スケルトン物件 vs 居抜き物件|内装費用はどれだけ違う?徹底比較ガイド

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📅 最終更新: 2026年5月27日
この記事でわかること:居抜き物件とスケルトン物件の内装費用差を15業種別に比較。居抜きなら坪単価20〜60%カットが可能ですが、設備劣化や造作譲渡のリスクも。どちらを選ぶべきか判断フローチャート付きで徹底解説します。

基本居抜き物件とは

居抜き物件とは、前テナントが使用していた内装・設備・什器がそのまま残された状態で引き渡される物件のことです。飲食店であれば厨房設備やカウンター、美容室であればシャンプー台や鏡台など、業種特有の設備が残っていることが多く、初期投資を大幅に抑えられます。

造作譲渡料の相場・値引き交渉・リース品の罠・原状回復義務の帰属は居抜き改装ガイド「造作譲渡の章」にまとめています。

居抜き物件は「造作譲渡」という形で前テナントから設備を買い取る契約が一般的で、譲渡費用は数十万円〜300万円程度が相場です。ただし、設備の状態や築年数によって追加の改修費用が発生するため、物件選びの段階で設備の動作確認と経年劣化のチェックが不可欠です。

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設備がそのまま残っている
厨房機器、空調、照明、什器など前テナントの設備をそのまま活用できます。飲食店の厨房設備だけで500万円以上の節約になるケースもあります。
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初期費用を大幅カット
スケルトンと比較して坪単価で20〜60%の費用削減が可能。特に設備投資の大きい飲食業・美容業では効果絶大です。
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工期が短い
内装の大部分が完成しているため、工期は2週間〜1.5ヶ月程度。スケルトンの半分以下で開業できます。
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造作譲渡契約が必要
設備の引き継ぎには前テナントとの「造作譲渡契約」が必要。譲渡費用の相場は0円〜300万円で、交渉次第で大きく変動します。
⚠️
設備の状態確認が必須
見た目はきれいでも、配管の劣化や電気容量不足が隠れていることがあります。専門業者の事前調査を強く推奨します。

基本スケルトン物件とは

スケルトン物件とは、建物の躯体(コンクリートの壁・床・天井)がむき出しの状態で引き渡される物件のことです。内装・設備・配管・電気配線などがすべて撤去されたまっさらな状態から、自分の理想の店舗を一から作り上げることができます。

スケルトン物件の最大の魅力は「設計の自由度」です。店舗のコンセプトに合わせた間取り・動線・デザインを自在に設計できるため、ブランディングを重視する店舗や特殊な設備レイアウトが必要な業種に適しています。一方で費用は居抜きの1.5〜3倍、工期は2〜4ヶ月程度かかるのが一般的です。

スケルトン物件では、電気容量の増設(15〜50万円)、給排水管の新設(30〜80万円)、空調ダクトの設置(50〜150万円)など、居抜きでは不要なインフラ工事が発生します。その分、配管の状態が新しく、店舗の内装費用の中でも「見えない部分」の安心感が高いというメリットがあります。

スケルトン物件の5つの特徴(物件選びの際に必ず確認しましょう)

  • 躯体のみの状態で自由に設計可能
  • 配管・電気設備をゼロから構築するため高品質
  • 費用は坪単価30〜80万円が目安(業種による)
  • 工期は2〜4ヶ月、大規模店舗では6ヶ月以上
  • 原状回復義務はスケルトン返しが基本

