公開:2026年8月17日/更新:2026年8月19日/編集:店舗内装ドットコム編集部(運営:株式会社BPBコンサルティング)。掲載写真は当サイト登録施工会社の公開事例(掲載許諾済み・出典明記)。
この記事で先に答える3つのこと
- 何坪でいくらか。カフェ内装の坪単価は居抜き25〜55万円・スケルトン40〜80万円(東京基準)。15坪居抜きで375〜825万円、20坪スケルトンで800〜1,600万円が当サイトの試算条件でのレンジです。施工会社が公式に坪数と工期を公開している事例は5件(9.7坪・1.0ヵ月/16.9坪・0.5ヵ月/27.0坪・0.5ヵ月/28.0坪・2.0ヵ月/94.0坪・1.5ヵ月)。自分の坪数と物件で試算する
- 自分の店に近い事例はどれか。登録施工会社5社の26事例を写真126枚で、テイストではなく「どこにお金がかかっているか」で分類しました。30秒診断で4つ答えると近い3件が出ます。
- 次に何をすればいいか。近い事例のカードにある「同条件で費用を試算する」で予算の目安を掴み、カフェの事例420件で施工会社を見比べ、複数社の見積もりを取る(無料)まで進めます。
掲載の基準:当サイトの登録施工会社(審査あり)が公式サイトで公開しているカフェの事例のみを、施工会社5社(インフィニティ株式会社・タカハシアートプランニング株式会社・カエル・デザイン・プロジェクト株式会社・株式会社サライデザインルーム・株式会社サンリット建設)から26件選びました。順位付けや「No.1」の表示はしていません。坪数・工期は各社が公式に記載しているものだけを載せ、工事費の実額は公開されていないため記載していません(かわりに同等仕様のレンジをシミュレーターで出せます)。写真は各社の掲載許諾済みで、出典として法人名と公式事例ページを付けています。
ナチュラル・北欧・ボタニカル|明るく開いた空間で幅広い客層をとる
白・木・グリーンを軸にした系統です。客層を選ばず、女性やファミリーにも入りやすいのが強みで、カフェの内装では最も採用例が多い方向です。74103の分類でいう「ナチュラル」「北欧」に、植栽を主役にした「ボタニカル」を含めて7事例を並べます。
費用の観点では、壁と天井を明るくまとめるぶん造作を減らせます。表情は什器と植栽で作るため、開店後に足し引きできる要素が多いのも利点です。ただし明るい空間は粗が見えやすく、素材の種類を増やすと一気に散らかって見えます。使う仕上げ材を2〜3種類に抑えることが、この系統では特に重要です。
SPICY CLUB
天井から吊ったフェイクグリーンの塊と、その中を通す裸電球のストリングライト。ラタン編みのビストロチェアは編み柄を3種類あえて混在させています。深緑のタフティングソファ、柱の白いサブウェイタイル、黒タイルの腰壁、黒格子のアーチ窓。天井は配管を現しにしてライティングレール。
グリーンと電球で視線が上に集まります。床面積が小さくても密度が出るので、狭い物件ほど効く手です。
造作の量:標準/家具・什器:既製品中心/照明:作り込む/物件:路面
FOREST GREEN ROAST&BAKE
商業施設内のテナント。壁を作らず売場に開いたオープンファサードで、深緑の看板帯に白い箱文字。モルタル調の腰壁、木の物販什器、球形ペンダントを連続配置。ショーケースと焼き菓子のディスプレイを通路正面に置いています。
閉じないこと。通路からの視認性と入りやすさを両立させ、什器と商品そのもので世界観を作っています。
造作の量:少ない/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業施設
Butter 横浜ベイクォーター
白い鹿角モチーフのシャンデリアが主役。エンボス加工の白いタイルを貼った装飾壁に、苔を使った円形アートを2枚。濃茶のレザーベンチ、ろくろ脚の白い木製チェア、色ムラを活かした幅広の無垢フローリング。ビーズカーテンで席を緩く仕切っています。屋外テラス席にはパラソルとラタン調チェア。
壁1面と照明1灯に予算を集中させています。他は既製什器で構成し、見せ場を絞ることで密度を出す作り方です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業施設
Butter ららぽーと甲子園
