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「店が古くなってきた」「カウンターを増やして回転を上げたい」「デザインを刷新したい」——営業中のラーメン店を改装するとき、多くのオーナーがまず費用を調べます。ですが、すでに営業しているラーメン店の改装は、ゼロから作る開業とは別物です。そしてラーメンは、スープ釜(寸胴)で長時間スープを炊き続ける「ウェットキッチン」が核心で、スープの仕込みは止められないため、厨房に手を入れる改装は休業が前提になります。本記事は、既存の厨房・ダクトを流用するか/やり直すかという視点から、費用相場・営業しながらの可否・ガスと給排気の容量・発注自由度・許認可までをまとめた発注者向けガイドです。スープレンジ・茹で麺機・排煙ダクト・カウンター設計や採算の詳細はラーメン店の内装ガイド、工事区分はA/B/C工事区分ガイドもあわせてご覧ください。
この記事の要点
- ラーメン改装は「内装の見た目」より先に、厨房に触れるか/触れないかで段取りを考える
- スープの仕込みは止められないため、厨房に手を入れる改装は休業が前提(客席の意匠だけなら営業しながら可)
- 既存の厨房・ダクト・ガス容量を「流用するか/やり直すか」で改装費の桁が変わる(ラーメン最大の費用ドライバー)
- 湯気・油煙が多いため、ガス号数の増設と給排気(大口径ダクト・給気バランス)が改装の隠れた壁
- 厨房レイアウトを変えると、飲食店営業許可の変更やグリストラップの見直しが必要になることがある
目次
ラーメン改装は「厨房に触れるか」が営業継続の分かれ目
営業中のラーメン店を改装するとき、最初に置くべき判断軸は「どんな内装にするか」ではありません。「厨房に触れる改装か、それとも触れない改装か」という段取りの設計です。なぜなら、ラーメンの厨房はスープ釜(寸胴)で長時間スープを炊き続けるウェットキッチンで、スープの仕込みは数時間〜十数時間かけて連続で行うため、途中で止められないからです。
客席なら、壁・床・カウンター・席といった意匠を区画ごと・営業時間外に進められます。ところがスープ釜・ガス・排煙ダクト・グリストラップに手を入れる改装は、スープの仕込みを止める=休業が前提になります。つまりラーメン改装は、内装の見た目を決める前に「厨房に触れるか触れないか」を最初に切り分けるのが正解です。居酒屋も厨房が核心ですが、ラーメンは「スープを止められない」ぶん、厨房改装=休業の縛りがより厳しいのが特徴です。これは、客席が核心のカフェや、全卓に火気がある焼肉店ともまた違う、ラーメンならではの分岐です。
ラーメン店改装の費用相場・坪単価【物件・目的別】
公開されている各社の情報を整理すると、ラーメン店改装の工事費はおおむね次のレンジが目安として共通して示されています。物件別では居抜きで坪あたり20〜45万円、スケルトンで30〜70万円が一つの目安で、15坪で450〜1,050万円、20坪で600〜1,400万円前後という構成が複数の公開情報で共通して見られます。そして特徴的なのが、ラーメンは厨房設備費が総工事費の40〜55%を占めること。これは一般的な飲食店(20〜30%)を大きく上回り、飲食業態のなかでも突出しています。
ここで開業との決定的な違いを押さえておきましょう。ラーメンの改装費は「内装」と「厨房設備」の二本立てで、坪単価だけでは割り切れません。内装は壁・床・天井やカウンターの造作ですが、これとは別に、茹で麺機(50〜150万円)・スープ寸胴(30〜80万円/台)・排煙ダクト工事(100〜250万円)・グリストラップ(20〜60万円)といった厨房設備費が乗ります。さらに改装では既存の解体・撤去・原状回復が加わり、現況によって大きく振れます。
内訳を読むときのコツは、項目を「①解体・原状回復」「②内装・造作」「③排気・ダクト(大口径・屋上排気)」「④厨房設備(スープレンジ・茹で麺機)」「⑤諸経費」に分けて見ることです。開業の見積もりと違い、改装では①が必ず乗り、③④が厨房をやり直すかどうかで大きく動きます。見積書を受け取ったら、まず③と④がどこまで含まれているかを確認すると、各社の金額差の理由が見えてきます。設計・設計監理費は総工費の5〜15%程度が目安とされます。
