シーシャバーの内装・開業費用ガイド|坪単価相場・喫煙目的店の基準・換気設計まで

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シーシャバーは、内装の8割が「空気と法律」で決まる業態です。ソファや照明のデザインを考える前に、改正健康増進法の喫煙目的店の要件と、入口気流0.2m/s・屋外排気という技術的基準が図面の骨格を決めてしまう──ここを知らずに工事を進めると、完成後に営業形態ごと作り直す事態になりかねません。本ガイドは、シーシャバーの内装費用の相場(坪単価・10坪の総額)から、喫煙目的店の要件、換気とCO対策、ソファ係数で決まる席数公式、許可の一覧、開業スケジュールまで、開業者が知るべき実務を1ページにまとめました。

📋 30秒でわかる結論

  • 内装費の目安:本体工事は飲食店の居抜きで坪10〜22万円、スケルトンで坪28〜50万円。これに換気・排気工事(30〜200万円)とシーシャ機材が別建てで乗る
  • 最大の関門:シーシャ提供店は原則「喫煙目的店」。たばこの対面販売(出張販売許可)×主食を出さない×20歳未満立入禁止×標識掲示の4点セット
  • 図面の支配者:技術的基準(入口気流0.2m/s以上・床〜天井の区画・屋外排気)。入口を絞るほど必要排気量が減り、換気コストが下がる
  • 物件の3確認:排気ルート(外壁ダクトの可否)・炭=裸火の使用可否・たばこ販売の立地条件。目的来店型なので2階以上の空中階で賃料を圧縮できる
  • 期間の律速:たばこ出張販売許可は2〜6ヶ月。物件探しと並行で、最初に動く

シーシャバーの内装費用相場(坪単価と総額)

シーシャバーの内装費用は「本体工事」「換気・排気工事」「シーシャ機材」の3階建てで考えると見積もりを読み違えません。本体工事の坪単価は物件の状態でほぼ決まります。

物件の状態 本体工事の坪単価 換気・排気工事の目安 ポイント
飲食店の居抜き 10〜22万円 30〜80万円 既存ダクト・給排水を活かせるかが分かれ目
事務所・他業種の居抜き 18〜35万円 80〜180万円 排気は実質ゼロからの新設。賃料は安い
スケルトン 28〜50万円 90〜200万円 ルートを自由に設計できる。総額は最大

これにシーシャ機材が乗ります。シーシャ台(パイプ)は1台2〜5万円で、席数ぶん+予備2台が基本。ホース・ボウル・トング・炭用コンロ・フレーバーの初期仕入れまで含めると、10席規模で機材一式50〜80万円が目安です。つまり10坪・飲食居抜きなら総額200〜350万円前後、10坪・スケルトンなら450〜750万円前後がひとつの相場感になります(次章のシミュレーションで自分の条件に合わせて計算できます)。

費用の重心も特徴的です。一般の飲食店で最大費目になる厨房がシーシャバーでは小さく(ドリンク中心ならミニ厨房で足ります)、代わりにソファ・換気・照明の3つにお金が集まります。座り心地は滞在時間=客単価に直結し、換気は次章以降で述べるとおり法律の要件そのもの。「厨房が軽いぶん、空気とソファに投資する」のがこの業態の配分です。業種全体の坪単価感は店舗内装費用の相場ガイドも参考にしてください。

10坪・飲食居抜きのモデルで費目を分解すると、配分の特徴がさらにはっきりします。

費目(10坪・飲食居抜きの例) 目安 メモ
ソファ・造作家具 60〜120万円 既製ソファ+一部造作。座り心地=滞在時間に直結
換気・排気・給気 30〜80万円 既存ダクトの活用度で振れる。本業態の生命線
内装仕上げ(床・壁・天井) 40〜80万円 拭ける素材を選ぶ(s7参照)
照明・電気(調光・コンセント) 30〜60万円 調光器+席ごとの充電コンセント
ミニ厨房・カウンター 30〜60万円 ドリンク中心なら2槽シンク+冷蔵で足りる
炭ステーション・バックヤード 10〜25万円 耐熱・不燃仕上げ+灰処理動線

