換気・
24時間換気は居室なら原則として義務とされ(建築基準法28条の2)、排気ダクト工事は10〜15坪で50万〜100万円が公表の例です。事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
24時間換気は義務?——30秒の結論
原則として義務とされています(建築基準法28条の2)。売場・客席・事務室など人が続けて使う部屋(居室)の空気を、換気扇で1時間に0.3回分以上(家具店の売場は0.5回分)入れ替え続ける機械換気です。倉庫・トイレなど居室でない部屋や2003年6月以前着工の建物は対象外になりえますが、増築・用途変更などで対象になることもあり、建築指導課で確かめます(判定チェッカー)。
人数で決まる量:窓が床の1/20未満の20坪の客席に20人なら、法律の最低は1時間400m³(1人20m³)、快適さの目安は600m³(1人30m³)。席数が決まる前は、床1㎡に1人(約66人)の満席を見込む設計の目安で約2,000m³です(計算例・計算機〈シミュレーター〉)。
工事費(施工会社の公表例):居酒屋の厨房の排気ダクト工事は10〜15坪で50万〜100万円、20〜30坪で100万〜200万円。設備を使える居抜きなら点検・部分改修で20万〜50万円。
先に読む章
店舗の24時間換気・給排気設計とは?このガイドのゴール
店舗の空気環境は、建築基準法のシックハウス規制(建材や家具から出る化学物質で体調を崩す「シックハウス」を防ぐための24時間換気)、建築物衛生法(特定用途の延べ面積3,000㎡以上)、労働安全衛生法の事務所衛生基準規則、飲食店の厨房排気など、複数の法令・基準が絡み、居室ごとに必要な換気量が決まります。業態によって適用範囲と設計優先順位が大きく変わります。本ガイドでは、24時間換気の法的位置づけ、業態別(飲食/美容/クリニック/オフィス/物販)の給排気設計差、全熱交換機の採用判断、CO2濃度・湿度・温度の空気質管理、工事費用の目安、物件選定段階の確認項目までを、法令・公的資料とメーカー・施工会社の公表をもとに整理します。本文中の制度情報・数値は記事公開時点のものであり、設計の最終判断は建築士・建築設備士・所管行政(建築指導課・労働基準監督署・保健所等)にご相談のうえご判断ください。
✅ 自分の店で何をすればいい?──3ステップで判定する
- ①居室かどうかを決める
- 売場・客席・事務室・施術室は「居室」で、24時間換気(機械換気)の対象とされています。
- 倉庫・納戸・トイレ・廊下は居室でないため、原則として対象外とされています。ただしドアの下のすき間(アンダーカット)などで居室と一体に換気する廊下・トイレは居室に含めて計算します。
- トイレは臭いの局所換気、厨房は火を使う部屋の換気(施行令20条の3)が別にかかるとされています。厨房が居室として24時間換気の対象にもなるかは使い方と設計で扱いが分かれることがあるため、設計者や管轄の建築指導課で確かめます。
- 窓を開けるだけの「自然換気」は原則として認められないとされ、機械換気が基本です(例外は国の告示〔平成15年国土交通省告示第273号。以下、告示273号〕の条件。対象外の章)。
- ②今ある設備で足りるかを数字で見る
- 換気扇や換気ユニットには風量(m³/h)が本体ラベルか型番の仕様に書いてあります。ダクトが長い・曲がりが多いと仕様どおりの風量は出ないため、圧力損失(ダクトやフィルターの抵抗で風量が落ちる分)を見込んだ風量で、居室ごとの必要換気量(計算例)と比べます。
- 給気口が無い・入口ドアが異様に重い店は、排気量に対して給気が足りていないサインです。
- ③業態の上乗せと相談先を確かめる
- シックハウス対策の24時間換気の0.3回/h(店舗の居室の必要換気回数)は法定の最低ラインで、人が集まる居室ほど上乗せが要ります。満席を見込む設計の目安は業態で大きく違います(20坪の店舗で、満席想定なら約400〜2,000m³/h。業態別の目安(計算機))。
- 飲食は保健所、施術所は保健所の施術所基準(1/7開放)、事務所は事務所衛生基準規則(気積10m³/人)が重なることがあります。
- 居抜きでも「物販→飲食」なら用途変更で建築確認(確認申請)が要る場合があるので、設計段階で建築士に確認します。
よくある誤解3つ
「エアコンがあるから換気できている」──業務用エアコンの多くは室内の空気を循環させるだけで、外気は入りません。厚生労働省も、換気用ダクトにつながっていない冷暖房設備は外気を取り入れる機能がないと注意しています(厚生労働省(PDF))。換気は別の設備です。
「窓を開ければ24時間換気は不要」──建築基準法の要件は原則として機械換気(換気設備)とされています。窓などで代えられるのは、営業中ずっと外気に開け放す開口部とすき間が床面積の1万分の15以上ある場合など、告示273号の条件を満たすときに限られるとされています。
「居抜きに換気扇が付いているから大丈夫」──風量が前業態向けで、給気口が塞がれていることが多い。数字(m³/h)と給気口の有無で確認します。
「この店に24時間換気は要るか、いくらかかるか」を内装工事と一緒に確認する
一度の入力で、事務局が候補の内装会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。必要換気量の考え方から給排気の方式、ダクト工事の概算まで、換気・空調工事を含めて相談できます。物件の候補があれば、住所と、図面・写真があることを依頼内容に書いておくと、紹介先と排気の出口やダクトの通り道まで具体的に確かめられます。
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基本 店舗の「換気」が何を指すのか整理する
「換気」は住宅・店舗で意味が違います。住宅では建築基準法のシックハウス規制(24時間換気)が中心ですが、店舗では以下の4系統が並行して必要になります。
- 居室換気(シックハウス対策):建築基準法に基づく全居室の換気(店舗の居室に要る換気回数は、法令の章の「3本立て」の①で説明しています)。窓など換気に有効な開口部が床面積の1/20未満の居室は、人数から決まる換気量(令第20条の2)も必要とされます
- 厨房換気(局所排気):飲食店の排気フード+給気、強制換気
- 空調換気(快適性):業務用エアコンの外気取り入れ・全熱交換
- 特殊換気(業態別):美容室の薬剤臭、クリニックの感染対策、タバコの分煙など
換気・
24時間換気は居室なら原則として義務とされ(建築基準法28条の2)、排気ダクト工事は10〜15坪で50万〜100万円が公表の例です。事務局が1社ずつ確認してご紹介します。
