ペットサロン・ペットショップ・トリミングサロンの内装の費用相場|坪単価・内訳・見積の注意点

📅 最終更新: 2026年4月3日
ペットサロン・ペットショップ・トリミングサロンの内装費用は、坪単価30万〜65万円が相場です。10坪の小型トリミングサロンで300万〜650万円、20坪のペットショップ併設型で600万〜1,300万円が目安となります。費用を左右するのは「給排水工事(シャンプー台・排水処理)」「防臭・換気設備」「防水・防汚仕上げ」「動物用ケージ・什器」の4要素です。ペットサロンは水回り工事と臭気対策が一般的な物販店舗の2〜3倍のコストになる点が最大の特徴です。本記事ではBtoC(個人飼い主向け)の街のトリミングサロンからBtoB(ブリーダー・動物病院併設)の大型施設まで、業態別の坪単価・設備費用・コストダウン戦略・見積もりの注意点を網羅的に解説します。

※本記事中の費用・坪単価等は「モデルケース」「想定シミュレーション」として掲載しています。実際の数値は物件条件・仕様・地域により大きく変動します。

基本ペットサロン・トリミングサロンの内装費用——全体像をつかむ

ペットサロンの内装は、一般的な美容室やサービス業店舗と比べて「水回り」「防臭・換気」「防水」の3つの要素でコストが上乗せされます。トリミング台のシャンプー作業では大量の水と動物の毛が排水に流れるため、通常の美容室よりも太い排水管(50mm以上推奨)と毛取りトラップの設置が必要です。また動物特有の臭気対策として、一般店舗の2〜3倍の換気能力が求められ、換気設備だけで30万〜80万円の追加費用が発生します。

ペット業界はBtoC(個人飼い主向けのトリミング・物販・ホテル)とBtoB(ブリーダー向け卸売・動物病院併設・ペットホテル法人契約・企業福利厚生としてのペットケアサービス)の両面があり、ターゲットによって内装の方向性が大きく変わります。BtoC向けの街のトリミングサロンは「清潔感」と「飼い主の安心感」がキーワードで、ガラス張りのトリミングルームで施術の様子が見えるデザインが人気です。BtoB要素を含む大型ペットショップでは、商品陳列・生体展示・トリミング・ホテルの複合動線設計が重要になります。

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給排水工事が最大のコスト要因
シャンプー台1台あたりの給排水工事費は15万〜35万円。排水管の太さ・毛取りトラップ・温水器の設置が必要で、美容室の水回り工事より割高になります。2台以上設置する場合は排水合流の配管設計が重要です。
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防臭・換気は一般店舗の2〜3倍
動物の臭気対策として換気回数は1時間あたり10〜15回が推奨(一般店舗は5〜8回)。業務用換気扇+脱臭フィルター+オゾン発生器の組み合わせで30万〜80万円。近隣トラブル防止の観点からも必須の投資です。
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防水・防汚仕上げが必須
トリミングルームの床はFRP防水またはウレタン防水が推奨。壁面もキッチンパネル(メラミン不燃化粧板)や防水クロスで仕上げます。通常のクロス・フローリングでは水濡れによる劣化が早く、1〜2年で貼り替えが必要になります。
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動物用設備の専門性
トリミングテーブル(1台8万〜20万円)、ドライヤーブース(1台15万〜40万円)、ケージ・犬舎(1セット10万〜30万円)など、動物専用の設備は一般の什器より単価が高い傾向があります。
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第一種動物取扱業の登録が必須
ペットサロンの開業には「第一種動物取扱業」の登録が必要です。登録には動物取扱責任者の設置が義務付けられており、施設の構造基準(採光・換気・排水等)を満たす必要があります。管轄窓口にご確認ください。

表①業態別の坪単価と初期費用の目安

ペット関連店舗は業態の幅が広く、小規模なトリミング専門店からペットショップ・ペットホテル・動物病院併設まで多様です。以下は業態別の坪単価と、代表的な坪数での概算費用です。

