アパレルショップの内装工事費用相場|居抜き・スケルトン別の坪単価と什器・照明・試着室の総額【シミュレーター付き】

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アパレルショップの内装費用を調べると、「坪20〜60万円」「飲食店より安い」という答えがすぐ見つかります。それ自体は正しいのですが、どの記事も最後に小さくこう書いています——「什器は別途」。アパレルの費用の本体は、実はその「別途」の中にあります。

本ページは、坪単価の即答から始めて、誰も開かない「別途」の中身——什器・照明・試着室の値段表——を開き、工事費+什器+照明の三点合計で予算を組む方法、躯体現しで費用を浮かせる定石、商業施設(SC)テナントと路面店の費用構造の違いまで、アパレル開業の「お金と売場」を1ページに通しました。

30秒でわかる結論

  • 内装工事費の目安:同業居抜き坪15〜25万円・カジュアル/古着(スケルトン)坪25〜45万円・セレクト坪35〜55万円・ラグジュアリー坪50〜100万円超。飲食より安いのは水回り・厨房がないから
  • ただし工事費は全体の一部:什器(80〜200万円級)と照明(40〜90万円級)が別枠で乗る。予算は「工事+什器+照明」の三点合計で組む
  • 試着室は購買を決める装置:造作1室15〜40万円、売場10〜15坪に1室が目安
  • 照明はJISの物差し(店内全般500lx・重要陳列部750lx)を円に翻訳すると坪1.5〜2灯×1灯1.5〜3万円
  • 商業施設(SC)テナントは路面店と別世界:B工事・図面承認・深夜作業割増で1〜2割増を見込む

【早見表】アパレルの内装費用──業態×物件別の坪単価と総額

最初に結論の数字です。以下は内装工事費(床壁天井・区画・電気空調などの工事。什器・照明器具・レジ機器は別枠=s3で詳述)の一般的な目安で、各カードの下段は15坪の場合の工事費目安です。

カジュアル・古着

坪25〜45万
  • 性格躯体現し・DIYが「味」
  • 15坪目安375〜675万円

セレクトショップ

坪35〜55万
  • 性格素材・造作で世界観
  • 15坪目安525〜825万円

量販・SC区画

坪30〜50万
  • 性格館規定・B工事が乗る
  • 15坪目安450〜750万円

ラグジュアリー

坪50〜100万超
  • 性格特注什器・高級素材
  • 15坪目安750〜1,500万円

同業(アパレル)居抜き

坪15〜25万
  • 性格レール・試着室を流用
  • 15坪目安225〜375万円

他業種の居抜き

坪20〜35万
  • 性格解体+転用の目利き勝負
  • 15坪目安300〜525万円

この表の読み方

アパレルの坪単価が飲食より低いのは、給排水・厨房・防水という重い設備工事がないためです。ただしその代わりに什器・照明という「別枠」が総額の2〜3割を占めます。工事費だけで予算を締めると、開業直前に売場が空っぽ——という定番の失敗になります(次章で防ぎます)。金額はいずれも一般的な目安で、物件状態・仕様で変動します。

目安をつかんだら、実際の金額は複数社の見積もりで確かめるのが確実です。

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実績統計との突き合わせ

実績データ公開型の大手デザインポータルが公開する物販・アパレル集計(約310件)では、スケルトンの坪単価は22.5〜70.0万円・中央値46.7万円(設計費込みが一般的・坪数中央値20坪)とされています。本記事のグレード別レンジで読むと、中央値46.7万円は「造作什器をある程度入れた標準〜高級仕様の間」に相当します。公開レンジと実績中央値の両方を持っておくと、見積もりの位置づけが判断しやすくなります(当サイト独自の集計ではありません)。

規模 居抜き(坪20〜30万円) スケルトン標準〜高級(坪30〜65万円)
10坪 200〜300万円 300〜650万円
15坪 300〜450万円 450〜975万円
20坪 400〜600万円 600〜1,300万円
30坪 600〜900万円 900〜1,950万円

坪数×坪単価の単純積算による全国目安です(造作什器・照明は仕様により別途上振れ)。商業施設テナントはB工事・内装監理費が加わるため、路面店より2〜4割高くなる前提で読み替えてください。

30秒・無料:アパレル内装の費用シミュレーター(三点合計対応)

