店舗の電気容量・電気工事完全ガイド|業態別必要kW・契約種別・費用相場

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店舗の電気容量とは?このガイドのゴール

店舗の電気容量は、開業後の「ブレーカーが頻繁に落ちる」「契約容量が足りず増設工事が必要」「厨房機器が動かない」等のトラブルを避けるために、物件契約前〜基本設計段階で適切に算出する必要があります。業態(飲食・美容・クリニック・物販・学習塾・フィットネス等)によって必要なkW・アンペア・電源種別(単相100V/200V・三相200V)が大きく異なり、契約種別(従量電灯・低圧電力・高圧受電)も変わります。本ガイドでは、業態別の必要電気容量マトリクス、機器別消費電力からの積算計算、契約種別の判断軸、電気事業法・電気設備技術基準の3法令、物件選定段階の確認項目までを一次情報ベースで整理します。本文中の制度情報・数値は記事公開時点のものであり、実際の設計は電気主任技術者・電気工事士・電力会社・所管行政にご相談のうえご判断ください。

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基本 V/A/W/kW/kVAの関係と契約の考え方

電気容量を検討する前に、単位の関係性を押さえます。発注者が業者と同じ言葉で会話できる最低限の知識は以下の通りです。

電気の4単位

  • V(ボルト):電圧。電気を押し出す力。店舗では100V(一般機器)・200V(厨房・空調)が主流
  • A(アンペア):電流。流れる電気の量。契約アンペアとして馴染み深い単位
  • W(ワット):電力。V × A = W。機器の消費電力を示す
  • kW(キロワット):1,000W = 1kW。店舗全体の容量を語るときの単位
  • kVA(キロボルトアンペア):皮相電力。動力機器(三相200V)の契約で使う単位。1kVA ≒ 1kW(力率1.0の場合)

契約の3階層

店舗で使う電力契約は、使用電力量によって大きく3階層に分かれます。

  • 従量電灯(低圧・契約電流制):10〜60Aの契約。小規模カフェ・物販・学習塾など
  • 低圧電力(動力・契約電力制):三相200Vの動力機器を使う店舗。空調・業務用冷蔵庫・大型厨房機器等を使う飲食店の標準
  • 高圧受電(キュービクル設置):契約電力50kW以上。大型店舗・複数テナントビル・大規模施設が対象
同時使用率の概念:機器の消費電力を単純合計すると、実際の使用実態より大きくなります。全機器が同時に最大出力で動くことはほぼなく、同時使用率(通常0.5〜0.8程度)を掛けて「最大デマンド(最大需要電力)」を算出します。契約電力はこの最大デマンドに少し余裕をもたせた値で決めるのが実務です。

表① 業態別 必要電気容量レンジ

業態によって必要な電気容量は2〜10倍以上違います。以下は20〜30坪規模の業態別の必要容量の目安です。実際の設計は使用機器の構成で大きく変動するため、電気工事業者・設備士との詳細設計が必要です。

学習塾・教室
30〜50A(約3〜5kW)
物販・セレクト
40〜60A(約4〜6kW)
カフェ・バー軽
50〜80A(約5〜10kW)
美容室・サロン
60〜100A(約8〜15kW)
クリニック
低圧電力併用(約10〜20kW)
飲食店(重飲食)
低圧電力必須(約15〜30kW)
コインランドリー
低圧電力(約20〜40kW)
大型ジム・サウナ
高圧受電検討(50kW以上)

30A・50A・60A等の数値は単相(従量電灯)での契約アンペアの目安です。200Vの動力機器(業務用エアコン・業務用冷蔵庫・スチコン等)を使う業態は、低圧電力(三相200V)契約を別途追加するのが標準です。