比較居抜き vs スケルトン 基本比較

居抜き物件とスケルトン物件を10の観点から比較します。どちらが優れているかは業種・予算・コンセプトによって異なりますが、まずは全体像を把握しましょう。

比較項目 居抜き物件 スケルトン物件
初期費用 坪単価10〜40万円 坪単価30〜80万円
工期 2週間〜1.5ヶ月 2〜4ヶ月
設計の自由度 低い(既存レイアウト準拠) 高い(自由設計)
設備の状態 中古(経年劣化リスク) すべて新品
インフラ工事 最小限で済む 大規模(電気・水道・ガス)
原状回復 造作撤去 or 次テナントへ譲渡 スケルトン返しが原則
物件の流通量 少ない(タイミング次第) 多い
隠れたリスク 設備故障・配管不良 低い(新規施工)
向いている人 コスト重視・スピード開業 ブランド重視・独自性追求
初期投資回収 6ヶ月〜1.5年 1.5〜3年
◎ 居抜きのメリット
  • 初期投資を30〜60%削減できる
  • 最短2週間で開業可能
  • 設備投資のリスクを軽減
  • すでに営業実績のある立地が多い
  • 前テナントの顧客を引き継げる可能性
✕ 居抜きのデメリット
  • レイアウト変更に制限がある
  • 中古設備の故障リスク
  • 前テナントのイメージが残る
  • 造作譲渡費用が発生する場合がある
  • 希望条件に合う物件が少ない
◎ スケルトンのメリット
  • 理想の店舗デザインを実現できる
  • 新品設備で故障リスクが低い
  • ブランドイメージを自由に構築
  • 物件の選択肢が豊富
  • 配管・電気系統の状態が明確
✕ スケルトンのデメリット
  • 初期費用が居抜きの1.5〜3倍
  • 工期が長く、開業まで時間がかかる
  • 設計・施工の知識が必要
  • 退去時のスケルトン返し費用が高額
  • 投資回収期間が長い

表①業種別の費用比較一覧

15業種について、居抜き物件とスケルトン物件の坪単価を比較しました。費用シミュレーターでご自身の条件に合わせた試算も可能です。削減率は「(スケルトン − 居抜き)÷ スケルトン × 100」で算出しています。

業種 居抜き坪単価 スケルトン坪単価 削減率 主な削減ポイント
カフェ 15〜35万円 35〜60万円 50〜60% 厨房設備・カウンター・空調
居酒屋 20〜40万円 40〜70万円 45〜55% 厨房・排煙ダクト・個室造作
ラーメン店 20〜35万円 35〜60万円 40〜55% スープ釜・製麺機・排煙設備
焼肉店 25〜45万円 50〜80万円 45〜55% 無煙ロースター・排煙ダクト
寿司店 25〜45万円 45〜75万円 40〜50% 冷蔵ネタケース・カウンター
美容室 15〜30万円 30〜55万円 45〜55% シャンプー台・セット面・給排水
エステサロン 10〜25万円 25〜45万円 45〜55% 個室間仕切り・防音・空調
アパレル 15〜30万円 30〜55万円 40〜50% 什器・照明・フィッティングルーム
雑貨屋 12〜25万円 25〜45万円 45〜50% 棚什器・照明・ディスプレイ
クリニック 30〜50万円 55〜90万円 40〜50% 診察室区画・水回り・防音
オフィス 10〜20万円 20〜40万円 45〜55% 間仕切り・OAフロア・空調
ジム・フィットネス 15〜30万円 30〜55万円 45〜50% 床材・シャワー・空調
サウナ 35〜55万円 60〜100万円 40〜50% サウナ室・水風呂・排水設備
パン屋 25〜40万円 40〜70万円 40〜50% オーブン・発酵器・排気設備
バー 15〜30万円 30〜55万円 45〜55% カウンター・冷蔵庫・照明
坪単価の見方:上記は20坪前後の標準的な物件の場合の目安です。10坪以下の小規模物件では坪単価が10〜20%割高、50坪以上では10〜15%割安になる傾向があります。詳細な費用は内装見積もり比較ガイドをご覧ください。

深掘り居抜きが特にお得な業種TOP5

第1位:焼肉店(削減額:500〜1,000万円)

焼肉店が居抜きで最もお得になる最大の理由は「無煙ロースター」と「排煙ダクト」の存在です。無煙ロースターは1台15〜30万円、20席規模で10台必要とすると150〜300万円。排煙ダクトの新設は1系統あたり80〜150万円で、焼肉店では2〜3系統必要になることが多く、合計で200〜450万円かかります。さらにグリスフィルターや防火ダンパーなど付帯設備を含めると、排煙関連だけで300〜600万円の節約が可能。居抜きの焼肉店物件は非常に人気が高く、出たらすぐに押さえるのがポイントです。物件情報サイトへのアラート登録は必須で、公開後24時間以内に内見予約を入れることをおすすめします。厨房設備の費用ガイドも参考にしてください。