業態 坪単価 代表的な坪数と概算費用 特徴・注意点
トリミング専門サロン 30万〜50万円 8〜12坪:240万〜600万円 シャンプー台1〜2台。少人数運営。防水・排水が最重要
ペットショップ(生体販売あり) 40万〜65万円 15〜25坪:600万〜1,625万円 生体展示ケージ・空調管理・24時間換気が必要。動物愛護法の構造基準あり
トリミング+物販複合 35万〜55万円 12〜18坪:420万〜990万円 トリミングルームと物販スペースのゾーニングが重要
ペットホテル併設型 45万〜70万円 20〜30坪:900万〜2,100万円 犬舎・猫舎・防音・24時間空調。宿泊スペースの消防法対応も必要
猫カフェ・ドッグカフェ 40万〜60万円 15〜25坪:600万〜1,500万円 飲食店営業許可+動物取扱業登録の両方が必要。保健所基準のクリアが鍵
動物病院併設サロン(BtoB含む) 50万〜80万円 25〜40坪:1,250万〜3,200万円 医療設備・手術室・レントゲン室の放射線防護が加わる
ポイント: 生体販売を行うペットショップは、動物愛護管理法に基づく「飼養施設の構造及び規模に関する基準」を満たす必要があります。ケージ1頭あたりの最低面積、温度管理(夏季28℃以下・冬季5℃以上)、照明(昼夜サイクルの確保)など細かい基準があるため、設計段階で管轄の動物愛護センターに確認してください。

表②坪数別モデルケース——8坪・15坪・25坪の費用シミュレーション

以下はトリミング専門サロンをベースにした想定シミュレーションです。物販スペースやペットホテルを併設する場合は追加費用が発生します。費用シミュレーターで自店の概算も確認してみてください。

項目 8坪(小型) 15坪(標準) 25坪(大型)
設計・デザイン費 15万〜30万円 30万〜60万円 50万〜100万円
給排水工事 30万〜60万円 50万〜100万円 80万〜160万円
防水工事(床・壁) 20万〜40万円 35万〜70万円 55万〜110万円
換気・防臭設備 20万〜40万円 35万〜70万円 50万〜100万円
電気・空調工事 25万〜50万円 45万〜90万円 70万〜140万円
トリミング設備 30万〜70万円 50万〜120万円 80万〜200万円
内装仕上げ(壁・天井・床) 25万〜50万円 45万〜90万円 70万〜140万円
レジ・受付カウンター 10万〜25万円 15万〜35万円 20万〜45万円
合計目安 175万〜365万円 305万〜635万円 475万〜995万円

ペットサロンは給排水工事と防水工事だけで全体の25〜35%を占めるのが特徴です。これは飲食店の厨房工事に匹敵する比率であり、内装費用の中で最も「削ってはいけない」部分です。一般の美容室では給排水工事は全体の10〜15%程度ですから、ペットサロンはその2倍以上のウェイトです。排水管の勾配確保や毛取りトラップの設置など、動物専門の配管設計が必要なため、ペットサロンの施工実績がある内装会社を選ぶことが重要です。

シャンプー台の排水には動物の毛が大量に流れるため、通常の排水トラップでは詰まりが頻発します。動物専用の毛取りトラップ(ヘアキャッチャー)を排水管に設置し、定期的な清掃ルーティンを設計段階から計画してください。毛取りトラップの設置費用は1台あたり3万〜8万円で、メンテナンス性を考慮した設計にすると長期的なコスト削減につながります。墨出し(配管位置の位置決め)の精度が排水勾配に直結するため、施工会社の技術力が問われる工事です。

深掘り費用を左右する5大要因——水回り・換気・防水・設備・外装

要因①:給排水工事

ペットサロンの給排水工事は、シャンプー台の台数・配置と排水管の設計がコストを大きく左右します。シャンプー台1台あたりの給排水工事費は15万〜35万円。2台目以降は配管の延長距離によって追加費用が変動します。温水供給は瞬間式給湯器(15万〜30万円)が主流で、貯湯式(10万〜20万円)より初期費用は高いですが湯切れのリスクがなく、繁忙期でも安定して温水を供給できます。排水管は口径50mm以上を推奨し、配管勾配は1/50以上を確保してください。勾配が不足すると毛の詰まりが頻発し、定期的な高圧洗浄(1回3万〜5万円)が必要になります。配管材はVP管(硬質塩化ビニル管)が標準で、耐久性と施工性のバランスに優れています。LGS(軽量鉄骨)下地の壁面に配管を隠蔽する場合は、メンテナンス用の点検口を必ず設けましょう。

要因②:防臭・換気設備

動物の臭気は近隣トラブルの最大の原因になるため、換気設備は内装設計において最も妥協してはいけない項目です。推奨換気回数は1時間あたり10〜15回(一般店舗の2〜3倍)。業務用換気扇(1台8万〜20万円)に加え、活性炭フィルター(1台5万〜15万円)やオゾン発生器(1台10万〜30万円)を組み合わせるのが効果的です。排気口の位置は近隣住居の窓から離し、風向きを考慮して設置してください。ダクト工事の費用は延長距離によって大きく変わり、1mあたり5,000〜15,000円が目安です。