居抜きで効くのは設備だけではありません。バーやカフェの居抜きが持つ重厚なカウンター・間接照明・トイレの内装は、シーシャバーの世界観とそのまま噛み合う「雰囲気資産」です。壊して作り直す前に、活かす前提で3社に提案させると、同じ予算でも仕上がりの密度が変わります。

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坪数・物件の状態・仕様を選ぶと、本体工事+換気・排気+機材の概算と、1席あたりの投資額が出ます。

広さ

物件の状態

仕様

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※標準的な概算です。ビルの排気ルート・階数・既存設備の状態・デザインの作り込みで変わるため、最終判断は現地調査つきの見積もりで行ってください。

最大の関門──「喫煙目的店」の要件と営業形態の3分岐

2020年の改正健康増進法で、屋内は原則禁煙になりました。シーシャ(水たばこ)も「たばこ」なので、店内で吸ってもらうには法律上の例外に入る必要があります。その例外が喫煙目的施設(喫煙目的店)──「喫煙を主目的とするバー・スナック等」の枠です。要件は4点セットで覚えてください。

  • たばこの対面販売をしている:たばこ小売販売業許可、または出張販売許可(後述)が前提になる
  • 主食を提供しない:米飯類・パン類・麺類など、社会通念上「主食」にあたる食事は出せない。フードはナッツ・スイーツ・軽いおつまみまで
  • 標識を掲示する:「喫煙できる場所である」「20歳未満は立入禁止」を入口に明示
  • 20歳未満を立ち入らせない:客だけでなく従業員も。採用計画に直結する

ここで設計の前提を分ける重要な分岐があります。シーシャ店の営業形態は、実は3パターンあるのです。

営業形態 たばこ規制 主食提供 20歳未満 向くケース
① 喫煙目的店(標準形) 全面適用。店全体を喫煙目的室にできる 不可 立入不可 ニコチン入りを揃える本格シーシャバー
② ノンニコチン専門 「たばこ」に当たらず規制対象外 入店可 カフェ営業・ランチ併用・若年層獲得
③ 喫煙室分離型 店内に喫煙目的室を区画して設置 禁煙席側で可 禁煙席のみ可 カフェ主体+一部シーシャ席

②のノンニコチン専門は見落とされがちな選択肢です。ニコチンを含まないフレーバーだけを扱うなら法律上の「たばこ」に該当せず、喫煙目的店の要件も、たばこ販売の許可も、20歳未満の立入制限もかかりません(自治体の条例は念のため確認を)。フード提供の自由度が欲しい・昼営業をしたい場合の有力な型です。ただし、ニコチン入りを1種類でも置いた瞬間に全面適用に戻ります。どの形態でいくかを、内装の設計前に決める──これがシーシャ開業の最初の意思決定です。

もうひとつ、開業前に解いておくべき誤解があります。「100㎡以下の小さな店なら喫煙可能でしょ?」という話──あれは既存特定飲食提供施設(喫煙可能室)の経過措置で、2020年4月1日時点で営業していた既存店だけに認められた仕組みです。これから新規開業する店は使えません。新規のシーシャ店が店内で吸ってもらう道は、本章の3分岐(喫煙目的店/ノンニコチン専門/喫煙室分離型)のいずれかだけ。ここを取り違えた事業計画は、図面の前提から崩れます。標識は厚生労働省や自治体サイトの様式が使え、たばこの販売記録(仕入れ・売上の帳簿)を整えておくと、保健所等の確認にもスムーズに応じられます。

4要件の入口になる「たばこの対面販売」は、実務ではほとんどの店が出張販売許可で満たします。流れは、①既にたばこ小売販売業の許可を持つ事業者(街のたばこ店など)を探して提携し、②その小売業者を通じてJT経由で財務局に出張販売の申請を出す、③許可後はその提携先から仕入れて自店で販売する──という3段構え。自力で小売販売業許可を取る道もありますが、近隣販売店との距離基準で都心部は通りにくく、期間も読みにくい。シーシャ専門の卸やフレーバー商社が提携先探しまで面倒を見てくれることも多いので、仕入れ先の選定と同時に相談するのが近道です。なお東京都をはじめ、喫煙目的室の設置に自治体への届出を上乗せしている地域があります。出店地の保健所・受動喫煙対策窓口で「喫煙目的店の届出が要るか」を一度確認しておくと確実です。

