契約前の
契約時の現金は保証金の月数で大きく変わり、家賃20万円・保証金10か月なら310万円(うち200万円は返還予定)の例です。工事区分と原状回復まで確かめて、対応できる内装会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
店舗を借りる前に、賃貸借契約と工事条件を確認しましょう。内装工事の予算は店舗内装の費用相場ガイド、A/B/C工事の全体像はA工事・B工事・C工事の違い完全ガイドをご覧ください。
30秒で結論
家賃だけで物件を決めず、①いつ・いくら支払うか ②何が返還されるか ③どの工事を負担するか ④いつ・どの条件で退去できるかを、契約書と工事区分表・見積書でそろえます。
- 契約時の現金は保証金の月数で大きく変わります。家賃20万円・保証金10か月(礼金・前家賃各2か月、仲介手数料は上限)なら310万円(礼金・前家賃・仲介手数料は消費税込み)、うち200万円は返還予定です(保証金の計算)。
- 内装工事費は10坪の居酒屋で居抜き約275万〜350万円、スケルトンから約500万〜600万円(1社の公表坪単価の中央〜上限。厨房機器・設計料は別。費用相場ガイド)。
条項の効力や紛争の判断は弁護士へ、工事範囲と金額は貸主・管理会社と内装会社へ確認します。
テナント賃貸借契約の全体像──住宅契約と違う4論点
店舗を借りるときは、賃料に加えて営業に使える条件と、入退去に伴う負担を確認します。住宅向けの敷金や原状回復の説明を、そのまま店舗の契約に当てはめないことが大切です。
① 保証金・敷金
② 原状回復
③ 工事区分
④ 解約・契約終了
保証金が少ない物件でも、設備の増強や厳しい原状回復条件があれば負担は増えます。反対に、保証金が大きくても、その全額が契約時に消費される費用とは限りません。必要な現金と、返還されない負担を分けて比較します。
物件比較は同じ期間・同じ工事条件で
契約時の預け金と費用、営業中の賃料・共益費、内装工事、退去時の費用を分けます。返還金は金額と時期が確認できるまでは支払原資に充てず、未確認の項目をゼロとして扱わないでください。
事業用という理由だけで、契約書にある特約がすべて有効になるわけではありません。法律の基本ルール、個別の契約内容、その適用関係を確認します。条項の効力や紛争の判断が必要な場合は弁護士へ、工事範囲と金額は貸主・管理会社と内装会社へ相談します。
テナント契約の流れ──申込・入居審査から引渡しまで
店舗の賃貸借は、申込書を出せばすぐ契約できるものではありません。申込→入居審査→条件の確認→契約・引渡しの順に進み、段階ごとに出す書類と払うお金が変わります。内装の見積もりと開業日は、この順番に合わせて組み立てます。
申込書は借りる意思を示す書類で、出しただけでは通常まだ賃貸借契約は成立していないとされます。審査の間に、内装会社へ物件図面と工事区分表を渡して工事の範囲と概算を確かめておくと、契約の前に「この物件で予算に収まるか」を判断できます。
申込み・予約・本契約を分けて確認
本契約前でも、申込金・予約契約保証金や辞退時の負担が定められることがあります。例えばURの公表条件では予約契約と本契約の段階が分かれています。自分の取引でも、どの書類への合意で何の支払いが生じるか、返還条件を先に確かめてください。
公表例:UR の店舗の標準的な流れ(UR「お申込みから開店までの流れ」)
- 申込書と必要書類の提出
- 書類審査(必要に応じて実態調査)。結果は申込書の受付からおおむね3週間
- 予約契約(予約の後に辞退すると、予約金相当額の違約金)
- 内装・設備の図面の申請(承諾の可否はおおむね2週間)
- 本契約(予約契約から原則3か月以内、内装工事開始日の前日まで)。賃料は原則として内装工事開始日(使用開始可能日)から発生
事業者固有の例:UR「ご出店について・賃貸条件」。他の物件に同条件を適用するものではありません。
入居審査で見られる点と必要書類
審査の基準と必要書類は貸主ごとに違い、民間の貸主は基準を公表していないことが多くあります。公的な貸主が公表している募集要項から、求められる書類と審査の項目の例を挙げます。
- 法人の書類:直近の決算報告書(純資産・負債・経常利益・売上高が分かるもの)、法人登記事項証明書、納税証明書、会社概要、役員に関する調書(名古屋市交通局の駅構内店舗の例。証明書は発行から3か月以内)。
- 個人の書類:履歴書、住民票の写し、資金計画書(銀行の残高証明書などを添付)。事業を営んでいる場合は、確定申告書の控えと納税証明書も(同じ例)。
- 出店の計画:事業提案書・店舗の平面図・必要な電気容量(同じ例)。出店資金の調達計画と損益計画、類似店舗の実績(京都市交通局の地下鉄駅の店舗の例)。
- 誓約書:暴力団排除条例に関する誓約書など(京都市交通局の例)。
- 評価の項目:京都市交通局の例では、提案賃料(収益性)、集客性、経営の健全性(財務の安定性)と事業の規模・実績などを点数で審査し、税の未納がある者などは応募できないとしています。
