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クリニックの内装費は、診療科・手術の有無・規模で大きく変わります。まずは下のシミュレーターで診療科を選び、レントゲンや手術室の有無、坪数、都道府県を指定すると、内装を主役にした開業総額の目安が出ます。診療科を切り替えると、その科で効く質問(X線の有無、手術室、ユニット台数、透析ベッド数など)が現れ、レントゲンや手術室を「あり」にすると総額が段差で跳ねます。これはクリニックならではの動き方で、「どこにお金がかかるのか」を入力しながら体感できます。
クリニックの開業費用シミュレーター
30秒・無料診療科・手術の有無・規模から、内装費を主役に開業総額の目安がわかります。
この条件での開業総額の目安
―〜―万円
内装・医療機器・物件・運転資金の合計概算
坪数別の早見表(現在の条件・―)
この試算の前提と注意事項
※金額は概算です。実額は物件の状態や機器のグレード・リースの有無で変わるため、最終的には複数社の見積もりで確定してください。
クリニック内装の費用相場と内訳・工事区分
クリニックの内装工事費は、スケルトン物件で坪50〜100万円、居抜き物件で坪30〜50万円が目安です。スケルトンは床・壁・天井の仕上げから給排水・電気・空調まで一から作るため自由度が高い半面、費用と工期がかかります。居抜きは既存の内装や設備を流用できれば費用を抑えられます。同じ坪数でも診療科や設備で坪単価は大きく動き、設計・デザイン料は工事費の10〜20%が目安です。医療機器・什器・看板・外構はこの坪単価には含まれない別予算になります。
内装費の内訳と工事区分
内装費の中身は、間仕切りや床・壁・天井の仕上げ・造作家具などの内装造作に加え、給排水や(手術室では)医療ガスの配管、空調・換気設備、電気・LAN・ナースコールなどの設備工事、サイン・外観で構成されます。クリニックでは、この中の空調・換気・給排水・遮蔽が一般の店舗より重くなりがちです。テナント開業では、ビルの共用部や指定業者が関わるB工事と、自院で自由に発注できるC工事の区分も費用に影響します。区分の考え方はA工事・B工事・C工事の違いガイドも参考にしてください。
診療科別の内装坪単価は、X線室を持つ内科・外科・整形外科・歯科で坪60〜100万円、X線室を持たない耳鼻科・眼科・皮膚科・精神科などで坪40〜80万円が一つの目安とされています。鍼灸・整骨院・デイケアや調剤薬局は坪40〜60万円程度です。つまり「クリニックの坪単価」と一括りにできず、レントゲンや手術室といった設備の有無が水準を分けます。
X線あり
- 科内科・外科・整形・歯科
X線なし
- 科耳鼻科・眼科・皮膚科・精神科
軽量・在宅系
- 科鍼灸・整骨・デイケア・調剤
開業総額(内装・医療機器・物件・運転資金の合計)は、無床クリニックで5,000万〜1億円程度が一般的な目安です。CTやMRIなど高額な画像診断装置を導入すると1億円を超えることもあります。自己資金は開業資金全体の1〜2割(1,000〜3,000万円)を準備しておくと、融資の審査や返済の面でも安心です。診療科別の目安は次章で詳しく見ていきます。
坪単価に含まれない別予算も、総額を左右します。医療機器は診療科で幅が大きく、内科のレントゲン・超音波・血液検査機器で数百万〜2,000万円、電子カルテの初期費用で200〜500万円程度が目安です。これに加えて什器・備品、外観サイン、駐車場や外構、保証金・礼金などの物件費用、開業初期の運転資金がかかります。内装の坪単価だけで資金計画を立てると不足しがちなので、内装+機器+物件+運転資金の合計で見ます。
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診療科別の内装の違い
当サイト登録企業による実際のクリニック内装の施工事例です(クリックで各事例の詳細へ)。一般クリニックの受付から美容クリニックの高級感ある空間、待合・動線まで確認できます。
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クリニックの内装は「診療科の中身」で設計が決まります。同じ坪数でも必要な部屋・設備・坪単価がまったく違うため、上のシミュレーターと同じ3グループ(一般診療科/自費・特化/設備が重い・検査・在宅)で、科ごとの要点を見ていきましょう。