第2位:サウナ(削減額:400〜900万円)

サウナ施設はサウナ室の断熱工事(150〜300万円)、水風呂の防水工事(100〜200万円)、大容量の排水設備(80〜150万円)など、特殊な設備工事が集中する業種です。既存のサウナ物件を居抜きで取得できれば、これらの大規模工事がほぼ不要になります。サウナストーブの交換(50〜100万円)程度で済むケースもあり、トータルで400〜900万円の削減が見込めます。

第3位:美容室(削減額:200〜500万円)

美容室の設備で最も高額なのがシャンプー台(1台30〜50万円 × 3〜5台 = 90〜250万円)と給排水の配管工事(50〜120万円)です。セット面のミラーや椅子、パーマ機なども含めると設備だけで300〜500万円。居抜きならこれらの大半を引き継げるため、内装のリフレッシュ(壁紙張替え・照明交換)だけで開業できるケースが多いです。同業種の居抜きは内装費用の全体像を把握した上で探しましょう。

第4位:パン屋(削減額:300〜600万円)

パン屋の要となる業務用オーブン(デッキオーブン150〜400万円)、発酵器(ホイロ80〜150万円)、ミキサー(50〜100万円)は新品購入すると高額です。さらに大容量の電気工事(三相200V引き込み:30〜60万円)やガス工事、排気ダクトの設置も必要。居抜きのパン屋物件は数が少ないですが、見つかれば大幅なコスト削減が可能です。

第5位:居酒屋(削減額:200〜500万円)

居酒屋は厨房設備(冷蔵庫・製氷機・フライヤー・焼き台など計150〜300万円)に加え、排煙ダクト(80〜150万円)、個室の造作(1室あたり30〜50万円)など多岐にわたる設備が必要です。居抜き物件で同業態の居酒屋を引き継ぐ場合、設備の8割程度をそのまま活用でき、壁紙・看板・メニュー周りの変更だけで開業できます。


実務スケルトンが必要なケース

居抜きのコストメリットは魅力的ですが、以下のようなケースではスケルトン物件からの新規施工が適しています。

ブランドイメージを徹底的に作り込みたい場合

チェーン展開を見据えたフラッグシップ店や、デザイナーズ空間が売りの高級業態では、既存の内装が足かせになることがあります。スケルトンから作ることで、床材・壁材・天井の高さ・照明計画まで一貫したブランド世界観を実現できます。照明デザインガイドも参考にしてください。

特殊なレイアウト・動線が必要な場合

オープンキッチンの大型焼肉店、回転寿司のレーン設置、大型フィットネスジムのゾーニングなど、業種特有のレイアウトが求められる場合は、居抜き物件の既存間取りでは対応が難しいことがあります。無理に改修するとかえって費用がかさむため、スケルトンからの施工が合理的です。

法規制上の理由

用途変更(例:物販店 → 飲食店)を伴う場合、消防法・建築基準法上の改修が大規模になり、居抜きのメリットが薄れます。特に防火区画の変更や排煙設備の新設が必要な場合は、スケルトンからの施工のほうが総コストで有利になるケースがあります。

重量設備の設置が必要な場合

大型の業務用冷凍庫、医療用CT・MRI、大型プール(スイミングスクール)など、床の耐荷重を超える設備を設置する場合は、構造補強からの設計が必要です。こうしたケースでは居抜きの内装を一度撤去してから補強工事を行うことになり、結局スケルトンと同等の費用がかかります。