表① 業態別 必要換気量と工事費レンジ
この章の答え:20坪(66㎡・天井高2.7m)の店舗が満席(業態ごとの標準の混み具合。飲食店の客席は床1㎡に1人ほど)になる想定の設計の目安は、美容室の約400m³/hから飲食店客席の約2,000m³/hまで、業態で約5倍違います。席数が決まっている店は「席数×30m³/h」(20席で600m³/h)を目安にでき、下の計算機に席数を入れると、その量で換気扇の台数と本体の価格を出します。工事費は飲食の厨房の排気ダクト工事が大きくなります。本体は、業務用の有圧換気扇(壁に付けて外へ強く出す換気扇)が1台数万円、全熱交換機(排気の熱を回収して給気に戻す換気装置)が1台10万〜67万円ほどで、大風量の機種や台数が増えると100万円を超えます(三菱電機の事業者向け価格・税別・工事費別)。
まず、あなたの店の居室(売場・客席など)の必要換気量を、下の計算機(シミュレーター)で出しましょう。業態と坪数を選ぶと、満席を見込んだ1時間あたりの換気量の目安と窓の少ない店の法律の最低、換気扇の台数やダクト工事が要るかを言葉で表示します。席数を入れると席数から見た量を、今の客席・売場の換気扇の風量を入れると足りるかどうかも出します(計算の内訳と出典は、結果の下の「計算の内訳と出典を見る」に)。
※満席を見込む設計の目安(床面積あたりの換気量)と占有面積は、三菱電機が「必要換気量の求め方」に載せている値(空気調和・衛生工学会規格 HASS 102、建築基準法施行令第20条の2の業務用施設の占有面積の例)です。厨房の火力・ダクトルート・階数で変わるため、正確な必要換気量と金額は、風量計算を含む見積もりで確かめます。
下の棒は、20坪(66㎡・天井高2.7m)の店舗が満席になる想定の設計の目安です(計算機の坪数を変えても、この棒は20坪の例のままです)。必要換気量は「人数×1人あたり換気量」または「床面積×床1㎡あたり換気量」で算出し、ここでは床1㎡あたりの必要換気量(空気調和・衛生工学会規格 HASS 102〈1972年〉。1人あたり30m³/hで室内のCO2を0.1%に保つ前提)に床面積を掛け、換気回数(回/h)に直した値も添えています。
出典:三菱電機「必要換気量の求め方」(床面積当り必要換気量:美容室・理髪室6.0、事務所(一般)7.2、商店売場9.1、バー・レストラン(高級)17.7、レストラン・喫茶(普通)・食堂(営業用)30.0m³/㎡h)
- 法定の最低(建築基準法):①すべての居室にかかるシックハウス対策の24時間換気は0.3回/hで約53m³/h。②窓など換気に有効な開口部が床面積の1/20未満の居室を機械換気する場合は、V=20×床面積÷1人あたり占有面積で、三菱電機の同じページにある業務用施設の占有面積の例(店舗マーケット・レストラン・喫茶店3㎡、事務所5㎡)を使うと、店舗・飲食440m³/h(1人3㎡で約22人)、事務所264m³/h(1人5㎡で約13人)です。同時にいる人数が分かる場合は「人数×20m³/h」です(1人あたりの占有面積が10㎡を超えるときは10㎡で計算)。
- 高級店は席の間隔が広く、床1㎡あたりの人数が少ないため、普通の飲食店より目安が小さくなります(標準在室密度:高級1.7㎡/人、普通1.0㎡/人)。
- 美容室は人数だけでなくパーマ・カラー剤のにおいがあるため、三菱電機の同じページに換気回数の目安5〜10回/h(20坪で約891〜1,782m³/h。出典は「空気調和設備の実務の知識」)も載っています。
- 飲食店は、客席20席の想定で、建築基準法の計算400m³/h、日本建築士連合会の設計資料で400〜1,020m³/h、空気調和・衛生工学会便覧の床面積あたりの値で708〜1,800m³/hという試算が、厚生労働省の審議会の資料にあります(労働政策審議会安全衛生分科会 2010年 資料4(PDF))。資料ごとに床面積や1人あたりの量の置き方が違うため、自分の店は計算機で確かめます。
- 学習塾・フィットネス・クリニックなど上に無い業態は、在室人数×30m³/h(厚生労働省)を基本に、クリニックは医療施設向けの設計指針で室ごとの外気量を設計者に確かめます。
工事費の公表例:
- 厨房の排気ダクト工事(一般的な居酒屋・機器代と工賃込み):10〜15坪 50万〜100万円/20〜30坪 100万〜200万円/40坪以上 250万円〜(広積空調工業の公表・2025年5月)
- 業務用の有圧換気扇の本体:羽根径25cm 4万8,100円、30cm 6万2,000円(三菱電機の事業者向け積算見積価格・税別・工事費別)
- 全熱交換機(ロスナイ)の本体:店舗用 10万3,000円〜、業務用の天井埋込形 22万8,000〜66万6,000円(三菱電機の事業者向け積算見積価格・税別・工事費別。機種別は機器の値段早見)
- 業務用エアコン(機器代+工事代・税込):5馬力以下 50万〜70万円/6馬力以上 100万〜150万円が最も多い価格帯(ダイキンの公表)
- 給気口・排気口の開口、ダクト、電気、足場は、建物の条件で変わるため見積書で確かめる費目です
予算は幅の中ほど〜上側で見込みます。実務では建築基準法の最低(3本立ての①②)に、用途に応じた快適性・衛生の観点で換気量を上乗せします。業務用エアコンは外気取り入れ能力が限られるため、換気専用設備と給気口の併用が一般的です。
業態別 飲食/美容/クリニック/オフィスの換気設計差
空気の質に特に気をつける業態
- クリニック:空気感染対策(周りより気圧を低くして汚れた空気を外へ漏らさない陰圧室、高くして外の空気を入れない陽圧室)
- 美容室:パーマ・カラー剤の臭気・有機溶剤
- 飲食店・カフェの客席:CO2濃度・体臭・料理臭
- フィットネス:CO2濃度・湿度管理
- 全熱交換機の採用推奨
- 換気量は業態別の目安(計算機)で決め、法律の最低より多くします(人数・においで決まる)
一般的な換気で足りやすい業態
- 物販:来店客の滞在時間短い
- 学習塾:人数密度が高いが一時的
- オフィス・コワーキング:CO2管理中心
- 業務用エアコン+換気扇で対応可
- 全熱交換機は任意
- 換気量は法律の最低を満たし、業態別の目安(計算機)で確かめます
法令 店舗にかかる6つの法定基準(建築基準法・建築物衛生法・労安法ほか)
建築基準法の換気は3本立て——シックハウス対策の24時間換気・窓の少ない居室・火を使う厨房
