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「店が古くなってきた」「卓を増やして席を増やしたい」「高級志向の焼肉店に変えたい」——営業中の焼肉店を改装するとき、多くのオーナーがまず費用を調べます。ですが、すでに営業している焼肉店の改装は、ゼロから作る開業とは別物です。そして焼肉は、全テーブルに火気(ロースター)と個別排気ダクトがぶら下がるため、改装で営業を続けるのが全業種で最も難しい業態です。本記事は、既存の排気・ロースターを流用するか/やり直すかという視点から、費用相場・営業しながらの可否・卓数や席種の設計・発注自由度・消防までをまとめた発注者向けガイドです。ロースター方式やダクト種類(上引き/下引き)・排煙・採算の詳細は焼肉店の内装ガイド、工事区分はA/B/C工事区分ガイドもあわせてご覧ください。
この記事の要点
- 焼肉改装は「内装の見た目」より先に、営業を止めるか/止めないかの設計から考える
- 全卓に火気と個別排気ダクトがあるため、営業しながら改装が全業種で最も難しい
- 意匠(壁・床・照明・席)なら営業しながら可。排気・ダクトに触れると休業か区画分割が要る
- 既存のロースター・排気を「流用するか/やり直すか」で改装費の桁が変わる(焼肉最大の費用ドライバー)
- ロースター・ダクトを増やす改装は、消防検査・火気使用室の内装制限が再びかかることがある
目次
焼肉改装は「営業を止める/止めない」の設計が最初の分岐
営業中の焼肉店を改装するとき、最初に置くべき判断軸は「どんな内装にするか」ではありません。「営業を止めずに済む範囲の改装か、それとも店を止めて一気にやる工事か」という段取りの設計です。なぜなら焼肉は、カフェや美容室・歯科と違って、全テーブルに火気(ロースター)と個別排気ダクトがぶら下がっているからです。
カフェは客席を1区画ずつ、美容室はセット面を1台ずつ、歯科はユニットを1台ずつ——いずれも残りの席で営業しながら改装を進められます。ところが焼肉の排気は、テーブルごとのダクトが天井(上引き)や床下(下引き)を通り、屋上排気までつながっているため、排気に手を入れる改装は店全体を止めざるを得ません。つまり焼肉改装は、内装の見た目を決める前に「排気・ダクトに触れるか触れないか」を最初に切り分けるのが正解です。壁・床・照明・席といった意匠だけなら定休日や営業時間外で進められますが、排気・ダクトに触れた瞬間に休業前提になります。これは、客席が核心のカフェや厨房が核心の居酒屋ともまた違う、焼肉ならではの分岐です。
焼肉店改装の費用相場・坪単価【物件・目的別】
公開されている各社の情報を整理すると、焼肉店改装の工事費はおおむね次のレンジが目安として共通して示されています。改装で坪あたり30〜50万円が一つの目安で、30坪で内装にこだわると約1,500万円という例も示されます。物件別では居抜きで坪40〜60万円、スケルトンで坪60〜80万円という構成も見られます。さらに設備として、1卓あたりの個別排気ダクトが10〜30万円、屋上排気のやり直しが100〜300万円、店全体の排煙設備が200万円超になることもある、という金額が複数の公開情報で共通して示されています。
ここで開業との決定的な違いを押さえておきましょう。焼肉の改装費は「内装」と「設備(ロースター・排気)」の二本立てで、坪単価だけでは割り切れません。内装は壁・床・天井や席の造作ですが、これとは別に、テーブルごとのロースター・個別排気ダクト・屋上排気といった設備費が乗ります。さらに改装では既存の解体・撤去・原状回復が加わり、現況によって大きく振れます。
内訳を読むときのコツは、項目を「①解体・原状回復」「②内装・造作」「③排気・ダクト(個別排気・屋上排気)」「④ロースターなどの設備」「⑤諸経費」に分けて見ることです。開業の見積もりと違い、改装では①が必ず乗り、③の排気が卓数や方式で大きく動きます。見積書を受け取ったら、まず③と④がどこまで含まれているかを確認すると、各社の金額差の理由が見えてきます。