要因③:防水・防汚仕上げ

トリミングルームは毎日大量の水を使うため、床・壁の防水仕上げが必須です。床はFRP防水(坪あたり3万〜6万円)またはウレタン防水(坪あたり2万〜5万円)が主流。壁面はキッチンパネル(㎡あたり5,000〜12,000円)またはタイル仕上げ(㎡あたり8,000〜18,000円)が推奨です。通常のクロスやフローリングでは水濡れによる劣化が早く、1〜2年で貼り替えが必要になるため、初期投資を惜しまず防水仕上げにすることが長期的なコスト削減につながります。床の排水勾配は1/100以上を確保し、排水溝への集水を計画してください。GL工法(石膏ボードをGLボンドで直貼りする工法)の壁面は水に弱いため、ペットサロンには不向きです。

要因④:トリミング設備・什器

動物専用の設備は一般の什器より単価が高い傾向があります。トリミングテーブル(油圧昇降式)は1台8万〜20万円、ドライヤーブース(業務用スタンドドライヤー付き)は1台15万〜40万円、犬用バスタブ(ステンレス製)は1台10万〜30万円が目安です。ケージは1段式で1万〜3万円、多段式ステンレスケージで5万〜15万円。15坪の標準サロンでケージ8〜12台、トリミングテーブル2台、バスタブ2台を揃えると、設備費だけで100万〜250万円になります。

要因⑤:外装・ファサード

ペットサロンのファサードは「清潔感」と「ペット歓迎の雰囲気」を両立することが重要です。ガラス張りでトリミングの様子が見えるデザインは飼い主の安心感を高め、通行人へのアピール効果も抜群です。ファサード工事は25万〜80万円が相場で、看板工事(10万〜30万円)を含めると35万〜110万円です。路面店の場合はペットの出入りがしやすいよう、スロープ(5万〜15万円)や自動ドア(20万〜40万円)の設置も検討してください。大型犬を受け入れるサロンでは入口の幅を900mm以上確保し、段差のないバリアフリー設計が理想です。ウィンドウディスプレイにペット用品を並べたり、ガラス越しにトリミングの様子が見えるレイアウトにすると通行人の目を引きやすくなります。ファサード設計ガイドも参考にしてください。


実務見積書の内訳と読み方——ここをチェックする

ペットサロンの見積書は「水回り」と「換気」の項目が特に重要です。「給排水一式」「換気設備一式」という表記では、含まれる設備と工事範囲が不明瞭です。必ず内訳を展開してもらい、以下の項目を個別に確認してください。見積もり比較ガイドで相見積もりの取り方も押さえておきましょう。

見積項目 確認ポイント 相場感 よくある「一式」の中身
給排水工事 シャンプー台の台数・排水管口径・毛取りトラップ 1台15万〜35万円 給水配管、排水配管、給湯器、毛取りトラップ、点検口
換気・防臭設備 換気回数・脱臭フィルター・ダクト延長距離 30万〜80万円 換気扇本体、ダクト工事、脱臭フィルター、オゾン発生器
防水工事 防水の種類(FRP・ウレタン)・施工範囲 坪2万〜6万円 床防水、壁面防水、排水溝、巾木防水処理
電気・空調工事 コンセント数・ドライヤー用200V電源の有無 工事費の10〜15% 配線、分電盤増設、空調本体、ドレン配管
造作・木工事 受付カウンター・商品棚の仕様 工事費の15〜25% カウンター造作、棚板、見切り材、巾木
ポイント: ドライヤーブースは業務用スタンドドライヤーを使用するため、通常の100V電源では容量不足になるケースがあります。200V電源の増設が必要かどうかを見積もり段階で確認してください。200V電源の増設費用は1回路あたり3万〜8万円です。

注意追加費用が発生しやすいパターンと回避法

ペットサロンの内装工事で最も多いトラブルは「排水」と「臭気」に関するものです。以下は代表的な追加費用パターンと回避策です。見積もり段階で以下の項目を網羅的に確認し、着工後の「想定外」を最小限に抑えてください。

追加費用パターン 発生額の目安 原因 回避策
排水管の詰まり対策追加 10万〜30万円 毛取りトラップの設計不備 動物専用の毛取りトラップを設計段階で指定
近隣からの臭気クレーム対応 20万〜60万円 換気設備の能力不足 換気回数10〜15回/時を確保。排気口の位置を設計段階で検討
防水不良による床の腐食 30万〜80万円 防水仕上げの省略・手抜き FRPまたはウレタン防水を指定。施工後の漏水テスト実施
電気容量不足 15万〜40万円 ドライヤー・空調の電力計算ミス 200V電源の要否を事前確認。ドライヤーの消費電力を積算
動物愛護法の構造基準未達 20万〜50万円 事前確認不足 設計段階で管轄の動物愛護センターに図面を持参して相談
ペットサロンは水・臭気・騒音の3点でテナントビルのオーナーや近隣から敬遠されやすい業種です。物件契約前にビルオーナーにペットサロンの業態を説明し、排水・換気・防音の対策計画を提示すると、契約がスムーズに進みます。