「自分の店ならいくらか」を最初につかみましょう。業態・物件の状態・坪数に加えて、アパレルの費用を実際に動かす2つの変数——什器のグレード(既製中心か造作か)立地(路面かSC区画か)——を選ぶと、内装工事費に什器・照明・試着室まで合算した「三点合計」の概算が出ます。

※金額は一般的な目安レンジに地域係数を掛けた概算です。物件の状態、仕様グレード、館規定などで実際の金額は変動します。レジ機器・在庫・マネキン等の備品は含みません。正確な金額は現地調査後の見積もりでご確認ください。

「什器は別途」の中身を開く──工事+什器+照明の三点合計

相場記事が「什器は別途」と書き捨てる部分を、値段表にして開きます。アパレルの売場は、床壁天井という「箱」ではなく、商品を載せる什器と、商品に当てる光でできています。ここを予算化しないことが、アパレル開業の資金計画で最も多いつまずきです。

「什器は別途」の中身を開く──三点合計で読む① 内装工事床・壁・天井区画・設備② 什器ラック・棚レジ・試着室③ 照明スポット・レール・配線例:15坪セレクトショップ(スケルトン)の一般的な目安工事525〜825万+什器80〜200万+照明40〜90万三点合計 645〜1,115万円「坪35〜55万円」の工事費だけ見て予算を組むと、開業直前に②③のぶんが足りなくなる

什器の値段表(一般的な目安)

既製ハンガーラック

1本1〜5万円
  • 特徴可動・入替が容易

造作壁面什器

幅90cmあたり8〜20万
  • 特徴世界観の主役・固定式

中央什器・テーブル

1台3〜15万円
  • 特徴畳み置き・回遊の島

レジカウンター

15〜60万円
  • 特徴造作の見せ場になりやすい

試着室(造作)

1室15〜40万円
  • 特徴詳細はs5(購買装置)

マネキン・防犯ゲート

2〜15万/30〜80万
  • 特徴中古・リース活用の定番

合計すると、15坪の売場で什器一式80〜200万円が標準帯です。既製品を骨格に、造作は壁面1〜2面とレジまわりに絞る「ミックス構成」が費用と世界観のバランス点で、フル造作にすると同じ坪数でも什器だけで2〜3倍に跳ねます。逆に古着・ストリート系では、既製ラック+中古什器+DIY塗装が「味」として成立する——業態によって什器の正解が正反対になるのがアパレルの面白いところです。

見積書の読み方が変わる

この構造を知ると、工事会社の見積もりに什器・照明が「含まれているのか、別途なのか」を最初に確認すべき理由が分かります。A社「600万円(什器込み)」とB社「480万円(什器別途)」は、そのままでは比較できません。相見積もりは三点合計に直してから並べてください。

什器の会計論──「8年・3年・10年超」で投資の性格が変わる

什器の選び方は見た目と金額の話に見えて、実は減価償却とレイアウト自由度を同時に決める投資判断です。国税庁の耐用年数表で整理すると、同じ「100万円の什器」でも税務上の性格がまったく違います。

什器の作り方で「税務」と「改装自由度」が同時に決まる既製・リース什器器具備品扱い:陳列だな・陳列ケースは耐用年数8年移設・レイアウト変更が自由退去時に持ち出せる資産壁面飾り棚・備付カウンター等の簡易造作「店用簡易設備」に該当すれば耐用年数3年(要件判定は税理士に確認)短サイクル改装と相性◎本格的な内部造作(作り付け一体)賃借建物の内部造作:合理的見積耐用年数(実務目安10〜15年)意匠の自由度は最大改装・退去時は解体費もアパレルの改装周期は3〜5年が通例──「10年償却の造作」と「3年で変えたい売場」のズレが投資判断の核心
既製=8年・簡易造作=3年ルート・本格造作=10〜15年。改装周期3〜5年のアパレルはこのズレが核心

既製・リースの陳列だな・陳列ケースは器具備品として耐用年数8年。移設もレイアウト変更も自由で、退去時に持ち出せる資産です。一方、壁に作り付ける本格造作は賃借建物の内部造作として実務目安10〜15年の長期償却になり、意匠の自由度と引き換えに「動かせない・改装時に解体費がかかる・償却が改装周期より長い」という三重の固定化を抱えます。

