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「店が古くなってきた」「世界観を変えて客層を広げたい」「カウンターを作り直したい」——営業中のバーを改装するとき、多くのオーナーがまず費用を調べます。ですが、すでに営業しているバーの改装は、ゼロから作る開業とは別物です。そしてバーは、ラーメンや中華のような重飲食とは逆で、厨房は核心ではなく、カウンター・バックバー(酒類の見せ方)・照明・音響・世界観が主役。だから改装で休業が要るかどうかは、厨房ではなく「カウンター造作をやり直すか」で決まります。本記事は、カウンターを残すか/やり直すか、そして誰に向けて世界観をどう変えるかという視点から、費用相場・営業しながらの可否・発注自由度・風営法までをまとめた発注者向けガイドです。カウンター・バックバー・照明・音響・風営法の詳細はバーの内装ガイド、工事区分はA/B/C工事区分ガイドもあわせてご覧ください。
この記事の要点
- バー改装は重飲食と逆。厨房が軽いぶん照明・壁・席・棚は営業しながら改装しやすい
- 休業の分かれ目は厨房ではなく「カウンター造作をやり直すか」。カウンターは営業の物理的中心
- 既存のカウンター・バックバーを「残すか/やり直すか」で改装費の桁が変わる
- バーは客単価が高く”内装そのものがもてなし”。投資効果は厨房効率でなく客単価・客層に直結する
- 世界観を一新すると馴染んだ常連の反応が分かれる。”誰に何を変えるか”を先に決める
目次
バー改装は重飲食と逆。止める分かれ目は「カウンター造作」
営業中のバーを改装するとき、最初に置くべき判断軸は「どんな内装にするか」ではありません。「カウンターをやり直す改装か、それとも残す改装か」という段取りの設計です。ラーメンや中華は厨房(スープ釜・中華レンジ・大ダクト)が核心で、厨房に触れると休業でした。バーは逆で、空調・厨房機器は一般店と差がなく、厨房は核心ではありません。だから壁・床・照明・席・バックバーの棚といった内装は、営業時間外に進めれば店を閉めずに改装できることが多いのです。
ところがバーには別の”営業の物理的中心”があります——カウンターです。接客も酒類提供もカウンター越しで、酒類の在庫もバックバー。だからバー改装で休業が要るかどうかは、厨房ではなく「カウンター造作をやり直すか(解体・作り直し)」で決まります。カウンターを解体すれば営業そのものが止まり、カウンターを残せば多くの工事は営業しながら進められる。この線引きが、バー改装の段取りの起点です。客席が核心のカフェに似ていますが、バーは「カウンター・酒類・夜の世界観・高い客単価」が固有の業態です。
バー改装の費用相場・坪単価【物件・目的別】
公開されている各社の情報を整理すると、バー改装の工事費はおおむね次のレンジが目安として共通して示されています。物件別では居抜きで坪あたり15〜30万円、スケルトンで30〜60万円が一つの目安で、デザインにこだわると坪50万円・総額500〜1,500万円になることもあります。そしてバーで特徴的なのが、カウンターの造作費が大きく振れること。バーカウンターは素材によって15〜80万円、オーダー家具で複雑な形状になると100万円を超えることもあります。
ここで開業との決定的な違いを押さえておきましょう。バーの改装費は「内装」と「見せる部分(カウンター・照明)」の二本立てで、坪単価だけでは割り切れません。カウンターを集成材・メラミン化粧板にするか、無垢の木材・御影石にするかで費用が大きく変わり、照明も電球色のペンダント・スポットで手元と空間を作り分けるほどコストが乗ります。さらに改装では既存の解体・撤去・原状回復が加わり、現況によって振れます。
内訳を読むときのコツは、項目を「①解体・原状回復」「②内装・造作」「③照明・電気(調光・間接)」「④カウンター造作」「⑤諸経費」に分けて見ることです。開業の見積もりと違い、改装では①が必ず乗り、③④がカウンターをやり直すかどうかで大きく動きます。見積書を受け取ったら、まず③と④がどこまで含まれているかを確認すると、各社の金額差の理由が見えてきます。諸経費は内装工事費の10%程度が目安とされます。