なお、部分改装で内装材だけを張り替える場合の単価の目安(公開情報)は、壁紙(クロス)が1,000〜2,000円/㎡、床のクッションフロアが2,000〜5,000円/㎡、床タイルが3,000〜8,000円/㎡、天井クロスが1,500〜3,000円/㎡、壁の塗装が1,000〜3,000円/㎡ほどです。「客席の壁だけ」「床だけ」といった部分的な改装では、この㎡単価から概算できます。
部分改装(客席中心)
全面・厨房やり直し
費用の全体像は店舗内装の費用ガイド、厨房設備や坪単価の詳しい目安はラーメン店の内装ガイドでも扱っています。
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業態・広さ・立地・改装レベルに加えて、改装する部位や手を入れる設備(スープレンジ・茹で麺機・排煙ダクト・ガス容量など)を選ぶと、あなたの状況に合わせて工事費の概算・内訳・想定休業・注意点までその場で変わります。ラーメンの改装は厨房・ダクトの現況で大きく振れるため、予算の当たりをつけるための目安としてお使いください。
営業しながら改装できる?客席はOK・厨房とダクトは休業
ラーメン店でも、営業しながら改装できる範囲があります。壁・床・カウンター・席といった客席の意匠であれば、区画を分けて・営業時間外に進めることで、営業を止めずに改装できることが多いです。古くなった内装の色やデザインを変えるだけなら、店を閉めずに少しずつ進められます。
一方で、すべての改装が営業しながらできるわけではありません。前述のとおり、スープ釜・ガス・排煙ダクト・グリストラップに手を入れる厨房の改装は、スープの仕込みを止めるため休業が前提になります。仕込みを止めれば翌日以降のスープが出せず、営業そのものが成り立たないためです。継続できる工事と、休業が要る工事の線引きを押さえておきましょう。
- 【営業しながら可】壁・床・天井・照明の意匠、カウンター・席の造作、サイン
- 【営業しながら可】区画を分けて・営業時間外に進める範囲の客席工事
- 【休業が前提】スープレンジ・茹で麺機の増設・移設、厨房レイアウト変更
- 【休業が前提】排煙ダクト・屋上排気の新設、グリストラップの位置変更
- 【休業が前提】ガス号数の増設・引き直し、全面解体
そして見落とされがちなのが常連客への告知設計です。休業期間や、再開日を事前に告知し、SNS・店頭・Googleビジネスプロフィールを更新します。「リニューアル予告」としてポジティブに発信すれば、休業の不便を期待感に変えられます。長く通う常連を切らさない段取りが、ラーメン改装では何より重要です。
既存厨房・ダクトは流用する?やり直す?
改装費を最も大きく左右するのが、ラーメンの心臓部——スープレンジ・茹で麺機・排煙ダクト・グリストラップ・ガス容量——を残すか替えるかの判断です。これらだけで200〜500万円超になることもあります。前も同じ麺業態の居抜きで、厨房・ダクト・ガス・給排水が流用できれば、客席の色やレイアウト変更だけで済み、スケルトンより300〜600万円規模で圧縮できることがあります。逆に、厨房をやり直す・火力を上げる・ダクト径を変える(湯気油煙に足りないと再工事)となれば、ガス号数の増設・大口径ダクト・屋上排気までまるごと動いて費用の桁が変わります。
ラーメン改装で確認すべきポイントを整理します。これはラーメン改装で最大の費用ドライバーです。
- 排煙ダクト:既存のダクト口径・換気能力が、湯気・油煙の量に足りるか
- ガス容量:スープ釜・茹で麺の同時稼働に、引込口径・メーターサイズが足りるか
- 厨房機器:既存のスープレンジ・茹で麺機の使用年数・状態・衛生を確認
- グリストラップ:油脂分離槽の位置・容量が、新しい厨房レイアウトに合うか
- 給排水:大量の湯・スープ・油分に対応する排水能力・勾配が確保できるか
