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個室を増やしたり、炭火・揚げ物・海鮮など厨房を重くすると、総額が段差で跳ねます。これは居酒屋ならではの動き方で、「どこにお金がかかるのか」を入力しながら体感できます。立ち飲みの約1,200万円から、海鮮や個室主体の約4,000万円まで、業態と作り込みで大きく開くのが分かります。まずは自分の構想に近い条件で動かしてみてください。
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―〜―万円
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居酒屋の費用を決める「2つの軸」
居酒屋の内装は「和モダンでおしゃれに」から考え始めがちですが、費用を本当に動かしているのはスタイルではありません。「客席をどうつくるか」と「厨房がどれだけ重いか」の2軸で、費用と設計の大枠はほぼ決まります。シミュレーターも、この2軸(個室の数・厨房タイプ)を入力させて金額の段差を見せる仕組みです。
軸1:客席のつくり(大衆オープン ⇔ 個室・座敷主体)
仕切りの少ない開放的な大衆スタイルか、掘りごたつや半個室・座敷を売りにするか。個室・座敷の造作は1室あたり30〜80万円が目安で、数が増えるほど内装費が段差で上がります。同時にこれは商売の軸でもあり、大衆は回転で稼ぎ、個室は客単価と宴会で稼ぐ——客席のつくりは費用と稼ぎ方の両方を決めます。
軸2:厨房の重さ(簡単なつまみ ⇔ 炭火・揚げ物・海鮮)
冷たいつまみ中心なのか、炭火の焼き鳥・炉端、揚げ物、海鮮(生け簀)まで出すのか。焼き物や揚げ物は油と煙が多く、排煙ダクト・防火・グリストラップが本格化し、内装費が連続ではなく「段差」で跳ね上がります。カフェのような軽飲食とは別物で、ここが居酒屋の費用を押し上げる第二の要因です。
この2軸を最初に決めると、「自分の居酒屋はどこにお金をかけるべきか」が見えてきます。スタイルや素材の話は、その後で考えるのが失敗しない順番です。以降の章は、この2軸を具体的な費用・造作・厨房・法規・採算に落とし込んでいきます。
まずは2軸(個室の数・厨房タイプ)を入れて、複数社の見積もりで費用配分を見比べてみましょう。
写真のような実際の施工事例を一覧で見られます → 居酒屋の内装事例304件を写真で見る
費用相場と内訳・坪単価(居抜き/スケルトン/新築)
居酒屋の開業費用は「内装工事・設備什器・物件取得・運転資金」の合計です。中でも内装工事費は全体の大きな割合を占め、開業資金の半分前後を充てるケースも多い費目です。まずは4つの費目の全体像をつかみましょう。
内装工事費は壁・床・天井・造作・電気・給排水・空調・排煙などの工事費です。設備什器は厨房機器・カウンター・椅子・テーブル・タップなど。物件取得費は保証金・礼金・仲介手数料で、立地で大きく動きます。運転資金は開業後しばらくの家賃・人件費・仕入れをまかなう数か月分の余力です。
坪単価の目安(物件状態で大きく変わる)
居酒屋は厨房設備やダクト工事の比重が大きいため、カフェやバーに比べると坪単価がやや高めです。物件の状態別の目安は次のとおりです。
居抜き
- 15坪の内装費約300〜750万
- 前提前が飲食で設備流用可
スケルトン
- 15坪の内装費約675〜1,200万
- 前提ゼロから自由設計
新築
- 15坪の内装費約1,100〜1,950万
- 前提建物本体は別途
※厨房機器・カウンター造作・看板は坪単価に含まない別予算のことが多く、見積もり比較時は総額で確認します。デザイン性の高い和モダンやカウンター中心の小規模店では、スケルトンで坪70万円を超えることもあります。
「狭いほど割高」と居抜きの注意