建築基準法(e-Gov法令検索)第28条の2および施行令第20条の7〜9により、原則としてすべての居室に機械換気設備の設置が義務付けられているとされています。「24時間換気(0.3回/h)」は、建築基準法の換気のルールの1つです。店舗では次の3つを別々に計算し、同じ居室に重なるものはいちばん大きい値を満たす設備にします。シックハウス対策の24時間換気計算(①)だけで設備を選ぶと、窓の少ないテナントでは足りなくなります。国土交通省の建築物における効率的な換気の促進に関する取組事例集(PDF)が、法第28条・第28条の2の換気の規定を整理しています。
式:Vr=n×A×h(n=必要換気回数、A床面積、h天井高)。nは店舗・事務所などその他の居室で0.3、住宅等の居室で0.5(建築基準法施行令 第20条の8(e-Gov法令検索))。店舗用途の居室も対象とされ、「0.5回/h」は住宅の数値ですが、住宅等の居室には住宅の居室のほか下宿の宿泊室・寄宿舎の寝室と、家具その他これに類する物品の販売業を営む店舗の売場が含まれるため、家具店などの売場は0.5回/hで計算します(国土交通省:シックハウス対策の技術的基準の説明資料(PDF))
式:機械換気ならV=20×Af÷N(Af床面積、N実況に応じた1人あたり占有面積。上限10㎡、劇場・集会場などは3㎡)
式:V=40KQ(フードなし)、30KQ・20KQ(告示の構造の排気フード付き)。Kは都市ガス・LPガスで1kWhあたり0.93m³、Qは燃料消費量(kW。こんろ・グリラーの銘板やカタログの「ガス消費量」)。炭火の焼き台など、ほかの燃料を使う場合の計算は、設計者や確認申請の審査機関に確かめます。
計算例:24時間換気の換気回数と人数から必要換気量を出す(20坪の客席)
想定されるケース:床66㎡・天井高2.7m・換気に有効な窓がない飲食店の客席に、同時に20人いる想定の場合。
- ①シックハウス対策:0.3×66×2.7=約53m³/h
- ②居室の換気:N=66÷20=3.3㎡なので、V=20×66÷3.3=400m³/h
- 客席の法定の必要量は大きい方の400m³/h(厚生労働省が示す1人あたり30m³/hで考えると20人で600m³/h。人数を決めずに床1㎡に1人(約66人)の満席を見込むと約1,980m³/h。詳しくは業態別の目安)
- ③厨房は別系統:都市ガスの機器の燃料消費量の合計が30kWで、告示の(イ)の構造の排気フード付き(式の係数30)なら、V=30×0.93×30=約837m³/h。フードがなければ40×0.93×30=約1,116m³/h
窓が少しでもある居室(劇場・集会場などを除く)は、その窓の換気に有効な面積の20倍を床面積から差し引いてAfを計算できるとされています。Nの決め方(何人いる想定か)と③の排気フードの構造は、確認申請がある場合は審査で見られるため、見積もりの前に設計者と決めておきます。また、火を使う室の排気筒は、ほかの換気設備の排気筒や風道につながないこととされています(昭和45年建設省告示第1826号(PDF))。令第20条の2・第20条の3の条文(2017年12月時点)は、国土交通省の社会資本整備審議会 建築基準制度部会の参考資料(PDF)にも掲載されています。
内装材も規制の対象——F☆☆☆☆と造り付けの家具
シックハウス対策は換気設備だけでなく、内装の仕上げ材の制限とセットです(国土交通省:シックハウス対策の技術的基準の説明資料(PDF))。ホルムアルデヒドを発散する建材は等級で扱いが分かれます。
- F☆☆☆☆:使う面積の制限なし
- F☆☆☆・F☆☆:居室の種類と換気回数に応じて、使える面積が制限される(N2S2+N3S3≦A。S2はF☆☆、S3はF☆☆☆の使用面積、Aは床面積)
- 旧E2・Fc2相当や無等級のもの:居室の内装の仕上げには使えないとされる
店舗・事務所などの居室を0.3回/h以上0.5回/h未満で換気する場合、係数はN2=3.0、N3=0.50です。F☆☆だけなら床面積の3分の1まで、F☆☆☆だけでも床面積の2倍までしか使えない計算になります。床と天井だけで床面積の2倍になるので、壁まで含めた全面をF☆☆☆で仕上げると上限を超えます。換気回数を0.5回/h以上・0.7回/h以上にすると係数が小さくなり使える面積は広がりますが、主な面はF☆☆☆☆で選ぶのが確実です。
対象は壁・床・天井と建具の室内側の面で、告示の対象建材を使った造り付けの家具・キッチンキャビネットなども規制の対象とされています。天井裏などは、下地材・断熱材などにF☆☆☆以上を使う(第1種・第2種を使わない)、気密層や通気止めで居室と区切る、換気設備で居室の空気圧を天井裏より高く保つ、のいずれかの措置が必要とされています。確認申請では使用建築材料表で等級を示し、完了検査では受入検査の記録が求められるとされています。国土交通省は、建築確認などの手続きが要らないリフォームでも建築基準法に適合させる必要があるとしています(国土交通省:建築基準法に基づくシックハウス対策について)。どの工事が対象になるかは建物の着工時期と工事の内容で変わるため、設計者・建築指導課に確かめます。店舗内装では、カウンター・造作棚・壁紙・接着剤の等級を見積書や仕様書で確かめておくと、後からの材料の差し替えを避けやすくなります。
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建築物衛生法(ビル管理法)
特定用途(百貨店・店舗・事務所など)の延べ面積が3,000㎡以上(学校は8,000㎡以上。埼玉県の解説)の建築物は「特定建築物」として、厚生労働省:建築物環境衛生管理基準についての基準(浮遊粉じん0.15mg/m³以下、一酸化炭素6ppm以下(ppmは100万分の1。1,000ppm=0.1%)、CO2濃度1,000ppm以下、温度18〜28℃、相対湿度40〜70%、気流0.5m/秒以下、ホルムアルデヒド0.1mg/m³以下)に沿って維持管理するものとされています(一酸化炭素と温度の基準は2022年4月に改正)。小規模テナントは直接の対象ではないとされますが、ビル全体として適用される場合があります。特定建築物に当たらない建物でも、多数の人が使う建物は、この基準に沿った維持管理が努力義務とされています(建築物衛生法第4条第3項)。
労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)
事務所用途の店舗(コワーキング含む)には、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則(厚生労働省 法令等データベース)がかかるとされています。換気に関わる主な基準は次のとおりです。
- 気積:設備の容積と床から4mを超える空間を除き、1人10m³以上(第2条)
- 窓など直接外気に開放できる部分を常時床面積の1/20以上にする。換気が十分に行われる設備を設けた場合を除く(第3条第1項)