実務居抜き物件の探し方5ステップ

1️⃣
STEP1:希望エリアと業種条件を明確にする
まず「同業種の居抜き」か「異業種の居抜き」かを決めます。同業種なら設備をそのまま使えるため最も費用を抑えられます。異業種の場合は設備の転用可否を事前に確認しましょう。希望エリア・面積・予算上限・造作譲渡費用の上限をリストアップしておくと、物件探しがスムーズです。
2️⃣
STEP2:居抜き専門サイト+不動産会社に登録
居抜き物件専門のポータルサイト(居抜き市場、店舗そのままオークションなど)に登録し、希望条件でアラートを設定します。同時に、地元の事業用不動産会社2〜3社にも声をかけておくと、ネットに出る前の「先行情報」を得られることがあります。人気エリアの居抜きは公開後3日以内に申し込みが入ることも珍しくありません。
3️⃣
STEP3:内見時に設備の状態を徹底チェック
内見では、(1)厨房設備の動作確認、(2)空調の冷暖房テスト、(3)給排水の水圧・排水チェック、(4)電気容量(ブレーカーの確認)、(5)排煙設備のファン動作確認を必ず行います。できれば内装業者にも同行してもらい、改修が必要な箇所と概算費用をその場で確認すると判断が早くなります。
4️⃣
STEP4:造作譲渡条件を交渉する
造作譲渡費用は「言い値」であることが多く、交渉の余地があります。設備の経年劣化を指摘して値下げ交渉するのが基本です。退去が急ぎの前テナントほど交渉に応じやすく、場合によっては「無償譲渡」になるケースもあります。また、不要な設備の撤去費用を前テナントに負担させる交渉も有効です。
5️⃣
STEP5:賃貸契約と同時に造作譲渡契約を締結
賃貸借契約と造作譲渡契約は同時に締結するのが一般的です。造作譲渡契約書には「譲渡対象設備リスト」「引渡し時の動作保証範囲」「癑疵担保責任の有無」を明記しましょう。特に引渡し後1ヶ月以内に設備が故障した場合の責任範囲を明確にしておくことがトラブル防止に重要です。

注意居抜きの注意点

居抜き物件は費用面で大きなメリットがある反面、以下の点に注意が必要です。事前に把握しておくことで、「こんなはずではなかった」を防げます。

設備の経年劣化リスク

居抜き設備は中古品のため、開業後に故障するリスクがあります。特に厨房の冷蔵庫(寿命7〜10年)、エアコン(寿命10〜15年)、給湯器(寿命8〜12年)は要注意。製造年を確認し、寿命の半分を過ぎている設備は交換費用を予算に組み込んでおきましょう。開業後に突然故障すると、営業停止で日商分の損失が発生します。

隠れた不具合(配管・電気)

見た目では分からない配管の詰まり・錆び、電気配線の老朽化は、開業後にトラブルを引き起こす代表的な問題です。特に排水管のグリストラップ(油脂分離装置)が長年メンテナンスされていないと、開業直後に排水逆流が起きることがあります。内見時に水道を全開にして排水状態を確認する、電気容量をブレーカーで確認するなどの基本チェックを怠らないでください。

原状回復義務の確認

居抜きで入居しても、退去時は「スケルトン返し」を求められるケースがあります。この場合、撤去費用として坪あたり5〜10万円が必要になり、20坪の店舗なら100〜200万円の追加出費です。入居前に大家さんと「居抜きでの退去可否」を確認し、可能であれば契約書に明記してもらいましょう。

造作譲渡費用の相場感

造作譲渡費用は0円〜300万円と幅がありますが、以下が目安です。退去急ぎの物件:0〜50万円、標準的な物件:50〜150万円、人気エリアの好物件:150〜300万円。高額な造作譲渡費用を払っても、スケルトンからの施工費用と比較すればトータルでは安くなるケースがほとんどですが、必ず総コストで比較しましょう。造作譲渡費用の交渉時には、設備の製造年やメンテナンス履歴を根拠に、「この設備は製造2018年で耐用年数の半分を過ぎているため、交換費用も考慮すると適正価格は○○万円ではないか」といった具体的な指摘が有効です。


節約スケルトンからコストを下げる7つの方法

スケルトン物件を選んだ場合でも、以下の7つの方法で費用を大幅に削減できます。品質を維持しながらコストを下げるテクニックを具体的な削減額とともに紹介します。

①設計施工一括発注で中間マージンカット(削減額:総工事費の10〜15%)

設計と施工を別々の会社に発注すると、設計料(工事費の5〜10%)に加えて施工管理費が発生します。設計施工一括発注にすれば設計料が大幅に抑えられるうえ、施工段階でのコストダウン提案(VE提案)も受けやすくなります。1,000万円の工事なら100〜150万円の削減が可能です。

