クロス(壁紙)張りの手間賃・㎡単価はいくらが妥当か|国交省の標準歩掛×都道府県別労務単価で計算(ビニル・織物紙・天井・素地ごしらえ)

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クロス(壁紙)張りの手間賃は「標準歩掛×労務単価」で公的な目安が計算できます。国土交通省の公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)では、壁紙張りの内装工の歩掛は壁・プラスチック程度(ビニルクロス)0.025人/㎡、壁・織物/紙程度0.05人/㎡、天井0.028/0.055人/㎡、素地ごしらえはボード面0.004人/㎡・モルタル面0.012人/㎡。令和8年3月適用の労務単価(内装工・東京都34,400円)を掛けると、ビニルクロスの壁860円/㎡、織物・紙1,720円/㎡、天井ビニル963円/㎡、ボード面の素地ごしらえ138円/㎡が労務費の目安です(材料・諸経費別)。歩掛の裏返しは「1人日の施工量」で、ビニルクロスの壁なら40㎡/日が公共積算の想定です。

本記事は国土交通省の公表資料を一次出典として整理した一般的な目安で、民間工事の単価を拘束するものではありません。実際の手間請単価は元請けとの契約・下地条件・施工速度で変わります。

自分の県・面積・下地で試算するにはクロス張り労務費の計算ツール、日当そのものの相場は内装工の日当相場ガイドを参照してください。

1. 手間賃の「公的な物差し」は2つ——標準歩掛と労務単価

クロス職人の手間賃(㎡単価)は現場ごとに口伝で決まりがちですが、公共建築工事には①1㎡当たりに必要な人工を定めた「標準歩掛」と、②1人日当たりの賃金を定めた「公共工事設計労務単価」があり、掛け合わせれば㎡当たりの労務費が出ます。標準歩掛は国土交通省官庁営繕部の「公共建築工事標準単価積算基準」(令和8年改定・令和8年3月適用)、労務単価は国土交通省・農林水産省が毎年2月に公表する都道府県別の値です。

① 標準歩掛(人/㎡)

  • 出典公共建築工事標準単価積算基準 表A1-18-4〜7
  • 壁紙張り壁ビニル0.025/織物紙0.05/天井0.028・0.055
  • 素地ごしらえボード0.004/モルタル0.012/コンクリート0.003+左官0.015

② 労務単価(円/人日)

  • 出典令和8年3月適用 公共工事設計労務単価
  • 内装工47都道府県 単純平均32,000円/東京34,400円
  • 性格所定内8時間の賃金+法定福利費相当(事業主負担分は含まず)

③ 公共積算で別計上のもの

  • 諸経費専門工事業者の諸経費率を「労」区分に乗じる
  • 共通仮設・現場管理費法定福利費の事業主負担分もここ
  • 市場単価の工種軽天・ボード・床シート・タイルカーペットは歩掛非公開

注意点は、軽量鉄骨下地・せっこうボード張り・ビニル床シート・タイルカーペットが公共積算では「市場単価」(実勢価格の調査値)扱いで、標準歩掛が公表されていないことです。歩掛×労務単価で㎡当たり労務費を公的に組み立てられるのは、内装の仕上げでは壁紙張りと素地ごしらえが中心になります。

出典:公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)国土交通省官庁営繕部)/令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表/諸経費の扱いは公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)

2. 壁紙張りの標準歩掛(表A1-18-4)と素地ごしらえ(表A1-18-5〜7)

国土交通省の基準に載っている壁紙張りの歩掛は次のとおりです。1㎡当たりの壁紙は1.05㎡(ロス5%)、接着剤0.18kg、内装工は材質と部位で4区分。最下行は歩掛の逆数で、公共積算が想定する1人日の施工量です。

表A1-18-4 壁紙張り(1㎡当たり)
壁・織物/紙
壁・プラスチック
天井・織物/紙
天井・プラスチック
壁紙(㎡)
1.05
1.05
1.05
1.05
接着剤 壁紙用(kg)
0.18
0.18
0.18
0.18
内装工(人)
0.05
0.025
0.055
0.028
1人日の施工量の目安(㎡)=1÷歩掛
20
40
18.2
35.7

素地ごしらえは壁紙張りに「別途加算」されます。新規のせっこうボード面は目地処理と研磨だけなので0.004人/㎡と軽く、モルタル面はシーラー・パテが必要で0.012人/㎡、コンクリート面は左官の下地調整塗材が入るため左官0.015人+内装工0.003人/㎡です。

表A1-18-6 せっこうボード面・けい酸カルシウム板面(B種)

  • ジョイントコンパウンド0.02kg
  • 研磨紙 P60〜1200.03枚
  • 内装工0.004人

表A1-18-5 モルタル面(B種)