判断のコツは、「使えるはずだから残す」ではなく、「現況の厨房・ダクトの容量と状態を見て、新しいメニュー・火力に足りるか」で決めることです。これは天井裏・床下・屋上を見なければ判断できないため、現地調査の精度がそのまま見積もりの精度になります。なお、他業態(軽飲食)の居抜きだとダクト口径やガス容量が足りず、結局スケルトン並みの改修費がかかることもあります。スープレンジ・茹で麺・排煙の設備の基礎はラーメン店の内装ガイドで詳しく扱っています。
ガスと給排気の容量の壁(湯気・油煙が多いラーメン)
ラーメン改装で見落とされやすいのが、ガスと給排気の「容量」です。ラーメンは飲食業態のなかでも蒸気と油煙の発生量が特に多く、強力な排煙ダクト・大型フード・グリスフィルターが不可欠です。改装でメニューや火力を増やすと、まずこの容量が壁になります。
ガス容量
給排気バランス
排気だけを強化して給気が足りないと、扉が開閉しにくくなったり、換気が効かず厨房に熱がこもったりします。さらに屋上排気の新設・変更は、経路・防火・ビル所有者の承認に加えて、ビルの階数によっては足場費も乗り、100〜300万円規模になります。給排気のバランスが悪いと近隣への臭気・煙のクレームや再工事にもつながるため、排気量に見合う給気とダクト径を、改装の設計段階で決めることが重要です。湯気・油煙対応のダクト設計や排水(グリストラップ)の詳しい考え方はラーメン店の内装ガイドが参考になります。
あなたの店は業者を選べる?(発注自由度と屋上排気)
意外に知られていませんが、改装で「業者を自由に選べるか」は店舗の立地条件で変わります。路面店や独立した建物は、排気・屋上排気・ガスの幹線まで自由に選べるため、複数社で相見積もりを取って価格と提案を比較できます。とくにラーメンは厨房・ダクトのやり直しの範囲が大きいぶん、相見積もりで各社の金額差が出やすく、比較する価値が大きい業態です。
一方、ビルや空中階のテナントは、意匠造作は自由でも、排気・電気・ガスの幹線がビル指定(B工事)になりがちで、さらに屋上排気の経路には所有者の承認が要り、ガスの引込容量にも制約があることが多いです。ラーメンは煙と湯気が多く屋上まで排気を上げる必要があるため、ビルの構造や規約に左右されます。麺業態の居抜きなら、既存の厨房・ダクト・グリストラップを流用して圧縮できる余地があります。工事区分A/B/Cの考え方はA/B/C工事区分ガイドで詳しく扱っています。
路面店・独立
ビル・空中階
もう一つ、改装ならではの落とし穴が原状回復義務の境界です。営業中ということは賃貸借契約の途中です。改装で厨房やダクト・造作を足すと、退去時に「もともと借りたときの状態」に戻す義務に加えて、自分が新たに足した厨房・ダクト・造作の分まで原状回復を負うことがあります。ラーメンは油汚れも蓄積するため、原状回復の範囲が重くなりがちです。改装の契約段階で、どこまでを誰が戻すのかを切り分けておきましょう。原状回復の費用相場や契約の読み方は店舗の原状回復ガイドが参考になります。
改装で押さえる:耐熱・耐油・防滑の床と油はね対策
厨房やダクトといった「重い」改装だけでなく、ラーメンならではの油・湯気への内装対策も、改装で必ず押さえたいポイントです。ラーメンは油やゆで汁で床が滑りやすく、油はねで壁が傷みやすい業態。日々の清掃を楽にし、スタッフの安全と清潔感を保つ素材選びが、改装の満足度を左右します。
- 床(厨房):油やゆで汁で滑るため、耐熱・耐油・防滑・防水を満たす塗り床系を
- 床(客席):清掃性と雰囲気の両立。厨房とホールを往復するため防滑も重視
- 壁:飛散油を拭き取りやすく耐酸性のある素材。腰高まで不燃化粧板や磁器質タイル
- 天井:耐油塗装と、湯気・においを逃がす十分な換気量
- カウンター:麺・スープを美味しそうに見せる照明と、清掃しやすい素材
これらは「清潔・安全・においが残らない」というラーメン店の体験を左右し、スタッフの働きやすさにも直結します。初期費を抑えるより、耐久性でトータルコストを下げる判断が賢明です。素材の選び方や厨房レイアウトの詳しい設計はラーメン店の内装ガイドで詳しく扱っていますので、あわせてご覧ください。
ラーメン改装の目的別 進め方