技術的基準が図面を決める──0.2m/s・区画・屋外排気

喫煙目的店として営業する場合(店全体を喫煙目的室とする場合も含む)、喫煙する室には技術的基準への適合が求められます。基準は3つです。

  1. 出入口で、室外から室内へ流入する気流が0.2m/s以上あること
  2. 壁・天井等で区画されていること(床から天井までの完全区画。扉は必須ではないが、欄間や開口が残っていると不適合)
  3. たばこの煙が屋外に排気されていること(室内循環の空気清浄機だけでは満たせない)

この3つは抽象論ではなく、図面と工事費を直接決めます。たとえば1番。入口で0.2m/sの気流を作るのに必要な排気量は、開口の面積×0.2m/s×3,600秒で計算できます。幅0.8m×高さ2.0mの標準ドアなら 1.6㎡×0.2×3,600=毎時1,152㎥。開口が大きいほど必要排気量=ファンの能力・ダクト径・電気代が膨らむ、という単純な比例関係です。逆に言えば、入口を絞る設計(ドア幅を抑える・風除室を挟む)こそが、換気コストを下げる最初の打ち手になります。開放的な大開口のファサードは、シーシャバーでは法的にも経済的にも不利──この一点だけでも、一般のカフェ・バーと設計思想が違うことが分かります。

2番の区画は、居抜き物件の落とし穴です。前テナントの間仕切りが天井までではなく欄間が開いている、天井裏が隣区画とつながっている──見た目は壁でも基準上は「区画されていない」と判定されます。3番の屋外排気は、空中階ほどルートの確保が課題になります(物件選びの章で詳述)。なお、2020年4月1日時点で既に存在した建物には、基準を満たす工事が困難な場合に脱煙機能つきブースで代替する経過措置がありますが、新規出店の設計でこれを当てにするのは現実的ではありません。原則どおり「絞った入口×完全区画×屋外排気」で図面を引くのが王道です。

区画の「落とし穴」は欄間だけではありません。天井の点検口が隣区画と通じている、エアコンのドレンや配管の貫通部に隙間がある、既存の換気扇が停止時に外気を逆流させる──いずれも煙の漏出経路として指摘され得ます。居抜きの内見では天井裏をのぞき、見積もりには「貫通部の処理・欄間ふさぎ」を明記してもらってください。なお気流の0.2m/sは風速計で実測できる数値で、保健所等の立入時に測られることもあります。引き渡し時に内装会社と一緒にドア開放状態で実測し、数値を記録しておくと、後日の説明が一瞬で終わります。

ちなみに、この基準を満たす排気がどれほどの規模かを体感しておきましょう。先ほどの毎時1,152㎥を10坪・天井高2.5mの店(容積約83㎥)に当てると、店内の空気が1時間に約14回、まるごと入れ替わる計算になります。一般のオフィスの数倍の換気回数で、法基準を満たした店は結果として「煙いシーシャ屋」にならない──集客上の快適性と法令適合が、同じ1本のダクトで同時に手に入る構造です。だからこそ、ここをケチる理由がありません。

換気とCO対策──煙のためではなく、命のための設計

シーシャの換気には、法律より重い理由がもうひとつあります。炭です。シーシャは炭でフレーバーを熱する構造上、店内で常に炭が燃えており、換気が不足すると一酸化炭素(CO)が溜まります。COは無色無臭で、頭痛・めまいの段階を超えると命に関わる。シーシャバーの換気は「煙たくないため」ではなく「酸素と引き換えに営業している」という認識で設計してください。

✅ 換気・CO設計のチェックリスト

  • 排気量は技術的基準(入口0.2m/s)から逆算し、席数満席時の発煙量にも余裕を持たせる
  • 排気だけ強化せず、給気口をセットで設計する(給気不足は負圧→ドアが重い・気流が乱れる・隙間風の騒音)
  • CO警報器を客席エリアに設置する(数千円の機器が事故を防ぐ最後の砦)
  • 炭の着火・交換スペースは耐熱・不燃仕上げで独立させ、灰の処理動線まで決める
  • 排気の出口位置は隣接テナント・上階の窓から離す(におい苦情の予防)

