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東京で介護施設やデイサービスの開業を考えるとき、地方と決定的に違う前提がひとつあります——土地から建てるのではなく、ビルの一室、マンションの1階、元事務所や空き店舗を「転用」して始めるのが主流だということです。そして、その転用の成否を最初に分けるのが、たったひとつの数字——200㎡。2019年の建築基準法改正で、200㎡以下なら用途変更の確認申請が不要になり(東京都も公式に周知しています)、同じ200㎡は内装制限の対象ラインでもあり、200㎡未満の戸建なら耐火要件の緩和まで受けられる。つまり物件の面積が200㎡を挟むかどうかで、手続き・内装規制・構造要件の3つが同時に変わるのです。
本記事は、この「200㎡の三重分水嶺」から東京の介護開業を解きます。転用タイプ別(元事務所・マンション1階・元飲食店・戸建)の勘所、指定基準(食堂・機能訓練室あわせて利用定員×3㎡など)を内装に翻訳する方法、公式サイトで検証できた地場2社、費用感まで——特定の会社にも誘導しません。※本記事は高齢者向けのデイサービス・介護施設が主軸です(放課後等デイサービスは児童福祉の別基準ですが、200㎡や用途変更など建築の論点は共通します)。法令適用の最終判定は所管行政にあります。個別の計画は建築士・行政・指定権者にご確認ください。
この記事の要点
- 東京の介護開業はテナント転用が主流——物件選びの鍵は「200㎡」。用途変更の確認申請(以下なら不要・2019年改正)、内装制限の対象ライン、戸建転用の耐火緩和が同じ数字で交差する
- 「確認申請が不要」でも法適合の義務は残る。指定申請では確認済証・検査済証を求められる実務があり、書類の有無は内見段階で確かめる——東京の中古物件で最も多いつまずきがここ
- 指定基準は「面積の足し算」ではなく空間に翻訳する。食堂・機能訓練室3㎡/人、静養室、相談室——基準を満たしたうえで「選ばれる空間」を作る配分が、内装投資の本体
「200㎡」の三重分水嶺|東京の物件選びはここから
なぜ200㎡なのか。3つの法律の線が、この数字で重なっているからです。① 用途変更の確認申請——事務所や店舗だった物件をデイサービスなどの福祉施設(建築基準法上の特殊建築物)に変える場合、変更部分が200㎡を超えると建築確認の手続きが必要です。逆に200㎡以下なら手続き不要——2019年6月施行の改正で従来の100㎡から拡大され、東京都都市整備局も公式資料で周知しています。② 内装制限——老人デイサービスセンター等は「児童福祉施設等」の用途で、その他の構造なら延べ200㎡以上から壁・天井の防火規制の対象になります(詳しくは内装制限 完全ガイド)。③ 戸建転用の耐火緩和——延べ200㎡未満かつ3階建て以下の建物を福祉施設に転用する場合、避難措置を前提に耐火建築物とすることを不要にできる緩和も同じ改正で生まれました。空き家・戸建デイの追い風です。
ただし、ここで絶対に誤解してはいけないことがあります。「確認申請が不要」=「何もしなくていい」ではありません。建築基準法・消防法への適合義務は面積にかかわらず残りますし、介護事業の指定申請の実務では、建物の適法性を示す確認済証・検査済証(またはその代替書類)を求められるのが通例です。東京の築年数の経った中古ビル・戸建には検査済証が見つからない物件が珍しくなく、その場合は建築士による調査・適合証明の段取りが必要になる——内見の段階で「確認済証と検査済証はありますか」と聞く。この一言が、東京の介護開業で最も費用と時間を守る質問です。
転用タイプ別の勘所と30秒整理|元事務所・マンション1階・元飲食・戸建
東京の転用物件は、前の用途で勘所が変わります。元事務所・オフィステナント——最も多いパターン。給排水が最小限しかないため、浴室・多目的トイレ・洗面の増設可否(排水経路・床の懐)と、浴槽や機器の搬入経路を先に確認。マンション・ビルの1階——管理規約(用途・工事時間・看板)の確認が最優先で、送迎車の駐停車スペースと、上階への音の配慮も計画に。元飲食店——厨房・給排水・グリストラップという設備資産が活きる好相性の転用元。食事提供の形態で必要設備が変わるため、資産をどこまで使うかを最初に設計。戸建・空き家——200㎡未満×3階以下なら耐火緩和の恩恵を受けられる本命。ただし住宅からの転用は手すり・段差・開口幅の改修量が多く、建築士との法適合確認が出発点です。
30秒整理(東京・転用開業の論点チェック)
Q1. 開業する事業は?
