和食・日本料理店の移転|和の造作と会席厨房・板前カウンターを作り直す——旧店原状回復+新店内装の費用相場

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和食・日本料理店(割烹・会席・料亭を含む)の移転は、ほかの飲食店の移転とは段取りの重みが違います。多くの飲食店の移転が厨房と客席の作り直しを主役とするのに対し、和食は「和の造作」と「会席厨房・板前カウンター」という二つの大きな要素を抱えるからです。一枚板のカウンター、格子・障子・土壁、畳の小上がり・個室、床の間、坪庭——これら和の造作はすべて職人によるオーダーメイドが基本で、既製品で代替できません。和食はフレンチと並んで内装費が高くなりやすい業態であり、その分、旧店の原状回復(造り込んだ和の造作の撤去)も高額になりがちです。これらを旧店の原状回復と新店の内装を一つの予算表・スケジュールで段取りするのが、和食移転の難しさです。本記事は、和食・日本料理店のオーナーが移転を成功させるために、和の造作の作り直し・板前カウンターの移設・会席厨房・座敷と個室・費用構造・行政手続き・業者選びまでを、できるだけ深く整理した発注者向けのガイドです。和食・割烹の内装費用そのもの(格別の坪単価・造作の素材・コスト構造)は和食・割烹の内装費用ガイドもあわせてご覧ください。

30秒でわかる結論

和食移転の要点

  • 和食移転=「和の造作(一枚板・格子・畳・床の間・坪庭・数寄屋)」と「会席厨房・板前カウンター」を、旧店原状回復+新店内装と一括で作り直す
  • 和の造作はすべて職人のオーダーメイドで、既製品で代替できず、一般の内装会社では難しい。専門の業者選びが核
  • 店の「格」(大衆和食/割烹/会席懐石/料亭)で内装の重心と費用が大きく変わる。狙う格を先に決めるのが出発点
  • 費用は「旧店の原状回復(和の造作ゆえ高額)」「新店の内装」「会席厨房・活魚水槽等の設備移設」の3つを1つの予算表で見る
  • 移転先では飲食店営業許可の再取得が必要。和の造作・会席厨房・数寄屋を読める業者を複数社で比較する
⚠️ ご注意:本記事は一般的な情報提供を目的としており、正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。記載の費用相場・坪単価などはあくまで一般的な目安で、格・業態・地域・規模・物件条件・造作の範囲によって大きく異なります。飲食店営業許可の再取得や消防への届出などの手続きは、所管の保健所・消防署・自治体の運用によって異なります。具体的な費用は複数社の見積もりで、手続きは所管の保健所・消防署で、必ずご確認ください。

和食の移転は「和の造作と会席厨房の作り直し」——一般の飲食移転と別

和食の移転が他の飲食店と違うのは、「和の造作」と「会席厨房・板前カウンター」という二つの大きな要素を同時に作り直す点です。

和食移転=「和の造作」と「会席厨房・板前カウンター」の作り直し和の造作は職人技のオーダーメイド。フレンチと並んで内装費が高い業態① 和の造作の作り直し一枚板・格子・障子・土壁畳・床の間・坪庭・数寄屋既製品で代替できないオーダーメイド店の格と世界観をつくる② 板前カウンター・会席厨房一枚板カウンター(板前の所作)焼き場・揚げ場・刺身場・活魚用途ごとに計画・対面なら動線が肝多様な調理に対応この二つを旧店原状回復+新店内装と一括で作り直す

一般的な飲食店の移転は、厨房設備と客席の作り直しが主役です。ですが和食は、それに加えて、店の格と世界観をつくる和の造作(一枚板カウンター・格子・障子・土壁・畳・床の間・坪庭)と、多様な調理に対応する会席厨房・板前カウンターが、移転費用とスケジュールの大きな比重を占めます。和の造作は「空間そのものが料理の一部」という考え方で、料理の価値まで引き上げる役割を担います。