民間の物件でも、事業計画や資金の裏付け、連帯保証人や保証会社の条件を確かめられることがあります。何を出し、結果まで何日かかるかは、申込の前に仲介会社・管理会社に確かめましょう。出典:名古屋市交通局「駅構内店舗出店者募集要項」(令和8年4月)、京都市交通局「地下鉄今出川駅構内店舗 出店事業者募集要項」(令和8年8月)(確認日:2026年10月8日)。
契約前の
契約時の現金は保証金の月数で大きく変わり、家賃20万円・保証金10か月なら310万円(うち200万円は返還予定)の例です。工事区分と原状回復まで確かめて、対応できる内装会社を事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
普通借家契約と定期借家契約の判断軸
選ぶときの軸は、更新の仕組み、中途解約の条件、投資を回収できる営業期間です。定期借家だから安い、普通借家だからいつでも解約できるとは限りません。
普通借家契約
定期借家契約
定期借家は「期間」だけでなく成立手続きを確認
定期借家には所定の書面等による契約と、更新がなく期間満了で終了することについての事前説明が必要です。事前説明に用いる書面は契約書と別に必要で、電子での提供等にも条件があります。契約書の表題だけで定期借家と判断しないでください。
期間が1年以上の定期借家では、貸主から期間満了の1年前から6か月前までの終了通知が必要です。この貸主の終了通知と、借主が退去するための解約予告は別の手続きです。詳細は国土交通省「定期借家制度」パンフレット(令和6年11月)で確認できます。
この期間内の通知がなく、その後に通知された場合、貸主は通知の日から6か月を経るまでは契約の終了を借主に主張できません。その間も従前と同様に賃料を支払います。通知の遅れを、自動更新や賃料免除とは捉えないでください。根拠:国土交通省の定期借家Q&A・Q10〜Q12。
再契約がなくても成り立つ資金計画にする
内装の着工日、営業開始日、契約終了日を並べます。工事や許認可の準備期間には売上が立たなくても賃料等が発生し得るため、契約年数と営業できる年数は同じではありません。再契約なしの場合の撤去費・移転費まで試算し、再契約を前提にしなければ返済できない計画は見直します。
長期営業を希望するなら更新・再契約の条件を重視し、期間限定の出店なら投資額と撤去条件を重視します。普通借家でも営業継続が無条件で保証されるわけではなく、業種や投資額だけで契約形態を決めることはできません。
初期費用の構成と保証金の相場
初期費用を「家賃の何か月分」とまとめる前に、返還予定の預け金、返還されない費用、対象月が決まった前払いに分けましょう。保証金の月数や償却条件には物件差があり、本ページでは全国共通の相場月数を置きません。保証金・敷金の月数の公表例と、償却・返還の時期の確かめ方は「店舗の保証金・敷金の相場」で確認できます。
保証金・敷金
返還予定の金額でも、契約時には現金が必要です。償却・敷引き、未払い金や原状回復費の控除、返還期限を確認します。保証会社に払う保証料とは別の項目です。
礼金・仲介手数料など
請求書ごとに金額、税、支払先、返還条件を確認します。仲介手数料は法令上の報酬規制と合意額を照合し、「必ず借主が1か月分払う」とは扱いません。
前家賃・日割賃料
何月何日から何日までの支払いかを記録します。同じ月の賃料を、初期費用と運転資金の両方に足さないようにします。共益費も対象期間をそろえます。
税と返還条件を分けた計算例
公表例の値を使った計算です(実際の募集条件や相場ではありません)。家賃(税抜)20万円、保証金10か月分・礼金2か月分・前家賃2か月分、仲介手数料は国の告示の上限まで借主が払う場合です。保証金の償却(解約時に家賃1か月分などの例)は退去のときに差し引かれるため、契約時の支払には入りません。
20万円 × 10か月。返還予定の預け金。
税抜40万円(2か月分)+ 消費税4万円。返さないお金。
上限は原則、不動産会社が貸主・借主から受け取る合計で賃料1か月分×1.1(消費税込み)。この例は借主が上限まで払う場合で、法定の一律料金ではありません。
税抜40万円 + 消費税4万円。契約月と翌月の賃料を先に支払います(日割りなら少なくなります)。
値の出典:家賃=日本政策金融公庫「創業の手引+ 飲食業」(令和7年9月)の PDF 13ページの記入例(税の別の記載は無く、この計算では税抜として扱います。中小機構 J-Net21 の居酒屋〔大阪市中央区・10坪・居抜き〕の運転資金例の物件賃貸費 約15万〜20万円の上側)/月数=J-Net21 の居酒屋(2024年)・花屋(2025年)の物件取得費の記載。礼金・前家賃・仲介手数料には消費税10%を含みます。
310万円のうち200万円は返還予定の預け金です。課税対象外の保証金を含むため、310万円全体にさらに消費税を加えません。礼金・仲介手数料と前家賃も、費用の性質と対象時期が異なります。月数や家賃を自分の物件の数字に変えて計算するなら、店舗の保証金・敷金の相場の計算機で、契約時に払う額と退去のときに戻る見込みを出せます(既定値はこの例と同じです)。