重飲食の電気容量が大きい理由

重飲食(焼肉・ラーメン・中華等)では、ガス機器だけでなく以下の電気機器の総量が大きくなります。

  • 業務用エアコン(三相200V・5〜15kW)
  • 業務用冷蔵庫・冷凍庫(単相200V・各1〜3kW × 複数台)
  • 排気ファン(単相200V・0.4〜2kW)
  • スチームコンベクションオーブン(三相200V・10〜25kW)
  • 食器洗浄機(三相200V・5〜12kW)
  • 電気フライヤー・IHコンロ(三相200V・各5〜15kW)
  • 照明・レジ・POS・BGM(単相100V・総計1〜3kW)
飲食店の必須基礎知識:単相2線式では100Vのみ・最大30Aしか使えません。200Vを使う業務用機器を導入する店舗は、単相3線式(100V/200V兼用)または低圧電力(三相200V)の引き込みが必要です。物件契約前に電力会社の契約種別を必ず確認してください。

業態別 飲食/美容/クリニック/物販の必要電源

業態ごとに「どの電源種別が必要か」を早見で整理します。契約種別の選択ミスは、開業後の大幅な追加工事に直結します。

飲食店(軽飲食〜重飲食)

  • 単相3線式(100V/200V)必須
  • 重飲食は低圧電力(三相200V)併用
  • 必要容量:5〜30kW以上
  • 厨房・空調・冷蔵庫で大部分を消費
  • 重飲食は引き込み工事が別途発生
  • 物件選定時に既存容量の事前確認が最重要

美容室・サロン

  • 単相3線式(100V/200V)が標準
  • ドライヤー・スチーマー・シャンプー台が主な電力消費源
  • 必要容量:8〜15kW程度
  • シャンプー台の給湯器は電気・ガス両用の検討
  • 個別ブース数で総量が変動
  • 低圧電力は通常不要

クリニック・治療院

  • 医療機器の電源仕様は個別確認必須
  • レントゲン・CT等は単相200V以上
  • 予備電源・無停電電源の検討
  • 必要容量:10〜20kW以上
  • 医療ガス設備との連携
  • 建築確認申請と同時の設計が定石

物販・セレクトショップ

  • 単相2線式または3線式で足りる場合多
  • 照明・POS・BGMが主な消費
  • 必要容量:4〜8kW程度
  • ショーケース冷蔵の有無で変動
  • 低圧電力は通常不要
  • 最も電気容量要件が緩い業態

業態に合った電気設計を複数社で比較

電気容量の過不足は開業後の致命的リスクになります。業態実績ある業者の見積もりを複数社比較することが失敗回避の第一歩です。

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構造 電気工事費用の内訳分解

電気工事の見積書は「引込」「幹線」「分岐」「動力」「弱電」の5系統で整理されるのが適正です。業態と既存設備状況で費用レンジは大きく変わります。

標準内訳(20坪・飲食店想定)

  • 引込工事:電柱から建物までの電源引き込み。共用設備から単独メーター設置で10〜40万円
  • 幹線工事:メーターから分電盤までの主配線。配線長・容量で5〜25万円
  • 分電盤:ブレーカー収容盤。住宅用小型で3〜8万円、店舗用で8〜30万円
  • 分岐回路:コンセント・照明への配線。回路数×単価で20〜80万円
  • 動力回路:三相200Vの専用回路。機器ごとに個別回路で1回路3〜10万円
  • コンセント・スイッチ:器具代+取付で1箇所2千〜1万円
  • 照明器具:器具代+取付で1台1〜10万円
  • 弱電工事:LAN・電話・ドアホン・BGM配線で10〜50万円
  • 接地工事:アース線敷設・接地極埋設で3〜15万円
  • 諸経費・検査費:検査・試験・書類作成で工事費の10〜15%

重飲食の追加費用

重飲食では、低圧電力(動力)の引き込みが別途必要になり、以下が追加されます。

  • 低圧電力の引込工事:20〜60万円
  • 動力メーター・動力分電盤:10〜30万円
  • 三相200V配線(機器ごと):1機器あたり3〜10万円
  • 幹線容量増加:20〜80万円