見落とされがちなのが中間ルートです。小売店の壁面飾り棚や備え付けカウンターなど簡易な造作は、耐用年数表の建物附属設備「店用簡易設備」に該当すれば3年で償却できる可能性があります。アパレルの改装周期は3〜5年が通例なので、「3年で経費化が終わる簡易造作+持ち出せる既製什器」の組み合わせは、シーズンごとに売場を作り替えたい業態と税務上も噛み合います。該当するかどうかの要件判定は個別性が強いため、着工前に見積書の内訳を持って税理士に確認してください。

下のシミュレーターの「什器のグレード」を切り替えると、この償却目安も連動して表示されます。金額だけでなく「何年で経費になり、何年で作り替えたいか」を並べて見るのが、アパレルの什器投資の正しい比べ方です。

照明を円に翻訳する──JISの物差しと実務の慣行

アパレルで照明は「雰囲気づくり」ではなく、商品の色を正しく見せて購買を決めさせる販売装置です。設計の物差しと費用を接続します。

照明計画を「円」に翻訳するJISの物差し(JIS Z 9110・物販店)店内全般 500lx/重要陳列部 750lx/最重要部 2,000lx局部照明は全般の3倍以上が望ましい=「明暗の設計」が前提実務の物差し(アパレルの慣行)スポット 坪1.5〜2灯×器具・取付 1灯1.5〜3万円演色性Ra90以上・色温度3,000〜4,000Kの指定が一般的15坪 ≒ スポット25〜30灯 = 照明費40〜90万円配線・レール・調光を含む一般的な目安。器具グレードで上下服の色がきれいに見えない店では、値札の前に照明を疑う

造作譲渡料の相場・値引き交渉・リース品の罠・原状回復義務の帰属は居抜き改装ガイド「造作譲渡の章」にまとめています。

JISの物差し:明暗を「設計する」ことが前提

JISの照明基準(JIS Z 9110)では、物販店の維持照度として店内全般500lx・重要陳列部750lx・陳列の最重要部2,000lxが示され、重要陳列部への局部照明は全般照明の3倍以上が望ましいとされています。つまり売場を一様に明るくするのではなく、「見せたい場所を数倍明るく」する明暗設計が規格レベルで前提になっている——スポットライト中心のアパレル照明は、この思想の実装です。

実務の慣行:Ra90以上・3,000〜4,000K

JISの表上の演色性はRa80ですが、服の色再現がクレームと返品に直結するアパレルの実務では、Ra90以上のLEDを指定するのが一般的な慣行です。色温度は3,000〜4,000K(温白色〜白色)の帯が主流で、ナチュラル系ブランドは低め、モード系は高めに振る、といった調整をします。試着室の照明だけは「顔色が良く見える」ことが優先で、売場と色味を揃えつつ顔に影を作らない前方からの光が定石です。

費用への翻訳:坪1.5〜2灯 × 1灯1.5〜3万円

スポットライトは配線ダクト(レール)方式で坪あたり1.5〜2灯が実務の目安、器具・取付・配線込みで1灯1.5〜3万円程度です。15坪なら25〜30灯で照明費40〜90万円——これが「別途」の第二の中身です。照明はデザイン・省エネ・売上の三方向に効く投資なので、削るなら器具のグレードではなく灯数の設計最適化で。考え方の詳細は店舗照明の設計ガイドにまとめています。

試着室=購買を決める装置──設計と費用

アパレルの内装で、売上への影響が最も直接的なのが試着室です。客が「買う」と決める最後の場所であり、ここの体験が悪い店は、どれだけ売場が美しくても取りこぼします。

費用と数の目安

造作の試着室は1室15〜40万円(間仕切り・扉・鏡・照明・フック・カーテン込みの一般的な目安)、簡易なカーテン仕切りなら5〜10万円です。必要数は売場10〜15坪に1室が出発点で、週末に試着待ちの列ができる業態(レディースカジュアル・古着)は2室目を先に造っておくほうが、後からの増設より安く済みます。

設計の3点セット:広さ・鏡・光

広さ——コートを脱ぎ着して肘が壁に当たらない内寸(目安90×90cm以上、荷物置き・ベビーカー対応ならさらに)②——全身が一歩下がらずに映る高さと、可能なら三面の検討 ③——顔に影を落とさない前方からの照明で、売場と色味(色温度)を揃えること。売場ではRa90の光で選んだ服が、試着室の安い蛍光灯で色が変わって見える——これは設計ミスであって、客の気のせいではありません。

費用対効果の考え方

試着室1室の増設・改善は数十万円の投資ですが、売場全体の仕上げ材を1グレード上げる費用(数百万円級)より、購買行動への効き方は直接的です。予算が厳しいときに削る順番は「売場の仕上げ材→什器のグレード」であって、試着室は最後まで守る——がアパレル内装の定石です。