枝状の黒いシャンデリアと大型の黒ペンダントを併用し、白い棚と長いテーブルを配置。白タイルの壁面と木の床で明度を上げ、照明器具の形で世界観を作っています。
照明器具を主役にする構成です。器具は購入品なので造作費を増やさずに印象を大きく変えられます。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:作り込む/物件:商業施設
Butter Premium ららぽーと横浜
黒いスチールの格子窓とガラス面で店頭を構成し、白い什器と木の床。壁面にはNYモチーフのグラフィックを配し、白いスツールを並べています。
黒細枠のガラス面は、商業施設内でテナント境界を作りながら中を見せられます。閉じずに囲うための定番の手です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業施設
ACCEA CAFÉ 堺筋長堀橋店・梅田店
木板張りの天井、長い共有テーブル、緑のプランターを窓際に連続配置。白い壁とガラス面で明るさを確保し、ソファ席とテーブル席を混在させています。
天井を木で張ると視線が上がり、床の仕上げを安く抑えても空間が締まります。天井への投資は面積単価が低く効率的です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業ビルテナント
陽だまり珈琲
木の梁と柱を現した天井に、暖色のペンダントライトを低く吊っています。壁は白、床と卓は無垢の木で、色数は木・白・黒の3つだけ。外観は小さな平屋にロゴサインを一枚。写真は施工会社が公開している複数カットを1枚にまとめたものです。
天井を張らずに梁を見せ、照明を低く吊ることで「天井が高いのに落ち着く」状態を作っています。造作を増やさずに雰囲気を出す、住宅街カフェの定番解です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:路面
クラシック・レトロ・和モダン|世界観で滞在時間を伸ばす
色と什器の形で強い世界観を作る系統です。滞在時間が長く、客単価を高く設定する業態に向きます。純喫茶の再評価で「レトロ喫茶」の需要も戻ってきています。
この系統は面積の大きい要素で勝負が決まります。床、壁紙、ソファの張地。この3つを決めた時点でほぼ完成し、小物をいくら足しても印象は変わりません。逆に言えば、面積の大きい要素さえ振り切れば、他は既製品で足りるということでもあります。以下の5例は、いずれも投資先を1〜2箇所に集中させています。
Bardon Organic Cafe 銀座店
水色と白の2色構成。ヘリンボーンの無垢フローリング、腰壁と回り縁のモールディング、ボタニカル柄の壁紙、白いクイーンアン調チェア、造作の白棚とカウンター、大きな鏡。照明はダウンライトのみです。
床のヘリンボーンとモールディングで作り込んだ印象を出し、照明はあえて素っ気なく。壁紙1面で世界観が決まっています。
造作の量:多い/家具・什器:一部造作/照明:基本のみ/物件:路面
nestis恵比寿 三越店
藤色の壁に白いカウンター。猫脚のフレンチチェア、ピンクのタフティングソファ、ガラス天板の籐テーブル、白いカーペット。鏡面壁で奥行きを拡張し、小型ペンダントを等間隔に吊っています。
色を1色に絞り、什器の脚の形で世界観を作っています。壁を塗るだけなら安く済みますが、什器の選定が結果を決めます。
造作の量:標準/家具・什器:全部造作/照明:作り込む/物件:商業施設
喫煙喫茶オールドルーキーカフェ 神田東口店
赤いベロアのボタン締めソファをボックス席に並べ、壁は柄物のクロス。濃色の床と木のカウンター、暖色のペンダント。昭和の喫茶店の記号を意図的に集めています。
ソファの色1点で店の記憶が決まります。造作を増やすより、張地の色を振り切ったほうが安く強い印象を作れます。
造作の量:標準/家具・什器:全部造作/照明:装飾灯あり/物件:オフィスビルテナント
OJ珈琲
木の角材を縦に並べたスクリーンで席を仕切り、ブラウンのボックスソファを連続配置。暖色の照明を低く落とし、天井は黒。ターコイズの外観サインとの対比が強い構成です。
角材スクリーンは造作費がかかりますが、個室感を作りながら開放感を残せます。滞在時間を延ばしたい業態で効きます。