店舗賃料や、事業用建物の賃貸借に伴う権利金・保証金・敷金・更新料などのうち返還しないものは原則課税対象、契約の終了で返還する保証金等は課税対象外とされています。償却部分の扱いは契約内容で分けます。根拠:国税庁 No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」(令和8年4月1日現在法令等)。仲介手数料は、原則として不動産会社が貸主・借主の双方から受け取る合計が借賃(消費税を含まない額)の1か月分×1.1以内とされ(国土交通省の報酬の告示・第四)、返さない権利金がある店舗などの取引では、権利金の額を売買代金とみなして計算する方法もあります(同・第六)。仲介の報酬規制は国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」で確認できます。
この4項目の外で、契約の段階で確かめる費目は次のとおりです。不要と確認できたもの以外は、請求条件が判明するまで未定として別に管理します。会計上の費用計上時期と、この現金支払額の計算も区別します。
- 日割調整・共益費・鍵交換:賃料が発生する日と日割り、共益費の額と対象期間、鍵交換の有無を、募集条件と請求書で確かめます。
- 保証会社の保証料と保険:保証会社の初回・更新保証料、火災保険・賠償責任保険の加入条件(貸主の指定の有無)。J-Net21 の居酒屋の運転資金例(個人事業型)では、保険費が月約1万円です。
- 指定業者の B工事:ビル側が業者を指定する工事は、範囲と見積もりを貸主・管理会社から受け取ります。一律の公的な目安は無いため、工事区分表で範囲をそろえて見積書で確かめます。
- 内装工事:10坪の居酒屋なら、居抜きで約275万〜350万円、スケルトンからで約500万〜600万円(京都・関西の施工会社1社〔コトスタイル〕の公表坪単価〔居抜き20万〜35万円・スケルトン40万〜60万円〕の中央〜上限×10坪。店舗内装の費用相場ガイド)。面積に比例しない費用があるため、小さい店ほど坪単価は高めに出るとされます。同じ J-Net21 の居酒屋の例〔10坪・居抜き〕では内外装工事 約200万〜300万円、飲食店全般で坪60万〜100万円〔10坪で600万〜1,000万円〕とする設計会社の公表例もあり(10坪の店舗内装費用のページ)、仕様と設備で大きく開きます。
- 設計料:工事費の10〜15%程度とする施工会社の公表例があります(同じガイドに出典)。施工会社の坪単価に含まれるかを見積書で確かめます。
- 什器と設備:J-Net21 の居酒屋の例(個人事業型)では、業務用設備費が約30万〜100万円、備品・消耗品費が約70万〜110万円です。飲食店では厨房設備だけで100万〜300万円以上かかるケースもあるとする施工会社の公表例もあります(同じガイドに出典)。
- 申請・届出:営業許可などの手数料と、申請に使う図面の費用。業種と所在地で違うため、所管の窓口で確かめます。
- 予備費:工事中の追加・変更や、調べても決まらない工事に備えて別に置きます。未定の項目を残したまま「総額」と呼ばないようにします。
- 造作譲渡代・運転資金:居抜きで設備を買い取る代金と、開業後の運転資金。開業費用の総額と内装に回せる予算は「店舗開業費用はいくら?」で整理できます。
保証金は「全額戻る」「戻らない」の二択にしない
償却・敷引きが保証金の内数なら、預入額に同じ金額をもう一度足しません。償却と原状回復費が別々に控除されるのか、償却に含まれるのかを確認します。返還予定額だけでなく精算明細と支払期限を契約書に照合し、次の物件の保証金を払う日までに戻るとは決めつけないでください。
契約期間と更新の標準
契約期間の長さだけでは、店舗を使い続けられる条件も総負担も分かりません。開始日・満了日、更新または再契約の手続き、賃料の発生日をそれぞれ確認します。
- 契約開始と引渡し:鍵を受け取れる日、工事に入れる日、賃料・共益費が発生する日。
- 普通借家の更新:契約上の手続き、更新料の有無・算定基準・支払時期、更新後の期間。
- 定期借家の満了:貸主の終了通知、再契約の協議時期、再契約が成立しない場合の明渡し。
- 賃料改定:改定条項、算定方法、通知・協議の手続き。契約形態により扱いが異なる点。
- 中途解約:更新・再契約とは別に、借主が途中で終了できる条件を確認。
定期借家の再契約では新たな契約手続きが必要ですが、保証金を必ず返還して全額再預入するとは限りません。預け金の引継ぎ、追加の礼金・手数料、内装を継続利用できる範囲は合意内容を確認します。国土交通省の定期借家制度パンフレット・Q6も参照してください。
契約期間を「内装費 ÷ 月の利益」だけで決めない
収支計画では開業前の無売上期間、税金、借入返済、設備の更新、契約終了時の支払いまで確認します。利益と手元資金は同じではありません。再契約や保証金返還がなくても支払えるかを、資金繰りの予定表で確かめます。
契約前から、内装会社に図面・希望業態・開業希望日を伝え、工事費と工程の未確定条件を洗い出します。貸主の工事承認や許認可の確認が終わる前に、営業開始日だけを固定しないようにしましょう。
重要事項説明のチェックポイント
宅地建物取引業者が仲介・代理する取引では、契約締結前の重要事項説明を受け、契約書・特約・管理規約と照合します。貸主と直接契約する場合まで一律に同じ法定説明義務があるとは扱いません。制度は国土交通省の不動産取引案内で確認できます。