なお、部分改装で内装材だけを張り替える場合の単価の目安(公開情報)は、壁紙(クロス)が1,000〜2,000円/㎡、床のクッションフロアが2,000〜5,000円/㎡、床タイルが3,000〜8,000円/㎡、天井クロスが1,500〜3,000円/㎡、壁の塗装が1,000〜3,000円/㎡ほどです。「壁だけ」「床だけ」といった部分的な改装では、この㎡単価から概算できます。
部分改装(意匠中心)
全面・排気やり直し
費用の全体像は店舗内装の費用ガイド、ロースター方式や坪単価の詳しい目安は焼肉店の内装ガイドでも扱っています。
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業態・広さ・立地・改装レベルに加えて、改装する部位や手を入れる設備(ロースター・個別排気ダクト・屋上排気など)を選ぶと、あなたの状況に合わせて工事費の概算・内訳・想定休業・注意点までその場で変わります。焼肉の改装は排気・ダクトの現況で大きく振れるため、予算の当たりをつけるための目安としてお使いください。
営業しながら改装できる?意匠はOK・排気とダクトは休業
焼肉店でも、営業しながら改装できる範囲があります。壁・床・照明・席といった意匠であれば、区画を分けて・営業時間外に進めることで、営業を止めずに改装できることが多いです。古くなった内装の色やデザインを変えるだけなら、店を閉めずに少しずつ進められます。
一方で、すべての改装が営業しながらできるわけではありません。前述のとおり、全卓の個別排気ダクト、屋上排気、厨房の火力に手を入れる改装は、休業か、区画を分けた分割施工が必要になります。排気は店全体に及び、火気を扱う以上は工事中の安全確保も欠かせないためです。継続できる工事と、休業(または区画分割)が要る工事の線引きを押さえておきましょう。
- 【営業しながら可】壁・床・天井・照明の意匠、席の張り替え、サイン
- 【営業しながら可】区画を分けて・営業時間外に進める範囲の造作
- 【休業or区画分割】全卓の個別排気ダクトの引き直し・増設
- 【休業or区画分割】屋上排気の新設・変更、排煙設備の更新
- 【休業or区画分割】厨房の火力増強・ガス管の引き直し、全面解体
そして見落とされがちなのが常連客への告知設計です。工事期間中の営業体制や、影響、再開日を事前に告知し、SNS・店頭・Googleビジネスプロフィールを更新します。「リニューアル予告」としてポジティブに発信すれば、工事期間の不便を期待感に変えられます。長く通う常連を切らさない段取りが、焼肉改装では何より重要です。
既存ロースター・排気は流用する?やり直す?
改装費を最も大きく左右するのが、焼肉の心臓部——テーブルごとのロースターと個別排気ダクト、屋上排気——を残すか替えるかの判断です。前も焼肉の居抜きで、既存の排気・ロースターが流用できれば、内装の色やレイアウトの変更だけで済み、スケルトンより300万円規模で圧縮できることがあります。逆に、排気をやり直す・卓数を増やす・下引きに替える(床を300mm上げる)となれば、床・天井・屋上排気までまるごと動いて費用の桁が変わります。
焼肉改装で確認すべきポイントを整理します。これは焼肉改装で最大の費用ドライバーです。
- 個別排気ダクト:既存のダクト(上引き/下引き)が新しい卓数・レイアウトに使えるか
- 屋上排気:排気容量・経路が足りるか。やり直すと100〜300万円規模に
- ロースター:既存ロースターの使用年数・保証・メンテナンス状態を確認
- ガス・電気の容量:卓を増やす・火力を上げるなら、ガス管・受電の容量を確認
- 給排気バランス:排気だけでなく給気も。崩れると一酸化炭素中毒のリスク