一般の飲食移転

主役厨房設備・客席の作り直し
内装業態相応のグレード
造作既製品中心でも可

和食の移転(本記事)

主役和の造作+会席厨房
内装一枚板・畳・坪庭・数寄屋
造作職人のオーダーメイドが基本

このため、和食の移転は「和の造作を作り直し、板前カウンターと会席厨房を新店で再構成し、座敷・個室のもてなしの空間を整える」という、和食特有の段取りが核心になります。なお、同じ和の系統でも、寿司店は付け台・ネタケースなど寿司に特化した作りが主役で寿司移転ガイド、カジュアルな和食居酒屋は居酒屋移転ガイドに譲り、本記事は割烹・会席・料亭を含む和食・日本料理店の移転を掘り下げます。

和食移転の費用相場——旧店の原状回復(和の造作ゆえ高額)・新店の内装を1つの予算表で

和食移転の費用は、「旧店の原状回復」「新店の内装」「会席厨房・活魚水槽等の設備移設」の3つを、一つの予算表で見るのが基本です。

和食移転の費用=旧店+新店+設備の”3つ”和の造作ゆえ「旧店の原状回復」も高額になりやすい(規模で変動・目安)① 旧店の原状回復一枚板・畳・坪庭・厨房の撤去・スケルトン戻し造り込んだ分だけ撤去も高額② 新店の内装和の造作・板前カウンター・個室・座敷・会席厨房格が上がるほど造作が積み重なる③ 厨房等の設備移設活魚水槽・厨房機器・什器・器の移設移設か新設かの判断①+②+③を1つの予算表・1つのスケジュールで管理旧店と新店を別業者に分けると、責任の境目で抜け漏れ・割高に具体的な金額は格・規模・造作の範囲・物件で変動。複数社の見積もりで把握を

  • ① 旧店の原状回復:賃貸契約の原状回復義務に従い、一枚板・畳・坪庭・厨房などを撤去してスケルトンに戻す。和の造作を造り込んだ分だけ、撤去(原状回復)も高額になりやすい
  • ② 新店の内装:和の造作(一枚板カウンター・格子・障子・土壁・畳・床の間・坪庭)・板前カウンター・個室・座敷・会席厨房を新設。格が上がるほど造作が積み重なる
  • ③ 会席厨房・活魚水槽等の設備移設:活魚水槽・厨房機器・什器・器の移設・再設置。これらを移設するか、移転を機に新設するかの判断も必要

新店の内装費は、店の「格」によって大きく変わります。格が上がるほど和の造作・個室・板前カウンターへの投資が増え、坪単価が大きく上がります。

格で内装の重心が変わる(目安)空間の重心内装費/坪の目安大衆和食気軽さ・回転坪20〜45万円(居抜き〜)割烹板前カウンター・対面の職人技坪35〜90万円会席・懐石個室・静謐・もてなし坪60〜130万円以上も料亭数寄屋・坪庭・座敷・接待最高格・造作の粋※数値は一般的な目安。詳細は和食・割烹内装費用ガイド・業者見積もりで

具体的な金額は格・規模・造作の範囲・物件で大きく変わります。本記事で示す坪単価はあくまで一般的な目安です。和食・割烹の内装費用の詳しい考え方(一枚板の樹種による価格差、造作の範囲、コストダウンの優先順位など)は和食・割烹の内装費用ガイドに譲ります。旧店・新店・設備を一つの予算表にまとめ、複数社の見積もりで実際のレンジを把握することをおすすめします。旧店と新店を別々の業者に分けると、責任の境目で抜け漏れが起きたり割高になったりするため、一括で見られる業者に相談すると安全です。