居酒屋は10〜30坪の中規模店が主流です。一般に面積が狭いほど坪単価は高くなります。10坪でも20坪でも最低限必要な厨房・給排水・排気の工事はほぼ変わらないため、狭い店ほど坪あたりの負担が重くなるからです。また居抜きは効果が前テナント次第で、前が飲食以外(物販・事務所)だと配管やダクトを新設してスケルトンに近い金額になることもあります。坪単価は必ず「その店の坪数」とセットで見ましょう。
費用を抑える3つのコツ
- 設備の使える居抜きを選ぶ(厨房・給排水・排気・座敷の流用で数百万円単位の差)
- 什器は中古・リースも検討(ただし使用年数・状態・保証を確認)
- 最低でも複数社から相見積もりを取り、内訳を比べる(同じ要望でも金額も提案も大きく違う)
💡 内装費は「相見積もり」で最も差が出る費目
内装工事は開業費用の中でも大きく、頼む会社によって数百万円の差が出ることがあります。店舗内装ドットコムは店舗オーナーと内装会社をつなぐマッチングで、発注者の利用は無料、しつこい営業もなく、47都道府県・居酒屋に対応する会社が見つかります。
まずは複数社の見積もりを取って、相場と内訳を見比べてみましょう。
業態別の内装の違い(14業態)
ひと口に居酒屋といっても、大衆酒場から海鮮・焼き鳥・個室・バルまで幅広く、業態の中身で必要な厨房・客席・坪単価がまったく違います。シミュレーターと同じ4グループで、業態ごとの要点を見ていきましょう。
大衆・スタンダード系(賑わいと回転)
大衆居酒屋
仕切りを少なくして視線が奥まで通る開放感が基本。回転を意識した席配置と、活気の出る照明・サインが要点です。造作を抑えやすく、坪単価も比較的おさえられます。
立ち飲み・角打ち
席を最小化し、低投資・高回転で出せる業態。カウンターと立ち飲みスペースの動線が命で、小坪でも成立します。視認性と入りやすいファサードが集客を左右します。
大型・宴会居酒屋
座敷や宴会場、個室を備える大箱型。席数可変のレイアウトと、団体の出入り・配膳動線が論点です。坪数が大きくなり、造作・設備とも費用が膨らみます。
専門グリル系(焼き物・揚げ物・海鮮)
焼き鳥・串焼き
炭火の焼き台と排煙ダクト・防火が主役。カウンター越しに焼く臨場感が価値になりますが、煙対策と消防協議が前提で、内装費を押し上げます。
串カツ・揚げ物
フライヤーと排煙、油を扱う厨房が中心。提供スピードを支えるカウンターと厨房の動線、油汚れに強い素材選びが要点です。
炉端・炭火焼き
炉端カウンターと強い排煙が主役。目の前で焼く演出と、煙・においの処理を両立させる設計が腕の見せどころです。
海鮮居酒屋
生け簀(給排水・濾過)、刺場、冷蔵が費用の中心。鮮度を見せる設計が集客力になりますが、水回りの設備計画を最初に固める必要があります。
個室・落ち着き系(造作と客単価)
個室・座敷居酒屋
掘りごたつ・小上がり・半個室の造作が費用の中心。1室30〜80万円の積み上げで内装費が大きく動きます。落ち着きと客単価で勝負します。
和モダンダイニング居酒屋
木・和紙・洗練された素材で客単価を上げる業態。デザイングレードが上がるぶん坪単価も上がりますが、その世界観が価値になります。
小料理・隠れ家
カウンター中心で割烹寄り。無垢材の一枚板カウンターと、料理人と客の一体感を生む設計が中心です。少席・高単価のモデルです。
夜・バー寄り(調光・バー設備が個性)
ダイニングバー
夜のアルコールと調光できる落ち着いた内装、グラス什器が要点。料理も出すバランス型で、時間帯で席の使い方を設計します。
バル・スペインバル
立ち飲みやカウンター中心の洋スタイル。気軽さと回転、ファサードの開放感が集客につながります。
ビアバー・クラフトビール
タップ(ビアサーバー)設備と冷却、樽の保管が要点。タップの数とカウンターまわりが投資の中心になります。
レトロ大衆酒場