もうひとつ、運用に効く設計が炭動線です。シーシャバーのスタッフは、炭の着火場と客席を一晩中往復します(炭交換はおおむね20〜30分に1回×席数分)。着火場を店の最奥に置くと、この往復が営業中ずっと積み重なる。カウンター近くに耐熱の炭ステーションを組み込み、客席までの動線を最短化する──オペレーションコストを内装段階で削る、シーシャ特有の設計ポイントです。

見落とされがちなのが、換気と空調の連動です。シーシャバーは一般店の数倍の空気を捨て続ける業態──ということは、捨てた空気と同じ量の外気が入り、夏は熱気・冬は冷気をそのまま連れてきます。換気量に対して空調が貧弱だと「換気を強めると暑い/寒い、弱めると煙い」という二択地獄に陥る。対策は2つで、①エアコン容量を同坪数の物販・カフェの1.3〜1.5倍で見積もる、②給気口の位置を客席の頭上直撃を避けて空調の吸い込み側に寄せる。見積もり比較では、空調のkW数(馬力)と換気量がセットで根拠提示されているかを見てください。換気だけ立派で空調が普通の見積もりは、夏に破綻します。

レイアウトと席数公式──ソファ係数1.5〜2.5㎡

シーシャバーの席数は、一般の飲食店の感覚で計算すると過大になります。ゆったりしたソファ+シーシャ台の置き場+ホースが届く余白+通路で、1席あたり1.5〜2.5㎡を占有するからです。居酒屋の1人あたり約1〜1.3㎡に対して1.5〜2倍。10坪(約33㎡)ならバックヤードを引いて8〜12席が現実的な上限です。

この席数公式が経営計画に直結します。シーシャは滞在2〜3時間の「回転しない」業態。売上の上限は ほぼ 席数×客単価×1日の回転1.5〜2 で決まるため、坪数を決めた瞬間に売上の天井も決まります。「あと2席増やすために坪数を上げるか、客単価を上げる内装(個室感・チャージ設計)にするか」──この判断を物件契約の前にやるのが、シーシャ開業の資金計画です。

レイアウトで気をつけたいのが、深夜営業の要件との衝突です。0時以降に酒類を出すなら深夜酒類提供飲食店営業届(警察署)が必要で、その要件に「照度20ルクス超」「客室の見通しを妨げる設備(おおむね高さ1m超の仕切り等)を置かない」があります。ハイバックソファでぐるりと囲った個室風レイアウトは、雰囲気は出ますが届出ではねられる典型例。仕切りの高さを抑えて段差や照明でゾーニングする、個室感は1m以下のローパーテーション+植栽で作る──「囲わずに区切る」が解法です。あわせて、入口付近にカウンターまたはレジを置いて年齢確認(20歳未満立入禁止)の動線を作っておくと、運用が締まります。

席の構成にもこの業態の型があります。2〜4人のソファ席を主力に、1人客とピーク調整用のカウンター数席、可能なら「映え」を兼ねた小上がりや半個室風(仕切り1m以下)を一角に。シーシャ台はテーブル置きか床置きかで卓の高さが変わり、ホースの届く範囲(約1.5〜2m)が席間隔の下限を決めます。そして滞在2〜3時間の業態に必須のインフラが席ごとの電源です。スマホ充電のコンセント(またはUSBポート)を全席に──後付けの延長コードは見栄えも安全性も損なうため、電気図面の段階で席割りと一緒に決めるのが正解です。Wi-Fiと音響(席で会話できる音量設計・ゾーン分け)も同じタイミングで仕込みます。

救いもあります。シーシャバーはバックヤードが最小で済む業態です。本格厨房が不要なので、炭ステーション+ミニ厨房+ストック棚で2〜3坪に収まり、客席化できる面積の比率が飲食店の中でも高い。同じ10坪でも、重飲食より売場が広く取れるわけです。あわせて、回転しない業態の定番運用が「2時間制+延長」の時間設計。席数公式と時間制をセットで決めると、ピーク帯の売上が読めるようになり、融資面談の説得力も上がります。