試着室=購買を決める1㎡。設計の勘所防炎カーテン(防炎ラベル必須)全身ミラー H1800級顔映え照明3000-3500K内寸900×900最低1200角で快適チェックリスト□ フック2点以上+小物棚□ 床は土足切替か一段上げ□ 鏡は正対+斜め確認の余白□ 照明は顔に影を作らない位置□ カーテンは防炎ラベル付き目安32万円/室(造作壁・カーテン・鏡・照明・フック込み)──売場で最もROIが高い1㎡
内寸・鏡・照明・防炎カーテン——32万円/室の中身

躯体現しの経済学──「作らない」デザインが成立する理由

アパレルの内装写真でおなじみの、コンクリート天井にダクトと照明レールが走るあのスタイル。あれは単なる流行ではなく、費用構造に根拠のある「作らないデザイン」です。

「天井を張らない」がアパレルで成立する理由躯体スラブ+配管・ダクト露出+塗装+照明レール・天井仕上げの省略:坪1〜3万円の減額+天井高UP・代わりに塗装(白/黒):坪0.5〜1万円で「意匠」に変換・服は光を吸う商品=ラフな天井でも売場の格は照明が作る注意:ダクト意匠の整理・音の響き・埃対策は設計で織り込む。SC区画は館規定で不可の場合あり(内装監理室に確認)

天井を張らず躯体スラブを現しにすると、天井仕上げの坪1〜3万円が浮き、天井高が上がって売場が広く見えます。代わりに配管・ダクトごと白か黒で塗装(坪0.5〜1万円)すれば、「未完成」が「意匠」に変わる。服という商品は光を吸ってやわらかく見えるため、天井のラフさが商品の格を下げにくく、売場の格は照明が作る——この組み合わせが、アパレルでだけ躯体現しが定番化した理由です。

ただし無条件ではありません。露出したダクト・配線の「整理」には手間がかかる(雑然と見えたら逆効果)、音が響きやすい、埃が積もる棚上部の清掃計画が要る、そしてSC区画では館の内装規定で天井仕上げが義務の場合がある——採用前にこの4点を設計者と潰してください。

商業施設出店の費用構造——工事区分の全体像と「館に払う費用」の合計の読み方——をさらに深掘りしたガイドは商業施設テナントの内装費用相場(A/B/C工事区分の読み方)を参照してください。

居抜きvsスケルトン──アパレルは「何を引き継げるか」

飲食の居抜きが厨房・水回りを引き継ぐのに対し、アパレルの居抜きで価値があるのは照明レール・空調・試着室の躯体・床です。同業(アパレル)居抜きならこれらが揃い、坪15〜25万円——表層更新と什器入替で世界観を丸ごと着せ替えられます。

他業種の居抜き(元カフェ・雑貨店など)は坪20〜35万円が目安。解体費が乗る一方、元の造作を「味」として転用できれば掘り出し物になります。古着店が元スナックのミラーやカウンターを活かす、といった転用は投資額以上の個性になる好例です。判断の一般論は居抜きとスケルトンの比較ガイド、契約時の注意(原状回復範囲・造作譲渡)は店舗物件の賃貸契約ガイドを参照してください。

スケルトンは自由度最大で、業態カードの通り坪25〜55万円(ラグジュアリーはそれ以上)。アパレルはスケルトンでも設備工事が軽いため、飲食ほど居抜きとの差額が開かない——だから「良い立地のスケルトン」を選べる余地が、飲食より大きい業態です。

商業施設(SC)テナントvs路面店──費用構造が違う

アパレルは出店先の半分が商業施設という業態なのに、SC区画の費用構造を正面から説明した情報はほとんどありません。ここで開きます。

商業施設(SC)テナントは路面店と別世界路面店・工事の自由度が高い・自社選定の会社で全工事可・工事時間の制約が緩い・ファサード=外装費が発生 (看板・ショーウィンドウ  20〜80万円級)費用は「素の見積もり」SC区画・B工事=館指定業者で割高・内装監理室の図面承認 (2〜4週間の審査期間)・深夜搬入/深夜工事の割増・不燃内装・防火区画の指定・スプリンクラー移設費総額1〜2割増を見込むSC出店は集客力と引き換えに「館のルール」を買う。契約前に工事区分表の確認を