②素材のグレードを最適化する(削減額:50〜200万円)

お客様の目に触れない部分(バックヤード・倉庫・天井裏)はコストを抑え、お客様の目に触れる部分(ファサード・客席・カウンター)に予算を集中させる「メリハリ戦略」が有効です。例えば、床材の選び方では、客席はタイル(坪2〜4万円)、厨房は長尺シート(坪0.5〜1万円)と使い分けることで、見た目の質を保ちながら床材だけで30〜50万円の削減が可能です。

③工期を閑散期に合わせる(削減額:総工事費の5〜10%)

内装工事の繁忙期(3〜4月、9〜10月)を避け、閑散期(1〜2月、6〜8月)に発注すると、職人の人件費が下がり値引き交渉に応じてもらいやすくなります。500万円の工事なら25〜50万円、1,000万円など50〜100万円の差が出ることがあります。

④3社以上の相見積もりを取る(削減額:総工事費の10〜20%)

内装工事の見積もりは会社によって大きく異なります。相見積もりの取り方ガイドでも解説していますが、最低3社に見積もりを依頼し、項目ごとに比較することで適正価格が見えてきます。「他社はこの項目がもっと安かった」と伝えるだけで値下げに応じてくれるケースは少なくありません。

⑤居抜き設備を一部流用する(削減額:50〜300万円)

完全なスケルトン物件でも、空調機器やダクトが残っている場合があります。また、中古の厨房機器市場やリースを活用することで、新品に比べて40〜60%のコストカットが可能です。

⑥DIYできる部分は自分でやる(削減額:30〜100万円)

壁の塗装、棚の取り付け、装飾品の設置など、専門技術が不要な作業は自分で行うことで人件費を節約できます。ただし、電気工事・ガス工事・防水工事は必ず資格を持った専門業者に依頼してください。安全に関わる部分のDIYは絶対に避けましょう。

⑦補助金・助成金を最大限活用する(削減額:50〜300万円)

小規模事業者持続化補助金(最大200万円)、事業再構築補助金(最大1,500万円)、各自治体の創業支援補助金(50〜100万円)など、内装工事に使える公的支援が多数あります。申請には事業計画書の作成が必要ですが、採択されれば工事費の1/3〜2/3が補助されます。


選び方居抜きvsスケルトンの判断フローチャート

どちらを選ぶべきか迷ったら、以下の判断基準で検討してください。

判断フローチャート

  • Q1:総予算は500万円以下ですか? → はい:居抜きを優先して探す → いいえ:Q2へ
  • Q2:開業まで2ヶ月以内ですか? → はい:居抜きほぼ一択 → いいえ:Q3へ
  • Q3:ブランドの世界観を一から作りたいですか? → はい:スケルトン推奨 → いいえ:Q4へ
  • Q4:同業種の居抜き物件はありますか? → はい:居抜きが最もコスパ良い → いいえ:Q5へ
  • Q5:設備投資額が300万円を超える業種ですか? → はい:居抜き物件を粘り強く探す価値あり → いいえ:スケルトンでも費用差は小さい
ポイント:最終的には「総コスト」で比較することが重要です。居抜きの造作譲渡費用+改修費用の合計と、スケルトンの施工費用を並べて、どちらが実質的に安いかを数字で判断しましょう。費用シミュレーターで両パターンを試算できます。

失敗例よくある失敗3パターン

例①居抜きの厨房設備が半年で全滅

大阪市内でカフェを開業したAさん。居抜き物件で造作譲渡費用80万円を支払い、厨房設備一式を引き継ぎました。しかし開業3ヶ月で業務用冷蔵庫が故障(修理費15万円)、半年後にはエスプレッソマシンが故障(交換費60万円)、さらに食洗機も動かなくなり(交換費25万円)、結局100万円の追加出費が発生。設備の製造年は全て10年以上前でした。

→ 教訓:造作譲渡前に各設備の製造年・メンテナンス履歴を確認し、耐用年数の半分を超えたものは交換費用を予算に含めておく。設備の状態チェックは必ず専門業者に依頼する。
例②スケルトンの追加工事で予算1.5倍に