Q2. 物件のタイプは?
Q3. 床面積は?
Q4. 建物の階は?
Q5. 開業時期は?
指定基準を内装に翻訳する|3㎡/人・静養室・相談室
デイサービス(通所介護)の指定を受けるには、設備の基準を満たす必要があります。骨格はシンプルで、食堂と機能訓練室:あわせて利用定員×3㎡以上/静養室(体調不良時に横になれる場所)/相談室(プライバシーが確保できる仕切り)/事務室・トイレ・手洗い、が基本セットです(詳細は自治体の指定基準・手引きで確認を)。ただし、この基準は「面積の足し算」で満たすだけでは、選ばれる施設になりません。翻訳のコツは3つ——① 食堂と機能訓練室は兼用可の運用が多いため、プログラムの切り替え(食事⇄体操⇄レク)に合わせて家具の可動性で空間を可変にする。② 静養室・相談室は「視線と音」の設計——待合や食堂から視線が切れ、話し声が漏れない位置に。③ 手すり・段差・床材(転倒時の衝撃と車椅子の走行性の両立)は利用者の身体状況から逆算する。この3つを図面段階で語れる会社が、介護の実績がある会社です。壁・天井の仕上げは内装制限の枠内で——「木の温もり」を実現する4つの経路は内装制限 完全ガイドにまとめています。
誰に頼むか|建築か内装かの分岐と検証できた地場2社
頼む相手は、工事の性格で変わります。用途変更の確認申請や構造・避難に関わる改修が要るなら建築士のいる会社(設計事務所・建設会社)が起点。200㎡以下のテナントで内装中心なら介護実績のある内装会社が速い——この分岐の全体像は介護施設・老人ホームの業者の選び方に整理しています。そのうえで、東京・多摩圏で公式サイトからデイサービスの実績を確認できた地場を2社。
掲載企業の選定基準
本記事では、公式サイトで会社概要・事業内容とデイサービス・介護施設分野の実績、東京圏での対応が確認できた会社のみを掲載しています。恣意的な順位付けは行わず、掲載順は順不同。記載は2026年7月時点の公式公開情報の要約です。最新のサービス内容は各社へ直接ご確認ください。
東京建創
東京・神奈川の店舗デザイン・内装設計会社で、介護・医療施設の施工例カテゴリに三軒茶屋のデイサービスセンターをはじめ、リハビリ特化型や改修工事まで多数のデイサービス事例を公開しています。マンション1階や元事務所からの転用事例も確認でき、デイサービスの3類型(通所介護・認知症対応型・リハビリ特化型)を踏まえた設計解説も発信——東京のテナント転用の実務に厚い1社です。公式サイト
桃太郎住宅・店舗
相模原を拠点に、町田・八王子・多摩など東京西部から神奈川で店舗内装を手がける会社で、デイサービスの開業工事の専門ページを持ち、実際の設計・施工金額を事例つきで公開しています(300万円以下の事例タグなど価格の透明性が特徴)。「申請期間があるので工期を守ってほしい」という介護開業特有の要望に応える構えを明示しており、多摩圏の小規模デイの相談先に向きます。公式サイト
初回相談で確認する5点(どの会社でも共通)
- デイサービス・介護施設の実績を図面と写真で見せてもらえるか(店舗の実績だけの会社は勘所が違います)
- 指定申請のスケジュールから逆算した工程を組んだ経験があるか——工期遅れは開業月のズレに直結します
- 用途変更・検査済証の問題に建築士と連携して対応できるか(自社に建築士がいるか、提携か)
- 内装制限と緩和の検討を図面段階で提案してくれるか
- 見積もりが範囲の明細で出るか——「内装一式」は比較不能。含まれない項目の明示を求める
費用の目安(東京のデイサービス・介護内装)