内装デザイン──雰囲気とヤニ・照度の実務を両立する

デザインの方向はオリエンタル(中東ラウンジ)、ネオン×ストリート、ミニマルな和モダンなど自由ですが、どの路線でも共通する実務が3つあります。

① 素材はヤニと香りに勝てるものを。フレーバーの煙は糖分を含み、紙クロスや布に染みて黄ばみとにおいになります。壁は拭ける素材(塗装・不燃化粧板・タイル)、ソファは合成皮革が基本。ファブリックソファは雰囲気が出ますが香りを溜め込み、数年で交換コストになります。これは退去時にも効く話で、染みた内装は原状回復の費用を押し上げます。最初から「拭ける店」を作るのが長期の最安です。

② 照明は調光で2つの顔を持たせる。シーシャの煙は光の演出と相性がよく、間接照明やスポットで煙筋が映える店はSNSでの拡散力が違います。一方で前述の深夜届は20ルクス超を求める。調光器で「届出を満たす明るさ」と「ムードの暗さ」を切り替えられる設計にしておけば、検査と営業の両方に応えられます。

③ 映えの一点投資。若年層が主客のこの業態は、写真が広告です。ネオンサイン・ロゴウォール・象徴的な一席(小上がり・アーチ)など、撮りたくなる一点に予算を寄せ、他はシンプルに──全面装飾よりも費用対効果が高い配分です。

最後に空間の縦方向。煙は上に溜まるため、天井が高い物件ほど体感の煙さが減り、排気にも余裕が生まれます。天井高2.5m以上が快適ラインの目安で、逆に2.2m前後の低天井では同じ排気量でも煙が客の顔の高さに滞留しがち。スケルトンで天井を抜けるなら、躯体現し(あらわし)で高さを稼ぐ選択はシーシャと好相性です──配管がむき出しになる無骨さも、この業態では演出になります。

物件選び──空中階戦略と内見の3確認

シーシャバーは検索とSNSで指名来店する「目的来店型」。路面の視認性に家賃を払う必然性が薄く、2階以上の空中階・半地下で賃料を圧縮するのが定石です。浮いた家賃は固定費として毎月効き続けます。ただし空中階には固有の関門があるので、内見では次の3点を必ず確かめてください。

  • 排気ルート:外壁にダクトを出せるか(ビルオーナーの承諾・共用部の扱い)。出せない場合、既存の排気シャフトの容量と区分を確認。ダクト工事がビル指定業者のB工事に区分されると、金額が大きく動く
  • 炭=裸火の可否:ビルの管理規約で裸火使用が禁止されていることがある。「シーシャの炭を使う」と明示して書面で確認しておく(契約後に発覚すると業態ごと成立しない)
  • たばこ販売の立地条件:たばこ小売販売業許可には近隣のたばこ販売店との距離基準がある。出張販売許可で開く場合も、提携先探しを含めて立地確定前に動き始める

居抜きを狙う場合の物件序列は、雰囲気ではなく物理条件で決まります。最上位は排気ダクトが太い重飲食(焼肉・中華など)の居抜き──シーシャに必要な排気能力を最初から備えていることが多く、換気工事が「新設」から「調整」に変わります。次点がバー・カフェの居抜き(カウンター・照明・トイレなどの雰囲気資産)、その次が事務所仕様(給排気ゼロからだが賃料が安い)。スケルトンとの判断軸は居抜きvsスケルトンガイドに整理しています。

最後に、物件契約そのものの交渉について。シーシャは「たばこ・炭・深夜・若年客」という字面だけでオーナーに敬遠されることがある業態です。突破口は情報の先出し──業態説明書(営業形態・換気計画・CO対策・防火体制・想定客層)を1枚にまとめて内見時に渡すと、「ちゃんとした事業者」への印象転換が起き、賃料や保証金の交渉余地まで生まれます。用途欄には「飲食店」と濁さず「シーシャラウンジ(喫煙目的店)」と明記して合意しておくこと。後から「聞いていない」と言われない、それ自体が営業継続のリスク管理です。