造作の量:多い/家具・什器:一部造作/照明:作り込む/物件:路面
antenna coffee
躯体の天井を黒く塗り、その下に木の卓とカウンターを置いた構成。壁の一面はレンガ調で、床は300角のタイル。開口部が広く、日中は外光で明るく、夜は駅舎を思わせる照明で外から見える店になります。カウンターはオーダーメイド、サイン・ロゴ・名刺までひと揃いで作られています(施工会社公式の記載)。
黒天井×木×レンガ調の3要素に絞り、既存の壁面を活かして「少しレトロ」を作っています。戸建ての基礎の傷みは倉庫のようなイメージに寄せて処理し、直すのではなく味に変えているのが一手です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:戸建て
ミニマル・インダストリアル・ワーク|素材を絞り、席数と作業性に投資する
仕上げを1〜2種類に絞る系統です。装飾を持たないぶん費用を抑えられ、そのぶんを席数や電源、Wi-Fiに回せます。オフィス街や大学の近くなど、作業目的の滞在が多い立地で効きます。コワーキング併設のカフェもここに入ります。
誤解されやすいのですが、ミニマルは「手を抜いた状態」とは違います。素材を減らすほど、選んだ素材の質と納まりが露わになります。モルタルの左官仕上げやカウンターの木口の処理など、見えている部分の精度が印象を決めます。安く上がる方向ではありますが、雑に作ると即座に見抜かれる系統でもあります。
GOODMAN TOKYO
モルタル左官の壁、ガラス張りの全面ファサード、木のカウンター、黒スチールのスツール、グレーのソファ席。クリアガラスの球形ペンダントと緑のシェードランプ、観葉植物。
仕上げを1〜2種に絞ったミニマル構成。素材数を減らすほど安くなり、かつ狙って作った印象が出ます。予算が限られるときの正解形です。
造作の量:少ない/家具・什器:既製品中心/照明:装飾灯あり/物件:路面
勉強カフェ 札幌琴似スタジオ
壁向きの長いカウンター席にスツールを等間隔で並べ、窓側にも同じ構成。ベージュの壁と木のカウンター、天井はダウンライトのみ。装飾を持たず、席の密度と作業性で設計しています。
カウンター席主体は坪あたりの席数を最大化できます。装飾を捨てて席数と電源に投資する、滞在型業態の合理的な形です。
造作の量:少ない/家具・什器:一部造作/照明:基本のみ/物件:商業ビルテナント
焙煎所 豆labo
白い壁に長い淡色木のカウンター、白いチェア、天井はライティングレール。アーチ形のニッチを1箇所だけ設けています。焙煎機を店の見せ場として置き、什器は絞っています。
仕上げを白と淡色木の2種類に統一し、焙煎機そのものを主役にしています。設備が見せ場になる業態では内装を引き算できます。
造作の量:少ない/家具・什器:一部造作/照明:基本のみ/物件:路面
ACCEA CAFÉ OBPツイン21店
傾斜窓に沿った長いカウンター席と、背の高いブース席の列。床は木軸を組んで水平を出した木目調で、壁は白とダークグレー。入口右手の大きな壁にロゴサインを置き、真上からの間接照明で文字の影を落としています。隣接する出力(プリント)窓口と一体で作られたコワーキングカフェです。
凸凹だった既存床を左官で均すのではなく木軸で「新しい床を組む」ことで、短工期(公式記載0.5ヵ月)で水平を出しています。工期が短い改装では、直すより上に作るほうが早く安くなる典型例です。
造作の量:少ない/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業ビルテナント
焙煎所・物販併設|設備そのものを見せ場にする
焙煎機やエスプレッソマシンを主役に据える系統です。設備そのものが装飾の役割を果たすため、内装を大きく引き算できます。
設計上のポイントは、機械を「見せる位置」に置けるかどうかです。焙煎機は排気と電源の制約が強く、後から位置を変えられません。物件を決める段階で、機械の設置位置と客席からの見え方を同時に検討してください。あわせて物販棚を内装の一部として設計しておくと、什器代が販促の投資に変わります。
Yokowa Coffee Roastery(よこわ珈琲 一宮焙煎所)