昭和レトロの演出(提灯・暖簾・古材・赤提灯)で世界観を作る業態。造作を抑えつつ演出で価値を出せるため、低〜中投資で個性を出せます。
どの業態でも共通するのは、個室・座敷をどれだけ作るか、厨房をどれだけ重くするか(炭火・揚げ物・海鮮)を最初に決めること。これらは完成後の修正が難しく、初期設計の精度がそのまま採算に直結します。
業態に合った内装は、飲食・居酒屋の実績がある会社に相談するのが近道です。
個室・座敷・カウンター造作の費用
当サイト登録企業による実際の居酒屋の施工事例です(クリックで各事例の詳細へ)。カウンター主体・小上がり・個室・大広間座敷・レトロ大衆まで、造作の幅を確認できます。
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居酒屋の内装費を最も動かすのが、個室・座敷・カウンターの造作です。ここをどれだけ作るかで、坪単価も総額も大きく変わります。
個室・座敷の種類と費用(1室30〜80万)
個室・座敷の造作は1室あたり30〜80万円が目安で、数が増えるほど積み上がります。代表的な4種類を比べてみましょう。
小上がり
- つくり床を上げて畳
- 向き気軽な座敷・小上がり
掘りごたつ
- つくり床を下げて足を伸ばす
- 向き落ち着き・長居
半個室
- つくり格子・障子で仕切る
- 向き程よい個室感・回転両立
完全個室
- つくり壁と扉・空調も分ける
- 向き接待・特別感・最も高い
大衆オープンなら仕切りを最小限にして開放感と回転を、個室主体なら落ち着きと客単価を——どちらを狙うかで設計が変わります。
個室は「資産と負債」の両面がある
見落としやすいのが、個室造作は「作る費用」だけでなく、退去や居抜きにも効くという点です。下の3つすべてに影響すると考えておきましょう。
個室の数が効く3つの場面
- 初期費用:1室30〜80万円が積み上がる
- 退去費用:畳・小上がり・格子・土壁など和の造作は撤去が高額になりがち(坪あたり8〜18万円程度)
- 居抜き売却価値:状態の良いカウンター一枚板や座敷ごと次のテナントへ譲渡できれば資産になる
カウンター造作
カウンターはお店の顔です。無垢材の一枚板カウンターは、料理人と客・客同士の一体感を生み、小料理や焼き鳥・炉端と相性がよい造作です。正面だけでなく側面まで丁寧に仕上げると質感が上がります。一枚板は費用がかかる一方、状態が良ければ資産にもなります。席数効率と居心地のバランスを見ながら、カウンターとテーブル・個室の比率を決めましょう。
個室やカウンターの造作は、実績のある会社に図面を引いてもらうと費用感が見えます。
厨房・排煙・ダクト・生け簀(炭火/揚げ物/海鮮)
居酒屋の費用が段差で跳ねるもう一つの要因が、厨房と排煙です。焼き物や揚げ物、海鮮をどこまで扱うかを設計初期に決めることが、総額を左右します。
炭火・焼き物(焼き鳥・炉端)
炭火の焼き台は煙と油が多く、強い排煙が必要です。カウンター越しに焼くなら焼き台専用の排煙フード(天蓋型より排煙量を抑えられるタイプ)を使い、ダクト・防火ダンパーを備えます。ダクトを使わない無煙ロースターという選択肢もあり、設置自由度やメンテナンス性が変わります。
🔥 炭火・焼き物は消防の事前相談を
焼き物系の排煙ダクトは飲食店火災の一因にもなります。焼台専用フード・防火ダンパー・ダクト経路は、着工前に所轄消防署へ相談しておくと、検査でつまずきません。
揚げ物・海鮮
串カツなど揚げ物中心なら、フライヤーと排煙、油を扱う設備が要点です。海鮮居酒屋は生け簀(給排水・濾過・水槽)と刺場、冷蔵が費用の中心になり、鮮度を見せる設計が集客力になる一方、水回りの設備計画を最初に固める必要があります。いずれも油を扱う厨房には、油脂を分離するグリストラップが実質的に必要で、管轄の下水道課・保健所に確認します。
排気ダクト・電気・ガス・給排水