- 室内の一酸化炭素50ppm以下・CO2 5,000ppm以下(第3条第2項)
- 空気調和設備・機械換気設備がある場合は、室に供給される空気をCO2 1,000ppm以下・一酸化炭素10ppm以下に調整し、空調がある場合は室温18〜28℃・相対湿度40〜70%に努める(第5条)
- 機械による換気の設備は、初めて使うとき・分解して改造や修理をしたとき・2か月以内ごとに1回点検し、記録を3年保存(第9条)
事務所の換気回数そのものは、この規則には書かれていません。設備は建築基準法の0.3回/h(シックハウス)と、窓の少ない事務室なら1人あたり20m³/hを基本とする計算(令第20条の2。占有面積の上限10㎡)で選び、この規則の気積とCO2濃度で運用を確かめる、という順で考えます。
飲食店の換気扇と法律——建築基準法・保健所(営業許可)・消防
飲食店の換気扇・排気フードには、窓口の違う3つの法律・条例がかかるとされています。
- 建築基準法(建築確認):こんろなど火を使う設備のある厨房は「火気使用室」として、燃料消費量から必要な換気量を計算します(令第20条の3・昭和45年建設省告示第1826号。上の「3本立て」の③)。IHなど火を使わない機器だけの厨房の扱いは、確認申請の審査機関に確かめます
- 食品衛生法(保健所の営業許可):全業種共通の施設基準で、食品を扱う作業場所の真上は結露しにくく、かびや水滴で食品を汚さないよう換気が適切にできる構造又は設備が求められるとされています(食品衛生法施行規則別表第19の三のロ。厚生労働省「施設基準の全体像」(PDF))。自治体ごとに運用や上乗せの基準があるため、図面の段階で設置予定地の保健所に事前相談するのが確実です
- 火災予防条例(消防):厨房設備の排気ダクトや天蓋(フード)は、不燃材料で造る、ほかの用途のダクトとつながず直接屋外へ出す、油を取り除くグリス除去装置を付ける、清掃しやすい構造にして清掃する、などとされています(総務省消防庁「火災予防条例(例)」第3条の4(PDF)。実際の条文は市町村の火災予防条例)
保健所への事前相談の進め方は店舗内装と保健所のガイドで整理しています。
建築・保健所・労働の窓口に確かめる順番
1. 物件を契約する前
今ある換気設備の系統図と、給気口・排気口の位置を確かめます(契約前・発注前のチェック)。建物の用途(特定用途か)と延べ面積で、建築物衛生法の対象になるかも変わります。
2. 基本設計のとき
業態ごとの必要換気量を決め、建築基準法の換気回数と、人数から決まる換気量を設計に入れます。事務所なら、労働安全衛生法の事務所衛生基準規則(労働基準監督署の所管)の気積やCO2の基準も一緒に確かめます。
3. 実施設計のとき
必要に応じて、図面を持って建築指導課と保健所に事前相談します。飲食店は、営業許可の申請より前の図面の段階で保健所に確かめると、手戻りを減らせます。
4. 引渡しの前
試運転で風量とCO2を測り、設計どおりの性能か確かめます。記録を残しておくと、後で換気の状態を説明するときの根拠になります。
該当する法令と必要換気量の計算を、内装工事と一緒に相談する
建築基準法・建築物衛生法・労安法のどれが当たるかは、用途と規模で変わります。相談フォームの2ページ目「依頼内容・希望詳細」欄に、「確かめたいこと:該当する法令と根拠/必要換気量の計算」の行が入った状態で始まります(書き換えられます)。一度の入力で、事務局が候補の内装会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。
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業種ごとに重なる換気の決まり——6つの法定基準の横断表
建築基準法の3つ(上の「3本立て」)に、業種ごとの決まりが重なります。厨房の火気使用室、オフィスの気積、施術所の外気開放、興行場の構造設備まで、下の6つにまとめました。
「あなたの店の法定換気」は6つの基準に散らばっている
出典:建築基準法・同施行令・告示、事務所衛生基準規則、あはき法・柔道整復師法の施行規則、興行場法。運用は所管で異なります。
飲食店はこのほか、保健所(食品衛生法の施設基準)と消防(火災予防条例)の決まりが厨房の換気にかかるとされています(上の「飲食店の換気扇と法律」)。ビル全体の空気の管理は建築物衛生法(特定用途の延べ面積3,000㎡以上の建物)、事務所の基準は労働安全衛生法の事務所衛生基準規則(④)です。
使い方はシンプルです——自分の業種に当たる項目を見て、その法定を満たす設計になっているかを見積もり段階で確認する。換気の法定は1つの法律にまとまっておらず、内装会社ですら業種側の基準(1/7開放や気積10m³)を知らないことがあります。この一覧を要件書に貼っておくと、確認漏れを減らせます。なお法定の基準ではありませんが、厚生労働省は商業施設等の必要換気量として1人あたり毎時30m³を示し、CO2濃度1,000ppm以下で確かめる方法も紹介しています(厚生労働省(PDF))。
対象外 24時間換気の対象外|居室でない室・既存建物・大臣認定の構造
「うちの店は24時間換気の対象外か」は、次の4つの順に判定します。
- その室が「居室」か:廊下・トイレ・倉庫・納戸・機械室など居室でない室は対象外とされています(トイレは臭いの局所換気、厨房は火を使う部屋の換気〔施行令20条の3〕が別にかかるとされています。厨房が居室として24時間換気の対象にもなるかは使い方と設計で扱いが分かれることがあるため、設計者や管轄の建築指導課で確かめます)。また、ドアのアンダーカットなど常時開放された開口部を通じて居室と一体的に換気する廊下などは「居室」に含めて扱います(国土交通省の技術的基準の説明資料)。売場・客席・事務室・施術室・教室は居室として対象とされています。
- 大臣が定めた構造方法・大臣認定の居室か:施行令第20条の8第2項により、国土交通大臣が定めた構造方法(平成15年国交省告示第273号:天井高や常時外気に開放された開口部などの条件)を用いる居室、または大臣認定を受けた居室は、同条の機械換気設備の設置規定が適用されないとされています。
- 中央管理方式の空調で満たしているか:ビル全体の中央管理方式の空気調和設備が基準を満たす場合、テナント個別の機械換気設備は不要になることがあります(ビル管理会社に設備仕様を確認)。
- 既存建物か:シックハウス規制は2003年7月1日施行で、同年6月以前に着工した建物には適用されていないとされています(国土交通省)。こうした建物で増築・大規模の修繕・用途変更など確認申請を伴う工事をするときに、どの規定を現行基準に合わせる必要があるかは工事の内容で変わるため、設計段階で建築士・建築指導課に確認します。