契約 従量電灯vs低圧電力vs高圧受電の判断軸

契約種別の選択は、電気料金・初期工事費・運用コストに大きく影響します。必要容量と使用機器の種別で判断します。

従量電灯(低圧)

  • 契約電流制:10〜60A
  • 電圧:単相100V/200V
  • 料金:基本料金+従量料金
  • 対象:小規模店舗・物販・カフェ軽・サロン
  • 初期工事費:最も安価
  • 動力機器(三相200V)は使えない

低圧電力(動力)

  • 契約電力制:0.5〜50kW
  • 電圧:三相200V
  • 料金:基本料金+従量料金
  • 対象:重飲食・コインランドリー・ジム
  • 従量電灯と併用が標準
  • 業務用エアコン・厨房機器に必須

高圧受電(キュービクル)

契約電力50kW以上の大型店舗・複合施設は高圧受電となります。敷地内にキュービクル(高圧受電設備)を設置し、電気主任技術者の選任・保安管理が義務付けられます。初期投資は300〜800万円規模、電気主任技術者の保安管理費も月額数万円発生します。ただし、電力単価は低圧より安くなるため、大容量を継続的に使用する施設では総コストで有利になるケースがあります。

電力会社との事前協議:必要電力量が物件の既存設備を超える場合、電力会社との協議に1〜3ヶ月かかることがあります。引込工事の工期も含めると、物件契約から開業まで6ヶ月以上を見込む必要が出ます。開業スケジュールは電力会社協議期間を見込んで設計します。

計算 機器別消費電力から必要kWを積算する手順

必要電気容量の算出は以下の5ステップで行います。電気工事業者が担当しますが、発注者が概略を理解しておくと発注精度が上がります。

Step1 使用機器の洗い出し

厨房機器・空調・冷蔵冷凍庫・照明・POS・決済端末・BGM・Wi-Fi機器等、店舗で使用する全機器を一覧化します。同時に使用しない機器も含めて全てリストアップします。

Step2 各機器の消費電力(W)を集計

各機器のメーカーカタログ・銘板から消費電力(W)を拾います。単相・三相の別、100V・200Vの別もこの段階で整理します。

Step3 同時使用率の想定

全機器が同時最大出力で動作することはまずないため、業態別の同時使用率(通常0.5〜0.8)を掛けます。重飲食・ピーク時間帯のある業態は高め(0.7〜0.8)、物販など負荷変動が小さい業態は低め(0.5〜0.6)で設定します。

Step4 最大デマンド(kW)の算出

「各機器消費電力の合計 × 同時使用率」で最大デマンドを算出します。さらに将来の機器追加・猛暑時の空調余力として1.1〜1.2倍の余裕を上乗せします。

Step5 契約種別・契約容量の決定

最大デマンドから必要な契約種別(従量電灯・低圧電力・高圧受電)を判定し、電力会社との協議・申請に入ります。契約アンペア・契約電力(kW)を仮決めします。

配線 単相100V/単相200V/三相200Vの使い分け

店舗で使う電源には主に3種類あり、機器によって必要な電源種別が決まります。機器と電源種別のマッチング誤りは、機器が動かない・異常振動・加熱などの事故原因になります。

単相100V

家庭用と同じ電源。照明・POS・PC・BGM・一般家電が対象。分岐回路は1回路あたり15A〜20Aが標準で、コンセント数が多い店舗では回路数を増やします。

単相200V

単相3線式の中性線と電圧線を組み合わせて取得する200V電源。業務用冷蔵庫・大型エアコン・IH調理器・電気温水器などで使用。単相100Vと同じ配線系統から取れる利点があります。

三相200V

動力用の三相電源。業務用空調・大型厨房機器(スチコン・食洗機)・コンプレッサー・モーター類で使用。低圧電力(動力)契約が別途必要で、単相配線と別系統で引き込みます。