「この物件でシーシャバーは成立するか」──排気ルート・裸火・区画は、図面と現地を見られるプロの目で精度が変わります。シーシャ・バー業態の施工実績がある会社のご紹介を無料マッチングで承ります(ご紹介・ご相談は無料・しつこい営業なし)。
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必要な許可・届出の一覧

シーシャバー(喫煙目的店+酒類・軽食提供+深夜営業の標準形)で必要になる許可・届出を一覧にします。

許可・届出 窓口 目安期間・タイミング 備考
たばこ小売販売業許可 財務局(JT経由で申請) 審査約2ヶ月 近隣販売店との距離基準あり。登録免許税1.5万円
たばこ出張販売許可 小売販売業者と提携して申請 2〜6ヶ月 多くのシーシャ店はこちら。提携先探しが先決
飲食店営業許可 保健所 着工前に図面相談→完成検査 ドリンク・フード提供に必要。食品衛生責任者を置く
深夜酒類提供飲食店営業届 警察署 営業開始10日前まで 0時以降の酒類提供。照度・見通し要件(s6参照)
防火管理者選任・消防届出 消防署 使用開始7日前まで 収容30人以上で防火管理者。図面一式を添付
喫煙目的室の標識掲示 —(施設側の義務) 営業開始時から 「喫煙可」「20歳未満立入禁止」を入口に明示

注意したいのは、保健所と消防は内装の図面が審査対象だという点です。厨房のシンク数・手洗い・区画、消防設備の配置は、完成後に直すと二度手事になります。着工前に図面を持って事前相談に行く──この一手間が、検査落ちによるオープン延期を防ぎます。

逆に「やらなくていい許可」も押さえておきましょう。よく聞かれる風営法の許可は、通常のシーシャバーには不要です。深夜0時以降の酒類提供は前述の深夜酒類届で足ります。ただし境界が2つ。①スタッフが客の隣に座って談笑・お酌をするなど「接待」をすると風俗営業1号(社交飲食店)の許可が必要になり、深夜営業の制限や内装の構造要件まで別世界になる、②ダーツ・大型ゲーム機などで「遊興」をさせながら深夜に酒を出すと特定遊興飲食店営業の領域に入る。スナック型・ガールズバー型のシーシャを構想しているなら、内装設計の前に行政書士へ──店の作り(カウンター越しか、隣に座るか)で適用法令が変わります。

開業費用の全体像と資金調達

内装・機材の外側も含めた、開業資金の全体像です。10坪・家賃20万円のモデルで見ると:物件取得費(保証金6ヶ月+礼金・仲介・保証会社で家賃の約10ヶ月=約200万円)、内装+換気排気+機材(飲食居抜きで約200〜350万円、スケルトンで約450〜750万円)、運転資金(家賃・仕入れ・人件費の3〜6ヶ月分=150〜300万円)。合計すると居抜きで550〜850万円、スケルトンで800〜1,250万円あたりが標準的な資金計画になります。

自己資金で足りない分は、日本政策金融公庫の創業融資が第一候補です。シーシャバーは新しい業態のため、面談では「許可の取得計画(特にたばこ出張販売)」「席数×客単価×回転の売上根拠」「換気・CO対策」を聞かれる前提で、本ページの席数公式と許可一覧をそのまま事業計画書の根拠に使ってください。3社の相見積もりを添えると、内装費の妥当性の説明が一気に通りやすくなります(取り方は相見積もり完全ガイドへ)。

資金計画の妥当性は、売上モデルとセットで初めて判断できます。10坪・10席・客単価2,500〜3,500円(シーシャ+ドリンク)・1日1.5回転・月25営業日なら、月商はおよそ94〜131万円。家賃20万円なら家賃比率15〜21%で、飲食店の健全圏(10%前後)よりやや重い代わりに原価率が低い(フレーバー・炭の原価は2割前後)のがこの業態の収支構造です。逆算すると、内装に1,000万円かけて回収に何年かかるかが見える──シミュレーションの「1席あたり投資額」は、この回収計算のための数字です。