排気は不燃のステンレス製フードと油脂フィルターで煙・においを集め、ダクトで外へ出します。ダクトを屋上まで引き上げるほど工事費は高くなり、下層階では近隣への臭気クレーム対策として排出口の高さや向きを工夫します。あわせて、強い火力の厨房は電気・ガスの容量、給排水の位置が業態に見合っているかを契約前に確認します。これらは物件を借りてから不足が分かると高額な追加工事になりがちなので、内見の段階で設備会社に同行してもらうのが安全です。
焼き物・海鮮の厨房と排煙は、飲食設備に強い会社に最初から相談すると失敗しません。
内装スタイル・デザインの選び方
テイスト類型で決める内装の方向性|5タイプ比較
| 類型 | 内装の方向性 | 坪単価の傾向 | 向く立地・客層 |
|---|---|---|---|
| 和風(古民家・民芸) | 無垢材・塗り壁・障子や格子。経年が味になる素材を選ぶ | 高(自然素材・造作多) | 住宅街の一軒目/40代以上・接待 |
| 和モダン | 木×黒鉄×間接照明。個室や半個室と相性がよく単価が上がる | 中〜高 | 駅前・商業ビル/会食・デート |
| レトロ大衆・ネオ大衆 | 裸電球・ホーロー看板・赤椅子。新装でもエイジング塗装で「使い込み感」を作る | 低〜中 | 駅近・飲み屋街/20〜30代 |
| 横丁・屋台系 | 立ち飲み×コの字カウンター。素地見せで初期費用を抑え回転で稼ぐ | 低 | 横丁・高架下/仕事帰り |
| モダン・洋風ダイニング | タイル×真鍮×ペンダント照明。ワインやクラフト酒と合わせ客単価を引き上げる | 中〜高 | 商業地・オフィス街/女性客 |
ファサードは「業態宣言」の装置です。路面の引きは「中が見える度合い」で決まります。大衆系は開放して中の賑わいそのものを広告にし、和モダン個室系はあえて閉じて隠れ家性で単価を上げる——逆に作ると客層がズレます。暖簾は看板より雄弁で、色と丈が客単価帯を予告します。白く短い暖簾は大衆価格を、紺の長暖簾は割烹寄りの価格を、入店前のお客に伝えています。
居酒屋は「内装=集客」の業種です。スタイルは見た目の好みではなく、ターゲットと客単価から逆算して選ぶのが失敗しないコツです。
代表的なスタイルと向き不向き
木・和紙・洗練の和モダンは客単価を上げたい個室・ダイニング型に向き、落ち着いた世界観が価値になります。提灯・暖簾・古材の大衆・レトロ酒場は、造作を抑えつつ演出で賑わいの世界観を作れ、低〜中投資で個性が出せます。鉄骨・タイル・レンガのモダン/工業系は洗練された印象で若年層やバル寄りに、暖かみと重厚さの洋風パブ・バルは立ち飲みやスタンディングと相性がよいスタイルです。一つに絞り、ターゲットの感性に合う素材で統一感を出すのがポイントです。
内装を決める5つの要素
この5つで空間が決まる
- レイアウト:動線と席配置
- 照明:明るさだけでなく色温度と陰影
- カラー:基調色の統一
- 素材:木・タイル・金属などの質感
- 装飾:提灯・暖簾・グリーン・サイン
とくに照明と装飾は、工事費を大きく増やさずに雰囲気を底上げできる要素です。「賑わう感じ」「落ち着いた和」という言葉だけでは人によって想像が違うので、理想に近い写真を5〜10枚集め、それぞれ「どこが好きか」を言葉にして業者と共有すると、認識のズレが大きく減ります。
⚠️ 暗い照明の落とし穴(デザインと法規の接点)
居酒屋は雰囲気のある暗めの照明が好まれますが、深夜0時を過ぎて営業する場合、店内照度は20ルクス以上が法規上の基準です。雰囲気を優先して暗くしすぎると深夜営業で引っかかることがあるため、深夜まで営業するなら調光できる照明にするなど、設計初期に明るさを調整しておきましょう。
好みのスタイルを実現できる会社かは、過去の事例を見比べるのが一番です。
坪数・席数とレイアウト・動線
小さな居酒屋(10坪前後)の作り方|席数最大化の実務
