店舗のガラス・サッシの費用|種類別㎡単価と大開口の空調コスト・割れたときの対応【2026年】

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店舗の見積もりで、意外と説明されないのがガラスです。理由は単純で、ガラスは坪単価では動かないから。㎡・枚・厚み・種類で決まるため、内装費の中で独立した見方が要ります。

そしてもう一つ。ガラスは「デザインの話」だと思われがちですが、実際には集客・空調・防犯・原状回復という4つの領域に同時に効きます。この記事では、種類ごとの費用の目安、大開口を選んだときに支払うことになるランニングコスト、そして割れてしまったときの動き方までを整理します。

この記事の位置づけ

掲載している費用はいずれも一般的な目安で、面積・厚み・搬入条件・地域によって変わります。また、人がぶつかるおそれのある部分や防火に関わる部分では、建物の条件に応じた仕様が求められます。個別の判断は設計者・施工会社と、必要に応じて所轄の窓口へご確認ください。

この記事の要点

  • ガラスは㎡・枚・厚み・種類で決まる。坪単価の中に埋もれさせない
  • ファサードの定番は強化ガラス㎡20,000〜35,000円。防犯なら合わせ、断熱なら複層
  • 大開口は毎月の空調費を買っているのと同じ。Low-Eや遮熱フィルムで緩和できる
  • 割れたときは安全確保→仮復旧→貸主・保険へ連絡の順。勝手に手配すると精算でもめる
  • 外装ガラスは貸主側の設備として扱われることがある。工事区分表の確認が先

ガラスは4つの領域に同時に効く

ガラスが効いてくる4つの領域集客中が見える・入りやすい空調日射熱で毎月の電気代防犯割られると営業停止原状回復工事区分と退去時の負担

ガラスを「見た目の要素」として決めると、あとで別の勘定書きが届きます。面積を増やすほど集客の効果は上がりますが、同時に空調の負荷・防犯のリスク・清掃の手間も増えます。さらに賃貸では、外装のガラスが誰の資産で誰が直すのかという問題がついてきます。この4つを同時に見て決めるのが、後悔しない進め方です。

ガラスの種類と店舗での使い分け

種類 特徴 店舗での使いどころ
フロート板ガラス もっとも一般的な透明ガラス。割れると鋭利な破片になる 小さな開口、内部の非接触部分
強化ガラス フロートの数倍の強度。割れると粒状になり大けがしにくい ファサード、入口扉、大きな面。店舗の定番
合わせガラス 2枚の間に中間膜。割れても膜が保持し、貫通しにくい 防犯を重視する面、路面店の夜間対策
複層(ペア)ガラス 2枚の間に空気層。断熱・結露対策 空調負荷を抑えたい大開口、寒冷地
Low-E複層ガラス 金属膜で日射熱を抑える複層。遮熱・断熱性能が高い 西日の当たる面、全面ガラスの店
網入りガラス 金網入り。防火に関わる部分で使われることがある 建物の条件により指定される場合がある
型板・すりガラス 視線を遮りながら光を通す トイレまわり、間仕切り、目線の調整

「強化」と「防犯」は別物

強化ガラスは強度が高く、割れ方が安全なガラスであって、割られにくいガラスではありません。むしろ一点に強い衝撃を受けると一気に砕けます。侵入対策を目的にするなら、中間膜が保持する合わせガラス(防犯ガラス)が本来の選択肢です。ここを取り違えた仕様は珍しくありません。

費用の目安——㎡単価とサッシ

ガラス本体は面積単価、サッシや自動ドアは箇所単価で見ます。いずれも概算の目安で、面積・厚み・搬入条件で変わります。

項目 費用の目安 備考
フロート板ガラス(5mm) ㎡8,000〜15,000円 もっとも安価
強化ガラス(8mm) ㎡20,000〜35,000円 店舗ファサードの標準的な選択
強化ガラス(12mm・大開口) ㎡35,000〜60,000円 方立で支える大板。揚重費が別途かかることも
合わせ(防犯)ガラス ㎡30,000〜60,000円 中間膜の厚みで変動
複層ガラス ㎡25,000〜45,000円 サッシも対応品が必要
Low-E複層ガラス ㎡35,000〜60,000円 遮熱タイプと断熱タイプがある
飛散防止フィルム ㎡4,000〜8,000円 既存ガラスに後付けできる
遮熱フィルム ㎡6,000〜12,000円 空調負荷対策の簡易策
アルミサッシの交換 1箇所10〜40万円 開口の大きさと形式による
自動ドアの新設 30〜150万円 電源・下地・センサーを含む
割れたときの応急処置 2〜5万円 出張+板でふさぐ養生。時間外は割増