一般診療科(保険中心)
内科(無床)
診察室・処置室・点滴スペースと、発熱・一般を分けた待合が要点。レントゲンを置くかどうかで坪単価が変わり、呼吸器内科のようにX線・呼吸機能検査を備えると機器が上振れします。
糖尿病・代謝内科
採血・検査が多く、栄養指導室やフットケアのコーナーが要点。生活習慣病の継続通院を支えるため、待ち時間を快適にする待合と分かりやすい動線が再来院につながります。
小児科
病児と健児の待合を分け、授乳室・ベビーカー置き場、転びにくい床と角の少ない造作、明るい配色で子どもが怖がらない空間に。予防接種・乳児健診の専用枠があると回しやすくなります。
耳鼻咽喉科
吸引・ネブライザーを備えた処置ユニットの台数と配管、防音した聴力検査室、喉頭ファイバーが要点。患者の回転が速いので、処置までの動線を短くする設計が効きます。
眼科
視力・眼底・OCTなど検査機器が多く、暗室や広い検査スペースが必要。検査から診察への動線を短くすると効率が上がります。白内障の日帰り手術を行うなら清浄度を満たす手術室と回復スペースが加わります。
皮膚科
保険中心の一般皮膚科は、処置・小手術スペースと光線療法を備え、回転を重視した機能的な設計が効きます。自費中心の美容皮膚科は次のグループで扱います。
整形外科
X線室(遮蔽工事)とリハビリ室(広さ)が費用を押し上げます。リハビリは滞在が長いため、待合とリハ室の採光・車椅子動線が満足度を左右。日帰り手術なら手術室も必要です。整形外科のスケルトン開業ガイドも参考に。
外科(日帰り手術)
鼠径ヘルニア・下肢静脈瘤・粉瘤などの日帰り手術を行うなら、清浄度を満たす手術室と回復室、処置室が要点。創傷・処置の動線を分けて感染対策を徹底します。
リハビリテーション科
平行棒や物理療法機器を置く広いリハ室が主役。理学療法・作業療法・言語療法(PT/OT/ST)の動線と、機器の電源・床を確保します。大空間のぶん坪数が要ります。
循環器内科
心電図・心エコー・ホルターに加え、運動負荷試験室や心臓CTを持つと電源・スペースが必要に。検査機器が比較的多く、機器費が上がりやすい科です。
脳神経外科・神経内科
CTやMRIを導入すると一気に重くなります。MRIは磁気シールドと床の重量補強、CTは遮蔽が必要で、機器費と内装費の両方で開業総額が跳ねます。導入の有無は最初に決める分岐です。
泌尿器科
尿流量検査・膀胱鏡・超音波と、トイレに近い検査動線、排尿のプライバシーが要点。結石の体外衝撃波治療(ESWL)を備えると機器・内装が一段上がります。
産婦人科・婦人科
内診室は入口と退出を分ける二方向のプライバシー動線が肝。女性専用の落ち着いた空間にします。分娩を扱う有床はLDR・分娩室が加わり、無床の婦人科とは規模が大きく変わります。
肛門科・大腸肛門科
視線を避けるプライバシー処置室と、大腸内視鏡・前処置・回復室が要点。日帰り手術を行う例もあり、内視鏡の有無で機器費が変わります。
消化器内科・内視鏡
内視鏡の洗浄室(給排水・換気)、前処置・回復室、鎮静対応が要点。室数が費用を左右し、下部内視鏡を行うならトイレ併設の前処置スペースも検討します。
ペインクリニック
神経ブロックを行う透視室(C-armはX線管理区域)と処置室が特徴。透視装置を置くならX線遮蔽が必要で、その部屋の費用が上がります。
心療内科・精神科
防音とプライバシー、刺激の少ない落ち着いた内装が最優先。待合での視線を避ける配置と診察室の遮音が満足度に直結します。機器は軽く、費用は科の中では小さめです。精神科のスケルトン開業ガイドへ。
自費・特化クリニック(内装が差別化の主役)
美容皮膚科
レーザーの台数と専用個室、ホテルのような高級感が、回転ではなく単価に見合う価値になります。内装グレードが上がる科です。美容クリニックの開業ガイドもどうぞ。
美容外科(手術あり)
手術室の清浄度クラス(一般/バイオクリーン)、前室・医療ガス、入院個室の有無で費用が段差で変わります。自費中心で、内装の質感も投資回収の一部です。
AGA・メンズヘルス
ほかの患者と顔を合わせない完全個室と動線が最重要。医療機器は軽めで、回収は内装の世界観とブランドで生まれます。人目を避ける入口・受付の工夫が効きます。
不妊治療(生殖医療)
培養室はクリーンルーム化(VOC対策・無停電。胚は環境に超敏感)、採卵室は手術室クラスの清浄度、採精室の独立動線、凍結タンク(液体窒素)が要点。透析と並ぶ最重量級の開業になります。