機器選定時の注意:業務用機器を購入する前に、電源仕様(V・A・相・Hz)を必ず確認してください。海外製機器は50Hz/60Hzの地域差で使えないケースがあります。東日本50Hz・西日本60Hzの境界地域は特に注意が必要です。

高圧 キュービクル設置と高圧受電のコスト

契約電力50kW以上の店舗・施設は高圧受電となり、敷地内にキュービクル(高圧受電設備)を設置します。

キュービクル設置の3要件

  1. 設置スペース:屋外1〜5㎡程度の設置スペースと保守作業スペース
  2. 電気主任技術者の選任:自社選任または外部委託(月額3〜8万円)
  3. 定期点検:月次点検・年次点検・停電点検が義務付け

高圧受電のコスト構造

  • 初期投資:キュービクル本体300〜600万円+設置工事100〜300万円
  • 電気主任技術者費用:外部委託で月3〜8万円、年36〜96万円
  • 定期点検費:月次点検・年次点検で年20〜50万円
  • 電力単価:低圧より1〜2割安いケースが多い

高圧受電は初期投資と運用費が重いため、必要電力が50kWをわずかに超える程度なら、機器選定の見直しで低圧電力に収める方が総コストが安くなるケースもあります。電力ピークカット機能や省エネ機器の採用で契約電力を抑える判断も選択肢です。

回路 分電盤と回路分岐の設計原則

分電盤と分岐回路の設計は、ブレーカー落ちを防ぐ最重要要素です。「親ブレーカーが落ちる」(全体容量不足)と「子ブレーカーが落ちる」(特定回路の過負荷)は原因が違い、対策も異なります。

分岐回路設計の4原則

  1. 用途別に回路を分ける:照明・コンセント・空調・厨房を別回路に
  2. 大電流機器は専用回路:エアコン・業務用冷蔵庫・IH・電子レンジは単独回路
  3. 将来増設の予備回路:分電盤に3〜5回路分の予備スペースを確保
  4. 回路ラベリング:各ブレーカーに用途を明記し、トラブル時の特定を容易に

コンセント配置の原則

  • 作業台ごとに複数口:厨房の作業台・カウンターに4口以上
  • 清掃用コンセント:客席・バックヤード・トイレに清掃用を配置
  • 専用回路コンセント:電子レンジ・冷蔵庫など大電流機器用は色分けまたは「専用」表記
  • 漏電対策コンセント:厨房・水回りはアース付きコンセント

安全 漏電遮断器・接地工事・電気設備技術基準

電気設備は電気事業法(e-Gov法令検索)および電気設備技術基準省令(e-Gov法令検索)に基づく技術的要件を満たす必要があります。違反は電力会社の供給停止・事故時の保険免責リスクにつながります。

主な遵守事項

  • 漏電遮断器(漏電ブレーカー)の設置:水気・湿気のある場所(厨房・水回り)で義務付け
  • 接地工事(アース):機器の種類・電圧でA種〜D種の4分類。感電防止と漏電遮断器の動作に必須
  • 配線材料・工法:VA線・CV線等の適切な材料選定、配線サイズ・管路工法の遵守
  • 電気工事士による施工:一般用電気工作物は第二種電気工事士以上、自家用は第一種が施工

詳細な技術基準は電気事業法施行令(e-Gov法令検索)および各種省令・告示に定められています。実務では、登録電気工事業者・電気工事士に施工を委託し、所轄の電気保安協会による検査を受けるのが標準です。

法令対応と検査まで含めた業者選びを

電気事業法・電気設備技術基準の遵守は店舗運営の前提条件です。登録電気工事業者の実績を複数社比較で確認できます。

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物件 契約前に確認すべき既存電気設備の5項目

物件選定段階で電気設備の確認を怠ると、開業費用が数十〜数百万円単位で跳ね上がります。以下5項目は物件内見・契約前に必ずチェックします。

物件契約前 電気設備5項目チェック





確認方法の具体

  • 電気ご使用量のお知らせ(検針票):前テナントの使用実績と契約内容が記載されている
  • 電力量計(メーター):単相・三相の別、定格電流の確認
  • 分電盤の内部:主幹ブレーカー容量、分岐回路数、予備スペース
  • 引込電線のサイズ:電気工事士による現地確認が確実
  • 電力会社への契約情報照会:テナント変更時の引継ぎ手続きで確認