判断のコツは、「使えるはずだから残す」ではなく、「現況の排気の容量・経路と、ロースターの状態を見て、新しい卓数・方式に足りるか」で決めることです。これは天井裏・床下・屋上を見なければ判断できないため、現地調査の精度がそのまま見積もりの精度になります。ロースター方式やダクト種類(上引き/下引き)の基礎は焼肉店の内装ガイドで詳しく扱っています。
卓数・席種を変える改装(回転が低い焼肉の設計)
焼肉改装で相談が多いのが、卓数や席種の変更です。ここで押さえたいのは、焼肉は他の飲食店より回転が低い(長時間滞在する)という特性です。だから「卓を増やせば売上が増える」とは限りません。卓を1つ増やすことは、その卓の個別排気ダクトと排気容量、厨房能力をまるごと設計し直すことを意味し、費用も大きく動きます。
卓を増やす改装
席種を変える改装
回転が低い焼肉では、卓数を増やすより、個室・ボックス席で客単価を上げる、カウンターで一人焼肉やランチの回転を取るといった席種の設計の方が効くことがあります。個室は記念日・接待・家族連れの需要に、カウンターは一人客やランチに向きます。卓タイプと回転率・採算の詳しい考え方は焼肉店の内装ガイドが参考になります。改装で席種を変えるときも、その席に排気が届くかを必ず確認しましょう。
あなたの焼肉店は業者を選べる?(発注自由度と屋上排気)
意外に知られていませんが、改装で「業者を自由に選べるか」は店舗の立地条件で変わります。路面店や独立した建物は、排気・屋上排気・ガスの幹線まで自由に選べるため、複数社で相見積もりを取って価格と提案を比較できます。とくに焼肉は排気のやり直しの範囲が大きいぶん、相見積もりで各社の金額差が出やすく、比較する価値が大きい業態です。
一方、ビルや空中階のテナントは、意匠造作は自由でも、排煙・電気・ガスの幹線がビル指定(B工事)になりがちで、さらに屋上排気の経路には所有者の承認が要ることが多いです。焼肉は煙の量が多く屋上まで排気を上げる必要があるため、ビルの構造や規約に左右されます。居抜きの焼肉なら、既存の排気・ロースターを流用して圧縮できる余地があります。工事区分A/B/Cの考え方はA/B/C工事区分ガイドで詳しく扱っています。
路面店・独立
ビル・空中階
もう一つ、改装ならではの落とし穴が原状回復義務の境界です。営業中ということは賃貸借契約の途中です。改装でロースターやダクト・造作を足すと、退去時に「もともと借りたときの状態」に戻す義務に加えて、自分が新たに足した排気・ダクト・造作の分まで原状回復を負うことがあります。焼肉は油汚れも蓄積するため、原状回復の範囲が重くなりがちです。改装の契約段階で、どこまでを誰が戻すのかを切り分けておきましょう。原状回復の費用相場や契約の読み方は店舗の原状回復ガイドが参考になります。
改装で押さえる:油汚れに強い内装と給排気
排気やロースターといった「重い」改装だけでなく、焼肉ならではの油汚れ・煙への内装対策と給排気も、改装で必ず押さえたいポイントです。焼肉は油が跳ね、煙が蔓延しやすく、内装が傷みやすい業態。日々の清掃を楽にし、清潔感を保つ素材選びが、改装の満足度を左右します。
- 壁:汚れにくく落としやすいビニール壁紙。客席にも防汚・防水フィルムを貼ると清掃が楽
- 床:タイルやフローリングのような凹凸・繋ぎ目を避け、油やほこりが詰まりにくいものを
- 床の安全:油で滑りやすくなるため、滑りにくい素材を選ぶ
- 給排気:排気だけでなく給気もバランスよく。崩れると一酸化炭素中毒のリスク
- 排気フードの見せ方:黒・グレーで馴染ませる、天井裏に隠すなどで重い印象を回避
これらは「煙くない・においが付かない・清潔」という焼肉店の体験を左右し、衣服へのにおい移りを防いで再来店につながります。素材の選び方や排煙・給排気の詳しい設計は焼肉店の内装ガイドで詳しく扱っていますので、あわせてご覧ください。
焼肉改装の目的別 進め方