節約コストダウン戦略——品質を落とさず費用を抑える方法

ペットサロンの内装費用を抑えるには、「衛生・安全に関わる設備」と「見た目・デザインに関わる部分」を明確に分け、後者でメリハリをつけることが重要です。水回りや換気設備をケチると長期的なトラブルコストが膨らみますが、待合スペースの内装やディスプレイ什器はコストダウンの余地が大きい部分です。コストダウンの方法も合わせて確認してください。

◎ 効果が高いコストダウン
  • 居抜き物件の活用(元サロン・元美容室なら水回りが流用可能で30〜50%削減)
  • トリミングテーブルの中古品活用(新品の50〜70%で入手可能)
  • 物販什器の既製品活用(造作棚の半額以下)
  • 待合スペースの内装をシンプルに(クロス仕上げで塗装比30〜50%減)
  • 相見積もりで3社以上比較(10〜20%の差が出る)
  • 空調は家庭用エアコン2台体制で業務用1台分のコスト削減
✕ やってはいけないコストダウン
  • 排水管の口径を細くする(毛詰まりが頻発し修理コスト増大)
  • 換気設備の能力を下げる(臭気クレームで営業継続が困難に)
  • 防水仕上げを省略する(床・壁の腐食で数年後に大規模改修)
  • 毛取りトラップを省略する(排水管の詰まりで営業停止リスク)
  • 防音対策を省略する(動物の鳴き声でテナント退去勧告のリスク)
コストダウン施策 削減効果 リスク 優先度
居抜き物件(元サロン・美容室) 100万〜400万円 レイアウトの制約 ★★★
相見積もり(3社以上) 総額の10〜20% なし ★★★
トリミング設備の中古活用 30万〜80万円 保証がない場合あり ★★☆
物販什器の既製品活用 15万〜40万円 デザインの自由度が低下 ★★☆
待合スペースの簡素化 10万〜30万円 第一印象への影響 ★☆☆

資金融資・助成金・補助金の活用

ペットサロンの開業資金は内装費に加え、設備費・物件取得費・運転資金を含めると総額500万〜2,000万円になるケースが多く、融資の活用が現実的です。開業費用ガイドで内装費以外の初期費用も含めた全体像を把握してください。ペット業界は成長市場として金融機関からの評価が比較的高く、事業計画書の精度が高ければ融資が通りやすい傾向があります。

資金調達手段 借入・補助の目安 特徴 注意点
日本政策金融公庫(新創業融資) 300万〜3,000万円 無担保・無保証人で利用可能 事業計画書の精度が審査を左右する
自治体の制度融資 500万〜2,000万円 金利が低い(0.5〜2.0%) 自治体により条件が異なる
小規模事業者持続化補助金 最大250万円 内装費の一部を補助 最新の要件は公式サイトでご確認ください
IT導入補助金 最大450万円 予約管理・顧客管理システムに適用可 最新の要件は公式サイトでご確認ください
ペット業界は市場規模が拡大傾向にあり、金融機関からの融資審査で好印象を持たれやすい分野です。ペット関連の市場規模は1兆5,000億円を超えるとされ、単身世帯・高齢世帯を中心にペットの家族化が進んでいます。トリミングサロンはリピート率が高い(月1〜2回の来店が一般的)ため、安定したキャッシュフローが見込める事業モデルとして金融機関から評価されやすい特徴があります。事業計画書には「ターゲット商圏の飼育世帯数」「競合店の分析」「リピート率の想定」「客単価×来店頻度の売上計算」を盛り込むと、融資審査の通過率が上がります。見積もり比較ガイドで相見積もりを取り、内装費の根拠を明確にしておくと事業計画書の説得力が増します。

契約原状回復・退去コストの事前確認

ペットサロンは水回りの大幅な改修や防水工事で躯体に手を加えるケースが多いため、退去時の原状回復費用が他のサービス業店舗より高くなる傾向があります。原状回復費用の目安は坪あたり5万〜12万円。15坪店舗で75万〜180万円です。

特に注意すべきは以下の3点です。第一に、給排水管の撤去・原状復帰。毛取りトラップや追加した排水管の撤去と床の補修で30万〜80万円が発生します。第二に、防水処理の撤去。FRP防水やウレタン防水は剥離作業が必要で、坪あたり2万〜5万円の追加費用がかかります。第三に、換気ダクトの撤去。壁面や天井裏を通したダクトの撤去と穴埋めで10万〜30万円が目安です。