居抜き 前テナントの電気設備の活用可否

居抜き物件では既存電気設備を活用することで開業費用を大幅に下げられるケースがあります。一方、前業態と現業態が違うと、既存設備が不適合で再工事が必要になるケースもあります。

活用しやすい居抜きパターン

  • 前業態と同じ or 類似(例:カフェ→カフェ)
  • 低圧電力の引込があり前業態で使用
  • 分電盤に予備回路が複数ある
  • 配線経路が見えて点検容易
  • 電気工事士の点検で異常なし
  • 消費電力が前業態より同等以下

再工事が必要な居抜きパターン

  • 前業態と大幅に異なる(例:物販→飲食)
  • 単相2線式で200V機器が使えない
  • 分電盤の予備回路がない
  • 配線経年劣化・絶縁不良の兆候
  • 消費電力が前業態より大幅増
  • 動力引込がなく重飲食に不適

居抜きの電気設備活用で注意する点

既存配線の経年劣化(特に20年以上経過のテナント)は、絶縁抵抗の低下・被覆の劣化で漏電リスクがあります。居抜き契約前に、登録電気工事業者による絶縁抵抗試験・接地抵抗試験を受けることが推奨されます。費用は5〜15万円程度で、それを怠って開業後に漏電事故を起こすと営業停止・損害賠償のリスクがあります。

居抜き物件の電気設備検査も含めて業者選び

居抜き物件は電気設備の事前確認で開業コストが大きく変わります。実績豊富な登録会社から複数社の見積もりを無料で取得できます。

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契約前 発注前にオーナーが確認すべき8ポイント

電気工事は他の内装工事と連動するため、発注前に以下の8項目を業者との間で確認します。

電気工事 発注前確認8項目








失敗例 電気工事の典型失敗3ケース

電気容量の失敗は、開業後に顕在化することが多く、対応コストが高額になりがちな領域です。

ケース1:単相2線式物件で200V機器が動かず再工事

15坪のカフェで、物件契約後に業務用エアコン(単相200V)と業務用冷蔵庫(単相200V)を選定したが、物件が単相2線式で200Vが使えず機器が動作せず。電力会社への単相3線式への切替申請で2ヶ月遅延、引込工事で45万円の追加。契約前に配線方式を確認していれば防げた失敗。

ケース2:同時使用率を見誤り、ピーク時にブレーカー落ち

30坪の焼肉店で、機器メーカーカタログから消費電力を単純合計し必要容量を決定。しかし夏場の空調ピーク+ディナー時のスチコン・食器洗浄機同時稼働で親ブレーカーが落ちるようになり、営業中に電源停止。低圧電力の契約電力を5kW増やし、幹線工事の増強で60万円の追加工事。同時使用率を考慮した最大デマンド算出が不十分だった典型例。

ケース3:居抜き物件の既存配線が不良で漏電事故

築30年超のビルで居抜きラーメン店を開業。既存配線の絶縁抵抗試験を省略して施工し、開業後3ヶ月で漏電事故発生。電気火災には至らなかったが、配線の全面更新で130万円の追加工事+2週間の営業停止。居抜き契約前に絶縁抵抗試験(5〜15万円)を実施していれば、契約時の修繕費交渉で前オーナー負担にできた可能性が高い。