契約前にそろえる10項目
- ① 契約する区画:所在地・面積(壁芯か内法か、柱を含むか)・境界・共用部。広告の面積と実際に工事できる範囲を照合。
- ② 営業できる条件:使用目的、営業時間、音・におい、看板、必要な許認可と、用途地域など法令の制限の確認先。
- ③ 賃料等:税区分、共益費、支払開始日、日割り、改定方法。
- ④ 預け金と初期費用:保証金・礼金・保証料を分け、償却・控除・返還時期を確認。
- ⑤ 契約期間:普通借家か定期借家か。更新・再契約の条件と必要な説明書類。
- ⑥ 中途解約:可否、予告期限、通知方法、違約金、フリーレント分の返還条件。
- ⑦ 原状回復:入居時の写真・図面、返還仕様、残置物、指定業者、検収。
- ⑧ 工事と修繕:工事区分表、設備容量、故障時の負担、承認手続き、工事可能時間。賃貸借の保証金とは別の工事保証金等の有無と返還条件も確認。
- ⑨ 禁止事項・承継:転貸、営業譲渡、契約名義や業態の変更、必要な貸主承諾。
- ⑩ 保証・解除・特約:保証人の責任範囲、保証会社の条件、解除・違約金条項、不一致時の確認先。
設備の容量や故障履歴は、文章だけでなく現地と資料で確認します。「飲食可」「美容室可」などの募集表示だけでは、希望する席数・機器・営業時間や行政手続きまで確定しません。
申込金・予約契約の扱いと、申込から契約・引渡しまでの順番は「テナント契約の流れ」で確認できます。
書類は事前に入手し、確認に必要な時間を相手と調整します。一律の「1週間の検討期間」が保証されるわけではありません。不明点は質問と回答を残し、工事条件は貸主・管理会社と内装会社、条項の効力や紛争は弁護士に確認します。
原状回復義務の範囲と「スケルトン戻し」
民法の原状回復の基本ルールでは、通常の使用による損耗や経年変化を除いて借主の回復義務を考えます。ただし店舗では、原状回復特約で別の負担を定める場合があり、契約・特約の内容とその効力を個別に確認します。「店舗ならすべて借主負担」「住宅向けガイドラインどおりでよい」のどちらも一律の答えにはなりません。
基本ルールの説明は東京都「賃貸住宅の賃貸借契約に係る民法の一部改正」を参照できます。国土交通省の原状回復ガイドラインQ&Aは住宅を対象とする資料で、店舗の撤去範囲や単価を決める基準ではありません。
「スケルトン戻し」を図面に落とし込む
- 入居時:床・壁・天井、配管、空調、分電盤、看板等の状態を写真と図面で記録。
- 返還時:撤去する仕上げ・設備、残す建物側設備、穴や配管接続部の処理を指定。
- 居抜き:前の借主から引き継ぐ造作の所有者、故障時と退去時の負担を確認。
- 施工:指定業者の有無、廃材搬出、共用部養生、作業時間、必要な調査・届出を見積条件へ。
- 完了:貸主の検査、是正範囲、鍵の返却、明渡しの判定方法を合意。
「躯体だけに戻す」という言葉だけで、建物所有の設備や共用系統まで撤去してよいとは判断できません。貸主承認済みの返還仕様を見積書に添え、数量・撤去範囲・復旧方法をそろえて比較します。
原状回復の見積りと保証金精算をつなぐ
原状回復費は坪数だけで決めず、現地調査と返還仕様に基づいて確認します。内装工事費の一定割合や、売上の一定割合を積み立てれば足りるという計算にはしません。支払時期が保証金の返還より前なら、返還予定額とは別に工事代金を用意する必要があります。
見積書では、撤去・処分・復旧・共用部対応・管理費・税と、未確定の追加条件を確認します。原状回復費を工事会社へ払うのか、貸主が発注して保証金から差し引くのかも明記し、同じ工事費を二重に控除・支払いしないようにします。
工事範囲の整理は原状回復費用ガイド、引継ぎ設備の判断は居抜きとスケルトンの比較ガイドへ。
工事区分(A・B・C工事)の負担構造
A・B・C工事は、誰が施工者を決め、誰が費用を負担するかを整理する呼び方です。全国共通の法定区分ではないため、物件ごとの工事区分表・館内規定・契約書で確認します。
A工事
テナントの追加要望や容量増強が別負担にならないかを確認。
B工事
工事範囲、見積り、管理費、承認と発注の手続きを確認。
C工事
選定の自由があっても、貸主承認・館内規定・法令対応は確認が必要。
設備の所有者、施工者を選ぶ人、発注者、費用を払う人が同じとは限りません。給排水・空調・電気・消防設備などは、接続位置と容量、共用側と専有側の境界を図面に記入してもらいましょう。
物件固有の例として、葵タワーのオフィス運営館内規則(2024年4月改訂、9〜10ページ)には、C工事でも所有者側の指定会社とする場合があると記されています。呼び名だけで施工者を自由に選べるとは判断せず、自分の区画の指定条件を確認します。
見積りに入れるための確認順序
指定工事費が未提示なら、C工事の見積りに一定倍率を掛けて総額にしません。内装会社の見積りに既に含まれる工事は、別の欄で再加算しないようにします。指定業者の見積りには工事範囲・数量・管理費・追加条件を求め、指定そのものの変更は貸主と協議します。