イビキ・睡眠時無呼吸(SAS)外来
終夜睡眠検査の個室は、遮光・静音でホテルライクに整えます。CPAPの管理・フィッティングのスペースも確保。耳鼻科や呼吸器内科と併設されることも多い分野です。
点滴・アンチエイジング外来
リクライニングの点滴ラウンジを半個室で用意し、長時間を快適に過ごせる空間が再来院につながります。自費中心で、くつろぎの質感が選ばれる理由になります。
設備が重い・検査・在宅
歯科
ユニット1台ごとに給排水・吸引・圧縮空気が必要で、台数が費用と坪数を決めます。歯科用CT・口内法X線の遮蔽、器具の洗浄・滅菌動線も論点です。歯科クリニック内装の専用ガイドへ。
透析
RO水処理・大量の給排水・10〜30床のベッド・大電力で最重量級。ベッド配置、患者の送迎動線、長時間を支える空調と快適性が主役で、デザインより動線と水回りが要点です。
健診・人間ドック
胃・大腸内視鏡、X線/CT、エコー、採血を流れ作業で回す検査ライン動線と、更衣ロッカーが要点。受診者が短時間で多くの検査を回れる効率設計が満足度を決めます。
在宅療養支援診療所
院内の患者スペースは最小で、往診車の動線・物品庫・スタッフのカンファレンススペースが中心。外来を併設するかどうかで必要な部屋が変わります。
どの科でも共通するのは、清潔と不潔を分けること、患者が迷わない動線、そして診療科ごとの設備要件を設計の初期に固めることです。これらは完成後の修正が難しく、初期設計の精度がそのまま開業後の効率と採算に直結します。
診療科に合った内装は、医療実績のある会社に相談するのが近道です。
坪数別レイアウトとゾーニング・動線
クリニックの設計でまず固めるのが、患者・スタッフ・汚物の動線を交差させないゾーニングです。受付→待合→診察→処置・検査→会計という患者の流れと、スタッフの裏動線、汚物・洗浄の動線を分けます。動線が交差すると、感染対策・プライバシー・業務効率のすべてに影響します。
待合は発熱・小児・一般で分けると、感染対策と安心感が両立します。診察室は音と視線のプライバシーを確保し、車椅子やストレッチャーが通る幅も必要です。受付・待合は来院時の第一印象を決めるため、滞留できる広さと、会計・呼び出しの導線をていねいに設計します。
坪数別のおおよその目安
坪数別の構成イメージ
- 15坪前後:受付・待合・診察1〜2室+処置(最小構成)
- 25坪前後:診察2〜3室+検査・処置にゆとり
- 35坪以上:X線室・リハビリ室・複数の検査室
- 40坪以上:透析など大部屋ベッド+水処理
無床クリニックでは、15坪前後で受付・待合・診察1〜2室+処置という最小構成、25坪前後で診察2〜3室+検査・処置にゆとり、35坪以上でX線室・リハビリ室・複数の検査室といった拡張が現実的になります。透析のように大部屋ベッドと水処理を要する科は40坪以上が一般的です。診察室は1室あたり3〜4畳程度を確保し、医師の人数や1日の患者見込みから必要な室数を逆算します。
無床診療所では医療法上の廊下幅規定はありませんが、車椅子のすれ違いを考えバリアフリー法の1.2m以上を確保するのが実務です。
受付・スタッフ・バックヤードの動線
受付は来院から会計までの起点で、待合全体とカルテ・会計の流れを見渡せる位置に置きます。スタッフが診察室・処置室・検査室を行き来する裏動線を患者動線と分けると、声かけや器具の受け渡しがスムーズになり、プライバシーも守れます。スタッフルーム(休憩・更衣)、消耗品の物品庫、汚物処理の動線も、面積の小さいクリニックほど早めに位置を決めておくと、開業後の使い勝手が大きく変わります。
診察室は1室あたり3〜4畳を基本に、医師の人数と1日の患者見込みから逆算します。医師1人・1日40〜60人なら診察1〜2室+処置、複数医師やリハビリ・検査を抱える科では診察3室以上に検査・処置の専用スペースを足す、といった具合に、診療の中身が部屋数と坪数を決めます。坪数が足りないと将来の増室がきかず、広すぎると家賃が採算を圧迫するため、見込み患者数と家賃のバランスで適正規模を選びます。
医療法・保健所の構造設備基準と開設手続き
保健所検査で見られる数値の早見表|内見時に間取りへ当てる
構造設備基準の細部は自治体(保健所)ごとに運用差がありますが、内見の段階で次の数値を間取り図に当てておくと、後戻りのない物件判断ができます。
| 項目 | 目安となる基準 | 実務メモ |