個人開業の主戦場は10坪前後です。10坪ならカウンター8席+2人卓×3=14席前後が現実的なライン。鍵は客席ではなく厨房の縮め方にあります。大箱の厨房比率30〜40%に対し、小箱はメニューを絞って冷蔵庫・洗い場を最小化し、25%前後まで圧縮します。厨房を1坪縮める設計力が席2つ分——月売上にして数十万円——を生みます。10坪で最も高くつく内装は、実は厨房の縮め方なのです。
席は「詰める」のではなく「重ねる」発想が有効です。可動テーブル+壁付けベンチ造作にしておけば、開店直後は2人卓、ピークは寄せて4人掛け、深夜はカウンター延長と、同じ席が時間帯で姿を変えます。固定の4人卓で埋まらない時間を作るより、稼働率が一段上がります。
カウンター主体は、1人客で埋まる・ワンオペで回る・席数あたりの造作費が最も安い、と小箱に三拍子そろった構成です。ただし排気だけは小箱でも妥協できません。焼き物の煙が隣店や上階に回ると、規模に関係なく営業継続の問題になります。
小さな店の実績がある会社に無料相談
居酒屋のレイアウトは「席数」と「厨房・カウンターの面積」のせめぎ合いです。席を増やせば売上の上限は上がりますが、提供動線が詰まると回転が落ち、スタッフが疲弊します。最初に席数と厨房比率、そして宴会対応の有無を決めることが、後悔しないレイアウトの起点です。
席数と宴会対応
客席はおおむね1席あたり0.8〜1.2坪が目安(通路やゆとりを含む)です。15坪なら厨房・カウンターを除いて10〜20席程度が現実的なレンジになります。居酒屋で大切なのは、来店人数の波に対応できる可変レイアウトです。2人席を基本に、つなげて4人・6人にできるテーブル配置や、宴会時に座敷をつなげられる設計にしておくと、団体予約を取りこぼしません。
席種の使い分け
ターゲットごとに席を配分します。大衆型なら回転しやすい配置、個室型なら落ち着いて長居できる配置と、業態に合わせて席種の比率を決めるのがポイントです。
| 席種 | 向くお客様 | ねらい |
|---|---|---|
| カウンター | 一人客・常連 | 回転・一体感 |
| テーブル | グループ | 汎用・人数可変 |
| 座敷・個室 | 宴会・接待 | 客単価・長居 |
動線と「酔客」への配慮
お客様の動線(入口→着席→トイレ→会計)とスタッフの動線(厨房⇄ホール)を交差させないのが基本です。居酒屋は飲食店の中でも酔ったお客様が多い場所のため、つまずきにくい床段差の処理、わかりやすい避難経路、通路幅の確保(車椅子も考えると60〜90cm以上)が安全面で重要になります。トイレは清潔さが店の印象を左右するため、内装グレードに見合った仕上げを意識しましょう。これらをレイアウトの初期に組み込むと、後からの手戻りを防げます。
坪数に合った席数とレイアウトは、複数社に図面を引いてもらうと差が見えます。
採算:大衆回転 vs 個室客単価
2軸のうち「客席のつくり」を採算の視点から掘り下げます。居酒屋の内装の正解は、回転で稼ぐか客単価で稼ぐか、そしてアルコールをどう売るかで変わります。
売上の基本式は「席数 × 回転数 × 客単価 × 営業日数」です。大衆居酒屋のような回転型は席を詰めて回転を上げ、客単価は抑えめでも数で稼ぎます。だから機能性と動線が命で、過剰な造作はむしろ回収を圧迫します。個室・座敷の滞在型は、客単価と宴会で成り立つため、居心地や個室への投資が単価に乗ってきます。自分のモデルを決めずに「とりあえず和モダンで」と造作を盛ると、回収できない内装になりがちです。
利益はアルコールが作る
居酒屋の収益構造で重要なのが、利益はドリンクが作るという点です。料理(フード)単体の原価率は30〜35%になりがちですが、ビールやハイボールなどのアルコールは原価率が20%前後と低く、収益の柱になります。料理は集客の役割、ドリンクで利益を確保する——この構造のため、ドリンク比率を高める工夫(ペアリング提案やハッピーアワー)と、ドリンクを高回転で出せるカウンターや立ち飲みの設計が効いてきます。