なお、部分改装で内装材だけを張り替える場合の単価の目安(公開情報)は、壁紙(クロス)が1,000〜2,000円/㎡、床のクッションフロアが2,000〜5,000円/㎡、床タイルが3,000〜8,000円/㎡、天井クロスが1,500〜3,000円/㎡、壁の塗装が1,000〜3,000円/㎡ほどです。「壁だけ」「床だけ」といった部分的な改装では、この㎡単価から概算できます。
部分改装(カウンター残す)
全面・カウンターやり直し
費用の全体像は店舗内装の費用ガイド、カウンター素材・照明・坪単価の詳しい目安はバーの内装ガイドでも扱っています。
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業態・広さ・立地・改装レベルに加えて、改装する部位ややり直す造作(カウンター造作・防音・照明の電気容量など)を選ぶと、あなたの状況に合わせて工事費の概算・内訳・想定休業・注意点までその場で変わります。バーの改装はカウンターを残すか・やり直すかで大きく振れるため、予算の当たりをつけるための目安としてお使いください。
営業しながら改装できる?照明・壁・席・棚はOK・カウンターやり直しは休業
バーは、重飲食より営業しながら改装できる範囲が広い業態です。厨房が軽いため、照明・壁・床・席・バックバーの棚の入れ替えといった内装は、営業時間外に進めることで、営業を止めずに改装できることが多いです。世界観を変えるだけなら、店を閉めずに少しずつ進められます。
一方で、すべての改装が営業しながらできるわけではありません。前述のとおり、カウンター造作をやり直す(解体・作り直し)改装は、営業の物理的中心を止めるため休業が前提になります。カウンターを解体すれば接客も酒類提供もできず、営業そのものが成り立たないためです。継続できる工事と、休業が要る工事の線引きを押さえておきましょう。
- 【営業しながら可】照明の入れ替え・調光、壁・床・天井の意匠、席・ソファの更新
- 【営業しながら可】バックバーの棚の入れ替え、サインの更新(位置を変えなければ)
- 【営業しながら可】営業時間外に進める範囲の工事
- 【休業が前提】カウンター造作のやり直し(解体・作り直し)
- 【休業が前提】間取りを変える全面改装、スケルトンからの作り直し
そして見落とされがちなのが常連客への告知設計です。バーは常連商売の色が濃いため、休業期間や再開日を事前に告知し、常連に個別に伝えます。SNS・店頭を更新し、「リニューアル予告」としてポジティブに発信すれば、休業の不便を期待感に変えられます。長く通う常連を切らさない段取りが、バー改装では何より重要です。
既存カウンター・バックバーは残す?やり直す?
改装費を大きく左右するのが、バーの顔——カウンター・バックバー——を残すか替えるかの判断です。今のカウンターを活かせるなら、照明・壁・世界観だけを刷新することで、営業しながら大きく印象を変えられます。逆に、カウンターを作り直すとなると、解体・撤去に加えて、素材選びで費用が大きく変わります。集成材・メラミン化粧板なら比較的抑えられますが、高級感を出す無垢の木材・御影石を使えば、カウンターだけで100万円を超えることもあります。
バー改装で確認すべきポイントを整理します。
- カウンター:今の素材・状態・高さ(ハイカウンター1050mm前後)を活かせるか
- バックバー:酒類を魅せる棚・照明・冷蔵の配置を活かせるか
- 照明・配線:調光・間接照明の配線がそのまま使えるか、増設が要るか
- 音響:今のスピーカー・配線で十分か、防音・本格音響を足すか
- 世界観:内装の方向性を変えるか、今の世界観を磨くだけか
判断のコツは、「全部やり直す」ではなく、「見せる部分(カウンター・バックバー・照明)に投資を集中し、見えない部分は今あるものを活かす」ことです。バーは”見せる部分”が客単価・客層に直結するため、限られた予算を効果の出る部分に集中させるのが賢い改装。カウンターの高さ・素材・比率の詳しい考え方はバーの内装ガイドで扱っています。