告示273号で定められた「適用除外」の条件(店舗・事務所などその他の居室)
施行令第20条の8第2項が引用する平成15年国土交通省告示第273号(PDF)は、住宅等の居室以外の居室について、次のいずれかに該当すれば同条第1項の機械換気設備(0.3回/h)の規定を適用しないと定めています。
- 外気に常時開放された開口部等の換気上有効な面積の合計が床面積の1万分の15以上(第二第二号)
- ホテル・旅館の宿泊室等を除く居室で、使用時に外気に開放される開口部等の換気上有効な面積の合計が床面積の1万分の15以上(第二第三号。廊下など常時開放された開口部で通気が確保される部分を含む)
- 天井高2.9m以上で、天井高の区分に応じた換気回数(3.9m未満0.4/3.9〜5.8m未満0.3/5.8〜11.5m未満0.2/11.5m以上0.1)を満たす機械換気設備を設けるもの(第二第一号)
- 天井高3.5m以上で6.9m未満0.2/6.9〜13.8m未満0.1/13.8m以上0.05の換気回数を満たす機械換気設備を設けるもの(第四第三号)
- 合板等を用いない真壁造の建築物の居室(第二第四号)
床面積20坪(約66㎡)の店舗なら1万分の15は約0.1㎡(約990cm²)で、これが「店舗は24時間換気の対象外になることがある」と言われる根拠です。条件は「常時開放」(第二第二号)か「使用時に外気に開放」(第二第三号)の開口部とすき間なので、営業中ずっと開け放しておく店先などで成り立つもので、扉を閉めて空調する一般的なテナントには当てはめにくい条件です。また、該当するかどうかは確認申請時に換気計算書と開口部の面積で示す必要があるとされ、内装工事で開口部を塞ぐ改修をすると条件を外れるため、設計者に「どの号で適合させているか」を確認しておきます。
24時間換気の対象外に当たるかを、物件の図面で相談する(無料) →
24時間換気の対象外・適用除外 判定チェッカー
室の種類・用途・建築時期・床面積・天井高・開口部の換気上有効な面積を入れると、対象外か、適用除外(告示273号)に該当しうるか、原則どおり必要な換気量はいくらかを、根拠条文つきで出します。厨房は、この判定とは別に、上の「3本立て」の③(火気使用室)で計算します。
※建築基準法第28条の2・施行令第20条の8・平成15年国交省告示第273号に基づく整理。最終判断は確認申請の審査(建築主事・指定確認検査機関)と設計者の換気計算によります。
対象外でも「換気が要らない」わけではない
建築基準法の24時間換気(シックハウス対策)が対象外でも、窓の少ない居室の換気(V=20Af/N)、飲食店の厨房排気(火気使用室の換気)、事務所の衛生基準(CO2 1,000ppm以下)、施術所の換気基準、興行場の構造設備基準は別の規定で残るとされています。対象外の判定は「機械換気設備の設置義務がないか」であって、必要換気量の設計をしなくてよい理由にはなりません。判断に迷う場合は、図面と用途を持って建築指導課に事前相談するのが確実です。
判定の結果(24時間換気の対象か・0.3回/hの量)と計算機の目安を書いて、換気工事を相談する
上の判定結果と、業態別の目安の計算機(表①)で出した客席・売場の目安(m³/h)、業態・坪数を書いて相談すると、事務局が対応できる内装会社を1社ずつ確認してご紹介します。紹介先と直接、給排気の方式と工事費の概算を相談できます。相談フォームの2ページ目の「依頼内容・希望詳細」欄に、判定結果と計算機の目安を書く行をあらかじめ入れてあります。
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給気 「給気が主役」──ドアが重い店は換気が壊れている
換気の相談は「排気をどうするか」から始まりがちですが、換気は出した分だけ入れて初めて成立します。給気の計画が抜けた店には、はっきりした症状が出ます——①入口のドアが異様に重い(店内の空気が足りず、外より気圧が低い「負圧」になっている)②扉がバタンと大きな音で閉まる ③排気しているのに煙・匂いが客席へ回る(空気の通り道が計画されていない)。この3つは換気扇の故障ではなく、給気不足のサインです。
対策は、排気量に見合う給気口・給気ファンをセットで設計すること。第1種換気(給排気とも機械)はここが最も確実で、全熱交換機と組めば外気の熱ロスも抑えられます(次章)。第3種(排気のみ機械)でコストを抑える場合も、給気口の位置と面積が計画されているかを見積もりで確認しておきます。強力に排気する業態(焼肉・ラーメン等の重飲食)ほどこの問題は深刻で、詳しくは焼肉屋の内装費用相場の「給気」の章でも扱っています。国土交通省の事例集も、飲食店舗では厨房の排気などが機械換気設備や24時間換気設備の能力を大きく上回ることがあり、全体の換気能力に影響することがあると指摘しています(国土交通省(PDF))。「排気工事はするが給気工事をしない」見積もりは典型的な見落としのパターンで、見積書に「給気」の文字があるかが、換気を計算できる会社かどうかの最初のリトマス紙です。
営業中の店で「ドアが重い・臭いがこもる・エアコンが効かない」なら、給気不足の可能性
いまの換気設備の種類と症状を書いて相談すれば、給気口の追加や換気扇の交換など、営業を止めずにできる改修の範囲と概算を確認できます。
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換気設備の種類と選定
第1種機械換気(給排気とも機械)
給気ファンと排気ファンの両方を機械で行う方式。外気取入量が安定し、全熱交換機との組合せも可能。コストは高めだが、空気質管理が厳密に求められる業態(クリニック・フィットネス・カフェ等)で採用されます。
第2種機械換気(給気のみ機械)
給気を機械、排気は自然換気(給気圧で押し出す)。クリーンルーム等の陽圧室で採用。店舗では限定的な用途です。
第3種機械換気(排気のみ機械)
排気を機械、給気は給気口から自然流入。一般的な店舗用途では最もコスト効率が良く、小規模物販・学習塾等で採用されます。
焼き物など排気の多い飲食店は、出した分の空気を入れないとドアが重くなり、煙も客席へ回りやすくなります。第3種なら給気口の大きさと位置を、それで足りなければ給気ファンを足した第1種を、設計で確かめます(「給気」の章)。
風量は「ダクトをつないだ状態」で確かめる