FL比率と家賃の目安
内装に過大投資して返済が重くなると、開業直後の資金繰りを圧迫します。次の目安に照らして、無理のない内装予算を逆算しましょう。
採算の3つの目安
- 原価率(店舗全体):30%前後(アルコール約20%・フード30〜35%)
- FL比率(原価+人件費):売上の60%前後
- 家賃:売上の10%前後
たとえば客単価3,000円・20席・1日1.3回転・月26日営業なら月商は約200万円。ここから原価・人件費・家賃を引いた利益で内装の借入を返すと考えると、現実的な内装予算が見えてきます。シミュレーターで出た総額を、想定の月商と照らして無理がないか確かめましょう。
採算から逆算した内装は、相見積もりで費用配分を比べると見えてきます。
営業許可・深夜酒類・風営法・消防・内装制限
居酒屋は飲食店であり、酒類を扱い、深夜まで営業することも多いため、関わる法規が多い業態です。設計初期に押さえないと検査が通らず開業が遅れます。費用×デザイン×法規が交わる「接点」でつまずかないよう、要点を整理します。
飲食店営業許可(保健所)
居酒屋の開業には飲食店営業許可が必要です。主な設備基準は、1槽あたり幅45×奥行36×深さ18cm以上のシンクが2槽以上(食器洗浄機を別に設置する場合は1槽でも認められることがあります)、これとは別のスタッフ専用手洗い、客席と厨房を分けること、お客様が厨房を通らずに行けるトイレ、食品衛生責任者の配置などです。物件契約・着工前に図面を持って保健所へ事前相談するのが安全です。
深夜0時の壁と照度20ルクス(居酒屋の要注意点)
居酒屋で特に重要なのが深夜営業の扱いです。深夜0時までの営業なら飲食店営業許可だけで足りますが、0時を過ぎて主に酒類を提供する場合は、所轄の警察署(公安委員会)へ届出が必要になります。
🌙 深夜0時を超えて酒を出すなら「深夜酒類提供飲食店営業」の届出
届出は店内図面の作成や測量を伴い、警察の立入検査を経て、届出からおよそ10日後に営業できます。立入でチェックされるのが店内の照度で、深夜営業の基準は20ルクス以上。雰囲気のある暗い照明と衝突するため、調光できる設計などで最初から対応しておきます。
風営法(接待)との境界
「接待」(特定の客の横にはべって継続的に談笑する、お酌を続けるなど、歓楽的にもてなす行為)を伴う営業は、風営法上の許可(スナック・キャバクラ等の区分)が必要で、通常の居酒屋とは別物です。深夜営業と接待は原則として同一店舗で同時にできません。一般的な居酒屋の接客はこれに当たりませんが、カウンター越しでも継続的な接待と評価されると無許可営業になり、近年は罰則も強化されています。自分の営業形態がどの区分かは、設計前に確認しておくと安心です。
消防・内装制限・グリストラップ
飲食店は特殊建築物にあたり、消防・内装制限の対象です。着工前に押さえるべき点を整理します。
消防・内装制限で押さえる点
- 床から1.2mを超える壁・天井の仕上げは防火材料(不燃・準不燃・難燃)/床は対象外
- 厨房は可燃物との離隔距離が定められ、入力合計350kW以上の設備は所轄消防署へ届出
- 炭火など火を強く使う業態は、防火の観点から消防署へ事前相談
- 油を扱う厨房はグリストラップが実質的に必要(自治体の下水道課に確認)
これらは完成後の手直しが難しいため、法規に慣れた内装会社なら、検査でつまずかない設計に最初から落とし込んでくれます。
法規対応に慣れた会社なら、深夜営業や消防でつまずかない設計にしてくれます。
物件選び・居抜き vs スケルトン
居酒屋の初期費用と売上の両方を最も左右するのが物件です。内装と同じくらい、物件選びに時間をかける価値があります。まずは居抜きとスケルトンの違いから整理しましょう。
居抜き