世界観を変えると常連の反応が分かれる
バー改装で最も注意が要るのが、世界観の一新です。バーは常連商売の色が濃く、馴染んだ世界観(落ち着き・暗さ・音楽・客層)を大きく変えると、それを気に入っていた常連が離れることがあります。ここが、内装をきれいにすれば喜ばれる他業態と違う、バー改装の難しさです。
常連維持+新規
客層を入れ替える
オーセンティックからカジュアル・ダイニングへ、静かな店から音楽の店へ——営業形態を変える改装は、内装だけでなく客層そのものを入れ替える行為です。だから「今の常連を維持しながら新規を増やすのか」「客層ごと入れ替えるのか」を先に決めることが、他業態以上に重要。なお、営業形態を変える場合は、風営法(接待の有無)や深夜酒類提供営業の届出が改装後の営業実態に合っているか、再確認も必要になります(後述)。業態別の違いや世界観の作り方はバーの内装ガイドが参考になります。
あなたの店は業者を選べる?(発注自由度・地下/2階のサイン)
意外に知られていませんが、改装で「業者を自由に選べるか」は店舗の立地条件で変わります。路面店や独立した建物は、内装・サイン・電気まで自由に選べるため、複数社で相見積もりを取って価格と提案を比較できます。とくにバーはカウンター造作のやり直しの範囲で金額差が出やすく、相見積もりで比較する価値が大きい業態です。
一方、ビルや地下・空中階のテナントは、内装造作は自由でも、電気やサイン(看板)の設置がビル指定(B工事)になりがちで、さらにサインの設置位置には所有者の承認が要ることが多いです。バーは地下や2階にあることが多く、通行人の目に留まるサイン(看板)が集客の生命線。サインの位置を変える改装では、ビルの規約や承認が壁になります。間接照明・調光を増やす場合は電気容量の確認も必要です。バーの居抜きなら、既存のカウンター・照明・配線を流用して圧縮できる余地があります。工事区分A/B/Cの考え方はA/B/C工事区分ガイドで詳しく扱っています。
路面店・独立
ビル・地下・空中階
もう一つ、改装ならではの落とし穴が原状回復義務の境界です。営業中ということは賃貸借契約の途中です。改装でカウンターや造作・調光照明・防音を足すと、退去時に「もともと借りたときの状態」に戻す義務に加えて、自分が新たに足した造作の分まで原状回復を負うことがあります。バーは造作カウンターや特殊な照明・防音が多いため、原状回復の範囲が読みにくくなりがち。改装の契約段階で、どこまでを誰が戻すのかを切り分けておきましょう。原状回復の費用相場や契約の読み方は店舗の原状回復ガイドが参考になります。
改装で押さえる:照明・音響と地下/2階のサイン
カウンターのような大きな造作だけでなく、バーならではの照明・音響・サインも、改装で必ず押さえたいポイントです。バーは雰囲気が命の業態。光と音、そして店の存在を伝えるサインが、体験と集客を左右します。
- 照明:温かみのある電球色で落ち着いた空間に。カクテルを美しく見せるならスポットを
- 照明の配置:カウンター上にペンダントを下げると視線が集まり、バーらしさが出る
- 明暗のバランス:客席はやや暗め、手元だけを適度に照らすと居心地がよい
- 音響・防音:音楽を本格的に流すなら、スピーカー配置と階下・隣戸への防音対策を
- サイン:地下・2階のバーは、通行人の視線導線を意識した看板が集客の生命線
これらは「居心地・特別感・店を見つけてもらえること」というバーの体験を左右します。とくに照明は、同じ空間でも印象を大きく変える費用対効果の高い投資。素材や照明計画、世界観の作り方はバーの内装ガイドで詳しく扱っていますので、あわせてご覧ください。
バー改装の目的別 進め方
改装で失敗する典型は、目的が曖昧なまま「とりあえずきれいにする」ことです。目的を一つに絞ると、予算・範囲・工期・営業継続の可否まで自然に決まります。バー改装でよくある目的を比べておきましょう。