和の造作の作り直しが店の格を決める——一枚板カウンター・座敷・坪庭と居抜き判定

和食移転で、店の格と世界観を左右するのが和の造作の作り直しです。和の造作は、すべて職人によるオーダーメイドが基本で、既製品で代替できません。

和の造作が、店の格と世界観をつくるすべてオーダーメイドの職人技。既製品で代替できない一枚板カウンター檜・栃・欅 50〜300万円予算の30〜50%を占めることも格子・障子・土壁左官(聚楽等)・建具陰影をつくる和の意匠畳・床の間・坪庭小上がり・個室・数寄屋座敷・もてなしの空間和食は「暗い方が格が上がる」:全体を暗くしカウンターの料理だけを照らす陰影の美「客の目に触れる部分だけ造作+バックヤードは標準仕上げ」のメリハリがコスパの鍵※素材・造作の費用は格・グレードで大きく異なる。内装費用ガイド・業者見積もりで

和の造作には、次のような要素があります。

  • 一枚板カウンター:割烹の主役。檜・栃・欅などの樹種・サイズ・木目で費用が大きく変わり、予算の30〜50%を占めることもある。集成材+良い仕上げなら一枚板の1/3程度の費用で品格を出す選択も
  • 格子・障子・土壁(左官):陰影をつくる和の意匠。聚楽などの土壁は左官職人の技が要る
  • 畳・床の間・坪庭・数寄屋:座敷・個室・小上がりのもてなしの空間。料亭では数寄屋造りや坪庭、門から店までの中庭など、和の造作の粋を尽くす
「暗い方が格が上がる」陰影の照明:和食は、全体照明を暗くしてカウンターの料理だけをスポットライトで浮かび上がらせる「陰影の美」が真髄とされます。照明設計は和食の内装で最も重要な投資の一つです。移転は、この照明と和の造作の世界観をアップグレードする好機でもあります。コストを抑えるなら、「客の目に触れる部分だけ造作+バックヤードは標準仕上げ」というメリハリが鍵です。素材・造作の詳しい費用は和食・割烹の内装費用ガイドを参照してください。

居抜き判定——前テナントが和食か、和の造作が活きるか

居抜き(前テナントが和食)

流用和の造作・厨房・カウンターの躯体
確認自店の格・コンセプトに造作が合うか
コスト抑えやすい(合えば)

スケルトン

自由度格・世界観を理想で設計
確認和の造作・厨房を一から構築
コスト高くなりやすい

和食の居抜きで注意したいのは、前テナントが和食でないと和の造作が活きにくく、当たり外れが大きいことです。元和食店の居抜きでも、自店の格(割烹か料亭か)やコンセプトに造作が合わなければ、結局は大きな作り直しが必要になります。「居抜きだから安い」と早合点せず、自店の格・コンセプトに物件と造作が合うかを、和食に詳しい業者に確認してもらいましょう。旧店の原状回復については原状回復ガイドも参考になります。

見えない急所——会席厨房・板前カウンター・活魚水槽と、相見積もりのB/C工事

和食移転で、費用や料理の質を大きく左右するのに見落とされやすいのが、次の急所です。

会席厨房は「用途ごと」に計画する和食の多様な調理に対応。対面なら板前カウンター内の動線が肝焼き場炭火・グリル揚げ場天ぷら・排煙刺身(造り)場付け場・冷蔵活魚水槽水質・配管・移設煮方炊き・椀天ぷら・炭火の有無は排煙設備の規模に直結。活魚水槽は移設に専門の段取り板前が対面で仕上げるなら、カウンター内の動線・設備配置が価値を左右※構成は格・メニューにより異なる目安