貸主の工事承認と、行政上の許認可・届出は別です。契約上営業が認められていても、用途・設備・工事範囲に応じた手続きが残ることがあります。A・B・C工事の区分ガイドと開業の許認可・届出ガイドで確認項目を整理してください。
駅ビル・商業施設のテナント契約──館内規則・営業時間・指定工事
駅ビルやショッピングセンター(SC)のように、運営者が館全体の営業を管理する商業施設では、路面店やテナントビルより契約で決められる事項が多くなります。中小機構の J-Net21 は、SC への出店では出店前の調査と契約条件の確認が必要だとして、契約の形・出店コスト・家賃の型・工事の負担・中途解約・原状回復を挙げています。
- 契約の形と期間:催事契約(1〜6か月の短期で、保証金などの負担がない)は実績のない出店者との契約に多く、本契約は2〜6年程度が多いとされます(J-Net21)。公営の地下鉄駅の店舗では、定期建物賃貸借(借地借家法38条)で約10年とし、その期間に工事と原状回復の期間を含む例があります(京都市交通局)。
- 業種と取扱商品:館の業種構成(ゾーニング)に合わせて業種や商品が限られ、出店者だけでは変えられないとされます(J-Net21)。
- 家賃の型と売上の報告:固定家賃と、売上に対する歩率で決まる変動家賃があり、変動家賃には最低家賃保証が付くことが多いとされます(J-Net21)。売上の報告や決済の方法が条件に入る例もあります(京都市交通局・名古屋市交通局)。売上金を毎日運営者に預ける売上預託方式では、敷金・保証金の差入れが求められないこともあるとされます(BUSINESS LAWYERS)。
- 営業時間と休業日:運営者が営業日・営業時間・休業日を定めて変更でき、出店者はその変更による損害の補償を請求できない、とする SC の契約条項の例が紹介されています(BUSINESS LAWYERS・弁護士の解説)。京都市交通局の例では、営業時間を午前6時〜午後11時の間で設定し、定休日なしとしています。営業時間の延長や休業日の削減をする SC が増え、人件費の検討が必要とされます(J-Net21)。
- 毎月の負担:家賃・共益費・水道光熱費のほか、販売促進費、ポイントカード・レジの負担金、テナント会費など施設独自の費用があるとされ、出店時にはテナント会への入会金もかかります(J-Net21)。
- 工事と館内のルール:工事の範囲は施工区分表で決まり、工事計画・作業時間・設計と施工は運営者と事前に協議します。床の荷重(500kg/㎡以下)、毎営業日の防火の自主検査、防犯カメラの届け出も条件にあります(名古屋市交通局)。新しい SC への出店では、空調や電気配線などの工事の負担を求められる場合もあるとされ(J-Net21)、誰が施工者を指定するか(指定業者の B工事か)は工事区分表と館内規則で確かめます。指定工事の費用の見方は「商業施設テナントの内装費用ガイド」へ。
- 中途解約と原状回復:退店予告期間・違約金・保証金の返却時期を確かめ、居抜きで出店してもスケルトンに戻す義務が付く場合があるとされます(J-Net21)。名古屋市交通局の例では、本契約から開業後2年以内に解約を申し入れると、月額賃料の30か月分相当額と払い済みの賃料との差額を違約金とする定めがあります。
保証金の月数も施設と募集条件で決まります。公表例の月数と、契約時に払う額の計算は「店舗の保証金・敷金の相場」で確かめられます。館の工事条件が決まると内装の見積もりの範囲も決まるため、募集要項・工事区分表・館内規則を受け取った段階で、内装会社にも共有しましょう。
出典:中小機構 J-Net21「失敗しないために、テナント出店契約時の留意点を教えてください。」、BUSINESS LAWYERS「賃貸借の特徴と賃貸借契約が締結されるまで」(2016年7月)、京都市交通局・名古屋市交通局の募集要項(「テナント契約の流れ」の出典と同じ)。確認日:2026年10月8日。
解約予告期間と中途解約
解約予告は、契約に定めた方法で貸主等に通知する手続きです。店舗だから一律に3か月・6か月とは決まらず、まず借主の中途解約が認められる条件を確認します。
期間を定めた普通借家でも、予告だけで自由に中途解約できるとは限りません。定期借家も含め、中途解約条項、通知の相手と到達期限、違約金を確認し、条項がない場合は合意解約等の可否を相談します。定期借家の「200㎡未満でやむを得ない事情による解約」の法定特例は居住用が対象で、事業専用店舗へ自動適用しません。根拠:国土交通省の定期借家Q&A。
6か月の中に工事1か月が収まる例
以下は日付と支払額を確認する計算用の仮定です。契約上6月30日で終了でき、1〜6月分の賃料が発生することを確認済みとします。家賃は、この記事の計算例と同じ月20万円(税抜。税込22万円)とします。5月末に営業を終え、6月中に原状回復と検査を終えて6月30日に明け渡す計画です。
工事をする6月の賃料は132万円に含みます。工事1か月分をさらに足して7か月分にはしません。