FAQ よくある質問

Q. 物件契約前に電気容量を確認する具体的な方法は?

検針票(電気ご使用量のお知らせ)の確認、分電盤の主幹ブレーカー容量の確認、電力メーターの種別(単相・三相)確認の3点が基本です。さらに確実性を高めるなら、登録電気工事業者に現地確認を依頼し、引込電線のサイズ・配線方式を見てもらいます。数千〜1万円で実施できる内見立会もあります。

Q. 契約アンペアを増やす工事はどのくらい時間がかかる?

単相3線式のままアンペア変更のみなら電力会社の手続きで1〜3週間、単相2線式から単相3線式への切替で引込電線交換が必要な場合1〜2ヶ月、低圧電力(三相200V)の新規引込で2〜3ヶ月が目安です。開業スケジュールを設計する際は、電力会社協議期間を余裕をもって組み込んでください。

Q. 電気容量を節約する方法はありますか?

①省エネ機器の選定(LED照明・インバータエアコン・省エネ型業務冷蔵庫)、②機器の同時使用を避ける運用設計、③デマンドコントローラの導入、④契約電力の適正化(使用実績に合わせた見直し)の4点が基本です。省エネ機器は初期費用が高めですが、ランニングコストと契約電力の両方を下げられるため、中長期では合理的なケースが多くなります。

Q. 電気工事士の資格はどのようなレベルで必要?

一般用電気工作物(低圧600V以下)の工事は第二種電気工事士の資格で施工可能。自家用電気工作物(高圧受電・500kW未満)は第一種電気工事士が必要です。発注者側が資格を持つ必要はなく、施工業者が有資格者を配置していれば問題ありません。登録電気工事業者の登録番号と技術者配置を契約書で確認してください。

Q. 高圧受電(キュービクル)は必ず設置が必要ですか?

契約電力50kW以上で原則必要です。ただし複数テナントが入るビルでは、ビル側にキュービクルが既設置で、各テナントは低圧受電のケースがほとんどです。テナント入居時にキュービクル設置が必要になるのは、独立店舗での大容量・独立需要のケースに限られます。

Q. 電気料金の契約プランは何を基準に選ぶ?

①必要容量と使用機器の電源種別(従量電灯か低圧電力か)、②営業時間帯(夜間営業中心なら夜間割引プラン)、③月間使用量の見込み、④ピーク時間帯(夏季・冬季の空調ピーク)の4軸で判断します。電力会社・新電力各社で料金体系が異なるため、開業後6ヶ月〜1年の使用実績をベースにプラン見直しを実施するのが実務です。

Q. 店舗の照明はLEDで統一した方が良い?

電気容量削減・電気代削減・交換頻度低減の3つの観点で、LED化が実務上の標準です。初期費用は蛍光灯・白熱球より高めですが、耐用年数(10年以上)・消費電力(蛍光灯の半分〜1/3)・発熱量低減(空調負荷軽減)で総コストが下がります。演色性や色温度の設計は業態別の推奨があり、飲食店は温白色(3000K前後)、物販は昼白色(5000K前後)が一般的です。

Q. コインランドリーは電気容量が大きい?

大容量です。業務用洗濯機・乾燥機は1台あたり3〜10kWを消費し、10台規模の店舗では総計50〜100kWに達することも珍しくありません。契約電力50kW超では高圧受電の検討が必要になり、初期投資が大幅に増えます。コインランドリー開業の詳細はコインランドリー開業ガイドもご参照ください。

次の一歩 電気工事の進め方

店舗の電気容量設計は、物件選定段階から始める工程です。物件の既存設備(契約アンペア・配線方式・動力の有無)を契約前に確認し、基本設計で業態別の必要容量を算出、電力会社との協議を経て施工・検査・引渡しという流れが実務の定石です。

関連ガイドとして、カフェ開業ガイド居酒屋開業ガイド焼肉店開業ガイド家系ラーメン開業ガイドコインランドリー開業ガイドパーソナルジム開業ガイド飲食店の排気ダクト工事完全ガイド店舗の防音工事完全ガイドもあわせてご参照ください。

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