東京都渋谷区でバーを開業したBさん。スケルトン物件で見積もり600万円のはずが、工事開始後に電気容量不足(増設40万円)、排水管の位置変更(80万円)、防音工事の追加(120万円)、消防設備の追加指導(50万円)が次々と発覚。最終的な工事費は890万円と、当初見積もりの約1.5倍に膨れ上がりました。

→ 教訓:スケルトン物件は契約前に内装業者と一緒に現地調査し、電気容量・排水位置・防音要件を事前に確認する。見積もりには必ず予備費(総額の10〜15%)を含めておく。
例③造作譲渡で300万円払ったのに原状回復義務あり

名古屋市で居酒屋を開業したCさん。好立地の居抜き物件に造作譲渡費用300万円を支払い入居。5年間営業した後に退去を決めましたが、契約書には「退去時はスケルトン返し」の条項があり、撤去費用として180万円が発生。造作譲渡費用と合わせると480万円の出費に。次テナントへの居抜き渡しも大家さんに拒否されました。

→ 教訓:造作譲渡契約の前に、賃貸借契約の原状回復条項を必ず確認する。「居抜きでの退去可」「次テナントへの造作譲渡可」を契約書に明記してもらうことが重要。大家さんとの交渉は入居前がベスト。

実務居抜き物件の設備チェックリスト

居抜き物件を検討する際は、以下のチェックリストを使って設備の状態を漏れなく確認しましょう。このリストを内見時に持参し、できれば内装業者にも同行してもらいながらチェックするのが理想的です。

厨房設備のチェック項目

  • 冷蔵庫・冷凍庫:製造年の確認(7年以上は要注意)、温度設定の正常動作、パッキンの状態、異音の有無
  • コンロ・フライヤー:点火確認、火力調整の動作、油汚れの蓄積度合い、ガス管の接続状態
  • 食洗機:洗浄テスト、排水の状態、ヒーターの動作、水漏れの有無
  • 製氷機:製氷速度のテスト、製氷量の確認、排水管の状態、フィルターの汚れ
  • 排煙設備:ファンの動作確認、フィルターの汚れ・詰まり、ダクト内部の油脂蓄積、防火ダンパーの動作
  • グリストラップ:清掃状態の確認、容量の適切さ、排水の流れ具合
建物インフラのチェック項目

  • 電気容量:ブレーカーの容量確認(飲食店なら最低60A、できれば100A推奨)、三相200Vの有無、コンセントの数と配置
  • 給排水:全蛇口からの水圧テスト、お湯の出具合(給湯器の容量)、排水口からの逆流テスト、床下排水管の状態
  • ガス:ガス種(都市ガス or プロパン)の確認、ガス管の口径(容量不足でないか)、ガスメーターの位置
  • 空調:冷房・暖房の両方テスト、フィルターの汚れ、室外機の状態、ドレン排水の確認
  • 防水:トイレ・厨房の床の防水層の状態、水回り周辺の壁のカビ・浮き、天井のシミ(上階からの漏水痕)
  • 外壁・看板:看板設置可能箇所の確認、電源の有無、外壁の劣化状態、雨漏りの痕跡

チェックリストの中で特に重要なのが「電気容量」と「排水管の状態」です。電気容量が不足していると増設工事(15〜50万円)が必要になり、排水管の詰まりや老朽化は開業後に大きなトラブルの原因になります。これらは見た目では判断しにくいため、必ず専門業者の調査を入れましょう。調査費用は2〜5万円程度ですが、後から発覚するリスクを考えれば十分に元が取れる投資です。

資金居抜き・スケルトン別の資金調達プラン

物件タイプによって必要な初期投資額が大きく異なるため、資金調達の戦略も変わってきます。日本政策金融公庫の新創業融資制度を活用する場合、自己資金の目安は初期投資額の1/3以上です。

項目 居抜き(20坪カフェ) スケルトン(20坪カフェ)
内装工事費 300〜700万円 700〜1,200万円
物件取得費 100〜200万円 100〜200万円
造作譲渡費用 0〜200万円 0円
運転資金(3ヶ月) 150〜300万円 150〜300万円
予備費 50〜100万円 100〜200万円
合計 600〜1,500万円 1,050〜1,900万円
必要自己資金(1/3) 200〜500万円 350〜633万円