テナント型の小規模デイサービスなら、内装工事は数百万円台からが実勢です(実際、東京圏の地場には300万円以下の施工事例を公開する会社もあります)。金額を動かす変数は面積より「水まわりの増設量」と「転用元との相性」——元飲食なら設備資産で圧縮でき、元事務所は給排水増設で積み上がり、戸建は手すり・段差の改修量で変わります。用途変更の確認申請が要る場合は、設計・申請の費用と数ヶ月単位の期間も別枠で見込むこと。施設種別ごとの費用の全体像は介護施設の内装費用ガイドに、移転を伴う場合は介護施設・老人ホームの移転ガイドに、ビルとの工事区分は工事区分の基礎ガイドにまとめています。
東京のデイサービス内装事例と相見積もり
当サイトの事例データベースでは、東京のデイサービスの内装デザイン事例を公開しています。実際の空間で「目指す雰囲気」の目線を作ったら、条件を一度入力するだけで、東京の介護施設・デイサービスの内装に対応できる複数の会社から見積もりを取れます。紹介は運営が個別に確認したうえで行うため、営業電話が乱れ飛ぶ形式ではありません——200㎡の論点と指定申請の工程を語れる会社かどうか、比較の場で確かめてください。
東京の介護・デイサービス内装、事例を見て複数社を比較する
よくある質問
200㎡以下なら、手続きは何もしなくていいのですか?
いいえ。不要になるのは「用途変更の建築確認の手続き」だけで、建築基準法・消防法への適合義務は残ります。また介護事業の指定申請では、建物の適法性を示す確認済証・検査済証(または代替書類)を求められるのが実務です。消防署への届出・保健所や指定権者との協議も別途必要——「手続きが軽くなる」のであって「法律が消える」のではない、と押さえてください。
検査済証が見つからない物件は、諦めるべきですか?
即断は不要です。東京の築古物件では珍しくない状況で、建築士による適法性調査と行政協議で道が開けた事業例もあります。ただし調査・是正の費用と期間が乗るため、①書類の有無を内見時に確認し、②ない場合は契約前に建築士へ相談し、③その物件と「書類の揃った別候補」を総額と期間で比較する——この順番で判断してください。
マンションの1階でデイサービスは開けますか?
開けるケースは多くありますが、最初に管理規約を確認してください。用途の制限、工事可能時間、看板・共用部の使用ルールが物件ごとに違います。加えて、送迎車の駐停車スペースと上階への音の配慮(送迎時間帯・レクリエーション)を計画に織り込むこと。管理組合との事前コミュニケーションを段取りしてくれる会社だと、この型の転用はぐっと進めやすくなります。
放課後等デイサービスの開業にも、この記事は使えますか?
建築の論点(200㎡の用途変更・内装制限・検査済証・転用タイプ別の勘所)は共通して使えます。ただし放課後等デイは児童福祉法にもとづく別事業で、指定基準(指導訓練室の面積や職員配置など)は本記事の高齢者デイとは異なります。事業側の基準は自治体の障害福祉の手引きで確認し、建築側の考え方だけ本記事をお使いください。
相見積もりは何社に頼むのがいいですか?
2〜3社が現実的です。東京の定石は、介護実績のある地場と、建築士連携のある会社を混ぜること——内装の価格と、用途変更・検査済証への対応力を同時に比べられます。要件1枚に「物件の面積(200㎡以下か超か)」「書類の有無」「希望開業月」を書いて渡すと、指定申請から逆算した工程を返せる会社かどうかで力量が分かります。
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東京の介護開業は、物件の「200㎡」を測るところから始まります。三重分水嶺で手続きと規制の見取り図を持ち、転用タイプの勘所で物件を絞り、指定基準を空間に翻訳し、実績のある会社と指定申請から逆算した工程を組む——この順番なら、都市型の開業は怖くありません。本記事の整理を、物件内見の最初のチェックリストとしてご活用ください。
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