原状回復の工事代金は、この賃料とは別に払います。広さ10坪・坪10万円(貝沼建設が名古屋エリアの重飲食の店舗の目安として公表する「10万円前後」・2026年2月)なら100万円(公表単価×広さ。税区分の明示なし)で、工事会社へ直接払う場合の支払は賃料132万円 + 工事100万円 = 232万円です。工事代金は返還仕様と見積りで決まるため、見積書の額に置き換えます(退去の精算の計算機で計算できます)。共益費・移転費・違約金等は入っておらず、営業中の賃料も含むため全額を休業損失とは呼べません。
別途の合意により7月31日まで延び、同じ月額の賃料をもう1か月払う条件なら、賃料は154万円(22万円 × 7か月)で、1か月分(22万円)増えます。延長が認められることや、追加負担が賃料1か月分だけで済むことを前提にしないでください。明渡しの遅れに関する条項も確認します。
違約金と残りの賃料を機械的に足さない
契約終了までの賃料、即時解約の精算金、違約金、フリーレント分の返還は、対象期間と発生条件を別々に整理します。同じ期間の負担を重ねて請求する内容かも含め、条項の解釈と有効性を確認します。「残期間の賃料全額」と書かれていても、本ページだけで支払義務を断定しません。
工期の組立ては店舗内装の工期ガイドを参照し、通知前に貸主・管理会社と原状回復会社へ工程を照合します。
特約条項の落とし穴
特約は「あるか」だけでなく、発生条件、算定基準、他の条項との関係を読みます。内容が不明なまま、標準書式だから有効、借主に不利だから無効と決めないようにします。
- 賃料改定:増額・減額、定率改定、協議の手続き。普通借家と定期借家で法的扱いが異なります。
- 解除:滞納・用途違反等の条件、催告・是正の手続き、解除と違約金の関係。
- 原状回復・修繕:通常損耗、既存設備の故障、前の借主の造作、指定業者の工事を誰が負担するか。
- 償却・控除:保証金の内数か別途か。原状回復費や未払い金を重ねて控除する内容か。
- 解約・違約金:予告期間の賃料、違約金、フリーレント返還の対象期間と重複。
- 保証:保証人の範囲・期間・上限と、保証会社への料金・更新条件を分けて確認。
- 内装の買取り・費用の請求:明渡しのときに、内装の買取りや、かけた費用・移転料・立退料などを一切請求できないとする条項。公的な駅の店舗の契約書のひな形にも例があります(名古屋市交通局の募集要項の定期建物賃貸借契約書・第23条)。内装に投資する前に、残せる設備と撤去の範囲を確かめます。
賃料の増減額に関しては、普通借家と、賃料改定特約のある定期借家とで扱いが異なります。「増減額請求をしない」という一文だけで結論を出さず、国土交通省の定期借家制度の比較説明と契約全文を照合します。
個人が賃貸借の継続的な債務を保証する場合は、極度額(責任の上限額)の確認も重要です。2020年4月施行の民法改正では個人根保証のルールが変わっており、既存契約や更新時の扱いも含めて確認します。根拠:東京都の民法改正の説明。
「1か月滞納で当然に解除」「3か月に直せば安全」とは判断しない
解除条項の効力や具体的な解除の可否は、条項と事情の確認が必要です。不利な条件の修正を求める場合は、希望する変更と理由を具体的に示し、合意できた内容を契約書へ反映します。法的判断や交渉代理が必要なら弁護士へ相談し、費用・依頼範囲は事前に確認してください。
退店時の段取りと立退料
退店では、解約通知、営業終了、原状回復、貸主の検査、明渡し、保証金の精算をつなぎます。保証金が工事前に返ってくるとは限りません。契約に沿って返還の条件と期限を確認します。
保証金から引く工事費を、直接払いに重ねない
原状回復の工事費を、工事会社へ直接払う(A)か、保証金から差し引く(B)かで、払う時期と戻る額が変わります。下の計算機は、家賃・保証金・償却・原状回復の広さと坪単価から、退去までの支払と戻る保証金を A・B で出します(既定値は公表例の値)。
A:工事会社へ直接払う
借主が工事代金を支払い、明け渡しの後に、保証金から償却などを引いた額が返還されます。工事完了や検収を確認した同じ工事費を、保証金から再び控除しません。
B:保証金から工事費を控除
貸主が発注し、工事費を保証金から控除することに合意した場合、返還は保証金から償却と工事費を引いた額です(工事費が保証金を超えるときの扱いは契約で確認)。同じ工事費を借主から工事会社へもう一度支払いません。
退去の精算を計算する|退去までの支払と、戻る保証金(A・B)
既定値は公表例の値です(出典は計算機の下の「既定値の出典と前提」)。自分の契約書と見積書の数字に書き換えてください。
賃料22万円(税込)×3か月。工事費は保証金から差し引かれます
保証金200万円−償却20万円−工事費100万円
賃料66万円+償却20万円+原状回復100万円
A(工事会社へ直接払う)なら、退去の前に賃料と工事代金で166万円を払い、戻る保証金は180万円です。違うのは工事代金を払う時期で、A は保証金が戻る前に工事代金が要ります。
保証金から精算する型(B)では、工事費があと80万円増えると、保証金では足りなくなります(足りない分は請求されることがあります)。
負担の合計には、営業を続けている月の賃料も入ります。未払いの賃料・共益費、違約金、移転費などは入っていません。償却に消費税を足して差し引く契約なら、戻る額はその分少なくなります。原状回復は公表単価×広さの見込み(税区分の明示なし)で、見積書の額に置き換えます。