※内装全体の予算配分は店舗内装の費用相場ガイドをご覧ください。

サッシと框の選び方

同じガラスでも、支え方で見た目と費用が変わります。

形式 特徴 費用の傾向
アルミサッシ もっとも一般的。断熱・防音のグレードを選べる 標準
スチール框(黒枠) 細い枠でシャープな印象。近年の店舗で人気 やや高い
方立ガラス(框なし) 枠を最小限にして開放感を最大化 高い。ガラスの厚みが増す

枠を細くするほど、ガラスは厚くなる

開放感を求めて枠を減らすと、ガラス自体で強度を確保する必要が出るため厚みが増し、重量も上がります。「枠を細く」は意匠の要望ですが、費用としてはガラスの厚みと揚重の話になります。見積もりを比べるときは、枠の形式とガラス厚をセットで確認してください。

大開口の代償——空調・西日・防犯・清掃

全面ガラスは強力な集客装置ですが、その効果は無料ではありません。

空調の負荷

月1〜2万円

  • 日射熱が入り冷房の稼働が増える
  • 冬は窓際が冷え、席が使いにくくなる
  • Low-E複層や遮熱フィルムで緩和

防犯のリスク

2〜5万円〜

  • 割られると仮復旧+交換が必要
  • その日は営業できない可能性
  • 合わせガラスやフィルムで対策

清掃の手間

週1〜7回

  • 手あと・雨だれが目立つ
  • 高所は専門業者の費用が発生
  • 汚れたガラスは逆効果になる

空調コストは「毎月払うガラス代」

ガラス面が大きいほど、日射熱の影響で冷房の稼働時間が増えます。仮に夏場の電気代が月1〜2万円変わるとすれば、年間で12〜24万円の差になり、数年で遮熱仕様との差額を上回ることがあります。初期費用だけで単板を選ぶと、毎月の固定費として払い続ける——これがガラス選びで最も見落とされる点です。西日の当たる面だけLow-Eにする、庇やオーニングを併用する、といった部分最適も有効です。

防火・安全に関わるガラス

ガラスは意匠の要素であると同時に、建物の安全に関わる部材でもあります。出店者が押さえておくべきは次の3点です。

  • 人がぶつかるおそれのある部分——入口まわりや床まで届く大きなガラス面では、割れ方が安全な強化ガラスや、破片が飛散しにくい合わせガラスが用いられるのが一般的です。既存の単板ガラスに飛散防止フィルムを貼るという後付けの選択肢もあります。
  • 防火に関わる部分——建物の位置や構造によっては、開口部に防火性能のある仕様(網入りガラスや耐熱強化ガラスなど)が求められる場合があります。「デザイン上、網は入れたくない」という要望は、建物条件によっては通らないことがあります。設計の初期に確認が必要な部分です。
  • 避難経路との関係——出入口の扉や通路にかかるガラスは、避難の観点から仕様や開き方に条件がつくことがあります。

壁と天井の仕上げ材については別の規制(内装制限)がかかります。あわせて店舗・飲食店の内装制限ガイドをご確認ください。個別の判定は建築士・特定行政庁・所轄消防署への確認が必要です。

発注と工程——納期と搬入

ガラスは「後から決めればいい」部材ではありません。納期と搬入が工程を縛るためです。

条件 納期の目安 注意点
規格サイズ・一般的な種類 数日〜1週間 在庫があれば早い
特注サイズ・厚み違い 2〜3週間 採寸ミスは作り直しになり、そのまま工期に響く
大判ガラス(方立・大開口) 3週間〜 製作に加え、搬入経路と揚重の手配が必要