SC区画で費用が変わる5つの理由

工事区分(A・B・C工事)——防災・スプリンクラー・区画壁などは館指定業者による「B工事」となり、競争原理が働かず割高になりがちです。契約前に工事区分表で「どこまでが自社手配(C工事)か」を確認してください。②内装監理室の図面承認——館のデザイン・防災基準に沿った図面審査に2〜4週間かかり、手戻りがあれば設計費と工期が伸びます。③深夜搬入・深夜工事の割増——営業中の館では資材搬入も騒音工事も閉館後に限られ、人件費が1〜2割乗ります。④不燃内装・防火区画の指定——仕上げ材の選択肢が縛られ、躯体現しが不可の館もあります。⑤スプリンクラー・感知器の移設——レイアウト変更で1箇所あたり数万〜十数万円。天井を触る計画なら必ず見積もりに入れます。

合計すると、同じ内容の工事でもSC区画は路面店より1〜2割増が実務感覚です。一方で路面店には看板・ショーウィンドウというファサード費(20〜80万円級)が発生し、集客は自力——どちらが得かは費用でなく事業計画の問題ですが、見積もりの前提としてどちらの世界かを工事会社に最初に伝えることが、精度の高い金額への近道です。

工事区分の3分類──「誰が業者を選び、誰が払うか」A工事B工事(要注意)C工事躯体・共用部業者選定: オーナー費用: オーナー専有部×建物影響空調接続・スプリンクラー感知器移設・防災・分電盤業者選定: オーナー指定費用: テナント負担相見積・価格交渉が構造的に不可内装仕上げ・什器業者選定: テナント費用: テナント相見積で競争させられる領域レイアウト変更で天井を触る=感知器・スプリンクラー移設=B工事が動く対策: ①契約前に工事区分表を確認 ②A工事化を交渉 ③C業者見積を比較材料に
B工事だけ「オーナーが業者を選び、テナントが払う」——相見積が効かない構造

B工事が高くつくのは業者の腕の問題ではなく、相見積・価格交渉が構造的に効かない発注形態だからです。アパレルで特に効くのは天井まわり——売場レイアウトを変えるために天井を触ると、感知器・スプリンクラーの移設が発生し、それは典型的なB工事として館指定業者の見積になります。対策は3つ: ①契約前に工事区分表(貸方基準書)を確認し、どこからB工事かを固定する ②境界が曖昧な項目はA工事化を交渉する ③B工事見積が出たらC工事業者にも同内容の参考見積を出させ、交渉の物差しにする。区分は法律ではなく館ごとのルールなので、契約前が唯一の交渉タイミングです。

坪数と総額──10坪・15坪・20坪・30坪モデル

スケルトンからの標準的な工事費(什器・照明別)を坪数別に整理します。実データの世界では物販・アパレルの坪数中央値は20坪前後とされ、路面の個人店は10〜15坪が主戦場です。

10坪(路面小型)

250〜450万
  • 三点合計350〜650万円

15坪(標準)

375〜700万
  • 三点合計500〜1,000万円

20坪

500〜900万
  • 三点合計650〜1,250万円

30坪(量販型)

750〜1,200万
  • 三点合計950〜1,650万円

小さい店ほど坪単価は高く出ます。試着室・レジ・バックヤードという固定要素が少ない坪数に割り掛かるためで、「狭いから安い」は総額の話、「狭いのに坪単価が高い」は構造の話——両方正しいと知っていれば、小型物件の見積もりに驚かずに済みます。坪単価という指標の扱いは内装工事の坪単価ガイドで詳述しています。

見積内訳の10カテゴリとチェックリスト

相見積もりは、各社バラバラの項目を次の10カテゴリへ仕分けし直すと横並びになります:仮設・養生/解体/軽鉄・ボード(間仕切り・試着室躯体)/造作(什器・レジ・見せ場)/内装仕上(床壁天井)/電気・照明配線/空調・換気/消防・防災/サイン・ファサード/什器・備品(別枠明記)。アパレルで特徴的なのは、造作+照明配線の比重が大きく、給排水がほぼゼロという構成です。

アパレルの見積書チェックリスト

  • 什器・照明器具が「含み」か「別途」か、最初のページで確認したか
  • 照明が灯数×単価で書かれているか(「照明工事一式」は比較不能)
  • 試着室の仕様(内寸・鏡・照明)が図面と一致しているか
  • SC区画の場合、B工事分が見積もりの外にないか(工事区分表と突合)
  • スプリンクラー・感知器の移設が必要なレイアウトか確認したか
  • ファサード・看板(路面店)の費用がどちらの見積もりに入っているか
  • 解体後の追加費用の扱い(単価表・報告ルール)が書かれているか