① 老朽更新
② 世界観の刷新
③ 業態シフト
注意したいのは、常連がついていて売上が安定しているなら、無理に世界観を変えない判断もあるということです。タイミングや方向性を誤ると、かえって常連が離れることもあります。「今の店の何を、誰のために変えるのか」を先に言語化しましょう。改装で起こりがちな後悔とその回避は店舗改装の失敗防止ガイドも参考になります。なお、同じ改装でも業種が違えば核心も変わります。客席が中心のカフェはカフェ改装ガイド、厨房と席ミックスの居酒屋は居酒屋改装ガイド、スープ厨房のラーメンはラーメン店改装ガイド、強火力の中華は中華料理店改装ガイドもどうぞ。別の物件へ移る場合はバーの移転ガイドが参考になります。
改装の流れと工期・リニューアル
バー改装は、おおむね次の流れで進みます。改装は現況勝負のため、見積もりの前の現地調査(とくにカウンターの状態・配線・調光の確認)がとりわけ重要です。
工期の目安は、照明・席中心の部分改装で数日〜数週間、カウンターのやり直しや全面改装で数週間以上を見ておくこともあります。カウンター解体・造作・電気がボトルネックになりやすいため、休業期間と家賃負担を見込んだ計画が必要です。再開時は、常連への告知やリニューアルの発信をセットで計画すると立ち上がりがスムーズです。改装全体の進め方は店舗改装の流れガイドでも整理しています。
失敗しない業者の選び方(バー改装版)
バー改装で業者を選ぶときは、開業の内装業者選びとは少し見るべき点が違います。改装は現況に左右され、とくにバーは雰囲気づくりの設計力が問われるため、次のような観点で確認しましょう。
- バー・夜の店の改装実績があるか(新装だけでなく改装の経験)
- カウンター造作の経験があるか(素材・高さ・形状の提案力)
- 照明の調光・間接照明、音響・防音の設計に慣れているか
- 既存のカウンター・照明・配線の流用可否を提案できるか
- 見積もりの内訳が明確か(カウンター造作・照明・原状回復まで含むか)
そして相見積もりは必須です。改装は現況依存で各社の見方が割れやすく、とくにバーはカウンター造作・照明・世界観の提案で金額も仕上がりも大きく変わるため、1社だけでは妥当かを判断できません。複数社を比べることで、適正価格と相性の良い会社が見えてきます。見積もりの読み方は店舗の見積もり比較ガイド、業者のタイプ別の選び方は店舗内装会社の選び方を参考にしてください。
改装の法令チェック(風営法・深夜酒類提供営業届・消防)
改装では、開業時に済ませたはずの法令確認が再び必要になることがあります。バーでとくに見落としやすいのが、風営法と深夜酒類提供に関わる手続きです。とくに営業形態(接待の有無)を変える改装では、再確認が欠かせません。
いずれも物件や自治体・営業実態によって判断が分かれます。早い段階で、所管の警察署・消防署や、専門家・施工会社に確認してください。風営法・深夜酒類提供営業の基礎はバーの内装ガイドにも解説があります。
よくある質問(FAQ)
まとめ|まずは「カウンターを残すか」と誰に向けるかから
バー改装は、内装の見た目より先に「カウンターを残すか/やり直すか」「誰に向けて世界観をどう変えるか」から考えるのが成功の近道です。バーは重飲食と逆で厨房が軽く、照明・壁・席・棚は営業しながら改装しやすい一方、カウンターは営業の物理的中心なので、やり直すなら休業が前提になります。そしてバーは客単価が高く”内装そのものがもてなし”——投資効果は厨房効率ではなく、世界観・カウンター・照明の質を上げて客単価・客層を引き上げることで決まります。世界観を一新すると常連の反応が分かれるため、”誰に何を変えるか”を先に決めることが他業態以上に重要です。まずは「カウンターを残すか」と「誰に向けるか」を切り分け、カウンターの状態・配線・調光まで見る現地調査を受け、バー経験のある複数社の見積もりを比較することから始めましょう。
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