会席厨房は「用途ごと」に計画する:和食の厨房は、多様な調理に対応するため、焼き場・揚げ場・刺身(造り)場・活魚の水槽・煮方などを用途ごとに計画します。とくに天ぷら・炭火の有無は排煙設備の規模に直結し、活魚水槽は水質管理・配管が要るため移設に専門の段取りが必要です。板前が対面で仕上げる割烹なら、板前カウンター内の動線と設備配置が料理の価値を左右します。移転は、この会席厨房を最適な動線に作り直す機会でもあります。
板前カウンターの移設・新設:割烹では板前カウンターが主役で、一枚板の質感と客との距離、料理人の所作を見せる作りが価値になります。移転では、既存の一枚板カウンターを移設するか、移転を機に新調するかを、費用と世界観のバランスで判断します。一枚板は樹種・サイズで価格が大きく変わるため、移設できるなら費用を抑えられますが、新店のレイアウト・寸法に合うかの確認が必要です。
個室・座敷の構成と客単価設計:会席・料亭では、個室・座敷が接待・会食・記念日需要を取り込み、客単価を支えます。完全個室か半個室か、小上がりか掘りごたつか、座敷の数をいくつにするかで、必要な坪数と費用が変わります。接待・会食の需要をどこまで取るかで、必要な部屋数と面積が決まるため、移転を機にターゲットと客単価を見直して構成を作り直すのが有効です。

さらに、ビルやテナントに入る場合は、ビルオーナーが施工業者を指定する「B工事」と、自分で発注できる「C工事」の見極めも重要です。とくに天ぷら・炭火の排煙、活魚水槽の給排水、電気・ガス容量は、和食に欠かせない一方で費用も大きいため、どの工事区分に入るかを契約前に確認し、C工事の部分は相見積もりで適正価格を引きましょう。工事区分や見積もりの比較は見積もり比較ガイドが参考になります。

常連・予約を切らさない移転——飲食店営業許可の再取得・二重家賃スケジュール

和食移転で常連客と予約を守るには、営業を切らさないスケジュール設計が欠かせません。

移転先では飲食店営業許可の再取得が必要:店舗の移転では、移転先の店舗について改めて飲食店営業許可を取得する必要があります(保健所の施設検査などを経て許可されます)。あわせて、消防への防火対象物使用開始届、深夜に酒類を提供する場合は深夜酒類提供飲食店営業の開始届出など、業態・営業時間に応じた手続きが必要になることがあります。これらの手続きは所管の保健所・消防署・警察署の運用によって異なるため、早めに確認してください。
二重家賃を抑えつつ、切れ目をなくす:旧店の営業を続けながら新店を工事し、新店の準備が整ったら切り替えるのが理想ですが、その間は旧店と新店の二重家賃が発生します。一方で、旧店を早く閉めすぎると営業の空白期間ができ、常連や予約を失うおそれがあります。工事期間・許可取得の期間を見込んで、二重家賃を最小限にしつつ営業の切れ目をつくらないスケジュールを組むことが重要です。とくに和の造作は職人の手仕事で工期が読みにくいことがあるため、余裕を持った工程を組みます。
物件選定(格・会席厨房・活魚の要件)前テナント・排煙・給排水を確認
新店の和の造作・厨房・カウンターの設計格・世界観・板前動線
営業許可・消防の手続き飲食店営業許可の再取得など
旧店原状回復+新店工事・設備移設切れ目ないスケジュールで
開店・常連/予約の引き継ぎ移転告知・世界観アップグレードの発信

あわせて、予約・常連への移転告知も計画します。移転を機に和の造作や個室を充実させたことを前向きに告知すれば、客単価の高い接待・会食・記念日需要を引き継ぎやすくなります。

和食移転の進め方・行政手続きと「和の造作・会席厨房・数寄屋を読める和食系業者」

和食移転は、行政手続きと工事を並行で進めるのが基本です。そして工事の業者選びで最も重要なのが、「和の造作(一枚板・格子・土壁・畳・床の間・坪庭・数寄屋)」「会席厨房・板前カウンター」「座敷・個室のもてなしの空間」を読める、和食の実績がある業者を選ぶことです。