見積もりの取り方・比べ方の全体像は見積もり比較の完全ガイドを参照してください。

許認可・法規──アパレルは軽い。ただし2つだけ

飲食と違い、新品アパレルの販売に営業許可は不要です。開業手続きが軽いのはこの業態の利点ですが、内装・開業に関わる例外が2つあります。

①古着を扱うなら「古物商許可」

中古衣料(古着・ヴィンテージ)を仕入れて売るには、所轄警察署経由で公安委員会の古物商許可が必要です(申請手数料19,000円、審査はおおむね40日程度)。内装との関わりでは、営業所に管理者を置き、標識(プレート)を掲示する運用があります。買取も行う店は、開業日から逆算して最初に申請しておく手続きです。

②消防・内装制限──物販も対象

火を使わなくても、物販店舗は消防法・建築基準法の対象です。規模・建物条件によって消火器・自動火災報知・誘導灯が求められ、カーテンやカーペット類は防炎物品の指定が一般的、壁天井の仕上げ材には内装制限が関わる場合があります。特に雑居ビルの上階・地下、そしてSC区画(館の防災基準が上乗せ)では要求が上がるため、所轄消防署への事前相談と「物販・SCの検査経験がある工事会社か」の確認を(出典:消防法・建築基準法。運用は自治体・所轄で異なります)。

物販店舗=防炎防火対象物。売場の布と板はここを見る防炎物品が義務(防炎ラベル必須)対象外(通常品でOK)・試着室のカーテン(目隠布)※明文列挙・窓のカーテン・布製ブラインド・天井から吊るす装飾合板・パネル・壁に沿って下げる布の装飾・下げ丈1m以上ののれん・装飾幕・2㎡超のじゅうたん・ラグ・2㎡以下のラグ・マット・床に接着して床と一体になる 塩ビシート・Pタイル・木製・プラ製ブラインド・商品として陳列する衣料品根拠: 消防法8条の3・令別表第一(4)項+東京消防庁予防事務審査基準(最終判断は所轄消防署へ)
試着室カーテンは審査基準に明文列挙。売場の「布と板」はこの地図で判定

物販店舗は消防法施行令別表第一(4)項の防炎防火対象物で、使うカーテン類には防炎物品(防炎ラベル付き)の義務がかかります。東京消防庁の予防事務審査基準は防炎対象物品として「試着室に使用される目隠布」を明文で列挙——試着室カーテンは選択の余地なく防炎品です。加えてアパレルの売場で引っかかりやすいのは、天井から吊るす装飾用の合板パネル、壁沿いに垂らす布の装飾、下げ丈1m以上ののれん・装飾幕。逆に2㎡以下のラグと、床に接着して床一体になる塩ビシート・Pタイルは対象外なので、ラグ演出は2㎡以下で刻む・床は貼り込みにする、が実務の逃がし方です。防炎ラベルの無い「防炎風」商品は法令上の防炎物品ではないため、購入時はラベルの有無で確認を。最終判断は所轄消防署へ。

売上から逆算する内装予算

「いくらかかるか」を積み上げたら、「いくらまでかけてよいか」で締めます。アパレルの月商は坪数×坪効率(月商÷坪)で概算する業界慣行があり、立地と業態で坪効率の仮説を置くと、月商→初期投資の上限が逆算できます。

逆算の枠組み(例)

15坪・坪効率10万円の仮説なら月商150万円。初期投資(三点合計+物件取得費)を月商の6〜10ヶ月分以内に収める経験則に当てると、上限は900万〜1,500万円。s9の15坪三点合計(500〜1,000万円)はこの枠に収まりますが、フル造作+ラグジュアリー仕様に振ると簡単に突き抜けます。数字はすべて自店の仮説で差し替えてください——枠組みだけが再利用可能な部分です。

公的データも小さく始める合理性を裏付けます。日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」(直近調査)では、開業費用の中央値は500万円台500万円未満での開業が全体の4割を超えています(出典:日本公庫総研「新規開業実態調査」)。同業居抜き+既製什器+中古マネキンという組み合わせなら、アパレルはこのゾーンで十分に戦える業態です。開業資金全体の組み立てはアパレルショップの開業ガイドで扱っています。