改装で失敗する典型は、目的が曖昧なまま「とりあえずきれいにする」ことです。目的を一つに絞ると、予算・範囲・工期・営業継続の可否まで自然に決まります。焼肉改装でよくある目的を比べておきましょう。
① 老朽更新
② 排気・卓数の刷新
③ 高級・個室化
注意したいのは、売上が好調なら、無理に大きく改装しない判断もあるということです。タイミングを誤ると、かえって常連客が離れることもあります。「今の店の何を、なぜ変えるのか」を先に言語化しましょう。改装で起こりがちな後悔とその回避は店舗改装の失敗防止ガイドも参考になります。なお、同じ改装でも業種が違えば核心も変わります。客席が中心のカフェはカフェ改装ガイド、厨房が核心の居酒屋は居酒屋改装ガイド、セット面と給排水の美容室は美容室改装ガイド、ユニット配管の歯科は歯科医院改装ガイドもどうぞ。別の物件へ移る場合は焼肉店の移転ガイドが参考になります。
改装の流れと工期・リニューアル
焼肉改装は、おおむね次の流れで進みます。改装は現況勝負のため、見積もりの前の現地調査(とくに排気・ダクト・屋上排気とガス容量の確認)がとりわけ重要です。
工期の目安は、意匠中心の部分改装で数日〜数週間、排気・ダクトや屋上排気まで及ぶ全面改装で数週間以上を見ておくこともあります。区画ごとに進める場合は全体期間が延びる代わりに営業を続けられます。再開時は、常連への告知やリニューアルの発信をセットで計画すると立ち上がりがスムーズです。改装全体の進め方は店舗改装の流れガイドでも整理しています。
失敗しない業者の選び方(焼肉改装版)
焼肉改装で業者を選ぶときは、開業の内装業者選びとは少し見るべき点が違います。改装は現況に左右され、とくに焼肉は給排気の難度が高いため、次のような観点で確認しましょう。
- 焼肉店の改装実績があるか(新装だけでなく改装の経験)
- 現地調査が丁寧か、とくに排気・ダクト・屋上排気・ガス容量を見てくれるか
- 既存の排気・ロースターの流用可否を提案できるか
- 焼肉の給排気は難度が高い。排煙・防火の経験が豊富か
- 見積もりの内訳が明確か(設備費・排気・原状回復まで含むか)
そして相見積もりは必須です。改装は現況依存で各社の見方が割れやすく、とくに焼肉は排気・屋上排気の判断で金額が大きく動くため、1社だけでは妥当かを判断できません。複数社を比べることで、適正価格と相性の良い会社が見えてきます。見積もりの読み方は店舗の見積もり比較ガイド、業者のタイプ別の選び方は店舗内装会社の選び方を参考にしてください。
改装の法令チェック(消防・火気・防火地域)
改装では、開業時に済ませたはずの法令確認が再び必要になることがあります。火を使う焼肉でとくに見落としやすいのが、消防と防火に関わる手続きです。
いずれも物件や自治体によって判断が分かれます。早い段階で、所管の消防署・特定行政庁や、専門家・施工会社に確認してください。消防・防火・営業許可の基礎は焼肉店の内装ガイドにも解説があります。
よくある質問(FAQ)
まとめ|まずは「排気を流用できるか」と現地調査から
焼肉店改装は、内装の見た目より先に「営業を止めるか/止めないか」、そして「既存の排気・ロースターを流用するか/やり直すか」から考えるのが成功の近道です。焼肉は全卓に火気と個別排気がぶら下がるため、営業しながら改装が全業種で最も難しく、排気に触れる改装は休業か区画分割が要ります。一方、意匠だけなら営業しながら進められ、既存の排気を流用できれば費用は大きく圧縮できます。ロースター・ダクトを増やす改装では消防検査も再びかかります。いずれも現況を見なければ判断できません。まずは「排気に触れるか」を切り分け、天井裏・床下・屋上まで見る現地調査を受け、焼肉経験のある複数社の見積もりを比較することから始めましょう。
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