濃茶の木を使った造作カウンターとキャビネット、白壁、ペンダント照明。床はテラゾー調で、焙煎所と物販棚を併設しています。
木の色を濃淡2段で使い分け、白壁で抜けを作っています。物販棚を内装の一部として設計すると什器代が販促にもなります。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:ロードサイド
自家焙煎 松本ビーンズ
赤いエスプレッソマシンを正面に置き、濃茶の木でカウンターと物販棚を造作。白い壁と窓からの自然光で明るさを確保しています。小規模ながら物販の見せ場を確保した構成です。
機械の色を1点だけ強くして、他を木と白に抑えています。小さい店ほど、色を持つのは1つに絞ったほうがまとまります。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:路面
ダーク・カフェ&バル(夜営業)|暗さで作る
天井や壁を暗色にまとめ、光源を絞る系統です。74103でいう「カフェ&バル」=夜も売る業態は、ほぼこの方向に寄ります。費用対効果がきわめて高い方向です。天井を黒く塗るのは躯体をそのまま塗装するだけなので、天井を張るより安く済みます。それでいて陰影が出るぶん、空間は高級に見えます。予算が限られていて、かつ夜の客単価を取りにいきたい場合、最初に検討する価値があります。
注意点は昼の営業です。暗い空間は昼間に閉まっているように見えることがあります。ファサードのガラス面と外光の入り方を、設計の初期に確認してください。
夜の営業が主体になる場合は、カウンター&バックバーの造作・接待の有無で変わる風営法の届出・業態別の坪単価をまとめたバーの内装ガイド(事例11選つき)もあわせてお読みください。
Bar&Cafe COVO 17
天井を黒で塗り込め、濃色の木カウンターと黒レザーのスツール。真鍮色の金物と間接照明で陰影を作り、光源を絞っています。昼夜どちらもバーとして成立する明度設計です。
黒天井は躯体を塗るだけなので造作費が上がりません。暗さで高級感を出すのは、予算が限られるときに最も費用対効果の高い手です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:作り込む/物件:路面
NEIGHBOUR
壁一面のボトル陳列棚を主役に、レンガ貼りのカウンターと木のテーブル、白い椅子。天井は白い格子で、ボトルの列がそのまま装飾になっています。
商品を壁面に並べること自体を内装にしています。棚の造作費はかかりますが、装飾を別途足す必要がなくなります。
造作の量:標準/家具・什器:全部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業施設
HERO'S スポーツカフェ&バー
白と黒を基調に、ホール床は六角形タイルでサッカーボールのモチーフ。壁は打放しコンクリートのままで、選手の写真やユニフォーム、バットを飾れる棚とポスターレールを増設。家具はオーク調×黒の張地で軽く動かせるものを選び、通りに面したガラス面には目線の高さで選手のシルエット型のミラーを帯状に配置しています(施工会社公式の記載)。
元のバーの躯体・設備を活かし、床のタイルとガラス面のミラーという「面積は小さいが視線が集まる場所」だけに意匠を集中させたリニューアルです。公式記載の工期は1.0ヵ月、9.7坪。南向きの暑さ対策として淡いブルーのバーチカルブラインドとサーキュレーターを入れており、夜営業の暗さと昼の快適さを両立させています。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業ビルテナント
ロードサイド×商業施設|同じブランドでも設計が変わる
同じブランドの路面店と商業施設店を並べます。外観を作れるかどうかで、予算の寄せ先がはっきり変わります。
ロードサイドの路面店では、外観がそのまま看板です。走行中の車から認識される必要があるため、建物の形と夜間の照明に投資する価値があります。一方、商業施設内では外観を作れません。館の意匠に従うため、予算は天井と什器、そして通路からの見え方に集中させることになります。同一ブランドでこれだけ設計が変わるという事実は、物件を選ぶ段階で頭に入れておくべきものです。
さかい珈琲 帯広南店