コストダウンの正攻法と、DIYの線引き

正攻法:削る順番を間違えない

削ってよい順は、①売場の仕上げ材(躯体現し・塗装化・既存床の活用)→②什器の既製化(造作は壁面1面とレジに集中)→③マネキン・備品の中古化。最後まで守るのは試着室と照明——購買に直接効く装置だからです(s4・s5)。什器の中古市場は厚く、閉店店舗からの什器買取品が既製新品の3〜6割で流通しています。

DIYの線引き

アパレルはDIYと最も相性の良い業態のひとつです。やってよい:壁・什器の塗装、棚板の取付、古材加工、ディスプレイ造作。実際、塗装DIYは費用を下げながら「手の跡」がブランドの味になる、数少ない一石二鳥です。プロに任せる:電気・照明配線(資格必須)、間仕切り・試着室の下地(防火・強度)、空調、そしてSC区画の工事全般(館が施工者を管理するため、DIYの余地はほぼありません)。「塗装は自分でやる」前提の分離見積もりには、多くの会社が応じてくれます。

工期とスケジュール

アパレル開業の流れと工期の目安① 物件探し(路面かSCか=費用構造の分岐)〜2ヶ月② 会社選び・現地調査・相見積もり(2〜3社)1〜1.5ヶ月③ 設計・(SCは内装監理室の承認2〜4週)0.5〜1.5ヶ月④ 施工:居抜き2〜4週間/スケルトン1〜2ヶ月⑤ 什器搬入・ディスプレイ(VMD)→ 検査 → 開業古着を扱うなら古物商許可(審査約40日)を工程の最初に。什器の納期(造作1〜2ヶ月)も先行手配

施工は居抜きで2〜4週間、スケルトンで1〜2ヶ月が目安です。アパレル特有のボトルネックは工事の後ろにあります——造作什器の製作納期(1〜2ヶ月)と、商品搬入後のディスプレイ(VMD)期間です。什器は着工と同時に発注し、オープン日から逆算して「工事完了=開業準備の折り返し地点」くらいの工程感覚で組むと、初日に売場が完成します。SC区画は図面承認(2〜4週)と深夜工事の制約で、同じ内容でも路面店より2〜4週間長く見てください。

内装業者の選び方と施工事例の見方

アパレルの内装は「什器造作」「照明計画」「(SCなら)館対応の経験」という3つの専門性で会社の実力差が出ます。

会社選定の確認ポイント

  • 物販・アパレルの施工実績があるか──什器と照明の写真で確認(飲食専門の会社とは設計の勘所が違う)
  • 照明計画を灯数・配光で語れるか──「レールを何本、どこに通すか」に具体で答えられる会社は強い
  • 造作什器を自社または固定の家具工房で作れるか
  • SC出店なら、その館(または同系の館)の内装監理室とやり取りした経験があるか
  • 解体後の追加費用の扱い(単価表・報告ルール)を契約前に明文化できるか

実際の空気感は写真が一番速い判断材料です。たとえば東京都のアパレルの内装デザイン事例大阪府のアパレルの内装デザイン事例のように、公開されている施工事例で什器・照明・売場の作り方を見比べてから相談に進むと、要望が具体的に伝わります。移転を伴う出店ならアパレル・物販店の移転ガイド、スーツ・紳士服の業態ならスーツ・紳士服店の内装ガイドも用意しています。

見積もりは同一要件で2〜3社が基本です。要件書には、坪数・物件状態(居抜き/スケルトン)・立地(路面/SC)・什器の方針(既製/造作ミックス/フル造作)・試着室数を明記して前提をそろえてください。前提がそろって初めて、金額差は「会社の実力差」として読めます。

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よくある質問

Q. 試着室のカーテンは普通のカーテンでいい?

A. 不可です。物販店舗は防炎防火対象物で、審査基準は「試着室に使用される目隠布」を防炎対象として明文列挙しています。防炎ラベル付きを選んでください。

Q. 什器は造作と既製品どちらが得?

A. 償却で比べます。既製=器具備品8年、本格造作=10〜15年、簡易造作は「店用簡易設備」なら3年の可能性。改装周期3〜5年との整合が判断軸です(要件は税理士確認)。

Q. B工事って何ですか?

A. 専有部×建物影響の工事を「オーナー指定業者×テナント負担」で行う区分。相見積が効かず割高になりやすいので、契約前の工事区分表確認が防御線です。

アパレルショップの内装費用は坪いくらですか?