開業までのスケジュール──律速は、たばこの許可

シーシャ開業の工程で最も時間がかかるのは、内装工事ではなくたばこ出張販売許可(2〜6ヶ月)です。物件が決まってから動くと、内装が完成したのに「たばこを売れない=喫煙目的店として開けない」空白期間が生まれます。許可は物件探しと並行で最初に着手してください。

16ヶ月前事業計画・営業形態の決定/出張販売の提携先探し・許可申請
24〜5ヶ月前物件契約(3確認済み)/内装会社の相見積もり
33ヶ月前設計確定/保健所・消防に図面の事前相談/融資面談
41〜2ヶ月前着工〜完成(10坪で3〜6週間)/機材・フレーバー仕入れ
52週間前〜検査・各届出/スタッフ研修/プレオープン

開業準備全体の段取り(資金調達・採用・販促を含む時系列)は店舗開業の流れガイドで整理しています。

費用を抑える5つの方法

  1. 排気の太い居抜きを選ぶ:重飲食居抜きなら換気工事が「新設」から「調整」になり、数十〜百万円単位で変わる。物件選びが最大の節約
  2. ノンニコチン専門を検討する:喫煙目的店の区画・標識義務の外で営業でき、主食提供・昼営業で売上の幅も広がる(快適性のための換気は引き続き必要)
  3. 入口を絞って換気を軽くする:0.2m/sの式のとおり、開口を小さくするほど必要排気量=設備費・電気代が下がる
  4. 投資のメリハリ:ソファと映えの一点に寄せ、壁・床はシンプルに。仕上げの一部(塗装など)はDIYも可。ただし電気・ダクト・給排水は資格と検査が絡むためプロに
  5. 3社の相見積もり:同条件で比較すれば2〜3割の差が見える。安すぎる1社は換気の容量不足を疑う──シーシャでは「安い見積もり」が営業停止リスクに直結する

節約は開業後も続きます。シーシャバー特有のランニングが換気まわりのメンテナンスで、給気フィルターの清掃・交換(月次)、レンジフードやファンの清掃、ダクト内部の清掃(年1回・数万円〜)を怠ると、排気能力が落ちて「だんだん煙い店」になっていきます。ソファの合皮も拭き上げを習慣化すれば寿命が数年延びる。内装は作って終わりではなく、空気の性能を維持する設備──この前提で、清掃しやすいフィルター位置・点検口を設計段階で仕込んでおくと、維持費そのものが下がります。

よくある失敗パターン3つ

PATTERN 1:完成後に「喫煙目的店の要件」を満たしていないと判明。主食メニューを載せてしまった、標識がない、欄間が開いていて区画不備──営業形態の根本に関わるため、手直しでは済まないことがあります。回避策は、設計前に営業形態(s3の3分岐)を確定し、図面段階で要件を織り込むこと。

PATTERN 2:排気が弱い・においで近隣トラブル。満席時に煙が滞留して客が定着しない、排気口の位置が悪く上階・隣接から苦情──換気は後から増強すると天井をやり直す高額工事になります。回避策は、必要排気量の計算根拠を見積もり段階で業者に求めること。計算を出せない会社には任せない。

PATTERN 3:雰囲気優先のレイアウトで深夜届が通らない。高い仕切りの個室風ソファ席が「見通し」要件に抵触し、オープン直前に作り直し。回避策は、深夜営業をするなら仕切り1m以下・調光20ルクスの2点を設計与件として最初に内装会社へ伝えること。

内装業者の選び方

シーシャバーの内装は、デザイン力だけでは足りません。選定の物差しは3つ──①必要排気量の計算ができる(聞けば数字で答えるか)②喫煙目的店の技術的基準を知っている(0.2m/s・区画・屋外排気の話が通じるか)③バー・ラウンジ系の施工実績(ソファ造作・照明計画・深夜届の経験)。この3つを初回の打ち合わせで確かめるだけで、候補は自然に絞れます。あとは3社の相見積もりで価格と提案を比べれば、選定の精度はほぼ担保されます。

シーシャバーの内装、実績のある会社と進めませんか

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関連ガイド

よくある質問

シーシャバーは何坪から開業できますか?