  • エマルションシーラー0.1kg
  • エマルションパテ0.04kg
  • 研磨紙/内装工0.03枚/0.012人

表A1-18-7 コンクリート面(B種)

  • 建築用下地調整塗材1.1kg
  • 研磨紙0.03枚
  • 左官/内装工0.015人/0.003人

出典:公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定) 第18節 内外装 表A1-18-4〜7(B種)。素地ごしらえの種別は公共建築工事標準仕様書による。

3. 都道府県別のクロス張り労務費(㎡当たり・令和8年3月労務単価)

歩掛に47都道府県の内装工の労務単価を掛けた「公共積算ベースの労務費」です。壁ビニル(0.025人)・壁織物/紙(0.05人)・天井ビニル(0.028人)・ボード面の素地ごしらえ(0.004人)を並べました。労務単価の上位は静岡県40,400円・三重県36,700円・愛知県36,300円、下位は沖縄県26,300円・島根県27,700円・広島県27,700円で、ビニルクロスの壁なら1㎡当たり658〜1,010円の幅になります。

47都道府県の一覧を開く(円/㎡・労務費のみ)
都道府県
内装工 労務単価
壁ビニル
壁織物/紙
天井ビニル
素地(ボード)
北海道
28,600
715
1,430
801
114
青森県
28,100
702
1,405
787
112
岩手県
28,200
705
1,410
790
113
宮城県
30,800
770
1,540
862
123
秋田県
28,400
710
1,420
795
114
山形県
29,900
748
1,495
837
120
福島県
31,000
775
1,550
868
124
茨城県
34,400
860
1,720
963
138
栃木県
35,700
892
1,785
1,000
143
群馬県
34,200
855
1,710
958
137
埼玉県
34,800
870
1,740
974
139
千葉県
34,100
852
1,705
955
136
東京都
34,400
860
1,720
963
138
神奈川県
34,800
870
1,740
974
139
山梨県
35,300
882
1,765
988
141
長野県
33,600
840
1,680
941
134
新潟県
31,100
778
1,555
871
124
富山県
31,300
782
1,565
876
125
石川県
30,500
762
1,525
854
122
岐阜県
32,400
810
1,620
907
130
静岡県
40,400
1,010
2,020
1,131
162
愛知県
36,300
908
1,815
1,016
145
三重県
36,700
918
1,835
1,028
147
福井県
31,900
798
1,595
893
128
滋賀県
32,500
812
1,625
910
130
京都府
32,600
815
1,630
913
130
大阪府
32,600
815
1,630
913
130
兵庫県
32,600
815
1,630
913
130
奈良県
32,800
820
1,640
918
131
和歌山県
32,600
815
1,630
913
130
鳥取県
28,300
708
1,415
792
113
島根県
27,700
692
1,385
776
111
岡山県
29,300
732
1,465
820
117
広島県
27,700
692
1,385
776
111
山口県
28,100
702
1,405
787
112
徳島県
33,900
848
1,695
949
136
香川県
34,500
862
1,725
966
138
愛媛県
34,000
850
1,700
952
136
高知県
33,700
842
1,685
944
135
福岡県
30,900
772
1,545
865
124
佐賀県
31,000
775
1,550
868
124
長崎県
32,500
812
1,625
910
130
熊本県
30,800
770
1,540
862
123
大分県
31,200
780
1,560
874
125
宮崎県
30,900
772
1,545
865
124
鹿児島県
30,600
765
1,530
857
122
沖縄県
26,300
658
1,315
736
105

労務単価×歩掛の計算値(四捨五入)。材料費・諸経費・共通仮設は含みません。労務単価は令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表の「内装工」列。

4. クロス張り労務費の計算ツール——県・面積・材質・下地で試算

都道府県、壁紙の種類(ビニル/織物・紙)、下地(ボード/モルタル/コンクリート)、壁と天井の面積を入れると、公共積算ベースの労務費・材料費・所要人工と、手間請で受けた場合の1人日当たりの換算額を出します。材料単価と諸経費率は任意入力です。

円/㎡

円/kg

%

5. 民間の手間請単価と公共積算の差はどこから来るか

クロス職人が実際に受け取る手間請の㎡単価と、上の公共積算ベースの労務費が一致しないのは普通です。差の正体は主に3つあります。

1施工スピードの差歩掛0.025人=1人日40㎡は公共建築の標準仕様が前提。量産クロスの新築で1日60〜80㎡張れる職人は、㎡単価が低くても日当換算では公共基準を上回ることがある。逆に張替え・小部屋・柄合わせは40㎡に届かない
2法定福利費・諸経費の抜け労務単価は法定福利費相当(本人負担分)を含む賃金の概念で、事業主負担分・諸経費は別枠。㎡単価にこれらが乗っていなければ、同じ数字でも手残りは公共基準より低い
3下請け階層と下地条件元請け→一次→二次と階層が深いほど職人に届く額は減る。素地ごしらえ(モルタル面0.012人など)が単価に含まれているかで実質単価が変わる