|---|---|---|
| 診察室 | 9.9㎡(約6畳)以上 | 完全個室が原則。カーテン間仕切りは多くの自治体で不可 |
| 廊下・通路幅 | 1.2m〜(車椅子すれ違いは1.5m〜) | 壁の内側(内法)で測る。柱型の出っ張りに注意 |
| 手洗い設備 | 診察室・処置室ごとに設置 | 給排水の立ち上げ位置が間取りを縛る最大要因 |
| 待合室 | 患者数に応じた広さ+換気 | ベビーカー・車椅子の回転スペースを席数より優先 |
| X線室 | 鉛遮蔽・操作室の区画 | 詳細は本ページの設備5論点の章を参照 |
物件は坪数より「間口×奥行きの比率」で判断します。細長い区画は法定面積を満たしても、患者動線とスタッフ動線が同じ廊下で交差し、分離できません。間口7m未満の区画は「すれ違いをどこで起こすか」から設計を始めることになります。
保健所の事前相談は図面が9割です。着工後の指摘で多いのは「手洗いの位置」と「診察室の遮音」——どちらも後直しが高くつく筆頭のため、図面段階で保健所に当ててから着工するのが鉄則です。
保健所基準ごと無料で相談する
クリニックの内装は、建築基準法・消防法に加えて医療法(医療法施行規則第16条)の構造設備基準を満たす必要があります。診療所は他の用途と機能的・物理的に明確に区画し、テナントビルでは天井までの仕切りで区画します。診察室には適切な暖房・照明と、滅菌した手洗い設備が求められ、消火用の機械・器具などの設備も必要です。これらを満たさないと開設の届出(許可)が通らないだけでなく、患者・スタッフの安全にも関わります。
よく誤解されるのが廊下幅です。医療法の廊下幅1.2m以上の規定は患者を入院させる有床診療所(10床以上)に適用されるもので、無床診療所には医療法上の寸法規定はありません。ただしバリアフリーの観点から1.2m以上が実務的な基準になります。また、手術を行う科は無床でも手術室の設置が必要で、手術室には用途に応じた構造設備基準があります。
各室の要件と「届出」と「許可」の違い
構造設備基準では、診察室・処置室・必要に応じてX線診療室・手術室・調剤所などについて、用途に応じた区画と設備が求められます。無床診療所は原則として開設の「届出」(医師が開設する場合、開設後10日以内に保健所へ)ですが、有床診療所や医師以外が開設する場合などは事前の「許可」が必要です。いずれも保健所が窓口で、建築基準法・消防法(消火設備・誘導灯・内装制限)にも適合させます。
物件・設計の確定
保健所へ事前相談
内装工事
開設届・各種届出
保健所への事前相談は実務上ほぼ必須で、図面の段階で各室の名称・面積・動線を確認します。これを早めに行うと、工事のやり直しという最も痛い手戻りを防げます。診療所開設届は開設後10日以内に保健所へ提出します。
消防法・建築基準法の面では、内装制限(壁・天井の仕上げを燃えにくい材料にする規定)、消火器・誘導灯・自動火災報知設備などが、建物の規模や用途で必要になります。とくにビルの一室を区画して使う場合は、防火区画や避難経路、排煙の扱いがからむため、設計の早い段階で消防への事前相談も行うと安全です。これらは医療法の構造設備基準と並行して満たす必要があります。
医療特有の設備・技術5論点
一般の店舗内装と最も違うのが、医療特有の設備です。費用と法規の両面で効く5つの論点を押さえましょう。
医療特有の5論点
- 放射線:X線室の遮蔽・管理区域
- 感染対策:清潔区域の換気・陰圧隔離
- 手術室:清浄度クラス・前室・医療ガス
- 給排水:透析RO・内視鏡洗浄・歯科ユニット
- 電気・床荷重:CT/MRIの動力電源・重量補強
1. 放射線(X線・CT)の管理区域と遮蔽
X線を置く科では、医療法施行規則第30条の4により、X線診療室の天井・床・周囲の画壁に放射線防護を施し、室内に操作位置を設けません(一部の装置を除く)。管理区域の標識と「使用中」の表示、漏えい線量の測定も必要です。管理区域の境界や、人が居住する区域・敷地境界での放射線量が基準を超えないよう、鉛当量に基づいて画壁の厚みを設計します。観察窓には含鉛ガラスを使い、建築工事なしで設置できる組立式のX線防護BOXという選択肢もあります。X線装置は設置の30日前までに所轄の労働基準監督署へ届け出ます(医療法上の備付も必要)。骨密度測定や乳房撮影など一部には例外規定もあります。
2. 感染対策と空調・換気