搬入経路は契約前に見る

大判ガラスは前面道路の幅、エレベーターのサイズ、階段の曲がりで入らないことがあります。入らなければ、分割するか、クレーンやウインチを手配するか——いずれも費用と工期が増えます。大開口を計画するなら、内見の段階で搬入経路を見ておくのが安全です。工程全体の組み方は工期・スケジュールのガイドにまとめています。

割れたときの実務——順番を間違えない

ガラスの破損は、多くの店で一度は起きます。慌てて業者を呼ぶ前に、順番があります。

1安全確保(最優先)

人を近づけない。破片の飛散範囲を確保し、営業中なら客席から離す。けが人がいれば救護と通報が先です。

2貸主・管理会社へ連絡

外装のガラスは建物側の資産として扱われることがあり、指定業者での対応を求められる場合があります。先に自分で発注すると、費用の精算でもめる原因になります。

3仮復旧(養生)を手配

板でふさぐ応急処置で、防犯と安全を確保します。夜間・休日は割増になるのが一般的です。

4保険会社へ連絡

火災保険や店舗総合保険で破損・汚損の補償を付けていれば対象になることがあります。修理前に連絡し、写真を残しておきます。

5本復旧の発注

特注サイズは2〜3週間かかることがあります。仮復旧の状態で営業を続けられるかを含めて、工程を決めます。

営業への影響を先に見積もる

入口のガラスが割れると、安全上その日は営業できないこともあります。仮復旧で営業を続ける場合も、板でふさいだ外観では集客が落ちます。ガラス代そのものより、休業や客足の低下のほうが金額として大きくなる場合がある——という前提で、防犯対策の優先度を判断してください。

賃貸の落とし穴——工事区分と原状回復

店舗のガラスは、どこにあるかで扱いが変わります

場所 一般的な扱い
外装に面するガラス・サッシ 建物側の設備として、貸主またはB工事の範囲になることがある
入口の自動ドア 同上。交換や改修に貸主の承諾が必要になりやすい
テナント内部の間仕切りガラス 借主が設置・撤去するC工事の範囲になるのが一般的
ガラスに貼るフィルム・サイン 借主の施工。退去時に撤去を求められることがある

この切り分けは物件ごとの工事区分表で決まります。詳しくはA工事・B工事・C工事の工事区分ガイドを、退去時の負担は原状回復のガイドをご覧ください。

契約前・内見時に確認しておくこと

  • 外装ガラス・サッシの修繕は誰の負担か(契約書と工事区分表)
  • ガラス面にサイン・フィルムを施工してよいか、退去時の撤去義務は
  • 既存ガラスの種類と厚み(強化か、単板か、複層か)
  • 西日・日射の入り方(内見は時間帯を変えて2回見るのが理想)
  • 大判ガラスの搬入経路が確保できるか(前面道路・階段・エレベーター)

業態別の勘所

業態 ガラスの考え方
カフェ・ベーカリー 中が見えることが最大の集客装置。大開口が有効な代表格。ただし西日対策と清掃頻度はセットで考える
飲食店(夜業態) 外から見えすぎると落ち着かない。型板ガラスや高さを絞った開口、フィルムでの調整が有効
美容室・サロン 施術中の視線が気になる業態。すりガラスや目線の高さだけ視線を切る納まりが定番
物販・アパレル ショーウィンドウとしての性能が最優先。照明の映り込みと、閉店後の防犯を両立させる
クリニック プライバシー確保が前提。待合は明るく、診察側は視線を遮る使い分け
路面店(1階・夜間無人) 侵入対策の優先度が高い。合わせガラスやシャッターとの併用を検討

ファサード全体の考え方はファサード・外装デザインのガイド、看板との関係は看板製作費用のガイドとあわせてどうぞ。

出店者の実務——内装会社に聞く「3つの質問」

1この面はどの種類・どの厚みのガラスになりますか?

強化か合わせか複層か、厚みは何mmか。見積書に「ガラス工事一式」としか書かれていない場合は、内訳を出してもらいます。

2西日と空調負荷はどう考えていますか?

方位を踏まえた提案があるか。Low-E・フィルム・庇の選択肢を比較して示せる会社は、運用コストまで見ています。

3このガラスは工事区分でどちらに入りますか?