入れた条件は、相談の「依頼内容・希望詳細」の欄に入ります(送信の前に直せます)。店舗内装ドットコムでは、一度の入力で、事務局が候補の会社に1社ずつ対応できるかを確かめ、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。
既定値の出典と前提(家賃・保証金・償却・原状回復・月数)
既定値:家賃20万円(日本公庫の記入例)/保証金200万円(その10か月分=J-Net21 の居酒屋・花屋の例)/償却 解約時に家賃1か月分(日本公庫の資料の例)/原状回復10坪×坪10万円(J-Net21 の居酒屋の例の広さ×貝沼建設が名古屋エリアの重飲食の店舗の目安として公表する「10万円前後」・2026年2月。店舗の原状回復全般で坪3万〜8万円とする兵庫県の施工会社の公表例もあります〔ゆみき建設・2026年9月〕。原状回復の費用と坪単価)/契約終了まで3か月(期間の定めの無い契約で、借主が解約を申し入れてから3か月で終わるとされる民法617条の原則。期間を定めた契約は、途中で解約できる定め〔618条〕と予告期間を契約書で確かめます。上の解約予告の例に合わせるなら、月数を6、精算の型をAに)。
Bの控除方法は借主だけで選べるわけではなく、貸主との合意が必要です。返還額が未定なら、次の物件の支払いには未入金の返還金を織り込まずに資金繰りを確認します。
明渡し後の保証金精算では、預入額・償却・未払い金・工事代金・既払額・返還額の明細を照合します。保証金返還は、新たな売上や利益ではありません。東京都の敷金返還に関する民法改正の説明も参照してください。
立退料は自動発生する定額の補償ではない
普通借家で貸主が更新拒絶等をする場合、建物を必要とする事情や従前の経過などを踏まえた正当事由が問題となり、財産上の給付の申出も判断要素の一つです。請求すれば必ず立退料が出る、賃料差額の一定年数分になる、といった全国共通の計算式はありません。
有効な定期借家の期間満了による終了は、普通借家の更新拒絶とは異なります。ただし、期間途中の立退きの合意や契約手続きの不備などまで「補償は一切ない」と判断しないでください。立退きを求められたら契約書と通知を保管し、退去条件に合意する前に弁護士へ確認します。制度比較:国土交通省の定期借家制度パンフレット。
失敗例3つと回避策
以下は見落としを確認するための想定ケースです。実際の施工事例や相談実績として示すものではありません。
① 再契約を前提に内装投資した
定期借家で長期営業できるつもりだったが、再契約の条件が未確定だったケース。
確認すること:再契約なしの営業期間で資金繰りが成り立つか、満了までの撤去・明渡しをどう行うか。協議予定があっても再契約成立とは区別します。
② 居抜き設備まで撤去対象だった
前の借主から引き継いだ設備を残せると思ったが、契約上の返還仕様と食い違っていたケース。
確認すること:設備一覧・所有者・引渡し写真・原状回復特約を照合し、残す設備を貸主と文書で確認。撤去と復旧の範囲を見積りへ反映します。
③ 営業終了日だけで退去を計画した
通知期限や工事・検査を見落とし、予定した日に明け渡せないケース。
確認すること:通知の到達、搬出、工事、検査、是正、明渡しを同じ工程表へ。契約終了を延ばせるとは考えず、必要な協議を先に行います。
共通する対策は、口頭の説明だけで判断せず、契約書・図面・設備一覧・見積書・工程表を同じ条件にそろえることです。書類間の食い違いがあれば、契約や工事の発注前に誰が回答し、どこへ反映するかを決めます。
契約交渉のコツと相場感
交渉では、希望する条件と事業上の理由を示し、合意した内容を契約書へ反映します。保証金の月数や値引き率、フリーレントの期間に、一律の成功目安は置きません。
- ① 保証金:預入額、分割の可否、償却、原状回復との関係、返還時期。
- ② 初期費用:礼金・保証料などの条件と支払日、申込辞退時の扱い。
- ③ 賃料発生・フリーレント:工事可能日と賃料発生日、対象外の共益費、早期解約時の返還条件。
- ④ 解約:中途解約の可否、予告方法・期限、違約金と重複する支払い。
- ⑤ 工事・原状回復:承認工程、指定工事の見積り、残置できる設備、返還仕様。
- ⑥ 賃料等:同じ立地・用途・設備条件の候補物件と比較した金額、改定方法。
フリーレントは契約した範囲の賃料を免除する条件で、共益費や工事費まで無料とは限りません。URの公表条件にも、共益費の負担や早期解約時の免除分控除が示されています。自分の物件では対象費目と返還条項を確認し、賃料から値引きした分を別の「削減額」として再度引かないようにします。事業者固有の例:URのフリーレント条件。
貸主への確認と内装の見積相談を並行する
希望業態、営業時間、開業希望日、資金計画を簡潔に整理し、貸主には使用条件と契約条項を確認します。内装会社には物件図面、設備の現況、工事区分表、工事可能時間、原状回復条項を共有し、施工範囲と別途工事を整理した見積りを依頼します。資料がない項目は「未確認」と伝え、必要な現地調査から相談できます。
見積相談に添える5項目