退去コストを抑えるコツは、入居時に「居抜き退去の可否」をオーナーと確認しておくことです。次のテナントが同じペット関連業種であれば、水回りや防水仕上げをそのまま引き継いでもらえる可能性があり、原状回復費用を大幅に削減できます。賃貸借契約書に「造作譲渡の可否」と「原状回復の範囲」を明記しておくと退去時のトラブルを防げます。B工事(ビル側指定業者による工事)の範囲と費用負担も契約前に確認しましょう。居抜きのメリット・デメリットも参考にしてください。


届出開業に必要な届出・許認可

ペットサロンの開業には「第一種動物取扱業」の登録が必須です。これに加えて業態に応じた届出が必要になります。特に生体販売やペットホテルを併設する場合は登録種別が追加されるため、設計段階で管轄の動物愛護センターに確認してください。飲食を提供する猫カフェ・ドッグカフェは飲食店営業許可も必要です。

届出・許認可 届出先 必要な業態 注意点
第一種動物取扱業登録 都道府県・政令市の動物愛護センター 全業態 動物取扱責任者の設置が必須。施設基準あり
開業届 税務署 全業態 開業日から1か月以内に提出
飲食店営業許可 保健所 猫カフェ・ドッグカフェ 厨房設備・手洗い場の基準あり。管轄窓口にご確認ください
防火対象物使用開届 消防署 全業態 工事着工7日前までに届出
第一種動物取扱業の登録種別は「販売」「保管」「貸出し」「訓練」「展示」の5種類です。トリミング専門サロンは「保管」、生体販売を行う場合は「販売」「保管」の両方、ペットホテルは「保管」、猫カフェは「展示」の登録が必要です。登録種別の詳細は管轄の動物愛護センターにご確認ください。動物取扱責任者になるには、半年以上の実務経験+所定の資格(愛玩動物飼養管理士等)が必要です。

DIYペットサロンの「自分でできる工事」と「プロに任せる工事」

ペットサロンは衛生面の要件が厳しく、DIYで対応できる範囲が限定的です。水回り・防水・換気は専門技術が必須ですが、待合スペースの内装やディスプレイ什器はDIYで費用を抑えられます。DIYで15万〜40万円程度のコスト削減が見込めますが、衛生・安全に関わる工事は必ずプロに依頼してください。

◎ DIY可能な工事
  • 待合スペースの壁面ペイント・クロス貼り替え
  • 商品陳列棚(既製品)の組み立て・設置
  • 看板・サインのデザイン・小型サインの取付
  • 受付カウンター天板の塗装・仕上げ
  • ペット用品のディスプレイ什器のDIY製作
  • トリミングルームと待合スペースの仕切りガラスの装飾フィルム貼り
  • ケージ周りの装飾・ペットの名前プレート製作
✕ プロに任せるべき工事
  • 給排水配管工事(資格が必要・配管ミスは水漏れに直結)
  • 防水工事(FRP・ウレタン防水は専門技術が必要)
  • 換気ダクト工事(臭気対策の要・設計ミスは近隣トラブルに)
  • 電気配線・200V電源増設(電気工事士の資格が法的に必要)
  • 空調設備の設置(冷媒配管の資格が必要)
  • 消防設備の設置・移設(消防設備士の資格が必要)

DIYで取り組む際は、作業中に動物が出入りする空間での安全管理にも注意してください。塗料の臭気や粉塵は動物の呼吸器に悪影響を与えるため、DIY作業は営業時間外に行い、十分な換気を確保した状態で作業してください。特に犬・猫は嗅覚が鋭いため、揮発性有機化合物(VOC)の少ない塗料や接着剤を選ぶことが重要です。


工期工期の目安と進め方

ペットサロンの工期は水回り工事の規模によって大きく変わります。給排水管の新設が必要な場合は通常の内装工事より1〜2週間長くなります。工期の遅延は賃料の空払いに直結するため、スケジュール管理は開業計画の中でも特に重要です。設計完了から開店まで、週次の進捗確認を内装会社と行いましょう。

フェーズ 8坪(小型) 15坪(標準) 25坪(大型) 備考
設計・デザイン 2〜3週間 3〜4週間 4〜6週間 給排水・換気の設計を含む
施工(内装+水回り) 3〜4週間 4〜6週間 6〜10週間 防水工事の養生期間を含む
設備搬入・設置 2〜3日 3〜5日 5〜7日 トリミング台・ケージ等
動物取扱業の検査 1〜2週間 1〜2週間 1〜2週間 施設検査後に登録証交付
合計 6〜8週間 8〜12週間 12〜18週間 ペットホテル併設は+2〜3週間
ポイント: 第一種動物取扱業の登録には施設の現地検査が必要です。内装工事が完了してから検査を受け、登録証が交付されるまで1〜2週間かかります。この期間は営業できないため、開店日から逆算してスケジュールに織り込んでください。検査では施設の構造基準(採光・換気・排水・ケージサイズ等)が確認されるため、設計段階で基準を確認しておくことが重要です。検査で不適合があった場合は改善工事を行った後に再検査となり、さらに1〜2週間の遅延が発生します。設計図面の段階で管轄の動物愛護センターに事前相談し、基準を確実にクリアできる設計にしておくことが最善策です。