黒い金属サイディングと木の縦張りを組み合わせた箱型の外観。店内は木のテーブルと黒い大型ペンダント、ガラス面を大きく取って外光を入れています。
ロードサイドは外観が看板です。黒地に木を差す構成は遠くからの視認性が高く、内装の明るさとの落差も演出になります。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:ロードサイド
さかい珈琲 ラソラ札幌店
商業施設内。木のテーブルと黒いチェア、ブラインドで外光を調整し、天井は木目のパネル。開放的なガラス面に沿って席を配置しています。
同じブランドでも商業施設内では外観を作れないため、天井と什器に予算を寄せています。路面店との設計の違いがはっきり出ています。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:商業施設
帯広南店|ロードサイド路面
ラソラ札幌店|商業施設内
同じブランド・同じ木質のテイストでも、投資先がここまで変わります。物件を決める前に「外観を作れるか」「工事区分表はどうなっているか」の2点を確認しておくと、内装デザインの打合せが最初から噛み合います。
外観で集客する|内装より先に見られるもの
ロードサイドや路面店では、内装より先に外観が集客を決めます。通行人や車から見えるのは外観だけだからです。にもかかわらず、予算配分を考えるとき外観は後回しにされがちです。
外観に投資すべきかは立地でほぼ決まります。車で通過する立地なら外観、商店街の徒歩立地なら店頭のディスプレイ、商業施設内なら通路からの見え方。それぞれ効く場所が違います。とくにロードサイドは認識される時間が数秒しかないため、建物のシルエットと色、夜間の照らし方で判断されます。
さかい珈琲 帯広店
レンガ貼りの洋館風ファサードを下からのアップライトで照らし、軒のライン照明で輪郭を強調。内照式のチャンネル文字サインと黒い庇。店内はレトロ調の椅子と暖色の照明で、外観の世界観を引き継いでいます。
外観の「夜の顔」に投資しています。ロードサイドでは認識される時間が数秒なので、建物のシルエットが夜も出るように照明を当てるのが最も効く一手です。同ブランドの帯広南店・ラソラ札幌店と並べると、外観を作れる立地では外観に予算を寄せていることがわかります。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:路面
THE CAFE IRINO
濃紺の板張りとレンガを組み合わせた外観に、白い箱文字サインと車輪のオブジェ。アメリカンダイナー的な記号を外に集めています。店内は木のカウンターと暖色の照明で、写真は施工会社提供の複数カットです。
通行人の目に触れる外観だけに記号(板張り・レンガ・箱文字・オブジェ)を集中させ、内装は素材数を絞っています。外観と内装で予算配分を分ける考え方の典型です。
造作の量:標準/家具・什器:一部造作/照明:装飾灯あり/物件:路面
OKABERRY 宮古島店
ターコイズの店頭に黄色い大判サイン。小規模なテイクアウト中心の構成で、色のコントラストだけで通行人の視線を取っています。
造作をほぼ持たず、色(ターコイズ×イエロー)とサインの大きさだけで店を認識させる最小コストの外観です。テイクアウト主体で客席への投資が要らない業態だからこそ成立します。
造作の量:少ない/家具・什器:既製品中心/照明:基本のみ/物件:路面
26事例に共通していた3つのこと+5つの設計ポイント
ここまでの26事例を見比べると、印象の良い店に共通しているのはテイストの種類ではありませんでした。次の3点です。
1. 使っている素材の種類が少ない
木も、タイルも、モルタルも、レンガも、と足していくと空間は散らかります。紹介した店はいずれも主役の仕上げ材を1〜2種類に絞り、残りを白か黒で締めていました。GOODMAN TOKYOはモルタル・木・黒スチールの3種類、antenna coffeeは黒天井・木・レンガ調の3種類だけで構成されています。
素材を減らすことは費用を下げることと同じ方向を向いています。見た目を良くする行為と安くする行為が一致する、数少ないポイントです。
2. 投資先を1箇所に絞っている