- 強み厨房・排気・座敷を流用
- 注意前業態次第・造作譲渡あり
- 向き費用と工期を抑えたい
スケルトン
- 強みゼロから自由設計
- 注意費用は高い・工期も長い
- 向きコンセプト・個室配置を優先
居酒屋は居抜きの流通が多い業態です。前が飲食かどうか、設備が使える状態かで効果が変わり、長く使われた設備は点検が必要です。希望の立地に良い居抜きがあれば活用し、なければスケルトンでコンセプトを優先する、という判断になります。
視認性・立地・家賃
居酒屋は通りすがりの入店や、繁華街の立地が売上を左右します。視認性(外から店が見えるか)や人通り、入りやすいファサードが大切です。一方で一等地は家賃が高く、固定費として利益を圧迫します。家賃と席数・想定客単価のバランスで、身の丈に合った立地を選びましょう。居抜きはその立地で前の店が撤退した可能性もあるため、競合や立地条件も調べておくと安心です。
契約前に必ず確認すること
- 保証金・礼金・仲介手数料などの初期費用
- 電気・ガス・給排水の容量が業態(炭火・揚げ物・海鮮)に足りるか
- 排気を外に出せるか(ダクト経路・排出口)
- 退去時の原状回復(スケルトン戻し義務・和の造作の撤去)の条件
設備の容量不足や排気の不可は、借りた後では取り返しがつきません。内見の段階で内装会社に同行してもらうと、こうした見落としを防げます。
居抜きが使えるかの見極めは、内装会社の現地チェックが確実です。
内装業者の選び方
居酒屋の内装は、飲食・居酒屋の施工に慣れた会社を選ぶのが近道です。住宅や物販が中心の会社だと、炭火の排煙・厨房・保健所・深夜酒類・消防まわりで思わぬ手戻りが出ることがあります。
会社のタイプで選ぶ
設計事務所
- 強みデザイン・世界観
- 向き作り込みたい
施工会社
- 強み費用・工期
- 向きコスト重視
ワンストップ
- 強み窓口一本化
- 向き手間を減らす
いずれの場合も、居酒屋・飲食の実績があるかが第一条件です。
見るべき3つのチェック
業者選びの3チェック
- 同じ業態(個室型・焼き鳥・海鮮など)の施工実績があるか
- 炭火の排煙・厨房・保健所・深夜酒類・消防への対応力があるか
- 見積もりの内訳が明朗で、個室の数や厨房設備の含み方など追加条件が明確か
見積もりを比べるときは、個室の数と厨房設備の含み方をそろえて依頼すると、正しく比較できます。1社だけで決めず、最低でも複数社から相見積もりを取り、実績・対応・金額を比べて選ぶと失敗が減ります。
居酒屋に強い会社を複数社、無料で比べてみましょう。
開業までの流れと工期・よくある失敗
物件決定から開業までは、設計・事前相談・工事・許可の順で進みます。検査や届出に日数がかかるため、スケジュールは余裕をもって組みます。
工期の目安は、設備の整った居抜きの小規模店で数週間、スケルトンや個室造作・炭火厨房を伴う場合は1〜数か月です。とくに和の造作(左官・建具・畳など)は専門の職人手配で工期が延びやすいため、早めに業者を決めておきます。
よくある失敗
このパターンに注意
- 個室を作りすぎて初期費用と返済を圧迫する
- 炭火・揚げ物の排煙やダクトを後から足して工事が膨らむ
- 深夜酒類の届出を忘れる、または照度20ルクスを見落として暗くしすぎる
- 保健所・消防の事前相談を飛ばして検査でつまずく
- 電気・ガスの容量不足が後から発覚する
- 和の造作の撤去費(退去時)を見込んでいなかった
- 「居抜き=安い」と思ったら前業態が違い結局高くついた
いずれも初期設計と事前相談、そして相見積もりによる費用の見える化で防げます。古い建物や居抜きでは解体後に不具合が出ることもあるため、総予算の1〜2割を予備費として見ておくと安心です。
工程とスケジュールも、複数社に出してもらうと現実的な計画が立ちます。
よくある質問(FAQ)
居酒屋の内装は最低いくらから可能ですか?