換気扇のカタログの風量は、ダクトの長さ・曲がり・フィルターの抵抗で下がります。建築基準法の告示でも、居室の機械換気設備の給気機・排気機は、原則として換気経路の全圧力損失(直管部・局部・機器などの損失の合計)を考慮した計算で能力を確かめることとされています(昭和45年建設省告示第1826号(PDF))。見積もりでは機種名だけでなく、圧力損失を見込んだ風量の計算と、引渡し前の風量測定の有無を確認します。引渡し後も、フィルターや給気口の目詰まりや、家具で給排気口をふさぐことで風量は落ちるため、清掃の頻度と担当を決めておきます(事務所衛生基準規則では、機械による換気の設備を2か月以内ごとに1回点検)。
全熱交換機(ロスナイ等)の採用判断
全熱交換機は、排気から熱(温度+湿度)を回収して給気に戻す第1種換気の省エネ設備です。三菱電機の試算では、換気風量1,000m³/h・1日12時間(冷房177日・暖房88日)の条件で、空調機器のランニングコストが年約30万1,600円から約21万6,400円に、約28%(約8万5,200円)下がるとしています(三菱電機「ロスナイとは」)。営業時間が長く換気量の多い店ほど、一般換気との差が出やすくなります。
全熱交換機が効果的な業態
- クリニック・美容室:外気負荷(取り入れた外気を冷やす・温める空調の負担)が大きく、温度・湿度の管理が重要
- 飲食店客席:冷暖房負荷の大部分が外気取り入れ分
- フィットネス:大量換気が必要で外気負荷大
- オフィス・コワーキング:長時間営業で省エネ効果累積
初期費用と元が取れるまでの年数(ROI)
- 初期費用:本体は店舗用で10万3,000円から、業務用の天井埋込形で22万8,000〜66万6,000円、1,500〜2,000m³/hの大風量機で106万5,000〜133万円(三菱電機の事業者向け積算見積価格・税別。機種別は機器の値段早見)。天井の開口・ダクト・電気の工事費は別に乗るため、見積書で確かめる費目です
- 運用コスト削減:上の三菱電機の試算で、空調機器のランニングコスト約28%減。CO2濃度に応じて風量を自動で切り替えると、空調機とロスナイのランニングコストを約14%減らせるとしています(三菱電機 業務用ロスナイ)
- 投資回収:「全熱交換機にした場合の本体と工事の差額」÷「年間の削減額」で見積もります。削減額は換気量・営業時間・電気料金で変わるため、機器の仕様と営業時間をもとに試算してもらいます。例えば上の三菱電機の試算(1,000m³/h・1日12時間で年約8万5,200円減。電気料金は31円/kWh〔税込〕)で、1,000m³/hの業務用の天井埋込形の本体の値段(60万5,000〜66万6,000円・税別)を割ると、本体だけで約7.1〜7.8年です。実際は普通の換気扇にした場合との差額(本体と工事)で割るので、差額が小さいほど短く、工事費や消費税が乗るほど長くなります
空調(業務用エアコン)側の容量選定・馬力の目安・工事費内訳は店舗の空調工事費用ガイドで詳述しています。換気と空調は給排気バランスで一体設計するのが基本です。
CO2・湿度・温度の空気質管理
良好な空気環境は来客満足度と従業員生産性に直結します。主要指標と、法令の基準・公的な目安を整理します。
- CO2濃度:1,000ppm以下(建築物衛生法の管理基準=延べ3,000㎡以上の特定建築物の基準で、小さな店は目安として使います。事務所衛生基準規則では空調・機械換気で室に供給する空気の基準)。空気調和・衛生工学会の2016年の報告書は、ドイツ連邦環境庁の指針として、1,000〜2,000ppmは換気状況の確認と改善が要る水準、2,000ppm以上は許容できない水準と紹介しています(厚生労働省のサイトに掲載(PDF))
- 温度:18〜28℃(建築物衛生法の管理基準。事務所衛生基準規則では空調がある場合の努力目標)。厚生労働省は冬場の換気で、居室の温度を18℃以上に保つよう示しています
- 相対湿度:40〜70%(建築物衛生法の管理基準)。厚生労働省は冬場の換気で、相対湿度を40%以上に保つよう示し、加湿器の併用も有効としています(厚生労働省(PDF))
- 浮遊粉じん:建築物衛生法の管理基準で0.15mg/m³以下(おおむね10μm以下の粒子の量で、PM2.5の基準ではありません)
- ホルムアルデヒド:0.1mg/m³以下(建築物衛生法の管理基準)
CO2・湿度の目標から、換気と空調の組み合わせを相談する(無料) →
工事費用の内訳分解
この章の答え:換気の工事費は、機器の本体よりも、開口・ダクト・電気・足場など建物の条件で動く費目で大きく変わります。公表例では、居酒屋の厨房の排気ダクト工事が10〜15坪で50万〜100万円(スケルトンから新しく引くと100万〜200万円以上、設備を使える居抜きなら点検・部分改修で20万〜50万円程度)、業務用の有圧換気扇の本体が1台4万8,100〜6万2,000円です。公表されていない費目は見積書で確かめます。
見積書で確かめる費目(20坪・第3種換気+業務用エアコンの例)
- 給気口・排気口(壁や天井の開口・ガラリ〔羽板の付いた通気口〕・ウェザーカバー〔雨よけのフード〕):壁の材質と箇所数で変わるため、見積書で箇所数と単価を確かめる
- 換気ファン(換気扇)の本体:下の「機器の値段早見」の公表価格を目安に、型番と台数を見積書で確かめる
- ダクト配管(長さ・曲がり・吊金物・保温):経路で変わるため、見積書でダクトの長さ(m)と単価を確かめる
- 業務用エアコン本体と工事:ダイキンの公表では、機器代+工事代(税込)が5馬力以下(一般事務所70㎡以下が目安)50万〜70万円、6馬力以上(80㎡以上)100万〜150万円が最も多い価格帯です(2023年4月〜2024年3月の成約案件。ダイキン)
- 空調・換気の電気配線(専用回路・動力)と制御盤・スイッチ:見積書で範囲を確かめる
- 全熱交換機(採用時):本体は下の「機器の値段早見」。天井の開口と復旧、ダクトの接続が工事費に乗る
- 試運転・風量測定:有無と測る方法を見積書で確かめる
- 設計・風量計算(換気計算書・系統図):作るかどうかと費用を見積書で確かめる
- 申請・協議(確認申請や、保健所・消防への事前相談の手続き):要るかどうかと費用を見積書で確かめる
- 諸経費:率と含まれるものを見積書で確かめる
- 予備費(天井やダクトを開けてから分かる追加工事への備え):見積書の「別途」「追加」の条件を確かめ、予算に残しておく
機器の値段早見──「本体」と「工事」を分けて読む
見積もりを読むときは、機器本体と取付・配管工事を分けると比較しやすくなります。メーカーが公表している本体の価格は次のとおりです(いずれも「事業者向けの積算見積価格」=メーカーが工事会社の見積もり用に示す価格で、一般の販売価格ではありません。税別・工事費別)——これに配管・開口・電気の工事が乗って、上の「見積書で確かめる費目」になります。