全体に均等にお金をかけた店は26件のなかに1件もありませんでした。床に寄せる、照明器具に寄せる、壁面1枚に寄せる、設備に寄せる。どこか1箇所を決めて、残りは既製品や塗装で処理しています。
予算が足りないとき、全体を少しずつ削ると全体が平凡になります。見せ場を1つ決めてそこだけ守り、他を大胆に落とすほうが結果が良くなります。Bardon Organic Cafe 銀座店は床のヘリンボーンと壁紙に寄せ、照明はダウンライトのみで済ませています。
3. 天井の扱いで印象が大きく変わっている
天井は面積が大きいわりに単価が低く、費用対効果の高い部位です。躯体を現しにして塗るだけの店、木を張って視線を上げる店、黒く塗り込めて陰影を作る店。いずれも天井を張り直すより安く、印象への効き目は大きい。
内装の相談では床と壁の話から入る人が多いのですが、先に天井をどうするか決めたほうが全体の方向が定まります。照明の色味については、長居してほしい店は電球色(約2700K)、回転を重視する店は昼白色(約5000K)が目安です。詳しくは飲食店の照明ガイドで扱っています。
4. 5つの設計ポイント(レイアウト・照明・カラー・素材・装飾)を事例で確認する
3原則を実際の図面に落とすとき、決める順番は次の5つです。どれも26事例のどこかに答えがあります。
- レイアウトと動線:注文・受け渡しの動線と滞在客の動線を交差させない。antenna coffeeはテイクアウト客の動線を妨げない位置に客席を置き、ACCEA CAFÉ OBPは傾斜窓に沿ってカウンター席を一列に並べています。席数は坪数だけでは決まらず、通路幅と厨房・バックヤードの比率で決まります。
- 照明:長居してほしい店は電球色(約2700K)、回転を重視する店は昼白色(約5000K)が目安。灯数を減らすなら天井の均一なダウンライトから減らし、見せ場(SPICY CLUBのストリングライト、ACCEA CAFÉ OBPのロゴを照らす間接照明、さかい珈琲帯広店の外観アップライト)は残す。詳しくは店舗照明の設計と費用相場ガイド。
- カラー:主役の色を1つ、差し色を1つ、残りは白か黒。nestisのラベンダー、OKABERRYのターコイズ×イエロー、HERO’Sの白×黒はいずれも2色で店を認識させています。色数が増えるほど「おしゃれ」からは遠ざかります。
- 素材:面積の大きい床・壁・張地を先に決め、そこに予算を寄せる。Bardonはヘリンボーンの床と壁紙、GOODMANはモルタル・木・黒スチール。無垢か突板か、タイルの割付をどうするかで同じ「木」「タイル」でも坪単価が変わります。
- 装飾・什器・カウンター:カウンターは店の顔で造作の価値が最も高い場所(Yokowa Coffee Roasteryの木のカウンター、antenna coffeeのオーダーメイドカウンター)。装飾(グリーン・アート・オブジェ)は開店後に足せるので最初に削れる。什器はミニマル系なら既製品でも成立します(GOODMAN)。
本頁に事例のない北欧・ジャパンディ・ブルックリン・韓国風・和モダンの各テイストの費用・客層・素材の比較は、姉妹記事カフェの内装デザイン完全ガイド|おしゃれな8テイスト徹底比較と選び方で扱っています。写真は本頁、テイストの選び方は完全ガイド、という分担です。
この仕様だといくらか|費用シミュレーター
各事例カードの「同条件で費用を試算する」、または30秒診断の「費用を試算する」を押すと、造作・什器・照明の設定がここに反映されます。あとは広さと物件の状態、エリアを選ぶだけです。
各事例の工事費は施工会社が公開していないため、個別事例の金額は記載していません。かわりに同等の仕様を再現した場合のレンジを算出しています。坪単価帯は当サイトの東京基準(居抜き25〜55/スケルトン40〜80/残置あり30〜65万円)で、他県は係数で補正しています。全国の相場感はカフェの内装工事費用相場を参照してください。
カフェの内装費用を検索すると、坪単価20万円台から100万円台まで5倍以上ばらついた数字が出てきます。これは誰かが嘘をついているからではなく、「坪単価」が指している範囲が記事ごとに違うからです。設計費を含むのか、厨房機器を含むのか、解体費を含むのか。ここが揃っていない数字は比較のしようがありません。