外装に面する部分の扱いを、契約前に確認します。ここが曖昧なまま進むと、破損時と退去時の両方でもめます。

よくある失敗3型

  • 強化ガラスを防犯対策だと思う——強度は高いが割られにくいわけではない型。侵入対策なら合わせガラスかフィルムの併用が本筋です。
  • 初期費用だけで単板を選ぶ——毎月の空調費で差額を払い続ける型。西日面だけでも遮熱仕様にすると回収できることがあります。
  • 割れてすぐ自分で業者を呼ぶ——外装ガラスが貸主管理だった場合に精算でもめる型。安全確保の次は貸主への連絡が正解です。

よくある質問

店舗のガラス交換はいくらかかりますか?

ガラスの種類と面積で決まります。目安として、一般的なフロート板ガラスで㎡8,000〜15,000円、店舗のファサードによく使う強化ガラス8mmで㎡20,000〜35,000円、防犯性の高い合わせガラスで㎡30,000〜60,000円程度です。これに撤去・運搬・施工費が加わり、サッシごと交換する場合は別途10〜40万円程度を見込みます。

店舗の入口に使うのはどのガラスですか?

人がぶつかる可能性のある大きな面には、割れても粒状になる強化ガラスか、割れても飛散しにくい合わせガラスが使われるのが一般的です。防犯を重視するなら合わせガラス、断熱を重視するなら複層ガラスという選び方になります。建物の条件によって求められる仕様が変わるため、設計者への確認が必要です。

全面ガラスの大開口にすると何が起きますか?

集客面では中が見えて入りやすくなる一方、日射熱が入るため空調の負荷が上がります。西日の当たる面では夏の室温が上がりやすく、席の配置にも影響します。防犯面のリスクと清掃の手間も増えるため、Low-E複層ガラスや遮熱フィルム、庇の設置とあわせて検討するのが現実的です。

ガラスが割れたら、まず何をすればいいですか?

安全確保が最優先です。人を近づけないようにし、ガラス業者へ連絡して仮復旧(板でふさぐ養生)を依頼します。あわせて、賃貸物件なら貸主・管理会社へ、加入していれば保険会社へ連絡します。外装のガラスは建物側の資産として扱われることがあり、勝手に手配すると精算でもめる場合があります。

ガラスの破損は保険で直せますか?

火災保険や店舗総合保険では、破損・汚損の補償を付けていれば対象になることがあります。ただし免責金額や、経年劣化・自然損耗の扱いは契約によって異なります。加入内容を確認し、修理前に保険会社へ連絡して手順を確認してください。

賃貸店舗のガラスは誰の費用で直しますか?

契約と工事区分によります。外装に面するガラスは建物側の設備として扱われ、貸主指定の業者による工事になることがあります。一方、テナント内部の間仕切りガラスは借主の負担になるのが一般的です。入居時の工事区分表と賃貸借契約書で、扱いを確認してください。

退去時にガラスはどこまで戻す必要がありますか?

入居中に自分で入れた間仕切りガラスや装飾は、原状回復の対象になるのが一般的です。外装のガラスは通常そのままですが、フィルムを貼っている場合は撤去を求められることがあります。入居時の状態を写真で残しておくと、退去時の交渉が楽になります。

ガラスの発注から取り付けまでどれくらいかかりますか?

規格品であれば数日から1週間程度、特注サイズや厚み・種類が特殊な場合は2〜3週間かかることがあります。大判のガラスは搬入経路や揚重の手配も必要になるため、内装工程の中では早めに発注する部類です。

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ファサードのガラス仕様や、既存ガラスの改修についても、店舗の施工実績がある会社に無料でまとめて相談できます。

免責と確認のお願い

本記事は2026年7月時点の一般的な目安を整理したものです。費用は面積・厚み・搬入条件・地域により変動します。人がぶつかるおそれのある部分や防火に関わる部分の仕様、保険の適用範囲、賃貸物件での費用負担は、設計者・保険会社・貸主および契約書の内容によって異なります。実際の判断はそれぞれの確認にもとづいて行ってください。

運営:店舗内装ドットコム(運営会社情報)|最終更新日:2026年7月26日

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