内装工事費の一般的な目安は、同業居抜きで坪15〜25万円、カジュアル・古着(スケルトン)で坪25〜45万円、セレクトで坪35〜55万円、ラグジュアリーで坪50〜100万円超です。別枠で什器80〜200万円・照明40〜90万円級が乗るため、予算は三点合計で組んでください。

15坪のアパレルショップの総額はいくらですか?

スケルトンからの標準的な工事費で375〜700万円、什器・照明・試着室まで含めた三点合計で500〜1,000万円前後が一般的な目安です。同業居抜き+既製什器なら300万円台からの計画も現実的です。

什器の費用はどれくらい見ればいいですか?

既製ハンガーラック1本1〜5万円、造作壁面什器は幅90cmあたり8〜20万円、レジカウンター15〜60万円、試着室1室15〜40万円が目安で、15坪の売場一式で80〜200万円が標準帯です。既製と造作のミックス構成が費用と世界観のバランス点です。

照明にはいくらかかりますか?

スポットライトを坪1.5〜2灯、器具・取付込みで1灯1.5〜3万円が実務の目安で、15坪なら40〜90万円程度です。JISの照明基準では物販店の店内全般500lx・重要陳列部750lxが示されており、明暗をつける設計が前提になっています。

試着室は何室必要ですか?

売場10〜15坪に1室が出発点です。週末に試着待ちが発生しやすい業態は、開業時に2室目まで造るほうが後からの増設より安く済みます。造作1室15〜40万円が目安です。

商業施設(SC)への出店は路面店より高くなりますか?

同じ工事内容なら1〜2割増が実務感覚です。館指定業者によるB工事、内装監理室の図面承認、深夜搬入・深夜工事の割増、不燃内装の指定などが上乗せ要因です。契約前に工事区分表を必ず確認してください。

古着屋の開業に許可は必要ですか?

中古衣料を仕入れて販売するには古物商許可(所轄警察署経由・手数料19,000円・審査約40日)が必要です。新品のみの販売なら営業許可は不要です。

アパレルの内装費用を安く抑えるコツは?

削る順番は①仕上げ材(躯体現し・塗装化)②什器の既製化③備品の中古化。試着室と照明は購買に直結するため最後まで守るのが定石です。塗装のDIYは費用減とブランドの味を両立できます。

工期はどれくらいかかりますか?

居抜きで2〜4週間、スケルトンで1〜2ヶ月が目安です。造作什器の製作納期(1〜2ヶ月)が工事と並走するため、什器の発注は着工と同時に。SC区画は図面承認と深夜工事の制約で2〜4週間長く見てください。

見積もりは何社から取るべきですか?

同一要件で2〜3社が目安です。什器・照明が「含み」か「別途」かを最初に確認し、三点合計に直してから比較すると、金額差を会社の実力差として読めます。

まとめ──数字の骨格をつかんだら、相見積もりへ

アパレルの内装費用は、①坪単価は飲食より安いというカラクリ(金は消えず什器・照明・試着室へ移動)を理解し、②工事+什器+照明の三点合計で予算を組み、③照明と試着室という「売る装置」を最後まで守り、④路面かSCかの世界の違いを見積もりの前提に置く——この4段で、もう「什器は別途」に驚かない判断軸が持てます。

最後の精度を出すのは、現地を見た複数社の見積もりだけです。同一要件・2〜3社・10カテゴリ仕分けで比較すれば、金額の妥当性は自分で判定できます。

自分の業種の数字がつかめたら、他業種との比較で相場感を立体化できます。店舗内装費用の相場一覧(60業種の坪単価比較・シミュレーター付き)で横断できます。

要件を入力すると、アパレルの実績がある内装会社の複数見積もりを無料で比較できます。

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この記事について(運営者情報)

本記事は、店舗内装ドットコム(株式会社BPBコンサルティング運営)が、当サイトに公開されている施工事例と、公的資料・規格(JIS Z 9110 照明基準総則、消防法・建築基準法、古物営業法、日本政策金融公庫総合研究所「新規開業実態調査」)を整理して作成・更新しています。記載の金額はいずれも一般的な目安であり、正確な費用は物件の現地調査を経た見積もりでのみ確定します。商業施設の工事区分・館規定は施設ごとに異なるため、契約前の確認をおすすめします。

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