そのためこのシミュレーターでは、計算する前に「含まれるもの」と「含まれないもの」を先に表示しています。見積書を2社から取って金額が大きく違う場合、金額の差ではなく範囲の差であることが少なくありません。
この試算に含まれるもの
- 設計・デザイン費/内装仕上げ/電気/空調・換気/給排水
- 厨房設備工事/厨房機器/什器・家具/看板・ファサード
- 防災設備/諸経費/予備費
含まれないもの
- 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料)
- 解体・原状回復費/店舗運転資金
- POSレジ・食器・備品/各種申請手数料
カフェ内装の坪単価の目安
- 居抜き 25〜55万円/坪
- スケルトン 40〜80万円/坪
- 残置あり 30〜65万円/坪
商業施設に出店する場合
この試算はそのまま使えません。館の指定業者が行うB工事と、テナント負担のC工事の区分によって総額が大きく変わります。区分は物件ごとに違うため、館の工事区分表を入手したうえで見積もりを取ってください。
30秒でわかる|あなたの店に合うテイスト
「26事例に共通していた3つのこと」と5つの設計ポイントを、自分の店にどう当てはめるか。4つ答えると、26事例のなかから近いものを3つ出します。客単価・滞在時間・客層・物件の4軸で分類し、選んだ事例の仕様はそのまま上のシミュレーターに反映できます。
予算が足りないとき、どこから削るか
見積もりが予算を超えたとき、多くの人はまず安い業者を探します。しかし同じ仕様なら、業者を替えて下がる幅は限られています。下げ幅が大きいのは仕様の側です。
削る順番には原則があります。まず、設備と法規に関わるものは削れません。給排水、電気容量、換気・排煙、防災設備。これらは後から足すと工事をやり直すことになり、結果的に高くつきます。エスプレッソマシンや製氷機は電気容量を大きく使うため、契約電力の見直しが必要になることもあります。内装が終わってから発覚すると、壁を壊して配線をやり直すことになります。
削る候補は効果とコストの比で順番をつけます。最初に削るのは装飾です。グリーン、オブジェ、アート類は造作ではないため開店後に足せます。SPICY CLUBの天井のフェイクグリーンとストリングライトがこれにあたります。次に什器のグレード。既製品に変更しても、ミニマル系なら見た目への影響はほとんどありません。
最後まで残すべきは造作と照明です。タイル貼り、造作壁、造作窓は工事段階でしか作れません。照明も灯数を単純に減らすと空間が平板になります。減らすなら天井の均一なダウンライトから減らし、見せ場の照明は残してください。
相見積もりを成立させる5つの確認項目
複数社から見積もりを取っても、条件が揃っていなければ比較になりません。次の5項目を全社に同じ条件で伝えてください。
見積もり依頼時に必ず揃える項目
- 設計・デザイン費を含むか(総工事費の10〜15%が目安)
- 解体・原状回復を含むか
- 厨房機器の購入費を含むか
- 家具・什器を含むか(既製品かオーダーか)
- 看板・サイン工事を含むか
これに加えて坪数、物件の状態(居抜き/スケルトン)、希望する仕様の重さを揃えます。同じ条件で出した見積もりだけが、比較する意味を持ちます。
保健所・消防・内装制限・商業施設のB工事|カフェ内装で先に確認すること
おしゃれさの前に、レイアウトを縛る要件が3つあります。どれも「内装が終わってから判明すると作り直し」になるもので、上の削り順で「削れない」と書いた設備・法規の中身です。制度の詳細や運用は自治体・所轄で異なるため、必ず物件所在地の窓口で確認してください。
保健所(食品衛生法・飲食店営業許可)
カフェは食品衛生法にもとづく飲食店営業許可が必要です。許可の基準は都道府県・保健所設置市の条例で定められ、厨房と客席の区画、手洗い設備の位置と数、食器や器具の洗浄設備、床・壁・天井の仕上げ(清掃しやすい材料)などが見られます。図面が固まる前に、所轄の保健所へ図面を持って事前相談に行くのが定石です。ここを飛ばすと、カウンターの位置や手洗いの追加でレイアウトが変わり、造作の見積もりがやり直しになります。居抜き物件では前の店の許可がそのまま引き継げるわけではなく、改めて申請します。
消防(消防法・防火対象物の届出)