和の造作・数寄屋は専門技術:和食移転の最大の注意点は、和の造作・数寄屋が専門技術で、一般の内装会社では難しいことです。一枚板のカウンター、聚楽などの土壁の左官、畳・床の間・坪庭・数寄屋造りは、専門の職人と技術が要ります。和食の実績がない業者に依頼すると、格に見合った造作ができないおそれがあるため、業者選びは慎重に。
  • 和の造作(一枚板・格子・障子・土壁・畳・床の間・坪庭・数寄屋)を、格に応じて設計・施工できる職人・体制があるか
  • 会席厨房(焼き場・揚げ場・刺身場・活魚水槽・煮方)と板前カウンターの動線を設計できるか
  • 「暗い方が格が上がる」陰影の照明設計ができるか
  • 個室・座敷の構成を、接待・会食の需要に合わせて提案できるか
  • 旧店の原状回復と新店の内装を、一つの予算表・スケジュールで一括管理できるか

業者選びでは相見積もりが必須です。和食は格(大衆和食/割烹/会席懐石/料亭)で必要な造作も世界観も大きく変わり、各社の提案も金額も差が出るため、複数社を比べてはじめて適正と相性が見えてきます。和食・割烹の内装費用そのものを詰めたい場合は和食・割烹の内装費用ガイド、寿司店の移転は寿司移転ガイド、カジュアルな和食居酒屋の移転は居酒屋移転ガイドも参考になります。

よくある質問(FAQ)