改装で失敗する典型は、目的が曖昧なまま「とりあえずきれいにする」ことです。目的を一つに絞ると、予算・範囲・工期・営業継続の可否まで自然に決まります。ラーメン改装でよくある目的を比べておきましょう。
① 老朽更新
② 厨房刷新
③ デザイン刷新
注意したいのは、売上が好調なら、無理に大きく改装しない判断もあるということです。タイミングを誤ると、かえって常連客が離れることもあります。「今の店の何を、なぜ変えるのか」を先に言語化しましょう。改装で起こりがちな後悔とその回避は店舗改装の失敗防止ガイドも参考になります。なお、同じ改装でも業種が違えば核心も変わります。客席が中心のカフェはカフェ改装ガイド、厨房と席ミックスの居酒屋は居酒屋改装ガイド、排気が核心の焼肉店は焼肉店改装ガイド、共有動線のクリニックはクリニック改装ガイドもどうぞ。別の物件へ移る場合はラーメン店の移転ガイドが参考になります。
改装の流れと工期・リニューアル
ラーメン改装は、おおむね次の流れで進みます。改装は現況勝負のため、見積もりの前の現地調査(とくに厨房・ダクト・ガス容量の確認)がとりわけ重要です。
工期の目安は、客席中心の部分改装で数日〜数週間、厨房・ダクトまで及ぶ全面改装で設計を含めて6〜10週間を見ておくこともあります。厨房は解体・給排水・電気・排気ダクト新設がボトルネックになりやすいため、休業期間と家賃負担を見込んだ計画が必要です。再開時は、常連への告知やリニューアルの発信をセットで計画すると立ち上がりがスムーズです。改装全体の進め方は店舗改装の流れガイドでも整理しています。
失敗しない業者の選び方(ラーメン改装版)
ラーメン改装で業者を選ぶときは、開業の内装業者選びとは少し見るべき点が違います。改装は現況に左右され、とくにラーメンは給排気の難度が高いため、次のような観点で確認しましょう。
- ラーメン・重飲食の改装実績があるか(新装だけでなく改装の経験)
- 現地調査が丁寧か、とくに厨房・ダクト・ガス容量・グリストラップを見てくれるか
- 既存の厨房・ダクトの流用可否を提案できるか
- ラーメンの給排気は難度が高い。シロッコファン・給気のバランス設計に慣れているか
- 見積もりの内訳が明確か(厨房設備費・排気ダクト・原状回復まで含むか)
そして相見積もりは必須です。改装は現況依存で各社の見方が割れやすく、とくにラーメンは厨房・ダクト・ガス容量の判断で金額が大きく動くため、1社だけでは妥当かを判断できません。複数社を比べることで、適正価格と相性の良い会社が見えてきます。見積もりの読み方は店舗の見積もり比較ガイド、業者のタイプ別の選び方は店舗内装会社の選び方を参考にしてください。
改装の法令チェック(営業許可・消防・グリストラップ)
改装では、開業時に済ませたはずの法令確認が再び必要になることがあります。ラーメンでとくに見落としやすいのが、飲食店営業許可と消防・排水に関わる手続きです。
いずれも物件や自治体によって判断が分かれます。早い段階で、所管の保健所・消防署・特定行政庁や、専門家・施工会社に確認してください。飲食店営業許可・消防・内装制限の基礎はラーメン店の内装ガイドにも解説があります。
よくある質問(FAQ)
まとめ|まずは「厨房に触れるか」と現地調査から
ラーメン店改装は、内装の見た目より先に「厨房に触れるか」「既存の厨房・ダクトを流用するか/やり直すか」から考えるのが成功の近道です。ラーメンはスープの仕込みを止められないため、厨房に手を入れる改装は休業が前提で、客席の意匠だけなら営業しながら進められます。既存の厨房・ダクト・ガス容量を流用できれば費用は大きく圧縮でき、やり直すなら大口径ダクト・ガス号数・屋上排気が連動して桁が変わります。厨房レイアウトを変える改装では営業許可やグリストラップの見直しも要ります。いずれも現況を見なければ判断できません。まずは「厨房に触れるか」を切り分け、天井裏・床下・屋上まで見る現地調査を受け、ラーメン経験のある複数社の見積もりを比較することから始めましょう。
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