- 業務用の有圧換気扇(三菱電機の産業用・低騒音形):羽根径25cm 4万8,100円、30cm 6万2,000円(EWF-25ASA2-Q・EWF-30BSA2-Q)
- 全熱交換機(店舗用ロスナイ):全カセット形=室内側のダクトが要らず、露出して付けられる形・250〜650m³/hの4機種で10万3,000〜17万3,000円(2021年の資料)
- 全熱交換機(業務用ロスナイの天井埋込形):スタンダードタイプ〜DCマイコンタイプで、150m³/hの機種で22万8,000〜25万7,000円、500m³/hで33万2,000〜36万6,000円、650m³/hで44万5,000〜49万円、1,000m³/hで60万5,000〜66万6,000円、1,500〜2,000m³/hの大風量機で106万5,000〜133万円(2023年の資料)。表①の計算機の全熱交換機の価格は、この業務用の天井埋込形の値です(予算は高いほうの業務用の天井埋込形で見込み、どちらを使うかは見積書で確かめます)
- 一般のダクト用換気扇・厨房のフード(グリスフィルター付き):大きさと仕様で変わるため、見積書で型番と単価を確かめる
どれも資料の時点の価格で、改定されることがあります(三菱電機は一部の部材で2027年1月の価格改定を予告しています)。予算は幅の中ほど〜上側で見込みます。機器のグレード差は静音性・耐久・熱回収効率に出るため、営業時間が長い店ほど「安い本体×高い電気代」より「熱交換で回収」が効いてきます。
階数の掛け算──屋上立ち上げと足場
工事費を最も大きく振らせるのが排気の出口までの距離です。ダクト工事の専門会社の広積空調工業は、一般的な居酒屋のダクト工事(機器代・工賃込み)の坪数別の目安を10〜15坪で50万〜100万円、20〜30坪で100万〜200万円、40坪以上で250万円〜とし、これとは別に物件の状態別の目安として、居抜きで前の店の設備をそのまま使える場合の点検・部分改修は20万〜50万円程度、スケルトンから新しく引く場合は100万〜200万円以上としています。1階の壁から出すより屋上まで伸ばす(屋上上げ)方が、材料費・足場代・人件費が積み上がるとも説明しています(広積空調工業(2025年5月))。足場の費用は面積と日数で決まるため、見積書で足場の有無と面積を確かめます。同じ坪数・同じ設備でも、階数と建物のダクトルートだけで大きな差——物件契約の前に「排気をどこへ出せるか」を管理会社に確認することが、換気費用の最大のコントロールポイントです。小さな店では、坪数別の目安(10〜15坪で50万〜100万円)より、物件の状態別の「スケルトンから新しく引く」目安(100万〜200万円以上)のほうが高いため、ダクトを新しく引く店は高いほうで予算を見込み、見積書で確かめます。
居抜き 既存換気・空調設備の活用可否
居抜き物件では既存換気設備の流用で開業費を圧縮できます。ただし、前業態と現業態で必要換気量が違う場合、追加工事が必要です。
流用しやすいパターン
- 前業態と類似(カフェ→カフェ等)
- 排気ファンのモーター劣化なし
- ダクト内部の油脂付着が少ない
- 給気口・排気口の位置が合致
- 業務用エアコンが15年未満で、点検で冷え・異音の不具合が無い
要追加工事パターン
- 前業態と大幅に違う(物販→飲食等)
- 排気ファンが騒音・振動を発生
- ダクト内部の堆積が著しい
- 給排気口の位置変更が必要
- 業務用エアコンが15年以上前の機種(冷媒R22の可能性があり、修理が難しくなる場合がある)
業務用エアコンは、15年以上前の機種に使われていることがある冷媒R22(HCFC)の生産が2020年までに終わり、故障しても修理が難しくなる場合があります(ダイキン)。室外機の銘板の冷媒の欄と製造年を、内見のときに確かめます。
居抜きの換気・空調が使えるか、内見の段階で相談する
既存ダクトの汚れ・ファンの騒音・エアコンの年式は、契約後に分かると費用が跳ね上がります。内見の前後に相談すると、事務局が対応できる内装会社を1社ずつ確認してご紹介し、紹介先に、活用できるかと交換範囲の目安を直接相談できます。
押すと相談フォームが開きます。
契約前・発注前 オーナーが確認すべきチェック(物件6項目・発注8項目)
物件を決める前に建物の条件(居室の窓の面積・排気の出口・ダクトの通り道・既存設備)を、発注する前に設計と見積書の中身を確かめます。
物件を決める前(6項目)
発注する前(8項目)
8項目を依頼内容に書いて、無料で相談する
ボタンを押すと、相談フォームの2ページ目「依頼内容・希望詳細」欄に、この8項目が入った状態で始まります(書き換えられます)。一度の入力で、事務局が候補の内装会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。項目別の内訳や、試運転・風量測定の有無も紹介先と直接確かめられます。
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典型パターン 換気・空調でつまずきやすい3つのパターン
パターン1:人が集まる居室を24時間換気の最低値だけで設計し、満席時にCO2がこもる
学習塾の教室や飲食店の客席のように人が集まる居室を、シックハウス対策の0.3回/hだけで設計すると、満席時にCO2濃度が上がりやすくなります。窓の少ない居室なら建築基準法の1人あたり20m³/hを基本とする計算(V=20Af/N)が別に必要とされ、厚生労働省が示す1人あたり30m³/hやCO2濃度1,000ppm以下も設計の目安になります。開業後の増設は天井の開口やダクトのやり直しを伴いやすいため、設計段階で在室人数から換気量を決めておきます。
パターン2:排気だけ強化して給気を計画せず、ドアが重くエアコンが効かない
排気ファンだけを強化して給気口や給気ファンを計画しないと、室内が負圧になってドアが重くなり、冷暖房の効きも落ちやすくなります。症状と直し方は「給気」の章にまとめています。
パターン3:全熱交換機を初期費用だけで見送り、光熱費を比べていない
初期費用を抑えるために全熱交換機を見送ると、外気をそのまま取り込む分だけ冷暖房の負荷が増えます。営業時間が長い店や換気量の多い業態ほど差が出るため、採否は初期費用だけでなく、機器の仕様と営業時間をもとにした光熱費の比較で判断します。
FAQ よくある質問