診察室・待合・X線室・透析室・内視鏡室(消化器)・回復室は、病院設備設計ガイドラインで「クラスⅣ 一般清潔区域」とされ、換気は毎時6回・等圧・フィルタ90%以上が目安です。隔離が必要な発熱・感染対応の診察室は陰圧(クラスⅤ)にし、前室を設けて廊下との間に圧力差をつくると、空気が外へ漏れにくくなります。新型感染症を機に、外気導入量の増加や高機能換気の採用も広がっています。
3. 手術室(手術の有無で大きく変わる)
日帰り手術を行うと空調が一段上がります。一般手術室は「クラスⅡ 清潔区域」で換気毎時15回・陽圧・フィルタ98%以上、整形外科などのバイオクリーンは「クラスⅠ」でHEPA99.97%・垂直層流が求められます。整形では術野周囲約1mを特に高い清浄度に保つ考え方もあります。手術室には前室・医療ガス・無影灯などが加わり、費用が段差で跳ねます。だからこそ「手術をするか」は、設計の最初に決めるべき分岐です。
4. 給排水(透析・内視鏡・歯科)
透析のRO水処理は専用室と床排水、内視鏡の洗浄機は給排水と換気、歯科は各ユニットへの給排水・圧縮空気・吸引が必要です。水回りの規模が科で大きく変わるため、配管ルートを設計初期に決めておきます。
5. 電気容量と床荷重(CT・MRI)
CT・MRIなどの大型機器は専用電源(動力)と床の重量補強が必要で、設置場所を設計初期に決めます。一般的なクリニックでも電子カルテ・検査機器・空調で相応の電気容量が要り、停電時の備えも検討します。これらは後から変更しにくいため、機器の選定と内装設計を並行して進めるのが安全です。
放射線や手術室の対応は、医療に慣れた会社かどうかで差が出ます。
バリアフリーと患者が安心する内装デザイン
音とプライバシーの設計|患者が一番聞かれたくない会話はどこで起きるか
診察室の遮音は、間仕切り壁を天井裏のスラブまで立ち上げるのが基本です。天井面で止めて上部が繋がった「欄間オープン」の壁は、見た目は個室でも会話が筒抜けになります。心療内科・美容クリニックではドアもガスケット(隙間パッキン)付きを指定します。
見落とされがちですが、患者が最も音を気にするのは診察室ではなく「会計時の病名・検査の会話」です。受付カウンターと待合最前席の距離を確保し、BGMで会話をマスキングし、必要なら半個室の会計カウンターを設ける——受付まわりの設計こそプライバシーの本丸です。待合は天井吸音材・カーペット・布張りソファで反響を抑えると、会話の聞こえ方が大きく変わります。
曲線と照明|「医療の冷たさ」を消し、安心だけ残す
白×直線×無機質な機器が並ぶ医療空間は、それだけで「怖い・冷たい」印象を与えます。受付カウンターの角・ソファ・照明器具に曲線を取り入れると、同じ清潔感のまま印象が和らぎます。照明は待合を電球色寄り(3000〜3500K)の間接照明、診察室を演色性の高い昼白色に切り替えるのが定石——待合はくつろぎ、診察室は正確な診断のための光です。
なお、待合の正解は「ホテルライク」ではなく「健常者の空間」です。病院らしさを消しすぎるとかえって高齢の患者が不安になります。サインと受付には医療の記号を残し、座る場所だけ住宅の質感にする——これが幅広い年齢層が来院するクリニックの最適解です。
患者は不安や緊張を抱えて来院します。だからクリニックの内装は、見た目の好みよりも「どんな患者に、どんな体験を届けたいか」で方向性が決まります。清潔感・安心感・プライバシーが再来院に直結する点が、美容室の「映え」とは動機が違うところです。
「狙い」でデザインの方向性を選ぶ
方向性は、診療科・患者層・保険か自費かで変わります。下の4タイプから、自院に近いものを選んでください。
① 安心・清潔タイプ
白やベージュを基調に木目を添えた、清潔感と落ち着きのある内装。動線が分かりやすく、初診の患者でも迷わない。→ 内科・整形外科・眼科・耳鼻科など、保険診療で幅広い患者に長く通ってほしいクリニックにお勧めです。
② ファミリー・キッズタイプ
明るい色と低い目線の造作、待ち時間を過ごせる小さなキッズスペースで、子どもが怖がらない雰囲気。→ 小児科や、子ども連れの多い歯科にお勧めです。
③ プレミアム・特別感タイプ
間接照明と個室、ホテルのような上質な素材で、人目を気にせず過ごせる非日常感。→ 自費中心の美容皮膚科・美容外科など、内装が単価に見合う価値になるクリニックにお勧めです。
④ 静けさ・プライバシータイプ