和食店の移転費用はどれくらいかかりますか?
「旧店の原状回復」「新店の内装(和の造作・会席厨房・個室)」「活魚水槽等の設備移設」の3つの合計で、店の格(大衆和食/割烹/会席懐石/料亭)・規模・造作の範囲・物件によって大きく変わります。とくに和の造作は職人のオーダーメイドで、造り込んだ分だけ撤去(原状回復)も高額になりやすいのが特徴です。本記事では固定の坪単価は示していません。旧店・新店・設備を一つの予算表にまとめ、複数社の見積もりで実際のレンジを把握することをおすすめします。和食・割烹の内装費用の詳しい考え方は和食・割烹の内装費用ガイドを参照してください。
和の造作は、移転を機にどう考えればいいですか?
和の造作(一枚板カウンター・格子・障子・土壁・畳・床の間・坪庭・数寄屋)は、店の格と世界観をつくる要素で、すべて職人によるオーダーメイドが基本です。移転は、この和の造作と「暗い方が格が上がる」陰影の照明をアップグレードする好機です。コストを抑えるなら、客の目に触れる部分だけ造作し、バックヤードは標準仕上げにするメリハリが鍵です。一枚板カウンターは樹種・サイズで価格が大きく変わり、集成材+良い仕上げなら一枚板の1/3程度で品格を出す選択もあります。詳しくは和食・割烹の内装費用ガイドを参照してください。
一枚板の板前カウンターは、移設と新設のどちらがいいですか?
費用と世界観のバランスで判断します。一枚板カウンターは割烹の主役で、檜・栃・欅などの樹種・サイズ・木目で価格が大きく変わり、予算の30〜50%を占めることもあります。既存の一枚板を移設できれば費用を抑えられますが、新店のレイアウト・寸法に合うかの確認が必要です。移転を機にサイズや配置を見直したい場合は新調も選択肢で、集成材+良い仕上げでコストを抑える方法もあります。板前の所作が見える対面の作りを重視するなら、カウンター内の動線も含めて設計しましょう。
会席厨房は、移転でどう作り直せばいいですか?
和食の厨房は、多様な調理に対応するため、焼き場・揚げ場・刺身(造り)場・活魚の水槽・煮方などを用途ごとに計画します。とくに天ぷら・炭火の有無は排煙設備の規模に直結し、活魚水槽は水質管理・配管が要るため移設に専門の段取りが必要です。板前が対面で仕上げる割烹なら、板前カウンター内の動線と設備配置が料理の価値を左右します。移転は、この会席厨房を最適な動線に作り直す機会です。
和食の居抜き物件を選ぶと、費用は抑えられますか?
前テナントが和食の居抜きなら、和の造作・厨房・カウンターの躯体を流用でき、費用を抑えられる可能性があります。ただし、前テナントが和食でないと和の造作が活きにくく、当たり外れが大きいのが和食の居抜きの特徴です。元和食店でも、自店の格(割烹か料亭か)やコンセプトに造作が合わなければ、結局は大きな作り直しが必要になります。「居抜きだから安い」と早合点せず、自店の格・コンセプトに物件と造作が合うかを和食に詳しい業者に確認してもらいましょう。
移転先で必要な手続きは何ですか?
店舗の移転では、移転先について改めて飲食店営業許可を取得する必要があります(保健所の施設検査などを経て許可されます)。あわせて、消防への防火対象物使用開始届、深夜に酒類を提供する場合は深夜酒類提供飲食店営業の開始届出など、業態・営業時間に応じた手続きが必要になることがあります。これらは所管の保健所・消防署・警察署の運用によって異なるため、工事のスケジュールと並行して早めに確認してください。
常連客や予約を切らさずに移転するには、どうすればいいですか?
旧店の営業を続けながら新店を工事し、準備が整ったら切り替えるのが理想ですが、その間は二重家賃が発生します。一方、旧店を早く閉めすぎると営業の空白ができ常連や予約を失うため、工事期間・営業許可取得の期間を見込んで、二重家賃を最小限にしつつ営業の切れ目をつくらないスケジュールを組みます。とくに和の造作は職人の手仕事で工期が読みにくいことがあるため余裕を持った工程にし、移転を機に和の造作や個室を充実させたことを前向きに告知すると、常連を引き継ぎやすくなります。
店の格(割烹・料亭など)で、移転の進め方は変わりますか?
大きく変わります。大衆和食は気軽さと回転を重視し坪20〜45万円程度が一つの目安、割烹は板前カウンター・対面の職人技に投資し坪35〜90万円程度、会席・懐石は個室・静謐・もてなしに投資し坪60〜130万円以上になることもあります。料亭は数寄屋・坪庭・座敷など和の造作の粋を尽くす最高格です。格が上がるほど和の造作・個室・板前カウンターへの投資が増え、必要な坪数も部屋数も変わるため、まず狙う格とコンセプトを固めてから物件・業者を検討するのが順序です。
和食店の移転は、どんな業者に頼めばいいですか?
和の造作(一枚板・格子・土壁・畳・床の間・坪庭・数寄屋)、会席厨房・板前カウンター、座敷・個室のもてなしの空間の3つを、格に応じて設計・施工でき、旧店の原状回復と新店の内装を一つの予算表・スケジュールで一括管理できる、和食の実績がある業者が理想です。最大の注意点は、和の造作・数寄屋が専門技術で一般の内装会社では難しいことです。和食の実績がない業者では格に見合った造作ができないおそれがあるため、複数社に相見積もりを取り、和食の実績と提案内容・段取り力を比較して選びましょう。

まとめ|和食移転は「和の造作」と「会席厨房・板前カウンター」を一括で段取りする

和食・日本料理店の移転は、和の造作と会席厨房という二つの大きな要素を抱えるため、一般の飲食移転とは別の段取りが要ります。①和の造作(一枚板カウンター・格子・障子・土壁・畳・床の間・坪庭・数寄屋)の作り直し、②会席厨房(焼き場・揚げ場・刺身場・活魚水槽・煮方)と板前カウンターの再構成、③座敷・個室のもてなしの空間と「暗い方が格が上がる」陰影の照明——これらを、旧店の原状回復(和の造作ゆえ撤去も高額)・新店の内装と一つの予算表・一つのスケジュールで段取りします。和食・割烹の内装費用そのものは和食・割烹の内装費用ガイドへ。和の造作・数寄屋は専門技術で一般の内装会社では難しいため、和食の実績がある業者に、複数社で相見積もりを取ることが、和食移転を成功させる第一歩です。費用は複数社の見積もりで、手続きは保健所・消防署に必ずご確認ください。

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