見積書と窓口で確かめます
- 内装・設備・運転資金まで積み上げる計算は「開業資金の内訳の計算」、開業総額から内装に使える予算を出す考え方は「店舗開業費用はいくら?」にあります
よくある質問
Q. 店舗の保証金は家賃の何か月分ですか?
公表例では家賃の6か月〜1年分で、居酒屋・花屋の例はおよそ10か月分です。業種・地域ごとの例と出典は、このページの「保証金・敷金の相場(月数の目安)」の章に並べています。統計ではないので、資金計画では10か月以上で見ておき、最後は物件ごとの募集条件で計算します。
Q. 契約のときに払うお金(物件取得費)は、家賃の何か月分ですか?
中小機構の J-Net21 の居酒屋・花屋の例では、物件取得費が家賃の14か月分です(保証金およそ10か月・礼金およそ2か月・前家賃は契約月と翌月分)。仲介手数料の上限(家賃1か月分×1.1・国交省)と、事業用の礼金・前家賃の消費税を足すと約15.5か月分になります。保証料・火災保険料・造作譲渡料などは別です。
Q. 保証金と敷金の違いは何ですか?
民法は、名前を問わず、賃料などの債務を担保するために借主が渡すお金を「敷金」と定めています(622条の2)。契約書の名前が保証金でも、担保なら敷金と同じルールで扱われます。返さない部分を決めている契約もあるため、契約書で確かめます。
Q. 保証金は退去のときに全額戻りますか?
明け渡しのあと、未払いの賃料などを差し引いた残りが戻ります。原状回復を貸主側が行って保証金から精算する契約なら、その費用も差し引かれ、自分で工事会社に払う契約なら、工事代金を別に用意します。「年3%」「解約時1か月」などの償却の条件があると、債務が無くても目減りします。店舗はスケルトンに戻す条件が多いとする解説もあり、保証金から精算する原状回復の費用が保証金を上回ることもあります。
Q. 償却とは何ですか?
保証金のうち、契約で決めた分が返らなくなる取り決めです。日本公庫の資料(弁護士の解説)は、例として「保証金の償却:年3%」「解約時償却1か月」を挙げ、償却の条件を外してもらえないか交渉することも検討するよう勧めています。
Q. 返らない保証金に消費税はかかりますか?
事業用の建物の場合、保証金・権利金・敷金・更新料などのうち返還しないものは消費税の対象とされ、返還される保証金や敷金は対象にならないとされています(国税庁 No.6225)。個別の扱いは税理士に確かめてください。
Q. 物件の持ち主が変わったら、保証金はどうなりますか?
建物の引渡しを受けていれば、物件が売られても、敷金(担保として預けたお金)を返す義務は新しい貸主に引き継がれるとされています(民法605条の2・借地借家法31条)。担保とは別の性格を持つ保証金は扱いが違う場合があるため、契約書で確かめます。
Q. 保証金は交渉で下げられますか?
物件と貸主しだいです。日本公庫の資料(弁護士の解説)は、償却の条件を外してもらえないか交渉することを挙げています。月数や前家賃、フリーレントも相談できますが、フリーレントは早く解約したときに敷金から差し引く条件が付くこともあります(UR の公表条件の例)。
Q. 住宅の敷金と何が違いますか?
UR の公表条件では店舗の保証金は6か月分、住宅部分の敷金は2か月分です。国交省の原状回復のガイドラインは民間賃貸住宅を想定したもので、事業として又は事業のために契約する個人は原則として消費者契約法の消費者に当たらず、事業用の家賃は消費税の対象とされています。住宅向けの説明を店舗にそのまま当てはめないようにします。
まとめ|店舗の保証金・敷金で先に決めること
- 月数の公表例は家賃の6か月〜1年分(例の一覧は相場の章)。資金計画では10か月以上で見ておき、最後は物件ごとの募集条件で決まる
- 名前が保証金でも、担保なら民法では敷金。戻るのは明け渡しのあとで、未払いの賃料・償却と、保証金から精算する原状回復の費用が差し引かれる
- 原則として契約のときに全額を払う。返さない分(礼金・償却・更新料)は、事業用なら消費税の対象とされる
- 契約前に、償却の書き方・原状回復の範囲と払い方(スケルトンか・指定業者か・保証金から差し引くか)・定期借家の途中解約・フリーレントの条件を確かめる
保証金の条件と一緒に、内装の工事と退去のときの原状回復まで見込むと、物件を比べやすくなります。業種と物件の状態から相談できます。
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この記事について(運営者情報)
店舗内装ドットコム編集部(運営:株式会社BPBコンサルティング)が作成・更新しています。法令は e-Gov の条文(民法・借地借家法・消費者契約法)、税は国税庁、原状回復のガイドラインと仲介手数料(案内・報酬の告示)は国土交通省、民法改正の経過措置は法務省、月数の例は中小機構の J-Net21(エステティックサロン・居酒屋・花屋・カフェ)、日本政策金融公庫の資料(弁護士の解説・創業の手引+の記入例)と UR都市機構の公表条件で確かめています(確認日:2026年10月8日)。
個別の契約の判断は、契約書の条文と、必要に応じて弁護士・税理士などの専門家に確かめてください。
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