遮音と刺激の少ない配色、視線を遮る待合で、落ち着いて相談できる雰囲気。→ 心療内科・精神科など、プライバシーと安心が再来院を左右するクリニックにお勧めです。
すべての科に共通:バリアフリーの土台
- 通路は1.2m以上(車椅子のすれ違いを確保)
- 多目的トイレ・手すりの設置
- 段差の解消(スロープ・フラット化)
- 車椅子・ベビーカーでも動きやすい動線
素材は清掃・消毒のしやすさを重視し、床は継ぎ目の少ない塩ビシートやクッションフロア、壁は抗菌・防汚のクロスやパネルがよく使われます。外観は医療機関とわかる視認性の高い看板と入りやすい入口が集患に効き、院内のサインは初めての患者でも受付から会計まで迷わない大きさ・配置にします。
採算・投資回収(保険診療 vs 自費)
内装にいくらかけるべきかは、保険診療か自費診療かで考え方が逆になります。これはクリニックの内装計画で最も重要な分岐の一つです。
保険診療は単価が固定なので、診察室数を増やして回転で稼ぐのが基本です。機能優先の設計が効き、過剰な高級内装はかえって採算を悪化させます。医師1人・診察室の処理能力がボトルネックになりやすいので、待ち時間と動線の効率が売上に直結します。一方、美容皮膚科などの自費診療は単価が高く予約制のため、個室や高級感のある内装が投資回収につながります。同じ「クリニック」でも、内装投資の正解が真逆になるわけです。
保険診療
- 稼ぎ方診察室数×回転
- 投資先機能・動線・清掃性
- 例内科・整形・小児科
自費診療
- 稼ぎ方高単価×予約制
- 投資先個室・質感・世界観
- 例美容皮膚科・AGA
採算の基本は、患者単価×1日患者数×診療日数で売上を見積もり、そこから人件費・家賃・リース・材料費を引いて利益を考えることです。損益分岐点は、固定費(家賃+人件費+リース)を限界利益率で割って把握します。医療は人件費の比率が高い事業のため、開業初期の運転資金を厚めに用意しておくと安心です。CT・レーザー・透析装置など高額機器は、減価償却と稼働率が採算を左右し、リースを活用して初期投資を平準化する選択肢もあります。
保険と自費で「回収の絵」が違う
保険中心の内科は、1人あたりの単価が低い分、待ち時間を短くして1日の患者数を増やすほど採算が安定します。内装は清掃性と回転を重視した機能的な設計が向き、ここに過剰な内装費をかけても回収しにくいのが実情です。一方、自費中心の美容皮膚科は1件あたりの単価が高く予約制のため、個室や上質な内装そのものが選ばれる理由になり、内装投資が単価と再来院で返ってきます。同じ予算でも、保険なら部屋数と動線、自費なら質感と個室に配分するのが基本です。
開業初期は患者数が立ち上がるまで時間がかかるため、家賃・人件費・リース料といった固定費の数か月分を運転資金として厚めに確保しておくと安心です。CT・レーザー・透析装置などの高額機器は、購入すると減価償却の負担が大きく、稼働率が低いと採算を圧迫します。リースなら初期投資を平準化できますが総支払額は増えるため、見込み稼働率と資金繰りの両面で購入・リースを比べて決めます。
物件選び・医院居抜き vs スケルトン
物件はスケルトン(坪50〜100万円)と居抜き(坪30〜50万円)で費用が変わります。ここでクリニック特有なのが、居抜きは「前のテナントが医療機関かどうか」で価値がまったく違う点です。
医院居抜き
- X線室遮蔽を流用できることも
- 給排水医療仕様が残る
- 注意設備の老朽化・科の相性
一般店舗の居抜き
- 撤去前内装の解体が必要
- 補強給排水・電気を医療仕様に
- 結論スケルトンと変わらない例も
医療機関の居抜きなら、X線室の遮蔽や医療仕様の給排水・空調を流用できることがあり、費用と工期を大きく抑えられます。逆に一般店舗の居抜きは、前の内装の撤去や、給排水・電気・空調を医療仕様に作り直す費用がかかり、結果的にスケルトンと変わらないこともあります。「一般店舗の居抜き=安い」という常識は、クリニックでは通じません。
✅ 医院居抜きで確認したいこと
- X線室の遮蔽・含鉛ガラスがそのまま使えるか
- 給排水・空調・電気容量が自院の診療科に合うか
- 設備の老朽化や保守状況、譲渡範囲の契約書への明記
- レイアウトが自院の動線に合うか(合わなければ改修費が発生)
スケルトンは費用も工期もかかりますが、診療科に最適な動線とゾーニングをゼロから設計できる利点があります。コスト重視か理想の設計かを、開業方針に照らして選びましょう。