失敗例ペットサロンの内装で実際にあったトラブル事例

事例①排水管が毛で詰まり営業停止に

開業3か月で排水管が完全に詰まった想定シミュレーション。毛取りトラップを設置せず、通常の排水口のみで運用したため、動物の毛が蓄積して排水不能に。高圧洗浄+毛取りトラップ後付けで25万円の出費。工事中の2日間は営業停止を余儀なくされ、予約客へのキャンセル対応にも追われました。

→ 教訓:動物専用の毛取りトラップは初期設計で必ず組み込む。排水管口径は50mm以上を確保し、清掃用の点検口を設けることで長期的なメンテナンスコストを抑える。
事例②臭気で近隣からクレームが続出

コストダウンのために換気設備を最小限にした結果、開業直後から近隣住民から臭気クレームが続出したモデルケース。排気口が隣接マンションの窓の近くに設置されていたことも原因に。活性炭フィルターの追加設置+排気ダクトの延長で50万円の追加出費。近隣との関係修復にも時間を要しました。

→ 教訓:換気回数は1時間あたり10〜15回を確保。排気口の位置は近隣住居の窓から離し、風向きを考慮する。活性炭フィルターとオゾン発生器の併用が効果的。臭気対策は「最初からやりすぎ」くらいがちょうどよい。
事例③動物取扱業の施設基準を満たせなかった

内装工事完了後の施設検査で、ケージの最低面積基準と換気基準を満たせず登録が保留になった想定シミュレーション。ケージの入れ替えと換気扇の追加で30万円の出費と2週間の開業遅延。予約済みの顧客にキャンセル連絡を行う事態に。

→ 教訓:設計段階で管轄の動物愛護センターに図面を持参して事前相談する。ケージの最低面積・換気基準・照明基準を確認してから着工すれば手戻りを防げる。事前相談は無料で対応してもらえる。

選び方内装業者の選び方——ペットサロンに強い会社の見極め方

ペットサロンの内装は「水回り」「防臭・換気」「防水」の専門性が求められるため、ペットサロンまたは動物関連施設の施工実績がある内装会社を選ぶことが最も重要です。業者の選び方ガイドも参考にしてください。

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ペット関連施設の施工実績
ペットサロン・動物病院・ペットホテルの施工経験がある業者は、排水管の口径設計・毛取りトラップの選定・臭気対策のノウハウを持っています。施工事例で水回りの仕様まで確認できる業者を選びましょう。一般の美容室やサービス業の実績だけでは動物特有の課題に対応しきれないケースがあります。
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設備工事の内製率
給排水・換気・電気工事を自社施工できる業者は、外注マージンが発生しないため費用を抑えられます。「設備工事はすべて外注」という業者は中間マージンで10〜20%割高になるケースがあります。
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動物愛護法の知識
第一種動物取扱業の施設基準を理解している業者なら、設計段階で基準を満たすレイアウト・設備を提案してくれます。施設検査で指摘を受けるリスクが大幅に減ります。
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相見積もりで3社以上比較
同じ条件で3社以上から見積もりを取ることで、適正価格が見えてきます。店舗内装ドットコムなら複数社への一括相見積もりが無料で可能です。ペットサロンの施工実績がある業者を紹介してもらえるため、業者探しの手間も省けます。

準備内装工事前のチェックリスト

以下はペットサロンの内装工事を依頼する前に確認すべき項目を網羅したチェックリストです。レイアウト設計ガイドも合わせて確認すると、内装会社との打ち合わせがスムーズに進みます。

  • シャンプー台の台数・配置を決定したか
  • 排水管の口径(50mm以上推奨)と勾配を設計に反映したか
  • 毛取りトラップの設置を指定したか
  • 換気設備の換気回数(10〜15回/時)を確認したか
  • 排気口の位置が近隣に影響しないか確認したか
  • 床・壁の防水仕上げ(FRPまたはウレタン)を指定したか
  • トリミングテーブル・ケージの台数と仕様を決定したか
  • 200V電源の要否をドライヤーの消費電力から確認したか
  • 動物愛護センターに施設基準を事前相談したか
  • 第一種動物取扱業の登録に必要な書類を準備したか
  • 動物取扱責任者の資格要件を満たしているか確認したか
  • ビルオーナーにペットサロンの業態と対策計画を説明したか
  • 原状回復の範囲と費用負担を確認したか
  • 3社以上から相見積もりを取得したか
  • 坪単価ガイドで相場感を把握したか
  • 照明設計ガイドで店舗照明の基本を確認したか
  • 防音対策(吸音材・遮音シート・二重窓)の要否を確認したか
  • ペットホテル併設の場合、24時間空調と監視カメラの仕様を決定したか