条件次第ですが、設備の整った居抜きの小規模店なら数百万円から可能なケースもあります。スケルトンや個室造作・炭火厨房を伴うと総額は上がります。上のシミュレーターで業態・坪数・物件状態・個室の数・厨房タイプを入れると、開業総額の概算が出ます。
深夜まで営業したいのですが、何か届出が要りますか?
深夜0時を過ぎて主に酒類を提供するなら、所轄の警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。届出は店内図面の作成を伴い、立ち入り検査を経て、おおよそ10日後に営業できます。深夜営業の店内照度は20ルクス以上が基準なので、照明設計でも配慮が必要です。
個室をたくさん作ると、どのくらい費用が変わりますか?
個室・座敷・掘りごたつの造作は1室あたり30〜80万円が目安で、数が増えるほど積み上がります。さらに、退去時の撤去費用や、居抜きで譲渡する際の売却価値にも影響します。シミュレーターで個室の数を変えると、段差を確認できます。
居抜きとスケルトン、どちらが得ですか?
前が居酒屋・飲食で設備や座敷が使えるなら居抜きが有利で、居酒屋は居抜きの流通も多い業態です。前が飲食以外だと配管やダクトを新設するため、結局スケルトンに近くなります。物件ごとに内装会社へ現地チェックを依頼して判断するのが確実です。
工期はどのくらいかかりますか?
居抜きの小規模店で数週間、スケルトンや個室造作・炭火厨房を伴う場合は1〜数か月が目安です。和の造作は職人手配で工期が延びやすいため、早めに業者を決めておくとスケジュールを守りやすくなります。
見積もりや相談は無料ですか?
店舗内装ドットコムでは、相談・見積もりは無料です。47都道府県・居酒屋に対応する会社が見つかり、しつこい営業もありません。
気になる点は、無料の見積もり依頼から気軽に相談できます。
まとめ
30秒で結論
- 内装の坪単価は居抜きで坪20〜50万円、スケルトンで坪45〜80万円が目安。個室の数と厨房・排煙タイプ(炭火/揚げ物/海鮮)で費用が段差で変わります。上のシミュレーターで47都道府県×業態の開業総額がすぐ出ます
- 居酒屋の内装はスタイルより先に「客席のつくり×厨房の重さ」の2軸を決めるのが成功のコツ。大衆は回転、個室は客単価。利益はアルコールが作るので、ドリンクの出し方も設計に直結します
- 個室造作は1室30〜80万円で、退去費や居抜き売却価値にも影響。深夜0時超で酒を出すなら深夜酒類の届出(照度20ルクス以上)など、デザイン×費用×法規の接点を設計初期に押さえましょう
- 費用も仕上がりも会社で大きく変わります。店舗内装ドットコムなら、居酒屋・飲食に対応する会社から無料で複数社の見積もりを取れます(しつこい営業なし)
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