契約面では、医療用途で貸してもらえるか(用途制限・管理規約)、退去時の原状回復の範囲、看板の掲示可否、駐車場の有無を確認します。とくに原状回復で「スケルトン返し」を求められると、退去時にX線室の遮蔽撤去などで費用がかさむことがあるため、契約前に範囲を明確にしておきましょう。
内装業者の選び方(医療特化 vs 一般)
クリニックの内装は、医療特化の設計施工会社と一般の内装会社のどちらにも依頼できます。大切なのは、医療の事例・法規対応・見積りの明朗さで見極めることです。保健所基準や放射線・手術室の空調は専門性が高く、慣れていない会社だと設計のやり直しや費用の膨らみにつながります。
医療特化の設計施工
- 強み保健所・放射線・空調に精通
- 向き手術室・X線ありの科
一般の内装会社
- 強みコスト・デザインの幅
- 注意医療事例と法規対応を要確認
✅ 内装会社をチェックする観点
- 同じ診療科の施工事例があるか(公開情報で確認)
- 保健所基準・放射線(X線遮蔽)・手術室の空調を理解しているか
- 見積りの内訳が分かれ、追加条件が明確か
- 医療機器メーカーや設計事務所との連携実績があるか
発注の形は、設計事務所に設計を依頼して施工会社を別に選ぶ方法、設計施工を一括で任せる方法、医療機器商社が間に入る方法などがあります。設計と施工を分けると価格やデザインを客観的に比較しやすく、一括だとスピードと窓口の一本化に利点があります。いずれの形でも、複数社で相見積もりを取り、内訳と提案を比べることが、価格の妥当性を判断する近道です。
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工期・スケジュールとよくある失敗
クリニックの内装は、物件の形式にもよりますが、設計から完成まで半年から1年ほどかかります。保健所の事前相談や各種届出の時間も見込んでおきましょう。一般的な流れは、コンセプト設計→基本・実施設計→保健所事前相談→見積り・業者決定→着工→竣工・検査→各種届出→開業です。X線の遮蔽工事や手術室の空調は工期が読みにくいため、余裕を持った日程が安全です。
工期の目安は、コンセプト・基本設計に1〜2か月、実施設計と保健所事前相談に1〜2か月、見積り・業者選定に1か月前後、内装工事に2〜3か月(規模・遮蔽工事・空調で前後)、竣工検査と各種届出に2〜4週間ほどです。テナント取得から逆算し、X線の遮蔽や手術室の空調など読みにくい工程には予備の日数を持たせます。とくに保健所の事前相談は図面段階で済ませておくと、工事のやり直しという最も痛い手戻りを避けられます。
⚠️ よくある失敗例(想定されるケース)
動線の分離が甘く感染対策・プライバシーで後悔する/X線室の遮蔽や届出を見落として開業が遅れる/手術室の空調要件を後から知って予算が超過する/開設届や事前相談のスケジュールが押して開業日がずれる/機器の搬入経路や電気・床荷重を考えずに設計し、設置時に問題が出る、などが典型です。いずれも、診療科の要件と機器の選定を設計初期に固めることが対策になります。
開業後を見据えた内装
開業後の増床、医療機器の更新、診療科の追加に備えて、配管・電気・スペースに少し余地を残しておくと、後の改修費を抑えられます。診察室の追加や検査室・処置室の拡張、将来のX線や手術室の導入を見込んだレイアウトにしておくと、患者数が増えたときにスムーズに対応できます。電子カルテやオンライン診療などのITも、配線・通信環境を最初から整えておくと後がラクです。内装は一度作ると変えにくいからこそ、5年・10年先の診療スタイルを想像して計画しましょう。
増床・科の追加・機器更新への備え
具体的には、将来の診察室・検査室の増設を見込んで壁を動かしやすい間仕切りにする、電気容量と分電盤に余裕を持たせる、X線や手術室を後から足す可能性があるなら配管・電源・スペースの逃げを残す、といった備えが効きます。医療機器は5〜10年で更新時期が来るため、搬入経路と設置スペースを確保しておくと入れ替えがスムーズです。オンライン診療や予約・問診のオンライン化を見据え、通信環境と配線、待合のレイアウトも最初から想定しておきましょう。将来の分院展開や事業承継を考えるなら、図面・設備の記録を残しておくと引き継ぎが容易になります。
よくある質問(FAQ)
クリニックの内装は坪単価でいくらくらいですか?