事例ペットサロン・ペットショップの施工事例でイメージをつかむ

実際の施工事例を見ることで、費用感とデザインの方向性が具体的にイメージできます。業種別費用相場一覧で他のサービス業店舗の費用感と比較するのもおすすめです。特に水回りの配置・トリミングルームのレイアウト・待合スペースのデザインに注目して事例を比較してください。ガラス張りのトリミングルームは飼い主の安心感を高める効果があり、多くのサロンで採用されているデザイン手法です。床材ガイドで防水床材の選択肢も確認しましょう。

施工事例を見る際のチェックポイントは「シャンプー台の配置と動線」「トリミングルームの床材・防水仕上げ」「待合スペースのデザインと清潔感」「換気設備の配置」の4点です。気に入った事例があれば写真を保存し、内装会社との打ち合わせ時に「このイメージに近づけたい」と共有すると設計の精度とスピードが格段に上がります。ガラス張りのトリミングルームで施術の様子が見える設計は飼い主の安心感を高める効果が高く、多くの人気サロンで採用されています。費用感の参考として坪数や業態ごとの予算帯も確認しておくと、自店の計画に落とし込みやすくなります。


FAQよくある質問

Q1. ペットサロンの内装費用はどのくらいかかりますか?
ペットサロンの内装費用は坪単価30万〜65万円が相場です。10坪の小型トリミングサロンで300万〜650万円、15坪の標準的なトリミング+物販複合店で420万〜990万円が目安となります。費用を大きく左右するのは「給排水工事(シャンプー台の台数と配管設計)」「防臭・換気設備」「防水仕上げ」の3要素です。一般の美容室やサービス業店舗と比べて、水回りと換気で2〜3倍のコストがかかる点がペットサロン特有のポイントです。まずは自店の業態と規模に合った概算を把握し、3社以上から相見積もりを取ってください。
Q2. シャンプー台は何台必要ですか?
1日の施術頭数から逆算して決定します。トリマー1名が1日にシャンプー〜カットまで対応できるのは4〜6頭が目安です。シャンプー台1台でトリマー1〜2名に対応できるため、トリマー1名体制なら1台、2〜3名体制なら2台が標準です。大型犬に対応する場合はバスタブ型(犬が中に入れるサイズ)が必要で、小型犬用のシンク型より設置スペースと費用が大きくなります。シャンプー台1台あたりの給排水工事費は15万〜35万円で、2台目以降は配管の延長距離によって追加費用が変動します。
Q3. 臭気対策で最も効果的な方法は?
最も効果的なのは「換気扇+活性炭フィルター+オゾン発生器」の3段階対策です。換気扇で空気を入れ替え(換気回数10〜15回/時)、活性炭フィルターで臭気成分を吸着し、オゾン発生器で残留臭気を分解します。この3段階で費用は30万〜80万円ですが、近隣トラブルを防ぐ最も確実な方法です。排気口の位置も重要で、近隣住居の窓から最低3m以上離すか、屋上排気にすることを推奨します。換気設備は「やりすぎ」くらいがちょうどよく、後から追加すると費用が2倍以上かかるため、最初から十分な能力を確保してください。
Q4. 第一種動物取扱業の登録に必要な要件は?
第一種動物取扱業の登録には「動物取扱責任者」の設置が必要です。動物取扱責任者になるには、半年以上の実務経験に加え、愛玩動物飼養管理士・トリマー資格・家庭動物管理士などの所定の資格が求められます。施設面では、採光・換気・排水の基準、ケージの最低面積基準、温度管理設備などを満たす必要があります。登録申請は管轄の都道府県または政令市の動物愛護センターで行い、施設の現地検査後に登録証が交付されます。検査から交付まで1〜2週間程度かかるため、開業スケジュールに織り込んでください。
Q5. 居抜き物件は使えますか?
元ペットサロンや元美容室の居抜き物件は非常に有効です。特に元ペットサロンなら給排水管・防水仕上げ・換気ダクトがそのまま流用でき、100万〜400万円のコスト削減が期待できます。元美容室の場合は給排水管は流用できますが、排水管の口径が細い(通常40mm)場合は太い配管(50mm以上)への交換が必要です。また防水仕上げや毛取りトラップの追加設置は必要です。居抜き物件を選ぶ際は、排水管の状態・換気設備の能力・防水層の劣化を内装業者に確認してもらうことをおすすめします。
Q6. 床材は何がよいですか?