一般的に、店舗の居室にも設置の義務があるとされています(建築基準法第28条の2のシックハウス対策で、居室に機械換気設備の設置を求める決まり。店舗用途の居室も含まれます)。2003年6月以前に着工した建物には適用されていないとされますが、増築・用途変更など確認申請を伴う工事では扱いが変わることがあるため、管轄の建築指導課で確かめます。換気回数は次の問いのとおりです。
必要換気回数は、店舗・事務所などその他の居室で0.3回/h以上、住宅等の居室で0.5回/h以上です(建築基準法施行令第20条の8)。店舗の売場・客席・事務室に当てはめる数値は原則0.3回/hで、家具などを売る店の売場は住宅等の居室に含まれ0.5回/hです。窓の少ない居室は人数から決まる換気量も必要とされています(本文の「3本立て」)。
多くの業務用エアコンは室内空気の循環が主機能で、外気取り入れ能力は限られます。建築基準法の換気要件を満たすには、換気専用設備(換気ファン・全熱交換機等)を併用するのが一般的です。一部の機種で換気機能付きもありますが、能力を確認のうえ採用可否を判断します。
外気負荷が大きい業態(クリニック・美容室・飲食店客席・フィットネス)や営業時間の長い店で検討する価値があり、本体は店舗用で10万3,000円から、業務用の天井埋込形で22万8,000〜66万6,000円です(三菱電機の事業者向け価格・税別・工事費別)。省エネの試算と投資回収の考え方は、本文の「全熱交換機の採用判断」にまとめています。
建築物衛生法の管理基準(特定建築物)と、事務所衛生基準規則で空調・機械換気から室に供給する空気の基準が、いずれも1,000ppm以下です(事務所の室内の上限は5,000ppm)。学習塾・フィットネス・クリニック・飲食店客席など人数密度が変動する空間では、CO2センサーの設置で換気量を自動で切り替える方法があり、機器の例と価格は本文の「CO2・湿度・温度の空気質管理」にまとめています。
業態が近く設備の状態がよければ流用できます。①排気ファンの劣化・騒音 ②ダクト内の油の堆積 ③給排気口の位置 ④業務用エアコンの製造年と冷媒(15年以上前の機種は冷媒R22の可能性があり、修理が難しくなる場合がある)を点検し、詳しくは本文の「居抜き」の章で確かめます。
一般的に、建築基準法の換気要件は店舗の広さにかかわらず適用されるとされています。小規模店舗では既設の換気扇・給気口で足りる場合もあり、居抜き物件では追加工事が要らない場合もあります。内見の段階で建築士・内装会社に確かめてもらうと判断しやすくなります。
引渡し前の試運転で風量を測ってもらうと、設計の値と実際の風量の差を早めに見つけて調整できます。建築物衛生法の特定建築物(延べ3,000㎡以上)では定期測定が義務付けられているとされ、小規模テナントでも引渡し時に実測で確かめておくと安心です。
シックハウス対策の換気設備は常時運転できるものとし、スイッチは容易に止められないものにするとされています。一方で国土交通省の事例集は、利用時間帯が日常的に限られる事務所等では、夜間など人がいない時間に限って運転を止める運用も考えられるとし、その場合は再稼働時に所要のレベルまで速やかに空気をきれいにする措置が必要としています。事例集が挙げているのは事務所等なので、店舗で止める運用にしてよいかと再稼働の方法(開店前に運転を始めるなど)は、設計者や確認申請の審査機関に確かめてから決めます。
居室でない廊下・トイレ・倉庫は原則として対象外とされていますが、ドアのアンダーカットなどで居室と一体に換気する廊下などは居室に含めて計算します(国土交通省の技術的基準の説明資料)。トイレの臭気と厨房の換気は別に計画します(本文の「対象外」の章)。
窓など換気に有効な開口部が床面積の1/20以上あれば、建築基準法第28条第2項の居室の換気は満たせるとされる一方、シックハウス対策の24時間換気(第28条の2)は別の規定で、原則として機械換気設備が必要とされています。例外は平成15年国土交通省告示第273号の条件を満たす場合で、条件は本文の「対象外」の章にまとめています。
次の一歩 換気・空調設計の進め方
店舗の24時間換気・給排気・空調は、業態別の必要換気量を基本設計で確定し、店舗にかかる法定基準(建築基準法・建築物衛生法・労安法ほか)を織り込んだうえで設備選定・施工・試運転・引渡しの流れで進みます。物件選定段階で既存換気設備・給排気経路・業務用エアコン能力を確認することで、追加工事を最小化できます。
関連ガイドとして、飲食店の排気ダクト工事完全ガイド、店舗の防音工事完全ガイド、店舗の電気容量・電気工事完全ガイド、店舗の看板・サイン工事完全ガイド、カフェ開業ガイド、居酒屋開業ガイドもあわせてご参照ください。
換気・空調を含めた店舗内装を、無料で相談する
店舗内装ドットコムでは、一度の入力で、事務局が候補の内装会社へ1社ずつ対応できるかを確認し、24時間換気・給排気・業務用空調を含めて対応できる会社をご紹介します。紹介先と直接相談・見積もりをして、提案を比べて自由に選べます(相談無料・会員登録不要)。
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この記事について(運営者情報)
本記事は、店舗内装ドットコム(株式会社BPBコンサルティング運営)が、公的資料・法令(建築基準法のシックハウス対策・火気使用室の換気規定、建築物衛生法、労働安全衛生法・事務所衛生基準規則〈気積10m³/人等〉、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律・柔道整復師法の各施行規則〈室面積1/7以上の開放等〉、興行場法、厚生労働省の換気に関する公表資料〈1人あたり30m³/h〉、国土交通省のシックハウス対策の技術的基準の説明資料・昭和45年建設省告示第1826号・換気に関する事例集、食品衛生法施行規則別表第19、総務省消防庁の火災予防条例(例))と、空気調和・衛生工学会の規格・報告書、メーカー(三菱電機・ダイキン)と施工会社(広積空調工業)の公表価格を整理して作成・更新しています。最終更新:2026年10月11日。
作成・検証の方法:金額は、メーカーと施工会社が公表している価格・相場を、出典と資料の時点を添えて載せ、公表例の無い費目は見積書で確かめる費目として示しています。業態別の換気量は、空気調和・衛生工学会規格(HASS 102)の床面積あたりの換気量と建築基準法施行令第20条の2の占有面積の例(三菱電機の掲載)から計算しています。金額は一般的な目安であり、必要換気量は厨房の火力・用途で個別に算定されます。法定基準の運用は所管行政で異なるため、図面段階での確認をおすすめします。
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