① 所在地・業態・実際に工事する範囲、② 残す設備と必要容量、③ 貸主指定工事と館内規定、④ 開業希望日と工事可能日、⑤ 税をそろえた工事予算と未確定事項。物件取得費や運転資金を含む総予算しか分からない場合は、その旨を伝えてください。
オフィスの入退去・工事費はオフィス・事務所の内装工事費用ガイド、商業施設の指定工事は商業施設テナントの内装費用ガイドへ。付属設備の故障は貸主と修繕範囲を確認し、シャッターは店舗シャッター修理ガイドも参照できます。
相談する内装会社は内装会社の選び方、見積りから工事発注へ進む際は内装工事の請負契約ガイドで確認項目を整理してください。賃貸借の法律相談と、内装会社への工事相談は依頼先が異なります。
FAQ:店舗テナント賃貸借契約でよくある質問
全国共通の月数では決まりません。保証金・礼金・仲介手数料・前家賃などを契約条件から積み上げます。本ページの計算例(家賃20万円〔日本公庫の記入例〕、保証金10か月・礼金2か月・前家賃2か月〔J-Net21 の居酒屋・花屋の例〕、仲介手数料は国の告示の上限)では、この4項目の支払小計は310万円で家賃の15.5か月分、うち200万円は返還予定の保証金です。礼金・前家賃・仲介手数料には消費税10%が含まれます。保証金などの月数が変われば、この月数も変わります。内装工事、保証会社費用、保険、共益費、運転資金などは別に確かめます。
更新の仕組み、中途解約の条件、営業できる期間と投資額を比較します。普通借家には更新の制度があり、貸主の更新拒絶等には正当事由が必要です。有効な定期借家には更新がなく、再契約は合意と手続きが必要です。定期借家なら割安、普通借家ならいつでも退去できるとは限りません。
物件条件によって異なるため、一律の月数を当てはめません。預入額、償却・敷引き、原状回復費等の控除、返還時期を確認します。返還予定でも契約時には資金が必要で、保証会社の保証料とは別項目です。返還する保証金は課税対象外ですが、返還しない部分の税は契約内容を確認します。
入居時の状態、契約書、特約、貸主と合意した返還仕様を照合します。民法の基本ルールと店舗の個別特約の適用を確認し、スケルトン戻しや経年変化分が一律に借主負担とは判断しません。残す設備・撤去する設備、検収と支払方法まで見積条件に入れます。
工事の指定・選定と費用負担を整理する呼び方です。一般にAは貸主側指定・貸主負担、Bは貸主側指定・借主負担、Cは借主選定・借主負担と呼びますが、物件の工事区分表で確認します。C工事でも承認は必要になり、B工事を一律の割増率で計算しません。
中途解約できる条件を確認したうえで、契約に定める通知先・方法・到達期限に従います。全国一律の月数ではありません。予告期間内に原状回復と明渡しを終えるなら、その工事期間の賃料をもう一度足しません。営業終了日・工事完了日・契約終了日を分けて計画します。契約に予告期間の定めが無い場合、期間の定めの無い建物の賃貸借は、借主が解約を申し入れた日から3か月で終わるのが民法の原則とされます(617条。期間を定めた契約を途中で解約するには、その権利を契約で定めていること〔618条〕などが必要です)。
期間を定めた普通借家でも、通知だけで自由に中途解約できるとは限りません。定期借家も含めて中途解約条項と違約金を確認し、条項がない場合は合意解約等を相談します。定期借家の居住用200㎡未満に関する法定特例は、事業専用店舗へ自動適用しません。
説明書・契約書・特約・管理規約を事前に受け取り、不明点を確認する時間を調整します。一律の1週間の検討期間は保証されません。工事範囲は貸主・管理会社と内装会社、条項の効力や紛争は弁護士へ確認し、合意した修正を契約書へ反映してから判断します。
賃料改定、解除、原状回復・修繕、保証金の償却、違約金、保証の範囲を確認します。発生条件、金額の根拠、対象期間、他項目との重複を照合します。不利だから無効、標準書式だから有効とは判断せず、必要な法的確認と修正協議を行います。
普通借家の貸主による更新拒絶等では正当事由が問題となり、財産上の給付の申出も判断要素の一つです。自動的に一定額が発生するものではありません。有効な定期借家の期間満了とは分けて考え、期間途中の立退きや手続きの不備等は契約・通知を持って弁護士へ確認します。
保証金・礼金、賃料発生やフリーレント、解約予告と違約金、工事承認・原状回復、賃料改定などが確認対象です。減額率や交渉成立は保証されません。物件条件と事業計画を示し、合意した条件を契約書へ反映します。内装費は工事区分表と設備条件をそろえて相談してください。
貸主と物件で大きく違います。公表例では、UR の店舗は申込書の受付からおおむね3週間で審査の結果を知らせ、予約契約から原則3か月以内に本契約、内装・設備の図面の承諾はおおむね2週間としています。京都市交通局の地下鉄駅の店舗の募集では、応募の受付(9月中旬)から契約(11月下旬頃)まで約2か月、開業(翌年4月上旬頃)まで約7か月の日程です。ショッピングセンターでは、交渉の開始から契約まで1年程度かかる案件も珍しくない、とする弁護士の解説もあります。融資や許認可の準備と並べ、開業日から逆算しましょう。
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