居抜き物件を選ぶことで、必要な自己資金も大幅に抑えられます。自己資金200万円でも、居抜きなら600万円規模の開業が融資を活用して実現可能です。融資審査では「なぜ居抜きを選んだのか」「設備のリスクをどう管理するか」を事業計画書で明確に説明できると、審査担当者の評価が高まります。また、信用保証協会の創業融資(自治体の制度融資)を併用すると、より有利な条件で資金調達が可能になるケースもあります。複数の融資制度を組み合わせることで、手元資金に余裕を持った開業計画が立てられます。


工期居抜きとスケルトンの工期比較

物件タイプの違いは費用だけでなく、工期(開業までの期間)にも大きく影響します。工期が長いほど「空家賃」(工事中に支払う家賃)の負担が増えるため、工期の長さもトータルコストの重要な要素です。

フェーズ 居抜き物件 スケルトン物件
物件探し〜契約 2週間〜2ヶ月 2週間〜1ヶ月
設計・プランニング 1〜2週間 3〜6週間
各種届出・申請 1〜2週間 2〜4週間
施工工事 2〜4週間 6〜12週間
検査・引渡し 3〜5日 1〜2週間
合計目安 1.5〜3.5ヶ月 3〜7ヶ月
空家賃の目安(家賃20万円の場合) 30〜70万円 60〜140万円

居抜き物件は設計期間と施工期間の両方が短いため、物件契約から最短1.5ヶ月で開業できるケースもあります。一方、スケルトン物件は設計だけで1ヶ月以上かかることが多く、施工期間も2〜3ヶ月と長期にわたります。空家賃の差だけで30〜70万円になるケースがあり、この「見えないコスト」も物件選びの重要な判断材料です。大家さんとの交渉でフリーレント(工事期間中の家賃免除)を獲得できる場合もあるので、物件契約時には必ず交渉しましょう。フリーレントは1〜3ヶ月が一般的で、スケルトン物件の場合は特に交渉が通りやすい傾向があります。

届出物件タイプ別の届出・手続き一覧

開業に必要な届出・許認可は、居抜きでもスケルトンでも基本的に同じですが、物件タイプによって一部異なるポイントがあります。

届出先 届出内容 居抜きの注意点 スケルトンの注意点
保健所 飲食店営業許可 前テナントの許可は引き継げない(新規申請が必要) 設備基準を満たす設計が必要
消防署 防火対象物使用開届 設備変更がある場合は再届出 着工前に事前相談が必須
税務署 開業届 共通 共通
建築指導課 用途変更確認申請 同業種なら不要な場合が多い 用途変更がある場合は必要
警察署 深夜酒類提供届(バーなど) 共通 共通

居抜き物件で特に注意すべきは「保健所の営業許可」です。前テナントの営業許可は引き継げないため、必ず新規で申請する必要があります。設備が前テナントのものをそのまま使う場合でも、保健所の基準を満たしているか改めて確認が必要です。基準を満たさない設備がある場合は改修が必要になるため、保健所への事前相談(無料)を必ず行いましょう。消防署への届出も、内装の変更がある場合は「防火対象物使用開届」の提出が義務付けられています。着工の7日前までに届け出る必要があるため、スケジュールに組み込んでおきましょう。


事例居抜き・スケルトン活用の施工事例

実際に居抜き物件とスケルトン物件を活用して成功した開業事例をご紹介します。それぞれのメリットを最大限に活かした事例から、物件選びのヒントを得てください。

事例A:居抜き活用で300万円で開業したカフェ(東京・下北沢)

20坪の元喫茶店を居抜きで取得。造作譲渡費用50万円で厨房設備一式とカウンターを引き継ぎ、壁紙の張り替え(30万円)、照明の交換(40万円)、看板の変更(25万円)、家具の入れ替え(50万円)のみで開業。スケルトンからなら800万円以上かかる内容を、総額300万円で実現しました。前テナントの顧客の一部がそのまま来店してくれたことも、スムーズな立ち上がりに貢献しています。開業3ヶ月で月商100万円を達成し、初期投資の回収も順調に進んでいます。