したがって単価交渉では、「歩掛×自分の県の労務単価」を㎡当たりの労務費の根拠として示し、素地ごしらえ・法定福利費・諸経費を別項目で明示するのが公共積算の考え方に沿った出し方です。国土交通省も、事業主が下請代金に必要経費分を計上しない、または下請代金から必要経費を値引くことは不当行為だとしています。見積書の組み立ては内装工事の見積もり実務ガイド、粗利の確保は内装工事の利益率ガイドを参照してください。

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6. 自社歩掛を作る——ボード・軽天・床の手間賃も同じ考え方で

公共積算で市場単価扱いの工種(軽天・ボード・床シート・タイルカーペット)は公式の歩掛がありませんが、考え方は同じです。現場ごとに「面積÷延べ人工」を記録して自社歩掛(人/㎡)を作り、労務単価を掛けると、自分の会社の㎡当たり労務費と、手間請で受けたときの日当換算が出ます。3か月分の現場で工種別に平均を取れば、見積もりの精度と単価交渉の説得力が上がります。

自社歩掛の作り方(3ステップ)

①現場ごとに工種・面積・下地条件・延べ人工(人日)を記録する(案件別原価の予実管理と同じ表でよい)。②工種別に「延べ人工÷面積」で人/㎡を出し、下地条件(新規・張替え・柄合わせ)で分ける。③自分の県の労務単価を掛けて㎡当たり労務費を出し、実勢の㎡単価と比べる。差が大きい工種から単価交渉か施工手順の見直しに入る。予実管理の実務は内装業の原価管理ガイドで解説しています。

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7. よくある質問(FAQ)

Q1. クロス(壁紙)張りの手間賃の相場は1㎡いくらですか?

公的な基準では、国土交通省「公共建築工事標準単価積算基準」の標準歩掛(壁・プラスチック程度=内装工0.025人/㎡、織物・紙程度=0.05人/㎡、天井はそれぞれ0.028/0.055人/㎡)に、令和8年3月適用の公共工事設計労務単価(内装工)を掛けた額が労務費の目安です。東京都(34,400円)ならビニルクロスの壁で860円/㎡、織物・紙で1,720円/㎡、天井ビニルで963円/㎡、これに素地ごしらえ(ボード面138円/㎡)と材料費・諸経費が加わります。民間の手間請単価は元請けとの契約・下地条件・施工速度で変わるため、この公的基準を上限側の根拠として交渉に使うのが実務的です。

Q2. 歩掛「0.025人」とはどういう意味ですか?

1㎡の壁にビニルクロスを張るのに内装工が0.025人日(1日8時間の40分の1)かかるという意味で、裏返すと1人日で40㎡張れる想定です。織物・紙のクロスは0.05人(1人日20㎡)、天井は壁より手間がかかるためビニル0.028人(約36㎡)、織物・紙0.055人(約18㎡)です。労務単価を掛ければ㎡当たりの労務費、面積を掛ければ所要人工が出ます。

Q3. ビニルクロスと織物・紙クロスで単価が2倍違うのはなぜですか?

公共建築工事の標準歩掛では、織物・紙程度の壁紙は下地の影響を受けやすく継ぎ目や糊の扱いに手間がかかるため、プラスチック程度(ビニル)の2倍の人工(壁0.05人対0.025人)が設定されています。同じ労務単価でも労務費が2倍になるため、高級クロスの見積もりでは材料費だけでなく手間の歩掛も分けて計上するのが基本です。

Q4. 軽天・ボード・床シートの手間賃も同じ方法で計算できますか?

公共建築工事の積算では、軽量鉄骨下地・せっこうボード張り・ビニル床シート・タイルカーペットなどは「市場単価」(実勢価格の調査値)で計上され、標準歩掛は公表されていません。自社で計算する場合は、実際の施工記録から「1人日で何㎡できたか」を記録して自社歩掛を作り、労務単価を掛ける方法が同じ考え方になります。日当そのものの相場は本サイトの内装工の日当相場ガイドで扱っています。

作成・検証の方法:本記事の歩掛は国土交通省「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」表A1-18-4〜7、労務単価は「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表」の内装工・左官の都道府県別値を一次出典とし、掛け算の結果を当編集部が算出しました。公共建築工事の標準仕様を前提とした積算用の値で、民間工事の単価を拘束するものではありません。基準・単価は改定されるため、公表後に本欄を更新します。

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