スケルトンで坪50〜100万円、居抜きで坪30〜50万円が目安です。X線室のある科(内科・整形・歯科など)は坪60〜100万円、X線室のない科(眼科・皮膚科・精神科など)は坪40〜80万円が目安で、設備で変わります。上のシミュレーターで概算をつかみ、複数社の見積もりで確定してください。
医院の居抜き物件はお得ですか?
前のテナントが医療機関なら、X線室の遮蔽や医療仕様の給排水を流用できることがあり費用を抑えやすいです。一方、一般店舗の居抜きは撤去や設備補強でかえって割高になることもあるため、残置設備と譲渡範囲を必ず確認しましょう。
レントゲン(X線)を置くと費用はどのくらい上がりますか?
X線室は鉛などによる画壁の遮蔽、含鉛ガラスの観察窓、管理区域の標識、漏えい線量の測定が必要で、その部屋の費用が上がります。設置の30日前までに労働基準監督署への届出も必要です。シミュレーターでX線の有無を切り替えると、目安の差が分かります。
日帰り手術をするには手術室が必要ですか?
はい。手術を行う科は無床でも手術室が必要で、清浄度クラスに応じた空調(換気回数・陽圧・HEPAフィルタ)や前室、医療ガスが加わります。費用が一段上がるため、手術の有無は早い段階で決めましょう。
何坪あればクリニックを開業できますか?
診療科によりますが、無床の内科・皮膚科・心療内科なら15坪前後から、整形外科やX線・リハビリを備える科は25〜40坪、透析は40坪以上が目安です。必要な部屋数と動線から逆算して決めます。
開設の届出はいつ出しますか?
医師が開設する無床診療所の場合、開設届は開設後10日以内に管轄の保健所へ提出します。実務上は、図面の段階で保健所へ事前相談しておくのが安全です。
設計・デザイン料はどのくらいですか?
工事費の10〜20%が一つの目安です。医療機器・什器・看板・外構は内装の坪単価に含まれない別予算のため、総額は内装+機器+物件+運転資金で考えます。
医療に詳しくない内装会社でも大丈夫ですか?
一般の内装会社でも対応は可能ですが、保健所基準・放射線・手術室の空調などの知識が重要です。同じ診療科の施工事例があるかを確認し、複数社で比較するのがおすすめです。
テナントビルと戸建て、どちらがクリニック開業に向いていますか?
駅前のテナントビルはアクセスと視認性に強く、戸建ては駐車場の確保や増床のしやすさに利点があります。ビルでは共用部に関わるB工事の区分や、給排水・電気容量・搬入経路の制約を契約前に必ず確認しましょう。高齢の患者が多い科は1階や駐車場の有無が重要になるなど、診療科の患者層で向き不向きが変わります。
看板や外観で集患に効くものはありますか?
医療機関だと一目で分かる視認性の高い看板、診療科目・診療時間の見やすい掲示、入りやすい入口が基本です。夜間も見える照明付きサインや、ビルなら共用部の案内表示の位置も効きます。院内は受付から会計まで初診でも迷わないサイン計画にします。
スタッフの休憩室や更衣室は必要ですか?
法令上の細かな寸法規定はありませんが、スタッフの定着と衛生管理の面で、休憩・更衣のスペースと手洗いは確保したいところです。面積の小さいクリニックほど後から取りにくいため、設計初期に位置を決めておきます。
オンライン診療をするには内装で何が必要ですか?
静かでプライバシーの保てる小スペースと、安定した通信環境・配線、カメラ映りを考えた照明があれば始められます。専用の個室を1室確保するか、診察室の一角を活用する方法があります。
まとめ
クリニックの内装は、診療科・手術の有無・規模で費用も設計も大きく変わります。最後に要点をまとめます。
30秒で結論
- 内装の坪単価はスケルトンで坪50〜100万円、居抜きで坪30〜50万円が目安。X線室や手術室の有無で費用が段差で変わります。上のシミュレーターで47都道府県×診療科の開業総額がすぐ出ます
- 費用も仕上がりも会社で大きく変わります。店舗内装ドットコムなら医療内装に対応する会社から無料で複数社の見積もりを取れます(しつこい営業なし)
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