事例B:スケルトンからブランド構築したアパレル(大阪・堀江)

15坪のスケルトン物件にオリジナルブランドのセレクトショップをオープン。総工事費650万円と居抜きの倍以上のコストをかけましたが、コンクリート打ちっ放しの壁に木のアクセント什器、スポットライトによる商品演出など、ブランドの世界観を完璧に表現した空間が完成。SNSで「おしゃれすぎるセレクトショップ」として話題になり、オープン初月から目標売上を達成。投資回収は2年計画ですが、ブランド認知の向上による将来的な効果も大きいと判断しています。スケルトンならではの自由な設計がブランド構築に大きく貢献した事例です。

より多くの施工事例は店舗内装ドットコムのトップページからご覧いただけます。業種・エリア・予算別に検索できるので、ご自身の開業プランに近い事例が見つかるはずです。


FAQよくある質問

居抜き物件とスケルトン物件、結局どちらが安いですか?
同業種の居抜き物件が見つかれば、居抜きのほうが30〜60%安くなるのが一般的です。ただし、設備の状態が悪い居抜きや、大幅な改修が必要な場合はスケルトンとの差が縮まります。造作譲渡費用+改修費用の合計とスケルトンの新規施工費用を並べて比較するのが最も確実です。
居抜き物件の造作譲渡費用の相場はいくらですか?
業種と物件の状態によりますが、一般的な相場は50〜200万円です。退去を急いでいるテナントの場合は無償〜50万円、人気エリアの好条件物件では200〜300万円以上になることもあります。造作譲渡費用は交渉の余地が大きいため、設備の経年劣化を根拠に値下げ交渉することをおすすめします。
居抜き物件の設備が壊れたら誰が負担しますか?
造作譲渡完了後は、基本的に買主(新テナント)の負担となります。ただし、引渡し時に「動作保証」の取り決めがある場合は、一定期間内の故障は売主(前テナント)の責任となります。造作譲渡契約に「引渡し後1ヶ月間の癑疵担保責任」を盛り込んでおくことを推奨します。
異業種の居抜き物件でもコストメリットはありますか?
空調・照明・トイレなどの共通設備はそのまま使えるため、スケルトンよりは安くなります。ただし、業種特有の設備(飲食店の厨房、美容室のシャンプー台など)は撤去・新設が必要になるため、同業種の居抜きと比較すると削減効果は限定的です。一般的に、異業種居抜きの費用削減率は15〜30%程度です。
スケルトン物件の工期はどれくらいですか?
20坪程度の小規模店舗で2〜3ヶ月、30〜50坪の中規模店舗で3〜4ヶ月が目安です。大規模店舗(100坪以上)や特殊設備が必要な業種では6ヶ月以上かかることもあります。設計期間(1〜2ヶ月)を含めると、物件契約から開業まで4〜6ヶ月が標準的なスケジュールです。
居抜き物件を探すのにおすすめの方法は?
居抜き専門のポータルサイト(居抜き市場、店舗そのままオークションなど)への登録が基本です。加えて、地元の事業用不動産会社に希望条件を伝えておくと、ネットに出る前の先行情報を得られることがあります。また、閉店予定の同業者に直接声をかける方法も有効で、仲介手数料を省ける可能性もあります。
居抜きで入っても、退去時はスケルトンに戻す必要がありますか?
契約内容によります。多くの賃貸借契約では「スケルトン返し」が原則ですが、大家さんと交渉して「居抜き渡し可」にしてもらえるケースもあります。入居時に交渉するのがベストです。居抜きで退去できれば撤去費用(坪5〜10万円)が不要になるため、退去時の負担が大幅に軽減されます。
居抜きとスケルトン、融資の受けやすさに違いはありますか?
日本政策金融公庫の創業融資では、初期投資額が適正であることが重視されるため、居抜きで費用を抑えたほうが自己資金比率が高くなり、融資審査に有利な傾向があります。一方、スケルトンで高品質な店舗を作る計画は「事業の本気度」として評価されることもあります。いずれの場合も、見積書と事業計画書をしっかり準備しましょう。

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