飲食店は消防法上の防火対象物で、開店前に所轄消防署への届出(防火対象物工事等計画届出・使用開始届など、名称と要否は自治体で異なります)と、収容人数によっては防火管理者の選任が必要です。厨房の火気設備・排気ダクト、避難経路、消火器・誘導灯・自動火災報知設備の配置は席のレイアウトと直結します。席を決めてから要件が判明すると、レイアウトごとやり直しになります。ビル・商業施設のテナントでは館側の防災設備との接続がB工事になることが多く、費用と工期の両方に効いてきます。
内装制限(建築基準法)
建築基準法の内装制限により、火気を使う厨房のある飲食店では、壁・天井の仕上げに不燃・準不燃・難燃といった防火性能を持つ材料が求められる場合があります。木の板張りや布地を「見せたい」テイストほど、どこまで木そのものを使えるか、不燃処理材や不燃下地で代替するかの判断が費用に響きます。建物の用途・規模・階数によって適用が変わるので、設計者に「内装制限の適用範囲」を最初に確認してもらってください。
商業施設に出すなら、先に工事区分表を取る
今回の26件のうち7件が商業施設内、5件がオフィスビル・商業ビルのテナントです。路面店とは費用構造そのものが違います。
商業施設の工事はA工事・B工事・C工事に区分されます。A工事はオーナーが費用を負担し業者も選びます。C工事はテナントが費用を負担し業者も選べます。問題はB工事で、テナントが費用を負担するにもかかわらず、施工業者はオーナーが指定します。つまり相見積もりが取れません。分電盤、給排水管、防水、防災設備などが該当します。
正直にお伝えすると、B工事は当サイトの見積もり比較の対象外です。複数社を比較できるのはC工事の範囲になります。ここを曖昧にしたまま「総額が安くなります」とは言えません。
工事区分表は物件ごとに違い、決まった書式もありません。同じ商業施設でも館によって区分が異なることがあります。出店を検討している館から工事区分表を入手し、どこまでがB工事かを確認したうえで、C工事の範囲を明確にして見積もりを依頼してください。B工事の範囲が狭いほど、テナントの総額は下がります。
あわせて、空調と消防設備はレイアウトを決める前に確認してください。席の配置を決めてから要件が判明すると、レイアウトごとやり直しになります。
A工事
B工事
C工事
※区分の中身は施設ごとに異なります。物件の「工事区分表」で必ず確認してください。
よくある質問
あわせて読みたい
カフェ内装の関連記事(当サイト)
- カフェの内装デザイン完全ガイド|おしゃれな8テイスト徹底比較と選び方(テイストの選び方・8テイスト比較)
- カフェの内装工事費用相場|居抜き坪25〜45万円・スケルトン35〜60万円と15坪総額400万円〜【シミュレーター付き】(全国の坪単価と内訳)
- カフェの内装|費用相場・デザイン事例・業者の選び方【費用シミュレーター付き】(費用と業者選びの実務)
- カフェ開業ガイド|開業資金・資格・内装費用・一括見積もりで成功(開業の全体像)
- 古民家カフェの開業ガイド|費用相場・再生工事の実務・用途変更と保健所(古民家カフェ)
- 店舗照明の設計と費用相場ガイド|業種別の照度(JIS)・色温度・器具の値段表【シミュレーター付き】
- 10坪店舗の内装費用シミュレーション【2026年最新】業種別坪単価・居抜きvsスケルトンの費用早見表完全ガイド
- 店舗内装費用シミュレーター|業種・坪数から概算を即計算
飲食店全般の内装(16業種の事例・費用相場・保健所と営業許可・居抜きの見極め)はこちら
居酒屋の内装(登録施工会社の事例18選・席数シミュレーター・個室造作の費用)はこちら
ケーキ屋・スイーツ店の内装(登録施工会社の事例10選・売場の型・ショーケースの実務)はこちら
写真で気になる店が見つかったら、次は「同条件で費用を試算する」で予算の目安を掴み、複数社の見積もりを同じ条件で取るところまで進めてください。同じ条件で出した見積もりだけが、比較する意味を持ちます。






























































































