トリミングルームの床はFRP防水またはウレタン防水が推奨です。FRP防水は耐久性が高く(耐用10〜15年)、坪あたり3万〜6万円。ウレタン防水は柔軟性があり複雑な形状にも対応でき、坪あたり2万〜5万円です。待合スペースはクッションフロア(坪あたり5,000〜12,000円)が清掃のしやすさとコストのバランスに優れています。タイル仕上げ(坪あたり8,000〜18,000円)は高級感がありますが、滑りやすいため犬が歩くエリアにはノンスリップ加工が必要です。通常のフローリングやクロスは水濡れによる劣化が早く、ペットサロンには不向きです。
Q7. 防音対策は必要ですか?
犬の鳴き声は80〜100dBに達することがあり、テナントビルの場合は防音対策が必須です。特にドライヤー使用時は犬が興奮して鳴き声が大きくなる傾向があるため、トリミングルームの壁面にグラスウール吸音材(㎡あたり3,000〜8,000円)を充填し、遮音シート(㎡あたり2,000〜5,000円)を併用するのが効果的です。窓がある場合は二重窓(1か所15万〜30万円)の設置も検討してください。防音対策にかかる費用は15坪で20万〜60万円が目安ですが、近隣からの騒音クレームでテナント退去を求められるリスクを考えれば、必要な投資です。
Q8. ペットホテルを併設する場合の追加費用は?
ペットホテルを併設する場合、坪単価が10万〜20万円上乗せされます。追加費用の主な内訳は、犬舎・猫舎(ステンレス製多段ケージ10万〜30万円×台数)、24時間空調(エアコン追加1台40万〜80万円)、防音工事(15万〜40万円)、監視カメラシステム(5万〜20万円)、消防法対応(スプリンクラー等10万〜30万円)です。また動物取扱業の「保管」業種の登録が必要で、夜間の管理体制(宿直またはリモート監視)が求められます。投資額は大きいですが、宿泊料金(1泊3,000〜8,000円)のストック型収益が見込めるため、収益の安定化に寄与します。
Q9. 猫カフェ・ドッグカフェを開業する場合の注意点は?
猫カフェ・ドッグカフェは「飲食店営業許可」と「第一種動物取扱業(展示)」の両方が必要です。保健所の基準(厨房区画・手洗い場・食品衛生)と動物愛護法の基準(動物の飼養スペース・換気・温度管理)を同時に満たす設計が求められるため、両方の基準を理解している内装会社を選ぶことが重要です。設計段階で保健所と動物愛護センターの両方に事前相談してください。動物エリアと飲食エリアの区画分離が設計上の最大のポイントで、完全分離型(壁で仕切る)と半分離型(腰壁+ガラス)の選択が費用に大きく影響します。
Q10. 内装費用を効果的に抑える方法は?
最も効果的なのは「居抜き物件の活用」と「相見積もり」です。元ペットサロンの居抜きなら水回り・防水・換気がそのまま流用でき、100万〜400万円の削減が期待できます。相見積もりは3社以上から取ることで総額の10〜20%の差が見えてきます。次に効果的なのがトリミング設備の中古活用で、トリミングテーブルやドライヤーブースは中古品が流通しており新品の50〜70%で入手可能です。待合スペースの内装をシンプルにまとめ、その分を水回りや換気に投資するメリハリ戦略も有効です。店舗内装ドットコムで複数社の相見積もりを取ることをおすすめします。

次の一歩まずは相場感をつかんで、複数社を比較しましょう

ペットサロン・ペットショップの内装費用は業態・規模・水回りの仕様によって大きく変動します。「自分の店舗はいくらかかるのか」を正確に把握するには、実際に内装会社から見積もりを取るのが最も確実です。1社だけの見積もりでは適正価格がわかりません。必ず3社以上から相見積もりを取り、内訳を比較してください。シャンプー台の台数・換気設備の仕様・防水仕上げの種類——この3点が明確になっていれば、内装会社も精度の高い見積もりを出しやすくなります。ペットサロンの施工実績がある業者を選ぶことで、動物特有の課題(排水・臭気・防水・防音)への対応力が格段に上がります。見積もりを依頼する際は「シャンプー台の台数」「排水管の口径」「換気回数」「防水仕上げの種類」「ケージの台数と配置」を記載した仕様書を準備しておくと、精度の高い見積もりを短期間で受け取れます。動物取扱業の施設基準を設計段階でクリアしておけば、施設検査での手戻りリスクもなくなります。

理想の店舗を実現する3ステップ

相場感をつかむ → 事例でイメージを固める → 複数社の見積もりを比較

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