8坪前後が現実的な下限です。ソファ席は1席あたり1.5〜2.5㎡を占有するため、8坪で6〜9席。これより小さいと席数×客単価の売上上限が固定費を超えにくくなります。

ノンニコチンのフレーバーだけなら、たばこの許可は不要ですか?

ニコチンを含まないフレーバーは法律上の「たばこ」に当たらないため、たばこ販売の許可や喫煙目的店の要件・20歳未満の立入制限は対象外です。ただし飲食を提供するなら飲食店営業許可は必要で、煙は出るので換気設計は同様に重要です。自治体独自の条例は事前に確認してください。

マンションやアパートの一室で開業できますか?

現実的にはほぼ不可能です。用途(住居)の制約、管理規約の営業・裸火禁止、屋外排気ルートの確保、近隣のにおい問題と、関門が多重に重なります。店舗・事務所用途の物件から探してください。

たばこ出張販売許可はどれくらいかかりますか?

提携先探しから許可が下りるまで2〜6ヶ月を見込みます。開業工程全体の律速になるため、物件探しと並行で最初に着手するのが定石です。

シーシャ店の居抜きなら、そのまま営業できますか?

機材や内装は活かせますが、許可は引き継げません(たばこ・飲食店営業とも自分名義で取り直し)。また区画・標識・入口気流の3点は前店の状態を鵜呑みにせず確認を。前店が基準を満たしていなかった例もあり得ます。

空気清浄機を置けば換気の基準を満たせますか?

満たせません。技術的基準は「屋外への排気」を求めており、室内循環型の空気清浄機は代替になりません。既存建物向けの脱煙ブースの経過措置はありますが、新規出店の設計で頼るものではなく、ダクトによる屋外排気で計画してください。

20歳未満のスタッフは雇えますか?

喫煙目的店(喫煙エリア)には、従業員であっても20歳未満は立ち入れません。ホールを任せるなら20歳以上で採用計画を組んでください。ノンニコチン専門店であれば制限はありません。

フードはどこまで出せますか?

喫煙目的店では米飯類・パン類・麺類などの「主食」を提供できません。ナッツ・ドライフルーツ・スイーツ・軽いおつまみが基本線です。パスタやサンドイッチを出したいなら、ノンニコチン専門か喫煙室分離型の営業形態を検討してください。判断に迷うメニューは保健所・自治体の受動喫煙対策窓口に事前確認を。

テラスや屋外席なら自由に吸ってもらえますか?

健康増進法の屋内規制の対象外ですが、無制限ではありません。受動喫煙への配慮義務はかかり、自治体の路上喫煙・ポイ捨て条例の区域指定や、ビル・商業施設の敷地ルールが優先されます。煙とにおいは隣接店舗とのトラブルになりやすいため、屋外席を計画するなら位置と風向きまで設計対象に含めてください。

風営法の許可は必要ですか?

通常のシーシャバー(カウンター・テーブル越しの接客)には不要で、深夜0時以降の酒類提供は深夜酒類提供飲食店営業届で足ります。ただしスタッフが客の隣に座って接待する形態は風俗営業1号許可の対象になり、内装の構造要件も変わります。その業態を考えているなら設計前に行政書士へ相談してください。

シーシャ店の居抜きで、機材ごと譲り受けるときの注意点は?

造作譲渡の契約書で、シーシャ台・ソファ・換気設備の所有権とリース残債の有無を確認してください。リース品が混ざっていると、譲渡後に支払い請求が来ることがあります。また換気設備は経年で能力が落ちるため、風量の実測値か整備記録を求め、見積もりの前提に織り込むのが安全です。

内装の見積もりは何社に頼むべきですか?

3社が基準です。シーシャでは特に、換気・排気の計算根拠を3社に出させて比べると、能力不足の安い見積もりを見抜けます。進め方は相見積もり完全ガイドにテンプレートつきでまとめています。

本ページは一般的な実務情報の整理です。健康増進法・たばこ事業法・消防/警察への届出の個別判断は、所管窓口および行政書士等の専門家にご確認ください。

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